ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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私が小説書くときは大概全裸です(大嘘)


MAGIC172『裸でエロゲと言う概念』

 

「あのー………何で俺、こんなとこに呼ばれてんの?」

 

無数にある我が兵藤家の空き部屋、その内の一つに俺こと兵藤一誠は連れ込まれております、ハイ。

その部屋には何もなく、ただ無造作に床にノートパソコンだけが置かれていた。

 

そしてその前に仁王立ちしているのは――――俺を部屋へと誘ったゼノヴィアだった。

 

「やぁ、イッセー。よく来てくれたね。今日はイッセーに見せたいものがあるんだ」

「…見せたいもの?」

 

バツの悪そうなアーシアとイリナを放って淡々と語るゼノヴィアに、俺は疑念に駆られてそう訊ねる。

 

目の前のゼノヴィアは何故か目を爛々と輝かせていたが――――俺はそれを見て言いようのない不安を覚えつつあった。

 

こう言った表情のゼノヴィアは、碌な事を言わない傾向が多いからだ。今回は一体何を企んでるんだか……。

 

若干半目になる俺の眼前に、ゼノヴィアは後ろ手で隠していたものを見せつける。

 

「…ゲーム?」

 

そう、それはゲームソフトの箱だった。

しかもただのゲームではない。

 

「うん、桐生に頼んで新しい『エロゲ』を入手してきたんだ」

 

ゼノヴィアが言った通り、ゲームのパッケージにはお子様には刺激が強すぎるってレベルじゃないエロエロな女の子が描かれていた。

 

っつーかまた桐生か……アイツ躊躇なく仕入れてっけど、ホントに女なのか?

普通この歳の女の子って、こういうのは敬遠する筈だろ。

 

『時代は進化してるのさ』

「ほーん」

 

…どうでも良いけど、新作のエロゲだから、またヴァーリが借りに来るなコレ。

貸すのは良いんだけど、暫く返ってこないからなぁ…。

 

そして当のゼノヴィアは、嬉々としてそれを俺に見せつける。

 

「その名も『堕天使シスターズ ~信仰と肉欲の狭間で~』だ! タイトル通り、敬虔なシスターを次々と辱める内容の『エロゲ』だ」

「さいでっか……」

「…全く、これだから日本人は無宗教すぎるんだ。シスターは尊ぶべき神の従僕なんだぞ」

『その従僕を汚すから興奮するんじゃないか』

 

某ディオドラみたいにな……嬉々としてたのに、今度は『エロゲ』の内容を読んで日本への不満を零し始めたぞ。

 

「…あのよ、そのゲームへの不平不満ならゲーム会社に言えよ。俺に言ったってしょうがないだろ」

「それは分かっているとも。別にプレイする上では不満は抑え込むさ」

「……まさかお前、それをみんなでプレイしようとかってアホな事抜かすんじゃないよな?」

 

以前にも似たようなことがあったせいで、俺はその考えに至ってしまう……あの時はロスヴァイセさん以外の女子メンバー全員で俺の『エロゲ』をプレイする羽目になった事があったんだ。

 

……あれは男子にとっては耐えがたい苦痛だった。逃げ出したいとも切に願った。

 

 

――――エロゲやエッチなDVDってのは、男にとってはオアシスでの水浴びにも等しい、重要なファクターだと俺は思ってる。

 

誰もが寝静まったであろう深夜、それも一人の空間で興奮を噛み締めながらプレイして言って女の子を攻略していく……その瞬間ってのは、まさに天にも昇る心地!

 

それを……こともあろうに美少女・美女軍団と仲良くファミリーゲームをするみたいにワイワイとプレイする時の空しさと恥ずかしさは、例えようがないぐらいの地獄なんだぞ!!

 

俺が内心で誰に向けてるのかも分からない説明をしている前で、ゼノヴィアは無情にも嬉しそうに頷いた。

 

「流石はイッセー、察しが良いね。これを私達三人とイッセーだけでプレイして、研究会と洒落こもうと思ったんだ。リアス部長やグレイフィアさんが今この家を開けているこの時がチャンスだと私は踏んだ!」

 

 

――――何でそうなる!?

 

俺はその場で頭を抱える。研究会と言うのは百歩譲って分かったけど、何故それに俺を巻き込む!?

