スーパーヒーロー作戦CS   作:ライフォギア

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第47話 2つの最強

 パワースポットへ到着したジャークムーンは笑い、吠える。

 

 

「着いたぞォォォッ!!」

 

 

 パワースポットの強烈な魔力を使えばジャークムーンはさらに強力な力を得られるだろう。

 Dr.ウォームが今まで手出しをしなかったのは、その危険性を考慮したため。

 パワースポットの魔力は強大だが、強大『過ぎる』のだ。

 とても制御できるものではなく、それはサンダーキーの比ではない。

 ウォームが差し出したサンダーキーに警戒の色を示したジャークムーンも、普通ならパワースポットに手を出そうとは思わない。

 だが、何故だかジャークムーンは自分を止められなかった。

 心の内から湧き出てくる野心が、欲望が、まるで止められない。

 

 今のジャークムーンは、『何か』がおかしかった。

 

 

 

 

 

 城はパワースポットの真上で停止し、リュウガンオー達も城を前にして停止。

 さらに上空からロケットモジュールで飛んできたフォーゼが合流する。

 加えて、メタロイドとの戦闘から駆け付けたマシンディケイダーに続いて黒い車がやって来た。

 マシンディケイダーには当然ディケイドが、黒い車の運転手は翼のマネージャー兼二課エージェントの慎次で、後部座席には響と翼が乗っている。

 響と翼は車から降り、すぐさま聖詠を歌ってシンフォギアを纏った。

 現状、ゴーバスターズ以外の全戦力が集結した事になる。

 

 

「はぇ~……こらまたでっかいですね」

 

 

 城を直接見るのは初めてな響があまりにも巨大な城を見て驚きを通り越して呆然とするような声を上げた。

 翼の目は鋭く城を睨み付け、ディケイドも旅の中で何度か目にしてきた巨大な敵を思い返しながら城を見やる。

 

 自分から来たから誘導とは言い難いが、ともかくパワースポットまでは連れてこられた。

 後は城を落とすだけなのだが、それが一番の難題。

 リュウガンオーはファイナルキーを取り出しつつ、全員に向けて作戦を伝えた。

 

 

「やるだけやる。全員で攻撃だ!」

 

 

 それは作戦というにはあまりにも杜撰かつ、直球過ぎるもの。

 だが、あれを撃墜するには真正面からぶっ潰すほか方法が無いのも確かだ。

 全員がそれに賛同し、城を睨む。

 その一撃で壊せなければこちらの負けがほぼ確定する、仕損じられない一撃だ。

 

 

 ――――そんな緊張感の漂う中、彼は戻ってきた。

 

 

 城に集中する戦士達の背後を跳び越え、1人の青い戦士が彼等の前に着地する。

 突然の事に驚く戦士達を余所に、その青い戦士は、自らの剣を構えながら宣言した。

 

 

「リュウケンドー、ライジン!」

 

 

 そして、ほんの少しばつが悪そうに。

 

 

「……なんちて」

 

 

 冗談めかす彼だが、その声は紛う事無く剣二のもの。

 そしてその姿は、魔弾剣士リュウケンドー、その人だった。

 S.H.O.T隊員である銃四郎は前線メンバーの中で唯一、剣二が病院を抜け出した事を知っている。

 そんな彼が目の前に現れた事に、誰よりも早く反応したのもまた、彼だった。

 

 

「剣二! お前……」

 

「……俺が、魔弾斬りで城に裂け目を作る。そこを攻撃してくれ」

 

「藪から棒だな。お前が考えたのか?」

 

 

 リュウケンドーはちょっと申し訳なさそうにゲキリュウケンを前に出した。

 

 

「いや、ゲキリュウケンが……」

 

「承知した」

 

 

 ゲキリュウケンが、と言った後の怒気が含まれた返答。

 まるで剣二の提案なら断っていたが、ゲキリュウケンの提案ならいいと言われたかのような物言いに流石のリュウケンドーも「げっ」と声を上げてしまう。

 

 

「やっぱ信用無くしてるかぁ……」

 

『当たり前だ』

 

 

 想像はしていたが少し堪えるところな上、相棒も恨み節に近い言葉をぶつけてきた。

 そんなリュウケンドーの肩にWの左手が置かれる。

 

 

「ま、汚名返上と行こうぜ、剣二」

 

「……あ。もしかして、アンタさっきの?」

 

「ああ。帰ってきたところで、もう一度聞くぜ」

 

 

 神社でのやり取りの際にぶつけられた翔太郎からの問いかけが、再び放たれた。

 

 

「お前、あけぼの町は好きか?」

 

 

 再びその問いを投げかけられたリュウケンドーは、剣二は、この町にやって来てからの事を思い返し始める。

 

 肉屋の猪俣さんがやってる名物『魔物コロッケ』は美味かった。あと一味足りないけど。

 律子と市子という先輩刑事2人には色々教えてもらった。時々彼女達が近くにいるせいで変身できないけど。

 あけぼの町のマドンナ、かおりさんには一目惚れした。全然気づいてくれないけど。

 上司である署長、刑事課長、交通課長とも出会った。ぶっちゃけポンコツ過ぎてあんまりいい印象は無いけど。

 S.H.O.Tのみんなにも世話になってる。天地司令は間が抜けてて、鈴はおっかなくて、瀬戸山さんは頼りないけど。

 そして同じ不動さんには先輩魔弾戦士としても先輩刑事としても頼っている。おっさんだけど。

 

 色々思い返した結果、剣二の結論はこうだった。

 

 

「……いや、微妙かも」

 

「オイ!?」

 

 

 翔太郎のツッコミと同時にその場の誰もがリアクションを示した。

 ある者はずっこけたり、ある者は片方の肩をガクッと落としたり。

 この流れなら「好きだ」とか、そういうんじゃないのかと。

 

 

「でも」

 

 

 だが、リュウケンドーはそこに続けた。

 

 

「守りたいって、大切な場所だって思ったのは間違いねぇ。だから、俺は戦うんだ」

 

 

 強い決意を感じる言葉に、翔太郎は苦笑いながら再びリュウケンドーの肩に手を置いた。

 

 

「お前……。それが、『町が好き』って事なんだよ」

 

「そうなのか?」

 

 

 キョトンとするリュウケンドーに、「そうなんだ」と呆れながらWは返した。

 そんなリュウケンドーに今度はフォーゼが声をかける。

 

 

「お坊さんみたいな人が言ってたぜ、リュウケンドーを待ってるって。あけぼの町みんながアンタの事を信用して、待ってたんだ!」

 

「俺の事を……?」

 

「おう、『アンタを信じ抜くんだ』って、熱い言葉を貰ったぜ! 俺、ちょっと感動しちまった」

 

 

 リュウケンドーの仮面の中で剣二の頬が少し緩んだ。

 自分がどれだけ馬鹿な事で変身できないでいたか、あけぼの町の人達は知らない。

 けれど、こんな非常事態に出てこれなかったリュウケンドーをあけぼの町の人達は信じ続けてくれたという。

 こんなに嬉しく、ありがたい事は無かった。

 

 

「じゃあ、みんなの期待に答えねぇとな……!」

 

「おう! 俺も協力するぜ、剣二さんッ!」

 

