ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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ぶつかり合う定めの2体の龍


一方は力を増やし、一方は力を減らす


だがそのぶつかり合いに、正義はない……




ぶつかり合いの果てに、龍を宿す者達が見る景色はーーーー







MAGIC34『激突する天龍』

あ、ありのままに起こった事を話すぜ!

 

上からおっさんが落ちてきたと思ったら、裏切り者が俺のライバル、白龍皇ヴァーリだったんだ!

 

「アザゼルさん!どうなってんすか、この状況!30字以内で説明して下さい!」

「無理だ!」

 

4文字で纏めやがった!……ってな事言ってる場合じゃないな。

 

「悪いなアザゼル。俺としては此方の方が面白そうなんだ」

「……ったく。俺もやきが回ったもんだな。なぁヴァーリ、一つだけ聞くぜ」

「ん?」

 

アザゼルは背中に翼を生やすと、ヴァーリと同じ目線まで浮かび上がる。

 

「うちの副総督のシェムハザが、三大勢力の危険分子を集めた組織ーーーー禍の団(カオス・ブリゲード)が動き始めてるのを察知してんだ」

「ほぅ、流石はアザゼル。情報網が速いな」

「そして……そのトップに立っているのがーーーー」

 

 

次いでアザゼルが口にした事実に、俺は信じがたい物を感じた。

 

 

 

 

「『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス!」

 

 

ーーーーッ!?

 

 

 

「オーフィス!?……神も恐れた、最強のドラゴンが…テロ集団のトップだなんて!」

 

部長達も驚いていたが、それ以上に俺は信じられなかった。

 

 

『相棒……奴は結局、家を取った訳だな。ま、それ以外の事には眼中にないだろうが』

 

 

 

…………そう、か。そうだな。

 

 

 

「……あぁ、そうだよ。だけど、俺も彼女も世界だの覇権だのには興味がなくてね。カテレア達は彼女の力を利用しようとくっついてきただけだ」

「ヴァーリ、貴方は本人を目の前にしてよく言ってくれますね…………」

 

って、あの人?悪魔なんだろうけど…………誰?

 

「カテレア・レヴィアタン…………旧魔王の一人だ」

 

え、えぇぇぇぇっ!?

レヴィアタンって……セラフォルー様じゃないの!?

 

「……ヴァーリ、あの子は一体何者?ただならぬオーラを感じるけど」

「兵藤一誠。俺のライバルの赤龍帝だ」

「ふぅん…………見たところ残念そうだけど、殺すの?」

 

…………聞こえないけど、多分物騒な事言ってるんだろうなぁ。

 

「止めておけカテレア。お前だと恐らく負ける」

「それほどなのかしら?」

「オイオイお前ら、俺を忘れるなよ」

 

と、ここでアザゼルが口を開いた。

「そうでしたね…………さぁアザゼル、覚悟を決めてもらいましょうか」

 

カテレアはアザゼルを嘲笑いながら魔力をたぎらせる。

 

「……チッ、さっき膨れ上がったオーラの量、オーフィスに何貰った?」

 

アザゼルの問い掛けにカテレアは笑った。

 

「無限の力を、世界変革の為に借りたのですよ。お陰で貴方と戦える。サーゼクスやミカエル、そしてセラフォルーも倒せるチャンスです」

 

…………それって、

 

 

「ただのドーピングじゃね?」

『素の実力じゃ敵わないからって奴の力を借りて変革って……何かアホくせぇなぁ』

 

俺とドライグは思った事をそのまま口にした。

どうやら上空にいる二人にも聞こえたらしく、方や笑い方や怒っていた。

 

「ダーハッハッハ!!確かにな!お前の言うとおりだぜ兵藤一誠!」

「っ、黙りなさい!愚かな総督の癖に!」

「確かにな、俺は愚かだ。シェムハザがいなけりゃ何も出来ねぇただの神器マニアだ。だけどな、サーゼクスやミカエル達の方がお前らよりは優秀だ」

 

アザゼルの言葉にカテレアは顔を歪ませた。

 

「世迷い言を!良いでしょう……ならばここで、新世界創造の第一歩として、堕天使の総督である貴方を滅ぼす!」

 

強い口調だけど…………完全に死亡フラグです本当にありがとうございました。

だがアザゼルは愉快そうにしながら、懐から短剣みたいなのを取り出した。

 

