ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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最初に言っておく。


かーなーり、読みづらい!!


MAGIC71『消えない希望』

 

「ロキ……!」

 

苦々しくロキを見つめるウィザードAD。

一見すると後ろで倒れている二人相手に無傷で切り抜けたのかと思っていたが、その肉体には幾重もの傷跡が。

 

『いかに我とて無傷で乗り切るのは至難の業だったさ。だがこの程度!取るに足らん傷だ!!』

「チッ……!」

『それにしても貴殿には驚かされる。まさか纏まりのない四つのエレメントを一つにし、尚且つ安定させるとはな。普通ならばその力は反発しあい、使用者の肉体を崩壊させるまでに増幅するものだが……恐らくはその奇妙な玩具の恩恵か』

 

奇妙な玩具、とはドラゴタイマーの事だ。

 

『まぁ、だからと言って我が負ける道理は一縷もない!!』

「ッ!!」

 

ロキは両腕に魔力をまとわせると、勢いよくウィザードADに突っ込む。

ウィザードADはそれを両腕の爪で防ぎ、脇腹に蹴りを叩き込む。

 

『……良い一撃よ!だがそれしきで我は倒れんよ!』

「うおっ!!」

 

ロキは手に纏わせている魔力を膨張させると一気に爆発させる。

それを零距離で食らったウィザードADは地面に叩き落される。

 

「いってて………。こうなったら最終手段だ!」

 

ウィザードADは左手の爪を消すと、魔方陣から小槌を取り出す。

――――ミョルニルだ。

 

『それはミョルニル……!オーディンめ、そこまでして我を止めようとするかッ!』

「こいつのヤバさは分かってんだろ?これで……フィナーレだッ!!」

《Transfer!!》

 

ウィザードADが魔力を譲渡すると、小槌は一転して稲光を纏った巨大な鉄槌になった。

 

「うぉらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

 

ウィザードADは天高く飛翔すると、一思いにミョルニルを振り下ろした。

 

 

 

 

 

ズガァァァァァァァァァァンッ!!!!

 

 

 

 

巨大な爆風と共に巻き起こる鳴動に、その場にいた全員が動きを止めた。

 

「お父様!!」

 

ヘルがロキの名を叫ぶ。

 

「余所見とは余裕だな!!」

「っ、あぁぁぁぁ!!」

 

その隙を逃すほどティアマットは甘い相手ではない。

力の均衡が崩れたのを契機に、ティアは一気に魔法で押し切った。

 

 

 

 

 

やがて煙が晴れると――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガッ………………ハッ……………!!」

 

苦悶の声を持たすウィザードADと、

 

 

 

 

『クハハハハ……危うく死ぬところだったぞ……!!』

 

先程以上にボロボロとなったが、確かにその場に立っているロキの姿があった。

 

 

「イッセー!!」

「あれは……!?」

 

ウィザードADの体に突き立てられている刃もそうだが、彼の両腕に噛みついている二体の獣がいた。

それを見て、フェンリルは薄ら笑いを浮かべる。

 

「我の息子たちだ……」

「まさか……フェンリル!?」

 

それを聞いたバラキエルは信じられないとばかりに声を荒げた。

だがそれはロキ自身によって打ち消される。

 

『その通りだ!名はハティ、スコル!共にフェンリルの子供だ!!さぁハティ、スコル!父と共に残る者共を殲滅せよ!!』

 

それを聞いた子フェンリルはウィザードADから離れると、木場達に襲い掛かる。

木場は空かさず聖魔剣を複数産み出すとフェンリルめがけて撃つ。

 

ハティ、スコルはそれを残像が生まれるほどのスピードで躱すと、一気に木場に肉薄する。

木場はバックステっプで素早く距離を取り、その場所に聖魔剣を咲かせるが、そうはさせまいとフェンリルが鎖をふるった。

 

「くっ!?」

「その技は既に見飽きた……大人しく死ね」

「生憎だけど……死ぬつもりはないね!」

 

ザシュッ!