 

 2人は仮面越しに笑い、固く手を握り合った。

 そうしてフォーゼこと弦太朗オリジナルの友情の印を交わす。

 突然の不思議な握手に一瞬戸惑うリュウケンドーだが、すぐに受け入れてフォーゼと友情を紡いだ。

 表情は見えなくとも笑いあう2人が分かるのは、感情が出やすい2人だからだろうか。

 

 朗らか且つちょっと熱い空気も余所に、城は未だに健在なのだからそろそろ話してもいられない。

 と、何処からかエンジン音が聞こえてきた。

 それも通常の車とかバイクの比ではない程の轟音が。

 

 

「来たか」

 

 

 その音をする方向をWが向けば、巨大な、それでいて奇妙なデザインをした大型車が走り込んできた。

 大型車と言ってもトラック等の比ではなく、その大きさは重機などに近い。

 これがWのメカニックの1つ、リボルギャリーだ。

 リボルギャリーはボディ部分を展開すると、車体後部にあるリボルバーが露わになった。

 リボルバーにはシリンダーが3つあり、1つには赤いユニット、1つには黄色いユニットが入っており、最後の1つは空きの状態で、空きのシリンダーが一番下に来ている。

 Wはハードボイルダーに乗り、それをリボルギャリーの展開したボディ部分に乗せた。

 そのままバックして空きのシリンダー部分にハードボイルダーの後部を押し込む。

 するとハードボイルダーの前部と後部が分離し、前部を残してリボルバーが回転、今度は赤いユニットのシリンダーが一番下に来た。

 そしてその赤いユニットと先程分離した前部を合体させ、ハードボイルダーは別の姿へと変わる。

 前部は黒い車体のまま変わらないが、後部は緑から赤へと換装された。

 それにただ赤いだけではなく、形も全く違い、折り畳まれていた翼が展開している。

 これは『ハードタービュラー』と呼ばれる形態で、見た目通り、空を飛ぶための姿だ。

 

 

「剣二1人じゃキツイだろ? 俺も行くぜ」

 

 

 魔弾斬りだけでは厳しいだろうと、Wは共に城まで切り込みに行くつもりでいた。

 このハードタービュラーなら城までひとっ飛びで行ける。

 さらにその提案には発案者であるゲキリュウケンも同意した。

 

 

『確かに、戦力がこれだけいる事だ。切り込み役が1人以上いてもいいだろう』

 

 

 城に裂け目を作るという事は、城へ傷をつけられる有効打を与えなければいけないという事だ。

 だったらむしろ、数は多い方がいい。

 それを聞きつけたディケイドはハードタービュラーの左翼に断りも入れずに乗った。

 

 

「なら、俺も行ってやる」

 

「へっ。いつかを思い出すな、士」

 

 

 ハードタービュラーの翼にディケイドを乗せるのはこれで二度目だ、とWの左側は少し回想する。

 そんな回想の間に、今度は右翼に人が乗った。風鳴翼だ。

 

 

「切り込み役なら、私も」

 

「おう。……って翼ちゃんか!」

 

 

 酷く驚いた様子の翔太郎に翼は首を傾げるが、Wの右側ことフィリップがWの右目を光らせながら答えた。

 

 

『翔太郎はツヴァイウイング時代から君のファンでね。嬉しいのさ』

 

「それは……。ありがとうございます」

 

「その話は後でな」

 

 

 翔太郎はあくまでクールに返すが、内心「あとでサイン貰おう」とか結構ハーフボイルドな事を考えていた。

 さて、そうなると射撃組は自ずとリュウガンオーとフォーゼになるのだが、ただ1人、響が残されている。

 彼女は武器を持たず、遠距離攻撃も持たないのだが。

 

 

「うぅ……。もしかして私、何もできない感じですか?」

 

「あー、悪ィな。ハードタービュラーも定員オーバーだ」

 

 

 Wの答えにガックリと肩を落とす響。

 見ての通り、ハードタービュラーは操縦者と両翼に1人ずつ。というか翼に乗る事は本来想定されていないのだが。

 そんなわけで響は今回お留守番が決定し、落ち込む響を慎次が慰めるという光景が見られた。

 

 

「アームドギアが欲しい……」

 

「焦らないで。これからですよ、響さん」

 

 

 そんな戦場には似つかわしくない馬鹿みたいなやり取りが続く中、ディケイドがいい加減に呆れて苦言を呈する。

 

 

「早く行くぞ」

 

「っと、分かってるよ」

 

 

 急かされたWはハードタービュラーを発進させた。

 ハードタービュラーの前部のタイヤが横に回転して完全に浮き上がる体勢を整えた後、リボルギャリーから浮き上がって城へ向かって飛んでいく。

 続いてリュウケンドーも獣王ブレイブレオンを呼び出し、レオントライクへと変形。

 それに跨って大きく助走をつけて大ジャンプ。さらにブレイブレオンを足場にして大きく跳び上がって飛距離を稼いだ。

 

 城まで接近した4人の戦士達は各々の必殺技を放つ。

 

 Wはルナメタルへと変身し、メタルシャフトにメタルメモリを差し込んだ。

 

 

 ――――LUNA! METAL!――――

 

 ――――METAL! MAXIMUM DRIVE!――――

 

 

 ハードタービュラーをその場にホバリングさせつつ、Wは立ち上がってメタルシャフトを振るう。

 鞭のように撓るメタルシャフトが金色の輪を幾つか描き出し、それらが1つ1つ実体化していく。

 さらに、既にハードタービュラーから飛び出した翼は剣を肥大化させ、構えていた。

 Wはメタルシャフトで作り出した金色の輪を飛ばし、翼はそれに合わせて剣から斬撃の衝撃波を飛ばす。

 

 

「「『メタルイリュージョン!』」」

 

「ハアッ!!」

 

 ――――蒼ノ一閃――――

 

 

 右と左が息を合わせて叫んだ技の名、メタルイリュージョンは複数の金色の輪で敵を切り裂き、蒼ノ一閃もまた、剣から放つ衝撃波で敵を切り裂く技だ。

 金色の輪と蒼い斬撃が城へ直撃した直後、残る2人がそれぞれに剣を構えた。

 ハードタービュラーから跳び上がったディケイドがライドブッカーを。

 ブレイブレオンから跳び上がったリュウケンドーがゲキリュウケンを。

 

 

「ファイナルキー、発動!」

 

 ――――ファイナルブレイク――――

 

 ――――FINAL ATTACK RIDE……DE・DE・DE・DECADE!――――

 

 

 ゲキリュウケンに力が籠められ、ディケイドの前には10枚のカードが連なる。

 リュウケンドーはゲキリュウケンを城へ向かって振りかぶり、ディケイドは10枚のカードを潜り抜けながら城へ剣を切り込ませた。

 

 

「ゲキリュウケン、魔弾斬りッ!!」

 

「ハアァァァァッ!!」

 

 

 深く入った2本の剣が重力も味方につけて城に縦の傷をつけていく。

 そのまま落下していく2人だが、ディケイドは既に翼を回収したハードタービュラーが、リュウケンドーはブレイブレオンが受け止め、近くの地上に降ろした。

 

