とある幻想郷の幻想殺し   作:愛鈴@けねもこ推し

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何だか今日はテンションがハイなので2本目を投稿することにしました、多分内容はいつも通りのグダグダです。
それじゃ、どうぞ!


2人は拳を交える

垣根帝督SIDE

 

 

 

 

 

 俺は今、永遠亭の洗面所で顔を洗っている、時間的にはまだ…7時ってとこか?体感だからはっきりとした事は言えねぇけどな。

 

「…よくよく考えてみれば早起きしたのは良いもののすることなんて無いんじゃないか?今では惰眠を貪ってるだけだったからな、まぁその度にうどんげに叩き起こされた訳だが」

 

2度寝しようか迷ったが既に顔も洗った後だ、到底寝つけそうにはない。かと言って寝ている当麻やうどんげを起こすのは気が引ける。寝ている永琳を起こすなんて自殺行為はしたくないし、そもそも輝夜のやつは10時過ぎまで起きてこない

 

(俺が言えた義理でもねぇが…あいつの生活習慣はどうなってんだ?どんだけ寝るんだっての)

 

とりあえず俺は中庭に向かうことにした、特に意味は無いが朝の新鮮な空気を味わうにはうってつけだろうからな。ついでに誰かがいるんなら一石二鳥だ

そんな訳で俺は永遠亭に来る前…即ち学園都市という場所で俺が来ていたであろうダサいホストが着るような赤い上着を羽織った、うどんげや当麻には知られないように平静を装ってきたがこれは中々恥ずかしいんだよな

 

「とりあえず薬売りのついでにどこかで働いてから別の服でも買うか…、正直なところ当麻が来ている普通の服が欲しいぜ」

 

俺はそんな事を小声で呟きながら中庭へと到着した、だが既に中庭は先客がいたようだ

 

「よぉ、うどんげ。朝から体術の練習とは随分軍人染みてるじゃねぇか、似合わないから止めとけよ」

 

俺は中庭にいた先客……額にうっすらと汗を浮かべながら見えない相手に蹴りを放っていたうどんげに声をかけた

 

「これでも元軍人だもの、似合う似合わないはともかく鍛錬はなるべく欠かさないようにしてるの。それに似合う似合わないの話をするのなら、垣根こそこんな朝早くに起きるなんて似合わないじゃない。もしかして寝つけなかったの?」

 

「あれだけ派手に暴れて永遠亭を壊して永琳に怒られて後片付けまでして寝つけないってんならそれは病気だと思うぜ、これ以上永琳に手間をかける気はねぇよ」

 

「それだけ減らず口が叩けるのなら大丈夫そうね、安心したわ」

 

そう言いながらうどんげは縁側にいる俺の隣に腰かけた。それに合わせるように俺も隣に腰かける

 

(こんなことうどんげは毎朝やってるのか?…ご苦労なことだぜ、俺や輝夜には何年かかっても実行出来そうにないな)

 

「しかし慣れない事はするものじゃないわね、訓練自体は前からやっていたけど今日はちょっと張りきり過ぎちゃったわ」

 

「それは大変だったな、でも自分の身体に気を配るのも優秀な軍人の仕事だぜ」

 

俺はそう言いつつ予め置かれていたタオルをうどんげの頭に被せる

 

「まさか垣根に指摘されるなんてね、でも忠告はありがたく受け取っておくわ。…あ、そうだ…!話は変わるけど垣根!暇なら組み手に付きあってくれない?」

 

いきなり何を言い出すかと思えばこの可愛らしい軍人は…。何が楽しけりゃ朝っぱらから女と殴り合わなきゃいけねぇんだ。

俺はすぐに拒否の意思を示すために肩を竦める

 

「ってか、俺は格闘なんて経験無いんだぜ?どうやったって俺がうどんげにボコボコにされる未来しか見えないんだがな」

 

「そう?私はそうは思わないけど…それに垣根は格闘経験もあるし…と言うより、かなりの訓練を積んだ部類のはずよ」

 

「ん?そりゃどういう意味だ?俺が学園都市にいた頃を知ってるのか?」

 

「そんな訳無いじゃない、でも垣根の身体の筋肉の付き方からして格闘技をかじっていたのは分かるの。ただ種類までは何とも言えないわね、そもそも私は外界の格闘技は知らないし…」

 

