ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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D×D born終わりましたが…………あの最後は卑怯だwww


今回も視点がコロコロ変わりますが、ご了承下さい


MAGIC24 『決戦!コカビエル 後編』

 

イッセーside

 

「はぁっ!」

『フンッ!』

 

木場がフリードとぶつかり始めたのと同じタイミングで、俺は上空にいるコカビエルと肉薄した!

 

《Boost!》

『中々のパワーだな!』

「そりゃ、どうも……っと!」

『ぬっ!?』

 

俺のウィザーソードガンと奴の光の槍の鍔迫り合いになるが、俺はコカビエルの腹を蹴り距離を置く。

 

そしてその合間に、

 

 

 

 

「やぁっ!」

「雷よ!」

 

リアス部長と朱乃さんは強化された滅びの魔力と雷を放ち、コカビエルを攻撃する!

 

『小賢しいっ!』

 

コカビエルはそれを魔方陣で防ぐが、辺りは煙で充満した。

 

「…………ていっ!」

『……っ!?』

 

その隙を縫うように小猫ちゃんが拳でコカビエルを殴る!

 

『…………くくっ、この程度の力とはなっ!』

「…っ!?」

 

だがコカビエルは強化された『戦車』の一撃を容易く受け止めると、小猫ちゃんをぶん投げた!

 

「小猫っ!」

 

部長が何とか小猫ちゃんを抱き止めるが、

 

 

『隙だらけだ!!』

 

コカビエルは夥しい数の槍を生成し、部長達に撃ち放った!

 

「させませんわ!」

「こなくそぉ!」

《ディフェンド・プリーズ》

 

俺と朱乃さんはそれを防ぐ!それを見てコカビエルは面白そうに笑うと、

 

『防戦一方とはな!バラキエルの娘よ、父の名が泣くぞ!?』

「…………っ!」

 

朱乃さんにそんな事を言い放った………………バラキエル?

 

 

「私を………………あの者と一緒にするなぁぁぁ!!!」

 

すると、朱乃さんはその名を聞くと激昂した!

ど、どうしたんだ!?

 

朱乃さんの掌からは何時も以上の極太の雷が放たれた!

 

『流石はバラキエルの娘だっ!だが無駄だ!!』

「っ!?」

 

コカビエルは何とそれを片手で受け止めつつ、もう片手に極太の光の槍を形成した!

 

「っ!朱乃!」

 

不味い!今の朱乃さんは、冷静さが…………!

 

『むぅんっ!!』

 

コカビエルは光の槍を朱乃さん目掛けて投げた………………けど!

 

 

「させるかぁぁ!!」

《エクステンド・プリーズ》

 

当たる直前に朱乃さんを俺の方に引っ張り槍への接触を防ぐ!

 

「……イッセー君」

「大丈夫っすか!?朱乃さん!」

「え、えぇ……」

 

くっそ、あの野郎……!

 

「よくも朱乃さんを殺そうとしやがったな!ぜってぇ許さねぇ!!」

《コピー・プリーズ》

「っ!///」

 

俺は後ろで朱乃さんが顔を赤らめるのに気付かずにウィザーソードガンをコピーで増やし二刀流の構えを取り、コカビエルに攻撃する!

 

《Boost!》

「うぉぉぉぉぉ!!!」

『ほぅ、お前単独で攻めるかっ!?』

 

コカビエルも対抗する様にして、光の槍を2本作ると俺と連続で斬り結ぶ!!

 

《《キャモナスラッシュシェイクハンズ!フレイム・スラッシュストライク!ボーボーボー!ボーボーボー!》》

「だらぁぁぁぁ!!!」

 

フレイムドラゴンの指輪の力をウィザーソードガンに翳し、凄まじい焔を纏った斬撃を見舞う!

 

『ぐぁっ!?』

 

一刀目でコカビエルの光の槍を消し飛ばし、二刀目でコカビエルの体に傷をつける!

 

『…………くっくっく。やるな、赤龍帝!だがっ!』

「っ!うゎぁぁぁ!!」

「イッセーっ!?」

「イッセーさん!」

 

コカビエルはそれに対しあまり堪えた様子を見せず、光の波動で俺を吹き飛ばした!

 

 

 

だが!