「それは……」

「……俺ぁ神器マニアが過ぎてよ。自作で作ったりもするんだよなコレが。まぁ、殆んどはガラクタ同然の奴ばっかだけどよ。全く、神器を開発した神はスゲーよ。俺はそこだけは神を尊敬してんだぜ?」

「安心なさい。新世界で神器等と言った玩具は絶対に作らない。そんなものがなくとも世界は機能するのですから。ーーーー何れは北欧のオーディンにも動いてもらわなくてはなりません」

 

そうカテレアが口を歪めた時、アザゼルは吐き捨てた。

 

「それを聞いて益々ヘドが出るぜ。ヴァルハラ!?アース神族!?横合いからオーディンに全部かっさらうつもりかよ。まぁ良いや……と言うよりもな、俺の楽しみを奪う奴等はーーーー消えてなくなれ」

 

ゾッとするほどの底冷えした殺気を放つと、アザゼルの持つ短剣が形を変えた!

な、何だ!?

 

「……!アザゼル、まさか!?」

「……禁手(バランス・ブレイク)!」

 

一瞬、閃光が辺りを包み込んだ。

かと思うと、閃光は直ぐに晴れ、そこにいたのはーーーーまるでドラゴンの様な全身鎧を纏ったアザゼルッ!

 

 

 

 

な、何かカッコよすぎるぞ!

黒と金とか…………厨二心擽られるチョイスじゃん!!

 

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』と他のドラゴン系神器を研究して作り出した、俺の傑作人口神器だ。『堕天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)』、それの擬似的な禁手状態ーーーー『|堕天龍の鎧《ダウンフォール・ドラゴン・アナザー・アーマー》』だ」

 

すげぇオーラだ!ティアやドライグにも負けない波動の力強さ!

それにいとも簡単に禁手になりやがった!

 

『いや、ありゃあ正確な禁手じゃないな』

 

へ、違うの?

 

『神器をバーストさせて強制的に禁手にしてるんだろう。所謂暴走だ。ま、核が無事ならガワを作り直すだけで良いんだろうが……』

 

つまり、使い捨ての神器?

 

『だろうな』

「ハハハ!流石はアザゼル!凄いや!!」

 

おおぅ、奴さん笑ってるぜ。

何処までも戦闘狂だな!

 

「ヴァーリ、てめぇの相手もしてやりたい所だが……赤龍帝に自己紹介でもしとけ」

「……ふむ、それもそうだな」

 

えぇ……相手取って下さいよ。

するとヴァーリはこっちを向いて俺に語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「改めて始めましてだな、兵藤一誠。俺はヴァーリーーーー本名、ヴァーリ・ルシファー」

 

 

……………………は?ルシファー?

 

「俺は先代魔王の血を引く者でね。旧魔王の孫である父と、人間の母との間に生まれたんだ。『白龍皇の光翼』も、半分人間だから手に入った」

 

……な、何だよそれ。旧魔王で、伝説のドラゴン宿すとか!

 

「嘘よ!そんな事が…………」

 

部長や皆も驚いてる…………そんなの当たり前だ!

だがカテレアと睨み合ってるアザゼルは肯定した。

 

「いいや事実だ。そうーーーーコイツは過去現在、そして未来永劫に於ても、最強の白龍皇だろうさ」

「奇跡と言う言葉は、俺のためにあるのかもな」

 

そう呟くと同時に、ヴァーリの背中から、光翼に被さる様にして幾重もの悪魔の翼が生えた!

 

「さぁーて待たせたなカテレア…………来いよ」

「舐めるなっ!!」

 

特大のオーラを纏って、カテレアは猛スピードでアザゼルに飛び込むがーーーー

 

 

 

 

ザンッ!!

 

 

 

 

「オイオイ、折角意気揚々と禁手したのによー……ま、良いや」

「ガッ…ハッ……!?」

 

コンマの世界での攻防で、アザゼルの方に軍配が上がった。

 

「これ程とは……!ですが、ただでは死にません!!」

 

カテレアは血を吐きながらも何やら体に怪しげな紋章を浮かばせながら、アザゼルの左手に触手を巻き付けた!

 

「ッ、あれは自爆用の術式だわ!」

 

えぇ、マジで雑魚要員じゃん!自爆って…………!