 一方で射撃組であるリュウガンオーとフォーゼも、彼等が切り込むくらいのタイミングで射撃の準備にかかっていた。

 フォーゼは折り畳み式の携帯、『NSマグフォン』を取り出し、それを開いて左右を両手で持った。

 

 

「割って、挿す!」

 

 

 フォーゼの中では恒例化している言葉で、フォーゼは携帯を半分に割って、それを予め空にしておいた丸型ソケットと四角型ソケット、つまり左右端のソケットに差し込んだ。

 

 

 ――――N MAGNET!――――

 

 ――――S MAGNET!――――

 

 

 丸型ソケット、右腕側には『30番』こと『Nマグネットスイッチ』が、四角型ソケット、左腕側には『31番』こと『Sマグネットスイッチ』が装填された。

 それらは携帯部分の半分がスイッチから飛び出ている為、通常のスイッチよりも大きな見た目をしており、フォーゼドライバーに装填した時の姿はまるで何かを操作するレバーのようになっている。

 そしてフォーゼはNとSのスイッチを少しだけ時間差で起動させた。

 

 

 ――――N S MAGNET ON――――

 

 

 2つのスイッチの音声が上手く重なり、右腕と左腕を通してフォーゼの体全体、特に上半身に変化をもたらしていく。

 身体は全体的には銀色に、右には赤いラインが、左には青いラインが走っている。

 さらに一番変化の激しい上半身は、マスクが黒くなり、大型の装甲が取り付けられ、両腕には磁石の棒のような手甲に、極めつけは両肩にレールガンが装備された。

 この姿は磁力の力を得た『マグネットステイツ』。

 首元も動き辛そうな見た目と上半身の大きな装甲の見た目通り、これは非常に動き辛く、パワーが高い形態だ。

 両肩のレールガンも非常に強力で、それがメインウェポンな都合上、砲台のような運用が主となる。

 

 

「行くぞ、弦太郎!」

 

「ウッス!」

 

 

 リュウガンオーはファイナルキーをゴウリュウガンに差し込み、フォーゼはNマグネットスイッチのレバー部分にあるカバーを上げて、その下に隠されていたボタンを押した。

 マグネットステイツのリミットブレイクはNマグネットスイッチを使って発動するのだ。

 

 

 ――――ファイナルブレイク――――

 

 ――――LIMIT BREAK!――――

 

 

 リュウガンオーを通してゴウリュウガンに強力なエネルギーが籠められていく。

 フォーゼからはレールガンが分離し、U字磁石のようにレールガンが合体してフォーゼの前で浮遊した。

 

 

「ドラゴンキャノン、発射ァッ!!」

 

「『ライダー超電磁ボンバー』ァァァッ!!」

 

 

 ゴウリュウガンから放たれた龍の弾丸と、磁力エネルギーを強烈に乗せたエネルギー弾が合体したレールガンから放たれる。

 2つの必殺の一撃はどちらか片方でも怪人を一撃で仕留める事の出来る程のものだ。

 その2つが、僅かとはいえ亀裂の入った城へと直撃した。

 

 大きな爆発が起こって亀裂がさらに広がり、城はみるみると崩壊を始める。

 

 

 ――――と、誰もが思っていた。

 

 

 大きな爆発まではした。が、亀裂は広がるどころか縮小し、爆発も城に吸い込まれるかのようにみるみる小さくなっていく。

 そして今までの、全てが必殺級の一撃による連撃が無かった事のように、城は先程までと全く同じ様相で平然と宙に浮き続けた。

 

 

「これだけして、まだ……!?」

 

 

 翼の言葉はこの場の誰もの総意だろう。

 メガゾードですら耐えられるか怪しい程の連撃で落ちるどころか傷1つ付かないとは。

 一瞬でも亀裂が入ったのは確かだが、それすらも再生してしまう。

 この城を落とすには再生すら許さぬ深い一撃を、文字通り一撃で決めないといけないのか。

 どれ程強力な一撃を放てばいいのかと戸惑う戦士達。

 そんな彼等の前に、城の上部から顔を出す1人の異形の影。

 この城の主、ジャークムーン。彼が月蝕剣を携えて外へと出てきたのだ。

 

 

「どうした? お前達のへなちょこ武器では、この城に傷1つつかんぞ?」

 

 

 挑発するジャークムーンはリュウケンドーを見下した。

 

 

「俺がくれてやったサンダーキーはどうした?」

 

 

 サンダーキー。

 リュウケンドーが一度は倒れる事になってしまった原因である代物。

 ジャークムーンの言葉の裏には「どうせ使いこなせもしないだろうが」という嘲笑が混じっている。

 再び挑発をする事でサンダーキーを使わせ、リュウケンドーを地に伏せさせるつもりなのだ。

 そんなジャークムーンの思惑を知ってか知らずか、リュウケンドーはS.H.O.T基地の瀬戸山にサンダーキーの現状を尋ねる。

 

 

「瀬戸山さん!」

 

『……調整は、ほぼ完了していますが』

 

「なら、サンダーキー送ってくれ!」

 

 

 瀬戸山がS.H.O.T内にある魔法発動機の上に置いたサンダーキーを見つめながら呟く。

 と、そんなリュウケンドーの言葉に鈴が食って掛かる。

 

 

『ちょっと待ちなさいよ! まだファイヤーモードだって……』

 

「いいから! ……多分、それじゃ足りねぇんだ」

 

 

 鈴の言葉を食い気味に否定しつつ、城を悔しそうに見上げるリュウケンドー。

 今の魔弾斬りでリュウケンドーは理解した。

 恐らく、ファイヤーリュウケンドーの『火炎斬り』でも、アクアリュウケンドーの氷結斬りでも無理であり、三位一体で放ったところで効くかどうかは怪しいだろうと。

 自分が放てる必殺の威力は自分が一番よく知っている。

 だからこそ、リュウケンドーは自分の今の力では絶対に城を落とす事は出来ないと確信したのだ。

 ゲキリュウケンもそれを感じたのか、サンダーキーを使おうとするリュウケンドーを止める事はしない。

 

 

『送ってやれ』

 

 

 そしてそれを察したのか、司令である天地もリュウケンドーの言葉に賛成の反応だ。

 

 

『魔弾斬りやドラゴンキャノン、仮面ライダーとシンフォギア装者の攻撃も効かない相手だ』

 

 

 司令の言葉と前線に立つ者の言葉。

 この2つが同意見となれば、余程の事が無い限りオペレーターは従う以外に選択肢はない。

 魔的波動を探知する事も仕事である瀬戸山も、ジャークムーンの城を探知した時はその魔力の大きさにかなり驚いた。

 故に、サンダーキーレベルの力が必要になるかもしれないとは思ってはいたのだが。

 本当に大丈夫だろうか、という不安と共に溜息をつきながら瀬戸山は杖を持って呪文を唱え始める。

 そして一通りの詠唱を終えた後、サンダーキーに杖を向けた。

 

 

『サンダーキー……送信!』

 

 

 魔法発動機からはある程度の物が魔法によって転送する事ができる。

 ただし、エネトロンによる転送程効率は良くないし、その為には瀬戸山が必要という事もあって利便性は劣る。

 しかし魔法発動機自体はS.H.O.Tに必要不可欠な代物であるが故に、「どうせなら」という事で多少見劣りしても転送機能はあった方が便利なのだろう。

 