 

《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》

「喰らいやがれっ!!でゃぁぁぁぁ!!!」

 

受け身を取りつつ指輪を入れ替えて、俺はドラゴンの頭を顕現させ、即座に攻撃に転じるっ!!

 

 

 

 

 

 

 

『っ!ぬぅぅぅぅぅぅぅっ!!!かぁっ!!』

「…………嘘、だろ…!?」

 

が、何とコカビエルはドラゴンブレスを魔方陣で防ぎやがった…………!

あのフェニックスも倒した攻撃でも、駄目かよ!?

『………………これだけでお仕舞いか?貴様のトリックは』

「……へっ。何言ってんだよ?まだまだフィナーレには早いぜ。それにな…………俺の魔法はトリックなんかじゃねぇよ!!」

《ハリケーン!ドラゴン!ビュー!ビュー!ビュービュー、ビュービュー!》

 

フレドラで駄目ならハリドラだ!

俺はウィザーソードガンを拾い、逆手に持ち直し再びコカビエルに接近する!

 

「はぁぁぁぁ!!」

『くくっ!やはり貴様の強さは本物だな!こんなに血沸く戦いは久方ぶりだぞ!』

 

くそっ!なんて強さだ……………………隙が見出だせない!

 

「イッセー!加勢するわ!」

『貴様ら雑魚はコイツらと戯れてろ!』

 

コカビエルは何やら石を部長達の方に投げると、その石は忽ち石の怪物ーーーーグールになった!

グールは部長達を先に進ませない様に立ち塞がった!

 

『ヴゥ…………!』

「くっ!邪魔よ!」

「ですが、これは……!」

「多過ぎ、です…!」

 

部長達は何とかグールを退けようとするも、グールは一向に減らない、そして木場とゼノヴィアはフリードと交戦ナウ……って事はだ。

 

 

「現状、俺一人って訳か…………!」

《Boost!》

 

今は俺一人でコイツを相手取らないといけない訳だ。

 

『心にもない事を…………貴様にとって奴等は足手まといだろう?』

「へっ!…………部長達を甘く見てっと、大怪我するぜ……っ!」

 

俺はコカビエルの体を蹴り、空中回転しつつもう一度スペシャルリングを翳す!

 

《チョーイイネ!スペシャル・サイコー!》

「行くぜ…………うぉぉぉぉぉ!!!」

『ッ!?』

 

背中にドラゴンの翼が生えるのを確認して、俺は空中へと飛び上がり、そのまま回転!

そしてその勢いのまま緑の風を纏い………………コカビエルに突貫!!

 

 

 

 

……………………恥ずかしいけど、これで決めてやるっ!!

 

『旋風の、ヘルダイブスラッシャーーーっ!!』

 

 

ってお前が叫ぶんかい!?まぁいいや!!

 

「切り刻んでやるぜぇぇぇぇぇ!!!!」

『ぐぅぅぅぅっ!!』

 

コカビエルは苦悶の声を上げつつ、俺のヘルダイブスラッシャーを何とその体で受け止めつつ、更に回転する俺を抱き締めるかの様に腕を回し踏ん張った!?

 

『これしきの力で…………この俺を倒せるかぁ!!』

「っ!?ぐぁぁぁぁぁっ!!!」

 

コカビエルは完全に俺のヘルダイブスラッシャーを止めると、そのままグラウンドに投げ飛ばした!!

 

 

 

 

 

ドォォォンッ!!

 

「がっ、はぁ………………!」

『この程度か?……赤龍帝』

「へっ、まだ…まだだぜ…………!」

 

何とかウィザーソードガンを杖にして立ち上がると、そこには木場とゼノヴィアが驚いた様子でこっちを見ていた。

 

「赤龍帝、なのか…………?」

「…………ん?おぉ」

「イッセー君…大丈夫かい?」

 

そう語りかける木場の近くには、倒れ伏したフリードと粉々になった剣が……………………って事は、

 

 

 

 

「勝ったみてぇだな…木場」

「……うん、君達のお陰でね」

 

木場は晴れやかな表情でそう語った。…………一皮剥けたな、コイツも。

 

「はぁっ!アーシア、イッセーの回復を!」

「はいっ!イッセーさん!」

 

アーシアは走りながら俺に近づくと、神器の力で俺を回復してくれた…………あぁ、癒される。

 

「イッセー、大丈夫!?」

「はい、何とか…………」

 

