とある幻想郷の幻想殺し   作:愛鈴@けねもこ推し

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何とか今日も更新できました、ちなみに毎日しんどそうな文面なのはいつも深夜に執筆しているからであって更新を中途半端に止めたりする訳では無いので気になさらないでくださいね。それでは第5話スタートです。



巻き込まれた2人目の少年

藤原妹紅SIDE

 

 

 

 

私は当麻と合流するため永遠亭に入った、だがその時……

 

「きゃっ……!」

 

「うおっ!?いきなり危ないじゃないか!………って輝夜か。どうしたんだ、蓬莱ニートで引きこもりのお前が外に出るなんて珍しいじゃないか」

 

これはまさか異変が起こる前触れか?いや既に異変よりタチが悪い事件が起ころうとしているのだから前触れとは言えないな

 

「うるさいわね!私を馬鹿にしに来たのなら相手になるわよ!!」

 

といきなり身構えて睨んでくる輝夜

 

「そうカリカリするな、今日の分の弾幕ごっこはお前の勝利で一応の決着はついたじゃないか。私には争う気は毛頭ないよ」

 

そう言って私は肩を竦める

 

「……随分と余裕ね、それに面構えも変わったようだけど…」

 

「そうか?私はいつもこんな表情だからよく分からないが…そう言えば上条当麻という髪の毛がツンツンした少年がここに来なかったか?……実は彼は外来人で…」

 

簡単に私は当麻の事を輝夜に説明した、無論幻想殺しとこれから彼が巻き込まれるであろう争いに関しては何も話さずに、だが

 

(輝夜のことだからな……戦争なんて単語を聞いたら大興奮で「うどんげ!今すぐ兎達を集めて私達がこの幻想郷を守るのよ!!」なんて言い出しかねない。万が一にでもそんな事になりでもすれば鈴仙は昏睡状態に陥って、永琳は頭の処理能力が追いつかなくなって寝込んでしまうだろう)

 

 

「あぁ……アイツを助けた人間って妹紅のことだったのね」

 

輝夜のどこか苛立った表情に私は疑問を感じた

 

(さては当麻……また何かやらかしたな…。いくら引きこもりの輝夜でも初対面の外来人をアイツ呼ばわりはしないだろうからな)

 

「何かあったのか?私でよければ話くらいは聞くぞ?」

 

「……っ!!?きゅ、急にどうしたの?熱でもあるの!?それともお腹を壊したの!?妹紅が私を素直に心配するなんてこれは異変だわ…!えーりんえーりん!!大変よ、妹紅が…妹紅が…!」

 

「そうかそうか…人がたまには優しくしてやろうかと思えばお前と言うやつは…!」

 

一体お前の中での私の人物像はどうなっているんだ?とツッコミたい気持ちを何とか私は抑えた。ここで輝夜と喧嘩をしては貴重な時間と体力を無駄に消費してしまう

 

「…まぁ良い、それで?結局どうするんだ?何か言いたい事があるなら聞くぞ」

 

「…もう良いわ、何だか妹紅と話しているとどうでも良くなってきたもの。まぁあのウニ頭は許さないけど…」

 

「あのなぁ輝夜…当麻にはちゃんとした名前があってだな…」

 

「私がウニ頭と呼ぶと決めたらウニ頭なのよ、呼び方を変える気はないわ」

 

どうしてこうもお姫様というのはワガママで頑固なんだろうか、少しは慧音を見習え。と思ったがよくよく考えれば慧音も私に授業を受けさせる時はワガママで頑固だからな…どっちもどっちだな

 

自身も一応貴族の家柄に近しい生まれだと言う事を忘れて妹紅はそんなことを思っていた

 

 

「まぁその辺りは私も後で話を聞くさ。だから永遠亭に戻るぞ」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

こうして私は月のお姫様を永遠亭へと帰還させる事に成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上条当麻SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし迷惑をかけてすみません、上条さんとしては本当に悪気はなかったんですよ……」

 

俺は気付かない内にあの輝夜という少女に光弾を浴びせられた事に恐怖を感じていたのか未だに警護口調になっていた

 

「あ、あはははっ………今度からはちゃんとノックをしてくださいね?多分次は師匠の実験台にされかねませんよ…」

 

そう言った彼女の顔は引き攣っていて冗談ではないことを俺に感じさせるには十分だった。

 

(え、今この子実験台って言った!?まさかの人体実験!?………ここも学園都市と似たような闇を抱えているのか…?)