 

フェンリルは足元に違和感を感じた。

下を見ると、自身の足に深々と聖魔剣が突き刺さっていた。

 

「…!」

「ゼノヴィア!イリナさん!」

「任せろ!聖牙天衝!!」

「喰らいなさいっ!!」

 

デュランダルによる莫大な光刃と光の鞭が一気にフェンリルへと襲い掛かった。

 

「……少しばかり侮っていたらしいな。お前達への認識、改めさせてもらう」

 

彼方此方から出血しているフェンリルだったが、それに構うことなく木場へと一気に迫る。

 

「木場!」

「っ!」

 

木場は聖魔剣を一本フェンリルめがけて投げるが、フェンリルはそれを片手で上へと弾いた。

 

「終わりだ――――ッ!?」

 

フェンリルの一撃が木場へと突き刺さった――――筈だったが、両腕は空を切ったばかり。

 

 

ドシュゥ!!

 

「………!!」

 

それだけではない。

背後からフェンリルの体には刃が食い込んでいた。

 

「僕はまだ……手の内全てを見せたとは言ってないよ」

「き、さま………!」

 

そう言ったのは木場。

そしてその手に握られているのは――――先程フェンリルが上へと弾いた聖魔剣であった。

 

「ぬ、っぅおぉぉぉぉ!!」

「!!」

 

フェンリルは苦悶の叫び声をあげると、元の獣形態へと戻った。

それと同時に、フェンリルは一瞬で姿を消した。

 

「一体何処に……」

「木場祐斗。今は目の前の関門を突破しましょう」

「……そうですね」

 

疑念は残るものの、アーサーに言われた木場はハティ、スコルへと向き直る。

 

 

 

 

 

 

「ぐっ、はぁ、はぁ………!!」

 

一方、ウィザードADは痛みを無視して再び立ち上がった。

 

「…無事なようだね。兵藤一誠」

「…ヴァーリ、カイト」

 

ウィザードADの隣に立ったのは先ほどまで倒れていたヴァーリとカイトの二人。

 

『……貴殿等に何時までも邪魔立てされるのは少々面倒だな。悪いが、これで終わらせてもらうぞ!』

 

そういうと、露機の眼前の虚空が歪み始める。

何か来る、と感じた三人は油断なく構える。

 

『まずは貴殿だ――――白龍皇!!』

「!?」

 

ロキの言葉が終わった瞬間、ヴァーリから鮮血が溢れ出た。

ウィザードADとカイトが見ると、ヴァーリの肩へと噛みついているフェンリルがいた。

 

「ヴァーリ!!」

『これで残るは、二人だ!!』

 

勝ち誇ったかのように叫ぶロキ。

だからこそ気付けなかった。

 

 

《Dvide Field!!!》

 

自身の周りの空間が歪んでいることに。

 

『ぬ……!?』

「妨害されると困るのでね………カイト!!」

「……光子の鎖(フォトン・チェーン)!」

 

ロキが脱出しようともがいている間、ヴァーリは次の行動に移っていた。

カイトに命じ、カイトは光を帯びた鎖を生成するとヴァーリ毎フェンリルを拘束した。

 

「え……!」

 

訳が分からず困惑するウィザードAD。

そんな彼に、ヴァーリは告げる。

 

「兵藤一誠……フェンリルは俺が片付ける」

「な、何言ってんだよ!?」

『フハハハハ!その傷で何ができる!?』

「天龍を……ヴァーリ・ルシファーを嘗めるな……!」

 

途方もないプレッシャーを放つと、ヴァーリは……禁断の呪文を唱えた。

 

「我目覚めるは、覇の理に全てを奪われし二天龍なり……無限を妬み、夢幻を想う…我、白き龍の覇道を極め――――汝を無垢の極限へと誘おう」

 

 

 

 

ーーーー覇龍(ジャガーノート・ドライブ)!!!!!

