ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
『タキオン・トランスミグレイション!!』
さて、俺が朝早くに目覚めてからもう放課後の事だけど……何?時間飛ばしすぎって?気にしたら負けってやつだよ。
別にドライグが叫んだ技名は何にも関係ないから。ないったらない。
えぇ、言い切りますとも。
「…それで、今まで悪魔を敬遠してきた教会側が一体、私達に何の用かしら?私達と交渉するくらいだもの……相当なことがあったのでしょう?」
…っとまぁ現実逃避はこの辺にして、今オカ研の部室では緊迫した話し合いが行われてるんだ。
リアス部長の向かい側に座るのは、フードを身に付けた二人の女の子。
片方は緑のメッシュが入った青髪の女の子………名はゼノヴィア、もう片方は栗色のツインテールの女の子…名は紫藤イリナ、らしい。
まぁこれは余談だけど……
『久しぶりっ、イッセー君!』
と、紫藤イリナは俺に元気よく挨拶してきた……んだけど、
『お、お前は……!
どちら様でしょうか?』
ズドーン!!
ボケじゃなく、本当に会った覚えがないために尋ねたら、向こうは若手雛壇芸人ばりにずっこけた。
この子お笑い芸人目指せるんじゃね?そう思ったね。
『わ、忘れちゃったの!?私の事!幼馴染みのイリナよ!?』
『そ、そう言われても……』
その時は全く分かんなくて、新手の詐欺か?と思ったけど、
『相棒、この前の写真に写ってたろ?あの子供だ。小さいとき遊んでたろ』
小さいとき、写真………………………………あーっ!!
『お前、あのイリナか!?』
『やっと思い出してくれたね~って言うか遅いよ!!』
『わりぃわりぃ!女の子だと分かんなくてさ~』
イヤー、あんときは男だと思ってたからなぁ~。
まぁ、ソレよりも俺は二人の側に布にくるまれて置かれた物体に、何やら寒気を感じていた。
木場は木場で睨み効かせてるし………何だか昨日より激しくなってる気がする。
その緊迫した空気の中、青髪の女の子が静かに口を開いた。
「簡潔に言おう。我々教会はある聖剣を所有している。その聖剣……エクスカリバーが、堕天使によって少し前に奪われた」
その名前を聞いた俺達は驚きを隠せなかった。
ーーーー聖剣エクスカリバーって!
『あぁ。先の大戦で全て折れたとされる伝説の聖剣だ』
……俺の手刀は某星座アニメに倣ってウェルシュ・エクスカリバーなんて呼んでるけど、それらは本当の聖なる剣ーーーーしかもレア中のレアって訳だ。
先の大戦で折れた………とは言うけど、ドライグ曰くそれから年月が経過し、エクスカリバーは新たな形で生まれた。
それはエクスカリバーを七つに分散させるという形……早い話がエクスカリバーは7本あるらしい。
「私たち教会は3つの派閥に分かれていてね、所在が不明のエクスカリバーを除いて6本の剣を2つずつ所有していた。それが少し前、堕天使によって3本が奪われた」
「…………」
俺たちはあまりにもの突然のことに驚いている。
何つーか、話のスケールが思ったよりデカイ。
よりにもよって、こいつらがここに来たのはエクスカリバーの関係……か。
「先に言っておこう。我々は聖剣使いだ……エクスカリバーのな」
「「「「「ッ!!」」」」」
な、何だとゥ!?
俺達は思わず身構えた。
あの布にくるまれた物ーーーー何かの聖剣かと勘繰ってたけど、まさかエクスカリバーなんてよ…!
そしてエクスカリバーの使い手…って事は、木場の復讐相手。
「私の使う聖剣は
「私のは
ゼノヴィアは布にくるまれたデカイ剣を見せ、そしてイリナは手に巻かれた紐らしき物体を指差した。
……あんな紐が聖剣ねぇ。
『擬態の名の通り、あらゆる物体に変化させることが可能だ。破壊はそのまんま、万物全てを壊すんだ』
成る程、持ち運びに便利だな。
アレだったら飛行機の手荷物検査にも引っ掛からないな!
『……まぁ、そうだな』
良い例え思い付かないんだよ!
