スーパーヒーロー作戦CS   作:ライフォギア

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第15話 一体となった力

「『レゾリューションスラッシュ!!』」

 

 

 レッドバスターの叫びと共に、ゴーバスターエースがエネトロンをチャージしたバスターソードをタイプαのうち1体に振るう。

 その一閃は見事にタイプαを一刀両断し、破壊した。

 しかし未だもう1体のタイプα、タイプβが素体のフォークゾード、そして強敵のタイプγが残っている。

 

 

「クソッ、α1体にエネトロンを使いすぎたか……!」

 

 

 バスターマシンはエネトロンで稼働しており、その必殺技はエネトロンを多大に消費する。

 むやみやたらに必殺技は打てない。

 ゴーバスターエースのエネトロン残量はまだあるし、稼働も戦闘もこなせる範囲内だ。

 

 しかしそれは相手が残り1体程度ならばの話。

 此処からの戦闘を考えればどう考えてもゴーバスターエースのエネトロン残量は少なすぎた。

 しかし考えていても仕方がない、レッドバスターはゴーバスターエースを2体目のタイプαに向けた。

 が、既に2体目のタイプαはGT-02に追い詰められているようだった。

 ゴーバスターエースの様子に気づいたのか、ブルーバスターから通信が入る。

 

 

「ヒロム! こっちはいいからβとγを!!」

 

 

 そう、空という有利な位置から攻撃しているとはいえ、RH-03が単独で2体を足止めしている状態なのだ。

 そちらをいつまでも放っておくわけにもいかない。

 

 

「分かりました!!」

 

 

 通信に答え、レッドバスターは急ぎタイプβとタイプγに機体を向けた。

 見ればRH-03が空中というアドバンテージを生かし、敵を翻弄していた。

 しかし翻弄しているだけ。

 実際、タイプβとタイプγにあまりダメージはないし、RH-03にゴーバスターエースのような決め技は無い。

 ゴーバスターエースはバスターソードを構え、タイプβとタイプγの2体に突進していった。

 

 

 

 

 

 一方、フォークロイドを倒し、戦闘員も全滅。

 ディケイド達の方は完全に片付いていた。

 彼らは今、ゴーバスターズの戦いを見ていた。

 

 

「さすがにあんなデカイ敵は初めてだぜ」

 

 

 リュウケンドーの呟きにリュウガンオーも頷く。

 彼らの戦う悪の軍団、ジャマンガは巨大な敵をぶつけてくる事もある。

 だが、50mクラスの敵はさすがに経験がない。

 剣二はリュウケンドーになって日が浅いというのもあるが、先輩の銃四郎ですら戦った事のない巨大さ。

 

 ディケイドは戦った事がないわけではないが、その時は他のライダーが必ずいた。

 だが今回は自分1人。

 

 シンフォギア装者はというと、響は言わずもがなとしても、翼も巨大な鋼鉄の兵器と戦った事などない。

 と、此処でゲキリュウケンがリュウケンドーに提案した。

 

 

『剣二、アクアリュウケンドーだ。あれなら巨大な敵でも凍らせる事が出来る』

 

 

 唐突なゲキリュウケンの声に、リュウケンドーとリュウガンオー以外の面々がリュウケンドーの剣を見た。

 

 

「意思があるのか……」

 

 

 冷静なディケイドの言葉だが、響や翼は呆気にとられている。

 まさか剣に意思があるなんて。

 ゴーバスターズやディケイドと合流して、シンフォギア以外の『力』を目にしてきたが、喋る剣とお目にかかるのは初だ。

 武器や物に意思がある、そんな事考えもしていなかった。

 

 一同の驚きを余所に、リュウケンドーは納得したように頷いた。

 

 

「成程……! おっしゃ!」

 

 

 リュウケンドーはすぐさまゲキリュウケンを操作し、マダンキーホルダーから1本の鍵を取り出した。

 それは先程まで使っていた鍵とは違う水色の鍵。

 

