スーパーヒーロー作戦CS   作:ライフォギア

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第37話 混乱の戦場

 レッドバスターとディケイドはジャガーマンとサイギャングを相手にバイクチェイスを繰り広げている。

 幸いにも検問の配備をしたお陰で辺りに人はいない。

 デュランダル移送ルートの途中である大通りで派手にバイクを走らせていた。

 すれ違いざまにジャガーマンの凶暴な爪とレッドバスターが転送したソウガンブレードが競り合い、並走したディケイドとサイギャングが足や片手を浮かせて相手とバイクに乗ったまま格闘をする。

 時に引き離し、時に急接近、時に相手を入れ替えと、バイクのスピードも相まって目まぐるしく戦況は変わっていた。

 

 レッドバスターとディケイドにはそれぞれイチガンバスターとライドブッカーという遠距離攻撃がある。

 それで相手のバイクを撃ちぬけばいいのではないか?

 普通のバイクチェイスならば飛び道具を持っている側は完全に有利だと言えるだろう。

 何せ、バイクを撃ちぬこうが運転手を撃ちぬこうが、当たれば勝ちなのだから。

 しかしそれは飛び道具を片方しかもっていない場合に限る。

 ジャガーマンは名と姿の通りジャガーの特性を備え、サイギャングもまた、サイの特性を備えている。故に飛び道具など持たない。

 サイギャングには口から火を噴くという技もあるが、射程はそれほどでもなく遠距離攻撃とは呼べない。

 

 問題は相手のバイクにあった。

 大ショッカーは仮面ライダーと敵対してきた数々の組織、種族が混成した組織。

 故に、それらの組織の技術も断片的ながら有している。

 かつてゴルゴムという組織には『ヘルシューター』、クライシス帝国という組織には『ストームダガー』という兵器を積んだバイクがあった。

 それらのデータ、技術力を応用して造られたのがジャガーマンとサイギャングが駆るバイクだった。

 最高時速、攻撃性能、装甲、その全てが普通のバイクを上回り、仮面ライダーが駆るスーパーマシン達とあまり差のない兵器にまでランクを押し上げていたのだ。

 見た目は普通のバイクにかなり近いが、異質なのはヘッドライトが完全に取り払われ、代わりに大きめの砲門を1つ備えている事と、側面には牽制にもなるバルカン砲が2門ある事。

 参考にされたヘルシューターやストームダガー程の力はこの2台には無い。

 だが、積んでいる射撃武器や硬い装甲は十分な武器となってレッドバスターとディケイドに苦戦を強いていた。

 

 

「ヒョーウ!!」

 

 

 目の前を走行するレッドバスターに向かってジャガーマンが雄叫びを上げ、バイクに備え付けられたスイッチを入れる。

 スイッチを入れると、バイクの側面に取り付けられたバルカン砲が猛烈な勢いで弾丸を発射しだした。

 弾丸は間髪入れずに連続発射。

 無論、常人の瞬発力では弾丸のスピードを見切る事は不可能だ。

 まして1発どころか弾幕なのだから。

 だがレッドバスターも訓練を重ね、特殊なスーツを纏っている身。

 ニックを巧みに操作しながら自分も前に屈む事で何とか攻撃を切り抜ける。

 

 

「ッ……!!」

 

 

 そして弾幕が止んだ直後、レッドバスターは背後に振り返ってイチガンバスターを発射する。

 が、碌に狙いも付けられない状況の中ではなかなか当てる事は厳しい。

 それでもジャガーマンが回避行動をとらなければならないぐらいの正確性がある辺りは流石と言えるだろう。

 だが、ジャガーマンの回避行動はほんの僅かなもの。

 裏を返せば僅かな動きで避けられてしまうぐらいには狙いが付いていなかったのだ。

 舌打ちをして再び前方を見て運転に集中。

 誰も通らない道を2つのバイクはレースでもしているかのような、獣のような獰猛な音を引き連れて駆け抜ける。

 

 

(だったら……!!)

 

 

 レッドバスターは前進を止め、急ブレーキをかけた後に猛烈な勢いでバックを始めた。

 勿論、急ブレーキの際にかかった衝撃は生半可なものではないが、レッドバスターはそんな事を意に介さない。

 猛烈なバック、それはつまり、後方から来るジャガーマンとの追突を意味する。

 しかし相打ち紛いの事をするほど、レッドバスターは馬鹿ではない。

 レッドバスターは車体を右にずらし、ジャガーマンとはぶつからないように後方へと駆け抜けた。

 その突然の行動に対処できずに猛烈な前進を続けるジャガーマンと、強烈な勢いで後進するレッドバスター。

 この2つが意味するのは、数秒足らずで行われる位置の交換だ。

 

 前方と後方は完全に逆転し、レッドバスターはジャガーマンを前方に捉える。

 瞬間、再び前方へ向けてニックを走り出させる。

 そして先程は当たらなかったイチガンバスターによる射撃を、今度は狙いをつけて行った。

 数発は撃ち漏らしたが、2,3発ほどの攻撃がジャガーマンの背中とバイク後部を直撃。

 

 

「ッオ……!!」

 

 

 呻きに近い声を上げるものの、バイクの損傷は装甲のお陰で殆どなく、怪人であるジャガーマンの身にも大きな怪我はない。

 この程度でくたばるほど怪人もやわではないのだ。

 痛みを気にせずにジャガーマンはバイクを急転換、なんとレッドバスターと対面するかのようにバイクそのものを反転させた。

 今、バイク同士が顔を突き合わせながらも、尚且つ進んでいる方向は同じという不可思議な光景が広がっている。

 

 だからどうした、とレッドバスターは射撃を行う。

 しかしジャガーマンはそれらの弾丸をひらりと躱して見せた。

 避けられた理由は至極簡単、『目視できた』からだ。

 ジャガーマンとレッドバスターは対面状態にある。

 イチガンバスターの攻撃は全て真正面からの攻撃と同義となっているという事でもあるのだ。

 正面からの直線的な攻撃など避ける為にあるようなものと、イチガンバスターの攻撃を避けて見せたのだ。

 それも、後ろに進みながら。

 

 

(射撃じゃ埒が明かない……!)

 

 

 射撃では駄目だ。

 お互いに避けるだけの技量と対抗するだけの力を備えている。

 向こうに射撃武器が無いのなら話は変わるが、お互いに射撃武器を持っているのなら、いつ何時、今度はレッドバスターが背後から撃たれるかわからない。

 

 

『ヒロム、やっぱりこりゃ……!』

 

「ああ……!!」

 

 

 ニックは人型形態における頭部が、バイク形態ではメーターとなっており、そこを点滅させながら音声を発する。

 ニックの提案は言わずともレッドバスターも同じ事を考えていた。

 バイク上の射撃勝負では埒が明かない。

 接近戦でも恐らくは同じだろう。

 ならば、レッドバスターが狙うは1つ。

 

 

(バイクから、引き摺り下ろす!!)

