Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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15:醜い戦士

幽霊達は空を舞う。

 

少年達は豚の後に続いて地の果てを歩いていた。

 

少年と狼、子供はひそひそ話し合っていた。

 

(ねぇ、おいら全然悪い悪魔に見えないんだけど・・・)

 

(俺もだ。見た目は確かにグロテスクだけどさぁ

・・・ライモン、あの鬼って本当にお母さんが言ってた悪魔なのかなぁ。)

 

(油断するな。たとえいい鬼に見えても中身は違うかもしれない。

・・・もしかしたら食べるために、俺達を助けたのかもな・・・)

 

(ひぃ!怖いこといわないでよわんわん!)

 

(そうだよ、お前も犬鍋にされるかもしれないぞ!)

 

(・・・俺は犬じゃねぇっつーの!)

 

「先ほどから何を話しているのだ。お前達は。」

 

(((ひぃ~!!)))

 

少年達は背筋が伸びた。背中に汗が流れる。

 

少年は咳払いをし、正直に言った。

 

「あなたはなぜ罪の無い村人達を裁くのですか?」

 

 

 

鬼は黙った。

 

少年達に緊張が走る。

 

(言っちゃった・・・言っちゃったけど良いのかこの空気!?)

 

(おい、お前のせいで気まずくなっちゃったじゃねーか!!)

 

(ガクガク・・・ブルブル・・・)

 

 

少年達は目を合わさないように、直立不動で横を向き、目を食い縛った。

 

 

 

 

 

 

「すまない・・・」

 

少年達は前を向きなおした。

 

「私が地位を剥奪されたのが原因なのだ・・・私が弱いばかりに・・・」

 

「・・・?」

 

「・・・勝手ながら、私の長話を聞いてはくれないか。・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

180年前・・・

 

 

 

私は生まれた。

 

 

 

天使のような母と、強い父のもとに。

 

 

 

醜い豚の子として。

 

 

 

 

 

私は正義を通した。

 

 

 

 

 

村人が倒れていれば口で咥えて近くの街に運び。

 

 

 

 

 

水の無い街にはバケツを首にぶら下げて街へ持っていった。

 

 

 

 

 

だが醜い、汚いなどと言って追い出された街もあった。

 

 

 

 

 

それでも一部の人々から愛されていた。

 

 

 

 

 

私はそれだけで十分だった。

 

 

 

 

 

やがて15年が経った。

 

 

 

 

季節は冬だ。

 

 

 

 

 

私は老いていた。

 

 

 

 

 

瞳がくすむ。

 

 

 

 

 

だが死ぬのも悔いはない。

 

 

 

 

 

・・・でもできれば、死後も善を尽くしたい・・・

 

 

 

 

 

森の木の葉の最後の葉っぱが一枚、ひらひらと地面に落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこは赤い世界だ。

 

私は死んだのだ。

 

行った先は地の果て。

 

天に昇らなかったのだ。

 

私は泣きそうになった。

 

 

 

(待ちなさい・・・)

 

 

 

声が聞こえる。

 

天の声らしい。

 

地の果てまで響く壮大な天の声。豚は耳を傾けた。

 

(おぬしは悪いから地の果てに行ったのではない。「天の指令」を受け取ったのだ。)

 

「・・・天の・・・指令ですか?」

 

(そうだ・・・おぬしには鬼という地位の配属を許可した・・・

なぜなら、おぬしは死ぬ際までも善を尽くしたいと懇願したからだ。

 

これはおぬしにとっての「大きな宝」であろう・・・)

 

「・・・ありがたく、もらわせていただきます。」

 

(よろしく頼むぞ・・・)

 

それが天の声の最後の言葉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから165年もの間、私はとある村に富と災いを与えつづけた。

 

それはとても幸せであった。

 

人々の笑顔をずっと観ていたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

166年目。

 

私はいつものように仕事をしていた。

 

だが、何者かの炎の玉によって、溶岩に突き落とされた。

 

長い長い間溶岩の近くで体がなれていたため、何も無かったのだが・・・

 

 

 

地位を奪われた。

 

 

 

炎の悪魔は言う。

 

「神聖な者とは・・・美しく、それでいて力のあるものがなるにふさわしいのだ。

お前のような弱く、醜い者には決してむきはせんのだよ・・・」

 

悪魔は高らかに笑う。

 

 

 

 

 

 

「あいつの裁きは非常に卑劣で、強欲なものであった。

貢物はむさぼるが富は決して与えない。ただ貢物を忘れると災いを与える。

最悪な「裁き」なのだ・・・」

 

「そいつはいったい、どんな奴なのですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「炎の悪魔・・・その名をブレイズと言う・・・」


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