ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
次の日の夜、俺は契約を取ろうとする人の家に転移した。
だが着いた途端、俺の全身が凍り付いた!
『何だ、この感覚……っ』
俺は警戒心をMAXにして、辺りを見渡す。
………やけに静かだな。
その部屋から出て、俺は階段を下り、リビングの扉を開ける。
すると、
「お前、何してる?」
―――血を出して倒れる人と、それを見下げている白髪の神父服のような服を着ている男がいた。
「おぉ~?これはこれは、下種で下種な存在な悪魔君じゃあ~りませんか~」
………ふざけた口調だ。
俺の第六感が告げてる……こいつが殺ったとっ!
「お前が、やったのか?」
「ええ?ああ、これでありますなぁ……そう!俺っちです、はい!こんな悪魔を頼る糞みてえな人間なんかジ、エンドですよ!!死んで当然、殺されて当然、むしろ俺という至高に殺されたんですからねぇ……感謝感激ぃぃぃ!!」
………ふざけた野郎だな。
決めた。やることは1つだ。
「そうか。なら………」
《boost!》
俺は赤龍帝の籠手を展開し、直ぐ様
「死んで詫びろぉ!!この糞神父がよぉ!!」
そいつのムカつく顔面に拳をぶちこんだっ!!
「ぐほぉっ!!………………なぁ~に俺っちのイカしたイケメンフェイスにグーパンめり込ませてるんですかぁ!?君みてーに最低な悪魔君は即!死刑執行でunderstand?って事でバイちゃ!」
………イカレ神父が刀身のない柄だけの剣を仕舞い、懐より銀色の拳銃を取り出し、光の弾丸を撃ってきた!
だが!
「おせぇ!!」
俺は真正面から手刀で切り裂いた!!
「………おいおい、まじっすか!?なに簡単に俺の弾丸砕いてんの!あひゃあひゃ、すんばらしいぃぃぃ!!悪魔のくせに糞みたいな根性してますね~、ひゃは!それでそれで!?今度はこの俺、フリード・セルゼンに何を見せてくれるわけよ!!」
目の前の糞神父ーーもといフリードは今度はさっきの剣を取り出した。
剣の柄より光が眩く生まれ、光の刀身となった。
『あの装備……恐らく悪魔払いだな。一発でも貰ったらアウトだぜ。油断するなよ、相棒』
「OK……」
《Boost!》
やっぱりあんまり倍加は進まないかっ!?
「何ぶつぶつ独り言ほざいてんすかぁぁ!?そんな気色悪い悪魔君は首チョンパ!が良い処刑方ですな!!」
フリードは此方に向かって剣で斬りかかって来た!
「そんな滅茶苦茶な太刀筋で、俺を斬れると思ってんじゃねぇ!!」
俺は籠手を纏った左手で受け止め、右手でソイツを再び殴った!!
その勢いのまま、フリードは壁に激突した!
「ひゃははははは!殴った!?悪魔が神父を二・度!も殴った!おいおい罪深いですねぇ、あ!悪魔ですからね?悪魔だけに!?ははは、上手いっしょ!………そう言うわけでさ、そろそろホント、マジで死んでくれよぉ!!!」
するとフリードは服をまさぐり・・・もう一丁、持ってたのか!
あの光の弾丸を撃てる拳銃を両手に持っていた。
「封魔弾の二銃流っすからぁ・・・死んでねぇぇぇぇ!!」
イカレ神父は二丁の拳銃で俺へ弾丸をぶち込む仕草に入ろうとした
―――その時だった。
「やめて下さい!!」
俺の耳に、聞いたことがある声が聞こえた……
何でここにいるんだ……俺は耳を疑った。
あの子が何で…どうして……何でだ!