全て壊すんだ……って、何処の遊戯王?
「我々がこの地に来たのはエクスカリバーを奪った堕天使がこの町に潜伏したからだ。我々はそれを奪取、もしくは破壊するためにここにきた」
「堕天使に奪われるくらいなら、壊した方がマシだもの」
「…貴方達の聖剣を奪った堕天使のことを教えて貰えるかしら?」
部長は事務的にゼノヴィアにそう尋ねた。
確かに厳重に保管してある教会から聖剣を盗むことが出来るほどの堕天使なら、気になるのも仕方ないわな。
そう思っていると、ゼノヴィアは特に戸惑う事なく応えた。
「堕天使、コカビエル」
コカビエル………って、
『先の大戦で生き残った堕天使だ。相当のビッグネームだな』
上級堕天使だろ!
何でそんな奴が聖剣を………?
「これは大物ね…………それで?貴女達の要求は?」
「なに、簡単だ。今回の件に、悪魔の介入を許さない。それが我々、教会側の総意だ。つまり、今回の事件で悪魔側は関わるなということだ」
ゼノヴィアの発言に、部長のオーラが少し怒りになる……まぁそりゃそうだ。
今回の事件はほぼ協会側に責任があるってのにこの上からな態度………怒って当然だろう。
『何だ?最近のシスターは礼儀の1つもまともに出来ねぇのか?アーシア・アルジェントを見習えってんだ』
それは全面的に同意するわ。
……っつーか木場、いい加減殺気納めろ。駄々もれだぞ。
「…そろそろ帰らせてもらおう。お茶などの気遣いは無用だ………っと、君は確か…アーシア・アルジェントだったな」
「は、はい……」
ゼノヴィアは俺たちの隣を横切って通り過ぎようとした時、アーシアの顔を見てそう聞いてきた。
「……まさかこんな地であの『魔女』と会うことになるとはな」
「ッ!」
"魔女"、その言葉にアーシアは体を震えさせた。
「あなたは確か、一部で噂になっていた元聖女ーーーー悪魔をも治癒してしまう力のせいで教会から追放された少女…」
イリナも気付いたのか、ゼノヴィアとは違い憐れみを込めたな眼差しでアーシアを見ている。
「まさか悪魔になっているとはな……安心しろ、このことは上には報告しない。…だが、堕ちれば堕ちるものだな。聖女と崇められた者が、今では本物の魔女になっているとは…」
………………は?
『相棒、落ち着け』
…サンキュー、ドライグ。
危うく殴り飛ばす所だったわ、コイツ等を。
「だが君はもしかして、まだ神を信じているのか? 君からは罪の意識を感じながらも神を信じる信仰心がまだ匂う。抽象的だが私はそう言うのに敏感でね」
「捨てきれない、だけです…ずっと、信じてきたものですから……ッ!」
アーシアはゼノヴィアの質問に涙を浮かべながらも答える。
……そうだよ。アーシアはそれを糧に地獄とも呼べる日々を過ごしたってのによ……コイツ等は、
「そうか。ならば私達に斬られるといい。我々の神は罪深い君でも、それでも救いの手を差し伸べてくれるだろうからな……せめて私が断罪しよう。神の名においてな……………っ!」
……もー駄目だ。我慢の限界だ…!
「さっきから聞いてりゃ、元聖女だの魔女だの……挙げ句の果てには断罪?何様だよテメー等は」
居ても立ってもいられずに、俺はアーシアとゼノヴィアの間に立った。
「イッセーっ!?」
すんません、部長。
だけど、家族同然の仲間を叩かれて、黙ってられるかよ……っ!!
「何も間違った事は言っていないと思うが?彼女はそう呼ばれるだけの存在ではある」
「そうかい…………少しでも自分等の求めてる物と違ったら掌返し、か。テメー等みたいな物騒な連中に信仰されてると思うと、パトリオット教だか何だかの神様も不憫だねぇ~……って、アーシアの願いの1つも叶えねぇバ神様に、不憫も糞もないわな」
「っ!」
「ぜ、ゼノヴィア!落ち着いて!」
イリナ……だっけか?が慌てて諌める。
ふん、気に入らねぇ事があったら直ぐ聖剣か。
「勝手に聖女に祭り上げて、悪魔にも注げる優しさを見たら直ぐ魔女呼ばわり………身勝手だなオイ。だったら分かりやすく言ってやるよ……アーシアの優しさを知ろうとしないお前らや神様は大馬鹿野郎って事だ!!」
そうだ……コイツ等何かに、アーシアの何が分かるんだ!!
