ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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仮面ライダーチェイサー、観賞しました。


スッゴく面白かったです。後の展開の事を考えると感慨深い物があるよね……ブレンさんとか、主役のチェイスとか

後エンジェルとメディックがエロかったです(小学生並み感)

特にエンジェル…………上遠野さんが羨ましかった




MAGIC47『VSシトリー眷属!前編』

決戦当日ーーーー

 

 

「…………ここ、駒王学園の近所のショッピングモールだよな」

 

俺達グレモリー眷属が転移された場所は、見知った駒王学園の近所にあるショッピングモール。

成る程、今回の戦いの場所はどちらも見知ってるから、動き方はスムーズに行くだろうな。

 

それと、先程グレイフィアさんから指示されたルールは

 

 

・『兵士(ポーン)』は敵本陣に乗り込んだ時点で昇格(プロモーション)可能……まぁ、これはライザーの時とおんなじだ。

 

俺達の本陣はここ、2階の東側で、対するソーナ会長達は1階の西側。

 

参考までに言うと、俺達の陣地の周りにはペットショップ、ゲーセン、フードコート、本屋、ドラッグストアがある。(勿論、品物も存在する)

 

会長達は食料品売り場と、電気屋、ジャンクフード店舗、雑貨売り場。

 

 

こんなもんかな、後は…………フェニックスの涙がお互いに支給されてる。

 

そして今回は所謂「屋内戦」…………そして一番重要なのは、

 

 

「『バトルフィールドとなるデパートを破壊し尽くさない事』ーーーーつまり、ド派手に戦うなって事ね」

 

 

そう、あまり派手な技が禁じられるのだ。

言ってることは普通かもしれないが、これは俺達…………取分け、ゼノヴィアや朱乃さん、それと俺は不利な戦場だ。

 

まぁ修行で細かく立ち回れる様な特訓は受けてるかもだけど……元々ゼノヴィアは一撃必殺のパワータイプだ。デュランダルの。

 

朱乃さんも雷を展開する上で、それは範囲が広い。

故に周囲の店を破壊しかねない。

 

俺は一応テクニック型だけど(ドライグ曰く)本質はパワー寄りだ。

いざとなったら力でゴリ押ししちまうからな…………。

 

 

「それに、ギャスパーの『神 器(セイクリッド・ギア)』が使用禁止に指定されてるわ。理由は単純明快、制御できてないからよ」

 

ふむ、まぁそれは予想通りだ。

ギャスパーは今力を抑えるメガネを掛けてる。

 

「攻め手にしてもこの吹き抜けですからね。何処からでも進行するのが見られて対策されます。まぁ、向こうも同じと思いますけど」

「そうね…………立体駐車場も、向こうは警戒するでしょうし」

「後は屋上からの行動もですわ。ですが……」

「ええ、分かってるわ朱乃。どちらにしても、中央突破。屋上か、立体駐車場か、この二つのルートで進まないと行けないわ。このデパートの外からは攻めれないから」

 

部長と朱乃さんの話し合いは続く…………うーむ、頭を使うのは苦手だからなぁ。

 

木場は屋上と立体駐車場を視察してる。

車とかも確認するためだそうだ。

 

「うん……ギャスパーは蝙蝠に変化して、デパートの各所を飛んでちょうだい。序盤は逐一、知らせてもらうわよ」

「は、はい!」

 

おー、気合い入ってんな。

そういやギャスパーは初めてだったな、レーティングゲーム。

 

まぁ何やかんやで10分後に再び集まることになり、全員それまでリラックスモードに入った。

 

「そうだわ……ねぇ、イッセー」

「はい?」

 

俺は部長に呼び止められ、部長の元に近づく。

部長は俺が近づいたのを確認すると、何やら耳打ちをする。

 

 

「…………分かりました」

『しかしリアス・グレモリーよ。よく考え付いたな』

「一応こんなこともあろうかと、『神器(セイクリッド・ギア)』に関してもそこそこ調べたの。後で小猫にも伝えるわ」

 

…………部長、多分この中じゃ一番に変わったな。

 

『あぁ。流れるオーラにも、甘さが消えてる。中々良い塩梅だ』

 

うん……さーて、どーっすかなぁ。

 

『相棒。本屋行ってみようや』

 

何でさ?

 

『エロ本とかも完全再現されてるかも』

 

おぉ、その発想はなかったぜ!

