ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
坂本監督だから多分フォームチェンジはしそうだけども……
あ、それと今回は短いです。
「よぉ、イッセー。随分マシな顔つきになったな」
皆に真実を打ち明けた翌日、俺の元にアザゼル先生がやってきていた。
「……はい。お陰様で」
「…そうか。で、さっそくなんだが今回の作戦……ヴァーリ達と手を組むことになった」
「えぇ!?」
あいつ等が何でいるのか分んなかったけど、嘘だろ!?
まさかその為に……!
「ま、お前が驚くのも分かる。けどな、こっちも戦力不足なんだ。今回のロキの妨害は、この街にいる連中でなんとかしなきゃならねーんだ」
「はぁ」
「だからそこんとこは理解しといてくれ」
「…分かりました」
正直、まだ飲み込めてないけどヴァーリの実力は俺が身をもって知っている。
それに先生が決めたことだ、俺は信じよう。
「それともう一つやってもらいたい事があるんだが……それは明日に回す」
「え?」
「お前、まだ聖剣のダメージが抜けきってないんだろ?なら今日は休んどけ」
「…良いんすか?」
「お前はたまには厚意に甘えろ」
そう言って先生は俺の部屋から去っていった。
そうは言われても……
「暇だなぁ……」
聞けば部長たちは修行に精を出しており、俺も参加したかったが、こんな体なのでまだ無理だと止められた。
「久しぶりにゲームでもやるか?」
それに最近、部長たちがいるから出来なかったんだよな。
何がって?
エロゲに決まってるだろ?
よし、そうと決まれば早速やるぞ!
俺はパソコンを立ち上げて、以前進めていた新作のエロゲをプレイしていく。
おぉ、俺の好きな絵師さんだ!
「随分と面白そうな事をやっているね」
「まぁ暇だし。それよりノックぐらいしろよな、ヴァーリ」
俺はさも当然という風に入ってきていたヴァーリに答えた。
「……漸く君らしい顔つきになったようだね」
「お陰様でな。それとサンキューな、助けてくれて」
「なに、気にするな。君を倒すのは俺だからね。他の奴に倒されるのが気に食わなかっただけさ。それは兎も角……」
「ん?」
「そのゲームは面白いのか?」
………へぇ。
「なら何本か貸してやろうか?あ、つってもお前パソコン持ってないか」
「パソコン?あぁ、カイトが以前自作したものか」
「カイト?」
「以前、君が冥界であった男だ。青い隈取をしていた方のね」
「……あぁ、アイツか」
あの「ハルトォォォォォ!!!」って叫びそうな奴ね。
アイツカイトって言うのか。
「この戦いを切り抜けたら、貸してもらおうかな」
「おう」
「さて、俺は修行に戻るよ」
「あぁ、分かった」
うーん、まさかヴァーリがエロゲに興味持つとはな。
人生何があるか分かったもんじゃねーな……。
コンコン
「はい」
「はろはろ~♪」
そう陽気な感じを装って入ってきたのは、黒歌。
「お前、また小猫ちゃんにちょっかいかけてたのか?」
「ちょっかいなんて失礼しちゃうにゃん。姉妹同士のスキンシップよん?」
「スキンシップしたいなら俺が後で猫じゃらし使ってやっから、それでいいだろ」
「良くないわよ!っていうか私はそんなんで満足するほど安い女じゃないにゃん!」
「尻は軽そうなのにな」
「にゃんですってぇ!?」
此奴も何だかんだで分かりやすいな、オイ。
お、確かこの場面はこのセリフ選択で別ルートだったな……。
「って、聞いてんの!?」
「にゃーにゃー鳴くなよ。今良いトコなんだからさ」
「こんなスタイル抜群の女の子目の前にしてエロゲなんてどんな神経してんの!?」
「おまえの場合ホイホイついていくとドナドナされそうで怖いからな」
と言うか自分でスタイル抜群って言うのかよ。
まぁ、強ち間違ってる訳でもないんだが。
「……ま、もうその感じだと大丈夫そうね。心配して損したにゃん」
「あー、それに関してはサンキューな」
「べ、別にアンタの為にやった訳じゃにゃいんだからっ!ただ白音が可哀想だったからっ」
「ハイハイ、ツンデレ乙」
しかし今小猫ちゃん大事にしてますよ発言堂々としたよな?