「確かにアーシアは悪魔になってからも時折祈ることだってある!いや、それ以前からも、この子は信仰心を忘れないでいた!お前らがもし同じ立場になっても、それをして、今みたいに貶されても平気なのかよ!?テメー等は傷の癒えてない相手の傷口を平気で抉れんのかよ!?……それに、アーシアは聖女に祭り上げられても嬉しくなんかなかったんだ!ただこの子は、友達が欲しかったんだ!」
「……………聖女は神に愛される存在だ。そんなものが、他人から愛や友情を求める時点で、聖女の資格はない」
「資格?勝手に呼んどいてその言い種かよ…………もう一度言ってやる!この子の優しさを、想いを!理解しようとしないお前ら教会の馬鹿共と神様は大馬鹿野郎だ!!」
「……随分言ってくれるな。なら君は彼女の何だと言うのだ?」
「友達で、家族だ!!アーシアを否定するお前らを、俺は肯定なんてしない!!」
「一介の悪魔風情が……ならば」
『一介の悪魔風情…………か。随分人の相棒に言ってくれるな。下衆の極みなシスター』
「っ!?この、声は……」
ゼノヴィアが俺の左手を凝視した。
すると、勝手に赤龍帝の籠手が展開された。
……ドライグ、お前も我慢の限界か。
「その、籠手は……っ」
『俺はドライグ……名前ぐらいなら聞いたことはあるだろう』
「伝説の……二天龍!?まさか」
『貴様等風情が、相棒を、相棒の家族を侮蔑する事は許さんぞ。言っておくが相棒……兵藤一誠はお前らより強いぞ』
「……まさか伝説の赤龍帝に会えるとはね、光栄だよ」
「…ぶっ潰す!」
「イッセー、止めなさい!」
「いや、イッセー君の言うとおりだ」
…部長の言葉を遮り、木場がそこで声を上げる。
「教会は一度滅ぶべきだ。間違いしか犯さない愚かな存在……だから僕が相手になろう」
「……誰だ、君は」
「君たちの先輩だよ……失敗作のね」
木場が言葉を切ると、部室に夥しい数の魔剣が生えた。
そんなこんなで俺と木場は、ゼノヴィアとイリナと旧校舎前にある芝生の空間で対峙している。
ここら一体に結界を張っていて、辺りには騒動は広がらないはずだ。
「イッセー君、幼馴染みだからって容赦しないよ。怪我したくなかったら、謝った方が良いと思うけど……」
「幼馴染み……?俺の家族に魔女だの色々と抜かすような奴は知らないね………御託は良いから、さっさと来い」
「っ……行くよ!」
イリナは腕に巻かれた紐ーーーー擬態の聖剣を
日本刀の形に変えると、俺の頭目掛けて一閃してきた!
が、
《リキッド・プリーズ》
俺は予め嵌めておいた指輪を翳し、体を液状化させて、イリナの攻撃をかわした。
「えっ……!?」
驚くイリナの隙を逃さず、背後で液状化を解くと、そのまま二の腕で締め上げた。
「ぐぅ……!」
「隙だらけだな、オイ」
「イリナ!」
「余所見とは余裕だねっ!」
「ちぃっ!」
木場とゼノヴィアが斬りあってるのを他所に、イリナを解放して、そのまま拳を突きつけた!
「ひっ…………」
「何だ?ビビってんのか?だったら消えろ……!」
殺気を真っ正直からぶつけられたイリナは崩れるように気を失った。
「部長、俺は終わりました」
「は、早いわね…………そう言えば彼女と親しそうな間柄みたいだけど…大丈夫なの?」
「……大丈夫っすよ」
一応腐っても幼馴染みだ、殺すのは気が引ける。
『口ほどにもないな……後は木場祐斗だがーーーー酷いな』
「うぉぉぉっ!!」
木場は光を喰らう魔剣をゼノヴィアの周囲に造り出すも、それらは全てゼノヴィアの破壊の聖剣によって跡形もなく粉砕された。
「私の聖剣は破壊…………君に食い止めは出来ない!」
「だまれぇぇ!!」
木場は激昂すると、自分の背丈程の巨大な魔剣を創造したーーーーあの馬鹿!