普段は部長達がいるから読めないんだよねぇ。

 

そう思った俺は直ぐ様本屋にたどり着き、エロ本が何処に置かれてるか物色する。

 

「……お、マスターガイド。これ限定のカード付いてるんだよなぁ。持ち帰れないのかな?」

『クリッターが復活か……長いこと生きてると何があるか分からんな』

 

な、混沌帝龍も帰ってきたしな。

…………最近アーシアのデッキで猛威を震ってるけど。

 

『アーシア嬢は専らエクシーズだろう』

 

とは言うけどよ、やっぱアイツ脱獄したんじゃねーか?

効果使わなきゃバンバン呼べるしよ。

 

ダメだ、凄く良い笑顔でタキオン呼び出すアーシアが……怖くてッ!!

 

 

……お、新しいエロゲ雑誌だ!

 

『今年はどんな作物だ?』

 

うーむ、色々ありますなぁ。

 

 

ーーーーむにゅん。

 

「うぇっ!?…………あ、朱乃さんっ!?」

「あらあら、どんな本をお読みですか……うふふ、とってもエッチな本ですわね」

 

ま、不味い!言い訳しなきゃ!!

 

「や、これは…………つい、出来心でありまして!その」

「うふふ。私は別に怒りはしませんわ。イッセー君らしくて良いと思いますわ」

 

けど朱乃さんはニコニコ笑顔でそう言うと、今度は真剣そうに俺が開いてるページを見ている…………ど、どうしたんだろうか?

 

「……イッセー君。今度、この衣装を着てあげましょうか?」

 

へ?俺は朱乃さんの見ている方を向くと、そこには女の子が露出度高めの衣装を来ている場面だ。

 

……これ、下着すら付けれないぞ!ホントに良いのかよ!?

 

「ま、マジっすか!?」

「マジっすよ。うふふ、イッセー君だからですわ」

 

やった!これで俺、一週間は戦える!!

等と脳内で浮かれてると、朱乃さんは俺を抱き締める力を強くした。

 

「……どうか、しましたか?」

「イッセー君から、勇気を貰ってるんです」

 

朱乃さんの切なげな声。

 

「……戦う勇気はありますわ。でも、私の中に流れるもう一つの力を使う……それが怖いの」

 

…………望んでない力を受け入れるのは、並大抵な覚悟では出来ない。

朱乃さんの気持ちが分かる俺は、朱乃さんを抱き締める。

 

「こんな俺で良かったら、幾らでも勇気、持っていって下さい」

「…イッセー君、見ていてくれますか?私が光の力を使う所を」

「……はい!俺が見てるだけで良いなら、安いもんですよ!」

「嬉しい…………私、イッセーと一緒なら、きっと…」

 

不意に朱乃さんが離れると、徐々に俺の顔に近づいてきて……え、これは、まさか……!?

俺と朱乃さんの距離がゼロにーーーー

 

 

 

 

「……イッセー先輩、そろそろ集合です」

 

なる前に小猫ちゃんが現れたぁぁぁぁ!!!

 

「こ、小猫ちゃん!これはね、その……!」

 

ダメだ、言い訳が思い付かん!

そんな俺を小猫ちゃんは半眼でため息を吐く。

 

「あらあら、小猫ちゃんに見られちゃいましたわ。有難う、イッセー君。元気、貰いましたわ」

 

朱乃さんは何時ものニコニコフェイスに戻り、その場から去ろうとした、が。

 

「…………次は、必ず貴方と」

 

何かを呟いて去っていった。

その顔は、何処か名残惜しげだった…………。

 

「……先輩」

「ん?何だい小猫ちゃん?」

 

小猫ちゃんは背伸びして俺に抱き付いてきた。

俺は驚きこそしたけど、この間に抱き付かれたばかりなので、アタフタすることなく落ち着いていた。

 

「…………私にも、勇気を下さい」

「…しょうがないなぁ」

 

俺は小猫ちゃんを抱き締める。

小猫ちゃんは嬉しそうに体を震わすと、

 

「……勝ちましょう。イッセー先輩」

 

そう、力強く宣言してきた。

 

 

 

 

そして、試合開始の時刻となったーーーー

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

試合の制限時間は三時間ーーーー短期決戦と言う訳だだ。

 

俺は小猫ちゃんのペアは店内から進行している。

 

木場はゼノヴィアと立体駐車場を経由しての進行で、ギャスパーは蝙蝠に変化しての店内の監視と報告。

 

部長達は進行具合で俺のルートを通るそうだ。

 

 

で、現在ーーーー俺と小猫ちゃんは自販機の影に隠れている。

 

「…………向こうから2名、向かってきてます」

「……ホントだ。やっぱ早いね小猫ちゃん。で、このペースだと」

「10分以内に、エンカウントです……」

 

さぁーて、どうした物か………………ッ!

 

《ライト・プリーズ》

「「ーーーーッ!?」」

 

何かを察知した俺は素早くリングを腰に翳し、魔法を発動!