「―――アーシア!」
そこには……部屋の扉の入口には、アーシアが立っていた。
前に会った時と同じシスター服に身を包み、ヴェールを被るアーシア。
「おやおや?助手君のアーシアじゃあーりませんか~?結界は張り終わったのかな?なら邪魔しないでね、こいつを今から蜂の巣にしちゃうんでね!!」
「何を言って……!!い、いやぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
アーシアは床に倒れている、何度も切られた跡のある男の死体を黙視すると、悲鳴に近い叫び声をあげたッ!
「見るな!アーシア!!」
俺はアーシアの元に行こうとするが、フリードが俺に銃口を向け、硬直状態になった。
「可愛い悲鳴、いただきぃ!アーシアちゃんも教訓として神父のお仕事を学びなさいねぇぇ!特に悪魔に魅入られた人間なんかは即、首はねってことでぇぇ!」
「そ、そんな………………え?」
……不意に、アーシアの視線が俺の方に向けれた。
目を見開いて、まるで……驚愕するような、表情をしていた。
「い、イッセー、さん……どうして、ここに?」
「おやおや!?もしかしてアーシアちゃんはこの悪魔とお知り合いですかぁ?そんなのノンノン!悪魔は殺す!問答無用ってわけっすわ!」
「イッセーさんが、悪魔?」
「……アーシア、俺は」
アーシアは信じられないような目で呆然と俺を見ている。
……そうだったんだな、アーシアは。
アーシアはあいつの仲間で、恐らくはぐれと呼ばれる存在なんだろう。
「あれあれ?もしかしてまさかのシスターと悪魔の禁断の恋?でも残念!悪魔と人間の恋なんて皆無、皆無ってやつですよ~!それに俺たちは神の加護から見放されたはぐれなんで?堕天使様の加護がなかったら生きていけないんですぜ?」
アーシアは未だ、呆然としている。
……堕天使の加護?
まさかアーシアはあの堕天使と繋がってたのか?
んな訳無いだろ、と俺は即座に否定する。
アーシアはあんな野郎たちと一緒じゃない!フリードの様な糞神父と一緒にするのも甚だしい!
きっと騙されてるだけなんだ!!
「まあそこの辺はどうでもいいんでぇぇ……とにかく俺様、そこの悪魔君を殺さないと気が済まないんすよねぇ!封魔銃の二丁ばりでこいつの体全体に風穴空けてやるぜい!」
フリードは二丁拳銃を構える。
その時だった………今まで、呆然としていたアーシアが俺とイカレ神父の間に入り、俺を庇うように腕を広げ、イカレ神父をじっと見た。
「……おいおい、アーシアちゃん?自分が何してんのか分かってんでしょうかぁぁぁ!?」
イカレ神父はアーシアの行動に明らかに不機嫌になる。
「フリード神父……この方を……イッセーさんをお見逃しください」
アーシア……君は、俺を………庇ってくれるのか?
「もうやめてください……!!悪魔に魅入られただけで人を殺すなんて、間違ってます!!」
「はぁぁぁぁあああ!?こんの糞シスター!頭湧いてんじゃねぇか!?悪魔はゴミ屑で、死する存在って教会で習っただろうが!!」
「悪魔だって………悪魔だって良い人はいます!」
「いるわけねぇだろ、このバァァァァアアアアカ!!!目を覚まそうぜ!!?そこの糞悪魔殺してさ!!!」
「嫌です!!イッセーさんは良い人です!!こんな私を助けてくれました!だから私は悪魔だって良い人がいるって思えたんです!!」
アーシアは、イカレ神父に断言し、拒否する。
……その時だった。
イカレ神父は、アーシアに銃口を向け、そして光の弾丸を放とうとした。
そうは行くかよ!!
「アーシア!下がって!!」
「きゃあっ!」
俺はアーシアを自分の後ろに引き寄せた。
《Boost!》
『ドライグ!解放だ!!』
『了解!』
《Explosion!》
倍加した力を解放し、
「
魔力を伴った手刀をあの野郎に向けて放つ!!