再び集った俺達オカ研部+ゼノヴィア………………すると、バルパーは何やら木場を見て狼狽えながら口走った。

 

「ば、馬鹿な…………そんなことがあり得るわけがない!聖と魔、二つの相反する力が混ざり合おうなどと!!」

 

 

………………は?何言ってんだ、コイツ。

 

『…………相棒、木場祐斗の剣をよく見ろ』

 

見ろって………………!まさか、これは……

 

『あぁ、聖と魔の力が融合してやがる。あのクソジジイの言う通り、普通は有り得ない現象だ』

「……そ、そうか、わかったぞ!聖と魔、二つが混ざり合うということは、つまり神が創ったシステムは消失しているということ!つまり魔王だけでなく神もーーーー」

 

 

……が、バルパーが全てを言い終わることはなかった。

 

 

 

 

 

奴の腹部に巨大な光の槍が刺さっていたから。

 

 

そしてバルパー・ガリレイは…………光の藻屑と成って消えていった。

 

 

『バルパー、貴様は非常に優秀だった。貴様がその真理にたどり着いたのは、優秀だからであろう……だがお前がいなくとも、俺は別に一人で何とかできたさ』

「…………てめぇ、仲間を簡単に殺しやがって…!」

 

俺は怒りを隠せずに叫ぶと、コカビエルはそれを鼻で笑った。

 

『仲間…………?俺はただ、奴の計画が面白そうだったからこそ付き合ったまでだ。それにしても…………』

 

コカビエルはチラリと何やらデカい聖剣を握るゼノヴィアを見ると、嘆息しながら呟いた。

 

『よく主がいないのに信仰心を持ち続けられるな、聖剣使いよ』

「何……?」

 

ゼノヴィアはコカビエルの言葉にピクリと肩を動かした………………主がいない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………待てよ。

 

 

 

聖と魔の融合…………これは本来起こり得ない現象だ……神様がそんな真似は、絶対させない筈…………

 

 

ゼノヴィアの希望は、そんな主ーーーー神に仕える事……

 

 

そしてこの間、ゼノヴィアの影に潜んでたファントム…………もし、奴がコカビエルの差し金で、そして今から奴が言おうとしてる事は…………

 

 

 

『あぁ、そうだ。神に仕え、剣を振るう。勝利を神に捧げる。これが、私の希望だ』

 

 

『……そ、そうか、わかったぞ!聖と魔、二つが混ざり合うということは、つまり神が創ったシステムは消失しているということ!つまり魔王だけでなく神もーーーー』

 

 

『よく主がいないのに信仰心を持ち続けられるな、聖剣使いよ』

 

 

 

 

…………………………………………っ!!!!

 

 

そうか……そう言うことかよっ!

 

「止めろコカビエル!それ以上真実をーーっ!!?」

 

止めようと叫んだ俺だったが、コカビエルが放った波動砲により吹っ飛ばされ、同時に変身が解ける………………くそっ、限界かよ…!

 

 

 

だけど止めないと…………!コレを聞いたら、彼女は…………!!

 

『ーーーー神は既に死んでいるんだよ、当の昔に…………戦争の時に魔王どもと共にな!!!』

 

ーーーーその言葉を聞いて、そこにいる全員が目を見開いた。

 

 

 

……いや、二人だけ違う。ーーーーアーシアと、ゼノヴィアだ。

 

「う、嘘だ!神が死んでいるなど、そんなわけが!」

『いいや、死んでいる……そこの聖魔剣使いが良い証拠だ。本来、聖と魔がまじりあうことはないーーーーそう、神がいればそんなことは起きないはずなのにな』

 

 

 

………………そう。聖と魔、二つの相反する力が一緒になるってことは、以前ドライグに聞いた神様が創ったと言われる聖と魔のシステム…………それに欠落がないと出来ない。

 

つまり、聖魔剣はバグの様な物って訳だ。

 

 

そして神様がいればそんな欠落は存在すらしない……でも存在するから神様はいない。

 

「そんな……なら、神の愛はいったいどこに……」

 

アーシアはショックを隠しきれず、膝を付いた。

だがゼノヴィアは未だに信じられないのか、大きく叫ぶ。

 

「……だ。…そだ。嘘だっ!そんな事、信じられないっ!!主が、主が死んでいるなどっ!!」

『神の愛なんて存在していないさ。神がいないのだから当たり前だ。それでもそれでもミカエルは良くやっている。神の代わりをして人、天使をまとめ上げているのだからな…………所詮貴様らが感じる愛など、偽物だ』

「そ、んな………………」

 

ゼノヴィアはガクリと膝を付き、聖剣を手離してしまう。

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

ピシィッ…!