 

「だったら三人だけでやれよ!! 何の罰ゲームで美少女三人とエロゲーしなきゃいけないんだよ!? エロゲーってのはなァ、男にとっては秘境にも等しいもんなんだぞ!!」

 

俺が思わず怒鳴りながら身の丈の思いを語るのを無視して、ゼノヴィアは遠い眼をして訥々と語り始めた。

 

「最近、私達はグレイフィアさんは勿論のこと、リアス部長や朱乃副部長に後手後手になっている。どうにもあの二人の壁は厚く、イッセーまでの道程が遠のいていく一方だと感じていた。そこで私達三人、手を取り合ってイッセーを拘束する強硬策に出た! なぁ、そうだろう? アーシア、イリナ!」

 

いや、どうい求めてるおふた型、両方バツの悪そうな顔のままなんすけど……。

 

「わ、私は…イッセーさんと楽しくお話しできれば、それだけでも良いので……それに、グレイフィアさんに悪いですし………」

 

アーシアはもじもじとしながらそんな可愛らしい事を言ってくれる……くぅ、アーシアちゃんが純粋過ぎて辛いっ!!

 

イリナも赤面しながら、ゼノヴィアに純情攻撃を仕掛ける。

 

「わ、私もイッセー君と昔の事を思い出しながらお茶が楽しめればそれで良いかなーって」

 

そうだそうだ! 一緒にエロゲーして仲を深めようなんて突飛な事しなくても、お茶とかだったら何時でもウェルカムだ!

 

だがそんな二人を前に、ゼノヴィアは語気を強める。

 

「生ぬるいぞ、二人共! そんな事だから、私達は年上二人に追いつけず、年下の小猫とレイヴェルにまで先を越されるんだ!! 小猫なんて逆プロポーズをして、しかもイッセーもそれに応じた! レイヴェルだって、イッセーと将来の誓いを立てたと聞くし、小猫の姉もイッセーの眷属になって、一層距離が縮まる一方だ。更に言えばレイヴェルは、常に傍らにいるようになっているじゃないか」

 

そうだな……レイヴェルは眷属にしてほしいとも言われたし、多分レイヴェルの家の人もそれを望んでるっぽいんだよな。

でもそれを抜きにしても、俺はレイヴェルに傍にいてほしいとも思ってる……確かに距離が近いと言えば、近いよな。

 

何時にも増して饒舌かつノリノリなゼノヴィアに、イリナが諫めるように口をひらく。

 

「エッチなゲームをイッセー君と一緒にするなんて……やっぱり、健全ではないわ! もっと他に、イッセー君と交流を深められる術はあると思うの!」

 

良いぞイリナ! もっと言ってやれ!!……だがゼノヴィアはそんなイリナを目をキラリと光らせて見つめていた。

 

「ふふ、そうは言ってもイリナ。私は知ってるんだぞ?」

「な、何の事……?」

 

な、何だ……何をゼノヴィアは知ってるんだ?

 

「天界に聞いているそうじゃないか。――――悪魔と一線を越えても堕ちない方法とやらを。ミカエル様が真剣にご一考中という事もね」

 

な、何だって……!? それを聞いたイリナは、一気に耳まで真っ赤に染まった。

 

「わ、わ、わ、私はっ!!」

 

その動揺っぷりから察するに、事実なんだなそれは!

しかもミカエルさんもそれを容認しちゃってるのかよ!? 良いのかよそれで!

 

アーシアはそれを聞いて、酷く驚いていた。

 

「い、イリナさんがそこまでお考えだったのですね! はぅぅっ、まさか、私が一番遅れを取っているだなんて思いもよりませんでした!」

「そうだぞ、アーシア。イリナはもう子作りの事まで視野に入れているんだ。皆、実は裏で自分を高めようと必死だったのさ。私だって、こうして『エロゲ』を使って、自分を高めようとしている!」

 

高めるって何を!? そんな女の磨き方聞いた事ねぇぞ!

だが俺のツッコミも空しく、アーシアは決心した面持ちになってしまった。

 

「――――分かりました! 私も『エロゲ』をプレイして、研究していきます! リアスお姉様、朱乃さん、ゼノヴィアさんにもイリナさんにも負けません! 勿論、小猫ちゃんにもレイヴェルさんにも、黒歌さんにも!」

「流石アーシアだ。私の親友は強い精神の持ち主だね」

 

友人のねじ曲がりすぎた決意に、ゼノヴィアも喜んでいた。

 

「……いやいやいや。君らはうら若き女子高生なんだから、もうちょい清い会話しなさいよ! しかもシスターだって事完璧忘れてない!? シスターって煩悩を持っちゃ駄目なんじゃないの?!」

「イッセー、掟というのは――――時として破らなければ進めない道に立ちはだかる城塞のようなものだ。だったた、私達はその壁をぶち抜いて先へと行かねばならないんだ!!」

 

意☆味☆不☆明すぎる!!

