クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 紫銀の月   作:MIDNIGHT

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夜刀神

アウラの都に異変が起こる少し前――――

 

神殿の地下深くに建造された開発区画にて、整備員達が龍神器の整備を進めていた。間もなく発動される大規模な作戦に向けて作業には余念がない。

 

それらを一瞥する開発主任の久遠は手元にあるレポートを見やる。

 

(やはり量産化には時間が掛かる―――よくてもう一機が間に合う、というところですか……)

 

そもそもの龍神器は1体建造するだけで、莫大な労力と資材、そして時間が掛かる。それこそ、都にいる作業員をすべて動員して早くても半年ほどだ。それを簡略化したとはいえ、量産するにはコストが掛かる。

 

試作機である程度のデータは得たとはいえ、既にリーファをはじめ、甲・乙・丙の3体の龍神器を先行機というカタチで運用しているのだ。とはいえ、エンブリヲ相手には油断ができないため、大巫女を含めた神官方から可能な限りの量産を進めるように指示が来ている。

 

その前は龍神器の強化プラン――人使いが荒いと、久遠は内心独りごちた。ため息混じりにレポートを閉じると、視線をハンガーに固定されているアイオーンへと向ける。

 

沈黙する天使を無言で見つめていたが、突如施設が振動に包まれる。突然のことに動揺し、整備班達は悲鳴を上げながら戸惑う。

 

久遠も振動に腰を踏ん張りながら、思考を巡らせる。

 

「(この振動は―――)…っ!」

 

その時、ハンガーに固定されていたアイオーンのバイザーに光が灯り、システムが起動する。

 

「ロック解除! 急いで!」

 

刹那、久遠がアイオーンのハンガー付近にいた整備班に向かって叫ぶ。突然のことに戸惑う間もなく、反射的にロックを解除すると、アイオーンが駆動音を響かせ、真紅の粒子に包まれる。誰もが驚く中、アイオーンは光に包まれて眩い光が満ち、一瞬眼を閉じる。

 

次の瞬間、アイオーンの姿は掻き消え、残留する粒子だけがその場に霧散する。

 

「しゅ、主任…今のは―――」

 

あまりに予想外の事態に整備班達は未だ続く振動のことも忘れるほど呆然となる。だが、それに対して久遠は瞬時に声を張り上げた。

 

「龍神器、全機出撃準備! ヴィルキスも出す、急いで!」

 

疑問も躊躇いも赦さず、ただ有無を言わせぬまま、叫ぶ久遠に整備班達はただ指示を実行するしかなかった。

 

 

 

 

 

 

ドラゴンの都全体が大きく揺れ、人々は何事と思わず外へと出る。それは勝負を行っていたセラやアンジュ、サラマンディーネ達もいっしょだった。

 

シャワールームで突如振動に襲われ、アンジュやサラマンディーネが戸惑うなか、セラはすぐさまかけていたタオルを取って身体を隠し、素早く部屋を飛び出していく。

 

「きゃ、セラ?」

 

アンジュに脇目も振らず飛び出していくセラに眼を見張るが、入れ替わりにリーファ達が飛び込んでくる。

 

「姉上、すぐに外へ!」

 

リーファのただならぬ様子にサラマンディーネも顔を厳しく顰める。

 

すぐにライダースーツに着替えたセラは一目散に施設の屋上へと駆け上がる。ドアを乱暴に開き、屋上から彼方を見やり、息を呑む。

 

「セラ!」

 

そこへ遅れて飛び込んできたアンジュ達も、セラが眼を向ける方角へ視線を移すと、眼を見張った。都の奥にあるアウラの塔の廃墟を中心とした周囲で異変が起きていた。

 

塔を覆うように空間が歪み、そして別の光景が幾重にも映し出されていた。

 

「あれは……エアリアのスタジアム!?」

 

一瞬だけ見えた光景にアンジュが驚きの声を上げる。いや、それだけではない―――廃墟のアウラの塔がまるで以前の外観を彷彿させるように外観が変わる。それは、『あちら』の世界の『暁ノ御柱』だった。

 

二つの塔が交互に入れ替わるように映し出される。まるで、向こうの世界と『共鳴』するように。

 

「――時空融合(クロノ・ブレイク)

 

その光景を一瞥したセラは、無意識にそう口走っていた。ほとんど聞こえなかったものだったが、すぐ傍にいたサラマンディーネだけは、その呟きを聞き留め、眼を微かに細める。

 

次の瞬間、彼女らの前方の空間に突如光が満ち、思わず眼を覆う。光が収まった刹那、再び視線を向けると、前方にアイオーンが静かに滞空していた。

 

「なぁ……っ!?」

 

「なぜ、この機体が!?」

 

アンジュは驚愕に眼を見開き、リーファも工場区にあるはずの機体が眼前に現れたことに戸惑う。タスク達も同様だが、セラは眼を細める。

 

(乗れっていうの……アレをなんとかしろ、って)

 

微かに明滅するクリスタルを握りしめ、思わず心中に問い掛けるも、アイオーンは答えなど返さない。だが、それが『肯定』を意味するかのように、ここへ――『セラ』の許へと現れたのだろう。

 

(こっちの都合もお構いなし、か――強引ね)

 

内心、大仰に舌打ちするも、アレを放っておくわけにはいかない。何故かは分からないが、そう確信できる。意を決したセラは顔を上げ、その場から駆け出す。

 

「セラ!?」

 

その行動に呆けていたアンジュが声を上げるも、セラはシートに飛び乗る。皆が驚くなか、サラマンディーネが身を翻す。

 

「焔龍號!!」

 

サラの額の宝玉が光り、空から焔龍號がやってくる。その間にセラはアイオーンを上昇させ、アウラの塔目掛けて機体を加速させた。

 

「セラ!」

 