 サンダーキーは無事、リュウケンドーの手の内に転送された。

 握った拳を開いて手の中にある黄色の鍵を見つめる。

 ジャークムーンから与えられた時とはやや違うデザインになっている事が調整の済んでいる証拠だ。

 

 

「来たな、新製品……!」

 

 

 期待。同時に不安が、サンダーキーを見て湧いてきた。

 これには嫌な思い出がある。自分が二度と立ち上がれない瀬戸際まで追い込まれた原因。

 だが、以前にジャークムーンが言ったようにこれを使わなければ倒せない。

 リュウケンドーは意を決してゲキリュウケンを展開した。

 

 

「行くぜ、ゲキリュウケン!」

 

『ああ。調整されているとはいえサンダーキーは強烈だ。二度も眠らせてくれるなよ』

 

「任せとけ!」

 

 

 力強い返事と共に、リュウケンドーはサンダーキーをゲキリュウケンに差し込む。

 後は鍵穴を閉じて発動するだけで、サンダーキーの力は解放される。

 

 瀬戸山さんが調整したキーは何時だって無事に発動していた。

 鈴はサンダーキーを使おうとする自分を心配するような言葉をかけてくれた。

 天地司令はサンダーキーの使用を許して、俺を信じてくれた。

 誰もリュウケンドーを止めはしない。それは、誰もがサンダーキーの力が必要だと思っているからだろう。

 そして何より

 

 

「サンダーキー、発動!」

 

 

 今のリュウケンドーを信じているから。

 

 

「ぐっ、ああッ!」

 

 

 身体中に電流のような衝撃が走り、ゲキリュウケンも声は上げずとも電気に耐えていた。

 調整されているだけあって直ちにボロボロになるような威力ではない。

 それでもやはり、サンダーキーの力は強烈だった。

 

 

 

 

 

 

 

「剣二……」

 

 

 先の攻撃で切り込み組が城の近くの地上に降りた為、射撃組と切り込み組は大分離れた位置にいる。

 その為、リュウガンオーはリュウケンドーが今、どんな状態なのかを視認する事は出来ない。

 しかし通信機越しでもリュウケンドーが必死にサンダーキーを使いこなそうとしているのがリュウガンオーにも伝わっている。

 心配そうに声を出すリュウガンオーだが、そんな彼にフォーゼが明るく声をかけた。

 

 

「大丈夫ッスよ」

 

「弦太朗……」

 

「電気の力ってのはクセがある。でも、曲がったトコまで受け入れてやりゃあ、きっと力になる!」

 

 

 かつては自分もエレキスイッチの扱いに苦労したものだとフォーゼは回想する。

 最初に使った時は攻撃の度に電気が逆流して、むしろフォーゼの方が痺れてしまっていた。

 だが、そんなクセがあるところ、曲がったところも纏めて受け入れて『ダチ』になる。

 その思いがエレキスイッチを完全に使いこなす事に繋がった。

 

 

「つっても、あの鍵にそれが通用するかは分かんねぇ。でも……」

 

 

 フォーゼの友情理論がサンダーキーに道理として通るのかは言った当人にも分からない。

 けど、1つ言える事はフォーゼがリュウケンドーを信じているという事だ。

 フォーゼはリュウケンドーとは浅いどころか話もまだ碌にしていない程の付き合いだ。

 だが、御前様から聞いた言葉がフォーゼの中に残っていた。

 あんな風に町から信頼されている人が、頼りにならないわけがないと。

 そしてその思いはリュウケンドーと共に戦ってきたリュウガンオーも同じ。

 フォーゼが最後まで言わずとも、リュウガンオーは言葉に頷いた。

 

 

「ああ。……頼むぜ、剣二!」

 

 

 青すぎる。未熟。正直すぎ。馬鹿。

 考えれば考える程、リュウケンドーの欠点は挙げられる。

 けれど、それは裏を返せばそれだけ鳴神剣二という人間を知っているという事だ。

 リュウガンオーだってたかが数ヶ月の付き合いだ。だが、その数ヶ月で少しは分かる事もある。

 それはリュウケンドーが、間違いなくヒーローであるという事。

 そしてそんなリュウケンドーは信じるに値するという事。

 

 

 

 

 

 雷に耐えるリュウケンドーを嗤うジャークムーン。

 本当にやった愚か者。魔物ならまだしも、ただの人間が耐えられるはずがないと、ジャークムーンは嘲笑する。

 

 

「おお、大丈夫か?」

 

 

 おちょくるような言葉にも動じずにリュウケンドーは平静を保つ。

 そして城の上を鋭く睨みながら、リュウケンドーは吼えた。

 

 

「俺は自分の為に、自分の中にある『守りたい』って思いで戦うッ!

 お前1人に乱されるほど、俺はもう弱かねぇッ!!」

 

 

 ゲキリュウケンを掲げて走る雷を制御する。

 今ならできる。そして、やらなくてはならないのだ。

 以前の、ジャークムーンに煽られて勝利を焦ったリュウケンドーではない。

 今の彼は守る為に、確かな覚悟で稲妻をその身に受け入れた。

 

 

 ――――チェンジ、サンダーリュウケンドー――――

 

「雷、電……武装ッ!!」

 

 

 ゲキリュウケンのコールが、サンダーキーを律した事を示す。

 リュウケンドーの宣言が、サンダーキーを制御した事を示す。

 雷による強い光が一瞬輝いたかと思えば、リュウケンドーはサンダーキーの力を身に纏い、尚且つしっかりとその場に立っていた。

 黄色く鋭い意匠の追加武装を纏った新たな姿の魔弾剣士を見て、翼は思わず呟く。

 

 

「稲妻を鎧う、魔を断つ剣士……ッ!」

 

 

 そしてそれに応えるかのように、黄色いリュウケンドーは名乗りを上げた。

 

 

「『サンダーリュウケンドー』! ライジン!!」

 

 

 堂々と名乗りを上げたサンダーリュウケンドーを見てWが、翼が、ディケイドが口角を上げる。

 通信機越しに聞いていたリュウガンオーやフォーゼ、響も思わずガッツポーズだ。

 

 一方でジャークムーンは警戒心を現しに、月蝕剣を構える。

 どんな魔物ですら使いこなせないとされたサンダーキーの力を纏うリュウケンドー。

 いくら調整されているとはいえ、その膨大な力を身に纏えるとは。

 

 

「サンダーキーを使いこなすのか……」

 

 

 目の前には、ジャマンガですら扱えないとされた禁断の力を振るう魔弾戦士がいる。

 サンダーキーを使えば少しは面白くなるだろうと考えていたジャークムーンだが、一度は失敗した者が調整ありきとはいえ成功させた事には驚きを隠せない。

 

 

「……何が変わった?」

 

 

 そこまでの技量は無かった。

 そこまでの力量は無かった。

 だとすれば、何が違うのか。

 

 

「弱い者虐めは……許さねぇッ!!」

 

 ――――ファイナルブレイク――――

 

 

 ファイナルキーを発動させるサンダーリュウケンドー。

 その中で発した言葉は、ジャークムーンの問いかけに対しての答えとして不適切であろう。

 だが、今の言葉でジャークムーンは自力で答えに達する事ができた。

 リュウケンドーが、以前とはまるで違うもの。

 

 

(そんな、『決意』如き……ッ!)

