とある幻想郷の幻想殺し   作:愛鈴@けねもこ推し

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どうも、冗談抜きで前書きで書くネタが尽きてきたけねもこ推しでございます。
そう言えば前回の番外編でミサカ10032号が「お姉さまにも助力を仰いだ」って言ってたじゃないですか?あれは6月の「とある科学の超電磁砲」コミックス11巻が発売される週にとあるキャラオンリーでまた番外編を書く予定なのでそこで詳しい展開を明らかにしていきたいと思います。その後はまた少し本編を進めてから2回に分けて合計4話、東方キャラオンリーの番外編を作っていきますのでもし東方キャラオンリーの方の番外編で「このカップリングの話が読みたい!」という要望があれば一言お願いします


2つ目の真実(ほんとう)の答え

藤原妹紅SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前にいる少年……すなわち垣根帝督が私に向けた質問は単純でありながらもどう答えるべきか迷わせるには十分の難易度を誇っていた

 

「皆が傷付かずに済む方法、か……」

 

(結論から言ってしまえば無いんだよ、そんな方法は…。勿論私だって傷付く人妖の数は極力減らしたいし、そうなるよう尽力するつもりだ。だが…)

 

何せあの八雲が私に助力をするくらいだからな、今まで起こって来た異変とは比べ物にならないくらいの争いが起きるんだろう。それ位の規模となると…幻想郷の戦力となりえるやつらが一致団結でもしない限り犠牲者無しというのは夢のまた夢だ。もっとも一致団結する事の方が夢のまた夢なんだが…

 

「別に妹紅の事情を探る気はねぇよ、お前に何か考えがあることは分かるが少なくともそれは誰かの為を思っての事だろうからな」

 

「何でそう思うんだ?私が適当な事を言っているかもしれないんだぞ?」

 

「そんな器用な真似が出来るやつがガキ1人助けるために1度死ぬのかよ?」

 

「さぁね、不老不死の身体ともなると死への恐怖が薄れるんだ。少なくとも数年ほど前まではほぼ毎日死んでいたからね」

 

「そりゃ難儀な話だな」

 

どうやら垣根も今更不老不死程度では驚かないらしい、学園都市で育った子供達は皆こうなのか?

 

「とにかく現時点では私からは何も言えないんだ。本当に何も知らないし、掻い摘んだ情報だけを中途半端に流して皆を混乱させたくない」

 

「……分かった、俺は妹紅を信じるぜ。その代わりに1つだけ教えてくれ」

 

「ん?何だ?」

 

何かまだ聞きたい事でもあるのか?まぁ聞くだけでも聞いてみよう

 

「妹紅は俺の仲間だと思って良いのか?信頼すると言っておいて聞くのもどうかと思うが…やっぱり本人の口から直接聞いておきたくてな」

 

今度は余りにも簡単で悩む要素が1つもない質問だった

 

「大丈夫、私は垣根の仲間だよ。若者の胸を撃つ熱い言葉をかけるのは苦手だが…垣根が鈴仙や当麻達を守りたいと願うように、私にも守りたい人達がいる。私は垣根と生まれた場所も、境遇も、抱える物も、ほとんどの事が違っているけれど唯一「守りたい」という願いだけは一致しているはずだ」

 

私の本心を伝えきると垣根はフッと笑っていた

 

「な、何かおかしな事を私は言ったか……?」

 

「いや、何もおかしくねぇよ…ただ十分に熱い言葉を使ってるだろ?それなのに自覚無しとはな…ハハッ、おもしれぇ!仲間として十分過ぎるな!」

 

「それは褒められているのか?それともけなされているのか?」

私は棘のある言葉を垣根にぶつけつつも、仲間として認められた事に嬉しさを感じていた

 

「さぁな、とりあえず今はお互いのパートナーを迎えに行こうぜ。治験から免れた安堵感でうどんげも当麻もだらけてやがる、これからどう薬を売るか考えなきゃいけねぇってのにな…」

 

そう垣根に言われて皆がいる方を向くと当麻は木にもたれかかり、鈴仙は地面に座り込んで心拍数を整えていた。ちなみに輝夜はと言うと…

 

「えーりん!!ゲーム機だけは絶対に売らせないわ!どうしてもって言うなら私はこのまま永遠に無職を貫き通してやるんだから!!」

 

「なっ…!!悪い冗談は止めて下さい!!たかがゲーム1つにそこまでしますか普通!?」

 

まぁ……あの2人は放っておいても大丈夫だろう、下手に止めると私が巻き添えを食らってしまう

 

「当麻、少しは心身ともに休まったか?」

私は当麻の目線に合わせて屈んだ

 