 

 

 

 

 

 

 

 ディケイドもまたサイギャングとチェイスを繰り広げる。

 検問の配備による影響で近隣住民は1人残らずこの場にはいない。

 故にディケイドも心置きなくバイクを走らせていた。

 脇道に逸れて左に曲がり、右に曲がり……。

 レッドバスターとジャガーマンが戦う中で出た『射撃勝負は無駄』という結論はこちらでもすでに出ている。

 

 狙うは接近戦。

 しかし、サイギャングのバイクテクニックは中々に巧みで、ディケイドも付け入る隙があまりない。

 

 

「チッ……!」

 

 

 状況が歯痒く、思わず舌を打った。

 早く決着をつけなければデュランダルが危ない。

 

 

「弦十郎のオッサン! デュランダルはどうなってる!?」

 

 

 サイギャングから目を離さず、変身前に身に着けていて今は仮面の奥に装着されている通信機に向けて半ば怒鳴るように叫ぶ。

 答えはすぐに返ってきた。

 

 

『響君と了子君が持って逃げている! が、爆発の煙で現状は確認できていないッ!!』

 

 

 薬品工場におけるノイズの攻撃による爆発、既に無人である乗り捨てられた了子の車もまた、ノイズの攻撃で爆発を起こしていた。

 それによって立ち込める煙は薬品工場一帯の視界を塞いでしまったのだ。

 

 ディケイドはまた舌打ちをする。

 響と了子、及びデュランダルの安否は分からない。

 だがいずれにせよ、状況が芳しくない事だけは分かった。

 ブルーバスター、イエローバスター、リュウガンオーは戦闘員の大群と戦っている。

 リュウケンドーもジャークムーンと戦い、ディケイドとレッドバスターは2体の怪人の相手。

 確認できていない響以外の戦力が全員、交戦中にあった。

 しかも響はこの部隊の中でも、恐らくは一番未熟だ。

 

 特訓の成果は相手をしていたディケイドがよく知っている。

 だが、ノイズはともかくとしても強敵が現れたら彼女が戦い抜けるかは、正直なところまだ怪しい。

 そうでなくとも1人でデュランダルを守るのには限界がある。

 

 一刻も早くこの場を切り抜けたい現状、そこに現れたのは。

 

 

「ヴェッヴェッヴェッ……!!」

 

「ッ!?」

 

 

 突如としてマシンディケイダーに追いつき、並走する影。

 しかもあろう事か、その影は人影。

 バイクの影など欠片もない、バイクではなくその足で、マシンディケイダーに追いついて見せているのだ。

 その人影はディケイドに向けて背中に担いでいた剣を手に取り、振るった。

 咄嗟にライドブッカーの四角い部分、カード収納部分で防ぐディケイド。

 そして即座にライドブッカーをソードモードに、人影が繰り出す剣と打ち合う。

 

 

「ッ……!」

 

 

 ディケイドは乱入者からの攻撃を振り切る為に一旦曲がって急停止。

 それに応対するように乱入者もその足を止めた。

 しっかりと見えてきた姿は、赤い肌を持つ人型が黒い甲冑に身を包んだ姿。

 背中にはマントを装備し、人間でないその見た目は怪人に他ならなかった。

 

 

「お前は……」

 

 

 名を問うつもりでも何でもなく、思わず出ただけのディケイドの言葉。

 しかし目の前の怪人はその言葉に律儀にも答えた。

 

 

「我が名は『マッハアキレス』! 貴様等仮面ライダーを我が俊足の元、仕留める為にやって来た!!」

 

「また大ショッカーか……」

 

 

 ヴァグラスらしくない見た目、仮面ライダーを狙う行動から予想はできていた。

 ディケイドがまだ戦った事も見た事も無いジャマンガの魔獣か、もしくは大ショッカーか。

 どうやら言葉から察するに正解は後者だったようだ。

 

 3体目の怪人。

 

 今回の作戦に大ショッカーは何体の怪人を投入しているのか。

 

 

「厄介な事しやがって……!」

 

 

 早く決着をつけたいと考えた矢先の敵の増援。

 これで悪態をつくな、舌打ちをするなという方が無理な話だ。

 マシンディケイダーに足だけで追いつくという驚異的な速度を見せてくれた辺りからもマッハアキレスが厄介な相手だという事を伺わせ、ディケイドはより一層、仮面の中で顔を顰めていた。

 一方、マッハアキレスの横にサイギャングがバイクを止めていた。

 

 

「来たか、マッハアキレス」

 

「サイギャングよ。早々にディケイドを潰し、目標も奪ってしまおうではないか」

 

「ケケケケッ。ディケイドを倒せば大首領も、さぞお喜びになるだろう」

 

 

 大首領。

 その言葉にディケイドがピクリと反応した。

 

 

「お前達の大首領ってのは何モンだ?」

 

 

 今まで『大ショッカー』と名の付く組織に置いて大首領の位置に座していたのは、他でもない士自身だった。

 そこから紆余曲折があって大ショッカーと敵対したり、あるいは大ショッカーを設立したこと自体が作戦の内だったりしたわけだが。

 が、今回の大ショッカーは全く正体が分からないのだ。

 ディケイドの言葉にサイギャングは笑った。

 

 

「ケケケケケケッ!! 答える筈がないだろう?

 何より、大首領の事を知るのはほんの一握りの存在のみよ」

 

 

 どうやらサイギャング達も大首領の正体を知らないらしい。

 この怪人達からは情報は得られないと考えていいだろう。

 だが、余計に謎が深まった部分がある。

 士は大首領として君臨する際に門矢士という存在を隠さずに大ショッカーの頂点に立っていた。

 しかし今回の大首領は身内にすら姿を隠している事になる。

 また1つ、従来の大ショッカーとの相違点だった。

 

 

「そんな事はどうでもいい。お前には死んでもらうぞ、ディケイド」

 

 

 考える暇も与えず、マッハアキレスは再び走り出そうとしていた。

 大ショッカーに関して揃っている情報はあまりにも少ない。

 例え大首領の正体を知らぬ下っ端であったとしても聞きたい事は山ほどある。

 だが、敵はそれを許さない。

 2体の怪人は確実にディケイドを倒す事しか考えておらず、話す口は閉じ、聞く耳は持っていない。

 

 そんな時、ディケイドの耳に焦るような大声が飛び込んできた。

 

 

『ヒロム君ッ! 士さんッ!』

 

 

 耳に直接当てている通信機から発せられる大声は特命部の森下のもの。

 耳元で大声を出されれば五月蠅いのは当然で、ディケイドは一瞬怯んでしまう。

 

 

「やかましい。なんだ一体、こっちは取り込み中だ」

 

 

 いつも通りの悪態、しかし仮面の奥の目は余裕の表情ではない。

 2体もの怪人を相手にするとなって苦戦を察知したのか、険しい顔だ。

 一方でディケイドの悪態に森下は取り合う事無く、わざわざ通信を行った内容を伝えた。

 

 

『そちらに接近する1つの反応を確認しました! あと十数秒でヒロム君と士さんと接触します!』

 

 

 森下の通信内容が話される中で、レッドバスターがバイク形態のニックと共にディケイドの横に停まった。

 モーフィンブレスを見つめて通信をしっかりと聞いている様子だ。

 さらに、レッドバスターがディケイドと合流したのとほぼ同じタイミングで、怪人側にジャガーマンがバイクと共に合流していた。

 

 

「新手か……!」

 

 