 

 

学園都市のLEVEL5第1位、一方通行(アクセラレータ)をLEVEL6へと進化させる為の絶対能力者進化計画(レベル6シフト計画)…その内容は一方通行に2万回のクローンとの戦闘を行わせ2万回クローンを殺害するというまさに人体実験だった。いや、あれは人体実験と言うよりは単なる虐殺だったと言うべきだ。あんな悪夢は繰り返されてはならない、そもそも存在すらも許されてはいけない。当麻は過去にその実験を中止にまで追い込んだ事があった。だからこそ当麻は今ここでこの話を見逃す訳にはいかなかった

 

「なぁ……良かったら俺にあんたの…いやうどんげさん(が受けた人体実験)の話を聞かせてくれないか?」

 

俺は少女の肩へ手を置き顔を近付けた

 

「へぇっ!?ちょ!そ、そういうことは困ります!ダメなんですってば…!」

 

「確かに簡単に話せる内容じゃないのかもしれない!でもだからって(人体実験から解放される事を)諦める理由にはならないだろ!?あんたはずっと待ってたんじゃないのか!そんな日常から抜け出せる希望(チャンス)を!(助けるために)手を差し出してくれるやつを!それをあんたから逃げてどうするんだよ!!もしそんなあんたの小さな希望さえも隠してしまう幻想があるっていうのなら…!まずは俺がそのふざけた幻想をぶち殺すっ!!」

 

上条当麻…身分、学生、特技、不幸及び……

 

 

フラグ建築であった

 

 

(ちょ、ちょっと急にこの人何て事言いだすのよ!?それじゃあまるで私がこの人に恋心を抱いているのを我慢しているみたいじゃない…!)

幸か不幸かその時の上条少年の顔は永琳や輝夜に土下座していた時の情けない表情ではなく「漢、上条当麻」の……所謂ありとあらゆる女の子を惚れさせてきた時の表情だった

 

 

「と、とにかく私は一切そういう事に興味はありませんから!今はここで仕事をこなすだけで精一杯なんですっ!!」

 

「そんな事じゃないだろ!?あんたにとってもかなり重要な話じゃないのかよ!?」

 

「だ、だから……!私は…!」

 

尚も当麻が鈴仙を説得しようとしたその時………

 

 

「その辺にしとけよ、女が嫌がってもなお口説き続ける男はまさに三下ってもんだぜ」

 

頭に包帯を巻き、ホストのような服装をした少年が診察室の入口に立っていた。

 

「そうだぞ、当麻。それにお前は色々と勘違いをしている…まぁ人体実験が行われたことに変わりは無いが……」

 

「妹紅…とそれと知らない人まで…それは一体どういう意味だ…?」

 

「あなたは何でもう立ち歩いてるんですか!?師匠からしばらくは絶対安静って言われてたじゃないですか!」

 

鈴仙はその少年を見た瞬間に駆け寄った

 

「悪い悪い、でも心配するなよ。もう大丈夫だぜ?………っ…」

 

だが少年は脇腹を抑え床に座り込んでしまった

 

「ほらやっぱり!今すぐ戻って下さい!!」

 

「た、頼むから引っ張るならもう少し優しく引っ張ってくれ…!傷口に響く…響きますから!」

 

「師匠の言いつけを破ったあなたが悪い!!」

 

そうして2人は部屋から出て行ってしまった

 

 

 

「えっと……俺は……?」

 

「…気にするな、少年…。人生は10の敗北を積み重ねて1の勝利を得るようになっているんだ…」

と、妹紅は俺の肩をポンポンと叩き慰めた

 

「な、何か妹紅が言うと現実味があって心に響くな……」

 

「きっと気のせいじゃないか?それよりあの2人を追いかけるぞ。見たところ彼は外来人だから仲良くなっておいても良いんじゃないか?」

 

「それもそうだな…ついでに妹紅に話しておきたいことがあるんだ」

 

「奇遇だな、私もだ」

 

ともかく俺たちは2人の後を追う事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバSIDE

 

 

 

 

 

 

まったく!何で姫様にしてもこの人にしても落ち着きがないんだろう!!特にこの人は少し前に……その…目を背けたくなるようなほどボロボロな状態で永遠亭の庭で転がっていてそこを師匠が何とか助けたのだけどまだ治ったとは言えない容態なんだから…

 

 

「そう怒るなよ、うどんげ。これでも身体は丈夫な方らしいからな。ちょっとやそっとでは死にはしねぇ」

 

「満身創痍の細身な患者さんにそう言って貰えると安心できます」

 

私は特に気にすることもなく彼をベッドに寝かせた

 

「それで………何か思いだした事はありますか……?」

 

「悪いな……まだ新しい事は何も思いだしていない…。ハッ…情けねぇな……」

 

「あなたが気に病むことはありませんよ、むしろあれだけの傷を負いながら記憶の一部を失っただけで済んだ事事態奇跡のようなものなんですから!それもこれも師匠の腕とあなたの悪運の強さのおかげです!」

 

私は偽りではなく本心でそう告げた、だってあんな半ば挽き肉のような状態からここまで生還できたのは間違いなく師匠の腕前があってこそなのだから。

 

「それにしても名前とどこかの土地の名前だけでも覚えていて良かった……。後者はともかく名前が無いと会話もままならないもの…」

 

「それもそうだな、我ながらよく出来た頭だと思うぜ。でも「垣根帝督」って名前はちょっとカッコ悪いよな…おまけに「学園都市」って何だ?学校が集まった都市なのか?」

 