 

「ほぉ、安っぽい考えだな」

「こうなった以上、貴方に逃げ場はありません!私が死ねば貴方もーーーー」

 

 

 

 

バシュッ!!

 

 

だが、そんなカテレアを嘲笑う様にして、アザゼルは躊躇なく左手を切断した!

ま、マジかよ……!?

 

そんな、ピッコロさん宜しくぶったぎるなんて!

 

「ほれ、逃げ場は出来たぜ」

「自分の、腕を……ッ!?」

「左手ぐれぇお前にやるよ。だから、消えろ」

 

アザゼルは吐き捨てると、カテレアの腹に光の槍をぶっ刺した。

カテレアの体は爆発することなく、塵になって消えた。

 

「呆気ないな、カテレア」

 

ヴァーリは何事もなく呟き、俺達を変わらず見下ろしていた。

 

「ま、そろそろ停まった連中も動くだろうな。どうするよヴァーリ、俺と踊るか?」

 

アザゼルは片手で光の槍を作ると、切っ先をヴァーリに向ける。

が、ヴァーリは一瞥しただけで今度は俺に目線を向けた……アレ?

 

「確かにそれも面白そうだけど…………俺は先ず君と戦ってみたいんだよ、兵藤一誠」

「お、俺?」

「あぁ。君自身は気付いてないだろうが、君の持つオーラはとてつもなく強い。リアス・グレモリーの眷属でいるには勿体無い程にね」

「……部長が弱いってか?」

 

俺が言うと、奴は首を横に振る。

 

「いや、そうではない。ただ、余りにも釣り合わないと思ってね」

「…………」

「さぁ兵藤一誠。俺と戦おうじゃないか」

 

ヴァーリは静かに構えるが、俺の言いたい事は一つだ。

 

 

 

「…………だが断る!」

「…………………………?」

 

 

そんな身勝手な理由で戦いたくねぇよ!

 

「俺の力は誰かの希望を守るために使う。お前みたいにただ戦いたいから、なんて下らねー理由で使いたくない」

「……君の性格からすればそう言われるのも考えておくべきだったな。ならばこう言うのはどうだ?」

 

 

するとヴァーリはさも楽しげに、言い放った。

 

 

 

 

 

「君は復讐者になるんだ。君の叔父、兵藤茂を俺が殺そう」

 

 

 

 

 

 

………………………………は?

 

 

 

 

 

コイツ、今なんて言ったんだ?

 

 

「…………オイ、もう一回言ってくれよ。聞こえなくてさ」

「君の叔父を殺そう。そしたら君は俺と戦うことになる。嫌でも仇を取るために戦わねばならないだろう?君の叔父も、老いて普通に死んでいくよりはよっぽど劇的だ。うん、我ながら良い考えだな」

 

 

 

…………やっぱそう言ってたんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーぶっ殺す。

 

 

 

 

 

 

「オイ、この糞野郎…………」

 

 

大地が揺れるのを感じる。

 

 

 

体の奥底から怒りが沸いてくるのを感じる。

 

 

 

だがッ!それ全てをぶつけても、足らねぇ!!

 

 

 

 

「覚悟は出来てんだろうなぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

《Welsh Dragon Balance Breaker!!!》

 

激情のままにオーラを放出し、直ぐ様鎧を身に纏う!!

コイツは、コイツだけはっ!!

 

「俺がぶっ倒してやるよぉぉぉぉぉッ!!!」

 

 

 

 

イッセーside out

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

木場side

 

 

 

魔剣創造(ソード・バース)ッ!」

「デュランダル!!」

「「ぐあああ!!」」

 

 

僕とゼノヴィアは、迫り来る魔術師達を粗方片付けた。

 

「これで殆どか?」

「恐らくね…………」

 

すると、

 

 

「お待たせしましたわ」

「すみません。ご迷惑をお掛けしました……!」

「不覚……」

 

朱乃さん、アーシアさん、小猫ちゃん達がやって来た!

良かった、ギャスパー君の停止能力が切れたんだ!

