ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
よー皆、イッセーだ。
今日俺達は家とは違う特別な場所にいる。
何でもロキ対策について詳しい奴がいるからそいつからご享受してもらうらしい。
「先生、そのご享受してもらう奴って誰なんですか?」
「あぁ、五大龍王の一角――――『
――――ッ。
まさかの龍王か。
ちなみに一緒にいるヴァーリは聞かされていたらしく、特に何も言ってこなかった。
そしてそのヴァーリの隣に控えているのは、先日話に出てきた天城カイト。
そのカイトは別に何か言う事もなくただ前を向いている。
この中だと唯一の人間なんだよな、コイツ。
「二天龍、龍王――――ファーブニル、ティアマット、タンニーン、ヴリトラ……そして、そこにいるカイトの龍の力を借りて『
「成程。だからティアを連れて来いって言ったんですね」
「そう言うこった」
そして、先生からの要望によりタンニーンのおっちゃんが飛来してきた。
着地すると同時に響く轟音。
「おっちゃん!」
「兵藤一誠……アスカロンを自らその身に刺したと聞いた時は冷や汗を掻いたぞ。その様子だと大丈夫なようだな」
「ごめん、心配かけちゃって」
「何、気にするな」
おっちゃんは気さくに笑った。
だがヴァーリを見た途端、その牙を見せて威嚇した。
「白龍皇か……もし不審な動きを見せればその時は容赦なく噛み砕くぞ」
対してヴァーリは苦笑いするだけだった。
ホント肝が据わってんなコイツ。
「そっちの小僧はヴリトラ。そして……」
「冥界以来だな。龍王タンニーン」
カイトは動じる事無くそう返した。
「…イッセー。大丈夫なのか?」
「大丈夫だって、ティア」
「そうか……」
やっぱ、心配かけすぎたかな……。
『それはそうだろう。お前は聖剣、それも龍殺しの物をブッ刺したんだ。生きている方が不思議なぐらいだ』
とはドライグの弁だ。
「そう言えばさ、そのミドガルムオルズってどんな奴なの?」
「そうだな……。簡単に言えばそこのマダオと化したドライグ以上のグータラ野郎だ」
「えっ……」
それは…相当じゃん。
俺コイツ以上のグータラドラゴン知らねぇぞ。
『何サラッと人…もといドラゴンをマダオ扱いしてんだよ』
「お前否定出来ねぇだろ」
『デスヨネー』
お前自分で言うなよ!
突っ込んだ後、タンニーンのおっちゃんが教えてくれた。
「あやつは基本的には動かん。世界に動き出すものの一匹だからな。使命が来るその時まで眠りについているのだ。最後に会ったのは数百年前だが、世界の終わりまで深海で寝て過ごすと言って、そのまま海の底へと潜ってしまった。それ以来あやつとは会っていない」
「へぇー、良いなぁ……」
『え”っ』
なんだその目線は!?
「さて、魔方陣の基礎はできた。あとは各員、指定された場所に立ってくれ」
先生に指示され、魔方陣の上に立ち、各自指定ポイントに立ったことを先生が確認すると、手元の魔方陣を操作した。
カッ!
淡い光が下の魔方陣に走り、俺のところが赤く光り、ヴァーリのところが白く光った。
そして先生のところが金、匙のところが黒、ティアのところが青、おっちゃんのところが紫色、カイトのところが水色に光り輝く。
『それぞれが各ドラゴンの特徴を反映した色だ』
と、ドライグが説明してくれる。
へぇ。
『だがあのカイトとかいう小僧の色は……まさか』
と、ドライグはカイトの光から何かを察したのかブツブツと話し込んでしまった。
な、何だ?
魔方陣が発動し、部屋が一瞬、光に包まれた。
すると、魔方陣から何やらが投影され始めた。
立体映像が徐々に俺達の頭上に作られ――――俺達の目の前にこの空間を埋め尽くす勢いの巨大な生物が写し出された!
で……………でけぇぇぇぇぇぇぇ!!!
明らかにグレートレッド以上あるぞ!
何だこのデカブツ!?
そしてミドガルムオルズは東洋の細長いタイプのドラゴンらしく(ドラグレッダーとかあの辺もそうだな!)その長い体を蜷局を巻いて眠っていた。
驚く俺の耳にデカイ奇っ怪な音が飛び込んできた。
『…………ぐごごごごごごごごごごごごごぉぉぉぉおおおおおおん』
……これは、鼾か?
