とある幻想郷の幻想殺し   作:愛鈴@けねもこ推し

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今回は初めての携帯からの投稿となります、今まではパソコンで書いてたんですよ。ほら、パソコンで小説を書くって如何にも本物の小説家みたいで前から憧れていたんです。だからちょっと残念です…
さて、今回のサブタイトルですが皆さんは分かりましたか?分からない方はyoutubeでonly my railgunを検索して最後の方の歌詞を聴いてみてください。きっと惚れちゃいますよ


重く深く切ない記憶

 

 

上条当麻SIDE

 

 

 

 

 

俺の目の前に広がった光景は…まさに最悪としか言い様が無かった。妹紅は俺を垣根の翼から庇う為に心臓を貫かれ、その胸からは大量の血が吹き出している。そんな妹紅の様子を垣根は笑いながら見つめ、鈴仙は唖然となっている

 

「垣根…!お前は今自分がどんな事をしたか分かってるのか…!!」

 

「………………」

 

だが垣根は無反応で目は虚ろなままだ

 

「お前…!!」

 

俺が怒りに任せて殴りかかろうとしたその時

 

「止めなさいよ、男が感情的になって殴りかかるなんてカッコ悪いわよ。まぁ笑いながら人の胸を貫く男って言うのもあれだけど…だから私が能力を使うまで待てって言ったのに妹紅ったら…。いくら死なないって言っても痛いでしょ?」

 

いつの間にかかぐや姫こと、蓬莱山輝夜が俺と垣根の中間地点に立っていた

 

「あんた何言ってんだよ…!何で人が1人死にそうだって言う時に平気そうに話せるんだよ!?」

 

俺はすぐに妹紅の胸を抑え止血を行いつつ蓬莱山輝夜を睨んだ

 

「ちょ、ちょっと!あんた私の話聞いてなかったの!?もしかして妹紅の事を何も知らないの?」

 

「妹紅の事って一体どういう……っ!危ない!!避けろ!!」

 

垣根はそんな事お構いなしといった感じで左右から挟み打ちにしようと翼を広げた

 

「あぁもう!後ろの男からは怒鳴られるし前の俺には天使みたいな翼で襲われるってどうなってるのよ!?別に大した事は無いから気にしないけど!」

 

「姫様、危険ですから下がっていて下さい!」

 

準備運動と言わんばかりに首を回していた輝夜を鈴仙がすぐに抱え上げて飛び上がった

 

「私が下がる前に抱え上げられたらどうしようも出来ないじゃない、それは反則よ!鈴仙!」

 

「今はそんな事を気にしている暇は無いんです!とにかく妹紅がリザレクションを終えるまで時間稼ぎを!」

 

(リザレクション…?死なない…?まさか本当に死なないのか!?でも似たような話を聞いたような…)

 

「当麻も呑気に考え事なんてしてないで!危ないから!!」

 

鈴仙の声で気がつくと目の前に翼が迫っていた、だがここを離れると妹紅が…!

 

「くっ…!鈴仙は妹紅を安全な所に避難させてくれ!!」

俺は右手で迫りくる翼を打ち消しつつ叫んだ

 

「で、でも姫様と当麻を置いてはいけない!!」

 

「大丈夫よ、鈴仙。これは私の遊び相手が暴れているだけだから私が鎮圧しないと。それに私が死なないのは知っているでしょ?ね?」

 

「……っ!!すぐ戻ります!」

 

鈴仙は妹紅を抱えると屋根まで一気に飛び上がった。だが垣根の翼が鈴仙の背中を狙う

 

「「させるか!(させない!)」」

 

翼が鈴仙を貫くよりも早く俺は1つ目の翼を殴って打ち消しつ、もう1つの翼は輝夜がいつの間にか握っていた真珠が実っている枝から放たれた光弾によって破壊された

打ち消したのはいいものの垣根の翼は10秒程で再生してしまった

 

「いや〜、あれ厄介ね。初めて会った時から垣根が能力者だってことは分かってたけど…正直ここまで面白い能力だとは思わなかったわ。あの翼って触ったらモフモフしているのかしら?」

 

「本当に余裕だな、アンタは…。翼の質感はともかく問題はこれからどうするかだろ?」

 

垣根の翼の再生が行われている間に輝夜が隣に降り立っていた

 

「あら、戦いの最中に相手を観察する余裕があるのは良いことじゃない?」

 

「あぁそうかよ…せいぜいその余裕が裏目に出ないようにな。それで…アンタは何か考えとか無いのか?」

 