 

「アーシア、無事か!?」

「は、はいっ!ゼノヴィアさん、苦しいです~」

 

ゼノヴィアは余程心配してたのか、アーシアさんをきつく抱き締めていた。

本当に苦しそうだよ、ゼノヴィア……。

 

「ご苦労だった。木場祐斗君、ゼノヴィア」

 

後からやって来たサーゼクス様に労いの言葉を受けた。

うん、頑張った甲斐があったよ。

 

「……どうした?グレイフィア」

 

だけど、後ろにいたグレイフィアさんは何やら浮かない顔をしていた。

 

「何か、嫌な予感がします……イッセー様に、何か起こりそうな…」

 

全員が首を傾げた時だった。

 

 

 

 

 

 

ゴォォォォォォォォォォッ!!!!

 

 

突如大地が揺れたと思うと、グラウンドから赤いオーラが立ち上った!

 

このオーラは…………イッセー君!?

 

「…………行こう」

 

サーゼクス様が静かに呟いたのと同時に、僕たちは走り出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、そこには、

 

 

 

「懺悔の用意は出来たかァ!?ヴァーリィィィィ!!!」

 

激しい怒りを見せるイッセー君と、白龍皇ヴァーリがいたんだ。

 

「よぉサーゼクス、ミカエル」

「アザゼル……その腕は」

 

部長とギャスパー君の側にいたアザゼルは何と片腕がなかった。

恐らく、この前に感じたオーラの持ち主と戦った結果なのだろう。

 

「……すまない」

「謝んなって。こっちもヴァーリの裏切りが出たからな。それにしても……お前の妹はとんでもないのを眷属にしたもんだ」

 

……だけど、以前のイッセー君はこんなオーラを放出してはいなかった。

それにーーーー

 

「だが解せねぇな」

「どうしたのです?」

「俺の知る赤龍帝の鎧はあんなにも鋭くなかった筈なんだがな」

「……確かに。以前見た物とはまるで違う」

 

 

そう、ライザーと戦った時と、鎧の形状がまるで違った。

全身を覆う鎧はまるで針の様に鋭くなり、イッセー君を覆うオーラもまた同じく鋭かった。

 

 

 

 

そして、全身を走る緑色のスパーク。

 

 

 

何れも、以前見た赤龍帝の籠手の禁手形態とは大きく違っていたーーーー。

 

 

 

 

「イッセー……」

 

 

部長が呟いたイッセー君の名前は、

 

 

 

 

 

「ぶっ殺すッ!!!!」

「そうこなくっちゃな!!」

 

 

赤龍帝と白龍皇のぶつかり合う音に、掻き消された。

 

 

 

 

 

木場side out

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

イッセーside

 

 

「ッ、これ程とはな……!だが見ろアルビオン!兵藤一誠の力が桁違いな迄に膨れ上がったぞ!!」

『神器は、思いを力の糧とする。彼の純粋なまでの怒り、殺意がお前に向けられてるのさ。だがそれこそ、ドラゴンの力を引き出せる、心理の一つだ。しかし……歴代の赤龍帝の何れにも属さない程の力だ。やるからには気を抜くなよ』

「フッ、当然!」

 

奴の語る言葉全てが癪に触るッ!

 

「訳わかんねー事ほざいてんじゃねぇッ!!!アスカロンッ!」

《Blade!》

 

籠手に内蔵されたアスカロンを伸ばし、ヴァーリに一閃!

すると結界と共に、雲が斬れた!

 

『龍殺し……一太刀でも浴びれば無事では済まんぞ』

「当たらなければどうと言う事もない。さぁ兵藤一誠!俺を楽しませてくれ!!」

 

だったら!

 

「楽しませてやるよ……泣くほどになぁ!!!」

 

オーラを纏い、ヴァーリ目掛けて高速で接近するッ!

 

「ーーーーッ!速いなっ!」

「うらぁぁぁぁぁっ!!」

 

ヴァーリの魔力の弾幕を掻い潜り、顔面に拳を食い込ませるッ!!

 

「ガッ……ッ!!」

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!》

「オラァッ!!」

 

怯んだヴァーリの頭にハンマーナックル!

落下していくヴァーリ目掛けて、

 

 

爆裂の龍波動(エクスプロージョン・ドラゴンショット)ォッ!!」

「ぐっーーーーッ!!!」

 

落下しながら魔方陣で防ぐが、爆裂の龍波動は触れた瞬間に爆発する!

ヴァーリの周囲に連続して爆発が起こる!

 

 

が、ヴァーリは鎧を再生させながら煙から姿を見せると、高速のタックルをーーーーッ!!!