 

 

 

鎧が一回り大きくなり、ヴァーリは覇龍を発動。

そのまま圧倒的な力でフェンリルを押さえつける。

 

「っ、止せヴァーリ!今のその状態じゃ……」

「大丈夫さ。黒歌!俺とフェンリルを予定のポイントに転送しろ!」

「はっ?」

 

訳が分からず狼狽えるウィザードADに構わず、ヴァーリはフェンリルと共に姿を消した。

 

「あの野郎…………死ぬんじゃねーぞ……!」

「兵藤一誠!来るぞ……ぐあっ!?」

「カイトーーーーガッ!?」

 

ヴァーリへの心配を他所に、ロキはカイトを弾き飛ばすと、そのままウィザードADの首を掴む。

 

『もう諦めろ。貴殿に残された希望など……ない』

「ぐっ……ふざ、けんじゃっ」

『フンッ!!』

「ガアアアアアアアアアッ!!!」

 

凄まじい雷撃をぶつけられ、絶叫するウィザードAD。

 

「イッセー!!」

「余所見ですか?随分と嘗められましたわね!」

 

イッセーを心配するリアスに、ヘルが召喚した魔物を使役し、襲い掛からせる。

だがそれも、ティアによって叩き潰される。

 

「迂闊だぞ!リアス・グレモリー!」

「……ごめんなさい」

「……心配する気持ちは分かる。だが、今は目の前の敵を潰すことだけに集中だ」

「……えぇ」

 

ティアに叱責され、気持ちを切り替えたリアスは無数の魔物を消し飛ばしていく。

 

「ぐっ、うぅ…………」

 

ウィザードADは静かに倒れ伏す。

それと同時に限界が来ていたのか、変身まで解けてしまった。

 

『相棒!!!』

『赤龍帝、貴殿はよく頑張ったよ。称賛される事のない地獄を生き抜き、同族をその手で葬り続けた……。だが、そんな地獄ももう終わる!我が起こす黄昏と共にな!!』

 

ロキの野望を、欲望を大声で掻き消したかったイッセーだが、既に体は動かない。

 

 

体に残った魔力も殆ど尽きかけており、変身、禁手もままならない。

 

 

 

 

『ちく、しょう………………』

 

 

そうしてイッセーの意識は、闇の中へと沈んでいったーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場side

 

 

僕達はハティ、スコル、そしてヘルの召喚した魔物相手に奮戦していた。

が、そんな最中、僕達は見てしまった。

 

 

ロキの前で倒れているイッセー君を。

 

 

『フハハハハハハ!!!諸君、それ以上の抵抗は止すのだ!』

 

ロキは僕達を見渡す様にして大きく声を上げる。

その声には隠しきれない愉悦が滲み出ていた。

 

『最後の希望たる赤龍帝は破れた!そして我の戦力は未だ健在!これが何を意味しているか、分からぬ程愚かではあるまい?』

 

 

そんな…………嘘だ!

イッセー君が、負けただなんて!

 

 

「イッセー君!目を覚まして!戦いはまだ終わってはいない!!」

『ククク、聖魔剣の騎士よ。本当に赤龍帝の事を案じているならば彼を起こさないでやるのが優しさではないか?』

「何……!?」

 

僕はロキの言っている意味が分からず、ロキを睨み付ける。

 

『赤龍帝はこれ迄に何度となく戦ってきた!自らの同族を手にかけ続け!赦される事のない地獄を見続けてきたのだ!!これ以上戦わせるのは、酷ではないか?』

「……ッ!」

 

…………ロキの戯れ言に揺らいだ訳じゃない。

 

だけど、イッセー君はずっと闇を抱えて戦ってきた。

それをこの間知った僕達はロキの言葉を否定できなかった。

 

確かにそうだ…………そしてイッセー君は、これからもその地獄をずっと歩き続けるのだろう。

 

僕達はそれを止めたい。

君の行く道はそこではない、そう言って引き戻したい。

 

 

だけど…………だけど……!

 

 

「……イッセー君は、例え一時でもそんな休みはいらないと言う!!」

『……?』

「……立ちなさい、イッセー!!」

 

僕の言葉を受けてなのか、部長がイッセー君に呼び掛けた。

 

「ここで貴方が倒れれば、また罪のない人達が絶望に負けてしまうわ!!そうなったら、またサバトの時の光景が広がってしまうのよ!?貴方は……それをさせないと誓っているのでしょう!?だから……立つのよ、イッセー!!!」

『無駄な呼び掛けを……ヘル!』

 

ロキの命令に応じたヘルは、巨大な三つ首の獣をけしかける。

部長はそれを、たった一撃で消滅させた……!

