ハイスクールD×D wizard 希望の赤龍帝 作:ふくちか
さて、今日は待ちに待った修学旅行!
天気も快晴で、絶好の修学旅行日和………………なんだけどなぁ。
「ゲホッ、ゲホッ!」
――――何故だか俺はベッドにいた。
理由は言わなくても分かるだろ?
……風邪を拗らせて、熱が出ちまったんだよ!
「イッセー、大丈夫?」
リアスは心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「へ、平気っすよ……それよりリアス、アーシア達に渡さなきゃならない物があるんでしょ?早く行かない………ゴホッ!!」
あー、ちくしょう……!
駄目だ、全然調子わりぃ………。
「リアスお嬢様。イッセー様は私が看病しておくので、ご安心ください」
と、ここでグレイフィアが水桶を持ってやって来た。
リアスはそれを聞いて、名残惜しげではあるものの漸く立ち上がった。
「…分かったわ。グレイフィア、イッセーをお願いね」
「はい」
「あ、リアス!ゴホッ……」
転移しようとしたリアスを慌てて引き留める。
「どうしたの?」
「…アーシア達に、俺の事は気にしなくても大丈夫だから、楽しんで来いって……伝えておいてくれますか?」
「――――分かったわ」
リアスは微笑んで頷くと、今度こそ駅まで転移していった。
「……ではイッセー様。私はお粥を作って参りますので、暫くは眠っていてくださいね」
「…うん」
頭を優しく撫でられ、顔が熱とは違った意味で赤くなる。
そんな俺を微笑ましそうに見届けたグレイフィアは、静かにリビングへと降りて行った。
――――修学旅行、何も起こらないといいんだけどな。
ーーーー
木場side
「はい、これが人数分の認証よ」
部長が旅に出る僕達にカードらしきものを渡してくれた。
カードの表にはグレモリーの紋様が描かれている。
「これが噂の?」
僕が訊くと部長は頷く。
「ええ。これが悪魔が京都旅行を楽しむときに必要な、いわゆる『フリーパス券』よ」
京都には名所となる寺が多い。
そして寺は神聖な場所、そんな所に何の用意もなく入っていったら、悪魔の僕達はダメージを受けてしまう。
そこで、このフリーパス券が役立つんだ。
これは京都を裏で牛耳っている陰陽師や妖怪の方々が悪魔でも楽しんでもらえるようにと、特殊な術式を施してくれている。
これがあれば、聖なるダメージから僕達を守ってくれるんだ。
とはいえ、それ相応に信用の置ける悪魔でなければ配布はされない。
『………』
――――っと、なんでアーシアさん達がこんなに暗いのか、皆は分かるよね。
実は、イッセー君が来られないんだ。
「…部長、イッセー君の容態は?」
「……大丈夫よ、ただの風邪だそうだから。――――アーシア、ゼノヴィア」
……アーシアさんは特にイッセー君との旅行を楽しみにしていたからね。
その顔はまだ暗い。
「イッセーからの伝言よ」
イッセー君からの伝言と聞いて、教会トリオは顔を上げた。
「俺の事は気にしなくて大丈夫だから、思い切り楽しんで来い――――だそうよ」
部長は微笑みながら、そう言った。
そう言えば、学校に行った事のないアーシアさんとゼノヴィアからすれば、まさしく初めての修学旅行なんだ。
それなら確かに、目一杯楽しんでもらいたいという気持ちもあるね。
「……イッセーさん。分かりました!」
「あぁ。こうなれば来れないイッセーの分まで楽しもうじゃないか!」
「そうよそうよ!それに、イッセー君に一杯お土産を買ってあげたら、きっと具合だって良くなるわ!」
――――その理屈はよく分からないよ、イリナさん。
僕は心の中でそう思いながらも、漸く元気になった三人を見て、安堵の息を漏らした。
「へぇ、イッセーの奴休みなのか」
新幹線の中で、僕は立神君と話をしていた。
イッセー君が休みだと言うと、彼はさして驚いた様子を見せてはいなかった。
「驚かないんだね?」
「アイツ中学の時も来なかったからな」
「……え?」
「あぁ、別にサボりって訳じゃないぜ?確か……インフルエンザに罹ったんだっけかな」
………ある意味一番呪われているのは、イッセー君なのかもしれないね。
「ぶえっくしょん!!!!」
最近コナンの旧映画にハマってます
時計仕掛けの摩天楼が一番好きです