 

「フンッ!!」

「グゥッ……!!!」

 

僅かに上に浮かんだ俺の手を掴み、術式を発動し、魔力の弾丸を零距離で浴びせてきやがった!!

イテェ!!

 

当然俺の体は落下していく。

ヴァーリは落下していく俺に向けて手を翳す。

 

《Divide!》

 

白龍皇の光翼から音声が聞こえたかと思うと、急に俺の力が消失する!

何とか着地し、奪われた分を倍加で補う!

 

《Boost!》

『相棒、一端冷静になって聞いてくれ。奪われた力は俺の力で元に戻るーーーーが、白いのの他の能力が厄介だ』

 

……どういうこった、ドライグ?

 

『奴は相手の力を半分にするだけじゃない。減らした分の力を自らに加算する。つまり、お前の力を奪い、自分のパワーにしているのさ。あくまでパワーだけだがな』

 

つまり、俺がマイナスからゼロになっても、向こうはプラスになる訳か。

笑えねぇ…………ッ!

 

『そう言うこった。だが、どんなに宿主がスゴくとも限界はあるさ。キャパシティを越える力は背中の光翼から吐き出すことで上限を常に維持できるって訳』

 

へっ、成る程なぁ……。

 

「ほらほらッ!どうした!?君の力はその程度ではあるまいっ!」

「チィッ……拡散する龍波動(マシンガン・ドラゴンショット)ォッ!!」

「フッ!」

《DivideDivideDivideDivideDivide!》

 

奴が繰り出す攻撃と相殺させるーーーー!

が、ヴァーリは拡散する龍波動を半分にして掻き消した!

 

不味いっ、俺の後ろにはーーーーっ!

 

 

「うおおおおおお!!!」

「イッセーさんっ!?」

 

向こうの魔力の弾丸がアーシアとギャスパーにぶつかる前に何とか楯になる!

 

 

「アーシア、ギャスパー……怪我ないか?」

「で、でも、イッセー先輩がっ!」

「大丈夫だっ……これぐらい……」

 

 

 

 

そうだったな…………俺の後ろには。

 

 

「部長達がいるんだぁぁぁぁ!!』

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!》

《Explosion!》

龍牙雷光(ドラゴニック・プラズマ)ァッ!!!」

「高速拳もかわせばなんと虚しいかっ!!」

 

なっ、龍牙雷光をかわしやがった!?

 

「だが君はやはり強いっ!こんなにも心踊るのは久方ぶりだっ!!」

「ああそうかい!?こっちは胸糞悪いんだよッ!」

 

くそっ、曲がりなりにも最強の白龍皇だけあるなっ!

こっちの攻撃がまるで往なされてるッ……!

 

「だったらぁ!」

 

何時もよりオーラの消費が多いけど、気にしてられねぇ!

魔力を火種に変換……そしてッ!

 

《Transfer!》

「ドラゴンブレスッ!!!」

 

空中のヴァーリ目掛けて焔を放つ!

奴は防御壁で防ぐが、その熱量に顔を歪めていた!

 

「グッッッッッ!なんと言う熱量だッ……!?」

 

 

そう、その隙が欲しかった!

 

「これは……ッ!」

 

俺は予め地中に手を突っ込み、ドラゴンブレスが消えた瞬間にヴァーリの下から手を伸ばす!

ここだぁ!

 

ガシッ!

 

「ヴァーリの光翼を掴んだ!?」

「ドライグゥ!ヴァーリに力を譲渡するぞ!!」

『合点承知!』

《Transfer!》

 

ヴァーリに力を譲渡した事で一気に力が抜ける!

ヌグゥッ!!

 

「どうしてヴァーリに力を!?」

 

部長が背後で驚いているがそりゃそうだ。

でも、これで良いんだ!

 

「お前の吸い取る力と吐き出す力を一気に高めてやるよ!この翼が処理しきれなくなるほどになァ!!」

「チィッ!!」

 

キィィィィィンッ!!

 

奴の白龍皇の鎧の宝玉が滅茶苦茶な点灯を繰り返すようになり、奴の体から感じていたドラゴンの力が消失する!

 

「そうか……白龍皇の光翼の機能をオーバードライブさせたのか」

 

そう、アザゼルの言う通りだ!

過剰な迄に処理しきれない力を奪い、同時に過剰な迄に力が吐き出される。

 

結果、白龍皇の鎧の機能を停止させたのさ!