「仮に裏目に出たとしても私は死なないから問題無いわ、ちなみに垣根の目を覚まさせる考えがあるにはあるけど…どうしてもウニ頭が決め手になるのよね」

 

(ウニ頭って俺の事なのか!?でも今は…俺にアイデアが無い以上この人の意見を聞くべきだよな…)

 

「俺はウニ頭じゃなくて上条当麻だ!それで、俺はどうすれば良い!?」

 

「じゃあウニ条!昔、テレビが壊れたらどうやって直したか分かる?」

 

俺はまた襲いかかってきた翼を左に飛び出して回避して、輝夜は光弾を放ち垣根を牽制しつつ浮かび上がった

 

「もう好きに呼んでくれ……しかもそれって要は俺に垣根をぶん殴れって事だよな!!」

 

多分輝夜が言う昔のテレビというのは昭和のテレビのことで、何でも昔はテレビが壊れると叩いて直したらしい。この状況で叩くというのは殴るということだろう

 

「一応根拠が無いわけでは無いわ!垣根は今何かの幻覚を見ている、幻覚から目を覚ますには色々と方法があるけどウニ条の右手には異能の力……即ち幻想を殺す力があるんでしょ?それなら垣根が今見ている幻覚……ううん、幻想を殺してやりなさい!!例えそれで垣根の身体に何が起こってもここは永遠亭!私の従者が必ず助けてあげるわ!」

 

(最初に会った時の一件で見抜かれたのかよ!?でも…そうだよな…。垣根が何で苦しんでいるかは分からないし、俺は鈴仙みたいに垣根を治療することも出来ない…じゃあ俺に出来る事は…!)

 

「そうだよな……友達が幻想に苦しんでるって言うんなら!その幻想をぶち殺すしかねぇよな!!

 

垣根!!お前には悪いが俺は読心系能力者じゃないからお前の苦しみを分かってやれない!でもお前が見ている幻想を!お前を苦しめる幻想を殺してやる事くらいは出来るんだよ!だから早くこちに戻ってこい!!」

 

俺は迷いなく垣根に真正面から突っ込んだ、当然2つの翼が襲ってくるけど避ける必要は無い。何故なら

 

「垣根、アンタは私の遊び相手になってくれる大切な友達なのよ…。だからこんな所で幻想相手に暴れる位なら私と一緒に遊びなさい!!」

 

俺の背後には頼れるかぐや姫がいたからだ、もっとも地面位なら平気で破壊する弾幕を放つって条件付きだけどな。そしてその地面をも破壊する弾幕が大量に放たれ、6つの垣根の翼を一瞬で全て破壊した

 

「お前がいるべき場所は幻覚の中じゃない、鈴仙や永琳さんにかぐや姫、そして俺や妹紅がいる現実だ!!それでもお前がまだ幻想に籠り続けるって言うんなら…まずはその間違った幻想をぶち殺す!!」

 

翼を全て破壊され、さすがの垣根も驚いたのか一瞬だけ動きが硬直した。俺はその隙を見逃さず

 

「ゴキンッ!!」

 

垣根の顔面に俺やかぐや姫、この場にいない妹紅と鈴仙の分の思いを込めた一撃を叩き込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

垣根帝督SIDE

 

 

 

 

(……ここは…どこだ…?)

俺は気がつくと辺り一面が真っ暗で何も無い場所に立っていた、だが何故か不安や恐怖を感じることは無く感じたのは既視感だった

 

「要は俺がこんな場所に慣れてるって事か?……ったく…こりゃ記憶が回復しない方が良いかもしれねぇな」

 

ただ分からねぇ事がいくつかある、俺は確か当麻とうどんげと一緒に他愛ない雑談をしてたはずだ。少なくともあの時はまだ昼にもなっていなかったし停電したとしてもここまで暗くなる訳が無いよな…。もう一度思い出してみるか…

 

「俺は…そうだ、当麻に学園都市とか言う街の事について聞いてたんだ!それで学園都市に7人しか存在しないって言うLEVEL5の話になって…その第1位である一方通行の能力名を聞いた途端……っ…」

 

そこまで思い出した途端に急に辺りが明るくなった。だが目の前にいたのは当麻でもうどんげでもなく…………黒翼を背中から生やした白髪の少年だった

 

「お、おい……お前は誰なんだ?つかその黒い翼は何だよ!?後、何でそんなに殺気立ってんだ!?」

 

少年…いや、ソイツが俺に向けてきた殺気は尋常な物じゃなかった。それこそ親や家族、恋人を殺した仇に向けるくらいの殺気だぞこれは。だけど俺にはそんな事をした記憶は無い、いや………まさか…幻想郷に来る前の俺がコイツの恨みをかったって事かよ!?

