ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝   作:ふくちか

103 / 200
観光シーンは基本木場君視点でお送りいたします


MAGIC90『京の物の怪』

 

 

 

僕達が新幹線に乗せられて京都にやって来てもう数時間が経過した頃……………

 

 

 

「母上は返してもらうぞ!!」

 

 

 

僕達の目の前でそう威嚇するのは、巫女服を着た小さい女の子。

その頭には小猫ちゃんとは異なる耳――――狐のような耳が生えていた。

 

「余所者めが……」

 

 

そして………僕達を囲うのは、京都に住まう妖怪だった。

 

 

 

 

 

詳しい経緯は、僕達が京都に到着して最初に観光として訪れた伏見稲荷へと訪れてからだった。

 

僕はアーシアさん達とはクラスが違うのだけど、他の班のメンバーに伏見稲荷を見学したいと言って、付いてくる事に成功したんだ。

 

 

……とは言え、この地に着いてからと言うものの、僕達は何者かに監視を受けていた。

 

ゼノヴィアも気付いていたらしく、アイコンタクトで伝えてきた。

取り敢えずその時は、敵意というものが感じられなかったから最初は放置していたんだ。

 

 

それに気付いた僕と立神君はその敵意の群れを引き付ける目的で山頂を目指す事にしたんだ。

 

 

「……しっかし、俺達敵意を向けられるような事したかねぇ」

「それは僕も思っていたんだけど………っと、この辺りで良いね」

「そうだな」

 

僕達は、辺りに人気がない事を確認すると、その場で立ち止まった。

 

「そろそろ出てきたらどうだい?」

「かくれんぼは止めようぜ?」

 

僕は手に剣を、立神君は両手に機械的なグローブを纏っていた。

 

 

すると出てきたのは――――冒頭で話した通り、女の子が出てきて、今に至ると言う訳だ。

 

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「俺達はお前の母ちゃんなんて知らねーよ!」

「嘘をつくな!私の眼は誤魔化せんぞ!!」

 

立神君は狐の面をした妖怪の錫杖を弾いて殴り飛ばす!

その間に女の子に向けてそう言い放つけど――――まるで聞いてはくれなかった。

 

「不浄なる魔の存在め!」

「これ以上我らの陣を汚させはせんぞ!」

 

…相手の実力は大したものじゃないけど、不用意に傷をつけるわけにもいかないからね。

取り敢えず、剣の峰で打ち据えるだけに留めている。

 

 

「くっ、中々にしぶとい!」

 

 

完全に膠着状態となった僕達。

すると、立神君の方が突如跳ね上がった。

 

「立神君?」

「何か………来る…………!」

 

そう呟いて暫くすると、後方から足音が聞こえてきた。

 

―――まさか、一般の観光客か?!

 

 

そう思い振り返ると―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………』

 

その場に現れたのは、獣の頭を持った怪物だった。

それだけなら驚きはしないけど、その怪物の両肩には、同じような頭が二つ付いていた。

 

まるで、ケルベロスの様に――――

 

 

 

まさかこの怪物は…………

 

 

「ファントムか!!」

 

 

――――やはりファントム!

でも何でこの場に!?

 

 

『……奴はいないか』

 

………奴?

一体誰のことだ?

 

「貴様、何者だ!?」

 

突然の乱入者に、女の子が鋭く吠える!

 

「まさか、貴様も私の母上を………っ!!」

『……煩い虫けらだ』

 

ファントムはそう呟くと、一瞬にして僕達の視界から消え去った!

 

そして――――

 

 

 

「きゃっ!!!」

 

悲鳴が聞こえてきた方向を向くと、女の子がファントムに殴り飛ばされていた!!

 

「九重様!!」

「よくもっ!!」

 

周りの妖怪達は怒りに震えながらファントムへと突貫する!

だがファントムは冷静にその内の一人――――恐らくは烏天狗の首を掴むと、

 

 

 

 

 

ガブッ!!!

 

 

 

『……っ!!?』

 

 

そのまま、烏天狗を……………喰った(・・・)のだ。

 

 

信じられない出来事に僕達は全員固まってしまう!

だけど、地面に落ちている夥しい羽根と、骨の軋む音が聞こえる咀嚼音、奴が吐き出した血痕を見て、これは現実なのだと自覚させられた。

 

『……不味いな』

「…………貴様!!よくも、よくも私の部下を!!!」

「っ、九重様!!」

 

それを見ていた女の子は、目じりに涙を浮かべながら突貫する!

だが攻撃する前に、ファントムが女の子の首を掴んだ!

 

「ぐ、う………っ!!」

『…そんなに死にたいのか』

「っ、やらせるか!!」

 

ファントムが女の子を食らう前に、僕達は駆け出す!

ファントムは駆け出す僕達を気にも留めず口を開いた――――!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――おいおい、今度のファントムはロリコンか?」

 

 

――――と、静かだけど、不思議と響き渡る声が後方から聞こえてきた。

それと同時に、声のした方角から銀の銃弾が放たれた!

 

『ッ!』

 

その銃弾は的確にファントムの手だけに命中した!

その衝撃に思わず女の子を手放してしまうファントム!

 

《エクステンド・プリーズ》

 

 

女の子が落ちてしまいそうになった瞬間、何かが伸びてきて女の子を引き寄せた!

 

―――って、今の音声は!?

 

全員が振り返ると、そこには――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぃ~。大丈夫か?嬢ちゃん」

 

女の子を横抱きにした、イッセー君がいた。

 

「……へっくしょん!!!」

 

 

…………マスク装備で。

 

 

 

 




土管からゾンビがジャンプするだけでも面白いのにそれが社長だとさらに面白さが引き出されるからズルいと思う

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。