「はぁ……案の定寝ているか。おい、起きろミドガルズオルム」
タンニーンのおっちゃんが話しかける。
しかし、
『ぐごごごごごごごごごごごごご……………』
返ってくるのはデカイいびきだけ。
熟睡中だな。
「おい、ミドガルズオルム!起きんか!」
おお、おっちゃんが切れたぞ。
その声に目の前のドラゴンは漸く目を覚ました。
『ふぁ~あ~………ん?おぉ、タンニーンじゃないか。久し振りだねぇ』
開かれた口から出たのは間延びした口調。
……龍王、なんだよな?
『……ドライグとアルビオン、ティアマットまでいる。それにファーブニルとヴリトラも………それに、銀河の龍も…?どうしたんだい?もしかして、世界の終末なのかい?』
「いや、そうではない。今日はお前に聞きたい事があってだな――――」
『ぐごごごごごごごごごごごぉん………』
あ、また寝やがった!
「全く変わってないな…この寝太郎は………」
ティアが嘆息してる!
「話の最中に寝るな!!もう十分なほど寝てるだろうが!!」
『ドラゴン版ねてる君だな、相変わらず』
『すかぴ~………』
今鼾変わったぞ!?
コイツ絶対起きてるだろ!!
『タンニーンはいつも怒ってるなぁ。それで僕に訊きたいことって?』
「聞きたいことは他でもない。おまえの父と兄、姉について訊きたい」
ん、兄弟?
どういう事だ?
怪訝に思う俺に気づいたのか、ティアが解説したくれた。
「ミドガルズオルムは元来、ロキが作り出したドラゴンでな。強大な力を持っているんだが、見ての通りこの性格だ。北欧の神々もこの性格には困り果ててな。結局は海の底で眠るように促したのだ。せめて、世界の終末が来たときには何かしら働けと言ってな」
「何かしらって…。なんとも投げ遣りだな」
「まぁ、既に北欧の神々もこいつには何も期待してないだろうがな」
それダメじゃん!
このドライグ以上に残念すぎるぞミドガルムオルズ!!
『ダディとワンワンとお姉ちゃんのことかぁ。いいよぉ。あの三人にはこれといって思い入れはないしねぇ。あ、タンニーン、一つだけ聞かせてよぉ』
「なんだ?」
『ドライグとアルビオンの戦いはやらないのぉ?』
俺とヴァーリを交互に見ながら言ってきた。
「ああ、やらん。今回は共同戦線でロキ達を打倒する予定だからな」
『へぇ。二人が戦いもせずに並んでいるから不思議だったよぉ。今代の赤と白はどちらも実力者みたいだからねぇ。面白い戦いになると思うんだけどなぁ……それに、赤の方は変なドラゴン?っぽいの宿してるから、特にねぇ』
――――ッ。
コイツ、俺の中のファントムに気付いたのか。
『まぁ、いいやぁ……。ワンワンが一番厄介だねぇ。只でさえ強いのに、噛まれたら死んじゃうことが多いからねぇ。でも、弱点はあるんだぁ。ドワーフが作った魔法の鎖、グレイプニルで捕らえることができるよぉ。それで足は止められるねぇ』
「…オーディンから貰った情報では、ロキとフェンリルは強化されていてな。それでお前から更なる秘策を得ようと思っているのだ」
『へぇ……。ダディったらワンワンを強化したのかなぁ?なら北欧に住むダークエルフに協力してもらって、鎖を強化してもらえばいいんじゃない?確か長老がドワーフの加工品に宿った魔法を強化する術を知ってるはずだよぉ』
先生がヴァーリの方を指さす。
「そのダークエルフが住む位置情報を白龍皇に送ってくれ。この手の類のことはヴァーリの方が詳しい」
『はいは~い』
ヴァーリが情報を捉え、口にする。
「――――把握した。アザゼル、立体映像で世界地図を展開してくれ」
ま、そっちの方はヴァーリに任せるか。
「フェンリルに関してはこれで何とかなるか……残るはロキとヘルか」
『ダディとお姉ちゃんかぁ…。あの二人は特別厄介だねぇ。お姉ちゃんは魔物や死人を何千万と召喚できるからねぇ』
「一匹一匹は強くなかったが……数の暴力で来られちゃまずいな」
『お姉ちゃんは大量に魔物を召喚した後は暫く動きが止まるよぉ。ちょっとの間だけだけど、そこを突けばいいんじゃないかなぁ』
「成程……で、残るはロキか」
『ダディも強化したって言ってたよねぇ?』
「あぁ。これに関しては考えられる手が無くてな」
『ダディを倒すとしたら結局は正攻法しかないかなぁ。そうだねぇ、ミョルニルでも撃ち込めばなんとかなるんじゃないかなぁ。通用するかは分かんないけどぉ』
ミョルニルって……ハンマーだよな?