 

「『アクアキー!』」

 

 

 そして、変身の時と同じ要領で鍵をゲキリュウケンに差し込み、力を解放。

 

 

「発動!」

 

 

 ────チェンジ、アクアリュウケンドー────

 

 

 ゲキリュウケンの発した声に続き、リュウケンドーも唱えた。

 

 

「氷結武装!」

 

 

 氷の龍がリュウケンドーを中心に回る。

 そしてその龍は変身の時のようにリュウケンドーと一体化。

 一瞬、冷気が放たれる。

 するとリュウケンドーの姿は変わっていた。

 胸や肩を中心に水色の装飾が増え、『氷の剣士』とでも言うべき印象に変わったリュウケンドー。

 

 

「うひゃぁ!? な、なんですかぁ!?」

 

 

 その様子を見ていた響の素っ頓狂な声に答えるかの如く、リュウケンドーは名乗りを上げた。

 

 

「アクアリュウケンドー、ライジン!」

 

 

 アクアリュウケンドー。

 それは水と氷の力を使う事が出来るリュウケンドーの姿。

 

 

(ほう、アイツも色や姿を変えられるのか)

 

 

 響や翼がその様子に驚く中、ディケイドは冷静にその光景を見ていた。

 仮面ライダーにも状況に応じて自分の姿を変化させる者がいる。

 リュウケンドーもその類であるようだった。

 仮面ライダーとはどうも違う気がするリュウケンドーだが、やっている事は似ている。

 少なくともディケイドはそう感じていた。

 

 そして、アクアリュウケンドーにゲキリュウケンがさらにもう一言助言した。

 

 

『『獣王』だ!』

 

「分かってるって!」

 

 

 アクアリュウケンドーはさらにもう1本、鍵を取り出した。

 アクアキーと同じく水色の鍵だ。

 

 

(あの鍵が奴らの力か)

 

 

 ディケイドは彼らが先程から使う『鍵』を見た。

 その鍵は『マダンキー』。

 簡単に言えば魔力が詰まった鍵であり、それを解放するのがゲキリュウケンやゴウリュウガンだ。

 例えば変身の時の『リュウケンキー』や『リュウガンキー』。

 必殺技を放つ時に使っていた『ファイナルキー』。

 

 今使ったのは『アクアキー』。

 用途や能力は様々で、その鍵の力を引き出して彼らは戦うのだ。

 

 

「『シャークキー』!」

 

 

 そしてまた、新たなキーの名前。

 それを先程までと同じように発動する。

 

 

「召喚!」

 

 

 ────アクアシャーク────

 

 

 唯一違うのは、アクアリュウケンドーが放った言葉が『発動』ではなく『召喚』である事だ。

 ゲキリュウケンの声の後、アクアリュウケンドーはゲキリュウケンの剣先を空中に向けて叫ぶ。

 

 

「いでよ、『アクアシャーク』!」

 

 

 ゲキリュウケンの剣先から水色の光が飛び出す。

 それは少し上空で何かに当たるように突然止まり、その光は一瞬で水色の魔法陣を作り上げた。

 その中から一匹の鮫が飛び出してくる。

 ややメカニカルな外見をして、色はアクアリュウケンドーに合わせるかのように水色。

 獣王とは、リュウケンドーやリュウガンオーをサポートする仲間の事だ。

 そしてアクアシャークはアクアリュウケンドーを支援する鮫型獣王である。

 

 

「『アクアボード』!」

 

 

 召喚されたアクアシャークに対し、何かの命令のようにアクアリュウケンドーが叫ぶ。

 それに呼応するようにアクアシャークはみるみる変形していく。

 その形は正しくボード。

 空中に浮かび、アクアリュウケンドーを運ぶアクアシャークのもう1つの姿だ。

 変形したアクアシャークにアクアリュウケンドーは飛び乗り、アクアシャークはタイプαに凄まじい速度で向かっていった。

 

