ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
リアス部長達は出てこないです
今回はギャグなんてありません、ドライグさんもイッセー君もボケません
人には、忘れたくない記憶があるーーーー
例えば、テストで100点を取ったり、好きなあの子と付き合えたり………と、多種多様だけど、皆にもある筈だ。
俺……兵藤一誠にも、それは存在する。
それはーーーー俺が魔法使い、ウィザードになる切欠になったとある儀式………
今日は皆だけに、それを教えよう……。
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あれは、俺が高校一年の時……。
俺はその日何故か、とある海岸にいた。
そこには、俺を含めて、20人程の人達がいた。
何でいきなりそこにいたのか、それは未だに謎だ。
「なぁドライグ。何で俺、こんな所にいるんだ?」
『さぁな……』
俺だけでなく、周りの人達も同じ様に首を傾げていた。
「そう言えば、今日は日食なんだよな…」
『……相棒、始まったぞ』
ドライグに言われて空を見上げると、青空は雲に包まれ、
太陽が月に覆われていた。
「綺麗……」
「すげぇ…!」
周りの人達も感心しながら日食に見惚れていた。
かく言う俺も、初めて見る日食に心奪われていた。
『……何だ。この異質な魔力は?』
だけど、ドライグだけは違ったんだ。
『どうしたんだ?ドライグ』
『……相棒、この場から逃げろ。今すぐにだ!』
『は?いきなり何言って……』
うわぁぁぁぁッ!!
ドライグと会話していた俺は突然の悲鳴に現実に戻された。
すると、驚きの光景が目に映った。
「あ、ぁぁぁ……!」
そこにいた内の一人の体全体に、紫の皹が走っていた。
「ぐ、グォォォォォ!!!!」
かと思うと、その人の体が割れたガラスの様に消え去り、そこにいたのは、冥界でもいないであろうーーーー怪物だった……。
唖然とした時、その場に笛の音が響き渡った。
すると、大地から大規模な魔力が溢れ出てきた。
その当時まるで魔力の才能がなかった俺にも分かるほど、それは恐ろしい質の魔力だった。
「い、いやぁぁぁぁぁっ!!」
「あぁぁぁぁぁぁっ!!」
「た、助けて……くれぇ!!」
最初の悲鳴を皮切りに、周りの人達も同じ様にどんどん
と紫の皹が走り、次々に化け物へと変わっていた。
尋常ではない、悲鳴を残して………………………
「何だよコレ………………………ウグゥッ!」
『相棒!どうし……っ!』
そしてそれは俺にも表れた。
「が、あぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
自身の体の内側に大地から溢れる魔力が流れ込み、自身の体の内側から抑えきれない"ナニか"が湧いて出てくるのを、感じたんだ。
それはまるで、住みかを求める野獣の様に…
『相棒!気を確かに持て!自我を失うな!!』
「あ、がぁ……!」
『相棒!!』
「ウワァァァァァァァ!!!」
ドライグの声も殆ど聞き取れず、自分に走る皹も大きくなっていく。
俺が何とか踏ん張ってる間にも、他の人達は、どんどん化け物へと成り果てていた……………………。
「へ、へへ……ドライグ、ゴメン…俺、何か……いし、きが……」
『相棒…………………くそったれぇ!!何故俺は何も出来んのだ!!』
「責めん、なよ……。お前は、何も…わる、く、な……だろ……………………」
もう意識すらまともに機能してなかったその時、その声は聞こえた。
……………………俺に全てを委ねろ。そうすれば楽になれるぞ?
「ら、くに……?」
『相棒!オイ聞いてんのか相棒!!』
………………あぁ、なれるとも。それに、この様な苦痛に耐えて、何になる?もうこの世には、お前の両親も、いないと言うのに?
「そ…だよな……。俺、もう、頑張らなく、て……い、よな……?」
…………………さぁ。全てを、俺にーーーー!