そうだとすればこれは至極正当な復讐であってかなり不条理な復讐となる。手を出す相手の力量くらいちゃんと考えろよ俺!!

 

「え、えっとだな……悪いが今の俺には過去の記憶がほとんど無い、だからお前が今俺に敵意を向ける理由も分からねぇんだ。かなり無理な願いなのは分かってるがまずは話し合いでかいけ……」

 

だが次の瞬間…俺の身体は襲いかかってきたソイツの黒翼に吹っ飛ばされていた

 

「ガァァァァァァァァァァ!!!!」

 

全身からメキメキと嫌な音が響き、肋骨が数本折れた事を伝える激痛が脳にガンガンと伝わってきた

 

「立てよ、まさかこれくらいで死ねるなんて思っちゃいねェよなァ!オメェにはもっともっと苦しんで貰わねェと割にあわないんだっつの!!」

 

「クソ…!俺が何をしたんだよ…!!訳が分からねぇぞクソが…!!」

 

「あァ?今更とぼけんなよ、お前がやった事は暗部に生きる人間にとって一番のタブーだろォが!お前の勝手な理屈に打ち止め(ラストオーダー)や表の世界で生きるやつらを巻き込むんじゃねェよ!!」

 

アイツの話を全て鵜呑みにすんなら俺はかなりのゲスだったらしい。多分俺は汚い裏の世界で生きていて何かの為にアイツの大切な表の世界に生きる人間を巻き込んだようだな。それが本当だとすれば俺は間違いなく死ぬべき人間だ。正直死んだ位で償える罪しか犯しているとは到底思えねぇが……。そんな事を考えているとアイツがどうやったかは分からないが一気に加速して俺へ襲いかかってきた、あんな勢いであの黒翼に吹っ飛ばされたら今度こそは死ぬだろうな

 

(じゃあ幻想郷ってのは神様とやらが死刑を執行される前の俺に与えた天国ってやつか?だとすればあんな心地の良い天国なんて見せんなよ………死にたくないと思っちまう……。それともそんな心地の良い天国を見せる事で俺に後悔させようとしたのか?………死んだ後に殴りに行ってやるから覚悟しやがれ…)

 

俺は世間一般で言う走馬灯を見ていた

思えば今まで本当に楽しい日々だった。永琳に新薬の実験台にされかけて本気で逃亡したこと、てゐの奴がうどんげにイタズラして逃げてきた時は逆に捕まえて放り出してやったっけか、輝夜に「暇潰しの相手になりなさいよ」って言われた時はかなり驚いたよな。それで結局2人でシューティングゲームをする事になったが…思えばゲームがあったからうどんげや永琳が言う幻想郷の話が信用出来なかった。普通ゲームが楽しめる場所に神や妖怪がいる訳ないだろ!?それに……何より楽しかったのは…うどんげと話せた時間だな…。その記憶のどれも全てが明るく輝いていて俺にこれから執行される死刑を…いや、アイツの恨みをかった事を後悔させた

 

「……悪いな…永琳、うどんげ…。お前達に救って貰った命、早速無駄にする事になるが…許せよな…」

 

「あァ!?訳の分からねェ寝言をほざいてんじゃねェぞこの格下がァ!!」

 

既にアイツは2つの黒翼で俺を押し潰せる距離にまで近付いていた

 

「殺せよ、化け物……それで気が済むんならな………」

 

その時……本当に一瞬だった。あまりにも一瞬過ぎて本当に見えたのかも分からなかったがそれでもやはり見えた、確信出来る。それは元から紅かった瞳を更に紅くして泣きじゃくっているうどんげの顔だった

 

「っ!!止めろ!そんな顔をお前がするんじゃねぇぇ!!!!」

 

俺は構わない、例え殺されようが死ぬより辛い拷問を受けようが恐らくそうされても文句が言えない程の罪を犯してきたんだろう。だが………うどんげは違う、何も罪を犯していない光の世界の人間だ。俺のせいでアイツが傷つく事だけは許さない、いくら俺が人殺しだろうがクズだろうがうどんげが傷つき悲しんで良い理由には何もならねぇじゃねぇか!

