ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

19 / 200
今回はイッセーの過去ーーーーサバトの回です


リアス部長達は出てこないです

今回はギャグなんてありません、ドライグさんもイッセー君もボケません


MAGIC番外編『追憶ーーーーサバト』

 

 

人には、忘れたくない記憶があるーーーー

 

 

例えば、テストで100点を取ったり、好きなあの子と付き合えたり………と、多種多様だけど、皆にもある筈だ。

 

 

俺……兵藤一誠にも、それは存在する。

 

 

 

 

 

それはーーーー俺が魔法使い、ウィザードになる切欠になったとある儀式………

 

 

 

今日は皆だけに、それを教えよう……。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

あれは、俺が高校一年の時……。

 

 

 

 

俺はその日何故か、とある海岸にいた。

そこには、俺を含めて、20人程の人達がいた。

 

 

何でいきなりそこにいたのか、それは未だに謎だ。

 

 

「なぁドライグ。何で俺、こんな所にいるんだ?」

『さぁな……』

 

俺だけでなく、周りの人達も同じ様に首を傾げていた。

 

「そう言えば、今日は日食なんだよな…」

『……相棒、始まったぞ』

 

ドライグに言われて空を見上げると、青空は雲に包まれ、

太陽が月に覆われていた。

 

「綺麗……」

「すげぇ…!」

 

周りの人達も感心しながら日食に見惚れていた。

かく言う俺も、初めて見る日食に心奪われていた。

 

 

 

 

 

 

『……何だ。この異質な魔力は?』

 

だけど、ドライグだけは違ったんだ。

 

『どうしたんだ?ドライグ』

『……相棒、この場から逃げろ。今すぐにだ!』

『は?いきなり何言って……』

 

 

 

 

 

うわぁぁぁぁッ!!

 

 

ドライグと会話していた俺は突然の悲鳴に現実に戻された。

すると、驚きの光景が目に映った。

 

 

 

 

「あ、ぁぁぁ……!」

 

そこにいた内の一人の体全体に、紫の皹が走っていた。

 

「ぐ、グォォォォォ!!!!」

 

かと思うと、その人の体が割れたガラスの様に消え去り、そこにいたのは、冥界でもいないであろうーーーー怪物だった……。

 

 

唖然とした時、その場に笛の音が響き渡った。

すると、大地から大規模な魔力が溢れ出てきた。

 

 

 

 

その当時まるで魔力の才能がなかった俺にも分かるほど、それは恐ろしい質の魔力だった。

 

 

「い、いやぁぁぁぁぁっ!!」

「あぁぁぁぁぁぁっ!!」

「た、助けて……くれぇ!!」

 

最初の悲鳴を皮切りに、周りの人達も同じ様にどんどん

と紫の皹が走り、次々に化け物へと変わっていた。

 

尋常ではない、悲鳴を残して………………………

 

 

 

「何だよコレ………………………ウグゥッ!」

『相棒!どうし……っ!』

 

そしてそれは俺にも表れた。

 

「が、あぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

自身の体の内側に大地から溢れる魔力が流れ込み、自身の体の内側から抑えきれない"ナニか"が湧いて出てくるのを、感じたんだ。

 

 

それはまるで、住みかを求める野獣の様に…

 

 

 

 

『相棒!気を確かに持て!自我を失うな!!』

「あ、がぁ……!」

『相棒!!』

「ウワァァァァァァァ!!!」

 

ドライグの声も殆ど聞き取れず、自分に走る皹も大きくなっていく。

俺が何とか踏ん張ってる間にも、他の人達は、どんどん化け物へと成り果てていた……………………。

 

 

「へ、へへ……ドライグ、ゴメン…俺、何か……いし、きが……」

『相棒…………………くそったれぇ!!何故俺は何も出来んのだ!!』

「責めん、なよ……。お前は、何も…わる、く、な……だろ……………………」

 

 

もう意識すらまともに機能してなかったその時、その声は聞こえた。

 

 

 

 

……………………俺に全てを委ねろ。そうすれば楽になれるぞ?

 

 

 

「ら、くに……?」

『相棒!オイ聞いてんのか相棒!!』

 

………………あぁ、なれるとも。それに、この様な苦痛に耐えて、何になる?もうこの世には、お前の両親も、いないと言うのに?

 

 

「そ…だよな……。俺、もう、頑張らなく、て……い、よな……?」

 

…………………さぁ。全てを、俺にーーーー!

