Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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18:炎

ブレイズはその場に倒れた。

 

 

ゾンビピッグマンは問う。

 

 

「・・・なぜ私の地位を奪ったのだ?」

 

「私は、昔、火事を理由として地の果てにたどり着いた・・・」

 

 

 

 

 

 

私は生まれてすぐ、人々に消され、地の果てへ向かった。

 

まだ子供であった。

 

幼い私は地の果てで天の裁判を受けた。

 

周りの視線が体中に針となって突き刺さるように感じた。

 

幼い私にとって・・・それは恐怖であった。

 

 

 

刑は「守護神としての勤労」という軽い刑であった。

 

 

 

私は守護神として一生懸命働こうと誓った。

 

幼い私には正義の心があった。

 

私は寒い思いをしているものたちに炎を与えた。

 

 

 

 

 

だが、その頃は加減を知らなかったのだ。

 

沢山の人々は燃えていく。

 

自分の瞳の前で焦げていく。

 

私は涙がでた。

 

そのとき、私は笑うしかなかったのだ・・・

 

 

 

「アハハハハ!美しい・・・!美しい!炎は美しいのだ!

燃えろ!私の見ている前で全て燃えてしまえばいいのだ!アハハハハ!

 

アハハ・・・アッハッハ・・・ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

私は気が動転していた、いや、狂っていたのだ。

 

私はもう一度、裁きにかけられた。

 

またあの恐怖を味わうことになる。

 

幼い私は耐え切れなかった。ただ逃げるしかなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

それから1年後、隠れていた私の目の前に飛び込んだのは、醜い豚であった。

 

醜い豚ごときが鬼という地位を与えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぜだ!私は美しいのに誰からも認められなかったのだ!

正義も一瞬に砕け散った!なぜ、なぜこんな醜い者に負けるのだ!」

 

 

ブレイズの目からは涙が光っている。

 

 

 

 

 

 

「ブレイズよ・・・」

ゾンビピッグマンが言う。

 

 

 

 

 

 

 

「私は、キノコのシチューが大好きだ!」

 

「へ・・・?」

 

「ん・・・?」

 

「は・・・?」

 

少年達は唖然とした。

 

 

 

 

 

ブレイズも目を開いている。

 

「お前・・・ふざけているのか!」

 

「いいから聞け。私が子供の頃、村人からキノコシチューを貰った。

それはとても、家庭の味がした。おいしかったのだ。」

 

 

 

「私が雪国に食糧を運んでいた時、家の中で子供達と暖かい時を過ごした。」

 

 

 

「・・・キノコシチューの作り方を教えてやろう。

キノコを二種類用意する。それらをじっくりと火にかけるのだ。」

 

「初めての暖炉とはとても心地よかった。雪国でも人々の心が温かいのは

この暖炉のおかげだったのだ。」

 

「・・・わかるか?私は火に恩恵を受けている。決して、お前は認められていないわけじゃない

のだ。火は古来から人々や動物に愛されているのだ。」

 

 

「・・・・・・私は・・・ただ自分の非力さにいじけていただけだったのか・・・」

 

「そうだ。お前は炎の守護神だ。お前の仕事にもどらなければなるまい。」

 

 

 

 

(待て・・・)

 

「こ・・・この声は・・・!」

 

「天のお方だ!」

 

(まだ決着はついておらぬ・・・ブレイズ・・・お前には罰を受けてもらうぞ・・・)

 

「待ってください!もう決着はついたのです!」

 

(だまれ・・・裁きだ・・・刑罰を発表しよう・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

(笑え・・・・・・)

 

「え・・・・・・!?」

 

(笑うのだ・・・・・・炎の守護神として心が温かくならねばならぬ・・・笑うのだ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブレイズから息が漏れる。

 

その息から、笑いが起こる。

 

笑い声は地の果てに響く。

 

まるで地の果てに光がさしたかのように、周りは明るくなった。

 

豚もそれにつられ笑う。

 

少年達も笑ってしまった。

 

天も低い声で笑っていた。

 

 

 

 

 

 

地の果てから聞こえる笑い声は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまでも、途絶えることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地の果てに灯された、一つの炎のように。

 


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