 

「剣二に負けてられないな……『ウルフキー』!」

 

 

 メガゾードに向かっていくアクアリュウケンドーを見やりながら、リュウガンオーもマダンキーを取り出す。

 そしてそれを変身の時と同じように、ゴウリュウガンに装填した。

 

 

「召喚!」

 

 

 ────バスターウルフ────

 

 

「いでよ、『バスターウルフ』!」

 

 

 言葉と共にゴウリュウガンの銃口を空中に向けて引き金を引く。

 弾丸は空中で何かにぶつかるように止まり、先程のアクアリュウケンドーがしてみせたように赤色の魔法陣を形成した。

 そしてその魔法陣からメカニカルな外見の狼が飛び出す。

 獣王バスターウルフ。

 リュウガンオーを支援する、ゴウリュウガンに次ぐ相棒だ。

 

 バスターウルフはすぐさまその姿を変形させた。

 その姿は先頭に狼の頭がついた二輪のバイク、『ウルフバイク』だ。

 リュウガンオーはそれに跨り、ゴウリュウガンを構えながらアクアリュウケンドーと同じくタイプαに向かっていく。

 

 その様子を見たディケイドはマシンディケイダーに跨り、アクアリュウケンドー達を追うかのようにバイクを走らせた。

 翼もまた、天羽々斬の得意分野である機動性を生かしタイプαに接近していく。

 1人置いていかれるわけにもいかず、響もタイプαに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「『ファイナルキー』!」

 

 

 アクアリュウケンドーはアクアボードを軽快に操作して空中を駆け抜け、タイプαを翻弄。

 突然の乱入者にタイプαの相手をしていたブルーバスターは困惑するばかりだ。

 そんな様子を知ってか知らずか、アクアリュウケンドーは既に強烈な一撃を見舞おうとしていた。

 

 

「発動!」

 

 

 ────ファイナルブレイク────

 

 

 アクアリュウケンドーはアクアボードで一旦タイプαから距離を取る。

 そして、口上を発しながら一気にタイプαに接近していく。

 

 

「魔弾龍、獣王、剣士! 三つの力が、今1つになる!!」

 

 

 ゲキリュウケンを構え直し、アクアリュウケンドーは全力を込めた。

 

 

「『三位一体! 氷結斬り』!!」

 

 

 ゲキリュウケンをタイプαに向かって振りかぶった。

 すると、ゲキリュウケンの刀身から凄まじいまでの冷気が放出される。

 吹雪、それすらも凌駕するかもしれないとてつもない冷気だ。

 あまりの冷気はタイプαの巨体を見る見るうちに凍らせていき、タイプαは頭部以外の全ての部分が凍り付いていた。

 

 当然だろう、この攻撃はフォークロイドに浴びせた攻撃よりも遥かに強力なのだから。

 これはただの一撃ではなく、『三位一体』の技。

 通常の、ただの『氷結斬り』ならこうはいかなかった。

 相棒の魔弾龍、サポートメカの獣王、そして自分自身。

 この3体の力を合わせて解き放つ通常よりも強力な必殺技。

 それこそが三位一体なのだ。

 

 

「こっちは任せな!!」

 

 

 アクアリュウケンドーはGT-02にガッツポーズをしながら得意気な声を上げた。

 ブルーバスターとゴリサキからすれば、頼もしい以外の何者でもなかった。

 

 

「お願いします!」

 

 

 今の一撃でリュウケンドーという存在がメガゾードを相手に出来る程の力を持っている事を確信したブルーバスターは、迷わずGT-02をタイプβとタイプγに向け、ゴーバスターエースとRH-03の援護に入った。

 

 

「おい剣二! お前だけに良いカッコはさせないぜ!!」

 

 

