ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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皆様、明けましておめでとう御座います。

今年もよろしくお願いいたします

ドライグ「バゼゴセパレザレダ!!(何故俺は目覚めた!!)」
イッセー「新年早々グロンギ語で話すな!!」


MAGIC149『希望よ来たれ』

 

闇が晴れて元の風景――――首都リリスに戻った時、ギャスパー君は路面に横たわっていた。

 

ゲオルクの姿は見えない……闇に食われてしまったのだろうか。

 

僕達が歩み寄ってみると、ギャスパー君は安らかに寝息を立てていた。…恐らくは力を一気に出し切ったが故だろう。

 

部長はギャスパー君を抱き寄せて髪をそっと撫でる。

 

「…この子について、ヴァンパイアに聞かなくちゃならない事が色々できたわね。けれど、ただでさえ吸血鬼は悪魔を嫌う。ヴラディ家が私の質問に答えてくれるかは分からないけど……」

 

吸血鬼は悪魔以上に階級重視の社会だ、言うなれば仲間を思いやれるものが皆無に等しい程に、純潔とそれ以外を完全に区別している。

 

現悪魔の様に元人間にチャンスを与えるような事も決してない。

 

「そう言えば、ヴァルハラに戻った時に興味深い話が聞けました。――――何でもとある吸血鬼の名家が神滅具所有者を保有した事で、吸血鬼同士の諍いが勃発してしまったと」

 

吸血鬼の世界では、そんな事が起こっているのか。

 

向こうは未だに悪魔や他勢力と交渉すらしない程に排他的で閉鎖された世界だ。その彼等が、神滅具所有者を得た……?

 

冥界の危機の裏で、一筋縄ではいかなさそうな事が多々起きているようだ。

 

「…それもそうですが、今はこの状況の打破が最優先事項かと」

「それもそうだな……む?」

 

目を覚ましたソーナ会長の言葉に同意したサイラオーグ氏だったが、何かの気配を感じ取ったのか、背後へと視線を向けた。

 

つられて振り返ると、見知った気配がやって来た。

 

 

「あらら、ヘラクレスとゲオルクもやられちゃったんだ……これはヤバいわね」

 

――――ジャンヌ!

 

その場に現れた彼女は全身に傷を負っており、満身創痍の様子だった。

だけど小脇に何かを抱えていた――――よく見れば、その正体は小さい男の子だ!

 

「待て、ジャンヌ!」

「卑怯よ、子供を人質に取るなんて!」

「……やられましたわね。まさか、あんなところに逃げ遅れた親子連れがいたなんて」

 

後からやって来たゼノヴィア、イリナさん、朱乃さんが苦渋に満ちた表情で合流する。

 

「まさかあの女、子供を盾にしやがったのか?」

 

恐らくは、立神君の言う通りだろう。

相対するジャンヌは、聖剣の切っ先を子供の首元に突き立てていた。

 

「卑怯だな」

「貴方達悪魔がそれを言うのかしら?まぁそれはそうとして――――曹操を呼ばせてもらうわ。貴方達、強すぎるのよ。私が逃げの一手になるなんてね。ってな訳で、この子は曹操がここに来るまでの人質に――――」

 

そうジャンヌが言い切る寸前――――空に赤い光が差した。

 

「っ、これは……」

 

ジャンヌにつられて仰ぎ見た空には、僅かな轟音と共に赤い光がキラキラと輝いていた。

 

「――――ウィザードラゴンだ!!」

 

呆然とする僕達の耳に届いたのは、ジャンヌの人質となっている男の子の声だった。

その声音には、一切の怯えも見られない。

 

「ふふふ、残念ねボク。ウィザードラゴンはもう死んじゃったのよ。お姉さんのお友達がね、倒してしまったの」

「ううん、ウィザードラゴンはきてくれるよ。……ほら!きこえてくるもん!!」

 

聞こえてくる……?

 

 

 

 

―――――……ゥンッ! 