 

 

 ジャークムーンには理解のできない『決意』。

 決意を振るうサンダーリュウケンドーが、稲妻が地面から上空に向けて『落ちた』かのように、一瞬にして跳び上がる。

 通常のジャンプでは届かなかっただろうが、サンダーキーの力で雷の力を得たリュウケンドーなら城の上部までも一瞬だ。

 

 サンダーリュウケンドーは、雷の剣に『決意』を乗せて。

 ジャークムーンは、円を描く一太刀に『野心』を乗せて。

 

 2人の剣が、振るわれた。

 

 

「ゲキリュウケン、『雷鳴斬り』ッ!!」

 

「『満月の太刀』ッ!!」

 

 

 片や、リュウケンドー最強の一撃。

 片や、ジャークムーン最強の一撃。

 持てる力の全てを剣に込めて放たれた2つの斬撃は一方は雷の龍に、もう一方は満月の波動となりて空中にて激突する。

 雷の龍はゲキリュウケンと、満月の波動は月蝕剣と未だ繋がっており、両者ともに使い手が一瞬でも気を抜けば押し返される。そんな状態である。

 だがその決着は、誰もが予想していなかったほどに一瞬だった。

 

 

「まさか……ッ!?」

 

 

 たじろいだのはジャークムーン。

 サンダーキーの力は自分自身が『使えない』と恐れていたもの。

 調整をされて元よりも威力が落ちているはずのサンダーキーと、それを扱うリュウケンドーの力は、彼の想像を遥かに凌駕するものであった。

 今までの一撃だったら満月の太刀を用いれば簡単に叩き伏せられたであろうに、今度はこちらが叩き伏せられそうなほどの威力が剣を通して伝わってくる。

 

 

「これほど、だと……ッ!」

 

「いいや、こんなもんじゃねえ!」

 

 

 サンダーリュウケンドーはゲキリュウケンを通して、雷鳴斬りに自分の全身全霊を送る。

 この力はただのサンダーキーの力ではない。

 リュウケンドーとしての自分。共に戦うゲキリュウケンの力。

 そして何よりも、自分を信じてくれた者達の為に振るわれる、その為に振り絞れる力。

 

 

「俺とゲキリュウケンと、みんなの力がァァァッ!!」

 

 

 雷のように叫びが轟き、雷鳴斬りはより一層に力を増す。

 満月の太刀は、ジャークムーンを完全に押していた。だけどサンダーリュウケンドーは決して油断しない。

 ジャークムーンを倒す事が今の目的ではない。その先を、城を落とさなければいけないから。

 ライバルと思っていた剣士を超えた優越感などに浸っている暇はない。

 まだいける。以前の自分を帳消しにするような、みんなを守りきれる、力を――――!

 

 

「いっ、けぇぇぇぇッ!!」

 

 

 雷の龍は満月を飲み込み、その先にいるジャークムーンを飲み込み、さらにそれでも勢いを止める事無く、今度は城に食らいついた。

 だが、それでも戦士達の一斉攻撃で落ちなかった城。そう簡単にはいかない。

 だけどそれが何だ? それで怯んでいては、此処に立った、みんなを守りたいという決意に嘘をついてしまう。

 サンダーリュウケンドーは雷鳴斬りにさらに力を籠める。全身全霊以上の、決意も闘志も全てを籠めて。

 膨大な魔力と雷の力からなるサンダーリュウケンドーの一太刀は以前の比ではない威力で城に傷を与えた。

 

 

「ゲキリュウケン、ラストスパートだぜッ!!」

 

『ああ。叩き斬れッ!』

 

 

 城へ突き立てられた雷の一撃が、満月の太刀を砕いた時よりも、ジャークムーンを飲み込んだ時よりも、さらに凶暴な唸りを上げる。

 この力が制御できずに焼かれたリュウケンドーだが、今は違う。力を使いこなしたサンダーリュウケンドーなのだから。

 

 

「とっとと、ぶっ壊れろォッ!!」

 

 

 ゲキリュウケンを横に振るう。すると城へ噛みついていた雷鳴斬りはその動きに従い、横一文字に、城を貫通してすっ飛んでいく。

 城は横へ真っ二つに裂かれ、上半分と下半分に分かれて破片と共に崩れた。

 

 そう、崩れたのだ。

 

 今度は破損を修復していく様子もなく、正真正銘の落城。

 あれだけの攻撃をもってしても崩れなかった城が遂に落ちた事に、戦士達は歓喜の声を。

 

 

 

 ――――まだ、上げるわけにはいかなかった。

 

 

 

「……何か、ヤバくねぇ!?」

 

 

 雷鳴斬りで城を落としたのも束の間、重力落下で地面に降り立ったサンダーリュウケンドーは落ちていく城を見て焦る。

 城は真っ二つに裂かれただけで、それ以外は原型を留めたまま、圧倒的な質量を保有したまま自由落下していく。

 バスターマシン以上の巨体が半分に分かれて上から落ちていくのだ。あけぼの町にどんな被害が出るか。

 ましてや真下はパワースポットだ。このまま落としたのでは被害甚大どころの騒ぎではない。

 

 

『分かっている。瀬戸山ァ!』

 

 

 リュウケンドーの叫びに応え、通信機から天地の声がした。天地は魔法発動機にて待機していた瀬戸山へ叫ぶ。

 普段の瀬戸山なら「人使い荒いんだから」くらいの小言を吐いてから仕事をするだろうが、今はそんな時間すらも惜しい。

 

 杖を魔法発動機に向け、複雑な詠唱を唱え、最後に自分の力を籠める。

 パワースポットの結界を使った一種の巨大転送。

 パワースポットというただでさえ危険な場所を使っての魔法の発動と、あけぼの町の半分以上を覆う結界という、類を見ない程の巨大魔法。

 緊張はある。けれど、瀬戸山に「失敗したらどうしよう」なんて後ろ向きな気持ちは無い。

 

 これを提案したのは瀬戸山だ。これしか最善の方法が見つからなかった時から、瀬戸山は自分の仕事が重大だと覚悟をしていた。

 ちょっと頼りないなんて言われる事もある瀬戸山だが。彼もまた、S.H.O.Tの、世界の為に戦う大人の1人なのだから。

 

 

『これで!』

 

 

 瀬戸山の魔法が発動し、パワースポットのあるビルの屋上を中心として巨大な魔法陣があけぼの町の上空に発生する。

 上から落ちてくる城がその魔法陣へと入ると、城は跡形もなく消えていた。

 別の場所、次元への転送。実質的なこの世界からの消滅。それが今の結界の作用だ。

 落ちていく城は小さな破片まで全てあますことなく結界で受け止められ、最終的には城のほんの一片すら残す事はなかった。

 

 

「……おっ、しゃァァァッ!!」

 

 

 一番に吼えたのはサンダーリュウケンドー。

 続き、フォーゼも喜びに叫び、Wやリュウガンオーも仮面の奥で勝利に笑みを浮かべる。

 城からの攻撃による被害こそあれど、落城に伴う被害はゼロ。

 考えうる限りでの完全勝利だった。

 