 通信を聞いたレッドバスターは3体揃った怪人達をキッと睨みながら吐き捨てた。

 このタイミングで考えられるとすれば、新手以外に無い。

 何せ特命部、二課、S.H.O.Tの戦力は全て此処に投入されている。

 マサトとJなのであれば森下、あるいは特命部の誰かが気づくはずであろうし、そもそも接近している反応は1つだ。

 

 レッドバスターは焦る。

 この場に来てディケイドが相対している敵が2人に増えているのは既に確認している。

 現状、2対3。

 バイク勝負ですら拮抗しているのにも関わらず数でも負けてしまった。

 しかもこのタイミングでの敵増援は戦力に倍の差ができる事になる。

 デュランダル防衛という任務を第一に考えたとしても、それらを全て蹴散らさなければならない。

 考えを巡らせるレッドバスターの傍ら、ディケイドは余裕そうな態度を取っていた。

 さらに、何とディケイドは小声で笑って見せたのだ。

 

 

「フ……」

 

「何がおかしい?」

 

 

 焦りの中にいるレッドバスターはつい、キツイ口調でディケイドに当たってしまった。

 だが、ディケイドはそれを気にすることなく、一言。

 

 

「見てれば分かる」

 

 

 敵の増援かもしれないというのに、ディケイドの妙に落ち着いた態度に疑問を抱くレッドバスター。

 そして森下の通信通り、十秒もしないうちに『反応』というのが近づいてきているのが、レッドバスターとディケイドにも分かった。

 判断できたのはバイクの音。

 ジャガーマンとサイギャングが現れた時のようにバイク音が辺りに響く。

 

 そして――――――。

 

 

 ――――CYCLONE! TRIGGER!――――

 

「ハアッ!!」

 

 

 1台のバイクがレッドバスターとディケイドの頭上を跳び越え、怪人達に向けて銃を撃ち放った。

 そのバイクが2人の前に着地した。

 バイクは前部が黒、後部が緑色というカラーリングをした不思議なバイク。

 そしてそのバイクの主がレッドバスターとディケイドに顔を向けた。

 

 

「よう、間に合ったみてぇだな」

 

 

 半々で色が違うバイクに乗る影は、バイクと同じように色が半々だ。

 本人から見て右側が緑、左側が青い姿。

 右首元からはマフラーが風に靡き、右手には青い銃を携えている。

 怪人へと攻撃を行った乱入者に対して、レッドバスターの第一印象は『半分こ』だった。

 

 

「遅い」

 

 

 その半分こに対してディケイドは溜息交じりに一言、容赦なく言った。

 ガクッと左肩を落として大袈裟なモーションを取った半分こはバイクからは降りずに、その場の身振り手振りでディケイドに言い寄る。

 

 

「そりゃないだろ? 朝5時に風都から間に合えってのは無理だぜ」

 

 

 半分ことディケイドのやり取りをただ眺めているわけにもいかず、レッドバスターは口を開こうとした。

 が、それよりワンテンポ、ニックの方が早かった。

 

 

『な、なんだなんだぁ!? 誰だよアンタ!?』

 

 

 その声を聞いた半分こは辺りを見渡す。

 どうやらレッドバスターのバイクが喋ったとは思っていないらしい。

 ディケイドが「今のはこいつのバイクだ」と説明すると、半分こは「へぇ」と感心するような、興味深そうな声を出した。

 

 

「なんか照井みたいだな、赤いし。ま、いいや」

 

 

 戦友を思い出しながらニックを見ていた半分こは顔を上げ、レッドバスターに顔を向ける。

 

 

「俺は仮面ライダーW。士に呼ばれて来た、まあ助っ人みたいなモンだ」

 

 

 風都で士が直接スカウトしてきた仮面ライダー、Wだ。

 レッドバスター達も『ある仮面ライダーが部隊に協力してくれるかもしれない』という話は聞いていた。

 が、あくまでも可能性であり、何時参入するかも不明瞭だった。

 しかし今回のデュランダル移送任務が始まる少し前、翔太郎から士に連絡があったのだ。

 内容は『大ショッカーの事もあるから、協力する』という、極々単純に部隊に参加してくれるというものだった。

 

 

「サンキューな士。話つけといてくれたお陰で、検問も楽に超えれたぜ」

 

 

 Wは左手を軽く上げて感謝の姿勢を取った。

 今回、検問を配備しているのは二課のスタッフが主だ。

 士は弦十郎にWがやってくるであろうという事を任務開始前に伝えており、二課のスタッフ全体にそれは知らされた。

 故に、検問に配置されていた二課のスタッフは『仮面ライダーW』という名前を聞いてその場を通したのだ。

 勿論、二課のスタッフには見た目の特徴なども伝えてあったので、名前だけ借りれば入れる、という風にはなっていない。

 

 

「それはいい。それよりも、だ」

 

 

 ディケイドはWの礼を軽く流し、銃撃で怯んだ3体の怪人を見やった。

 先程Wが放った銃撃はトリガーマグナムがサイクロンメモリの力を受けて放った風の弾丸。

 連射性能に優れているが、威力はそれほどでもない。

 当然、怪人達はピンピンしている。

 だがWは自分のバイク、ハードボイルダーのエンジンを吹かしながら余裕そうな態度を取っていた。

 

 

「3対3、頭数は揃ったんだ。一気に決めようぜ」

 

 

 Wの言葉にはレッドバスターが反論する。

 

 

「さっきまでも2対2だったが、相当苦戦した。そんな簡単に済むわけがない」

 

「おっと……そうかよ。じゃあ、余裕とはいかねぇな」

 

「チッ、弱点の1つくらい無いのか」

 

 

 レッドバスターとWの会話の後、ディケイドが悪態をつきながら吐き捨てる。

 確かに弱点をつければ早い。

 だが、ジャガーマンとサイギャングの2体はまず、バイクの弱点を見つけてバイクから引き摺り下ろすところからだ。

 それに登場間もないマッハアキレスは、足が恐ろしく速い以外の能力をまだ見せていない。

 

 Wには『エクストリーム』という力がある。

 これはWの能力強化もあるが、一番に特筆すべき点は『常に地球の本棚を閲覧できる』という事だ。

 つまり敵の事を閲覧して、弱点を知り、そこを明確につくことができるのだ。

 早期決着を狙いたい今回に置いては頼りになる能力ではある。

 

 しかし、相手は3体。

 13体のドーパントを同時に相手取りエクストリームの力で薙ぎ倒した事もあるが、今回は数が少なくとも特殊なバイクに乗っているなど、状況が違う。

 それにエクストリームで使う『プリズムメモリ』というガイアメモリを『プリズムビッカー』という武器で使うと、相手のガイアメモリの能力を一部無効化する事が出来るのだが、今回の敵はガイアメモリを使った敵ではないため、その能力は期待できない。

 幾ら弱点を知れるとは言え、敵は3体で、うち2体は特殊なバイク持ち。

 確かにWでも厄介そうな相手だった。

 

 3体の怪人と3人の戦士が睨み合い、長期戦を予感させる空気が漂う中。

 

 ――――一発の銃声が、その空気をぶち壊した。

 

 

「ッ!?」

 

 

 響いた銃声に敵と味方の両方が驚きの様相を呈した。

 ただ、1人を除いて。

 