 

「貴方が諦めても、私達は諦めたりしない!だって……私達には、貴方から灯された光がーーーー希望がある!そうでしょう、皆!!」

 

 

 

 

ーーーーそうだ。

 

 

「一人で立てなくても、仲間がそれを助ければ良い……」

『……』

「諦めて死ぬぐらいならば、僕達は抵抗して死ぬ!!」

 

 

君もそう言うだろう?

だから、君が立つ間はーーーー

 

 

「僕達の、ショータイムだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

…………………………暗い。

 

 

 

俺は…………どうなったんだ…………?

 

 

 

そうか…………

 

 

 

俺は……負けたのか…………

 

 

 

 

暗闇の中、俺は一人嘲笑する。

 

 

結局、この様だ…………皆戦っている中、俺は一人だけこうして無様に倒れてる。

 

 

 

 

でも…………もう良いんじゃないか?

 

 

 

 

 

俺だって全力でやったさ。

皆に希望を託せた事だってハッキリした。

 

 

 

 

このまま……終わったって……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『けど、君はそう思ってないだろ?』

 

 

 

 

ふと俺の頭上から、そんな声が聞こえてきた。

そう言えば、何か人の気配を感じる…………でも、普通の人じゃない…………

 

 

 

誰だ?

 

 

『俺の事はどうだって良い。それよりもだ、君は本当にここで終わるつもりか?』

 

 

 

何だよ……俺がここで諦めたって……アンタには関係ないだろ……。

 

 

『確かに俺は"この世界"に関係はない。けど、同じ希望を守る者としては放ってはおけないからね』

 

 

同じ……?希望を……守る……?

 

 

それにこの世界って…………

 

 

『だからそれは今関係ないだろ?君も希望の魔法使いなんだろ?だったら……こんな所で倒れるのは早いと思わないか?』

 

 

…………だけど、俺にはもう、魔力が。

 

 

俺がそう呟くと、その人は呆れた様に嘆息した。

 

『魔力が何だ?君は守りたい大事な人達がいるじゃないか。人は誰だってな、大切な者や信念、居場所を守るために強くなれる。何度だって立ち上がれる。俺や君だけじゃない…………今までそうやって多くの戦士達が立ち上がってきた』

 

 

 

大切な……人達…………。

 

 

『君にだって聞こえる筈だ。今も戦う仲間達の声が』

 

 

 

そうその人が言い終わった瞬間、俺の頭には仲間達の声が聞こえてきた。

 

 

 

 

その声音には、諦めと言う感情はまるで感じなかった。

 

 

 

『まだよ!まだ戦える!!』

 

 

『決して諦めたりしないわ!!』

 

 

『先輩がそうやって、立ってきた様に…………私達もっ!!』

 

 

『絶対に、折れたりしないっ!!』

 

 

 

『お前を……斬り殺すっ!!』

 

 

 

『先輩と、約束したんだ!恐れるな、泣き出すなって!!』

 

 

 

『希望は……決して無くなったりは、しません!!』

 

 

 

 

 

皆…………。

 

 

 

『どうだい?これでも、君はまだ諦めるのかい?』

 

 

 

 

………………。

 

 

 

 

 

『私や…他の皆様も、そうでしたから。他の誰でもない、兵藤一誠の言葉に、行動に救われたんです』

 

 

 

 

その時、俺の脳裏に銀髪の女性が過った。

 

 

 

 

 

 

その人は、俺が誰よりも、何よりも愛しい人だ。

 

 

 

 

 

 

 

そうだ………………俺は…………約束したじゃないか…………。

 

 

 

俺の守りたい人達は、希望は…………まだ…………まだ………………まだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「消えちゃ、いない…………!!」

 

 

 

俺は…………漸く立ち上がれた。

 

 

 

体はまだ痛む。

魔力だって、雀の涙程度しかない。

 

 

 

 

 

 

けどーーーーそれがなんだ!?