 

もはや訳の分からん自論まで振りかざすゼノヴィアは、イリナを見据える。

 

「イリナはどうする? 指を咥えて見ているだけか? 自称幼馴染は自称のまま役目を終えるのかな? 桐生が言っていたぞ。幼馴染ほど、男子に近付ける属性はないが、逆に近すぎて先に進めないと。ふふふ、このままでは、全くその通りになってしまうかもね」

 

……何だよこのアホくせぇ会話は。

 

この隙に出て行ってもバレないんじゃないかと思い、そろーっと移動しようとしたが…ゼノヴィアに首根っこを掴まれた!

 

「悪いがイッセー、退出は認めんぞ」

「だから研究するなら君らだけでやりなさいよ!!」

「イッセーがいなければ意味がない。さて、イリナ…どうするんだ? 自称のまま終わるのかな?」

 

『自称』はイリナにとっては禁句だと分かってる上でそう挑発するゼノヴィア。

そしてイリナは案の定頬を膨らませて不満を爆発させた。

 

「もう! ゼノヴィアったら、最近私の事『自称』って言い過ぎよ! 私は正真正銘イッセー君の幼馴染で、天使だもん!」

「そうだね。自称幼馴染天使だな」

 

合体しちゃったよ。

 

「合体させないでよ! 分かったわ! 私も『エロゲ』をプレイして、幼馴染としてイッセー君に認めてもらうんだから!」

 

あーあ、イリナまでその気になっちゃったよ……この子らはホントに、世俗に疎すぎる!

もうちょっと自分で真実を調べようぜ! 桐生の言った事そのまま鵜呑みにしないとかお姉さま方の誘惑見て学ぶんじゃなくてさ!

 

あれか、俺が悪いのか? 俺がスケベなのが悪いのか?

 

自分のスケベっぷりに若干嫌悪感を抱く一方で、ゼノヴィアは不意に上着を脱ぎだした。

 

ブラジャー姿を堂々と晒しながら、ゼノヴィアはアホの子二人にこう言いだした。

 

「ところで知ってるか? 『エロゲ』は本来全裸でやらなければならないそうだ。これも桐生から仕入れた情報なんだ」

 

 

――――あの馬鹿女は何吹き込んでやがんだッ!?

 

確かに一部開幕ではやってるだろうし、俺だって一度敢行した事はあるが……女子がエロゲープレイするならまだしも、全裸になるのは無しだろ!

 

「で、ですが前回は皆でプレイした時はそんな事しませんでしたよ!?」

「アーシア、あれは私達がまだ情報不足だったためだ。思えばイッセーが苦い顔をして乗り気でなかったのも、全裸で無かったせいかもしれない。様式美、形から入る事こそ、日本人の美徳とされるからね」

「ちったぁ疑うって事をしろ! そんな様式美は日本にはねぇっつの!!」

 

ここまで来るとポンコツとかそんなレベルじゃなくなってくるぞ、おい!!

 

だがイリナはゼノヴィアの言葉を真に受けてしまい、わなわなと震え出す。

 

「そ、そんな事が!?…わ、分かったわ! これも自称を撤回してもらう為よ!」

 

そんな撤回の仕方あるかよ!? だがイリナは既に覚悟を決めているためか、躊躇なく上着とスカートを脱ぎ捨ててしまった。

 

「流石イリナ。ここぞという時の土壇場では思い切りが良いね。さて、アーシアはどうする?」

 

そう言うゼノヴィアはブラを躊躇なく剥ぎ取っておっぱい丸出し状態になる……前から思ってたけどさ、うちの女子陣、脱ぐことに抵抗なさすぎじゃねぇか?

 

もうちょっと恥じらいぐらい持っても良いと思うんだけどね、俺は!

 

「はぅっ! わ、私も負けません!」

 

アーシアまで脱ぎ始めた!

俺の眼前で三人のアホの子達は上下ともに下着を脱ぎ捨ててしまい、生まれたままの姿となってしまった……桐生、お前覚えとけよ!

 

「さぁ、イッセーも脱ぐんだ」

「お断りじゃぁぁあ!!!」

 

ずんずんと全裸で迫るゼノヴィアと、服を脱がされまいと抵抗する俺……男女の配役見事に逆転しちゃってるじゃねぇか!!