 何処からか声が響いてきた。

 呼ばれたアクアリュウケンドーが声の方向、地面を見やる。

 ウルフバイクで疾走するリュウガンオーの姿があった。

 

 

「ファイナルキー! 発動!!」

 

 

 ────ファイナルブレイク────

 

 

 リュウガンオーもまた、リュウケンドーと同じく必殺の鍵をゴウリュウガンに装填。

 ゴウリュウガンの声の後、ウルフバイクを走らせながら立ち上がる。

 それと同時にウルフバイクのフロントフォークがせり上がり、前方に向く。

 そのフロントフォークには銃口があり、銃口を前方に構えるバイクという姿にウルフバイクは変形した。

 リュウガンオーはゴウリュウガンを構えて、宣言するように叫ぶ。

 

 

「魔弾龍、獣王、銃士! 3つの力が、今1つになる!」

 

 

 ゴウリュウガンの銃口とウルフバイクのフロントフォーク、その2つの銃口。

 その3つの銃口にエネルギーが溜まっていく。

 

 

「『三位一体! ドラゴンキャノン!!』発射!!」

 

 

 気合と共にゴウリュウガンの引き金を引くと、3つの銃口全てから赤い龍のエネルギーが飛び出す。

 巨大な3発の龍の弾丸は凍り付いているタイプαの左腕付近に直撃した。

 元が機械で凍り付いていたためか、直撃した部分は氷が砕けるように粉みじんに吹き飛んだ。

 

 

「ジ・エンド……」

 

 

 ウルフバイクを止め、タイプαに背を向けて呟いた。

 その言葉と共に、バランスの崩れたタイプαは凍り付いた体をそのままに崩れ落ちた。

 地面に激突したタイプαはバラバラに崩れ、内部の機械がショートしたのか爆発と共に完全に消え去った。

 機体の殆どが凍っていたところに先程のドラゴンキャノンが特大の衝撃となり、正しく氷が砕けるかのようにタイプαは粉々になったのだ。

 

 何より、リュウガンオーが放った技もまた、アクアリュウケンドーと同じく三位一体の技。

 その威力は凄まじい。

 

 

「ずるいぜおっさん! いいとこ取りなんてよー!!」

 

 

 アクアボードをリュウガンオーの横まで走らせ、アクアリュウケンドーは子供っぽい抗議をした。

 そんなアクアリュウケンドーにリュウガンオーはあくまでも落ち着いた姿勢で答えた。

 

 

「お前だってフォークみたいな奴を倒しただろ? お相子だお相子」

 

 

 しかしアクアリュウケンドーは拗ねたような態度のままだ。

 ディケイドと共に倒したのだから自分のいいとこじゃない、なんて思っているのだ。

 まだ1ヶ月と少しだが、剣二の人となりが分かってきた銃四郎にはそれが感じ取れた。

 それを言えばドラゴンキャノンでタイプαを粉砕できたのは剣二の御膳立てあってこそなのだが。

 そんな事を考えつつ、リュウガンオーの仮面の奥で銃四郎は「やれやれ」という顔で笑った。

 

 やや遅れてきたディケイド達はリュウケンドーとリュウガンオーの実力に驚いていた。

 

 

「あれだけの巨体をたった2人で……」

 

 

 2年以上戦い続けている翼ですら、驚愕の色を隠しきれない。

 ディケイドも実のところ、これには少し驚いていた。

 人と同じくらいの大きさのままで巨体の敵を撃破する。

 仮面ライダーにもできない事は無いかもしれない。

 とはいえ、リュウケンドーとリュウガンオーは真っ向から等身大で巨体を撃破して見せた。

 獣王という力を借りているとはいえその力には目を見張るものがある。

 

 

「なかなかやるらしいな……」

 

 

 自信家の士も、彼らの実力を少々認めている様子だ。

 しかし感心している場合ではなかった。

 何故ならまだ、戦いは続いている。

 

 

 

 

 

 

 

「『特命合体』!!」

 