小猫ちゃんも気付いていたらしく、ライトで照らした敵に向かってハイキック!

 

が、向こうは天井からぶら下がるロープを使い、巧みにかわすと、地面に降り立つ!

 

「よー、兵藤。やっぱ気付かれてたか」

「まぁな……匙」

 

俺は襲撃者ーーーー匙と、背中にくっついてる女の子を見据える。

匙と女の子は眼を暫くパチパチしていたが、直ぐにそれも直り、此方に向き合う。

 

「ちっ、ラインは付けられなかったか」

「部長は会長がお前を使って闇討ちするだろうとは読んでたからな」

「なら………………構えろよ」

 

 

…………へっ、何となく、察したよ。

 

 

匙、お前は俺と戦いたかったんだろ?

俺達は何処か似てるからな。一途だったり、バカだったり、スケベだったり…………険悪だったのは、最初だけだった。

 

「まぁ、俺達は似た者同士だからな。良いぜ……とことん殺ってやるよ」

《Welsh Dragon Balance Breaker!!!!》

 

俺は静かに鎧を展開する。

それを見た匙は顔を強張らせる。

 

「…………前より、オーラが強いなッ!」

「どうした匙?今からビビってる様じゃ…………」

 

 

 

 

ーーーーガンッ!!!

 

 

「ーーーーッ!!?」

「俺には勝てないぜ?…………匙」

 

俺は暗闇に乗じて腕だけを龍化させて、伸ばしたのだ。

そして、僅かに動揺した隙を狙って…………と言う訳だ。

 

「匙先輩っ!?」

「ーーーー隙有りですっ!」

 

相手の女の子の動揺した隙を小猫ちゃんが逃す筈もなく、白色のオーラを纏わせた拳打を打ち込んだ!

 

すると、匙の後輩は膝を落とした!

 

「気を纏った拳を打ち込み、更に貴女の体内に流れる気脈にもダメージを与えたので、もう魔力は練れません。もう一つ、内部ダメージも大きいので…………動けません」

 

……小猫ちゃんの怪力は相当な物だ。

更に内臓にもダメージを通す仙術を纏った拳ーーーー外も中も大騒ぎって訳だ!

 

何れだけ外の体を鍛えても、内臓は鍛えようがないからな!

 

「仁村ーーーーゴハッ!?」

「…………余所見厳禁、だろ」

 

動揺して叫ぶ匙の腹に、ストレートパンチ!

匙が膝を付くのと同時に、

 

『ソーナ・シトリー様の『兵士(ポーン)』一名リタイア』

 

匙の後輩のリタイアが告げられた。

 

 

 

がーーーー

 

 

 

『リアス・グレモリー様の『僧侶(ビショップ)』一名リタイア』

 

 

次に響いたアナウンスは、俺達側の駒が減った知らせだった。

 

「ッ!!イッセー先輩、これは……っ!」

「…………ギャスパー、だな?」

 

俺は僅かにふらつく匙に確認すべく訊ねた。

すると匙は、小さく頷いた。

 

「してやられたぜ。恐らく、食料品売り場のニンニクを利用したな?」

「…………あぁ。態と不振な動きをさせて、ギャスパー君をおびき寄せる。そして人間に戻った所を、ニンニクで取る…って訳だ」

 

部長もそれに気付いてるな……全くギャスパー!今度から朝飯はガーリックトーストにするからな!

 

だが、恐らくはただではやられない筈だ。

 

「一応、部長はそれを見越して鼻栓渡したけど……あの野郎忘れてたな絶対!」

『……大丈夫よイッセー。一応、ソーナ達の配置は知らされてあるから』

 

俺は部長からの知らせにホッとする。

 

「何を息ついてんだよ?お前の相手は……俺だっ!!」

 

匙は今度は此方の番だと言わんばかりに高出力の魔力の塊を放つ!

この濃度は、鎧でも壊されるーーーーそう判断した俺は、

 

鏡写しの龍波動(ミラージュ・ドラゴンショット)!!」

 

俺はティアとタンニーンのおっちゃんとの修行で作り出した新しい技を放つ。

それは普通の大きさだけど、匙の一撃とぶつかり合うとーーーー霧の様に霧散する!

 

「……っ!?」

「相手の一撃と、俺の一撃を同じ力にして、打ち消す…………。鏡写しってのは、そう言う意味さ」

 

でも同じ力にするのは、俺の魔力量に比例する。

相手の一撃が俺の魔力量を大きく上回る物或いは、俺の魔力が枯渇してるとこの技は効果がない。

 

牽制用だけど、相手によっては瞬時に相殺できる訳だ。

 

「……へっ。俺の命懸けの一撃も、無意味って訳かよ」

 

……命懸け?