 

『ヴァーリ!一度体勢を立て直せ!このままではっ!』

「わかっーーーー」

「させるかよぉッ!」

 

俺は左手のオーラを薄く、極限まで研ぎ澄ます。

 

《Explosion!》

赤龍帝の聖剣(ウェルシュ・エクスカリバー)ッ!!!」

 

アスカロンの波動を込めた赤龍帝の聖剣、喰らいやがれぇ!!

 

 

「ガッーーーーッ!!!」

 

赤龍帝の聖剣を諸に受けたヴァーリの鎧はいとも簡単に消滅し、校舎の壁に叩きつけられた!

 

「まさか……アスカロンの波動を、今の手刀に?」

「恐らくは土壇場で思い付いたんだろうな。けどとんでもねー才能の塊だな」

 

そうだ、今の一撃にはアスカロンの波動も混ぜたのさ!

だからヴァーリの鎧も呆気なく消滅したのさ!

 

ヴァーリは血ヘドを吐きながらも立ち上がった。

 

「フフッ、俺がここまで追い詰められるとは…………流石は、俺のライバル…ッ!」

 

だが次の瞬間にはもう鎧が再生される!

なんつースタミナだ…………って、

 

「何かよ…何時もよりスタミナの消費が激しくないか……?」

 

そう、何時もより魔力やオーラの消費が多いんだ。

くそっ、このままじゃじり貧だ…………ん?

 

「これは……」

 

刹那、俺の中にある光景が映った。

…………物は、試しだなッ!

 

 

俺は足元のーーーー『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の宝玉を拾った。

どうせこのままじゃスタミナ切れで俺の敗けだ!

 

「ドライグ!今俺の考えてること、分かるか?」

『ーーーーッ!オイオイ、随分イカれた発想してるじゃねーの!だが面白そうだ!……死ぬ覚悟はあるか?』

 

 

 

死ぬ覚悟?

 

 

 

「そんなもん……魔法使いになったあの日から決めてるッ!……でも死ぬ“つもり”はないね!死ぬなら童貞卒業してからだ…………だがな!死ぬ程辛い痛み程度なら我慢してやる!だからお前も一走り付き合えよドライグ!いやーーーー『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』ッ!!!」

『ハッ、そうだな!童貞のまま死んだら一生呪われるらしいからなぁ!ーーーー良いだろう!一走り付き合ってやるッ!!我は、力の塊と称された赤き龍の帝王!お互い生きて越えてみせるぞ相棒!!否ッ!兵藤一誠ッ!!!』

「あったりめぇよ!!」

「今度は何を見せてくれるんだい?」

 

ヴァーリは興味深そうに訊いてくる。

 

「へっ、だったらその目かっぽじってよく見とけ!!『白い龍(バニシング・ドラゴン)』アルビオン!そしてヴァーリ!貰うぜ、お前達の力ァッ!!!」

 

ガキンッ!!

俺は右手の甲に填められた宝玉を叩き割り、そこへ白龍皇の宝玉をぶちこむ!!

 

 

 

さっき、俺の頭に思い浮かんだのは、木場の聖魔剣。

そう、不可能な筈の現象が先日のコカビエルとの戦いで起きた。

 

 

 

 

 

ーーーーなら、奴等の消失の力を、取り込めるかもしれないっ!!

 

 

右手に嵌め込んだ宝玉から、白いオーラが発生し、俺の肉体にーーーー想像を絶する痛みが伝わって………………ッ!!

 

 

 

「うがあああああああああああああああっ!!!!」

 

 

 

 

イテェ!!いやッ……痛いってレベルじゃッ……

 

 

「ぬああああああああああああああああっ!!!!」

『ぬおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』

 

ドライグも同様に苦悶の叫びを上げる!

 

「ッ……俺の力を取り込む気か?」

 

へっ、見りゃわかんだろ!?グウウウウウウッ!!!