 

 レッドバスターの掛け声とともに、3人は操縦席にあるタッチパネルに『GB5』のコードを入力する。

 すると、GT-02とRH-03が幾つかのパーツに分離、ゴーバスターエースも変形する。

 そしてパーツとなったGT-02とRH-03がゴーバスターエースに合体していく。

 これこそ、『コンバインオペレーション』による『特命合体』。

 3人の機体を1つに集め、より強力な力とする合体だ。

 

 

「「「『ゴーバスターオー』! レディ……ゴー!!」」」

 

 

 合体完了と同時に、3人が息を合わせて掛け声を発した。

 ゴーバスターオー。

 それこそ、合体を果たした3機の今の名前だ。

 手に持つバスターソードもRH-03のパーツが合体し『ブーストバスターソード』となりパワーアップしている。

 

 ゴーバスターオーは3つの力を合わせた機体。

 当然、その力は合体前の3機を上回り、これを超えるメガゾードは今の所存在しない。

 だが、ゴーバスターズが質だとすればヴァグラスは量。

 そして何よりもゴーバスターオーには無視しがたい欠点がある。

 3人はそれを誰よりも理解しているし、だからこそ3人は少し焦っていた。

 いや、3人だけでなくバディロイド達も。

 

 ブルーバスターからレッドバスターに向けて通信が入る。

 

 

「どうするヒロム! 『ディメンションクラッシュ』は一発が限界だよ!」

 

 

 そう、ブルーバスターの言うそれこそがゴーバスターオーの欠点。

 ゴーバスターオーは確かに強い。

 だが、パワーの代わりに合体時、そして必殺技を放つときに大量のエネトロンを消費するのだ。

 元々、ディメンションクラッシュはゴーバスターオーの半分以上のエネトロンを使って放つ大技。

 それを避けられたり破られたりすればその後の戦闘続行は極めて困難、絶対的な不利が待っている。

 

 相手は2体。

 2体同時に決める事も考えたが、何せタイプβはメタロイドのデータをインストールされてチューンナップされていて、タイプγはそもそもゴーバスターオーでないと対応できない強敵。

 同時に倒す事はほぼ不可能。

 そしてそれは、どちらか片方に確実に止めが刺せないという事を意味していた。

 

 だが、そうしてどちらに技を出すか決めあぐねているうちに数が多いヴァグラス側が徐々にゴーバスターオーを圧し始めた。

 

 

「クッ……!!」

 

 

 普段冷静なレッドバスターもこの状況には焦りの色が隠せない。

 打開策は無いのか。

 その考えだけが頭の中をぐるぐると回っていた。

 

 

 

 

 

 先程消えたエンターは遠くのビルからゴーバスターオーとメガゾードの様子を伺っていた。

 表情は非常に愉快そうに笑っている。

 

 

「フム……ゴーバスターズもなす術がないようですね」

 

 

 くるりと回り、表情を一転、真剣な表情になる。

 

 

「しかしあのリュウケンドーとリュウガンオーなる者達……随分と力がある。

 まさか、メガゾードが1機やられるとは」

 

 

 ゴーバスターズの機体のような存在にしかメガゾードは破れない。

 エンターはそう思っていたのだが、例外が現れてしまった。

 ひょっとしたらゴーバスターズが1ヶ月程前に組み始めた連中もそれぐらいの力があるのかもしれない。

 そう考えると、ゴーバスターズを追い詰めているとはいえ、楽観はできなかった。

 

 例え此処でゴーバスターズを潰せたとしても残った連中が必ず抵抗するだろう。

 それにどちらにしてもヴァグラスの目的の為にはエネトロンが必要だ。

 どんな形であれ、次なる一手は確実に必要となる。

 

 考えを巡らせる中、エンターの周りが突然暗くなった。

 

 

「……ん?」

 

 