 

 

彼女に紫の亀裂がーーーー走ったのだった。

 

 

 

 

イッセーside out

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

木場side

 

 

 

どういう事だ……!?

神が死んでいるーーーーそれを聞いたゼノヴィアさんは、アーシアさんと同じ様に膝を付いた途端、体に紫の亀裂が走った。

 

『…………フン、そこの女は悪魔だからか。いや、元々ゲートではなかったのか?』

 

コカビエルはアーシアさんを一瞥すると一人呟いていたーーーーすると、僕らの後ろから怒声が響いた。

 

 

 

ーーーーイッセー君だ。

 

「てめぇ!始めから…………始めからゼノヴィアを絶望させるのが目的だったんだな!!」

『そうだ!聖剣使いならば、上質なファントムを産み出すだろうからな!ついでにそこの女も絶望させるのも一興だと思ったが…………その女はゲートではなかった様だな』

「くそっ………………変身っ!」

《フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》

 

イッセー君は歯をくいしばりながら、再びウィザードの姿に変身すると、

 

 

 

 

 

「皆…………受け取ってくれぇ!」

《Transfer!》

 

その姿のまま左手を掲げて、赤龍帝の譲渡を発動し、僕らに力を譲渡した!

 

すると全員が何時も以上のオーラに包まれた!

 

「イッセー!」

「部長、皆…………少しの間だけで良い!時間を…時間を稼いでくれ!頼む!!」

「先輩は……どうするんですか…!?」

「彼女をーーーーゼノヴィアを助けるっ!」

 

そう言うとイッセー君は足を引き摺りながらもゼノヴィアさんの元に向かう。

 

『無駄な事は止めろ、赤龍帝。ソイツは貴様にとっても敵だろう?なのに何故助ける必要がある?』

「黙れ!敵かどうかなんて関係ない!俺は誰であっても、絶望してる人を見捨てたりはしないっ!!もう、誰一人俺の前で絶望させやしない!!」

『…………下らん。実に下らんな』

 

コカビエルは背を向けているイッセー君に光の槍を放つーーっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

だけど、槍はイッセー君に届く前に消え失せた。

 

 

『リアス・グレモリー…………』

 

そう、部長の滅びの魔力だ。

 

「イッセー、行きなさい。だけど、1つ約束して」

「…………」

「必ずゼノヴィアさんを…………その子を助けなさいっ!」

「っ!…………はい!!」

 

力強く返事をすると、イッセー君は彼女の前にしゃがみ込んだ。

 

『フン、そんな真似をーーーー』

「させやしない…………かい?」

 

部長と僕だけじゃない、朱乃さんと小猫ちゃんもコカビエルの前に立ち塞がった。

 

「悪いけど…………友達の頼みだ。全力でお前を、止めるっ!!」

『…………まぁ、余興にはなるか』

 

そう言うと、コカビエルは手に光の剣を作り出す。

 

 

 

「…………行くわよ、私の可愛い眷属達!ショータイムよ!!」

「「「はいっ!」」」

 

部長の言葉を皮切りに、僕らはコカビエルに向かって駆け出す!

 

 

 

 

 

頼んだよ、イッセー君っ!!

 

 

 

 

 

 

 

木場side out

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

ウィザードFSは、ゼノヴィアの元に着くと、近くにいたアーシアを伴いゼノヴィアにエンゲージリングを嵌める。

 

「アーシア………コイツは、君の悪口も言った。君にとっては、辛い相手だ。今のアーシアの辛さも分かる。だけど、今は彼女の手を握ってて欲しいんだ」

「………………分かりました」

 

アーシアは僅かに微笑むと絶望しかかっているゼノヴィア

の両手を優しく包み込んだ。

 

「…………もう、放っておいてくれ。私に、生きる希望なんて」

「生きる希望なんて……これから先の人生でたくさん見つかる。だから、簡単に諦めるなよ!」

「…………」

「例え神様がいなくても、お前が今まで培ってきた信仰心は紛れもない真実だ!だけどこのまま絶望すれば、それすらもファントムに喰われちまう!それでも良いのか!?」

「っ」

 