軍人恐るべし、筋肉の付き方でそこまで判別するのかよ…。だがうどんげは嘘をつくようなやつじゃないし、何よりこれから始まるのは多分単なる薬売りじゃない…。多分争いが頻繁に巻き起こる薬売りだ。それならうどんげと組んで戦うこともあるだろ、その時の為に目を慣らしておかねぇとな

 

「…おもしれぇ、最近はうどんげの尻に敷かれっぱなしだったからな。ここらで俺の存在感でもアピールしてみるか?」

 

俺は上着を脱ぎ捨て、首を回して交戦の意思を示す

 

「あら、ノリが良いじゃない。でもその目立つ上着で垣根の存在感は十二分にあると思うわよ?」

 

対するうどんげはクスリと笑みを浮かべてから軽くジャンプする

 

「言ってろ、あれは俺のトレードマークだ。先攻はレディーファーストで構わないぜ?」

 

「あら、優しいのね?それじゃあその優しさが仇にならないよう頑張りなさい!」

 

さすがは元軍人と言うだけあって鈴仙の動きは素早かった、あわよくば先攻を譲られた事に機嫌を悪くしてテンポを狂わせられるかもと思ったが…お構いなしで正面突破かよ

 

「大胆だな、うどんげがここまで好戦的だなんて思わなかったぜ」

 

俺は素早く突き出された右ストレートを首を捻って避ける、だがうどんげの攻撃は止まらない

 

「喋る余裕があるのは結構だけど…舌、噛まないでね?」

 

そう呟くや否や、うどんげは突き出した右手の肱で俺の側頭部に肱打ちをぶつけてきた。頭を襲う鈍痛に耐えきれずにフラフラと距離をとる

 

「クッソ…例え右ストレートを回避したとしても即座に肱打ちとかずるいだろ、それじゃあギリギリで避けても間にあわねぇじゃねぇか…!」

 

(やっぱ気軽な気持ちで相手をするんじゃなかったぜ、これじゃあ目が慣れる前にダウンするのが関の山だな…)

 

その肱打ちを決めたうどんげはと言うと、さっきの微笑はどこに消えたのやら完全にスイッチが入っていらっしゃる

 

「さっ、垣根!立ちなさい、まだまだ戦いは始まったばかりよ?」

 

さてどうする?隙の無い2段構えの右ストレートに他にもまだまだ奥の手はあるはずだ…どうやってこの鈴仙・優曇華院・イナバを攻略するんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバSIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、私は一種の焦りのようなそれでいて驚きでもあり、悦びのようなものを感じていた

 

(あの右ストレートからの肱打ちを食らった後の垣根の表情は、驚いた訳でもなく怯んだ訳でもなく……すぐに私の技を見極めようとしていた…)

 

「…良い表情ね、垣根。もしかして殴られて喜ぶ性癖でもあった?」

 

「馬鹿な事言うなよ、俺はどっちかっていうと…そうだな、戦っている時が一番喜んでるんじゃねぇか?」

 

今度は垣根の番、私は油断せずに防御の構えを取る

 

「奇遇ね、私もこの戦いはすごく楽しいから喜べるわ…これって狂気なのかな?」

 

「さぁな、ただ…悪い気はしないのは確かだ」

早い、身体を鍛えていない人間には出す事が出来ないスピードで垣根は私に向かって右ストレートを放ってくる

 

(良い右ストレートね、でも残念ながら脇ががら空きよ…!)

 

 人体にはいくつかの急所が存在する、例えば首・頭・股間……そして脇である。特に脇は肺が近い事もあり攻撃が命中すれば間違いなく大量の酸素を吐き出す羽目になるため、相手を殺さない制圧の場合は特に狙われやすい急所の1つであった。よく剣術などで脇を締めろと言われるのはこのためである

 

(一瞬でも楽しめて嬉しかったわ、垣根…でも垣根なら練習を積めばもっと上の領域を目指せるはず。だから今日の所は私に勝ちを譲ってね?)

