とある幻想郷の幻想殺し   作:愛鈴@けねもこ推し

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どうも、6/20が待ちきれないけねもこ推しでございます。早く超電磁砲11巻が読みたい!でないと私のストレスが爆発してしまうんですよ。まぁその前にマンガ版の儚月抄を購入したので今のところは大丈夫な気もしますが…。
余談ですが、何で「第2位」ってキャラはどのマンガでも死んじゃうんですかね?ていとくんに然り、火星の電気ウナギに然り…。前者はともかく後者は原作を読むのを止めようかと思いましたし。あぁ、意味不明な話をして申し訳ないです。ただ単にこれは愚痴ですから適当に読み流して頂いて本編をどうぞ


勝利条件(生き残る方法)

上条当麻SIDE

 

 

 

 

 

 

 鈴仙が部屋を出て、今現在で部屋に残っているのは俺と永琳さんとてゐだけだ。となると必然的に食事の後片付けは……

 

 

「不幸だ……」

 

 

言うまでもなく残っている私こと、上条当麻と永琳さんとてゐの仕事になってしまうわけですよ…。学園都市にいた頃は家事は俺がやってたんだが、何分あの大人数の後片付けを三人(?)でこなすと言うのは中々キツイ物がある。その上てゐは早々に逃亡したんだよな…

 

「悪いわね、上条君にも手伝わせてしまって…後でてゐには私からお仕置きしておくわ」

 

「ははっ…出来ればもう少し冗談を思わせる表情で言って貰えると俺も気が楽なんですけどね…」

 

台所では永琳さんが皿洗いをしながらニコニコと微笑んでいた

この八意永琳という人は勿論良い人なんだろうけど時折見せる笑顔が怖い、上条さんの周りには怖い女性しか集まらない運命なんですか!?

 

俺は学園都市で出会ったLEVEL5第三位の女の子の顔を思い出しつつ、皿を台所へと運び終えた

 

「そうだ、上条君。後の皿洗いは全て私がやっておくから輝夜と妹紅の様子を見て来てくれないかしら?そろそろ2人ともバテた頃だと思うのよ。もしまだなら軽く仲裁をしてきて欲しいの」

 

「へ?あ、あぁはい分かりました。でも良いんですか?全部永琳さんに押し付けてしまっても」

 

「構わないわ、それにまだあの2人がじゃれあっているのなら上条君が帰って来た時に皿洗いをする体力なんて残されていないでしょうし」

 

どこか永琳さんの言葉は引っかかるけど…まぁ様子見をするだけで皿洗いが免除されるならありがたい。俺は永琳さんに残りの皿洗いを任せてから外に出る

 

「さてさて、蓬莱山と妹紅のじゃれあいを止めに行くとするか。でも永琳さんが蓬莱山のことを輝夜って呼ぶ事もあるんだな」

 

(要するに永琳さんは蓬莱山の従者でもあり家族って感じなんだろうな。確かに見た目的には親子でも……って、危ない危ない…。こんな事を永琳さんに聞かれたら…)

 

何故かは分からないけど…俺が今考えた事を口に出すのは非常に危険な気がするぞ

こんな時はすぐに他の事に集中しよう…っと、ちょうど良いタイミングで2人を見つけた。確かに2人とも息切れを起こして地面に座り込んでるな

 

「おーい、妹紅に蓬莱山!満足するまで遊べたか?」

 

「うるさいわねウニ条…!まだ私が勝ってないのよ!」

 

「いや、勝つって何にだよ…」

 

「だから妹紅によ!!」

いや、何の勝負にって意味で聞いたんだけどな…。日本語って難しい

 

「ふ、ふん!今日の所の弾幕ごっこは私の勝ちのようだな、輝夜…!」

 

「この前までは私が勝っていたじゃない!今日はたまたま負けただけよ!!」

ダメだ、このままじゃまた「弾幕ごっこ」ってやつが始まってしまう…!急いでこの流れを変えないと…!!