『そうそう』
「ミョルニルか…。確かにそれならばロキにも十分通じるだろうな。だが、雷神トールが貸してくれるだろうか……。あれは神族が使用する武器の一つだからな」
『それなら、さっきのダークエルフに頼んでごらんよぉ。ミョルニルのレプリカをオーディンから預かってたはずぅ』
「ほう、そうか。助かるよ」
ホントに物知りだなぁ。
もしかして地球の本棚に入れるんじゃね?
『ううん、良いよぉ。たまにはこうやって話をするのも悪くないからねぇ。それに、まさか銀河の龍に会えるなんて思ってもみなかったからねぇ』
「銀河の、龍……?」
「やはり、この小僧は………」
先生が訝しげに呟いたと同時に、おっちゃんは納得したように唸った。
『『
ぎ、銀河……!?
それってつまり、
「闇に輝く銀河よ!希望の光となりて、我が僕となれ!って奴だ」
「自分で言うのかよ!!」
俺はセリフを盗ったカイトに突っ込む!
『ちなみにねぇ、幻龍と呼ばれるドラゴンは他にもいるんだよぉ』
「確か……水星、金星、地球、火星、木星、土星、月、太陽の八つを司る八星龍。そして天王星、海王星、冥王星を司る三星龍だったか?」
『そうだよぉ』
「ティア、詳しいな……。もしかして会った事とかあるの?」
俺が聞くと、ティアは苦笑いを浮かべて否定した。
「まさか。そもそもこのドラゴン達は二天龍やオーフィス、グレートレッド以上のレア物だ。数少ない資料はあるが、存在していたかも疑わしい」
『……確実に存在していた』
『!?』
この時聞こえた、この場にはいないはずの第三者の声に俺たちは身構えた!
が、その発信源は直ぐに分かった。
カイトの腕に付けてあった機械のような物からだ。
「…お前が喋るとは珍しいな、ギャラクシオン」
今のってつまり……その、銀河龍の声なのか……!?
『……どうやらお前達は覚えていないらしいな。赤い龍、白い龍』
『『ッ!?』』
赤い龍は――――ドライグ、白い龍は――――アルビオンの事か?
『貴様……一体何を?』
『どういう意味だ……?』
『……………』
ドライグとアルビオンが尋ねるが――――帰ってきたのは沈黙だけだった。
『すごぉいなぁ。まさか生きているうちに星龍の声が聴けるなんてねぇ。人生何があるかわかんないねぇ』
「お前はその人生の殆どを寝て過ごしてるだろう……まぁいい。すまなかったな、ミドガルムオルズ。起こしてしまって」
『ううん、良いよぉ。僕も楽しかったし、また何かあったら起こしてねぇ』
それだけ言い残すと、映像は完全に消えてしまった。
う~む、何ともマイペースなドラゴンだったなぁ。
兎に角、俺たちはそれぞれミドガルムオルズから得た情報をもとに動き始めたのだった。
「兵藤一誠」
「ん?」
俺も家に戻ろうとした時、後ろからカイトに呼び止められた。
「何だ?」
「一つ聞きたい。お前……剣を持つ異形を知らないか?」
剣を持つ……異形?
「いや……知らないけど」
「そうか……。それと、もう一つ。お前は…ファントムと分かり合えると思っているか?」
「ファントムと…?」
その質問を聞いた時、以前までの俺ならば無理だと即答していたところだ。
でも………俺は否定の声をあげなかった。
「分かんないさ。でも……俺もちょっとずつだけど、コイツとも分かり合えてる。それだけは、確かだ」
「…………」
カイトはそんな俺を見て、何か言いたげだったが、特に何も言わずにヴァーリと共に去って行った。
だが、俺はカイトの瞳からある一つの”感情”を読み取った。
俺は以前、同じ感情を目の当たりにしているから分かったのかもしれない。
それは―――――憎しみだった。
次回、D×Dウィザード
イッセー「相手は神様かぁ……」
ドライグ『何時も通りにやればいい。その方が、ずっと楽だろう?』
グレイフィア「私は……信じてますから」
MAGIC69『息抜きと、約束と』
イッセー「もし生きて帰ってこれたら……伝えたい事があります」
よし、死亡フラグは立てたぞ!あとはどんな死に様にしてやるk(このコメントは、ギルティされました)
今回登場した八星龍及び三星龍は、バトルスピリッツの星座編に登場したドラゴン達がモデルです。
銀河龍は……皆さんご存知KONAMIのあのドラゴンです
ドライグ『何で一纏めにしなかったんだよ』
作者「一纏めにしたら語呂が悪いから」
では(^^)/~~~