 

「みなさん、あれ見てください!」

 

 

 ところが何かに気付いた響が、ある方向を指差した。

 響と一緒にいたフォーゼとリュウガンオー、所謂射撃組は響の指の先を追って、すぐに何の事を示しているのかを理解する。

 切り込み組のリュウケンドー達は、通信機越しの響が何処の事を言っているのか分からず辺りを見渡すが、あまりにも目立つ『それ』を見て、すぐにそれが何の事なのかを理解した。

 

 それは城が落ちても、未だあけぼの町に残り続ける脅威。疑似亜空間。

 そしてそこへ突入しようとしている巨大なロボット。ゴーバスターズの姿だった。

 

 城と同等の脅威。魔弾戦士や仮面ライダー、シンフォギア装者では突入しても動く事もままならないという空間。

 それを打破できるのはこの世に唯一ゴーバスターズだけ。

 頼るしかないのは歯痒い。だが、だからこそ、全力で彼等を信じて応援する事を戦士達は強く心に想う。

 

 

「後は頼むぜ、ゴーバスターズッ!」

 

 

 全員を代表してのリュウケンドーの叫びが、疑似亜空間へと突入する頼もしい後姿へと贈られた。

 

 

 

 

 

 特命部は地下の基地が蟻の巣のように張り巡らされており、バスターマシンが収まるドッグも複数点在している。

 そしてそのドッグの真上には大抵、発進用の開閉口も存在している。

 が、もしもドッグの真上が街中だったらどうするのか?

 答えは簡単だ。その土地を所有し、そこにカモフラージュの為のビルでも建てておけばいい。

 その為、エネルギー管理局はビルを幾つか所有しており、それらの多くは中身の無いハリボテだ。

 あけぼの町近くのとあるビルもそんなビルの1つで、それが真っ二つに割れて左右にスライドしたかと思えば、下からバスターマシンがせり上がっていく。

 バスターマシンの発進シークエンスはいつもそんな感じで、グレートゴーバスターもその例に漏れない。

 

 地上に初めて姿を現してグレートゴーバスターはあけぼの町の方向、つまりは疑似亜空間の方に向き、足の裏にあるキャタピラを走らせた。

 疑似亜空間への初突入。緊張もある中で、ビートバスターがレッドバスターに通信を送る。

 

 

「こいつは通常空間よりも亜空間の方が得意だ。こじ開けて、そのまま突っ込め!」

 

 

 グレートゴーバスターは左手にSJ-05の一部パーツが銃となった『スタッグランチャー』を、右手にはBC-04のクレーンとゴーバスターオーのフェイスパーツとブーストバスターソードが1つになった巨大な槍、『バスターランス』を携えている。

 ビートバスターの進言通り、レッドバスターはスタッグランチャーで疑似亜空間に穴を空けて、槍を構えて全速で内部に突っ込んでいく。

 突入は簡単に成功。同時に、背後の疑似亜空間の穴はすぐに塞がってしまった。

 

 フィーネと共に撤退した後、疑似亜空間内にあるビルの屋上に来ていたエンターは侵入してきたグレートゴーバスターに目を丸くする。

 

 

「まさか……?」

 

 

 有り得ない。と言いたいところだったが、目の前にはご覧の通り、ゴーバスターズの新戦力。

 新しい姿となっていたバスターマシンではあるものの、今までのバスターマシンの面影が見て取れる。

 しかし、如何に対ヴァグラスを想定しているゴーバスターズとはいえ此処まで早く亜空間に対処して見せるとはエンターですら思いもしない出来事だった。

 

 

(ことごとくこちらを邪魔してきますね、ゴーバスターズ……ッ!)

 

 

 此処まで来ると『邪魔者』を通り越して『脅威』というレベルにまで跳ね上がりそうだった。

 邪魔者なら、できる限り無視できる。

 だが脅威となれば、そうもいかない。

 何としてもそれを倒さなければいけない存在。それが『脅威』だ。

 そう考えるくらいの敵であると、エンターはゴーバスターズの評価を改めざるを得なかった。

 

 疑似亜空間の突破はヴァグラスの行動隊長兼参謀とも言えるエンターに危機感を感じさせる。

 だが、対してゴーバスターズもグレートゴーバスターの扱いに苦戦していた。

 

 

「ぐ、あぁぁぁ……ッ!」

 

 

 レッドバスターが苦しんでいるのは、操縦桿を通して機体に何かを吸われていくような感覚。

 精神力、気力、体力。

 とにかく活動の源となるあらゆる要素をごっそりと持って行かれるような。

 

 

「負担って、これか……!!」

 

 

 グレートゴーバスターを組み立てる前にマサトが脅すように言っていたメインパイロットにかかる負担。

 その正体がこれであると、その身を持って感じていた。

 特に疑似亜空間に入ってから酷くなったそれに、操縦桿のニックも心配そうな声をかける。

 

 

「大丈夫か、ヒロム!?」

 

「ああ……! 思ったよりは平気だ。けど、あまりチンタラしてられないッ!」

 

 

 耐えられるレベルではある。が、かかる負担が尋常でない事も事実。

 動けなくなる前にさっさと決めたいというのも本音だ。

 疑似亜空間の中央にいる、タイプβにフィルムロイドの能力が加えられているフィルムゾード。

 そいつに対してグレートゴーバスターを走らせる。

 

 

「ッ!!」

 

 

 動かせば動かすほど負担は増していくが、グレートゴーバスターに槍を振るわせるためには、銃を撃たせるためには動く他ない。

 接近してバスターランスを繰り出せば、ブーストバスターソードを超えた威力にフィルムゾードは仰け反って火花を散らす。

 そしてその度にレッドバスターに強烈に負担がかかっていく。

 だが、休まずにバスターランスでもう一度斬りつけて、怯んだ隙にスタッグランチャーの銃撃を叩きこんだ。

 

 

「くっ……!」

 

 

 休まずに動かした反動がレッドバスターに襲いくる。

 こうなると根性と体力の勝負だ。

 今まで戦いの為に鍛え続けてきたレッドバスターですら今にも倒れてしまいそうな負担。

 ゴーバスターズの3人に対して口には出さずとも期待を持っていたビートバスターも、仮面の中でやや不安そうな表情だ。

 

 

(やっぱ、ぶっつけじゃキツイか……!?)