僅かに瞳が揺らいだゼノヴィアに、ウィザードFSは微笑んだ。

 

「……見出だせないなら、俺がお前の支えになる。約束する、俺がお前の、最後の希望だ」

《エンゲージ・プリーズ》

 

ウィザードFSは、エンゲージリングの効果を使い、ゼノヴィアのアンダーワールドへと潜っていった。

 

「…………」

「大丈夫です」

 

ゼノヴィアは力無く横を向くと、そこにはアーシアの笑顔が。

 

「イッセーさんは、絶対に約束を守ります。ですから、ゼノヴィアさんも負けないで下さい。私も、一緒ですから」

「………………アーシア・アルジェント」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

『あぁ、主よ!』

 

『ゼノヴィア、神への信仰心…………これを怠ってはいけませんよ』

 

『はい!シスター!』

 

 

 

…………………………………………

 

 

………………………………

 

 

……………………

 

 

…………

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、ゼノヴィアのアンダーワールドか…………っ!」

 

恐らくは幼少期のゼノヴィアの思い出ーーーーそんなアンダーワールドの情景を見ていると、そんな場面を壊すかのように巨大ファントムーーーーヘカトンケイルが現れた。

 

ウィザードFSは即座にドラゴライズウィザードリングを翳す。

 

《ドラゴラ~イズ!プリーズ》

「来い、ドラゴン!」

『グォォォォォンッ!!!』

 

ウィザードFSの思いに答えるかのように力強く吠えながら、ウィザードラゴンは姿を現した。

ウィザードラゴンはヘカトンケイルを見つけると、直ぐ様戦闘を開始。

 

《コネクト・プリーズ》

 

ウィザードFSは魔方陣からマシンウィンガーを取り寄せると、そのままウィザードラゴンを追い掛け始めた。

 

『グォォォォォッ!!!』

『グギャァァァァッ!!!』

 

ウィザードラゴンとヘカトンケイルは互いにぶつかり合うも、そのせいでアンダーワールドにはどんどんと亀裂が。

 

「だーもう!いい加減慎重に戦えっての!!」

 

ウィザードFSはウィザードラゴンの背中にマシンウィンガーを取り付け、何とかウィザードラゴンを制御する。

 

「行くぞっ!」

『グォォォォォンッ!!!』

 

ウィザードFSはウィザードラゴンを巧みに操り、ブレスや体当たりでヘカトンケイルを追い詰めていく。

 

『グギャァァァァッ!!!』

 

ヘカトンケイルが6本の腕から攻撃を繰り出すも、それらをかわし、ウィザードは必殺技の体勢に。

 

《チョーイイネ!キックストライク・サイコー!》

「でゃぁぁぁぁ!!!」

 

炎を纏ったキックーーーーストライクエンドの前に、ヘカトンケイルは大爆発を起こし、消滅した。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

『…………正直、驚いたぞ』

 

堕天使コカビエルは感嘆した風にリアス達にそう漏らした。

 

『貴様らごときが、赤龍帝の力込みとは言えここまで粘るとはな』

 

あの後、リアス達はイッセーから貰った力により何とかコカビエルの猛攻を凌いでいた。

その過酷さを物語る様に、身に付けた服はボロボロだった。

 

「……『窮鼠猫を噛む』とは良く言った物だよ」

『…………フン、貴様ら蛆虫共が俺に噛みつく?馬鹿も休み休み言えーーーーぐっ!!』

 

コカビエルが木場の言葉を一蹴した時、木場の後ろから何者かの銃弾がコカビエルに命中した。

 

 

 

 

 

 

「言ったろ?もう…………俺の目の前で、誰一人絶望させやしないって」

 

 

その声は、リアス達にとっては待ちわびた声であり、コカビエルにとっては聞こえる筈のない声だった。

 

 

 

 

「「「「イッセー(君)(先輩)!!」」」」

 

 

 

 

 

コカビエルを撃ったのは、ウィザーソードガンガンモードを構えた、ウィザード・フレイムスタイルだった。

 

 

『赤龍帝…………!?』

「よぅ、コカビエル…………てめぇの計画ぶっ潰すまで、死ねるかよ…。アーシア、サンキューな」

 

