ちなみにこの上条さんは原作ラノベ旧約の15巻辺りの時系列となっています。原作を読破していらっしゃる方ならばお分かりかもしれませんが実質は14巻の時系列と言うべきかもしれません。
それでは第3話スタートです。
上条当麻SIDE
しかし改めて建物内に入ってみると綺麗な建物だ、と俺は思った。
「てっきり上条さんはこんな古い和風の家は埃だらけかと思いましたよ、あっはっは」
そう俺は何気なく呟いてみる。何せ学園都市にはこんな建物…というか和風の建物がまったく無かった上にそんな所に入る経験もあまり無かったからな…。こんな所なら座敷童子もいるんじゃないか?詳しくは知らないが出会えると幸運になれるらしい
「まぁ俺の幻想殺しがある限りその御利益は意味ないんだろうな…」
「あんたも苦労してるんだね、顔から不幸と苦労が滲み出てるよ。まるでここに住んでる鈴仙みたいじゃないか」
「うるさいなぁ…好きでそうなったんじゃないんだぞ?」
「そんなに不幸だと落とし穴に落ちたりしたんじゃないの?」
「よく分かったな、ついさっきも…………」
(待て、俺は今誰と話しているんだ!?気配も感じなかったぞ!声からして妹紅じゃない…)
俺はとっさに後ろを振り向く。だが背後には誰もいない
「ここだよ、ここ。それはわざとやってるのかい?」
声が聞こえた方向……つまり下を見てみるとそこには━━━━
俺の腰の高さほどの身長しかない兎の耳が生えた少女が立っていた。
「………えっと…どちらさまでしょうか…?」
「どちらさまと言われると…アンタと妹紅が落ちた落とし穴を掘った兎さ!!」
そう無い胸を張りドヤ顔で言い放つその姿は最早貫禄すら感じさせた
「……ってことは…お前が俺と妹紅をはめたんだな!?何てことするんだよ!!」
俺はとりあえずその人らしき兎(?)もしくは兎らしき人に問い詰める
「うーさうさうさ!これだから人間への悪戯は止められないね!特に外来人は反応が最高なんだ!」
ケラケラと悪びれもなく少女は言いかえしてきた。これには俺も
「あのなぁ…!頭の打ち所が悪けりゃ大怪我してたかもしれない高さだったぞあれは!!」
俺は目の前で未だに笑いやまない少女の肩を掴もうとしたが………
「ピョン」
まさにそんな効果音が似合う感じの跳躍で目の前から逃げられてしまった。
「永遠亭の近くだからそれは無いんじゃない?多分」
「多分かよ!?ってか待て!!」
とにかくこれでは俺の気が収まらない、せめてごめんなさいの一言でもあっても良いはずだ。
「待てと言われて本当に待つ馬鹿がいる訳無いよ!」
何と謝罪はおろかあの兎は逃亡を始めた、これを逃がすほど上条さんは甘くない
「こんにゃろぉ!絶対とっ捕まえて反省させてやる!!」
「そういう言葉は私を捕まえてから言う事だね!!」
こうして俺と性悪兎との追いかけっこが開幕したのである。………永遠亭の中で
藤原妹紅SIDE
……とりあえず1度落ち着いて考えるとしよう。目の前のBB……八雲紫は当麻の能力は異能の力を打ち消す程度の能力だと告げた。
私は不老不死でもう1300年も生きてきてその中でそれなりに異能の力は見てきた。だがそんな摩訶不思議な能力は初めて聞く。何よりそんな能力はここ……幻想郷ではご法度の力とも言える
「さすがに1300歳の蓬莱人にもこればかりは驚きが隠せないかしら?それもそうよね。能力同士を相殺させる訳でもない、何か特別な手順を踏む訳でもなく発動条件はただ触れるだけ。極論で言えば右手が空間に触れているのならばあの紅魔館のメイドの能力やあなたの宿敵のお姫様の能力ですら無効化出来るわ」
「わざわざ年齢を強調させるな、嫌味のつもりか?だが……それが本当ならば幻想郷は大丈夫なのか?結界に触れるなりされると不味いと思うぞ」
幻想郷には外界とこことを隔離する二枚の結界が存在する、当麻がそれに触れれば……考えたくも無いな。
「その点については恐らく問題無いわ、博麗神社にある結界の核にさえ触れなければ何も問題は何も無いもの。……ただ……やはり彼の存在は放置したままにしておくには少し危険かしらね…」
紫の表情が真剣味を帯びたものへと変わる。
「……まさか殺すのか?いくら何でもそればかりは賛成しかねるぞ」
私は紫から眼を反らさずに表情を伺った、もし……無理にでも殺すと言うのならその前にこのスキマ妖怪を……
「……ここ、幻想郷は全てを受け入れるのよ?それは善人だろうと悪人だろうと幻想を殺す少年だとしても変わりはないわ」
どうやら嘘はついていないらしい、もし本気なら私と立ち話などせず当麻の首と胴体との境界を操って血の海をつくりだしているはずだからな
「なら良いんだ……だがそれなら何故私に話しかけたんだ?」
「あら、私を呼びだしたのはあなたでしょう?」
「……もう良い、用件だけを伝えてくれ。お前に口論で勝とうとした私が馬鹿だったよ」
肩を竦めため息をつく。だから紫と話すのは好かないんだ
「ふふっ、そう言って貰えると何よりよ♪それで本題だけど……
このままだと幻想郷で戦争が勃発するわ、善処はするけれども最早この戦争は回避出来ないでしょうね。せめてその犠牲を最小限に抑えるためにも…一人でも多くの味方が必要なのよ、特に上条当麻の力……いいえ彼が持つ影響力は必ず幻想郷のプラスになるわ。だから妹紅、あなたには彼のサポートをお願いしたいの」
なぁ神様よ…………私が一体何をした?私は何故こんな戦争という荒々しい単語が飛び出す事件に首を突っ込むハメになったんだ?