俺は不意に匙の胸部を見るとーーーーッ!?

 

「お前…………まさか自分の命を!?」

「そうだ!俺はお前と違い、魔力は低い……高威力で撃ち出すには、こうするしかないのさ」

「その行為、分かってるのか?お前ーーーー死ぬ気かっ!?」

「そうだ!!!」

 

匙の眼はーーーー真剣だった。

 

「俺達は、命懸けでお前達を倒す。ーーーーお前に、夢を馬鹿にされた俺達の悔しさが分かるか?夢を信じる必死さが分かるか?…………この戦いは、冥界全土に放送されてる。俺達をバカにした奴等の目の前で、シトリー眷属の本気を見せなきゃ行けないんだッ!!」

 

俺はふらつきながらも向かってくる匙の一撃をかわし、膝蹴りを叩き込む!

血を吐く匙に構わず、俺は胸ぐらを掴み頭突きをお見舞いする!!

 

匙は勢いよく倒れるが…………まだ、立ち上がる。

 

「やっぱり、お前は俺に似てるよ…………匙」

「兵藤ォォォォォッ!!」

 

死に物狂いで魔力弾を俺に向けて放つ。

俺は一撃一撃を手刀で消しながら、直接ーーーー

 

 

 

 

赤龍帝の聖剣(ウェルシュ・エクスカリバー)ッ!!」

「ガハァッ…………!!!」

 

オーラを纏った手刀をお見舞いする!!

同時に、匙の心臓に直結していたラインも消え去る!

 

が、匙は倒れる体を無理矢理止め、後ろに飛び、俺の足にラインを飛ばす!

 

…………身動きさせない気か!!

 

 

何とかもがく俺の隙を見計らって、匙は再び心臓にラインを繋いだらしく、ソフトボール程の大きさの魔力弾を手元に浮かしていた。

 

「これで……ハァ、ハァ…………周囲に影響は出さずっ!お前だけを……ハァ、破壊できるッ!!」

「先輩!加勢しまーーーー」

「来るな小猫ちゃん!!」

 

俺は鋭い声で制止する。

 

「これは匙とのーーーー男と男の戦いだ」

「……今はチーム戦です。協力してこそ」

「分かってるよ。でも、これは理屈じゃない。その気になればコイツは、小猫ちゃんの力も吸えたんだ。なのにそれをしなかった。どうしてだと思う?」

 

小猫ちゃんは答えられなかったが、匙がにんまり血塗れになった顔で笑う。

 

「……ゴメンな、塔城小猫ちゃん。俺は、兵藤に、赤龍帝に勝ちたいんだ。『兵士(ポーン)』の俺が!同じ『兵士(ポーン)』である赤龍帝、兵藤一誠に、勝つことが!!俺は赤龍帝に勝つ!勝って、先生になるッ!!差別のない学校を、築くとッ!!」

「……てな訳さ、小猫ちゃん。俺はコイツの、匙元士郎の挑戦を受けたい。そして、コイツを真正面から、本気で倒さなきゃ、いけないんだっ!!」

 

不器用なバカーーーーそう呼ばれても良い。

 

 

俺達は、何処までも似てるんだから。

 

 

 

小猫ちゃんはそれを聞くと、拳を下ろし、距離を取った。

 

「サンキュ、小猫ちゃん。…………来いよ、匙。お前の全力、見せてみやがれッ!!」

「…………へへっ、やっぱ、お前は大きいよ。兵藤」

 

唐突に、匙は語り出した。

 

「俺さ、お前が羨ましかった…………人を照らす希望の魔法使い、そして、力を持つ赤龍帝。俺は……同時期にお前と同じ悪魔になったのに、何もなかった……何も無かったんだよ!!だから、手に入れる。何もない俺でも、赤龍帝であるお前を倒せるんだって、自信をッ!!」

 

お前、そんな風に俺を見ていたんだな……匙。

でもーーーー俺は、俺達は、お前達の夢を乗り越えるッ!

 

部長には部長の夢がある!俺は…………それを守るッ!!

 

「これで終わりだ、兵藤ォォォォォォォォォォッ!!!!!」

 

匙は渾身の力を込めて魔力弾を撃つーーーー寸前に、俺は右手を翳す!

 

刹那ーーーー

 

 

《Divide!》

 

赤色に覆われていた俺の右手の籠手が白色に変化し、匙の一撃を受け止めた!