 

「ッアァァァァァァァッ!!?」

 

 

 銃声と同時に放たれたであろう弾丸を食らったのはマッハアキレスだった。

 マッハアキレスは着弾したと思われる右足の踵を抑え、無様に地面に転がって悶絶していた。

 しかし、銃撃1つで怪人が悶えるには些か不自然なほどにマッハアキレスは苦しんでいる。

 まるで、弱点を突かれたかのような。

 

 

「マッハアキレス……その名の通り、アキレスがモチーフのGOD神話怪人の1人」

 

 

 彼等が戦闘を繰り広げていた公道に隣接する建物の1つ。

 その屋上からマッハアキレスの事をよく知るかのように口にする人影が1人。

 手には銃を携え、その存在がマッハアキレスを撃ったのだと、この場の全員が敵味方関係なく確信した。

 

 

「アキレスだけに、踵が弱点。怪人の弱点は意外と分かりやすかったりするのかもね」

 

 

 悠々と語る人影はディケイドがよく知る姿だった。

 建物の屋上からこの場の全員を見下ろす存在、その名をディケイドは口にした。

 

 

「海東……? 何しに来た!」

 

 

 マッハアキレスの弱点を正確に射抜いたのは、海東大樹だった。

 右手に持った不思議な形状の銃、『ディエンドライバー』をくるくると回しながら大樹は語る。

 

 

「当然、お宝さ。今、何か重要な物を運んでいるんだろう? それを頂くんだよ」

 

 

 この場の誰もがその言葉に驚く中で、ディケイドだけは呆れたように溜息をついていた。

 

 

「相変わらずのコソ泥……いや、今回の場合は火事場泥棒に近いぞ」

 

「そっちこそ相変わらずの失敬だよ。トレジャーハンター、もしくは……」

 

 

 大樹はディエンドライバーを構え、左手で1枚のカードを取り出した。

 そのカードはディケイドが使うそれに酷似している。

 言葉の続きを大樹は口にした。

 そしてその言葉は、ディケイド以外の誰もが驚愕する言葉であった。

 

 

「通りすがりの仮面ライダー……と言ってほしいな。覚えておきたまえ」

 

 

 大樹はディエンドライバーの側面にカードを挿入し、ポンプアクションのように銃身を前に引いた。

 

 

 ――――KAMEN RIDE――――

 

 

 流れ出る電子音声はディケイドライバーのそれと同じ。

 仮面ライダーを名乗る男が士と同じカードを使い、同じ電子音声を発する機械を手にしている。

 此処から考えられる答えなど、誰にだって分かるだろう。

 

 

「変身!」

 

 ――――DIEND!――――

 

 

 ディエンドライバーを上空に掲げ、叫びながら引き金を引く。

 銃口からは弾丸ではなくプレートが発射された。

 さらに大樹の周りを色のついた影のようなものが縦横無尽にスライドし、大樹の元に集束。

 影が集束した大樹には鎧が装着されており、そこに最初に放ったプレートが突き刺さる。

 それと同時に鎧の一部にシアンの色がついた。

 ディケイドの親戚とでも言われれば納得できるような姿。

 バーコードのような仮面や使っているカード、変身のプロセスなどもディケイドと似通っていた。

 ライダーの名、仮面ライダーディエンド。

 ディケイドと同じく世界を巡る仮面ライダーだ。

 

 

「あのライダー、確か……」

 

 

 ディケイドとは別にWがディエンドに反応を示した。

 以前スーパーショッカーと戦った際に駆け付けたライダーの1人。

 それがディエンドであり、Wはそこでちらりと見かけただけだが、一応面識があった。

 その時は状況が状況であったので士以外のライダーとは碌に会話もしておらず、当然の事ながらディエンドがどういう人物なのかも全く知らない。

 まさか泥棒だとは思いもしなかったのだ。

 

 ディエンドは変身も早々に、新たに黄色いカードを取り出し、変身の時と同じようにカードを装填した。

 

 

 ――――FINAL ATTACK RIDE――――

 

 

 ディエンドは銃口を苦しみながらも何とか立ち上がったマッハアキレスに向けた。

 すると、ディエンドライバーの銃口を起点に半透明のカード型のエネルギーが円を描きながら標的を狙うターゲットサイトとなった。

 勿論、狙いは銃口を向けているマッハアキレスだ。

 そしてディエンドは引き金を引く。

 

 

 ――――DI DI DI DIEND!――――

 

 

 スクラッチ調で発せられた電子音声と共にターゲットサイトを形作っていたカード達が収束し、強力かつ極太のビームとなってマッハアキレスに向かって行く。

 ディエンドの必殺の一撃、『ディメンションシュート』は容赦なくマッハアキレスを撃ち抜き、その場で爆散させた。

 爆発の衝撃と熱風を思わず腕でガードするジャガーマンとサイギャング。

 2体となった怪人は爆発と爆風が収まると、憎々しい目でディエンドを見上げ、睨んだ。

 

 

「貴様ァ……」

 

 

 ジャガーマンの恨みの籠った言葉にディエンドは肩をわざとらしく竦めた。

 

 

「君達は仮面ライダーの敵だろう? なら僕も例外じゃない。ま、僕は士の味方ってわけでもないけどね」

 

 

 ディエンドはディケイドをちらりと横目で見た後、言葉を続けた。

 

 

「それに、士は一応仲間だからね。僕は何処かの誰かさんと違って仲間を大切にするのさ」

 

 

 悠々と語る言葉の裏に拗ねるような感情が見え隠れしているのが分かったのはディケイドだけだ。

 一応、という言葉を強調している辺りにそれが伺える。

 どうやら以前に士が大ショッカーを率いていた戦いの時の事を未だに根に持っているらしい。

 此処でディケイドを助けるかのように怪人を倒したのは、単純な助太刀というよりも当て付けという意味の方が近いのだろう。

 ディエンドはしてやったりという感情を態度でも隠さないまま、3人の戦士に向けて言った。

 

 

「じゃ、後は君達で何とかしたまえ。僕の興味はお宝にあるんでね」

 

 

 それだけ言い残すとディエンドは急速な勢いで建物の屋上から消え去った。

 

 

「あの野郎……」

 

「アイツの狙いは、デュランダルか?」

 

 

 場をかき回していくのはいつもの事だが、敵も味方も入り乱れている中での傍迷惑な登場にさしものディケイドも呆れつつ、レッドバスターの問いに頷いた。

 ディエンドは『重要な物』としか語っていなかったので、それが何であるかは知らないのだろう。

 何処からか情報を仕入れたのか、それともこの場に偶然通りすがったのか。

 いずれにせよ、仮面ライダーやゴーバスターズと言った人知を超えた力を持つ戦士達が護送するほどの物、という事で興味を持って現れた。

 そんなところだろうか。

 

 

「マズイな、立花の奴がアイツと鉢合うか」

 

 

 ディケイドの懸念はディエンドがデュランダルを狙っていること以外にも、もう1つあった。

 このまま行けばディエンドは確実にデュランダルの元に現れる。

 つまり、それは響との接触を意味していた。

 デュランダルの移送、及び護送が任務である以上、それを奪おうとするディエンドとの戦闘は免れない。

 