 

 

 

 

「……ありがとう、ございます。お陰で、目が覚めました」

 

俺は目の前の人に頭を下げる。

もう少しで俺は自分を捨てるところだったからな。

 

だが目の前の人は気にするなと言った。

 

『本来なら俺は干渉しちゃいけないんだけどな。こうしてるのもアイツのお陰だし』

「アイツ……?」

『君もその内会えるさ。何てったって、俺達は旅の途中だからな…………っと、そろそろ限界だな』

 

そう言うと、その人は光に包まれていった。

 

「あ、あの!」

『ん?』

「貴方の、名前は……」

 

その人の顔は、ずっと靄が掛かって確認できずにいた。

 

 

でも、俺は何処かその声に懐かしさを覚えていた。

 

 

 

『名前、かぁ。まぁ…………それぐらいは良いかな?』

 

 

 

体が完全に消え、顔も消えようとした瞬間、顔に掛かっていた靄が晴れた。

 

 

 

俺は、言葉を失った。

 

 

 

 

何故なら、その人はーーーー

 

 

 

 

『俺はーーーー。お節介な魔法使いさ』

 

 

 

 

名前は聞き取れなかったが、その顔は俺の父親に瓜二つだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ふぅ、行くぞ。ドライグ、ドラゴン」

 

 

 

俺が力強く言うと、体の底から力が沸いてきた。

 

 

『待っていたぜ、相棒!』

『……フン、待ちくたびれたぞ』

 

 

はは、そこは謝るよ。

けど……待たせた分、思い切り暴れるからさ。

 

 

 

俺が前を向くと、闇は晴れていった。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

木場side

 

 

「くっ!…………はぁ、はぁ」

 

僕は折れた聖魔剣を捨てて、もう一度造り出す。

既に何度となく行っただろうか?

 

『ククク……まさかこれ程迄に粘ろうとはな。よほどまやかしの希望にすがりたいらしいな』

「まやかし何かじゃ、ない……!」

 

正直、体はもう限界に近い。

力を抜けば、今にも倒れそうだ。

 

 

けど、絶対に諦めたりしない!

 

 

『……愚かだな。ハティ、スコル!殺れ!!』

 

その命令に従うべく、ハティとスコルは此方へと駆け出す。

だがその進路に、突如として黒炎が立ちはだかった!

 

『ぬ!?何だこれは!』

 

ハティとスコルは脱出しようともがくが炎が消えることはなく、寧ろ深く絡み付いている!

 

「これは……」

 

すると突如、大地に黒い魔方陣が現れ、中からは黒い炎で形作られたドラゴンが現れた!

 

『木場祐斗君、宜しいですか?』

 

僕達は突然現れたドラゴンに呆然としていると、耳に着けた通信機から誰かの声が聞こえた。

 

「貴方は?」

『私は堕天使副総督のシェムハザです。早速ですが、そちらに黒いドラゴンはいますか?』

「はい」

『単刀直入に言います。そのドラゴンは、匙君です』

 

ーーーーッ!

あれが匙君だと言うのか!

 

『実は今回の件に際しまして、匙君に残るヴリトラの神器を移植したのです。そして、4つに別れたヴリトラの魂を結合させ、ヴリトラの意識が復活するのに賭けたのです』

「……そんな事が、可能なのですか?」

『本来は不可能です。ですが、以前匙君は兵藤一誠君にヴリトラのラインを繋げ、一瞬とはいえ天龍の力を吸収しました。それが原因で僅かながらヴリトラの意識が覚醒した事によって、成功したのです』

 

そうなのか…………。

 

「では匙君は、僕達の事を」

『えぇ。味方として認識出来ている筈です。聞こえますか、匙君?』

『ーーーーはい!』

 

本当だ、匙君の声が聞こえた!

 

「匙君、大丈夫なの?」

『勿論っすよ!リアス先輩!で、取り敢えずアイツらの動きを止めて良かったですか!?』

「えぇ、助かったわ」

『……ヴリトラの黒炎は厄介な物だとは聞いていたが、まさかここまでとは…………だがな!』

 

ロキは腕を一凪ぎすると、炎が掻き消された!

 

『マジかよ!?』

『我を止めれる程ではない!』

「匙君!」

『ぐああああ!!』

 

ロキとヘルの魔力弾を食らい、匙君は大きく声をあげる!