私は垣根が放った右ストレートを後ろに飛んで回避しながら脇を蹴り上げる為に足に力を込める

 

「……!?」

 

だが……何故か私の身体はバランスを崩していた。慌てて状況を整理するとその理由はすぐに見つかった

 

「…わざと脇をがら空きにしてそこを狙わせる…それで私が垣根へのトドメに集中している隙に足払いをかけた…そんな所で合ってる?」

 

「あぁ、その通りだ。ついさっき捻りだした戦法だったから通じるかどうかは怪しかったけどな。でも逆に一瞬で捻りだした戦法だったからこそ読めなかっただろ?」

 

あっという間に現状は逆転し、今は私が押し倒されて垣根に拳を突き付けられている

 

(ふふっ……まさか本当にここまでしてやられるなんて思いもしなかった…。やっぱり垣根は面白いわ…。勝負に負けて『悔しい』以外の感情を感じたのは…依姫様に体術勝負で惨敗した時以来かな?)

今となっては顔も合わせられない元上司の顔と名前を思い浮かべながら、私は再び笑みを浮かべる

 

「…これは一応俺の勝ちってことで良いのか?それとも何か逆転の秘策でもあったりするのかよ?」

 

「この勝負は垣根の勝ちよ、でもまさか負けるなんて思わなかったわ…はぁ悔しい…!!でも脇が人体急所だって知ってたの?それともまた何か思い出せた?」

私は脱力して降参の意思を垣根に示す。

 

「いや、どっちも違うな。ただうどんげがやけに脇だけは厳重にガードしてたから賭けに出ただけだ。どの道正攻法で殴り合っても俺の拳はうどんげには届かなかっただろうさ」

それを確認すると垣根はすぐに私の拘束を解いて手を差し伸べる

 

「今は負けて悔しい気分だからそういう事にしておいて貰うわね、って今更だけどやっぱり垣根は格闘技の経験があるじゃない!」

 

「へ?あぁどうやらそうみたいだな、俺自身でも結構ビックリしてるんだぜ?まさかあんなにホイホイと身体が動くなんてな、人は見掛けにはよらないってのはこのことだぜ」

 

記憶と勘を失っている状態でこの強さ……次に戦う時は狂気の瞳を使わないと勝てないかもしれないわね

 

「いや~、それにしても派手に暴れたわね。垣根は上着を脱ぎ捨ててイナバなんて着衣が乱れてるじゃない。朝から庭でそんな事をするなんて2人とも永琳にバレても私は知らないわよ?」

 

「いやいや、違うってば垣根。あれは単に格闘訓練で……?垣根ってこんな女口調だったかな……」

 

私の脳裏には0,001秒で最悪の展開が予想されてしまった

 

「……前もって言っておくが俺には殴られて喜ぶ趣味も、女になり切る趣味もねぇよ」

 

そうなるとこの声の主は……そもそもこの永遠亭メンバーで私をイナバと呼ぶ人物は一人しかいない

 

「あの~……姫様?どの辺りから見ていらっしゃいました?」

 

「そうね、イナバが垣根に右ストレートを放つ辺りからよ?」

 

ほぼ最初からじゃないですか!あ、でもそれなら私の着衣が乱れている理由も分かるはず…

 

「と、言う訳で私は面白そうだから皆に垣根がイナバを庭で押し倒していたって言ってくるわ!!」

 

「はぁ!?輝夜、お前!そんなふざけた理由であらぬ誤解を招いてんじゃねぇよ!!」

 

「そうです、姫様!!何で私が垣根なんかと!!」

 

(不味い不味い不味い…!このままだとあらぬ誤解が広まってしまう…!!早く何とかしないと…!!)

とりあえずは姫様を捕まえないと!!……ってもういない!?

 

「って、おい!!輝夜の野郎はどこに消えやがった!?いきなり消えたぞ!?」

 

「お、終わった……」

 

私はこの後に訪れるであろう因幡達のクスクス笑いを想像して地面に座り込むのだった

 

 

 

 

蓬莱山輝夜、能力は「永遠を須臾を操る程度の能力」で須臾(しゅゆ)とは1000兆分の1のこと。即ちこの輝夜は1000兆分の1の自分だけの時間を集めて自分だけが行動できる時間を生み出せるのだった。これにかかれば誰かから逃げるのなどたやすい

 

この後、垣根帝督と鈴仙が永琳に呼び出しを受けお説教を食らったのは言うまでもないことだった

 




バトルパートの練習の為に書いてみた垣根対鈴仙の格闘縛りのお話、いかがでしたか?まぁオチは安定の永琳さんに締めて(シめて)頂くと言うね。ワンパターン化なんですね分かります

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