 

「妹紅も蓬莱山も1度落ち着け!ところで弾幕ごっこって何なんだ?」

 

とりあえず気になった事を妹紅に聞いてみた、名前から察すると…無理だ。上条さんの脳では理解できませんのことよ…

 

「ん~…あぁそうか、まだ当麻には説明して無かったな」

 

「何よ、妹紅。まだ教えてなかったの?ウニ条は相当な不幸体質だから幻想郷にいたら必ず弾幕ごっこに巻き込まれるわよ。それなら早い内にルールを教えておかないと不味いんじゃない?」

 

(あのな、蓬莱山…不幸体質ってのは否定しないけどその弾幕ごっこってやつに巻き込まれる前提なのは止めてくれよ…。上条さんの右手は異能の力なら何でも打ち消せるけどあくまで「打ち消す」だけなんだからな?)

 

「そんな事は私だって分かってるさ、でも今日出会ったばっかりで色々バタバタしてたからな。とりあえず当麻、弾幕ごっこの説明から始めるぞ」

 

 

~少女説明中~

 

「えーっと…要は人間が神様や妖怪と同じレベルで勝負するための疑似的な戦い、ってことか?」

 

「そうだ、他にも妖怪同士の争いが幻想郷の平和を乱さないようにするためでもあるな」

 

「じゃあ人間が神様と弾幕ごっこをして、神様の弾幕を食らっても死なないのか?それなら確かに平和的だよな」

 

「いや、人間なら死ぬんじゃない?例えば妖怪の山の神社に住む神なんて御柱を飛ばしてくるし。それに妹紅の弾幕なんて炎だから妖怪だって当たりどころによれば火傷じゃ済まないわ」

 

(やっぱり死ぬんだな、もう上条さんは驚きもしないしツッコミもしませんよ…。でもそれならますます上条さんはその弾幕ごっこで不利だぞ)

と、言うか死ぬ死なない以前の問題に大きな1つの問題がある。それは俺自身が何かを飛ばしたり、撃ったり出来ない事だ。妹紅曰く、弾幕ごっこでは相手に自分が放った攻撃を何度かヒットさせれば良いみたいだが生憎と俺の身体はそこまでハイテクな性能にはなっていない

 

「どうやらその顔だと八方塞がりって感じの顔だな。でも心配はするな、そんな当麻の為に秘策は考えてあるさ」

どうやら妹紅には俺が弾幕ごっこで勝つ為の秘策があるらしい、さすがは永く生きている人は頼りになるぜ!!

 

「意外ね、妹紅がそこまで考えているなんて。でも本当に秘策なんてあるの?まさか修行でもして弾幕を撃てるようにさせる気?」

 

「そんな事をしていたらどれだけ時間を使うか分からないだろ?それに当麻の右手は触れた異能の力なら何であろうとも打ち消すんだ。例え何千年と修行をしてもその右手がある以上は異能の弾幕は張れないさ」

 

(じゃあどうするんだ?異能の弾幕が無理なら科学の弾幕…ってことは銃を使うのか?でも上条さんはエアガンすら使ったことないんだよな)

 

ダメだ、どれだけ考えてもまったく分からん!もうこうなったら妹紅に直接聞こう、そう思って俺が口を開こうとした時だった

 

「輝夜、弾幕ごっこでの勝利条件は本当に相手に弾幕を命中させて体力を0にするだけか?」

 

「何を今更なことを……それともう1つ、相手が宣言したスペルカードを全て攻略すれば良い…あっ!そういうことね…!」

 

「なっ?これなら当麻でも練習さえすれば少なくとも手足も出ずに敗北、なんて結末にはならないだろう?」

 

(えっと……?何が『なっ?』なんだ…?上条さんの頭は既にパンク寸前ですのことよ…)

 

「まずスペルカードというのは、敵が考案した必殺技を示した契約書のようなものだ。それを攻略したいのならそのスペルカードを上回る必要がある、それなら話は早い。そのスペルカードの威力を上回る弾幕を放つか、無効化する…即ち「打ち消して」しまえば良いんだ」

 

 

なるほどな……何となくだが妹紅が言いたい事が分かって来たぞ。

まず弾幕ごっこに勝利する為の条件は2つ、1つは自分が放った弾幕で相手の体力を0にすること。ただこれは俺には到底不可能な方法だ、でも勝利条件の2つ目の「相手の宣言したスペルカードを攻略する」なら俺にも出来ない事はないんだ、相手が放ってくる弾幕を全て見極めて打ち消して回避して……

 

「って、これはこれで滅茶苦茶難易度が高いからな!?どうせ相手の放ってくる弾幕の数は半端ないんだろ!?」

 

「そうカリカリしない方が良いわよ、ウニ条。健康に悪いわ。ちなみに質問に答えると数なんて数えれる訳無いじゃない、ウニ条が現れた竹林にいる妖精の弾幕でも数はかなりのものになるもの」

 

ほら!どこか心の隅で分かってましたよこの展開は!!やっぱり俺には弾幕ごっこなんて無理なんだって!!