 

 

 

その甘言に惑わされ、全てを委ねようとした俺の耳に聞こえたのは、

 

 

 

『…お前は!死んだ両親の、そして茂殿の最後の希望なのだぞ!?それなのに、こんな所で果てると言うのか!?』

 

 

必死に、涙を堪えながら語りかけてくる、相棒の声だった……。

 

 

 

 

「き、ぼう…………?グァァッ!?………………………………そうだ、俺は…!」

 

その時、背中からナニかが生えてきたが、俺はそれを無視して、日食の光に、手を伸ばしたーーーー

 

 

 

 

 

「俺はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 

~~~~

 

『……!…ぼう!相棒!!』

「ん……?」

 

それから何時間とも言える時間が過ぎた後、俺はドライグの声によって目を覚ました。

 

「……アレ?俺、どうなって…」

『…相棒。信じられない事だが……お前は、』

 

 

そのドライグの言葉を遮る様に、

 

 

 

「ハッハッハッハァ!漸く出てこれたぜぇ!!」

 

緑色の、細かい棘が沢山生えた怪物が、目の前に現れた。

 

「何だお前は!?」

「オォッ!?人間はっけ~ん!殺っちゃいますかァ!?」

 

ソイツは剣を取り出して、俺に飛び掛かってきた。

俺は咄嗟に赤龍帝の籠手を展開しようとすると、

 

 

 

 

 

 

《エクスプロージョン・ナウ》

 

 

そんな音声が聞こえたかと思うと爆発が起き、目の前の怪物は吹っ飛ばされていた。

 

「グハァッ!?な、何だ一体……!」

 

ソイツが呟いたそれに答えるようにして、

 

 

 

 

「………………」

 

その攻撃の主ーーーー魔法使いが、姿を現したんだ。

 

「な、何だテメェ……!」

「…命が惜しくば、今すぐに消えろ」

「け、ケッ!気分が削がれたぜ……!」

 

その魔法使いの言葉から感じる殺気に圧されたのか、ソイツはその場から消えていった。

 

 

「アンタは…………」

「…よくぞ希望を捨てずに生き残ったな。お前は、魔法使いになる資格を得た」

「…………は?」

 

最初は理解出来なかったよ。

いきなり魔力もろくに持ってなかった俺が、魔法使いだぜ?

 

《コネクト・ナウ》

 

その魔法使いは魔方陣を展開すると、その中に手を突っ込んだ。

次にその手には、手形の付いたベルトと、4つの色をした指輪だった。

 

「これから先、お前は奴等……ファントムに否応なしに狙われるだろう。その為の、力だ」

「…………」

「そして、兵藤茂の指輪店を訪ねろ…………」

「…!オイ、アンタ!何でおっちゃんの事……」

《テレポート・ナウ》

 

俺の質問に答えず、白い魔法使い(俺とドライグはそう呼んでる)は一瞬にして、その場から消えた。

 

 

「……アイツ、一体」

『…………話を戻すぞ、相棒。お前は…魔力を得たんだ』

「……へ?ちょ、ちょっと待てよ。俺、魔力なんて……!」

『…自分でも分かってる筈だ』

 

 

……そう、あの時のドライグの言う通り、俺は今まで自分に感じなかった筈の魔力を、感じていた。

 

 

「だけど、何で魔力が……?」

『原因は恐らく、先程の出来事だ。推測するに、膨大な魔力が流れ込んだ影響で、お前の中に眠っていた魔力が活性化され、目覚めたんだろう』

「……成る程、な」

 

俺は白い魔法使いから手渡された指輪とベルトを眺め、真実を知るために、おっちゃんの元に向かった。

 

 

 

 

~~~~

 

 

「イッセー…!どうしたんだお前、ずぶ濡れで!」

「おっちゃん………この指輪、何か知ってるのか?」

「…!お前、何でそれを……」

 

あの後俺は中学まで俺を育ててくれた叔父の、兵藤茂を訪ねた。

貰った指輪を見せると、おっちゃんの顔色は変わった。

 

 

「そうか……そんなことが…。すまないイッセー。俺が作った指輪のせいで……」

「謝んないでよ、おっちゃん。おっちゃんはただ頼まれて作っただけなんだからさ」

『……で、相棒。どうすんだ?これから』

「…俺は」

 

俺はおっちゃんとドライグに答えるようにしてベルトを着けた。

 

「っ!」

『相棒、お前!』

「…魔法使いに、なるよ。もう……あんな悲劇を起こさせない為に!」

「……分かった。俺も協力しよう」

「おっちゃん……」

「俺はお前の為に指輪を作る。それが、せめてもの罪滅ぼしだ……そうしないと、晴人と暦に申し訳ない」

『……茂殿が協力して、俺が何もしないのはアレだからな。俺も一緒だ、相棒!』

「ドライグ…ありがとよ」

 

 

 

そこから、俺の魔法使いーーーーウィザードとしての戦いが、始まったんだ。

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

俺は決して忘れない、あの悲劇を…………。

 

 

あんな地獄を、2度と起こさせない為にーーーー

 

 

 

 

 

 

「さぁ、ショータイムだ!」

 

 

 

 

 

俺は今日も戦い続ける。

 

 

 

 

皆の希望を守る為に、そしてーーーー

 

 

 

 

 

 

皆の希望になれるように……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




……と、以上になります。

因みに白い魔法使い関連の質問にはネタバレ防止の為、答えかねます。

それと、感想にて言われましたが、サーゼクス様の奥様はオリキャラですがちゃんといます!でないと婚約破棄に矛盾が生じるので…………感想にて指摘して下さった皆様、ありがとうございます!

ですがどの様な奥様にしようかは、まだ未定です……すみません。


では、次の投稿にてお会いしましょう!







▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。