「えっ!?何これ!こんなアニメみてぇな馬鹿カッコいい攻撃がぁぁぁぁ!!」
そんな断末魔を上げてフリードは吹き飛ばされる。
《Burst》
その音声と共に、籠手は解除された。
と同時にぐらつく体。
「おっと………」
「イッセーさんっ!?」
ハハ……アーシアを心配させちまったな。
これじゃ格好つかないな……。だけど先ずは、
「アーシア……ごめんな、悪魔だって、黙ってて」
悪魔なのを隠してた事、謝んないとな。
「……イッセーさんは良い人です!また私を助けてくれました……。だから謝らないで下さい!」
ハハ、優しいな。アーシア……。
………こんな優しいのに、何で堕天使の加護なんて受けてるんだ。
その時、大きな部屋の一点に赤い、グレモリー家の紋章が現れた。
……召喚のための、魔法陣。
「やあ、兵藤君……助けに来た………けどもう終わったのかい?」
「………見りゃわかんだろ?」
俺はその場から立ち上がり、あの神父に殺された人の元に向かう。
既に、息は絶えてる。
この人は俺を呼んでくれた人だ……してほしいことがあって、自分ではどうにもできなくて悪魔を頼った。
「……俺がもっと早く来ていれば、救えたかも知れない命だ……ごめんなっ……!」
俺はまだ弱い……。
救えたはずの命も、救えないなんてさ………っ!
「……イッセー、貴方はそこにいる女の子の正体を知っているのね?」
「……シスターと悪魔は、相容れないって言いたいんですか?」
そう語ってきた部長を少し睨んでしまう。
分かってる、部長の言いたいことは理解できる……でも!
「―――ッ!部長、この近くに堕天使のような気配がここに近づいていますわ」
……朱乃さんは何かを感じ取ったように部長にそう言うと、部長は手を開いてその場に魔法陣を出現させる。
「イッセー、話しはあとで聞くから今は帰るわよ!」
「ならアーシアも!」
「無理よ。この魔法陣は眷族しか転移されない。だからその子は無理なの。そもそも彼女は堕天使に関与している者。だったら尚更よ」
「だったら俺が……!」
俺は立ち上がり、堕天使全員ともう一度、戦うことを示す。
するとその時だった。
「……イッセーさん」
アーシアが、俺の背中に手を添えてきた。
その手はほんの少し震えていて、俺は首だけアーシアの方を向けると……アーシアは微笑んでいた。
「私は大丈夫です……だから行ってください」
「な、何言ってるんだよ?アーシア、大丈夫だよ……俺は戦えるし、あんな堕天使何かに負けは……」
「イッセーさん、大丈夫です……またきっと……会えますッ!!」
……アーシアは涙を流しながらも笑顔だった。
そしてその笑顔のまま、俺の背中を押し、俺は押されるがまま部長が展開させた魔法陣の中に入る。
「……感謝するわ、シスターさん」
「アーシア!」
俺はアーシアに向かって手を伸ばすも、でもその手がアーシアを掴むことはなかった。
「・・・また、会いましょう!イッセーさん!」
そうして、俺たちは光に包まれ、そしてそのまま駒王学園の部室へと転送されたのだった。
俺はあの日からずっとぼんやりとしていた。
理由は分かってる。アーシアの事だ。
あれから無事なんだろうか?
ずっと寝る前にも考えてた。
あの後、部室帰ってからの沈痛な面持ちで語った部長の言葉を思い出す。
『あのシスターのことは諦めなさい。初めから教会側の人間と悪魔は相容れないのよ、悲しいけど……それにそれ堕天使と戦ったら私達も堕天使たちと争うことになるわ。それで私の可愛い眷属を失うのは嫌なの……分かってちょうだい、イッセー……』
……部長の言いたいことは最もだ。
俺の気持ちだけで、他の部員を危険な目に遭わせるわけにはいけない。
だけど、放っておいたら、嫌な予感がする……。
『相棒、町に出掛けたらどうだ?』
「………そう、だな」
ドライグに言われて、気分転換という事で外に出ることに。
暫く歩いてると、俺は見知った姿を見つけた。
白いヴェールを頭に被ったシスター服の女の子………あの後ろ姿は……………アーシア!