 

「と、言う訳で当麻。大体弾幕ごっこについては理解できたか?」

 

「何がと、言う訳で、だよ…。とりあえず弾幕ごっこは上条さんには向かないってことが分かったぞ」

 

「ははっ、それは何よりだ。とりあえず明日から垣根の体調が完全に回復して薬を売りに行けるようになるまでの間、弾幕ごっこで勝つ為の練習をするから今日は早く寝た方が良いぞ?」

 

「あぁ分かったよ、じゃあ俺は永琳さんに布団を借してもらえるように頼む……ってはい?妹紅さん?今何て言ったんだ!?」

 

「だから、明日から弾幕ごっこの練習をするから今日は早く休むんだぞって言ったんだ。何か日本語がおかしかったか?」

 

いやもうおかしいとかのレベルじゃないぞ!?何でいきなり明日から修行なんだよ!?

だが、妹紅の意思は固く俺が根負けするという形で話し合いにはケリがついた。いや、ついてしまった

 

俺はどっと疲れを感じて地面に座り込んだ。もっともその地面は妹紅と蓬莱山の弾幕ごっこによってボロボロになってるんだけどな

「はぁ……不幸だ…。どんどん上条さんの毎日が過激になっていく…」

 

「そこまで落ち込むな、当麻。何もスパルタ教育をしようって訳じゃないんだ。ちゃんと優しく教えるよう心掛けるさ」

 

「精々期待してるからな、それじゃあ俺は改めて寝るとするか…。蓬莱山と妹紅も早く寝るんだぞ?」

 

「分かってるよ、私と輝夜は弾幕で壊れた地面を直してから寝るさ」

 

「そうね、永琳にこのことがバレると今度こそゲームを失う羽目になるもの」

 

「…ゲームは程々にしろよ、蓬莱山。それじゃお休み」

 

若干1名は理由が不純だけど…まぁ妹紅がいるんなら心配はないだろ

俺は1度欠伸をして、から永遠亭へと戻る

 

(まっ、もう決まった事をグダグダ言っても仕方ない、よな…。それよりも今は身体を休めるか…)

そして部屋に戻ると机に永琳さんからの書置きがあった。その内容は垣根の病室に布団が置いてあるからそこで寝てくれ、というもので丁寧に垣根の新しい病室の場所まで示してある。やはり永琳さんも普段は温厚で優しい人なんだろうな

俺は書置きに示してある病室に向かった、すると既に垣根は布団に寝転んで寝息を立てていた

 

(垣根は先に寝たのか…じゃあ起こすのも不味いよな。俺も寝よ…)

こうして俺は予め敷いてあった布団に寝転んだ、どうやら俺は体感以上に疲れていたらしく一気に疲れが押し寄せてくる。

こうして上条当麻は幻想郷での1日目を何とか無事に終えたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

藤原妹紅SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、当麻は永遠亭内に入ったし…私は私の仕事を片付けるか。

私はとりあえず掴んでいた輝夜の襟筋を離して解放する

 

「いたた…何も襟を掴んで拘束する事は無いでしょ?私は単に後片付けをサボろうとしただけなのに…」

 

「そのサボろうとしただけ、ってのが困るんだよ。私だって明日から忙しいんだ」

 

私が輝夜の襟筋を掴んで拘束していた理由は言うまでもない、この蓬莱ニートは自分が壊した庭の修繕を当たり前のように放棄して逃亡しようとしたからだ。

 

「それにしても本当にウニ条の能力は厄介ね、自分だけの時間を集めて逃げようとしたけど能力が発動できないのよ。どういうことなの?」

 

「話は単純だ、お前はこの空間に自分だけの時間を集めてそれで自分だけ逃げようとしたんだろ?でもお前の能力によって集められた時間が当麻の右手に触れて打ち消されたんだ」

 

へぇ、中々やるじゃない。輝夜は感心したようにうなずいた。確かにこんな形で能力を打ち破られたのは初めてだろうからな。

 

(それにしてもやっぱり当麻の右手は「異能」なら何でも打ち消せるんだな。恐らく力量の差も関係は無い、私の妖術も無効化されたし輝夜の能力は…恐らく魔術に近い物があるから魔法使いにも対抗は出来るだろうな)

 

考えれば考えるほど奇妙な能力だと私は思った、それだけに純粋な興味も湧く。

本当にどんな異能でも打ち消せるのか?未だ試していない巫女が扱う霊力や神が扱う神力、仙人の仙力のような異能の力でも打ち消せるのか?