「……残念だよ、木場祐斗」
ゼノヴィアは静かに嘆息すると、真正面からその剣を斬り合う。
結果、壊れたのは木場の魔剣の方だった。
そしてゼノヴィアはエクスカリバーの柄を木場腹部を抉りこませる!
「がは……っ!?」
木場の口からは血が吐かれ、そのまま気を失った。
ただの柄の一撃でも、防御力のない木場は打撃と衝撃波で終わる……つまりこの勝負は
「君の負けだよ、『先輩』……君がもっと冷静であればいい勝負が出来ただろう。だけど君の強みは速度。それを潰すその大きな魔剣を創った時点で、君の敗北は決していた」
そう、木場の完敗だ。
ゼノヴィアは気絶した木場に背を向けると、次に俺に何故か聖剣を向けた…………え?
「イリナの敵討ち……って訳じゃ無さそうだな」
「あぁ。個人的に、君と戦ってみたいのさ…!あの不可思議な魔法、そして、鋭いドラゴンのオーラ……君と戦えば、私はもっと強くなれる、そう思ってね」
「はぁ…………部長、良いっすか?」
「………ただで引いてはくれなさそうね。良い、イッセー?刀身に触れてもアウトよ」
「はい…………!」
部長のお許しが出たところで俺は臨戦態勢に入った。
すると、ゼノヴィアの眼にはーーーー小さいながらも、明らかな怯えが見て取れた。
「ッ…………オーラだけでこれ程とはね」
『ドライグ、俺のオーラってそんなに凄いのか?』
『お前自身には分からんが、お前のオーラは常人なら失禁する程度の強さだ』
…………例えがアレで良くわかんねぇ。
『まー強いってことだ』
「そうかい……だったら!」
俺はゼノヴィアに向かって飛び出したーーーー
「がぁっ!!」
筈が、ゼノヴィアの影から飛び出た炎によって木に叩き付けられた。
な、何だよ一体……!
『ククッ、油断大敵とは良く言った物だな』
「っ!な、何だ貴様は!?」
影から現れたのは、炎を纏った犬……を連想させるファントムだった。………………ん?
『コイツ、前に倒した筈じゃ……?』
兎に角、今はコイツを倒す!
《ドライバーオン!プリーズ》
『来るか?魔法使い』
「お前は俺に倒された筈なんだけどな……けど、もう一度倒す迄だ!変身!」
《シャバドゥビタッチヘンシーン!フレイム・プリーズ!ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!》
魔方陣を潜って、ウィザードに変身すると、ファントムーーーー確かヘルハウンドは何処からともなくバイクを呼び出し、跨がった。
『来い!ウィザード!』
「上等………だぜ!」
《コネクト・プリーズ》
俺もバイクを呼び出すと、先に飛び出したヘルハウンドを追いかける!
「部長!ちょっと行ってきます!」
「気を付けるのよ、イッセー!」
了解です!
