Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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23:世界のスキマ

前の王の息子は暴君であったのだ。

 

 

 

自分の世界だけを中心とする、独裁政治。

 

 

 

当然、人間達との絆を持っている私達は反対した。

 

 

 

だが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

暴君は謎の水晶を私達の体の中に閉じ込め、心を支配した。

 

 

 

そして人間達の世界の資源を強引に集めるように命令したのだった。

 

 

 

「サア・・・アツメルノダ・・・ヒトヲコロシテデモ・・・」

 

 

「「「「「「ハッ!」」」」」」

 

私達はなすすべもなく操られ、人間を殺し、資源を手に入れた。

 

人間達はそんな宇宙人達に失望し、私達をこう名づけた。

 

 

 

―――Ender man・・・全てが終わってしまった世界から来た者。

 

 

 

 

 

 

 

「その水晶はあなたの手にしているように攻撃を受けることで心から出て行くのです。

しかし、操られた私達に勝てるヒトは久しぶりに見ました・・・

 

 

10年前に私は一回倒されたのです。

男はとても強かった。

 

その男は私がマインドコントロールから解けたすぐに、こう言っていました。

 

『私は君達を救いたいのだ!君の住む世界に・・・もう一度案内してくれないか!』

 

 

その男は今もなお、長い戦いを続けています・・・暴君と。

 

私も戦ったのですが・・・すぐに水晶で操られてしまいまして・・・」

 

 

「・・・おい、ちょっと聞きたいんだが・・・」

 

ライモンが口を開く。

 

「なんでこの世界の資源を集めるんだ?理由が分からない。」

 

「それは・・・私達の暮らす世界には主に二つの素材しかないのです。

 

黒く硬い石に白い大地という・・・

 

それに比べ、この世界の素材というものは皆、特殊な力を持っているのです。

 

その力を使って暴君はこの世界に『スキマ』を作ろうとしているのです。

 

 

―――その計画がすでに始まろうとしています。

 

そのスキマからは沢山のエンダーマンが現れ、この世界を

 

 

全てThe Endに染めようとしているのです・・・!」

 

「「「ええ!?」」」

 

 

 

「そんな・・・恐ろしい計画が・・・こんな平凡な日常の裏で・・・実行されつつあるのか・・・!?」

 

「そんな・・・この世界は・・・白と黒に染まっちゃうの!?」

 

「く・・・『全世界の暴君』になるわけか・・・」

 

 

 

エンダーマンは頭を下げた。

 

 

 

「・・・お願いします。私と共に、暴君の計画を・・・阻止してくれませんか?」

 

「・・・分かった!皆、OKだよな?」

 

「・・・ごめん、あんちゃん」

 

「ジャック・・・お前何を言っているんだ?怖いのか?」

 

ライモンは問う。

 

 

 

「おいらは・・・弱いし何も世界なんて知らない。戦力にならないんだ・・・

 

このエンダーマンだって・・・おいらが何か知っていれば・・・もっとすぐに倒せたはずなんだ・・・!

 

おいら――降りるよ・・・」

 

 

 

 

 

少年は笑う。

 

「ジャック・・・お前何言ってんだ?」

 

狼も笑う。

 

「本当だ・・・お前・・・バカか?」

 

「な・・・ふざけてるんじゃない!おいらは・・・」

 

少年はまじめな顔をして言った。

 

 

 

「旅ってものは今までの知識を実践していくものじゃない、

 

・・・手探りして、学んでいくものだぞ。」

 

 

 

手探り――――!

 

そうだ、あんちゃんは――「世界を見たい」って言ってた・・・

 

あんちゃんは――毎日手探りしているんだ!

 

 

「分かったよ。あんちゃん。おいらは・・・『世界を学びたい』!おいらも戦うよ!」

 

「よし!その意気だ!さあ、みんな・・・」

 

少年は手を差し伸べる。

 

その上に狼の肉球が乗っかる。

 

その上に子供の小さな手。

 

その上に黒い手が乗った。

 

 

 

「暴君を倒すぞ!」

 

 

 

 

 

「「「「おお!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴ・・・

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

 

 

エンダーマンは闘志に燃えていた表情から一転、険しい表情になった。

 

「・・・どうした?」

 

「まさか・・・」

 

 

 

「そのまさかです。・・・第一の計画が始まりました。」

 

 

 

天気は曇り。西の空に紫色の切れ目が見えていた。

 

 

 


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