 はっきり言えば、今の響ではディエンドには勝てないだろう。

 まず、単純な実力がそうだ。

 ディケイドとディエンドは実力的にはほぼ互角だ。

 つまり、ディケイドに勝てない響ではディエンドの相手は難しいだろう。

 もう1つに、数の上で不利である事だ。

 ディエンドはディケイドと同じようにカードを使うのだが、仮面ライダーのカードを使うとディケイドとは違い、そのライダーに変身するのではなく、そのライダーを呼び出す事が出来る。

 例えばクウガのカードを使うとディケイドはクウガに『変身』するが、ディエンドの場合はクウガを『呼び出せる』のだ。

 単独で在りながら複数、それがディエンドの特徴だ。

 呼び出された仮面ライダーに意思は無く、ディエンドの操り人形である。

 ただでさえディエンド自身が強力なのに手数も増やせるのだから、響では荷が重い相手だ。

 

 

「あのライダー、やっぱ強いのか?」

 

 

 Wの問いかけにディケイドは少々癪だが頷くしかなかった。

 実際、仮面ライダーを呼び出される能力もあって、ディケイドはディエンドと戦う時に苦戦する事が多いのだ。

 

 

「デュランダルが危ないな」

 

 

 ディケイドが認める程の強さならば、響だけではデュランダルが守り切れないであろう事はレッドバスターにだって分かる。

 この場はマッハアキレスが倒された事で3対2の、数の上では有利な状況だ。

 だが、肝心のデュランダル側が不利な状況になるのでは意味がない。

 

 

「なら、此処は俺達が引き受けるぜ」

 

 

 そこで提案を出したのはWだった。

 ディケイドとレッドバスターは顔をWに向ける。

 

 

「立花が誰なのかとか、デュランダルが何なのかは知らねぇ。

 だけど、今までの会話でその立花って奴やデュランダルって物のところに行かなきゃいけないのは分かる」

 

 

 此処までの現状と会話からWはある程度状況を察していた。

 固有名詞に関しては分からない事ばかりだが、レッドバスターとディケイドが何を守ろうとして、何から守らなければならないのかはWにだって分かる。

 無論、理解は右も左もしている。

 

 

『あの青いライダーの事は門矢士がこの中では一番よく知っているんだろう?

 なら、君が行くのがいいだろう』

 

 

 Wから先程までとは違う声がした事にレッドバスターはやや驚くが、驚きで時間を取られている場合ではないと、そのリアクションを無理矢理引っ込めつつ、Wに同意した。

 

 

「W……って言ったな。あんたの言う通りだ、門矢が立花を助けに行くべきだ」

 

 

 レッドバスターはからかう様に続けた。

 

 

「生徒を助けるのは教師の務めって事だな」

 

「馬鹿言うな」

 

 

 士が教師、という言葉にWは疑問を覚えたが、そこは後で聞くとしようと思い、質問を自制した。

 目の前の2体の怪人はこれ以上悠長に話している時間をくれそうにない。

 ディケイドはマシンディケイダーのハンドルを握りなおし、Wとレッドバスターをそれぞれ見やった。

 

 

「任せた」

 

 

 一言告げると、ディケイドはマシンディケイダーを一気に加速させる。

 そして角を曲がり、本来のルートから外れた場所を走行する。

 正規のルートではディエンドに追いつけないとして、近道を使うつもりなのだ。

 当然、行かせはしないとジャガーマンとサイギャングが追おうとする。

 

 

「させるかよッ!」

 

 

 しかしWの一声と共に、トリガーマグナムとイチガンバスターの銃撃が2体のバイクの足元に着弾。

 思わぬ銃撃にバイクも自分もダメージは無いと分かりつつも、条件反射的に怯んでしまった。

 その一瞬の怯みの隙にディケイドはこの場を離脱。

 無事に響と了子、そしてデュランダルがある場所へと向かう道を突き進んで行った。

 

 ディケイドが行ってしまった方向を見た後、すぐさま目の前の邪魔をしてきた戦士達を憎々しげな目で睨むジャガーマンとサイギャング。

 自分達がすべきだった任務を邪魔されて殺気に満ちている2体。

 油断も慢心も見受けられないレッドバスターはハンドルを握りなおし、Wはトリガーマグナムを指でくるくると回転させながら余裕の態度で言い放った。

 

 

「お前らの相手は俺達だ。文句は受け付けねぇぜ?」

 

 

 その態度が癇に障ったのか、はたまた登場直後から邪魔ばかりしてくるWに本格的にキレたのか、ジャガーマンが激昂したような声を上げた。

 

 

「おのれぇ……! ならばせめて貴様等の首をあげてやる!!」

 

「大口叩いてると後で恥かくぜ、猫ちゃんよ」

 

 

 その言葉はまるで火に油を注ぐようで、ジャガーマンの怒りは頂点に達した。

 

 

「き、さま、舐めるのも大概にしろォ!!」

 

「舐めるのは猫の専売特許だろ?」

 

『ミックにそんな可愛げはないと思うよ、翔太郎』

 

 

 ますますジャガーマンの神経を逆撫でるW。

 ちなみにフィリップの言う『ミック』とは、探偵事務所で飼っている猫の事である。

 元々は彼等の猫ではなく、その経歴も猫とは思えぬ複雑な物があるのだが、わけあって今では探偵事務所にいるのだ。

 Wがジャガーマンの事を何と言おうが知った事ではないが、これ以上の無駄話に意味はないとしてレッドバスターが文句を言うような言葉を発した。

 

 

「おい、そろそろいい加減にしろ」

 

「っと、分かってるさ。ま、あの猫野郎は頭に血が昇ってる。

 こっちはクールに行けば大分有利なんじゃねぇか?」

 

 

 確かに戦いにおいては怒りに任せた直情的な戦い方よりも、冷静な判断力の方が上手で立ち回れる。

 頭に血を昇らせた一直線すぎる攻撃など、余程の事が無い限りは冷静な頭の者には当たる筈がないのだ。

 反対に冷静な者が攻撃に転ずれば、頭に血が昇った者は攻撃を避けるのすら難しくなっていく。

 

 

「そうじゃない」

 

 

 そこは理解している。

 だが、レッドバスターが文句を言いたいのはそこではなかった。

 レッドバスターはバイク形態のニックのフロント部分をコンコンと叩いた。

 ニックのフロント部分にはネコ科の動物、チーターの頭部を模したパーツが付いている。

 

 

「俺のモチーフの1つはチーターなんだが」

 

「……ワリィ」

 

 

 同じネコ科として聞き捨てならなかったのだ。

 

 レッドバスターのまさかの返答にWは戸惑いつつ、何とも間の抜けた会話が終わった。

 そして2体の怪人と2人の戦士は、各々のバイクのエンジンを吹かせ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 弦十郎は歯痒かった。

 真下では戦士達が各々の場所で戦っている。

 その中でも現在、最重要と言える響と了子、延いてはデュランダルは未だ、濛々と立ち込める煙のせいで目視が出来ない。

 幸いにも通信は生きており、安否だけは分かる。

 最後に通信があった時は『デュランダルを持って逃走中』という話だ。

 

