Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
ブレイズはその場に倒れた。
ゾンビピッグマンは問う。
「・・・なぜ私の地位を奪ったのだ?」
「私は、昔、火事を理由として地の果てにたどり着いた・・・」
私は生まれてすぐ、人々に消され、地の果てへ向かった。
まだ子供であった。
幼い私は地の果てで天の裁判を受けた。
周りの視線が体中に針となって突き刺さるように感じた。
幼い私にとって・・・それは恐怖であった。
刑は「守護神としての勤労」という軽い刑であった。
私は守護神として一生懸命働こうと誓った。
幼い私には正義の心があった。
私は寒い思いをしているものたちに炎を与えた。
だが、その頃は加減を知らなかったのだ。
沢山の人々は燃えていく。
自分の瞳の前で焦げていく。
私は涙がでた。
そのとき、私は笑うしかなかったのだ・・・
「アハハハハ!美しい・・・!美しい!炎は美しいのだ!
燃えろ!私の見ている前で全て燃えてしまえばいいのだ!アハハハハ!
アハハ・・・アッハッハ・・・ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
私は気が動転していた、いや、狂っていたのだ。
私はもう一度、裁きにかけられた。
またあの恐怖を味わうことになる。
幼い私は耐え切れなかった。ただ逃げるしかなかったのだ。
それから1年後、隠れていた私の目の前に飛び込んだのは、醜い豚であった。
醜い豚ごときが鬼という地位を与えられている。
「なぜだ!私は美しいのに誰からも認められなかったのだ!
正義も一瞬に砕け散った!なぜ、なぜこんな醜い者に負けるのだ!」
ブレイズの目からは涙が光っている。
「ブレイズよ・・・」
ゾンビピッグマンが言う。
「私は、キノコのシチューが大好きだ!」
「へ・・・?」
「ん・・・?」
「は・・・?」
少年達は唖然とした。
ブレイズも目を開いている。
「お前・・・ふざけているのか!」
「いいから聞け。私が子供の頃、村人からキノコシチューを貰った。
それはとても、家庭の味がした。おいしかったのだ。」
「私が雪国に食糧を運んでいた時、家の中で子供達と暖かい時を過ごした。」
「・・・キノコシチューの作り方を教えてやろう。
キノコを二種類用意する。それらをじっくりと火にかけるのだ。」
「初めての暖炉とはとても心地よかった。雪国でも人々の心が温かいのは
この暖炉のおかげだったのだ。」
「・・・わかるか?私は火に恩恵を受けている。決して、お前は認められていないわけじゃない
のだ。火は古来から人々や動物に愛されているのだ。」
「・・・・・・私は・・・ただ自分の非力さにいじけていただけだったのか・・・」
「そうだ。お前は炎の守護神だ。お前の仕事にもどらなければなるまい。」
(待て・・・)
「こ・・・この声は・・・!」
「天のお方だ!」
(まだ決着はついておらぬ・・・ブレイズ・・・お前には罰を受けてもらうぞ・・・)
「待ってください!もう決着はついたのです!」
(だまれ・・・裁きだ・・・刑罰を発表しよう・・・)
(笑え・・・・・・)
「え・・・・・・!?」
(笑うのだ・・・・・・炎の守護神として心が温かくならねばならぬ・・・笑うのだ・・・)
ブレイズから息が漏れる。
その息から、笑いが起こる。
笑い声は地の果てに響く。
まるで地の果てに光がさしたかのように、周りは明るくなった。
豚もそれにつられ笑う。
少年達も笑ってしまった。
天も低い声で笑っていた。
地の果てから聞こえる笑い声は
いつまでも、途絶えることは無かった。
地の果てに灯された、一つの炎のように。