ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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士の客演でタケル殿が上書きされるとは……おのれディケイドォォォォォオ!!!!


MAGIC144『目覚める龍』

 

…………んぁ、俺、寝てたのか?

 

眼を開いた俺の目に飛び込んできたのは、一面が万華鏡のような世界と――――

 

 

「イッセー、起きた」

 

……何故か俺の上に乗っているオーフィスの顔だった。

 

「…オーフィス?って、ここは」

『次元の狭間だ、相棒』

 

……ドライグ。何か、久しぶりだな。お前の声聞くの。

 

『そりゃお前、あれから数日間気絶してたからな』

 

気絶……?

 

……!

そういやドライグ、シャルバは!?

 

『寝ぼけてんのか?しゃぶしゃぶ野郎ならお前が倒したじゃないか』

「…あぁ、そう言えばそうだったっけ」

『で、お前はサマエルの呪いの影響で気絶してたって訳。流石に二度も受けたとあっちゃあお前でもヤバいと肝を冷やしたがな。結局は気絶で済んで何よりだ』

 

気絶か……みんな心配してんだろうな。

ドライグ、先生が前に言っていた召喚は?

 

『あったぞ。けど何故かお前の指輪だけが召喚に応じて消えちまった』

 

指輪だけ!?…って、ホントに指輪がない。

 

『龍門はドラゴンを強制的に呼び寄せる術式の筈なんだがな。その辺は俺にも分からん』

「で、俺達は今何やってんの?」

 

俺は何気なくドライグに聞いてみると、耳を疑う発言をされた。

 

『あ?今か?――――グレートレッドの上に乗ってる』

 

 

…………は?

 

「えいえいえい」

 

驚きのあまりポカンとする俺を尻目に、オーフィスは乗っかっている赤いごつごつした何かを叩いている。

 

「……オーフィス、何してんだ?」

「グレートレッド、倒す」

 

オーフィスまでそう言うもんだから、俺は改めて自分が何に乗っているのか気で感知した………うん、スッゲーデカいオーラの塊だ!

 

ってこのオーラは以前見たグレートレッドのものだな!…………って!

 

 

「いや何でぇぇぇぇぇえ!!!?」

 

俺はガバリと起き上がって、次元の狭間中に響くほどの大声で絶叫した!

そうしている間にも代わり映えしない景色は流れて行ってるし、ホントに移動中なのねグレートレッドさん!!

 

『シャルバを倒した後、お前気絶したろ?その後だよ、グレートレッドが偶然ここを通りかかったのは』

「偶然!?偶然無敵のドラゴン様が通りかかったってか!?」

『あの一撃の余波を感じて来たのか、はたまたホントに偶然やって来たのか……兎にも角にも、お前が引き寄せたようにしか思えん。お前やっぱり何か持ってるな』

 

何か持ってるとか言われましても!

俺はただ日々を平穏に、時折エッチに過ごしたいだけなんだけど!?

 

『俺を宿してる時点で無理だからな』

『更に言えば俺を封じた時点でもな』

 

そうですね分かってたよチクショウ!!……で、これからどうするんだ?

 

『取り合えずは冥界に向かってるナウ』

「……皆、大丈夫かな?」

『お前の仲間だろ?ならそう簡単にくたばったりはしない筈だぜ』

 

……そうだな。

皆、俺に心配されるほど軟じゃないし。

 

そう思っていたら、流れていった景色が急に止まった。

 

『グレートレッドが、止まった…?』

「どうしたんだ?」

「何か、来る」

 

来る?一体誰が…………ッ!

 

突如、俺の眼前の空間が歪み始める。

だけどそれは一瞬で、空間が元に戻るにつれて、そこに何者かの輪郭が見え始める。

 

白い体に鋭利な棘みたいな装飾、胸元で怪しく輝く紫色の宝石。

 

 

怪物と呼んで差し違えない奴が、そこには立っていた。

 

けど――――

 

『……この気配、この感じ、何処かで会ってる?』

 

そう、俺はこの怪物から以前何処かで会ったような――――既視感、と言うヤツを感じていた。

 

だけど、詳しくは思い出せない。いや――――分からない。

 

まるで、此奴に関する記憶が抜け落ちたみたいに…………。

 

『…久方ぶり、と言えば良いのかな?』

「な、に……?」

 

この口振り……此奴は、俺の事を知っている!?

 

『ファントムの敵ともいえるお前の事を知らぬ私ではない。そうだろう、兵藤一誠』

「っ!…そうか。お前、ファントムだな」

 

狐に包まれた感じに捕らわれていたから良く分からなかったけど、此奴のこのオーラはまさしくファントム!

だから何処かであったように感じたのか……?

 

『フッ。まさかグレートレッドに拾われていたとはな。道理で探しても見つからん訳だ。偶然が呼んだのか、お前自身が呼び寄せたのか……だがお前にはそれだけの力があると言う事だ』

「お前……誰だ」

『――――我が名はワイズマン。ファントムを統べる者だ』

 

……此奴が、ワイズマン。

あのサバトを引き起こした、全ての――――元凶ッ!!

 

俺はすぐさま籠手を展開、何時でも戦えるように準備する!