考え始めればキリがない、それくらい上条当麻の幻想殺しは私を惹き付けるのには十分だった

 

そんな事を考えつつスコップで地面を修繕している時だった

 

「ふふっ……随分と楽しそうじゃ無い、妹紅?貴女のそんな顔を見たのは……久し振りね。私の記憶だと人里に住むハクタクといる時の表情に近いわ」

 

輝夜がクスクスと笑いながら私に話しかけてきた。勿論近くにあった椅子に腰かけながら何もせずに、だ

 

「お前は本当に蓬莱ニートなんだな、私一人に全て後片付けを押し付ける気だろう?」

 

「あら、バレちゃったかしら?でも良いじゃない、今日の私は気分が良いのよ。そんな時に働きたくは無いし何より私は姫……」

 

「まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!!」

 

とりあえずこのドヤ顔で不働(はたらかず)を語る蓬莱ニートに、私は我慢できなかったので当麻が使っていた決め台詞と右ストレートを借りた上で輝夜をぶっ飛ばした

 

「~っ!!痛いじゃない!いきなり殴るなんてもこたんどうしちゃったの!?」

 

「もこたんって言うな、もう一発くらい幻想をぶち殺されてみるか?」

 

「あぁはいはい!分かったわよ、働けば良いんでしょ働けば!?」

 

そう言いつつ輝夜は起き上がってから自分の分のスコップを使い、地面の修繕を始める

何故輝夜がここまで偉そうな態度を取れるのかは私には理解不能だが、元より輝夜は月に住んでいた宇宙人だ。地球人が宇宙人の思考を理解しようなんて無理に決まっている

 

「まったく……そう言えば妹紅、ウニ条に弾幕ごっこを教えるって本気なの?確かに相手のスペルカードを攻略する事も勝利条件の1つだけど…はっきり言ってかなり難易度が高いんじゃない?ウニ条自身も分かっていたみたいだけど、いくら右手で弾幕を打ち消せても…」

 

「分かってるさ、でも私は当麻には弾幕ごっこの資質があると思うんだ。それに今の当麻には弾幕ごっこで苦戦することと敗北が必要だと思うんだよ。勿論死なない程度に、だがな」

 

「…?どういう意味…?」

 

当麻にはまだ話す気は無いが…まぁ輝夜なら良いか。どの道弾幕ごっこの練習をするんなら協力者は多い方が良いし、何より輝夜は強い。事情を説明して協力してくれるなら私としては大助かりだ

 

「まずは資質の話からだが…これは簡単だよ、当麻がここに来た時お前は弾幕を放ったんだろう?」

 

「そうよ、いきなり入ってきて私の裸を凝視したから手加減した上でね」

 

「でも当麻は無傷で輝夜の弾幕を凌いだ…いくら幻想を殺せる右手があったとしても、弾幕ごっこの名前すら知らない人間がおいそれと回避出来る程お前の弾幕は軟弱じゃないよ。それに当麻がいた場所…確か学園都市だったか?そこでは弾幕ごっこ以上に危険な戦いをこなしていたらしい」

 

 勿論妹紅と輝夜が知る訳など無いが、上条当麻にとって弾幕ごっこと言うのはそこまで危険なものでは無かった。

何故なら上条当麻は強さこそ幻想郷の住人には劣るものの、触れれば即死級の攻撃を放ってくる相手と戦ってきたのだ。

 

例えば御坂美琴、彼女の代名詞でもある「超電磁砲(レールガン)」はゲームセンターのコインに高圧電流を流し音速の三倍で発射する技である。彼女は上条当麻と初めて出会った時に超電磁砲を放っているが、上条当麻はほぼ勘でこの超電磁砲を右手で打ち消した。

 