 

 

 出撃した手前、此処で退く事もできない。退けるような元気があるなら戦う、という話だ。

 メインのレッドバスターがそんな状態なので隙ができるグレートゴーバスターに、フィルムゾードが手足で攻撃を仕掛けていく。

 5体合体しているだけあって装甲も厚いグレートゴーバスターは微動だにしない。

 が、グレートゴーバスターに攻撃が効かなくとも、動けないのでは意味がない。

 幾ら強力なバスターマシンでも扱えなければガラクタ同然。

 メインパイロットを交代しようにも、その為にはいったん外に出る必要がある上、外は疑似亜空間の内部。

 外に出る事が許されない以上、交代もできないわけだ。

 

 そんな時に、それぞれのモーフィンブレスとモーフィンブラスターに通信が入る。

 特命部司令室の仲村だった。

 通信に応答する5人。レッドバスターも何とか通信に出ることができた。

 

 

『皆さん! ジャマンガの城が落ちました!』

 

 

 入って来たのは吉報。別働隊の勝利宣言。

 そのまま続けて、『落ちた城の残骸はS.H.O.Tの瀬戸山がパワースポットを利用して張った結界に全て落ちて、あけぼの町には被害無し』とも続ける。

 その作戦は緊急に打ち立てたものだった故、ゴーバスターズには知らされていなかった作戦だった。

 だが、要するに作戦通りに城を落とす事に成功したという事を理解する。

 さらに言葉を引き継いで、勝利に喜んでいるのか少し声を大きくしながら森下が続けた。

 

 

『城と、城を操っていたと思われるジャークムーンは剣二さんが……。リュウケンドーが倒しました!』

 

「リュウケンドー……!?」

 

 

 息も絶え絶えながらレッドバスターは告げられた名に驚いた。

 その名は、確かまだ病院にいる筈だと記憶している。

 にも拘らず何故そいつが前線に立ち、大戦果を挙げているのか。

 

 

『サンダーキーを使いこなして、リュウケンドーが勝ったんです!

 後は疑似亜空間……つまり、皆さんが勝てば、終わりですッ!!』

 

 

 声援なのだろう。必死に戦うゴーバスターズを見ているからこそ、森下も声を荒げる。

 特命部では仲村は祈るような顔でモニターを見つめ続ける。

 司令である黒木も、冷静を装いながらも普段よりも厳しめの表情が内心は不安な事を、そして応援している事を物語る。

 ゴーバスターズがそれを視認できるわけではない。

 だが、ゴーバスターズは、レッドバスターは身体の奥から力が湧くのを感じていた。

 

 特命部からは声援が送られた。

 今乗っている機体は特命部の努力と、ゴーバスターズへの信頼の結晶なのだ。

 そして、倒れていたはずのリュウケンドーが再び立ち上がった事。

 

 

「なら、俺が……」

 

 

 レッドバスターは操縦桿を全力で握った。

 ボロボロの剣二が立ち上がって見せた。そして勝利を掴んで見せた。

 それなのにこんな負担ぐらいで自分が止まっていてどうする。

 体力が尽きるのなら、根性と精神を燃やすだけ。

 今しがた貰った吉報という名の燃料を爆発させて、レッドバスターはグレートゴーバスターを動かした。

 

 

「弱音を、吐けるかァァァッ!!」

 

 

 フィルムゾードに槍を再び振るうグレートゴーバスター。

 今まで動かなかった敵に不意を突かれたのか、モロにその一撃が入った。

 そしてその隙に、レッドバスターは己の中にある全てを叩きこむ。

 

 

 ――――It’s time for buster!――――

 

 

 モーフィンブレスを操作して、グレートゴーバスターは自分に流れるエネトロンを槍に集約する。

 必殺の一撃の発動と共に、かかる負担はさらに増していく。

 それでも今のレッドバスターはそんな程度では止まらない。

 

 

「『デモリションスラスト』ッ!!」

 

 

 バスターランスに集約したエネトロンが先端で渦を巻き、凶暴な音を立てていく。

 その槍を、レッドバスターはグレートゴーバスターを通して振るった。

 エネトロンの渦を纏った槍は強烈な勢いで突き出され、フィルムゾードを容易に貫く一撃となる。

 ディメンションクラッシュの比ではない一撃に貫かれたフィルムゾードは四散。

 同時に、源を失った事によって疑似亜空間の闇も晴れ、青天が顔を覗かせた。

 それが意味するところは、即ち。

 

 

「シャットダウン、完了……!」

 

 

 身体中に込めていた力を抜いたレッドバスターは後ろに寄りかかりつつ、特命部流の敬礼と共に勝利を宣言する。

 それと同時に、疑似亜空間の中にいた人間達は喜びを露わにした。

 泣く者。

 大いに笑う者。

 叫ぶ者。

 今までの苦しみのせいで気力尽き果てたのか気絶する者。

 どれにも共通するのは、喜んでいるという事。

 生きるのを諦めかけそうになるほどの、いっそ殺してくれとすら思うほどの苦しみの中。

 数週間は苦しんだと錯覚するほどにそれは尋常ではなかった。

 そうでなくとも丸一日。動くどころか息すらも苦しい状況は眠る事すら許されない。

 そこから救い出してくれたグレートゴーバスターを、それを駆るゴーバスターズに誰もが感謝の念を抱いていた。

 

 しかし、当のゴーバスターズ達は上空を険しい目つきで睨みつけていた。

 

 疑似亜空間の闇が徐々に晴れていく中で、彼等は確かに、空に見たのだ。

 

 

『ゴーバスターズ……ゴーバスターズゥゥゥッ!!』

 

 

 慟哭しながら消えていく電子的な髑髏。

 恨むようにゴーバスターズの名を叫び続ける醜悪な顔をしっかりとその目に焼き付けていた。

 正体の分からぬ髑髏に関して、それを唯一知るビートバスターが髑髏を見ながら口を開く。

 

 

「アレが敵の親玉、メサイアだ。ま、あれは影みてぇなモンだけどな」

 

 

 疑似とはいえ亜空間という事で一時的に出てこられたのだろうと推測できる。

 けれど推測よりも重要な事は、最終目標を初めて目にしたという事。

 彼等がシャットダウンするべき、最後の敵が。

 ゴーバスターズ。特にヒロム、リュウジ、ヨーコの3人が神妙な顔で消えゆく髑髏を見つめた。

 アレを倒してこそ、彼等の目的は果たされる。

 どれ程の力を持っているのかは分からない。だが、漸くゴールが見えてきた。

 喜ぶような事ではないが、もう少しで手が届くかもしれない。

 

 

「マジェスティ! 今はお静まりを」

 

 

 消えゆくメサイアの怒りを鎮めようと上空に向けて叫ぶエンターは、グレートゴーバスターを睨み付けた。

 

 

「やりますね、ゴーバスターズ」

 

 

 敵ながら天晴、と人間の言葉で言うのだろうか。

 実力は認めざるを得ないだろう。此処まで来ると根城である亜空間も安全とは言えなくなってきた。

 勿論、亜空間は彼等のテリトリー、ホームグラウンドだ。

 普通に戦えば亜空間に侵入するゴーバスターズより、メサイアの力まで直接行使できるヴァグラス側が有利だろう。

 だが、それを覆しかねない程の力をグレートゴーバスターは持っている。

 しかしそこは冷静沈着なエンター。しっかりと、グレートゴーバスターの弱点を探っていた。

 

 

(あの時、一瞬……)

 

 

 フィルムゾードとの戦いで少しの間、グレートゴーバスターが止まっていた事にエンターは着目した。

 あの時、ゴーバスターズ側で何らかのトラブルが起きていたのかもしれない、と。

 それにグレートゴーバスターが出てくるのも随分と時間がかかっていた。

 元々用意してあったものなのなら、疑似亜空間展開から此処までの時間はかけない筈……。

 