 まだデュランダルは無事である。

 だが、敵の勢いは強く、こちらはデュランダル防衛の為に防戦一方な状態。

 すぐにでも下に降りて弦十郎も加勢したいぐらいだった。

 しかし下には人間であれば即死するノイズがいる。

 如何に超人的身体能力を持つ弦十郎でも『人間』というカテゴリに属している以上、ノイズがいるであろう戦場には足を踏み入れられないのだ。

 そもそもノイズがいなくとも、現場指揮という立場上、持ち場を離れるわけにはいかない。

 

 

「ぬぅ……!!」

 

 

 奥歯を噛みしめ、飛び出していきたい気持ちを必死に抑える。

 決して形振り構わない性格ではない弦十郎はきちんと自制が効く。

 が、それと悔しい気持ちとは別問題だ。

 しかも、弦十郎の気持ちにさらに追い打ちをかけるような通信が特命部から入った。

 

 

『風鳴司令! 付近一帯の監視カメラが乗っ取られました!』

 

「何だとッ!?」

 

 

 仲村からの通信に弦十郎は思わず声を上げた。

 さらに、緊急の報告は何と二課側の朔也からも入ってきた。

 

 

『こちらでも確認しています……! 凄まじい速度で付近のカメラが乗っ取られています!』

 

「何とか奪い返せないのか!?」

 

 

 弦十郎の言葉に朔也から代わってあおいが答える。

 

 

『特命部、S.H.O.Tと連携して対処はしていますが、しばらくは……!』

 

 

 相手はこちらの情報を得る手段を封じてきた。

 そう考えればかなり切迫した事態に見える。

 だが、この行動に弦十郎は疑問を持たざるを得なかった。

 一時こそ焦ったが、冷静になって考えてみれば監視カメラを封じる事にそこまでの意味は感じられない。

 上空から弦十郎が目視しているうえに、前線のメンバーも後衛のメンバーも全員、通信機で繋がっており、逐次連絡が取れるからだ。

 例え監視カメラがあろうとなかろうと状況の把握は難しい事ではない。

 

 

(何故だ、何故監視カメラを……?)

 

 

 歯痒い思いの中で突如として現れた疑問に、弦十郎の心境はさらに掻き回されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「何故、監視カメラを乗っ取る必要があるのか……」

 

 

 デュランダルを巡る戦いが行われている場所から少し離れたビルの屋上。

 1人の人影が弦十郎と全く同じ疑問を呟いた。

 それはエンター。

 監視カメラを乗っ取った張本人はエンターだ。

 ただし、これはエンター自身の意思で行っているわけではない。

 デュランダル奪取の為の作戦が展開される前に、フィーネから依頼されていたのだ。

 

 

『戦闘が始まったら、付近の監視カメラを全て使えなくしてちょうだい』

 

 

 何故かと問いもしたが、『こちらの目的や理由は聞くなと言ったはず』と一蹴されてしまった。

 実際その内容で協力関係を取り付けていたのだから、エンターもこれ以上踏み込む事は出来ないと考えてその場は引き下がった。

 しかしやはり、興味という物はどうしても湧いてしまう。

 

 

「ゴーバスターズ達に見られたくないものがある……」

 

 

 監視カメラを使えなくするという行為に対して、そう仮定するのが自然だ。

 しかし、何を見られたくないのかが問題となる。

 結局そこで思考が行き詰ってしまうのだ。

 監視カメラを占拠し、バグラーも放ったために暇となったエンターはずっとそれを考え続けていた。

 

 

「何を……? 物、人、行動……」

 

 

 様々な考えを巡らせるが、どれもしっくりこない。

 フィーネが前線に放っているネフシュタンの少女は既に敵と交戦した事があり、今さら隠しても意味がない。

 ヴァグラスやジャマンガ、大ショッカーも隠す様な戦力は何1つとして出していない。

 と、なれば、フィーネが個人的に隠したいものという事になる。

 だが、当のフィーネは前線には出てきていない筈なのだが。

 

 

「敵に見られたくない、知られたくない事……」

 

 

 見られたくない、知られたくない。

 フィーネは一体どんな秘密を抱えているのか。

 確かに謎めいた美女という風ではあったが、敵側に隠さなくてはいけない『何か』が彼女にはあるらしい。

 

 

「……フム、駄目ですね。情報が少なすぎます」

 

 

 しばし考えた後、エンターは結論が出ない事を悟った。

 フィーネが何を隠していたいのかを考えるにしてもキーワードが不足している。

 そもそも今回奪おうとしている代物も何のために奪おうとしているのか。

 エンターにとってフィーネという存在は分からない事だらけだった。

 

 

「ま、敵にならなければ良しとしましょうか」

 

 

 フィーネという女性は正体も目的も一切不明の存在。

 ともあれ一応、『味方』という括りである事に変わりはない。

 味方であればそれでいいという結論を出して、エンターは思考を中断した。

 

 

「……それにしても、大ショッカーの方々は余程戦力が潤沢と見えますね」

 

 

 戦場の方角に目を向けつつ、エンターは呟く。

 

 

「まさか、『5体』も出してくるとは」

 

 

 エンターは上空を飛び続ける二課のヘリをじっと見つめた。

 ヘリは妙な軌道を描いて飛んでいる。

 何かから逃げるような、何かを避けるような。

 とにかく普通に飛ぶのならおかしい、右往左往と言った感じの。

 それはジャガーマン、サイギャング、マッハアキレスに続く、新たな刺客による攻撃によるものだった。

 投入されている5体の怪人、その4体目。

 

 

 

 

 

 弦十郎の頭の中から監視カメラの事はすっかり抜け落ちていた。

 何せ、推理を始めたようとした矢先に敵襲があったのだから。

 

 

「タァァァァカァァァ!!」

 

 

 襲撃者は鳥人間。

 空を飛ぶのを夢見て浪漫を追いかける人間、何て人情味溢れた存在ではない。

 むしろ人情の欠片など一片も無い怪人。

 顔や翼、爪は獰猛な猛禽類、それに鳴き声でも『タカ』と言っている。

 それでいて全体的な形は人型。

 鷹、あるいはそれに準じた鳥の能力を持つ怪人なのは一目瞭然だ。

 

 怪人の名は『タカロイド』。

 本来ならば『バダン帝国』に属する怪人であるが、現在は大ショッカーの一員である。

 

 

「くっ……!!」

 

 

 タカロイドは弦十郎の乗るヘリに狙いを定め、自分の翼から羽を打ち出す。

 この羽は『羽手裏剣』と呼ばれ、仮面ライダーにもダメージを与える事が出来る飛び道具だ。

 ヘリの回転翼目掛けて放たれた羽手裏剣はヘリの側面装甲部分に突き刺さった。

 咄嗟に操縦士がヘリを動かしたのだ。

 あのまま当たっていれば回転翼は壊れ、あわや墜落とまでなっていたかもしれない。

 危険を察知した操縦士の見事な判断である。

 しかし、タカロイドの羽手裏剣は無尽蔵と言ってもいいほどある。

 ヘリはそれを避け続けるしかないが、機動性に差がありすぎる。

 

 

(どうするか……)

 

 

 危険な時こそ焦らずに考える。

 余裕はないが、あくまでも落ち着いて弦十郎は思考を始めた。

 弦十郎の身体能力は破格の物で、タカロイドにダメージを与える事など造作もない。

 が、此処は空中な上、タカロイドは飛び道具を使っている。

 弦十郎の武器はその肉体そのものである。

 拳、脚、そこから繰り出される恐ろしいも通り越して、呆れた威力の一撃。

 必然、弦十郎の戦闘スタイルは接近戦が主である。

 ついでに言えば飛べない。

 ある程度の建物の屋上までなら跳躍できるのだが、飛行となると話は別だ。

 

 では、ヘリから飛び出してタカロイドに飛びかかり、地上に落ちるか?