 

『へ、平気だ……こんなもんで、倒れる程柔じゃねぇ!』

『…………理解できぬな。何故そこまでして絶望に抗う?』

 

ロキは戦いを止めようとしない僕達に対し、そう問い掛けてきた。

その声音には、僅かな苛立ちが籠められている。

 

「言ったはずだ……。僕達は、お前の黄昏なんて受け入れない!」

『笑止!貴殿らの希望たる赤龍帝はもう起き上がる事はない!この戦いに……勝機などない!』

 

 

ロキが確信するかの様に発した叫び。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………おいおい。俺が起き上がらないって決め付けるのは早とちりって物だぜ?」

 

そこへ被さる、僕達が待ちわびた声。

 

『ーーーーッ!』

「俺はまだ、生きてるぜ?…………ロキ!!!」

 

 

 

 

ーーーーイッセー君ッ!!!

 

 

 

 

 

木場side out

 

 

 

イッセーside

 

 

……何て、カッコよく立ち上がったは良いけど、魔力も殆どない。

 

『……懲りない奴だ!』

 

ロキは苛立ちを消すかの様に、俺に怒涛の攻撃を仕掛ける。

俺はかわそうと横に飛ぼうとするが、突如として地面が陥没し、足を取られる!

 

ーーーー不味いッ!

 

「ガアアアアアアアアアッ!!!」

 

意識が飛びそうになる程の一撃、肉だって焼け焦げているだろう。

 

だがーーーー

 

 

「まだ、まだ……だ…………ッ!」

 

俺は、踏ん張った。

それを見たロキは、有り得ないと頭を振る。

 

『馬鹿な……貴様の魔力は無に等しい筈だッ!肉体も……当に限界を迎えている……ッ!なのに何故、何故!!倒れんのだ!!!』

「自分の為に他人の命を奪おうとするテメェには、一生分からねーよ」

 

お前の言うとおりだ。

体力も、魔力も殆どない。

 

正直、空元気で踏ん張ってるだけだ。

 

 

けどよ…………

 

 

 

「アンタは俺の希望を奪おうとするんだろ?だったら……倒れる訳にはいかねぇよ。ーーーー何があっても!!!」

 

 

 

 

だから…………頼む………………!

 

 

 

 

 

 

ほんの少しで良い……

 

 

 

 

 

俺に、皆を守れる力を………………

 

 

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」

 

俺が力強く吠えると、体の奥底から赤いオーラが噴き出す!!

 

 

 

そして俺は赤いオーラはそのままにーーーーオールドラゴンへと変身した!

 

 

それを見てか、ロキはこれ迄に無いほどの驚いた様子を見せた。

 

『馬鹿な…………指輪も使わずに、変身したと言うのか!?』

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」

 

不思議だ……自分の中に、これ程までの力が残っていたなんて。

 

「俺の希望を……潰させはしないッ!!!」

 

俺は飛び立つと同時に目の前で両爪を立てると、回転を加えてロキに突貫する!

 

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」

『グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!』

 

ガリガリと肉体を削られる痛みに悲鳴を上げるロキだが、俺は構わずに尻尾で叩き付ける!

 

『グウッ!?……コンナコトガ、アッテナルモノカァァァァァ!!!ワレハ、カミダゾッ!!!』

 

怒り狂ったロキは両腕から無数の術を発動し、俺へと向ける!

 

《シックス!バッファ!セイバーストライク!》

「やらせるかよっ!!!」

 

だが吼介が放った6匹の雄牛が魔方陣を打ち砕き、無効にする!

 

「特別サービスですよ」

「これは貸しにしておいてやる……」

『グオアアアアアアッ!!!』

 

次いで接近してきたアーサーとカイトの一撃がロキの両腕を斬り落とした!

 

『キ、キサマラ……!!』

 

ロキは魔方陣を展開しようとするがーーーーその魔方陣は煙の如く消え失せた。

 

『ナッーーーー』

 

その虚空には、剣が咲いていた。

 

ーーーー木場だ!

 

 

そう確信する俺は上段蹴りでロキの体を浮かすと、そのまま回し蹴りで大きくブッ飛ばす!