 

『グアアアアアアアアアアアッ!!!』

『無謀な事を。我等は相反する存在……それはただの自殺行為だ。ドライグ、分かっていながら何故止めなかった?』

『グウウウウウウッ!!!…………ヘッ、相変わらず頭がかてぇなドラピオン!!』

『アルビオンだッ!!貴様よくこんな状況で私の名前を間違えれるなッ!?』

 

だがドライグは苦しそうに唸りながらも、淡々と話すドラピオン、じゃない、アルビオンを鼻で笑った。

 

『ぬぅぅぅッ…………アルビオンよ。俺はコイツとーーーー兵藤一誠と出会って学んだ事がある!バカも貫き通せば、不可能を可能にするとなッ!!!俺は何度もコイツが絶望を希望へと変える瞬間を見届けた!だからこそッ!命も賭けられるッ!!!!』

 

……ドライグッ!!

 

「そうだッ!!これぐらい、この状況も!チャンスに塗り替えるッ!!だから……俺を否定するな、消失の力よ!俺もお前を否定しないッ!!お前の力もーーーー俺の希望だぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

刹那ーーーー

 

 

 

 

《Vanishing Dragon Power is taken!!!》

 

 

俺の右手が真っ赤にーーーーゲフン、眩い白い光に包まれ、同じく真っ白なオーラが包む!

 

 

そしてーーーー俺の右手は白い籠手に変わっていた!

 

 

「へへっ…………『白龍皇の籠手(ディバイディング・ギア)』完成ッ……てか!」

 

でも赤い鎧なのに右腕だけ白いから、結構不恰好だな…………まぁ良いや!

 

『有り得ん!こんなことは有り得ない!』

『ハァ、ハァ……言ったろ。うちの相棒は常識の物差しで計れないって』

 

何時そんな事言ったんだお前!?

まるで俺が非常識な奴みたいじゃんか!

 

『まぁ良いじゃん。だが確実に寿命を縮めたぞ。いくら悪魔が永遠に近い時を生きるとしてもだ』

「云千万年も生きるつもりはねーよ。……最低千年かな?」

『充分過ぎるわ』

「喧しい!兎に角ヴァーリ!これでお前の力をーーーー」

 

パチパチパチ。

……ん?俺、何でヴァーリに拍手送られてんの?

 

「面白い!面白いよ兵藤一誠!ならば俺も、白龍皇の真の力で答えようッ!!」

 

ヴァーリは空中に浮かび、手を大きく広げた!

\(^o^)/オワタポーズ…………?

 

「何だ?ダークシンクロでもする気か?」

《Half Dimension!》

 

宝玉の音声と共に眩いオーラに(また)包まれたヴァーリが眼下に広がる木々に手を向けるとーーーー

 

 

 

 

 

「なっーーーー!?」

 

 

木々が一瞬で半分になった!?

まさか…………

 

「周囲の物体ーーーーっつか質量まで半分にすんのかよ!?」

 

その言葉は多分間違いじゃない。

事実、あれよあれよと周囲の木々が半分に圧縮されていく!

 

 

どうすんだよオイ!?

 

 

 

 

 

すると、

 

 

 

 

 

《Half Dimension!》

『「ヘ?」』

 

奴の質量半減に釣られるようにして俺の白龍皇の籠手から音声が鳴り響いたかと思うとーーーー

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!

 

 

 

「うおおおおおおお!?」

 

な、何か勝手に質量半減の力が発揮されやがった……ッ!?

って、駒王学園の校舎まで圧縮されてる!!

 

このままじゃ部長達まで……ッ!!

 

「なっーーーー!?」

『バカな…………白龍皇の真の力まで発動させたのか!?』

『いんや!恐らくそっちの力に触発されて発動しちまった様だな!相棒よく聞け!』

「何だ!?」

 

次にドライグから発せられた言葉は、信じがたい物だった!!

 

 

 

『このままじゃ学校だけじゃなくな!リアス・グレモリー達のおっぱいまで半分こだぞ!!』

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………な、

 

 

 

 

 

 

 

「何だとぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

ソイツは死活問題だ!絶対に止めないと!!

 

「ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅっ………………!!ダメだ、止まる気配がないっ!」

 

ドライグ、助けて!

 

『無茶言うな!白龍皇の力は俺の管轄外だ!』

 

役立たず!!

くっそー!!…………って!

 

 

「俺の鎧まで圧縮されてる!?」

 

このままじゃマジでヤバい!!

何とかしなきゃ……………………ッ!!

