Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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諸事情により一ヶ月以上遅れてしまいました。
申し訳ございません。

でも失踪はまだしないよ。(汗


さて、前回のお話のおさらいですが、

拠点を完成させ、ついに灯台作りまでさしかかったルーフス達であったが、

その夜に現れたのは狼人間。

そしてなんやかんやで狼人間も灯台作りを手伝うことになったのだ。



それでは続きをどうぞ。


7:光と咆哮

鳥が唄う。

 

太陽が青々しい海の彼方から、オレンジ色を放って昇る。

 

 

少年達はチェストから急いで資材を取り出して外に出た。

 

 

「よぉーし、今日は灯台作り、がんばるぞ!!」

 

「「おー!!」」

 

「ワオーン!!」

 

 

三人と一匹は、早速、設計図を元に灯台を作り上げていった。

 

ジャックは設計図を確認し、

 

 

 

チェリーが内部から松明をつけていく。

 

 

 

狼男が高速で石を積み上げる。

 

 

 

ルーフスも石を置く・・・置き間違って、

 

 

 

狼は資材を三人の元へ運ぶ。

 

 

 

またまた作業を繰り返す。

 

 

 

三人と一匹は汗をだくだくと流し、灯台の完成を目指していたのだった。

 

 

 

 

 

 

時計の針は廻り。

 

 

 

 

一日がもうすぐ終わろうとしていた。

 

 

 

 

今日は狼男の提案で、外で夕食をとることにした。

 

二人と二匹が横たわった原木のベンチに座っている。

 

「ふぅ~疲れた~!!今日はガッツリ食うぞ!!」

 

「久しぶりの運動になりました!」

 

「で、でも大丈夫?狼寄ってくるんじゃ・・・ってこんな狼だらけのパーティじゃ

寄ってこないかぁ・・・」

 

子供はホッと息をつく。

 

「ん?バンバン寄ってくるぞ。」

 

 

「エ・・・」

 

「なんせ人喰い狼達は俺の部下だからな。」

 

毛むくじゃらの狼男は言った。

 

 

 

「大丈夫だ。人喰い狼っていうのは世間の名。俺がいるうちには、人間はくわねぇさ。」

 

その背後から、灰色の毛の狼達がこちらを覗く。

 

 

「「「「ワオーン!!!」」」」

 

 

「言ってる傍から来た・・・」

 

「ワン!!ワン!!」

 

狼は嬉しそうだ。

 

「ははは、やっぱりお前仲間みたいなもんなんだな。遊んで来い。」

 

「ワン!!」

 

「「「「ガル!!」」」」

 

狼達はいっしょに森のほうへ、嬉しそうに走っていった。

 

 

 

「ちゃんと朝までには帰って来るんだぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年達と狼男は焼いた豚肉を食べながら話していた。

 

「・・・そういえば名前聞いてなかったな。」

 

「俺はビスト。狼人間だ。」

 

「狼人間がこの世界にいるなんてなぁ・・・世界は広いんだな。」

 

「お前ら知らんのか?俺の先祖はまだ陸が一続きになっていた時代にさかのぼるらしい。

世界中に狼人間は散らばってるぜ。俺みたいな人肉に興味の無い奴もいるが、ほとんどは

人間を食い殺す。気をつけろよ。」

 

子供の背筋が凍る。

 

少年は問う。

 

「・・・そういや娘さんがいるらしいな。」

 

「ああ、俺には娘がいる。だがあいつは狼人間ではなくただの人間だ。

母の血を多く受け継いだようだ。」

 

「お母さんは・・・?」

 

「あいつが幼い頃、死別した。元々病弱だったんだ。

 

あん時は悲しんださ。・・・でも。」

 

 

「娘がいたからこそ、俺は強くなれたんだと思う。」

 

 

 

 

「娘さんは今どこに?」

 

メイドは尋ねる。

 

「遠い遠い地に働きに行っちまったよ。あいつは出て行くとき、反対する俺にはじめて反抗したんだ。

 

驚いたね。小っちぇえ時は狼の姿の俺を見て一日中ベッドから顔を出さなかった事があったのによ。」

 

 

「『自分も外に出て、世界をしっかりこの目で見たい』だとよ。

そんなことを一心に伝える娘を見て、俺も心折れちまったよ。それでいいだろう、と。」

 

 

「ワオーーーン!!」

 

 

「「「「ワオーーン!!」」」」

 

狼達は木の上に昇って吠える。

 

 

 

 

狼男はどんどん燃えていく炎を見ながら言う。

 

 

「だが実際、行っちまうと寂しくなるもんだな・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

「なあ。」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

狼男は作りかけの灯台をみる。

 

 

「・・・この光、あいつにも届くかな・・・」

 

「ああ、届くさ。」

 

少年は言った。

 

炎は燃え果てて、どんどん小さくなっていく。

 

狼がもう一吠え、月夜に吠えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、

 

ルーフスたちの灯台作りが再開した。

 

 

丸石を並べ、松明をたて、石を採取し、・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。

 

 

前には堂々とそびえたつ灯台があった。

 

真っ赤な太陽に、薄明るい光を放っている。

 

 

「できた・・・」

 

少年達は草原に寝転がる。

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

少年達は灯台を眺めていた。

 

「明るいなあ!!」

 

「本当だね!」

 

「素敵・・・」

 

「ワン!!ワン!!」

 

 

狼男は無言のまま眺めている。

 

 

 

 

そしてしばらく経った後、口を開く。

 

「この光なら、娘に届く・・・」

 

狼男の目から涙が垂れる。

 

 

 

 

 

その涙は一続きになっていき、狼男は草原に座りこんだ。

 

 

 

 

 

「・・・ありがとよ・・・ありがとう・・・!!」

 

 

 

 

 

少年達は笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワォォオオオオオオオンン!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワォォオオオオオオオンン!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狼男は何度も吠える。

 

 

 

まるで光と共に我が娘に伝えるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――私の娘へ。

 

 

 

元気ですか?

 

 

 

体調崩していませんか?

 

 

 

怪我していませんか?

 

 

 

 

 

 

私は、いつもこの地で帰りを待っています。

 

 

その時まで、この光と声を届けます。

 

 

 

 

 

 

 

――――父より。

 

 

 

 

 

 


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