今度は道の真ん中で周りをキョロキョロしながら困った様子でいた。
……割と人通りが多い町中だからな、おそらくは迷子かな?
って言ってる場合じゃねぇ!!
居ても立ってもいられず、俺は早足でアーシアの元に向かった。
「よ、アーシア!」
「い、イッセーさんっ!?」
「無事だったんだな……よかったぁ!」
俺は安堵の溜め息を漏らした。
いや、ホントに良かったよ……。
「んで、どうしたんだ?迷子か?」
「は、はいぃ………」
アーシアは顔を真っ赤にして俯いた。
くぅ~、可愛いなぁ!
「その、ご飯を食べようと思いまして………」
「そっか……。そうだ!アーシア、この後用事とかないか?」
「え?はい」
「だったら今日1日俺と遊ばないか?」
あんな思いしちまったんだ。
リフレッシュさせてやりたいからな!
「わ、私と居てもそんなに楽しいことなんて……」
「楽しいことは見つける物だ!行こうぜ!」
「………はい!」
よーし!今日1日はお遊びタイムだ!
「イッセーさん!これは何ですか!?」
先ずは腹ごしらえという事で俺達が向かったのは某チェーン店のハンバーガーショップだった。
そしてアーシアはまた、紙に包まれたハンバーガーを見ながら右往左往している。
教会出身であるアーシアがジャンクフードのような食べ物に縁がないのは当たり前で、食べ方が分からないのも当たり前ってもんだ。
「アーシア、それはな?こうやって食べるんだ!」
そういうと、俺はハンバーガーの紙を取っ払い、一口かじる。
久々だからか、食べると凄く美味い!
アーシアは俺の食べる姿を見て、目を見開いて驚いた。
「はわわ!そんな食べ物がこの世にあるなんて!」
「ほら、アーシアも騙されたと思って食べてみなよ」
「は、はいっ!」
するとアーシアは小さな口でハンバーガーを上品に食べる。
シスターとハンバーガーのアンバランスさが何故だか絵になるなぁ……。
んでその後は、
「うぅ、私の力……5レベルですぅ……」
「大丈夫だ!シスターだからしょうがないよ!」
パンチングマシーンでアーシアが『パンチ力たったの5……ゴミめ!』と言われガチヘコミしてなだめたり(その電工掲示板は殴った)、アーシアが欲しがった人形を取ってやったりして楽しんだんだ!
『因みに幾ら使った?』
「聞くな!!」
ゲーセンに行った後は、屋台でタイ焼きを買って二人で食べたり、服屋で服を見たり……
そうしているうちに、時間は既に夕方になっていた。
俺とアーシアは立ち寄った公園の水辺付近のベンチで二人して座っている。
そういやここは、俺が初めて堕天使と戦った場所か……。
「ははっ、さすがに疲れたなぁ……」
「は、はい……でもこんなに楽しかったのは、生まれて初めてですっ!!」
「俺もだよ。こんなに楽しく女の子と遊んだのはアーシアが初めてだよ」
だからかな……滅茶苦茶緊張してた。
楽しんでくれてるかなって思ってたら、アーシアの笑顔は凄くキラキラしてた。
うん、やっぱりどんな女の子でも笑顔が一番だな!