だとしたらツンデレ娘じゃんか。
『猫耳爆乳ツンデレとかあざと過ぎるだろ』
『おまけに処女か……卑劣なキャラだな』
「あざとくなんてないわよこのおっさんコンビ!!」
『『おっさん言うな!!それは声だけだ!!』』
『いや、つい最近生まれた俺は兎も角、貴様はもうおっさんだろ!!』
『はぁ!?俺は永遠の二十歳ですから!残念!!』
「うるせーぞお前ら!!」
ガタガタ騒ぐなよ!
今一番良いシーンなんだから!!
「はぁ、はぁ…………あ、あんた達と喋ると疲れるにゃん」
「そうかぁ?主にボケはドライグの管轄なんだけどな」
『何勘違いしてる?お前もボケ担当なんだよぉ!!』
『貴様等二人とも大ボケだ!』
「…白音は苦労しそうね。ホントに」
「あ、そうにゃん」と黒歌が思い出したかのように手を叩いた。
「赤龍帝ちん」
「何だ?」
「滅びのお姫様のとこの女王ちんが呼んでたわよ」
「朱乃さんが?」
何か用なのかな……………けど、俺もこれが終わったら向かおうと思ってた所だったし、丁度良いな。
「向かってみるか」
~~~~~~~~~~~~
「朱乃さん?」
「イッセー君」
俺は家の地下に向かうと、そこの片隅で休憩していた朱乃さんに近づいた。
「ごめんなさい。態々来ていただいて」
「いえ、俺も丁度用事がありましたから」
俺は「失礼します」と断ってから、朱乃さんの横に腰掛ける。
「…それで、俺に用って言うのは?」
「実は…………どうやったら父と仲直りできるのかと思いまして」
「……バラキエルさんと?」
……これは意外だ。
「でも、朱乃さんは……」
「えぇ、確かに父のことは許せませんわ。ですが………本当は分かっていたの。父は何も悪くないって」
「!」
朱乃さんは、そのまま言葉を続ける。
「でも、あの時の私はまだ子供だった。母様を失って直後、私は何かを憎まなければ自分を保てなかった。だから父様を憎むしかなかった!でも……そのままじゃいけないって、このまま喧嘩別れになるのは嫌だって、思うようになったの……でも私、あんな事を言ったのに、今更どんな顔をして言えばいいのかっ」
「―――‐そんな深刻にならなくても大丈夫ですよ」
「っ!」
俺は朱乃さんの手を取ってそう言った。
「お父さんだって、おんなじ事考えてると思いますよ。どうしてもっと早くに帰れなかったのかって。もっと歩み寄れなかったのかって……バラキエルさんは朱乃さんの事、邪険に扱ったりしませんよ。だって――――この世でたった一人の肉親なんですから」
「イッセー君……」
「……実は、俺の用事も、その事だったんです」
「っ!」
俺がそう言うと、朱乃さんは驚いたように眼を見開いた。
「御免なさい。実は先生から聞いてたんです、朱乃さんの事。で、どうやったら仲直りできるかなって考えてて………」
「……どうして?」
「?」
「どうしてイッセー君はそこまで………貴方は今自分の事で精一杯な筈なのに……」
「…俺、一度関わったら、とことんまで関わりたいんです。それに――――」
「………」
「俺は両親に、孝行する事が出来なかった。何時かは、親と別れる日が来る。朱乃さんには、そんな思いを味わってほしくなかったんだ。だ、だから………し、失礼しますっ!」
「!!」
俺は朱乃さんを――――抱き締めた。
「一度関わったら、最後まで何とかする。それが俺――――兵藤一誠だから。俺が、貴方達親子の懸け橋になるよ。だから、怯えずに前へ進もう………朱乃」
「い、イッセー…くん……」
「俺は最後まで見捨てたり、放り投げたりしない。以前約束したから。俺が君の希望になるって」
「……バカ。でも、ありがとう、イッセー…………」
…………これで良いんだよな?
―――――――父さん、母さん。
閉店ガラガラ