 

 

その時、僕達の耳に、小さなエンジン音が遠方から入ってきた。

 

 

「ゆめのなかでね、ウィザードラゴンが、きてくれるってやくそくしてくれたんだ。ぜったいにいくから、それまでがんばってくれって!ぼくたちががんばったら、それがウィザードラゴンのちからになるんだって!」

 

男の子が楽しげに語るたびに、その音は徐々に近づいてくる…………そして同じく、見知った気配が近づいてくるのも。

 

…ギャスパー君の変化で気づくのが遅れたけど、さっきの光の正体も、やっぱり君だったんだね!

 

 

 

 

ヴゥンッ!!!!

 

 

 

――――イッセー君!

 

 

僕達の視線の上を飛ぶように、その場に一台のバイクが飛び込んできた!

そしてそのまま着地したバイクの運転手は、僕達とジャンヌの間にバイクを止める。

 

 

「――――おいおい、ちょっと見ない間に随分悪役チックになったな。木場」

 

運転手はヘルメット越しに暢気に笑いながら僕に話しかけ、そのヘルメットを脱いだ。

 

「まぁ、割と元気そうで何よりだけどな……よっ」

 

そこには変わらない――――ちょっと痩せた、イッセー君の笑顔があった。

それを見た部長、アーシアさん、朱乃さん、小猫ちゃん達が駆け寄って一誠に抱き着いた!

 

「……よく、帰ってきたわねっ」

「イッセーさん!…イッセーさんイッセーさんイッセーさんイッセーさんっ!!」

「先輩……お帰りなさいっ!」

「…お願い、私を置いていかないで……っ。貴方のいない世界なんて、もうゴメンなのだから……!」

 

部長達は皆涙を流していた……うん、僕だって同じ気持ちだからね。

でも男の僕が一緒になって泣いたら、格好がつかないだろう?

 

「うんっ、私は泣いてないぞっ。私が選んだ、男は……死んでも死なないからなッ」

「何よ、泣いてるじゃない!私は無理せず泣くもんっ!うえぇぇぇんっ!!」

 

涙ぐんでいるゼノヴィアは、何とか我慢しようとしていたが、ぼろぼろと涙が止まらない様子だった……あ、イッセー君に飛び込んでいった。

そしてイリナさん、子供みたいな泣き声だね……。

 

「あはは…………心配かけてゴメンな、皆」

 

イッセー君は女性陣の頭を撫でてあげると、次に僕の方へと歩み寄ってくる。

 

「…随分パワーアップしたみたいだな」

「まだまだだよ。君の背中まで」

「そうか――――ありがとなっ!?」

 

そう僕に礼を言ったイッセー君の背中を、匙君が叩いた。

そんな匙君は、滂沱の涙を流していた。

 

「兵藤ぉぉっ!!お前、お前って奴はよぉぉぉぉお!!!!」

「おう、やっぱ生きてたか。ま、我がライバルとしちゃここで死なれちゃ張り合いがないからな!」

「うむ。お前は簡単には死なん男だと思っていた。……よく無事で帰ってきたな」

 

立神君とサイラオーグ氏も、イッセー君の帰還を心から祝福していた。

 

「どもっす。…………って、今はそれどころじゃないか」

 

――――っ、そうだ!

 

僕達は全員すぐさま臨戦態勢に戻る…まだジャンヌが人質を取っていたんだ!

 

「まさか生きてたなんてね、赤龍帝」

 

ジャンヌは僕達、と言うよりはイッセー君を睨み付ける。

 

「俺がいつ死んだって言ったよ?それより、チビッ子返してもらうぜ。――――聖女気取りの魔女さん」

 

イッセー君の軽口に、ジャンヌは顔に憤怒を浮かべる。

 

「……今、なんて言った?」

「聞こえなかったのか?聖女気取りの阿婆擦れって言ったんだよ」

『いやいや相棒。ここは聖女気取りの娼婦の方が効率的に煽れるだろ』

『それなら単純に股の緩い売女で良いだろ』

 

イッセー君のみならず、ドライグ、ファントムのドラゴンまでそうジャンヌを煽り立てる!