ウィザーソードガンをくるくる回しつつ、アーシアの頭を撫でながらそう茶化すウィザードFSだったが、

 

 

 

 

『相棒……何か策は?』

『う~ん…………思い付いてない』

 

コカビエルを倒す策は何一つなかったのだ。しかも、イッセーの魔力も既に限界ギリギリ。

 

『っつーかさ、フレドラもハリドラも駄目な奴にどう勝てってんだよ…………』

『禁手か?』

『最終手段は、それだな…………』

 

ウィザードFSはドライグと対話しつつも、コカビエルに向けて臨戦態勢は解除しない。

 

『今更貴様が出てきた所で、最早何も変わらんっ!死ねぇ!!』

 

コカビエルはウィザードFSに向かって巨大な光球を投げつけた。

 

「くっ…………!!」

 

ウィザードFSがそれをかわそうとするよりも前に、

 

 

 

 

「っ!……………………………………?」

『なん、だと…………!?』

 

 

 

 

 

 

 

何処からともなく笛の音が聞こえたかと思うと、光球は跡形もなく消滅していた。

 

「い、今のは……?」

『どうなっている…!?』

 

ウィザードFS達とコカビエルは笛の音が聞こえた方角を向くと、

 

 

 

 

「……………………あ、アンタは!」

「……イッセーと、同じ…魔法使い?」

 

 

全身が白い、槍の様な横笛を携えた、魔法使いの様な人物が、そこにはいた。

 

リアスの言う通り、ウィザードFSと立ち姿こそ似ているも、イッセーが変身するウィザードが磨かれた宝石とするならば、その人物は、磨く前の石ーーーー言わば原石の様な仮面だった。

 

 

「……………………………………使え」

「うおっ!………………これは?」

 

白い魔法使いは、コカビエルを一瞥すること無くウィザードFSに向かって何かを投げ渡した。

それは、赤い丸、青い菱形、緑の三角、黄色い四角が四隅に刻まれた指輪ーーーーウィザードリングだ。

 

「………………それを使えば、コカビエルとも互角に戦えるだろう。後は、お前次第だ。兵藤一誠」

《テレポート・ナウ》

「お、おい!」

 

白い魔法使いはそれだけ伝えると、ウィザードFSの制止を聞かずにその場から消えた。

 

「…………」

『相棒、お前まさか……』

「…今は、白い魔法使いの言葉を信じるしかない。もう、考えてる余裕もないしな」

 

ウィザードFSはドライグの制止を振り切り、渡された指輪を嵌め、ウィザードライバーに翳した。

 

 

 

 

《スペシャルラッシュ!プリーズ!! フレイム!ウォーター!ハリケーン!ランド!》

「う、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

翳した途端、ウィザードFSはウィザードラゴンを象った炎に包まれて炎を振り払うと、

 

 

 

 

『何だ…………その姿は!?』

 

 

 

 

そこには、ウィザードラゴンの顔、翼、尾、爪を装備した、ウィザードFDがいたのだ。

 

 

 

 

だが普通のフレイムドラゴンではない。

 

イッセーの体内に潜むウィザードラゴンの力を強制的に引き出しその力を合わせたーーーー

 

 

 

 

ウィザード・スペシャルラッシュ。

 

 

 

 

「すげぇパワーだ…………ぐぅ!」

 

ウィザードSRは体の内側から溢れる力に驚くが、その力に体が耐えきれないのか膝を付いた。

 

『相棒。コイツはどうやら、体内の奴の力を強制的に引き出した形態らしい。体に掛かる負担はその為だ』

「成る程な…………つまり?」

『短期決戦で決めろ。でないと体が持たん』

「良いね、そっちの方がーーーーーーーー分かりやすいぜっ!!」

『っ!?』

 

ウィザードSRが地面を蹴った次の瞬間には、コカビエルは吹っ飛ばされていた。

 

 

 

ドォォォンッ!!