 

 

 

 

《Wizardragon Operation!》

 

 

 

 

すると、新たな音声が鳴り響いたかと思うと、急激に質量半減の力が弱まった。

 

 

「……へ?」

『兵藤一誠、この力は俺が内側から抑える!その隙に漏れているオーラを抑えろ!』

 

この声は……ドライグとも違う渋い声ーーーー

 

 

 

 

「ドラゴン!?」

 

普段は俺のアンダーワールドで寝ているファントム、ドラゴンだった!

 

「で、でも何で…………!?」

『勘違いするな、ただの気紛れだ!それに……お前を破滅させるのは俺の力でだ!!ウェルシュドラゴン!ドラゴンのオーラなら抑えれるだろ!?今のうちにやれ、さっさと!』

『命令すんなボケ!』

『何だとカス!』

『やんのかグータラ!?』

『上等だスットコドッコイ!』

『パスタ!』

『滝坪!』

『ボーリング!』

 

こんな時に喧嘩するなよお前ら!?

っつーかさっきのしりとりの続きなら明日以降やれ!

 

「うおおおおおおッ!!!!!!!」

「半減のオーラが、静まっていく……!?」

「イッセーさん…!」

 

ドラゴンの協力のお陰で、何とか抑えれたぜ…………!

向こうも影響受けてたみたいでヘロヘロだけどな。

 

 

こっちはそれ以上にヘロヘロだよ…!

だけどヴァーリは何かを企む様にほくそ笑む。

 

「……アルビオン。兵藤一誠ならば、白龍皇の『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』を見せるだけの価値があると思うだろう?」

『ヴァーリ、この追い詰められた状況でそれは無謀だ。無闇に覇を唱えれば、ドライグの呪縛が解けるかもしれない』

「願ったり叶ったりだ、アルビオン。ーーーー『我、目覚めるは、覇の理にーーーー』」

 

な、何だ?覇龍って…………しかも何か唱えてるし!

 

『自重しろヴァーリッ!!我が力に翻弄されるのがお前の本懐か!?』

 

おおぅ、アルビオンが怒ってらっしゃる。

何もしないなら今のうちにーーーー!

 

 

 

と思ったら、俺達の前に誰かが舞い降りた。

……見た感じ三国志に出てきそうな男だ。

 

「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ。って、ボロボロじゃねーかぃ」

 

……何か、場に似つかわしくない呑気な声だな。

ヴァーリは不機嫌そうに口許の血を拭いながら立ち上がった。

 

「……何の様だ、美猴」

「それは酷いんだぜぃ?相方がピンチっつーから遠路はるばる来たってのによぅ?北のアース神属と一戦交えるからさっさと逃げ帰ってこいってよ?」

「……そうか、もう時間か」

 

何勝手に話し込んでんだ?

 

「おい、誰だそこの猿顔」

「猿顔言うない!俺っちは美猴ーーーー闘戦勝仏の末裔だぃ」

 

は?とーせんしょーぶつ?

 

「ま、この名前なら分かるかもな?孫悟空って」

 

 

……孫、悟空?

 

 

「『『カカロットォォォォォォ!!!?』』」

「カカロット言うない!」

「や、もうメンドクセーからカカロットって呼ぶわ」

「ウッキーッ!!俺っちは美猴だぃ!!」

「……それより早く行くぞカカロッ……美猴」

「ヴァーリィィィィ!?お前は信じてたのにぃ~!!」

 

うわー、友達?のヴァーリにも間違えられたよ美猴。

…………あ、俺のせいか!

 

「ま、そんな訳で、次会う時まで宜しくな!赤龍帝」

「お、おう」

 

何かフレンドリーなテロリストだな…………って!

 

「逃がすかーーーーっ!?」

 

止めを刺すべく一歩足を踏み出した途端、鎧が解除され膝を付く。

くそっ、こんな時に…………っ!

 

『無茶するな、相棒。お前は自覚してる以上に疲労している。今戦うのは無理だ』

 

そんな事言っても!今が倒せるチャンスかもしれないんだぞ!?

だがあれよあれよと言う間に、美猴ーーーーもといカカロットとヴァーリは足元に出現した黒い穴に吸い込まれていく。

 

「そう急かずとも君が強くなればまた会える。では、次に戦う時を楽しみにしてるよ。兵藤一誠」

「じゃーな赤龍帝!今度は俺っちと戦ってくれぃ!」

 

 

 

その言葉を最後に、白龍皇は孫悟空と共に闇に消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回はエピローグです、いやぁ長かったぁ……

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