「その、イッセーさん……私、イッセーさんに少し聞きたいことがあるんです」
「……良いよ。俺もある。それにアーシアの聞きたいのはこれのことだろ?」
俺はそう言って、赤龍帝の籠手を展開した。
「……イッセーさんも、神器を持っているんですね」
「ああ。アーシアほど、優しいもんじゃないけど……」
「優しい、ですか……」
……俺の言葉を聞いたアーシアは、復唱するようにボソッと呟く。
「……アーシア?」
そして……アーシアは、一筋の涙を流した。
いや、一筋なんかじゃない……、ずっと絶えずに涙を流し始める。
俺はその姿を見て、もっと知りたくなった
アーシアのことを。
俺はまだアーシアの過去を知らない。
だけど、こんな悲しい顔を、涙を流させたくなかった。
「私の過去……聞いてもらえますか?」
「俺で良いなら、幾らでも聞くよ」
するとアーシアが語り始めた。
「聖女」とあがめられた一人の少女の、救われない末路を、涙を流しながら。
それはアーシアが小さい頃、彼女は欧州のとある地方で生まれ、生まれてすぐ捨て子として教会に捨てられたところから始まった。
そこで育てられたアーシアだったけど、転機は8歳の時のことだった。
アーシアはある日、怪我をした犬を発見し、そしてその犬を助けようと思った時に神器
を目覚めさせ、そしてその回復の力で犬を救ったらしい。
そしてその回復の力が教会中に知れ渡り、そしてアーシアは人の傷を癒す力を持つ「聖母」として崇められたらしい。
傷を癒すシスター……崇められるのは必然だったのだろう。
そう―――彼女が望んでいなくても、それは当たり前のように行われた。
どれだけアーシアの地位が高くなっても、どれだけの名声を浴びせられても……アーシアの心の隙間は埋まるどころか広がっていった。
だってアーシアが望んでいたものはそんなものじゃなく、もっと単純で……だからこそ大切なこと。
……アーシアはただ、友達が欲しかったんだ。
だけどそれは出来なかった。
出来るはずがなかった。
例え誰かを癒すことのできる優しい神器を持っていたとしても、それは人ならざる力だ。
他人はアーシアを異質な目で見るようになり、そしてアーシアはずっと孤独。
友達はいない、誰も守ってくれない、味方がいない……神器に目覚めた者が受ける確執、孤独。
アーシアは幼い時からそれをずっと味わってきたんだ。
……そんな状況だった。
そしてアーシアの人生が大きく変わってしまったもう一つの転機は……ある日、アーシアが教会の前にいた黒い翼を生やした悪魔を救ったことだった。
神器とはそもそも神聖なものではない。
どの神器もそれぞれの力は世界に対して平等に働き、そしてそれはもちろん多種多様な種族に影響する。
……つまり悪魔すらも癒すことが出来る。
悪魔をも救えるその力は聖なるものではない、魔女のものだと教会は判断し、そして……
アーシアを追放し、そして見捨てた。
だからこそ、アーシアは行き場がなくて極東の……日本のはぐれ悪魔払いの組織に入って、堕天使の加護を得るしかなかった。
それがフリードがあの家で言ったことの真相だ。
「これは修行なんですよ……神様が私に与えてくれた、修行……これを乗り越えさえすれば、きっと友達だって……」
アーシアは自嘲気味に笑いながら、そう語った。
「辛い思いをしなければ幸せになれないなんて、間違ってるよ」
「イッセー、さん?」
アーシアは俺の方を目を丸くして見ている。
「そんな方法で友達なんて出来ても幸せにはなれないさ。こうやって、楽しさをお互いに分かち合ってこそ、友達ってのは出来るんだ……。だからもう、俺達は友達だろ?」
俺は力強く、アーシアにそう告げた。
アーシアの中の悲しみを、少しでも亡くせる様に。
「イッセーさんは、私なんかの友達に、なってくださるのですか?」