 ただ1度の戦闘だけなのでグレートゴーバスターの能力は完全には計りかねる。

 が、ゴーバスターズが容易に出す事が出来ない理由があるのかもしれないとエンターは考えた。

 

 

「この手はまた使う事にしましょう」

 

 

 結論から言って、疑似亜空間は時間稼ぎ程度には通じる。

 そしてエンターの目的はエネトロンを奪う事。

 脅威であるゴーバスターズが潰せる事に越した事はないのだが、最悪時間稼ぎができればそれでいい。

 何故なら、ヴァグラスの目的はあくまでもエネトロンだからだ。

 さらに言えばフィルムゾードの疑似亜空間展開能力はデータとして残っているから今後のメガゾードにもその能力を付与する事ができる。

 今後の益に繋がる戦いであったと思いつつも、今回の敗北は少々手痛かったとも感じるエンターはゴーバスターズに見つからぬよう、データの粒子となって姿を消した。

 

 

 

 

 

 あけぼの町の一角で、城を落とした戦士達は集まっていた。

 町の各地では城が落ちた事に歓喜の叫びが響き渡っている。

 必死に戦っていた婦警コンビや戦闘機のパイロット達も喜びに打ち震えていた。

 城が落ちた数分後に疑似亜空間も消えたという事も、彼等の喜びの爆発に一役買っている。

 あけぼの町に平和が戻ったのだ。

 銃四郎達にも先程、ゴーバスターズが疑似亜空間を破ってメガゾードを倒したとの報告が来ている。

 彼等は一先ずの勝利を得たのだ。

 

 

「…………」

 

 

 剣二は無言で頭を下げる。

 謝る言葉を言おうにも、何から謝ればいいのか分からなくなった剣二は頭だけを深々と下げるという結果になってしまった。

 

 

「よく戻ってきたな」

 

 

 そんな剣二に銃四郎が笑みを零しながら言う。

 怒気も、失望も感じられない。

 純粋に剣二が帰って来たのを喜んでいるようだった。

 頭を上げた剣二は普段の楽天さは何処へやら、申し訳なさそうに言葉を紡ぐ。

 

 

「みんなが戦ってるのが見えて、あけぼの町がヤバくて、俺もやらなきゃって思ったら……」

 

 

 ちらりと、腰につけているゲキリュウケンに目を向けた。

 そうしたらゲキリュウケンが目覚めた、と言いたいのだろうと察した銃四郎はゲキリュウケンと剣二を交互に見る。

 

 

「不思議な事もあるもんだ」

 

 

 そして、飛行機の音で銃四郎は空に目を向けた。

 見れば先程まで奮戦していた戦闘機の生き残り達が何処かへと帰っていく。

 二課や特命部をしてツッコまざるを得なかった謎の航空戦力達を見て、銃四郎は笑った。

 銃四郎につられて戦闘機を見やった翼が今度は口を開く。

 

 

「不思議と言えば、あの戦闘機は一体……」

 

 

 至極真っ当な疑問。誰もが疑問に思っていた事だった。

 ただ、剣二と銃四郎を除いて。

 

 

「ま、此処はあけぼの町だからな」

 

 

 銃四郎のどうしようもない一言で全てが片付けられてしまった。

 

 ジャマンガによる理不尽な暴力が繰り広げられる。

 それでもそれをネタにして町興しを図るのがあけぼの町だ。

 敵が凄い兵器を持ってきた。

 それでも出自不明の武装で戦えるのがあけぼの町だ。

 敵がとんでもない事をしてきて、絶体絶命。

 それでも絶望しないのがあけぼの町だ。

 

 逞しく、強かで、ちょっと不思議。

 それがあけぼの町なのであろう。

 

 

「それをいっちゃあ……」

 

 

 おしまいよ、と言いかけた剣二も、あまりにその通り過ぎて、申し訳なさそうな表情を崩して思わず笑ってしまった。

 そして士は翔太郎を見て。

 

 

「何処もこんな感じなんだな」

 

「いや、風都はちげぇよ? ……ビルが溶けたりはすっけど……」

 

 

 それも大概だろ、と士は翔太郎へ呆れを含んだ目線を送る。

 そんなやり取りの中、輪の中に新たに4人が駆け込んできた。

 

 

「おっ、ゴーバスタァーズ!」

 

 

 弦太朗が明るく手を振った方向にはゴーバスターズの4人、リュウジとヨーコ、マサトとJが歩いてきていた。

 さて、その面子を見れば当然、疑問が湧いてくる。

 その疑問を一番に口に出したのは剣二だ。

 

 

「あれ? ヒロムはどうしたんだよ?」

 

「ああ。アイツなら特命部で、そりゃあもうグッスリだよ」

 

 

 マサトがケラケラと笑いながら両手を合わせて頬に添え、寝るジェスチャーをする。

 それにマサトの後輩が続いた。

 

 

「グレートゴーバスターの負担のせいかな。まあ、何ともないみたいだから」

 

 

 リュウジの言葉で誰もが安堵した。

 特に、フィルムロイドとの一件を見ていた響や翼は余計に。

 メサイアが消えると同時に、ヒロムはメットを取ってコックピット内で眠ってしまったらしい。

 その寝顔はやり切ったような、満足感溢れる寝顔というのがニックの談だったそうだ。

 ヒロムはそのままグレートゴーバスターごと回収され、医務室に運ばれて眠っている。

 

 

「私達も、この通り何ともなく……あ、痛ッ」

 

 

 腕を大きく広げて無事である事をアピールしようとしたヨーコであったが、ヒロムの盾になってフィルムロイドの攻撃を食らったせいか、腕が痛むらしい。

 ズキン、とした痛みが走った右腕の裏は少し痣になっている。

 バスターズのベストを着ているから見えていないが、ヨーコもリュウジも確実にダメージは残っているのだ。

 

 

「ヨ、ヨーコちゃん! 大丈夫!?」

 

「だいじょぶだいじょぶ。平気だよ」

 

 

 部隊の中でも特に年齢が近い者同士、響がヨーコを心配するも、ヨーコは笑って返した。

 ちなみにヨーコの方が1つ年上であるのだが、タメ口を特に気にする様子は無い。

 

 

「一先ず、これで解決ですね」

 

 

 年齢的後輩な2人の仲良さそうな姿を見つつ、翼が言う。

 戦士達は全員無事。それどころか翼の復活に続いて剣二までもが再び立ち上がった。

 ジャークムーンの城も疑似亜空間も打ち破り、グレートゴーバスターとサンダーリュウケンドーという新たな力までも加わった。

 これ以上に最高の終わり方は無いだろう。

 

 

「んじゃ、そろそろ戻ると……」

 

「戻ってエネトロンの補給だ!」

 

「被った上にお前が締めんなッ!!」

 

 

 いつも通りにどつき漫才を繰り広げる2人を見て一同笑う。

 多発的な危機を乗り越えた戦士達の一時の休息だ。

 これからも、彼等の戦いは続く。

 それでも今は守り抜いたこの町に、この平和を喜んだ。




――――次回予告――――
一時の静寂が流れる中でも、運命は動き続ける。

いつ何時、事態は流転してしまうのか。それすら見えず、悪意は尚もせせら笑う。

ならばこそ動こう、友と再び手を繋ぐため。

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