Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
ムフェックリーはその後も一人、研究に明け暮れていた。
研究を進めてくうちに、いろいろなことが分かったのだ。
宇宙人は水を嫌うこと、宇宙人は資源を別の空間に運んでいくこと。
遺跡の絵画にそっくりな炎の粉が雪国で発見されたこと。
その炎の粉と水晶を練り合わせることで、特有の光をもつ物質になること。
沢山の人からの証言を元に、宇宙人の出現場所を記していた。
「こ、これは・・・!」
宇宙人の出現場所が、砂嵐の中のあの村に日に日に近づいてきている。
―――住人達が危ない・・・!
科学者はどうするか考えた。
屁理屈ばかりを述べる科学者に頼んでも意味はない。
・・・強硬手段だ。
ムフェックリー博士は村人を先の見えない岩盤付近に住まわせた。
「だからって!お前はやりすぎだ!」
「分かってる!」
科学者は叫ぶ。
「分かっているんだ・・・私は嫌われている・・・嫌われ者なんだ・・・でも・・・」
「たとえ嫌われても!自分の恩人達を死なせたくはないんだ!」
「住人達には今日・・・話してみるさ・・・いつかいつかと待っていたら時が過ぎてしまった・・・」
ムフェックリー博士は地下へ降りていった。
「はあ・・・これだからまじめな奴は・・・」
「・・・」
ライモンは皮肉を言ったが、少年はただ黙っていた。
科学者は淡々と話していた。
宇宙人のことを。
信じてもらえない宇宙人の話を。
今話は終わった。
皆は沈黙していた。
途端に、一人の男性が笑い出した。
「ハハハハハハハハハ!!!」
やはり信じてもらえなかったのだ・・・
「宇宙人がなんだ!」
科学者は驚き、顔を上げる。
「そうだよ!あんた。宇宙人なんて来たところでなんだい!
ただ小麦を荒らしにきた豚を追い払うもんじゃないか!」
「全くだな!」
「ぼく強いんだかんな!」
「宇宙人?俺の汗がしみこんで作られたソードで一発だ!てやんでい!」
「戦おう!共に!」
「ハハハハハ!」
皆は笑った。
科学者とは違う、優しい笑い方だった。
科学者は泣いた。
信じてくれるものがいたのだ。
砂嵐が通る。
その過ぎた後には無数の芽が生えた。
重い砂を掻き分けて育ったその芽は・・・
とても、強かった。
砂嵐の男と、無数の芽の住人達である。
鉄のドアの前の少年と狼は言う。
「よかったね!」
「ふぅ・・・まぁな!」
ここは地上。
村人は防具とソードをもっている。
ある村人は赤い粉をばら撒いている。
ムフェックリー博士は戦うことにしたのだ。
「俺はこの人たちと一緒に戦い続けるよ。」
「がんばれよ!」
「・・・ああ!」
少年と狼はその砂漠を後にした。