上条当麻SIDE
当麻の知らない所で幻想郷を揺るがしかねない大事件について妹紅と紫が話しているその時……妖怪の賢者から幻想を殺す能力を持ちながらも幻想郷のプラスになるとまで言わせしめた少年上条当麻はそんな事は一切知らずに自分と妹紅を落とし穴にはめた兎、因幡てゐ(いなばてい)と追いかけっこを繰り広げていた
「待てぇぇ~!!!!上条さんをなめるなぁぁ!!」
「しつこい外来人だね…!でもそれくらいじゃ私には追いつけないよ!!」
2人はこんな調子で未だに走り回っていた。
(くそっ…!確かにあいつの言うとおりこのままじゃ追いつけない!兎を追いかけているはずがこれじゃあいたちごっこじゃねぇか…!!)
兎を追いかけるいたちごっことは実に面白い言い回しだが今はそんなことを深く考えている暇はない。
(本当にしつこい外来人なんだよね…元いた世界で似たようなことをしてたんじゃないの…)
学園都市で当麻はLEVEL5の第3位、御坂美琴に一時期頻繁に追いかけまわされていた。当麻は運動が苦手な訳では無いが相手は学園都市最強の電撃使い(エレクトロマスター)である、金属が無数に使用されている学園都市の街中では自身から電流を発生させ磁力を用い一気に加速するという芸当も可能な少女相手から逃げ回っていたのだから追いかけっこが得意になるのも当然と言えば当然なのかもしれない。
(サンキュー、ビリビリ!あの時は生き延びるために必死だったがまさかあの体験がここで役に立つとは思いもしなかったぜ!!)
自分が惚れた少年を追いかけまわした結果、その少年がそれで得た経験を糧に今度は少女を追いかけまわす事になるのだから世の中悲しい限りである。
「あぁもう!!いい加減に諦めなよ!ここは診療所だよ!!騒ぐ場所じゃない!」
「その診療所の近くに落とし穴を掘ったやつが言う台詞じゃないぞ、それは!!」
さすがのてゐもこの外来人がここまでしぶといとは思いもよらなかった、はっきり言って想定外である。
(くっ…こうなったら……!隠れるしか…!)
てゐはフェイントをかけいきなり曲がり角を曲がった。
「今のキレた上条さんから隠れたくらいで逃げ切ろうだなんて甘いぜ…!」
第三者が聞けば当麻を悪人と勘違いを起こしてしまいそうな台詞をはきつつ当麻は辺りを見回した。
あの兎が逃げ込んだ廊下には窓は無かった、あるのはいくつかのドアだけだ。となると単純に考えればこれらの部屋のどこかに逃げ込んだ事になる。
(多分奥までは逃げてないよな……だったら手前の部屋から調べるのがベスト!ふっ、今日の上条さんは冴えてるぜ!)
だが当麻は大事な事を2つ忘れていた。1つはここが自分の家ではなく人の家だと言う事。2つ目は……
「どこに逃げたって無駄だぜ、イタズラ兎!………」
目の前に広がった景色は怯える兎の姿でも無ければ診療所らしい病室でもない。
「…………きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
黒い髪を腰より少し下まで伸ばした少女の生まれたままの姿…つまり裸であった
当麻が忘れていた2つ目に大事な事、それは………自身が持つ天性の女難だった。
(分かってる、こんな時に俺はどうすれば良いかなんて分かり切ってるじゃないですか。簡単過ぎるぜ)
俺は正座をして次に両手を床につけた、そして……
「すみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
後は額を床につけ謝罪する、つまるところは土下座である。
「すみませんで済むわけないじゃないの、この変態!!!」
少女はすぐに足元にあった着物で身体を隠し手に輝く玉がついた枝を握った。
「冥土の土産に……宝はあげないけれど…」
(こ、これは…いつもと同じパターンのような…)
俺は半ば反射的に立ちあがって右手を突きだした。
「み、み、見るなぁぁ!!!」
少女は赤い顔を更に赤くして枝を振るった。
するとその枝から光る弾が無数にこっちへ飛んできた
「パリィィィィィィン!!!」
右手にその光弾が触れた瞬間、幻想殺しが発動した独特の音が響き光弾は全て消えた。
「た、助かった……」
とりあえず俺は安堵の息をつく
「な、何よ…その右手は……!!一体何をしたのよ…!?」
「何って……実は俺もよく分からないんだよな…」
「………とにかく……痴漢は…消えなさい!!!」
そして再び降り注ぐ光弾、破壊されていく部屋。
「不幸だぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「私の裸を覗いておいて不幸とはどういう意味よ!!!」
こうして妹紅と同じ永遠を生きる少女、蓬莱山輝夜と上条当麻は最悪の出会いを果たしたのだった。
ふぅ…何とか書けましたよ、第三話。一応初めてのバトルパートを組み込んでみましたがいかがでしたか?駄文であることは承知していますがもし改善点やアドバイスがあればぜひ教えてくださいませ、なるべくその意見を吸収して成長していきます。
さてさりげなく今後の展開が見えた訳ですが…正直じっくりと話を作っていきたいのでそう簡単には話が進まないかもしれません。その点も合わせてご容赦ください、それでは第四話も頑張って投稿しますので応援よろしくお願い致します