 

「殺す……!!お前がどうしても俺を殺すって言うんならその前に俺がお前を殺してやる!!」

 

もしうどんげが……あり得る訳が無いが……俺の死を悲しんで泣いてくれるって言うんなら…。俺は死ぬ訳にはいかない、別に俺が犯したであろう罪が帳消しになるなんて思ってはいない。だがその罪を償う為に、うどんげが悲しむっていうんなら俺はどれだけ非難され蔑まれようとも生き延びてやる

そして俺は……6枚の天使のような翼を出現させ、アイツの黒翼の攻撃を防ぎきっていた

 

「防がれた……だと!?」

 

「はっ………神様とやらは俺を殺したいのか生かしたいのかイマイチはっきりしねぇな…。ただ…このメルヘンチックな翼を与えたって事は…闘えって意味だよな!!」

 

「吠えてンじゃねぇぞ、この格下がァァァァ!!」

 

アイツは一度距離を取り、俺は自身に宿ったこのメルヘンチックな翼の使い方を考えていた

 

(何とか反射的にアイツの攻撃をガード出来たが…この翼をどう使う?いや…深く考えても無駄だ。今はアイツを殺す事が出来ればそれで良い、俺はもう光の世界に戻れなくてもうどんげが笑って幸せに暮らせるんならそれで良いだろ!)

 

「さて、と……お前には悪いが俺はまだ死ぬ事は出来ねぇ。だから我ながら身勝手だとは思うが…お前には死んで貰う!」

 

「お前に生死を選ぶ権利なんてねェんだよ、分かってねェよォだから俺がその身体に「死」ってもンを刻み込ンでやンよ!!」

 

本当勝手な理屈だよな…それにうどんげが俺の死を悲しんで泣いた、なんて確証も無い。それでも……それでも俺はまだ会って謝らなければならない恩人がいる、怒らなければならないイタズラ兎がいる、一度勝った位で良い気になっている下克上を果たすべきお姫様がいる、何より………こんなクズみたいな俺に笑顔で優しく接してくれたアイツに礼を言わなきゃならない。

 

「あるじゃねぇか…こんなにもたくさん生きたいと思える理由が!悪いが俺は死んで罪を償うよりも生きて苦しんで悩んで罪を償わせて貰う!!分かったらとっとと元の居場所に引き返しやがれ!!」

 

先に仕掛けたのは俺からだった、未だに自由に使う事もままならない翼を何とか動かしアイツに正面から殴りかかる。上手く翼を扱えない以上下手に絡め手を使うのは危険だ

 

「死ねやこのクソメルヘン野郎がァァァァァ!!!!」

 

「失せろこのクソモヤシ野郎がァァァァァ!!!!」

 

アイツは余裕があるのか俺の攻撃を避けようとはせず2つの翼を使い真正面から黒翼を叩きつけてきた。そして俺はそれを真下から突き上げた。ぶつかりあった翼は辺りに爆風を巻き起こし俺は足に力を込める。やはり扱えるようになって間もない翼をいきなり実戦に使うのは間違いだったか?それでも……俺は足掻いてやる!どれだけ無様でも…!

俺はアイツの黒翼2つに対しそれぞれ3つの翼で突き上げそして…黒翼を破壊した

 

「何!?破壊されるなんてありえねェ…!!」

 

「普通なら…破壊出来なかっただろうな。だが…俺に常識は通用しねぇ!何より今の俺にはお前とは違う信念があるんだよ!だからここは俺に譲りやがれクソモヤシ野郎!!」

 

頭に何故か浮かび上がったあだ名を叫び俺は襲いかかってきた白髪の少年の顔面を殴り飛ばした。

そしてアイツが吹っ飛ぶと同時に辺りが目を開けていられない位に明るくなり始め俺の意識は失われていった

 




よしっ!今回が歴代の話数の中で最大文字数ですよ!!個人的には内容も最高の話に仕上げた!つもりです。
何にせよ今回の話はどのキャラにも活躍して欲しくてたくさんの場面を盛り込む予定でした。そしてそれを下書きしてみると…何と不思議な事にていとくんの話が一番目立ってしまうではありませんか!これでは誰が主人公か分からなくなってしまうと言うことでていとくんの活躍シーンを予定の半分程に減らし、上条さんには2回も「その幻想をぶち殺す!!」を言ってもらいました。その為今回はやや自己満の話になっているかもしれません。ちなみに今回の「垣根暴走事件」のバトル展開は終わりましたがまだ完全には完結していませんしこの小説自体のストーリーはまだまだ完結しませんよ!せっかくですのでこれからもお付き合い、よろしくお願いいたします

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