魔力弾は直撃したが…………俺は無傷だった。

 

「俺の魔力弾を、半減させた……ッ!?」

 

驚愕する匙。

 

「あぁ。簡易的な半減程度なら五回まで使えるようになった。それ以上使うと生命力を削るけどな。それと、モノホンの白龍皇と違って、半減させた力は俺には加算されない。…………その様子を見るに、会長も俺がこれを使うのを予想してなかったらしいな」

 

匙には説明してないけど、半減させた力は俺ではなく、右手の籠手に加算される。

当然、籠手にもキャパシティは存在する。

 

だから、普通の赤龍帝の力で何かに譲渡する或いは解放する…………ま、今は使わないけどな。

 

「さぁ、匙…………ショータイムだッ!!」

 

俺は今この瞬間だけ“右腕の違和感”を無視して、匙に接近する!

そしてゼロ距離から、

 

放電する龍波動(スパーク・ドラゴンショット)!!」

「グギャァッ!?」

 

魔力を電気の性質に変化させ、匙にぶつける!

匙はその一撃の余波で痺れていたが、構わず俺は蹴っ飛ばし、

 

《Explosion!》

龍牙雷光(ドラゴニック・プラズマ)ッ!!」

「ぐああああああッ!!!?」

 

光速拳で匙を打ち据える!

だが、匙はまだ力なく立ち上がる。

 

その足元も覚束ない、目線も虚ろだ。だがーーーー匙は叫んだ。

 

「兵藤ォ…………俺は、先生になる!先生になっちゃ、いけないってのかッ!?何で……俺達は笑われなきゃならないッ!?なぁ、兵藤ォ!!」

 

俺に向かってーーーーいや、この試合を見ている多くの者達に向かって、匙は吠えた。

 

「俺達の夢は、笑われるために掲げてる訳じゃ、ないんだ…………ッ!!!」

「笑うかよ…………命懸けてまで夢に向かって走るお前らを、笑う訳ねぇだろッ!!!」

 

俺は匙を殴り飛ばしながら、そう叫ぶ。

だが匙は踏ん張る。今にも倒れそうな体を鞭打って。

 

 

 

顔は腫れ上がり、左目は完全に塞がれてる。

 

体には幾つもの痣が、切り傷が出来ても、指も違う方向に折れ曲がっていてもーーーーそれでも、匙の眼光は鋭かった。

 

お前はーーーー本当に強いよ。

 

 

俺は、今凄まじいプレッシャーを感じてるんだぜ?

可笑しいよな、俺が勝ってる筈なのに、鎧も、殆んど傷が付いてないのに……俺はこれまで感じたことのない畏怖を感じてんだぜ?

 

 

 

匙、お前によ…………。

 

 

 

 

だからこそ、

 

 

 

「匙、俺はお前を倒す」

 

匙が放った、折れ曲がった手で、殴り掛かる。

俺はそれをかわし、カウンターを見舞う。

 

ーーーーガンッ!!!

 

「……………………兵、藤ォッ」

 

手応えは、あった。

 

 

だけど、俺はまだ立ち上がる。そう思っていた。

 

 

 

 

 

が、匙は意識を失っていた。

 

 

 

俺の拳を両手で掴みながら。

 

 

 

 

ーーーーそして、

 

 

 

 

 

『ソーナ・シトリー様の『兵士(ポーン)』一名、リタイア』

 

 

 

匙は消えていった。

 

 

けど、俺の拳を掴んでいた手の力は、抜けることはなかった。

 

 

 

 

俺はーーーー愚直に夢を語り、挑んできた男を、最後まで見届けた。

 

 

 

 

 

目を反らせば、また復活するーーーーそう思えた。

 

 

 

「…………先輩」

 

匙との一騎討ちが終わった俺は、何故だか拳が震えていた。

そんな情けない俺を、小猫ちゃんは手を握ってくれた。

 

「……何でだろな?分かってるのに、さ」

「カッコ良かったです。自慢の先輩です」

「有難う」

 

…………さて、

 

 

「小猫ちゃん、感じるかい?」

「………………はい」

 

 

匙…………今回は、悪いが勝たせてもらう。

 

 

お前にも、会長にも。

 

 

 

 

けど、タイマンなら何時でも受けて立つぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、D×Dウィザード

 

 

木場「反転の力か……厄介だね」

 

 

ソーナ「此方の手は読まれていた訳ですか……」

 

 

???『よぉ、悪魔共。魔法使いは何処だ?』

 

 

 

MAGIC48『VSシトリー眷属!後編』

 

 

 

ドライグ『オイオイ、次回予告で波乱なフラグ立ったな』

作者「受け取ってくれよ、俺のファンサービスを!」

 

 

 

 




という訳で、次回は本編とは違う流れになります


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