「私にそんなこと聞かれても……外の世界の事なんて分からないわよ…」

 

「だよなぁ……」

 

「そうよねぇ…」

 

彼……垣根帝督は自分の名前と「学園都市」という単語だけはちゃんと覚えていたらしい、師匠曰く彼の脳は記憶を司る部分がダメージを受けているけど知識を司る部分は何とか無傷だったそうだ。つまり彼に幻想郷に来る前に何があったのかは分からないが勉強や物事を考える分には問題無い、とのこと

何故私がこんなにも「らしい」や「とのこと」など紛らわしい言い回しをするのかと言うと…実は彼を助けるために行われた手術は過去に例を見ないほど大規模な手術で当然私も師匠のサポートをつとめた。そしてその手術は半日にも渡って行われ私は手術室から出た途端気絶して倒れた…ということをてゐから聞いた…。つまり肝心の術後の容体や詳しい事はほとんど師匠やてゐから聞いた情報だったのだ

 

「でもまぁめんどくさい事は考えたくねぇんだよな、ここで寝てるだけなら楽だしうどんげが面倒見てくれるんだろ?」

 

「はぁ……その人に養って貰う事を前提にした考え方は止めなさいよ…?そんな人はここに既に1人いるからもういらない…」

 

ここ、永遠亭には千年以上自分では働かず人に養って貰い生活してきたお姫様がいる。もうこれ以上は……

 

「チッ……そう言えばうどんげ、お前いつの間にか敬語使ってないけど良いのか?俺は気にしないがな」

 

「……あっ…ごめん、じゃなくてすみません…。ちょっと疲れてたせいだと思うんですけど…」

 

よくよく考えれば彼は患者で私はサポートを務める係りなんだ…。気軽に雑談って訳にはいかないわ、こんな所を師匠に聞かれたらどうなるんだろう…。考えただけで背筋が凍ったわ…

 

「だから良いって言っただろ、気にしなくて良い。むしろ俺が気兼ねなく話せる相手がいなくなると困る」

 

「結局私と話して暇を持て余したいだけじゃない、そんなことなら早く寝てなさい」

 

私は彼に掛け布団を被せた

 

「おいおい!息が出来ないだろ!?死んじまうだろ!?」

 

「そんな大声で叫べる人はまだまだ死ねないわよ、良かったわね」

 

そんな他愛もない雑談を交わしている時だった

 

 

 

 

 

 

 

「え、えっと~………お取り込み中の所悪いんだけど…今、話せるか…?」

 

言葉にすると空気を壊して悪い!と言いたげな顔をした少年…上条当麻が病室の入り口に立っていた。

 

「と、当麻…せめてもう少し待った方が良かったんじゃないか?昔から人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られて死ぬと言うじゃないか」

 

その隣には姫様のお友達にして殺し合いを楽しむ仲の藤原妹紅がいた

 

不味い、このままでは何かあらぬ誤解を招くと私の第六感が訴えかけてきた

 

「え、えっと……どの辺りからいたの……?」

 

 

 

「「大丈夫だ、お前(うどんげさん)の口調が敬語から話し口調に変わった辺りからしか聞いてないぞ(聞いてないから)!!」」

 

と、言う事は……

 

「ほぼ最初からじゃないの!!何で立ち聞きなんてしてるわけ!?」

 

「上条さんは別にそんなつもりじゃなかったんだぜ!?でも妹紅がもう少し待とうって言うから!」

 

「なっ…!ずるいぞ当麻!当麻だってここに着いた時は気配を殺していたじゃないか!」

 

「結局は2人とも悪いんでしょ!?それくらいはやっちゃダメって分かるでしょ!?」

 

「だから上条さんは…あーだこうだ……」

 

「いや、私はだな……かくかくしかじか…」

 

「言い訳は無用!!診療所で大声を出さないでくださいっ!!!」

 

「「お前が言うなっ!!」」

 

 

 

(賑やかだなぁおい……少しは俺にも気遣ってくれよ……)

そう思いつつ垣根は布団に潜り込み寝息を立て始めた

 

 

 

この後に鈴仙、当麻、妹紅の3人が永琳からキツーーーーイお説教を受けたのは言うまでもないことだった

 

 

 

 

 

 




何と何との禁書キャラ2人目の登場人物が登場しましたよ!おまけに部分的な記憶喪失というハンデ付き!これでストーリーが早く進められるようになったらなぁ……(汗
ちなみにこの話のメルヘン野郎ですがあえてキャラ崩壊をさせています、理由としては色々ありますが大きな理由となったのは自分の中で「メルヘンがこんな性格だったら愉快なのになぁ…」と思ったからです。他にもストーリー上その方が都合が良かったりするという理由もあるのですがそれはまたいつかお話します
それではあんな愉快なメルヘン野郎でも俺/私は気にしないという心優しい方は是非次回もよろしくお願い致します

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