 辺りを見渡す。

 どうやら日の光が何かに遮られているらしい。

 と、なれば原因は当然上空。

 上を見上げたエンター。

 

 

オーララ(おやおや)……」

 

 

 エンターの視界はあるもので埋まっていた。

 巨大な鳥、大型の機械。

 空中を浮遊するそれは、輸送機といったところだ。

 

 だとすれば、一体何を運んでいるというのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

『ヒロム! こっちに何か来る!』

 

 

 ニックの発言にレッドバスターはレーダーが反応を示している方向を向いた。

 それを見た時ゴーバスターズの3人とバディロイド3体、そして敵メガゾードですら一瞬動きを止めた。

 巨大な輸送機らしき飛行物体がゴーバスターオーから見て遥か斜め上に位置していた。

 

 輸送機の下部が開き、『何か』が発進する。

 それも1機ではない。

 次々と投下されていき、合計4機のマシンが輸送機らしき飛行物体から出現した。

 4機のマシンはそれぞれ、1機の戦闘機、2機の軽戦車、1機の重戦車という編成だった。

 しかし、驚くべき事が起きた。

 4機のうちの2機の軽戦車型が変形したのだ。

 片方はサイのような姿に、もう片方はライガーのような姿に。

 

 

「変形しただと……!?」

 

 

 レッドバスターは自分達の今乗っている機体と似ている、と思った。

 CB-01、GT-02、RH-03はCB-01のみゴーバスターエースへの変形機構を持つが、バスターアニマル形態とバスタービークル形態はその3機全てが持っている機能だ。

 謎の4機のうち2機が行った変形は、正しくそれを想起させるものだった。

 

 サイ型の機体とライガー型の機体はタイプβに飛びかかった。

 突然の攻撃にタイプβも怯み、後ずさってしまう。

 

 さらに残る2機、他の3機よりも小型な戦闘機型の機体は人型に変形し、ダガーのようなものをタイプγに投げつけた。

 攻撃が当たったタイプγはダメージこそ見受けられないものの、その衝撃でややふらつきを見せた。

 そして他の3機よりも大型の重戦車型は見かけどおり、砲撃でγを攻撃し始めていた。

 

 

「味方なの……?」

 

 

 イエローバスターの問いに答えられる者は誰一人としていない。

 だが、ブルーバスターは別の形での回答を持ち合わせていた。

 

 

「……まさか!!」

 

 

 4機を見てずっと引っかかりを覚えていたブルーバスターが何かに気付き声を上げた。

 レッドバスターはそれに対し、「どうしたんですか」と尋ねた。

 その問いにブルーバスターはすぐに、しかし狼狽えながら答えた。

 

 

「多分、あの4機は……」

 

 

 4機の猛攻でタイプβとタイプγは押されている。

 ゴーバスターオーは立ち尽くすばかりだ。

 

 ブルーバスターの次の言葉を待たず、謎の4機のマシンは上空に飛び、変形を始めた。

 サイ型の機体とライガー型の機体は軽戦車型へ戻り、重戦車型はその姿を人型に近い形に変形させた。

 そして重戦車型の右足にライガー型だった軽戦車型が、左足にサイ型だった軽戦車型が合体する。

 そして、頭部には戦闘機型が合体。

 戦闘機型が変形した頭部は人の顔に近い。

 そう、4機は1つの人型の機体に合体したのだ。

 まるでゴーバスターオーのように。

 

 その姿を見てブルーバスターの考えは確信に変わった。

 それは世界中で噂され、謎の存在となっているロボットの姿そのものだった。

 ブルーバスターはその名を、ゆっくりと告げた。

 

 

「ダンクーガ……!!」




────次回予告────
今度はダンクーガとかいう妙なロボットまで出てきたぜ。
どうなっちまうんだよあけぼの町!?
驚きの連続だけど、この町は絶対に守り抜いてやるぜ!
次回も、スーパーヒーロー作戦CSで突っ走れ!

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