「何とかな…でもますます学園都市に帰れなくなったという現実に上条さんのライフはどんどん削られてるんですのことよ…」

 

まぁそれは…うん仕方ないね、多分紫に目を付けられた時点ですぐには帰る事は出来ないよ

 

「うどんげ、いくら何でもビビり過ぎだぜ。ほら、立てよ」

 

垣根は紳士らしく鈴仙に手を差し伸べていた、もっともその本人は金髪な上に「紳士」とは程遠い服装なのだが

 

「垣根は師匠の本当の恐怖を知らないからそんな事が言えるのよ…1度両手足を固定されて手術台に寝かされてみなさい。走馬灯が絶対に5回は見られるわ」

 

いったいどんな実験をされるのやら…って、つまり1回の治験で5回くらいは死にそうになるってことか!?

 

「そりゃすげぇな、だが生憎とこれからは走馬灯を見るよりも薬を完売する計画を夢見た方が賢明だぜ」

 

「それもそうね、診療所の中に入って計画を立てましょう?」

 

どうやら永遠亭に住むと人妖問わずたくましくなるらしい、誰も両手足を固定されるという事には何の疑問も抱かないんだな?

 

「鈴仙、その話に俺と妹紅も混ぜてくれないか?妹紅はともかく上条さんはこの幻想郷の土地勘なんて一切無いんだ。多分教わっても覚えきれないかもしれないけど…」

 

そしてようやく精神的ダメージから復帰した当麻は会話の輪に加わろうとしていた、妥当だな

 

「私からも頼むよ、何分私は今まで永遠亭に案内する役割だったから売り子にされるのは初めてなんだ」

 

「よしっ、それじゃあ1度お茶でも飲んでから……」

 

だが、現実は物事が順調に進んでいる時に限って向かい風が吹くようになっていた

 

「あなた達は何を言っているのかしら?その前に垣根君が破壊した診療所の残骸を片付けて貰うわよ?」

 

「「「「え…………?」」」」

 

これが私達4人が初めて呼吸が合った瞬間だった

 

「……え、永琳さん?せめてその話は少しくらい休んでからでも…」

「今やらなくていつやるのかしら?」

「今です…」

上条当麻、10数秒で論破

 

「し、師匠!今は皆疲れていますし!!」

「うどんげ、人間の身体は中途半端に休んでから動かすと逆に疲れるのよ?」

「…はい…」

むしろ休まずに働くともっと疲れますよ、永琳さん?続いた鈴仙も10数秒で撃沈

 

「…永琳、悪いがさっき当麻に殴られた痛みのせいで満足に動けねぇんだ…悪いが俺は…!」

 

素人でも演技と分かるほどの苦しそうなフリを垣根は行った。それを聞くと永琳は目視

できないスピードで弓矢を取り出し、垣根の頬にかすらせる

 

「ごめんなさい、私とした事が失敗したわ。次はその矢の先端に痛み止めを打ち込む為の注射をちゃんと取りつけてから射る事にするわね」

 

「………誠心誠意、自分の不始末の後片付けを全うさせて頂きます…」

 

垣根に至ってはわずか数秒でケリがついた

 

 

「妹紅は?何か言いたい事はある?」

 

(この状況で何か言える猛者なんているのか…?もし私に言う事があるとするならば…)

 

「…皆、日暮れまでには片付けを完了させるぞー………」

 

「「「おー………」」」

 

結局、1人だけ逃げようとした輝夜も全員で捕縛して手伝わせたが片付けは陽が沈むまでかかったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

上条当麻SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 瓦礫の後始末に、埃で汚れた衣類の洗濯、そして破壊された庭の修繕などなどを済ませてから俺と垣根はようやく休憩する事が出来た。ちなみに妹紅と鈴仙、輝夜は先に風呂で汗を流しているらしい

 

「垣根~…今度暴れるなら永遠亭以外の場所にしろよ…もう上条さんは永琳さんの逆鱗に触れたくないぞ…」

 

「んな事言われなくても分かってる、元より永琳に逆らう気は無かったが…さっきの顔面スレスレ弓矢のせいで余計に逆らう気が失せたからな」

 

だよなぁ…俺としてはあそこで仮病を使って逃げようとした垣根の大胆さが羨ましかったんだが…

 

「ほらほら、こんな地面に座り込んでないで早く汗を流してきたら?着替えは一応だけど用意してあるわ」

 

振り向くとそこには入浴前と同じ服を着込んだ鈴仙が立っていた

 

「おっ、サンキュー鈴仙。ところでパジャマには着替えないのか?」

 

俺は何気なく気になった事を質問してみた

 