 この策はやめた方が良いと弦十郎の脳内が告げた。

 ヘリの高度は問題ではなく、むしろこの高さから落ちても体勢さえしっかりしていれば何とかなるだろう。

 

 問題は、地上に降りてノイズがいないか、だ。

 地上には現在ノイズの反応が確認されている。

 タカロイドと1対1ならともかくノイズが出てくると弦十郎も勝つ事はできない。

 しかしノイズには飛行するタイプもいるので、こうしてうだうだと考えていれば結局ノイズの襲撃に遭うかもしれない。

 

 そもそも、ヘリ自体を手放す事も考えたのだ。

 操縦士を連れて飛び降りれば済む話ではあるのだが、そうもいかない理由がある。

 このヘリで全体の戦局を見て指示を出し、各場所で戦う戦士達のサポートをしている状態だ。

 それに指揮官である弦十郎が全体を見渡せない位置に行くという事もあまり良い事ではない。

 つまり現状、このヘリを守りつつ、敵の攻撃を振り切る事が要求されている、という事だ。

 

 こうしている間にもヘリは右往左往、上下移動を繰り返し、タカロイドから必死に逃れようとしている。

 対して、タカロイドは空中を悠々と飛行して飛び道具を放ち続けている。

 さらに言えばタカロイドの攻撃はだんだんと勢いを増していた。

 恐らく、ヘリが中々撃墜できない事に苛立ってきているのだろう。

 羽手裏剣がヘリの装甲に突き刺さり、装甲は羽に覆われたようになっていく。

 このままでは単純に装甲が破られてヘリが墜落してしまう。

 そこで弦十郎は、少しでも状況を打開しようと行動に出た。

 

 

「ぬぅ!!」

 

 

 勢いよく、それでいて手加減しながらヘリの扉を開ける。

 何と弦十郎はヘリの入り口を空けて見せたのだ。

 弦十郎の髪が風の勢いに煽られるものの、本人は一切動じていない。

 突飛すぎる、さらに言えば常識外れな行動にタカロイドも一瞬だけ困惑の表情を見せた。

 が、すぐに気を取り直し、タカロイドは弦十郎目掛けて羽手裏剣を発射した。

 その身を晒した事を挑発とでも受け取ったのだろう。

 タカロイドの、生身の人間なら一瞬で貫く様な羽手裏剣が複数、弦十郎に飛んでいく。

 

 

「ハッ!!」

 

 

 右手と左手を交互に、素早く動かす。

 意味不明の挙動に錯乱でもしたのかと笑うタカロイド。

 だが、その笑いは一瞬のうちに霧散する事になる。

 

 

「……意外と、何とかなるもんだ」

 

 

 そう言って弦十郎は両手をタカロイドに見せた。

 両手の指の間には、何と羽手裏剣が挟まっている。

 ヘリには新たな外傷は認められず、弦十郎に被弾した様子もなく、弦十郎の後ろにあるもう片側の扉にも羽手裏剣は1つたりとも刺さっていない。

 そう、弦十郎は羽手裏剣を全て、目視で掴んで見せたのだ。

 怪人の動きであろうと、それを見切れる動体視力を持つ弦十郎でこその技だ。

 

 彼が強烈な一撃を放つためには、踏ん張りを利かせる必要がある。

 その際に足元にかかる衝撃もまた強烈なもので、そんなものをヘリで放とうものなら、タカロイドではなく弦十郎のせいでヘリが墜落しかねない。

 それに接近しなければ十分な効果は得られず、タカロイドを退ける事も出来ない。

 攻撃手段の殆どが封じられていた中で弦十郎が唯一出来そうだった事がこれだった。

 弦十郎ではなくコックピットやら回転翼に羽手裏剣が放たれていたらどうなっていたかは分からない。

 上手く誘いに乗ってくれたが故だ。

 

 それに、この一連の動きには敵の攻撃を一度防げた以外にも意味がある。

 それは生身の人間が怪人の動きを全て見切る事で相手に動揺を与える事だ。

 怪人は悪意の塊、情を見せる事などありはしない。

 だが、感情があるのも事実であり、プライドも持っている。

 実際、弦十郎に全て攻撃を受け止められたことでタカロイドは確実に動揺していた。

 攻撃の手が思わず止まってしまう程度には。

 それだけでも意味があった行動と言えるだろう。

 

 

(しかし、倒す事はできない、か……)

 

 

 羽手裏剣をヘリから捨てつつ、呆然とするタカロイドに弦十郎は目を向けた。

 有効打は何1つ無い。

 万全の状態で戦えれば有効打など幾らでもあるのだが、如何せん、状況が悪い。

 火器類でも装備してくるべきだったかと少々後悔しているうちに、タカロイドは呆然状態から脱却してしまった。

 しかも、瞳に確かな怒りと憎しみを携えながら。

 弦十郎に攻撃を全て捌かれたのが余程悔しく、プライドに傷をつけられたのだろう。

 まるでロケットの音のような唸り声を上げている。

 

 

(……唸り、声?)

 

 

 だが、それがタカロイドの唸り声で無いと弦十郎にもすぐに分かった。

 唸り声にしては遠くから聞こえてくる上に、あまりにも生物の鳴き声からは遠い音。

 何より、その音にタカロイドも反応し、音のする方を見つめていた。

 

 

「おおぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 唸り声が聞こえた。

 ただし、タカロイドではなく、弦十郎でもなく、全く別の第3者の。

 若い青年が勇猛果敢な唸り声を上げている、と言った感じの声色。

 しかし、此処は上空だ。

 何をどうして若い青年がいるであろうか。

 だがその疑問は、一瞬のうちに払拭される。

 

 

 ――――WINCH ON――――

 

 

 不意打ち気味の電子音声と共にフックが取り付けられたワイヤーがタカロイドを縛りあげた。

 そのワイヤーの持ち主である、白い宇宙飛行士のような存在が同時に姿を現した。

 左腕にドラム式ウインチユニットを身に着け、そこから出ているワイヤーがタカロイドを縛っていた。

 さらに右腕にはオレンジ色のロケット、左足には黄色いドリルが装備されている。

 宇宙服というには、あまりにもおかしな姿をしていた。

 

 タカロイドにとっては幸いだったのは、ワイヤーが巻き付いているのは胴体だけで、翼の部分は無事だった事だ。

 危険を察知したタカロイドはその場から素早く飛行をし始めた。

 胴体に巻き付いたワイヤーを振り払うために。

 高速で移動するタカロイドにワイヤー越しで引っ張られる白い宇宙飛行士はガックンガックンと振り子のように揺れていた。

 

 

「うおぉぉおぉおぉ!!? この野郎ッ!!」

 

 ――――ROCKET DRILL WINCH――――

 