 

『グウッ!?』

「聖牙大天衝ッ!!!」

『グギャァァァァァッ!!!!』

 

次いで放たれたゼノヴィアの一撃でロキの半身を両断した!

 

『へ、ヘルゥ……!!』

 

ロキがヘルに命令を下し、ヘルが新しく魔物を召喚しようとするもーーーーその魔方陣は消滅した!

 

「なっ………………」

「これで一矢報いさせてもらったわ」

 

ヘルの驚愕した顔を見て、したり顔の部長。

 

ナイスです、部長…………いや、リアス!

 

「ふ、ふざけーーーー」

 

ヘルが口を開いた時、ヘルの動きが停止した!

 

「僕だって、やる時はやるんですぅ!!」

「いい根性だ、ギャスパー!」

 

そう言って俺はロキへと迫る!

 

『ハティ、スコル!ワレヲマモレ!!メイレイダ!!!』

 

だがハティとスコルは……動かなかった。

 

『ナ、ナゼウゴカン!?チチナルワレノメイニソムクノカ!!』

 

……同情するぜ。

自分の孫?に見捨てられるんだからよ。

 

 

「ウオオオオッ!!!」

『ギャアッ!』

 

俺は爪先でロキを空高く蹴り上げる!

そして再び、足元に魔方陣を展開する……!

 

「うっ…………」

 

だが負荷が大きすぎたのか、俺は膝を付いてしまう。

 

 

 

 

 

パァァァ………………

 

そんな俺に、暖かい光が包み込んでくれた。

 

「イッセーさん!」

「やっちゃって下さい……!」

「ここで負けたらカッコ悪いわよ!踏ん張りなさい!」

 

アーシアの癒しの波動が傷を癒し、猫姉妹の仙術が俺の肉体を強化してくれる。

 

『コ、ココハテッタイスルシカ……!!』

 

ロキは背後に魔方陣を展開する。

逃げる気か!

 

 

 

バシュンッ!!

 

だがそんな音と共に魔方陣は消え失せた!

今のは…………

 

 

「ここまでしておいて、逃げれると思うなっ!」

「今ですわ、イッセー君っ!」

 

朱乃さん、バラキエルさん…………!

 

「あぁ!!」

 

魔方陣と共に飛び立つ!!

 

『コ、コンナコトガァァァァァァッ!!!!!!!!!!』

「これが…………終わりのフィナーレだッ!!!!!!!!!!」

 

魔方陣から出現したドラゴンはロキを拘束する枷になる!

そして動けないロキにーーーー

 

 

 

「デャアァァァァァァァッ!!!!!!!!!!」

『グオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!』

 

持てる全ての力を叩き込むッ!!!

 

 

その蹴りはロキの魔宝石を砕き、ロキは地面へと叩き付けられる。

それと同じタイミングで、俺も地面へと倒れるように着地する。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…………ッ!!」

 

も、もう流石に戦えねーぞ…………!

 

『ぐ、くくく……クハハハハハハハハハハハハ!!!!』

 

だがロキの口から発せられたのはーーーー哄笑だ。

 

「何が……可笑しい…………!?」

『イズれ、ワかる……!なぜワれがワラうのカ……!ショせんキサマは……アノオとこの、オもわクドオりに、ウゴイていルニスギンノ、だ!もう、キサマは……エイえんニ、モドレナ、い…………!』

 

 

 

 

 

それを最後に、ロキは静かに倒れた。

 

 

 

 

 

 

そして俺もーーーー眠るように意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

 

「これで完成した、か」

 

 

そしてこの戦いを端から眺めていた白い魔法使いは、静かに呟いた。

 

 

 

 

 

 

次回、D×Dウィザード

 

 

イッセー「おい、くすぐったいって……」

 

バラキエル「妻の……朱璃の味だ……っ」

 

リアス「行ってきなさい、イッセー」

 

 

MAGIC72『果たす約束』

 

イッセー「俺……俺…………!」

 

 

 




多分暫くサンムーンやるので更新遅れると思います

イッセー「ほぼ私用じゃねーかぁ!!!」ストライクドラゴン
作者「ひでぶっ!?」

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