即ち上条当麻は弾幕ごっこの経験は皆無だとしても、それ以上に危険な攻撃の回避なら多くの経験を積んでいるのだった

 

「何だかウニ条がほんの少しだけ哀れになって来たわ…。でも苦戦と敗北が必要っていうのはどういう意味?」

 

「…今の当麻は間違い無く危険だ、このままだといつか自分の信念のせいで死ぬ羽目になる。これは勘じゃなくて確信なんだ」

 

「…原因はやはりあの右手がある故の自信と正義の心、かしらね。何となくだけど妹紅の言いたい事は分かるわ。確かに…垣根が暴走した時もウニ条は躊躇い無く突っ込んでいったもの」

 

 

(私は幻想郷に来る前に当麻と似たような人間と戦った事があるが…その人間は自分の信念を貫いた為に死んだんだ…。その人間は鬼のように強かった、それを支える信念もあった、でもその強さと信念があったからこそ…あいつは……)

私は幻想郷に来る前の時代……あの激動の幕末を脳裏に思い浮かべた

 

「これはあくまで私が勝手に感じたことなんだけど、当麻は目の前にいる全ての困っている人を助けようとしているんだ。それはとても立派な事だが間違い無く自分を早死にさせる原因そのものだ、しかもタチが悪い事に当麻の右手の能力と折れる事の無い信念のせいで今まで当麻は多くの人間を助けて来たんだろうな。でもその信念が仇になる時だってあるんだ」

 

「だから命への配慮が施された弾幕ごっこで、右手の能力を使ったとしても勝てない相手がいる事を理解させて自分の無力を痛感させるの?…それってつまり…仮にもウニ条の信念を折る事になるのよ?」

 

「分かってる、それで私が恨まれる結果になろうとも当麻がなりふり構わず面倒事に首を突っ込むのを躊躇するようになるのなら構わないさ」

 

それに…もしかしたら当麻なら今の信念を保ち続けたまま、他の答えを出せるかもしれない。

(勝手なやつだな、私は…本当なら紫に頼まれた用件だけをこなすつもりだったがここまで当麻を気にかける事になるなんて思いもしなかったぞ。でも…それはつまり当麻がそれくらい期待してしまうような何かを持っているってことなんだろう。だったら良いさ、この際だから人生の先輩としてお節介を焼いてやるのも悪くは無い)

 

私は記憶の底から湧き出た苦い記憶を無理やり頭の中からかき消して、スコップを握り直した

 

「さっ、そういう訳だからさっさと修繕を終わらせて私達も寝るぞ。お前にも明日から弾幕ごっこの手伝って貰うからな?」

 

「はぁ……ウニ条の時だってそうだけど妹紅って強引なのね…。でも良いわ、どうせ私もゲームには飽きてきた頃だからウニ条と遊んでやるのも悪くないかもしれないわ」

 

消極的な口調ではあるが、それでも輝夜は拒否しなかった。それは恐らく当麻への興味半分、心配半分……だという事にしておこう。

 

そんな話をしていると結局全ての地面を修繕するのにかなりの時間がかかってしまい、既に時刻は深夜にまでなっていた。

 

「蓬莱ニートにしてはよく働いたな、お疲れ様」

私は軽口を叩きつつ、輝夜を労う

 

「あんまりニートニートって言ってると怒るわよ?それと妹紅もお疲れ様」

 

「悪い悪い、それじゃあ私は自分の家に戻るよ」

 

「はいはい、それじゃあお休み」

 

輝夜に別れを告げてから私は永遠亭を出た

 

(しかし、何で当麻を見ているとあいつを思い出したんだろう…。似ていると言えば似てるんだけど…違う所の方が多いはず…。それくらい私の脳にはあいつの信念が記憶に残っているんだろうな。まったく、お前が死んでもう100年以上になるって言うのに…何でだろうな……)

 

私は今になってその顔と後悔を思い出すことになった人物………

 

 

「新撰組副長、土方歳三」の事をぼんやりと脳裏で思い浮かべながら家にたどり着くのだった

 

 

 




あぁ永かった、じゃなくて長かった…。正直自分でもここまで文をまとめる能力が低下しているとは驚きでした。やっぱり定期的に小説を書かないとダメですね
ここまで何とか読破された方はお疲れさまでした、ゆっくり目を休めてくださいね。それと、もこたんと土方の関連性については近々回想編ということで書いていきたいと思います

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