 ――――LIMIT BREAK!――――

 

 

 白い宇宙飛行士はベルトのレバーを操作した。

 流れてきた電子音声の後、右手のロケットと左足のドリルをタカロイドに向ける。

 そしてロケットが猛烈な噴射を、ドリルが凄まじい回転を始め、強烈な推進力を得た白い宇宙飛行士はタカロイドに一直線に飛んで行った。

 

 

「タァァァカァァァァァ!!」

 

 

 自分に迫る白い宇宙飛行士が、ロケットの推進力でドリルを炸裂させる攻撃をしようとしているのは火を見るよりも明らかだ。

 タカロイドは必死に動いて攻撃をかわそうとする。

 が、胴体に巻き付いたワイヤーを辿っている白い宇宙飛行士を振り切る事は、不可能だった。

 ロケットが噴射を、ドリルが回転を始めたと同時に、左腕のドラム式ウインチユニットが火花を出す勢いでワイヤーを巻き取り始めていたのだ。

 ロケットの推進力とワイヤーの巻き取っていく勢いが加算され、その速度はタカロイドの飛行速度を上回るものとなっていた。

 

 

「『ライダーロケットドリルキィィィィィック』!!」

 

 

 高らかに宣言された技の名前と思わしき叫びと共に、左足のドリルがタカロイドを貫いた。

 

 

「タ、カァァァァ……!!」

 

 

 貫かれた衝撃とダメージでタカロイドは断末魔と共に爆散。

 後には白い宇宙飛行士と、空に舞い散るタカロイドの羽だけが残った。

 

 

「おっしゃ!」

 

 

 ガッツポーズを取りながら白い宇宙飛行士はベルトのスイッチを操作し、左腕と左足の装備を解除する。

 右腕のロケットだけは解除せず、それを用いて弦十郎の乗るヘリに向かった。

 白い宇宙飛行士は勢いよくヘリに突っ込むと同時に右腕のロケットも解除。

 しかし勢いが良すぎたのか、半ば滑り込む形となった白い宇宙飛行士は、ヘリの中でうつ伏せのような体勢となってしまっていた。

 突然タカロイドを倒し、突然滑り込んできた白い宇宙飛行士に弦十郎も困惑するばかりだ。

 白い宇宙飛行士はバッと顔を上げると、勢いそのままに立ち上がった。

 

 

「いってぇ!?」

 

 

 ヘリの中は狭い。

 特に天井は低く、立ち上がろうとすれば頭をぶつけるのは当然だ。

 白い宇宙飛行士はものの見事にそれをやってのけた。

 落ち着きがない、というのが弦十郎の第一印象だった。

 ロケットの先端部分のように丸みを帯びつつも尖った頭を撫でながら、白い宇宙飛行士は膝立ちの体勢で弦十郎と向き合う。

 

 

「ってて……どもっす!」

 

 

 頭を下げる白い宇宙飛行士。

 困惑しつつも、弦十郎はその正体を尋ねた。

 

 

「あ、ああ……君は?」

 

「俺は仮面ライダーフォーゼ、如月弦太朗! 翔太郎先輩と一緒に助っ人に来たっス!」

 

 

 元気一杯な若者といった風な白い宇宙飛行士の名は、フォーゼ。

 ベルトと先程の技名からもしや、とは思っていたが、どうやら仮面ライダーらしい。

 しかし弦十郎が士から聞いている助っ人は『仮面ライダーW』と聞いているのだが。

 それに『翔太郎先輩』なる人物が弦十郎には分からない。

 

 

「翔太郎……?」

 

「あ、えっと……W先輩の事っス」

 

 

 人名で言っても分からない事を察したフォーゼはWの名前を出した。

 成程、Wというライダーがさらなる助っ人を連れてきてくれたのだ。

 そんな風に弦十郎も理解した。

 

 

「では、君は仮面ライダーWと一緒に助けに?」

 

「うっす!」

 

 

 力強く頷くフォーゼ。

 仮面ライダーの助っ人が来てくれる事は士を通して伝わっているが、これは嬉しい誤算だ。

 人手が足りていない状況の中でもう1人、仮面ライダーが来てくれるとは。

 何とも心強かった。

 しかもタカロイドを倒し、ヘリを守ってくれた。

 ヘリは装甲に突き刺さった羽は残りつつも、正常に機能している。

 この調子ならば弦十郎が引き続き指揮をする事も十分に可能だ。

 グッドタイミングな助っ人に弦十郎も思わず笑みが零れる。

 

 

「そうか……ありがとう」

 

 

 感謝の言葉にフォーゼは親指を立て、サムズアップで答えた。

 仮面の奥で弦太朗はにこやかに且つ満面の笑みを浮かべている。

 仮面越しでもそれが分かるくらいの笑みと雰囲気だ。

 

 

「俺は風鳴弦十郎。今回の任務の指揮を担当している」

 

 

 一先ず弦十郎は自分の名を名乗った。

 その名前にフォーゼが少し反応を見せる。

 

 

「弦十郎さん、か……」

 

「ん? ……ああ、君の名前は如月弦太朗、と言っていたか」

 

 

 最初に名乗った時に仮面ライダーとしての名前と一緒に本名も名乗っていた。

 弦太朗と弦十郎。

 最後の一文字は漢字が違うが、名前はかなり似ている。

 やはり似ている名前というのは親近感が湧くのだろう。

 弦太朗も弦十郎も、ある特定の人物から特定のあだ名で呼ばれており、そのあだ名まで一致しているのだが、そんな事は露とも知らない。

 そもそもそんな事を考えられるような状況でもないのだが。

 

 

「下ではまだ、我々の仲間が戦っている。助けてやってくれないだろうか」

 

「勿論っスよ!」

 

 

 弦十郎の言葉の後、一瞬の間も置かずにフォーゼは明るく言ってのけた。

 

 

「俺、その為に来たんスから!」

 

 

 そしてもう一度サムズアップをして、入って来たヘリの扉から、今度は飛び出していった。

 すぐさまロケットスイッチを起動し、ロケットモジュールを装備。

 フォーゼは下の戦場に向かって行った。

 

 

「…………」

 

 

 飛び出していったフォーゼの姿を神妙な面持ちで見つめる弦十郎。

 仲間の為に、誰かの為に戦ってほしい、助けてやってほしい。

 そう言っただけでフォーゼというライダーは簡単に飛び出していってしまった。

 あまつさえ、そもそもその為に来たのだと言い放って。

 声色や雰囲気からしてフォーゼというライダーの変身者はまだ若い人間であろう事は予想がついた。

 

 

(彼もまた、こちら側……か)

 

 

 誰かの為に自分の危険も顧みない精神。

 もしかしたらそれは響に対して感じたような『歪み』なのかもしれない。

 人類の自由と平和の為に無償で戦う戦士、仮面ライダー。

 どうして彼等がそこまでできるのか、弦十郎には分からない。

 だが、その姿が酷く頼もしく感じられる事だけは確かだった。




――――次回予告――――
『スーパーヒーロー作戦CS!』

「熱暴走起こしそう……」
「助太刀させてもらうぜ!」
「私、歌いますッ!」
「お宝にも期待できそうだ」

青春スイッチ、オン!

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