 

「だ、大体な! 全裸でプレイってのは基本男が一人でやるもんだ! それに、やったけど風邪引くだけだぞあんなの!」

「大丈夫、イッセー君を一人になんてさせないわ! 私達が付いているもの!!」

 

何とか逃げようとする俺の背後を抑えるように、ぴとっと俺の背中に張り付くのはイリナ! 天使のモチモチな柔肌おっぱいの感触が見る見るうちに広がっていく!

 

「は、離れろイリナ!」

「離さないわ!! 絶対に!」

「そうです! 孤独で『エロゲ』をプレイする事なんてないんです!!」

「孤独にプレイさせてくれ!! それに俺は今禁欲中なんだ! 今この状態でいられると非常に不味いからいったん離れろ!! 頼むから!!」

 

悲鳴のように叫びながら俺はノートパソコンの前に座らされる……そんな俺の背後から抱き着いてくるのはゼノヴィアだ。

 

くっそぉ、グレイフィアに申し訳ないと思いつつも欲望は正直に反応しちまう……!

 

「ゼノヴィア……」

「誘惑する為じゃないぞ。こうでもしないと逃げられてしまうからね」

「…この状況で逃げるわけねーだろ」

 

もうこうなったらどうとでもなっちまえ……。

 

「イッセー、ソフトのインストールとやらを頼む」

「へーへー」

 

仰せのままにっと……俺は備え付けのドライブにソフトを入れてインストールさせていく……くっそ、マジで生殺し状態なんだけど。

 

両隣にはアーシアとイリナ、背後はゼノヴィアがぴったりとくっついて来て、おまけに全裸ときたもんだ。

こんなに酷い拷問、世界中探したって見つからんぜ。

 

そんな地獄のような、天国のような時間を味わいつつ、何とかインストールを終了させる。

 

「…ほら、インストール出来たぞ」

「では、やろうか」

 

いや、そろそろ帰らせてくれませんかねぇ…ダメ? あ、そう。

 

「お前、そこから見るのか…?」

「あぁ、特等席だ……しかし、なんだな」

 

俺の肩に顔を乗せて覗かせるゼノヴィアは、何故か恍惚な表情を浮かべていた……くそ、地味にレアな表情してるじゃねーか。

 

「……イッセーの、背中、肌触りはやっぱり良いな。毎日、こうしていたいな。…なぁ、イッセー」

「…ん?」

「これから学校が終わったら毎日裸でこうさせてくれ。なんだか、こうしているだけで疲れが取れて癒されそうだ。というよりも今度真正面からぎゅっと抱きしめてくれないか? そこに女の幸せがありそうな気がしてきたよ」

 

それは…男の俺には分からん領域だな。

だが、それを聞いてイリナが俺の腕にしがみ付いてきた!

 

「それだったら私もしてもらうからっ!……堕ちない程度に!」

 

更に逆の腕にはアーシアが抱き着く!

 

「イッセーさんの抱っこは私が先だったんですよ!」

 

両腕+背中を防がれ、ゲームすらままならない俺!

ど、どっちにしてもエロゲーどころではないし、しかも性欲に火が付きつつある!

 

さっさとこの状況を打破しなければ、俺がビーストモードになっちまう!!

 

「き、君達! エロゲーしたいのかしたくないのかどっちなんだよ!?」

 

こんな状況、ルーマニアで頑張っているリアスや審問にかけられているグレイフィアに見せられん!!

 

本当にすみません! でも女体は柔らかいです!!

 

『欲望に正直なこって』

 

ドライグの呆れた声と共に、ふと部屋の扉が開かれた。

そこから現れたのは俺のマネージャー、レイヴェルちゃんだ。

 

「イッセー様、皆さん、こちらにいらっしゃいますか――――」

 

レイヴェルが目にした光景は、裸の女の子三人が男一人に抱き着いてエロゲーをしようとしている異様な光景だろう。

どう見たっていい訳不可避の乳繰り合いシーンだな、うん!

 

レイヴェルは一瞬間の抜けた顔になるが、直ぐに気を取り直してこう言ってのけた。

 

「で、出遅れましたわ!!」

 

何に!? まさか君もこんな事するのか!? 勘弁してくれぇ!!

 

だがすぐに咳払いをして自身を落ち着けると、本題を告げる。

 

「って、違いますわ! イッセー様、皆さん、アザゼル先生から直通の回線が開かれましたわ。――――事態が変化したそうです」

 

どうやらバカ騒ぎの時間は終わりを迎えたようだ――――

 

 

 

 




次回からイッセー君の試練が始まる、かも

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