「当たり前じゃないか!もう俺達は、今日1日楽しんだんだ!それだけで、友達だ!だから、宜しくな!後な………」
「………?」
「もし何かあったら、俺の名前を呼んでくれ。そしたら、絶対助ける。そして、絶望しそうになったら、俺がアーシアの最後の希望になるよ。約束する」
アーシアにそう言うと………アーシアは涙を浮かべてるけどすっきりとした、笑顔を俺に見せてくれる
嬉し泣きだと、良いな……。
『相棒、空気の読めない来訪者だ』
『あぁ、分かってるよ』
「―――友達?そんなのは無理よ」
………その時、俺の知っている声が上空から聞こえた。
しかしそれは既に俺達も探知して知っていた―――堕天使。
「アーシアが逃げ出したと聞いて急いで追いかけてみたら………まさか男とデートなんてねぇ……アーシアに妬いちゃうわ」
本気で言ってない……こいつはそう、あの時俺を殺そうとした、レイナーレ。
あの時とは違う格好で噴水口の上に浮いていて、そして気味の悪い笑みを浮かべている。
だが俺に気付くと、その顔は憤怒に彩られた。
「貴様、兵藤一誠……!?」
「気付くのおせーよ、レイナーレ」
「ふぅん………この波動、悪魔になったんだ。最悪ね」
堕天使は俺を潮笑する。
こいつ、典型的に悪魔を下等と思っているタイプか。
いや、自分の種族以外の全てを下に見ているタイプだ。
「最悪?とんでもないブーメラン発言だな」
「何ィ……!」
俺の安い挑発に易々と乗ってくると、殺りやすいねぇ。
「れ、レイナーレ様……」
アーシアが俺の後ろから、体を震わせてそう呟いた。
「アーシア、帰って来なさい。あなたの力は私の計画に必要なものなの。だから……」
アーシアに近付こうとしたレイナーレに、真空波を顔にぶつける。
途端、レイナーレの頬からは血が流れる。
「貴様ァ……」
「あんたにはお似合いの血化粧だな。それにテメーがアーシアに触れたら汚れちまうだろ?」
「………殺す!!」
レイナーレは光の槍を作り、此方に向かって投げてきた。
が、俺はそれを赤龍帝の籠手で霧散させる。
「たかが龍の手で私に勝つつもり?馬鹿なの?」
「その馬鹿に追い詰められたのは何処の誰だろうなー?」
「馬鹿にしてっ……!!」
激昂したレイナーレは更に多くの槍を投げる。
「
指の間から無数にドラゴンショットを放ち、相殺する!
「な、何処に……!」
「此方だ」
「なっ」
《Explosion!》
「らぁっ!!」
「ぐぅぅぅぅっ!!!」
殴る瞬間、俺は前もって倍加した力を解放した!
その勢いのまま、レイナーレは木々の中に倒れる。
「ぐっ、ふぅっ………!」
「終わりか?随分あっけな「きゃああああっ!!」っ!」
レイナーレに言いかけた言葉に被さる様にアーシアの悲鳴が聞こえ、後ろを振り向いた!
すると、スーツ姿の堕天使がアーシアを抱えていた!
「レイナーレ様、この男は私に任せて、貴方はこの娘を儀式場へ………」
「ぐっ………ソイツは私の手で殺したいけど、貴方に任せるわ。ドーナシーク」
「はっ」
「っ!待て!!」
ちくしょう!
失念してた、奴に仲間がいるという事位考え付くだろ!!
アーシアが拐われたこともあり、俺は冷静さを失っていた。
そして何より、自分自身が許せない!!
「さぁ、小僧。お前の相手は私がーー」
「どけ………
「………………な、に!?」
目の前のスーツ野郎が言いきる前に切り捨て、ぶっ飛ばした。
それより、アーシアは!?
『もうこの辺りにはいないな………』
アーシアを守り抜けなかった、その思いのまま、俺はその場に暫く立ち尽くした。
次回、D×Dウィザード
リアス「駄目よ」
イッセー「アーシアぁぁぁ!!」
ドライグ『貴様は、選択を誤った』
MAGIC6 『友達、助けます!』
ドライグ『次回もォ!ぶっちぎるぜ!』
イッセー「懐かしいな、それ」