ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

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はい、第十一章突入~

ドライグ『いよいよアニメも終わりか』
ドラゴン『俺の出番が欠片もなかったんだが』
イッセー「会社違うしそもそもお前原作には出てきてないだろ」


第十一章:進級試験とウロボロス
MAGIC125『忘れぬ記憶』


 

アザゼルside

 

 

学園祭が終わって直ぐの事だった。

その話を持ち掛けられた時、俺――――アザゼルは生涯でもそうないであろう間の抜けた顔を出してしまった。

 

『普段から出してそうなのだが』

「んだとゴラァ!」

 

俺は通信してきた相手に向かってキレる……が、咳払いをして空気を改める。

 

「…ゲフン!そいつは本気なのか、ヴァーリ」

 

相手はヴァーリだ。

見たところ元気そうで何よりだ……って、一応敵対してるってのにな。

 

『あぁ、彼……いや、今は彼女か。彼女はそれを望んでいてね。俺としても興味があるので便宜を図りたい』

 

此奴は通信越しでとんでもない提案をしてきた。

正直な話、勢力図が塗り替えられてもおかしくない程の報告だ。

 

「…お前の事だ。それだけじゃないんじゃないか?」

『相変わらず鋭い。他の勢力から疎まれるのも頷ける話だ』

「余計な世話だ」

 

俺の返答にヴァーリはただ苦笑いを浮かべるだけ…………そんなの、俺自身が一番よく分かってる。

 

だけどな。

 

「…これは性分なんだ。それで背中を狙われるなら、そん時に何とかするさ」

『損な生き方しか出来ないんだな。変わらないようで、寧ろ安心するかな』

 

ヴァーリは呆れ気味にそう言うと、不意に呟いた。

 

『…彼女を狙う者がいてね』

「そりゃ当然だろう。それこそ星の数ほどいる話だ。だけど、滅する事が叶わないからどいつも歯軋りしてるにとどまってるんだろうな」

『そう言われれば納得は出来るんだが、どうも身内から出そうでね。恐らく、そろそろ仕掛けてくるやもしれん』

 

………そう言われて、不意に俺の脳裏に槍を持った若者の姿が過ぎった。

 

「――――これを機に、いぶり出す気か?」

『俺の敵かどうか、ハッキリさせるだけさ』

 

大胆不敵なこって。

まぁ、「俺の味方」ってオチは望んでないんだろうな。

 

『十中八九敵だろうさ。――――ケリを付けるには、頃合いか』

 

そう言うヴァーリは、心から楽し気な笑みを浮かべていた。

 

『兵藤一誠から借りたクソゲーをどちらが先に攻略出来るか、それで勝負を決めようと思うのだが』

「そっちかい!!」

 

 

思わずツッコんだ俺は悪くないはずだ。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

イッセーside

 

 

俺ことイッセーは、早朝からバイクを吹かしてある場所へと赴いていた。

朝も早いと言う事もあるが、俺がバイクで進む度、人気がどんどんと無くなっていく。

 

「雨じゃなくて良かったよ。雨だったら行く気起きないよな」

『だがそれでも行くんだろう?律儀な奴だよな、お前って』

 

うるせぇ……忘れちゃいけない事だから、俺はこれからも赴く。

ほんっと、器用に生きれないタイプだよな、俺って。

 

 

更にバイクを吹かせること数分後、俺が着いたのは切り立った崖のある岩の平原だ。

 

「……変わらないな。あの時と」

 

俺は誰に言うでもなくそう自然に呟くと、魔方陣から花束を取り出すと、一番大きい岩場にそれを置く。

置いてからその場に屈むと、俺は瞑目して手を合わせる。

 

『…お前が魔法使いになって、もうすぐ一年か』

 

……そうだな。

 

この場所は、俺が魔法使いになった始まりの場所でもある。

…あの日、多数の命を救えなかった、サバトの儀式。

 

 

あの日から、俺の戦いは始まった。

 

 

 

俺は数分ほど黙祷してから、立ち上がる。

 

『…また感傷にでも浸るのか?』

「いや、もう後ろは見ないよ」

 

救えなかったのは変わらない。

今も、そしてこれからも…………でも。

 

「それでも、進み続ける。これ以上、平穏を過ごしてる人達が傷付かない様に」

『…以前まで怯えていただけの男が、よくもほざける』

「あぁ。口を噤んでたって、何も起きやしないさ」

 

そう言うと、ドラゴンはフッと微笑んだ。

 

『……そうか』

『お、相棒に今デレたな?今デレたよな?』

「ええい黙れ!!」

 

二人の喧嘩漫才を聞き流しつつ、俺は帰路に着いた。

 

 

 

 

 

『…………』

 

兵藤一誠が立ち去って暫くすると、そこに一体の異形が現れた。

白い体躯に、胸部に輝く紫色の不気味な発光体。

 

 

――――ワイズマン。

 

 