イッセーside out
「何だ、あの怪物は?」
「……ファントム。人の絶望の隙間から現れる怪物よ。そしてイッセーは赤龍帝であると同時に、ファントムから人々を守る魔法使いーーーーウィザードよ」
「ウィザード…」
ゼノヴィアは静かに呟くと、気絶したイリナを担いで立ち去ろうとした。
「もう帰るの?」
「あぁ。あのまま続けても、私の敗けだ…………だけど、私は井の中の蛙……と言うのを思い知った。それだけでも充分な収穫さ」
ゼノヴィアはリアスにそう返すと、そのまま今度こそ去って行った。
人のいない道路にて、ファントムーーーーヘルハウンドとウィザードFSの交戦は続いていた。
『くぁっ!』
「でゃ!」
ヘルハウンドが放つ炎を、ウィザードFSはウィザーソードガンガンモードで華麗に往なす。
『ちぃっ!喰らえ!』
「…はっ!」
ヘルハウンドが放った巨大な炎を、ウィザードFSはバイクをジャンプさせてそれをかわす。
『何ィ!?』
《キャモナシューティングシェイクハンド!キャモナシューティングシェイクハンド!》
驚くヘルハウンドに構わず、ウィザードFSは浮かび上がったバイクに立ち、ウィザーソードガンのハンドオーサーを操作して、左手のフレイムウィザードリングを翳した。
《フレイム、シューティングストライク!ヒーヒーヒー!ヒーヒーヒー!》
「でやっ!」
『ッ………グァァァァ!!!』
フレイムシューティングをバイク共々受けたヘルハウンドは近くの廃工場にぶっ飛ばされると、そのまま爆発した。
だが、ウィザードFSはバイクを工場の入り口に止めて、別のウィザードリングを嵌めた。
「わりぃがお前とは一度戦ってんだ。2度も同じかくれんぼはゴメンだぜ?」
《ライト・プリーズ》
工場を強烈な光が照らすと、ヘルハウンドはウィザードFSの背後に倒れ伏した。
『な、何故分かった………!?』
「……まぁ、今はお前より仲間が優先だ。早いけど、フィナーレだ」
《ルパッチマジックタッチゴー!チョーイイネ!キックストライク・サイコー!》
「はぁぁぁ…………でゃぁぁぁぁっ!!!」
『こ、コレが再生怪人の定めかぁぁぁぁ!!』
メタい台詞を残して、ストライクウィザードを受けたヘルハウンドは爆発し、消滅した。
「ふぃ~…………ん?」
ウィザードFSは立ち去ろうとしたが、炎の中に輝く何かが見え、それに近付いた。
『相棒、これは…………』
「まさか、今のファントムが……?」
~~~~~~~~~
イッセーが学校に戻ると、何やら木場とリアスが言い争っていた。
「どうしたんだ、アーシア?」
「実は、木場さんが……」
「待ちなさい、祐斗!あなたが私から離れることは許さないわ。はぐれになんてさせない……あなたは私の大切な『騎士』よ!」
木場はその復讐を果たすために、敢えてリアスの眷属から抜け、『はぐれ悪魔』になるつもりらしい。
だが、それを眷属を何より大切にするリアスが許す筈もなかった。
「それでも僕は……エクスカリバーを!」
「木場」
見てられなくなったイッセーは木場に声を掛けた。
「イッセー君………」
「お前を無理に止めようとは思わない……でもな、復讐だけが、お前の生きる全てか?」
「…………僕に、違う生き方があるとでも?」
「それは、お前自身が分かってる筈だ」
「っ、何を分かった風に!!」
自分を諭そうとしたその態度に――――大切なものを奪われた事もないイッセーに言われたことに腹を立てたのか、木場はイッセーに掴み掛かる。
「祐斗!!」
その態度を咎めようと近付くリアスだったが、
「……………」
顔を険しくさせた、まるで何かを堪えるような表情こイッセーを見て、動きを止めた。
そしてそれは、その顔を間近で見た木場も同じであった。
「……………………失っているから、分かるんだよ」
イッセーが漸く発した呟きは、虚空に溶けていく――――木場は何も返さずに、部室を去って行った。
~~~~~~~~~
『はぁぁぁ……でゃぁぁぁぁっ!!!』
『こ、コレが再生怪人の定めかぁぁぁぁ!!』
先程のウィザードFSとファントム、ヘルハウンドの戦闘を見守る人物がいた。
「第2の、進化………良い具合だな」
白のローブに、同じく白の体に掛けられた無数の銀の指輪、そして何より目を引くのがーーーー
背中に生えた、灰色の翼だった。
次回、D×Dウィザード
アーシア「木場さん……大丈夫でしょうか?」
饅頭屋の親方「馬鹿野郎!こんな饅頭お客様に出せるかぁ!」
茂「イッセー、出来たぞ」
MAGIC18 『進化』
《ビュー!ビュー!ビュービュー、ビュービュー!》
メタルウィザードリング
体の一部、もしくは全身を鉄の様に固くする魔法。ウィザーソードガンの強度を上げたり、更に重くしたりすることも可能。
仮面ライダー剣のトリロバイトメタルみたいな感じ