「パジャマ?あぁ、外界で言う寝巻のことね。私はこの服装の方が落ち着くのよ」

 

まぁ住む所が違えば風習も違ってくるし、今更俺はこんな事に疑問を感じない

 

「じゃ、上条さんはサッパリさせてもらいますよ~。垣根、風呂の場所は分かるか?」

 

「あぁ、患者用の男風呂があるんだ。ったく、病みあがりだってのにこき使われたから汗がすげぇんだよ」

 

「はいはい、私には垣根が地味にさぼっているのが見えたけどね。湯に浸かり過ぎてのぼせないようにね?」

 

「うるせぇな、俺はさぼったんじゃなく身体の事を気にかけて休憩を挟んだんだ。ついでに言うとガキじゃねぇんだからそんな心配はいらねぇよ」

 

垣根と鈴仙の会話がどこか夫婦染みてるな、やっぱり数週間も入院しているとこうなるんだな

そして垣根に男風呂へと案内され、俺達は瓦礫の後片付けなどでかいた汗を流した後に湯船に浸かった

 

「それにしても人生は分からないものだよな、上条さんなんてほんの10数時間前は科学が集う学園都市にいたんだぞ?それがいつの間にか竹林のど真ん中で、その数時間後には垣根と戦う羽目になるんだもんな」

 

「そりゃお気の毒だな、だが俺は過去の記憶をほとんど無くして目を覚ましたら幻想郷だの、妖怪だの、神だの言われるんだぜ?さすがに頭の処理能力がパンクするんじゃねぇか?」

 

普通ならこれは多少なりとも雰囲気が暗くなる話ではあったが、実際には上条当麻と垣根帝督の雰囲気は特に変わりの無い穏やかなものであった。それは2人の異常性の表れでもあり、2人が友達だと言う事も示していた

 

「まっ、何にしてもさっさと薬を売り切って博麗の巫女か八雲紫さんとやらに頼みこんで早く学園都市に帰ろうぜ?向こうに戻った時は垣根の知り合い探し位なら手伝うから心配しなくていいぞ?」

 

(確かに考えてみれば垣根の方が大変なんだよな…記憶も無くして、目を覚ましたら知らない場所で…。おまけにあんな凄い能力を持ち合わせてるんだから多分LEVEL5の能力者なんだろうし…)

 

「……そうだな、その時はよろしく頼むぜ」

 

だが肝心の垣根は…顔を暗くしてすぐに風呂からあがってしまった。まさか俺が何か言ってはならない事を言ってしまったのか!?

 

それなら後で謝らないとな…と思いつつ俺は急いで風呂から上がった。

 

そして俺と垣根が永遠亭のリビング?に向かうとそこには…

 

「垣根に当麻、遅かったじゃないか。作るのに手間をかけたんだから冷めたらどうしようかと思ったんだぞ?」

 

妹紅は湯気のあがる白ご飯を

 

「そうよ、せっかく師匠が奮発してお肉を買ってきてくれたんだから冷ますなんて勿体無いわよ!」

 

鈴仙は熱々の焼き鳥の串を各々の更に分配し

 

「垣根!ウニ条!!待ちくたびれたじゃない、今日はたくさん動いたからお腹が空いたのよ!あと1分遅かったら待ち切れずに食べ始めていたわ!」

 

蓬莱山は…言うまでもなく何もせずくつろいでいた

 

「蓬莱山は絶対に何もしてないし、今日だって動いてないだろ!?でも永琳さん…こんな御馳走、どうしたんですか?少なくとも今日は歓迎されるような日じゃ…」

 

上条さんは見事幻想郷と言う謎の世界に迷い込み、妹紅は成り行きで1度死ぬ事になり、垣根は俺が一方通行について話したせいで暴走して、鈴仙は…まぁ不幸だな…

 

 

(考えれば考えるほど皆不幸な目に遭ってるんだな…しかもほとんどが上条さんのせいじゃないですか!?)

 

「確かに今日1日として見るとマイナスな出来ごとの方が多かったわね。でも…上条君、あなたが来てくれた事によって垣根君は記憶を取り戻す手がかりを掴めたの。医者としては患者が快復に向かってくれることほど嬉しい事は無いのよ、それに…良い意味で姫様にも刺激が届いたようだし…♪」

 

「ふんっ…!別に私は何も変わっていないわ、私は不変の能力を持っているのよ?」

 

「はいはい、そうですね♪」

 

だとしても…俺のせいで皆は…

 

「当麻、今一瞬自分のせいで今日1日の出来事が起こったと考えなかったか?」

 

「も、妹紅…いきなり背後に立つなよ。あと勝手に心も読むのも止めてくれ…」

 