その煽りに、ジャンヌはますます怒気を強める。

 

「さっきから黙って聞いてれば、随分好き勝手言ってくれるじゃない……良いわっ!だったらこの場で無様に――――え?」

 

そう言って聖剣をイッセー君に向けようとするよりも速く――――イッセー君は人質の男の子を救出してしまった。

 

 

……速いっ!

 

 

「こんなんで怒ってるようじゃ、心理フェイズはまだまだってとこだな。…大丈夫か、坊主」

「うん!ウィザードラゴンがたすけてくれるって、しんじてた!!」

「そっか。…良く頑張ったな」

 

イッセー君は男の子の頭を撫でて、僕達の方へと行くように言った。

 

「さてと、これで思う存分やれるな。……来いよ、聖女気取り」

「…殺すっ!!」

 

ジャンヌは激昂した表情で、フェニックスの涙を使って回復した後、ピストル型の注射器を首に刺した!

 

――――魔人化だ!

 

「イッセー君、気を付けて!あれは神器能力を格段にパワーアップさせるものだ!」

 

僕が説明している間に、ジャンヌの体を幾重もの聖剣が覆っていく!

変化が終息するとそこにいたのは、聖剣で形作られた巨大な蛇だ。

 

『ふふふ、二度も使うと負担が大きいのだけれど……これならば貴方にも追従できる!』

『おいおい、随分と物騒なラミアだな』

 

ドライグがそう評した通り、その蛇は頭の部分にジャンヌの上半身が露出していた――――蛇のモンスター、ラミアそのものだ。

 

『さぁ、無様に死になさいッ!!!』

「――――」

《Blade!》

 

下半身をくねらせて、イッセー君へと迫るジャンヌ!

それと同時に無数の聖剣がイッセー君へと襲い掛かって行った!

 

対するイッセー君は籠手からアスカロンを取り出すと――――鎧も纏わずにジャンヌへと駆け出した!

 

『聖女擬き。お前は少し勘違いをしている。そんな程度のパワーアップじゃあ……』

 

 

 

ザンッ!!

 

 

 

ジャンヌが聖剣を突き立てた、イッセー君が立っていた場所には誰もおらず、肝心のイッセー君はジャンヌの背後にいた。

 

そして――――ジャンヌを覆っていた聖剣の鱗が、音を立てて崩れ落ちた!

 

『ッ!?』

 

ジャンヌは自分に起こった異常を、飲み込めていない様子だった。

イッセー君は今、攻撃をしたのか……だけど、

 

『見え、なかっ……!?』

 

そう、ジャンヌの評した通り――――見えなかったのだ。

 

 

予想だにしない展開に僕達まで固まっている間に、ドライグの声がその場に響いた。

 

『今の相棒には勝てないぞ』

『ッ……!!』

 

ジャンヌは、声を上げる事無くその場に倒れ伏した。

 

……間違いない。イッセー君は、疑似空間で戦った時よりも――――強くなっている。

 

 

今の戦闘で、一瞬の決着で、僕はそれを確信した。

 

当のイッセー君は、首を捻りながら、僕達とは別の方を振り向いた。

 

「いい加減かくれんぼは止めにしねーか?さっさと出て来いよ……曹操」

 

――――!

 

イッセー君の発言に、僕達は耳を疑う。

だけど、その返事はすぐに返ってきたのだ。

 

「――――強者を引き寄せる力も、ここまで来ると恐ろしいね」

 

英雄派のリーダー、曹操がその姿を現したのだった。

 

 




こうカッコよく?〆ましたが、次はヴァーリ君のターンです

ヴァーリ「悪いな兵藤一誠。ここからは俺のターンだ」
???「ヴァーくん、またカッコつけな癖ですか?」
ヴァーリ「!?」

イッセー「特別ゲストをお呼びしたぜ!俺のファンサービス、とくと味わいなァ!!」
ドライグ『ボドギロジョソギブべ!(今年もよろしくね!)』
ドラゴン『ここではリントの言葉で話せ』

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