 

『随分と警戒されているな』

「当たり前だッ……サバトを引き起こした奴を前にして穏やかに出来る訳ねぇだろっ!!」

『止せ。今のお前では私には勝てん。それに――――私はお前と争いに来たわけではない』

 

何だと……?

 

ワイズマンは手で俺を制しつつ、そんな事を言ってきやがった。

 

『今日はお前と話をしたくてな。態々此処まで赴いたのだ』

「話だと……お前のような奴と話す事なんざ一つもねぇよ」

『まぁ聞け。話と言っても、簡単な質問だ。……兵藤一誠、お前はこの世界をどう思う?』

 

 

……は?

い、いきなりスケールのデカい話、だな…。

 

本当に話をしに来ただけ、なんだよな…………俺は一応、拳を下ろす事にした。

だけど警戒はさせてもらう、油断はしない。

 

「どう、って……」

『お前は魔法使いとなって人間と接している以上、様々な人間を見て来た筈だ。ほとんどの人間は己の為に他人を利用、裏切り、挙句の果てには命を奪い合う。そんな生命体が跋扈するこの世界を、お前は本当に守る価値があると思うか?』

「……」

『神が産み出したこの世界に、価値ある存在など何一つとしてない。私はこの世界についてこう考えている。お前はどうだ?守るべき希望など、所詮は薄汚れた塵芥でしかない。そうは思わないか?』

 

それは……そう思わない事は、多少はあった。

 

「…確かにお前の言う通り、綺麗事だけで守れる希望ってのはない。人ってのは弱い生き物だ、誰かを出し抜くために生きてる人なんてそれこそ大勢いる。でも」

『……』

 

俺が出会ってきた人達は、少なくとも誰かを犠牲にしてまで生きようとする人じゃない。

 

「だからこそ、誰かの為に何かを成そうとする人達の心が、その人達が尊いと思う希望が、どんな時だって輝いて見える。その生き汚さだって、生きていく上で多少は必要なものだ。俺はそう思ってる。……ちょっとしか生きてない若造だけど、俺はそんな希望があるのを知って来たから、今あるこの世界が好きだ。守る価値があるって、俺は思う」

『……希望が幻想だとは、思わないのか』

「思わないな。だって――――俺はその希望に支えられ、助けられて、今ここにいる」

 

どんなに汚くても、醜くても……俺が掴んだ希望は、ずっと俺の中で輝き続けている。

 

それは誰であっても、それこそ神様であっても、何も言わせねぇ!

 

『…………愚かしいな』

 

だが、ワイズマンは俺のその意見に嘆息した。

 

『お前も直に思い知るだろう。この世界には何も必要ない。絶望も、希望も』

「……絶望も?」

『その感情は神が産み出したものだ。ならば愚かしいと言う他あるまい。勿論、お前が守る希望もそうだ。私の目に映るこの世界の景色は全て、酷く淀んだものでしかない。価値を見出す価値もない。だから私は――――世界を創り直す』

 

 

世界を…創り直す………!?

 

ワイズマンのその目的に、俺は耳を疑った。

それは妄信でも、虚言でもない。

 

此奴は、本気でそれを言っている…………俺は、そう感じた。

 

「……それがお前の目的か」

『あぁ。私は神が創ったこの世界の一切合切を断ち切る。勿論、お前達と言う存在も消える。神が産み出した生命体なぞ、私の求める世界には必要ない。そして新しい世界を、新しい命で満たす。…それこそが、私の悲願…………兵藤一誠、お前が間違いだと思うのなら、止めてみるが良い。もっとも、無駄な足掻きだが』

「そんな事、俺達がさせると思うか!?」

『お前達がどう思おうと関係ない。全ての歯車は正しい稼働を始めている。残る最後のピースは……お前だ』

 

…………俺?

 

どういう意味だよ、それ。

 

『いずれ分かる。お前は……最後の希望だ。旧世界の因果を断ち切る、最初で最後の――――器』

 

ワイズマンは、そう意味深な事を俺に向けて言うと、今度こそその場から消え去って行った。

 

「ドライグ、あのファントム……何処かで会ったっけ?」

『いや…。だが俺は、どうもあのファントムと何処かで会った気がする』

「お前もか……」

『お前もか…って、相棒もそう感じたのか』

 

あぁ。俺は……あのファントムと出会っているのか?

 

「…イッセー。あのファントムの事、気になる?」

「ん?…あぁ。確かに気になるけど……今は、外の世界の事だ」

 

気にならない訳じゃない、でも今は何も分からない事を考えたって仕方ない。

 

『…それもそうだな。グレートレッド、冥界まで頼む』

 

そうドライグが言うと、グレートレッドは静かに動き始める。

すると、俺の傍によって来たオーフィスが俺に聞いてくる。

 

「イッセー。曹操と戦える?」

「…戦えない訳じゃない」

 

とは言え、今の状態で戦って勝てると聞かれたら、どうとも言えない。

 

「イッセー、提案がある」

「提案?」

「冥界に着くまで、我と組手、する?」

 

…………………は?

 

 

それは、とんでもない提案だった。

 

 

 

 




そんな訳で、元の主人公君でした

イッセー「漸く俺の出番だぜ!!」
ドライグ『でもまた出番ないみたいだぞ』
イッセー「(台本読む)…………チクショウッ!!!!」

また出番がないですけどねぇー

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