「ははっ、悪い悪い。それでどうなんだ?やっぱり自分のせいだって思ってるのか?」

 

「…当たり前だろ?俺が幻想郷にさえ来なければ…」

 

「まっ、結論から言ってしまえばそうなんだよ。どんな御託やお題目を並べてもそれが真実だ」

 

……これはキツイ、いや事実だから妹紅に非は無いけれど…

 

「でもな、それを当麻が責任に感じる事とウジウジ悩むのはまた別問題なんだよ」

 

「どういう…意味なんだ?」

 

俺は妹紅の言いたい事が理解出来ないでいた、ただ鈴仙や永琳さんに蓬莱山は妹紅の言いたい事は分かっているようでクスクスと笑っているように見える

 

「責任問題の話をするなら確かに当麻に非がある、でもそれは不慮の事故が重なった末の結末であって子供のせいにするのはいくら何でも筋違いだ」

 

「…で、でもそのせいで皆に俺は迷惑を…!」

 

「良いか、当麻。1人で何でも背負いこもうとするな、逃げたって良いんだよ。逃げた結果、たとえ誰かに迷惑をかけたとしても逃げるキッカケになってしまった自分の弱さと向き合ってそれを改善するならな。今だってそうだ、確かに当麻が幻想郷に来なければ誰も傷付かずに済んだだろう。でも誰一人として変わる事は出来なかった、当麻は今こうして何でも背負いこもうとする自分に向き合えなかったし垣根は自分の過去と向き合うキッカケにすら出会えなかった…私や鈴仙、輝夜だってそうだ。皆何かしらの「変化」のキッカケを掴めたんだ」

 

「…何だかなぁ…妹紅に励まされてるのか貶されてるのか分からなくなって来たぞ…」

 

「勿論励ましているに決まっているじゃないか、少し辛口だった自覚はあるんだけどね」

 

(今なら何となく俺が幻想郷に来た理由が分かる気がする、俺は…!)

 

「そこまで言われたらさすがの上条さんもくよくよしてられないぜ!よし、こうなれば上条さんは変わるぞ!自分の弱さからは目を逸らさない、そんな俺に変わって見せる!」

 

きっと俺は…何かを「変える」為にここに来たんだ。その何かまでは分からないけど…でも…

 

「変えていく勇気と変わらない心さえあれば、人も妖怪も…そして不変(かわらず)の蓬莱人ですらも変わっていける…妹紅、それがあなたの真実(ほんとう)の答え…ということね」

 

自身も妹紅と同じ蓬莱人であり、不変の能力を持つ蓬莱山輝夜は1人でそう呟いていた

 

 

 




それではいつものキャラ紹介


鈴仙・優曇華院・イナバ………[公]幻想郷の竹林にある永遠亭に住んでいる妖怪兎だが因幡てゐとは違い月に住む兎(玉兎)である。元は月の都の住人である綿月依姫、綿月豊姫のペットだったが人類が行おうとしていた月面侵略計画(要はアポロ計画のこと)に恐れをなして地球に逃げだす。そして辿り着いた先で幻想郷の噂を聞きつけ、永遠亭で暮らすこととなる。鈴仙自身は非常に臆病だが、月の軍隊に在籍していたこともありその戦闘能力は優秀。
所有する能力は「狂気を操る程度の能力」、だが実際は人や妖怪の波長を操って狂気に陥れている。これはかなり応用が利く能力であらゆる物の波長に干渉することが出来る
(例:廊下の波長に干渉して、その長さを異様に長く見せたりする)




[オリ]垣根と出会うまでは人間恐怖症気味だったが彼と話すうちにいつしかそれも改善された。周囲に友好的ではあるものの完全に心を開かない垣根の事を気にかけており、鈴仙自身は「自分よりも垣根の方が対人恐怖症」だと思い込んでいる
また、月の軍隊にいた頃の名残か太もものホルダーには常に拳銃やナイフが携帯されている。最近のお気に入りはロシア製のトカレフTT-33、現代ではとうの昔に他の拳銃へと置き換えられたがそのせいで幻想入りし鈴仙の愛用銃となった。




う~ん、鈴仙のオリジナル設定で拳銃のインパクトの方が強過ぎるような気が…まぁ良いでしょう、私も鈴仙が拳銃を構えているシーンの絵は大好きで少し前までは携帯の待ち受けでしたからね。ちなみに今はもこたんです
勿論、銃の設定を加えた事にもちゃんと意味があるんです。思い付きじゃないですよ?あたりまえじゃないですか!

それと来週は恐らく更新できないと思うので、次の投稿は5月の最終週になると思います。それではまた次回もよろしくお願い致します

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