 

 

 

たったキックの一撃で、コカビエルは結界に叩き付けられる。

 

 

「イッセー………!」

「凄いパワーですわ…………」

「凄いです…………」

「うん。だけど……」

「……イッセー先輩、苦しそうです…………」

 

 

リアス達はただ見守るしか、なかった。

ただ歯痒い思いをしつつ、見守るしかない自らの未熟さを、噛み締めていた。

 

 

「何をへこたれてるの、皆!まだ私達にも出来ることはある筈よ!」

「部長…………」

「リアス……」

「確かに…………そうですね」

 

だがリアスの叱責により、全員コカビエルてウィザードSRの戦いをしっかりと見る。

 

まだ、自分達も役に立てる筈だーーーーと。

 

 

 

 

「おぉぉぉぉぉ!!!」

『フザケルナァァァァ!!!』

 

コカビエルは怒り狂いながら魔方陣から光の槍やら光球やらを連続で放つが、全てウィザードSRの魔方陣を介して分裂したラッシュテイルに相殺される。

 

『ナニィィィィ!?』

「でらぁぁぁぁ!!」

『グォァァァァァァ!』

 

その合間を縫うようにして、ウィザードSRはラッシュヘルクローでコカビエルの体を切り裂いた。

すると、ウィザーソードガンでは傷一つ付かなかったコカビエルの体に、大きな爪痕が残った。

 

『……っ!バカナァ、コノオレノカラダニ、キズヲツケルダトォォォォ!!!ミトメン、ミトメンゾォォォォ!!』

「ぐっ!!…………まだだぁぁぁ!!!」

 

襲い来る痛みに顔を歪めながらも、今度はコカビエルの周囲を旋回し、灼熱の大嵐の中に閉じ込め、ラッシュウイングで四方八方から切り刻む。

 

「ハァァァァァァッ!!!」

『グキャァァァァ!!』

 

ふらふらになったコカビエルに、今度はラッシュスカルによる火炎放射を放つ。

コカビエルは魔方陣で防ごうとするも、フレイムドラゴンより威力の上がったドラゴンブレスを防ぎきれず、地面に叩き付けられる。

 

『ヌゥ、ヌゥ…………!コンナコトガ…!』

「はぁ、はぁ…………!これで、フィナーレ、だっ!!」

《チョーイイネ!キックストライク・サイコー!》

 

ウィザードSRは、キックストライクウィザードリングを翳し、右足に炎を集中させる。

そしてそのまま飛び上がり、回転しながらコカビエルに突っ込んだ。

 

『……フィナーレナド、アルモノカァァァァ!!!』

 

コカビエルは特大の魔方陣から特大の光の槍を生成すると、向かってくるウィザードSR目掛けて飛ばした。

 

『相棒、今の状態でアレ喰らったら不味いぜ』

「はぁ!?今更止まれるかよーーっ!!」

 

叫びながらもウィザードSRは止まらない。

すると、

 

 

 

 

 

「イッセーっ!」

「最後までお手伝いしますわ!」

 

リアスと朱乃による滅びの魔力と雷が、コカビエルの槍を打ち消し、

 

 

 

「…………たぁっ!」

「……ぜぁっ!」

『グゥ!?』

 

槍が消えた所で、小猫の力を込めたパンチで魔方陣が砕け、そこに空かさず木場が聖魔剣でコカビエルにダメージを与える。

 

 

 

「皆…………!いっくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

『グォォォォォォォォォォ!!!!』

 

丸腰のコカビエルに、ウィザードSRのストライクウィザードがクリーンヒットした。

 

 

『が、アぁぁああぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

ストライクウィザードにより胸の魔宝石が砕かれ、コカビエルは普段の姿とファントムの姿がごちゃごちゃになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……………はぁっ……………………うっ」

 

一方のウィザードSRも、限界を向かえ、変身が解除される。

 

「イッセー!!」

「イッセーさん!!」

「「イッセー君!!」」

「イッセー先輩!!」

 

リアス達は、慌ててイッセーに駆け寄る。

 

「大丈夫!?イッセー!!」

「あ、あんまり…………ですかね?ハハッ………………」

「……無茶して!馬鹿!」

 

リアスはヘロヘロなイッセーを抱き締める。

 

 

 

 

「こ、これで、終わると思うな…………っ!赤龍帝……リアス、グレモリー!!」

『!?』

 

全て終わったかの様に思えたが、コカビエルはまだ立っていた。

リアス達の間に緊張が走るが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、もう終わりだ。コカビエル」

 

 

突如としてソーナ達の張っていた結界が破られた。

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

「き、貴様は…………!」

 

 

 

驚愕するリアス達の眼に映ったのは、

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー"白"だった。

 

 

 

 

 

 

 




次回でいよいよ3章も御仕舞いです

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