ワイズマンは、先程イッセーが花を添えた場所へと向かう。

 

『…サバトは終わりではない、次なる始まりを意味する』

 

ワイズマンがそう呟く中、花は見る見るうちに枯れ果てていく。

その場から僅かに漏れ出る紫の燐光を見て、ワイズマンは笑みを浮かべる。

 

『……その時が来たら、お前は希望を保てるのか、楽しみだな』

 

ワイズマンはそう呟いた後、その場から姿を消した。

その場に残されたのは枯れた花束と、灰色の羽根だけであった。

 

 

 

ーーーー

 

 

「ただいまー」

 

俺は家に着くと、朝飯を食べる為にリビングへと上がる。

 

『『ワウッ!!』』

「うおっと…!」

 

リビングについて早々に、ハティとスコルがじゃれ付いてきた。

ホント甘えん坊だよな、此奴ら。

 

「イッセー、お帰り」

「お帰りなさいませ、イッセー様」

 

リアスとグレイフィアが挨拶をくれる。

一応皆には事情は説明してあるから、特に疑問もなく食卓に座る。

 

「いやー、ホントに皆の食事は美味いなぁ。ここに皆が来てから食事の時間が楽しみなんだよ」

「分かるぜおっちゃん!」

 

昔父さんが言ってた、『女はまず男の胃袋を掴む』って言葉の意味が今になって漸く分かった。

 

「はいイッセー。今日のお弁当よ」

「サンキュー、リアス」

 

おっ、今日の弁当はリアスの担当か。

 

『この場合は側室弁当か』

『上手いな』

 

…ちょっと同意しそうになっちまった。

そのせいで味噌汁が気管に詰まりかけた!

 

「…お前らなぁ」

「またドライグ達の漫才?」

「うん」

『『漫才言うな!!』』

 

息ピッタリだな…と思っていると、俺の視界の端に、何時もとは違う弁当箱に料理を詰め込んでいるレイヴェルの姿が映った。

 

「お、レイヴェル。気になる男に弁当プレゼントか?」

「ひゃっ!?ち、違いますわ!これはギャスパーさんへの差し入れですわ!最近はお一人で朝練してるそうなので」

「ギャスパーが朝練か……」

 

それは知らなかったな……と、俺の隣に腰を下ろしたリアスが教えてくれた。

 

「先日の一件で、自分の力不足を実感したって言って、イッセーと祐斗との合同特訓の他にも自主メニューでしているそうなの。勿論ハードワークにならない程度に、体を一から鍛え始めたの」

 

アイツ、そんな事を……。

 

『あの小僧の筋は悪いものではないからな。訓練さえ怠らなければ、禁手にも至れる筈だ。まぁ、それ以外にも強い切っ掛けが必要だが、まぁそれはどうとでもなるだろ』

 

そうだな、やっぱ体の基本作りは大事だぜ。

 

「…小猫さん?顔色が優れないようですが」

 

レイヴェルが小猫ちゃんの顔を覗き込みながらそう言った。

……確かに顔が赤く、体調が悪そうな感じだ。

 

「……何でもない」

 

小猫ちゃんはいつも通り簡素に返した。

だけどレイヴェルはそれでも心配そうに、小猫ちゃんの額に手を当てていた。

 

「でも、お顔が赤いですわよ。風邪ではなくて?そうですわね…フェニックス家に伝わる特製アップルシャーベットを作ってあげますわ。実家から地元産のリンゴが届きましてたの、それを使って特別にこの私が作ってあげますわね」

「…ありがた迷惑」

 

小猫ちゃんはレイヴェルの申し出をその一言で片づけると、レイヴェルはぷんすか怒り出した。

 

「んまー!ヒトの好意を即否定だなんて!!猫は自由気ままでいいですわね!!」

「鳥頭に言われたくない」

「と、鳥頭?えーっと、日本語で鳥頭とは、物忘れの激しい方をさしましたわよね?」

「…よく勉強しているようだから、ほめてあげる」

「んもー!!この猫娘は!!」

 

ハハハ、こっちも仲良しコンビだな。

 

「しかしイッセー」

「ん?」

「この分だと子供の顔も早くに見れそうだな」

「ブッ!!」

 

不意打ち気味に放たれたその一言で、今度こそ味噌汁を吹き出した!

 

「い、いきなり何言いだすんだよ!?」

「いや、だってもう童貞は卒業したんだろ?なら後は子供だけだろうと思ってな」

「まだ作らねぇって!!」

「じゃあ高校卒業してからか。楽しみだな」

 

全く、いきなり過ぎるだろおっちゃん……!

改めて食事に移ろうとした俺は、不意に小猫ちゃんと視線が交わりあう。

 

すると小猫ちゃんは俯いてしまった。

 

 

「…孫、赤ちゃん………」

 

 

そう呟いた彼女の言葉を、この時の俺は然程気に留めてはいなかった。

 

 

 

 




今年までにインフィニティーは出す目戸であります

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