その甘言に惑わされ、全てを委ねようとした俺の耳に聞こえたのは、
『…お前は!死んだ両親の、そして茂殿の最後の希望なのだぞ!?それなのに、こんな所で果てると言うのか!?』
必死に、涙を堪えながら語りかけてくる、相棒の声だった……。
「き、ぼう…………?グァァッ!?………………………………そうだ、俺は…!」
その時、背中からナニかが生えてきたが、俺はそれを無視して、日食の光に、手を伸ばしたーーーー
「俺はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
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『……!…ぼう!相棒!!』
「ん……?」
それから何時間とも言える時間が過ぎた後、俺はドライグの声によって目を覚ました。
「……アレ?俺、どうなって…」
『…相棒。信じられない事だが……お前は、』
そのドライグの言葉を遮る様に、
「ハッハッハッハァ!漸く出てこれたぜぇ!!」
緑色の、細かい棘が沢山生えた怪物が、目の前に現れた。
「何だお前は!?」
「オォッ!?人間はっけ~ん!殺っちゃいますかァ!?」
ソイツは剣を取り出して、俺に飛び掛かってきた。
俺は咄嗟に赤龍帝の籠手を展開しようとすると、
《エクスプロージョン・ナウ》
そんな音声が聞こえたかと思うと爆発が起き、目の前の怪物は吹っ飛ばされていた。
「グハァッ!?な、何だ一体……!」
ソイツが呟いたそれに答えるようにして、
「………………」
その攻撃の主ーーーー魔法使いが、姿を現したんだ。
「な、何だテメェ……!」
「…命が惜しくば、今すぐに消えろ」
「け、ケッ!気分が削がれたぜ……!」
その魔法使いの言葉から感じる殺気に圧されたのか、ソイツはその場から消えていった。
「アンタは…………」
「…よくぞ希望を捨てずに生き残ったな。お前は、魔法使いになる資格を得た」
「…………は?」
最初は理解出来なかったよ。
いきなり魔力もろくに持ってなかった俺が、魔法使いだぜ?
《コネクト・ナウ》
その魔法使いは魔方陣を展開すると、その中に手を突っ込んだ。
次にその手には、手形の付いたベルトと、4つの色をした指輪だった。
「これから先、お前は奴等……ファントムに否応なしに狙われるだろう。その為の、力だ」
「…………」
「そして、兵藤茂の指輪店を訪ねろ…………」
「…!オイ、アンタ!何でおっちゃんの事……」
《テレポート・ナウ》
俺の質問に答えず、白い魔法使い(俺とドライグはそう呼んでる)は一瞬にして、その場から消えた。
「……アイツ、一体」
『…………話を戻すぞ、相棒。お前は…魔力を得たんだ』
「……へ?ちょ、ちょっと待てよ。俺、魔力なんて……!」
『…自分でも分かってる筈だ』
……そう、あの時のドライグの言う通り、俺は今まで自分に感じなかった筈の魔力を、感じていた。
「だけど、何で魔力が……?」
『原因は恐らく、先程の出来事だ。推測するに、膨大な魔力が流れ込んだ影響で、お前の中に眠っていた魔力が活性化され、目覚めたんだろう』
「……成る程、な」
俺は白い魔法使いから手渡された指輪とベルトを眺め、真実を知るために、おっちゃんの元に向かった。
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「イッセー…!どうしたんだお前、ずぶ濡れで!」
「おっちゃん………この指輪、何か知ってるのか?」
「…!お前、何でそれを……」
あの後俺は中学まで俺を育ててくれた叔父の、兵藤茂を訪ねた。
貰った指輪を見せると、おっちゃんの顔色は変わった。
「そうか……そんなことが…。すまないイッセー。俺が作った指輪のせいで……」
「謝んないでよ、おっちゃん。おっちゃんはただ頼まれて作っただけなんだからさ」
『……で、相棒。どうすんだ?これから』
「…俺は」
俺はおっちゃんとドライグに答えるようにしてベルトを着けた。
「っ!」
『相棒、お前!』
「…魔法使いに、なるよ。もう……あんな悲劇を起こさせない為に!」
「……分かった。俺も協力しよう」
「おっちゃん……」
「俺はお前の為に指輪を作る。それが、せめてもの罪滅ぼしだ……そうしないと、晴人と暦に申し訳ない」
『……茂殿が協力して、俺が何もしないのはアレだからな。俺も一緒だ、相棒!』
「ドライグ…ありがとよ」
そこから、俺の魔法使いーーーーウィザードとしての戦いが、始まったんだ。
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俺は決して忘れない、あの悲劇を…………。
あんな地獄を、2度と起こさせない為にーーーー
「さぁ、ショータイムだ!」
俺は今日も戦い続ける。
皆の希望を守る為に、そしてーーーー
皆の希望になれるように……………………。
……と、以上になります。
因みに白い魔法使い関連の質問にはネタバレ防止の為、答えかねます。
それと、感想にて言われましたが、サーゼクス様の奥様はオリキャラですがちゃんといます!でないと婚約破棄に矛盾が生じるので…………感想にて指摘して下さった皆様、ありがとうございます!
ですがどの様な奥様にしようかは、まだ未定です……すみません。
では、次の投稿にてお会いしましょう!