一瞬注意が逸れたために、止まる間も聞く間もなく飛び出していったことに歯噛みする。それを一瞥すると、サラマンディーネも焔龍號に飛び乗り、機体を起動させる。

 

「ナーガはみなの避難を! カナメは大巫女様に報告を!」

 

「「はいっ!」」

 

「リーファ、あなたは二人を安全な場所に」

 

「はいっ」

 

サラマンディーネの指示に毅然と応じ、呆然となるアンジュとタスクにサラマンディーネが微笑む。

 

「アンジュ―――あなたの妹さん、私諦めませんからね」

 

「なぁ……っ!?」

 

思いがけない言葉にアンジュは一瞬、声を上げて固まる。その間に、焔龍號もまた浮上し、先行するアイオーンの後を追って飛び去った。

 

残されたアンジュは暫し、思考を停止していたが、タスクがやや苦笑気味に声を掛ける。

 

「多分、そういう意味じゃないと思うけど……」

 

「うるさいっ!」

 

自分の思考に自爆したアンジュが怒りをぶつけるようにタスクを殴りつけた。

 

一同はそのまま、召還したドラゴンの背に乗り、一路神殿まで戻った。神殿内は蜂の巣をつついたような騒ぎになっており、兵士達が矢継ぎに状況の確認を急いでいた。

 

そんな中、リーファ達が戻り、兵士達は弾んだ声を上げる。

 

「落ち着いて、既に姉上が出た――隊を二つに分ける、ひとつは神官方と大巫女様の護衛を! カナメ、あなたが指揮を!」

 

「はっ!」

 

「ナーガ、あなたはもうひとつを率いて民の避難を!」

 

「はっ!」

 

指示を出しながら、統制を取り戻し、一斉に散っていく。広場には既に上げられた龍神器がスタンバイされており、ナーガとカナメはそれぞれ愛機に向かっていく。

 

リーファも黄龍號に乗り込もうと駆け出そうとするも、アンジュが声を上げる。

 

「ちょっと、私も出るわ! ヴィルキスはどこ!?」

 

その言葉に動きを止め、振り返るリーファが苦々しげに顔を顰める。

 

「あなた方はここで待っていてください。これは我らの役目――」

 

「そんなもん関係ないわ!」

 

あくまで『客人』として扱おうとするリーファにアンジュが反論する。不可解な現象が起きていることに不安を憶えているのはアンジュも一緒だ。なにより、そんな状況でひとりだけ何もせずにただ待っているのはできない。

 

「セラとあのドラゴン女を追うわ! ヴィルキスはどこ!?」

 

再度問い掛けるアンジュに言い淀んでいると、背後から声が掛かった。

 

「よろしいのではないですか?」

 

聞き慣れない声にハッと振り返ると、背後の床ハッチが開き、そこから飛翔形態のヴィルキスが上がってき、傍には見慣れぬ女性の姿がある。

 

「「久遠(さん)」」

 

その姿にリーファとタスクが声を上げる。呼ばれた当人は特に返事もなく、眼鏡を軽く持ち上げながら、先程の言葉を反芻した。

 

「ヴィルキスを出します、よろしいですね?」

 

それは確認というよりも、既に決定事項のように告げ、ナーガが思わず噛みつく。

 

「貴様、何の権限があって――!」

 

「ヴィルキスの管理は私がサラマンディーネ様に一任されています―――それに、戦力は多い方がよろしいでしょう?」

 

そんな態度も気にせず、久遠は淡々と告げ、有無を言わせぬように再度問い掛けた。その言葉にリーファは考え込むも、それも一瞬ですぐに頷いた。

 

「分かりました――ヴィルキスも出します」

 

それにアンジュが意気込んで頷くも、リーファはキッチリとくぎを刺した。

 

「ただし、勝手な行動はしないこと、いいですね?」

 

「フン、それを決めるのは私よ」

 

馬の耳に念仏とばかりの態度に不安を憶えるも、ここで拒否しておとなしくしているという保証もないので、ここは自身の見えるところで手綱を握るしかない。久遠の言うとおり、戦力が少しでも欲しいのが実情だ。

 

「しかし、リーファ様…」

 

「責任は私が取ります。二人は早く!」

 

納得しきれないのか、言い募るナーガをピシャリと遮り、その頑なな態度に二人は頷き、踵を返して龍神器に乗り込むと、浮上していく。

 

リーファも黄龍號に乗り込み、機体を起動させていく。アンジュも脱兎のごとくヴィルキスに飛び乗り、機体を起動させる。

 

そして、ヴィルキスと黄龍號もまたその場から飛び去り、時空融合の起きている特異点目掛けていった。それを見送ると、タスクは顔を顰めて久遠に向き直った。

 

「久遠さん、俺の機体は!?」

 

タスクもこの場でジッとしているわけにはいかない。なにより、『あの』現象を見てしまった以上、放ってはおけない。

 

だが、それに対して久遠は無言のまま首を振る。

 

「まだ修理は終わっていません」

 

タスクが乗っていた飛行艇はこの世界へと一緒に落ちてきた時の衝撃で破損し、その修理を行っていたのだが、如何せん龍神器の整備やヴィルキスの修復など、整備班は忙殺されており、とてもではないがそちらまで人員を回せていない。

 

「くそっ、俺はここでジッとしているしかできないのか――!」

 

その返答に唇を噛む。機体がなければどうしようもない。憤るタスクに久遠は一瞬顎に指を当てて思案すると、顔を上げた。

 

「一体だけ、あることはあるのですが―――」

 

思いがけない言葉に顔を上げると、久遠は踵を返す。

 

「付いてきてください」

 

確認を取らず促し、歩き出す久遠を慌てて追った。

 

 

 

 

 

アウラの塔を中心とした時空の歪みは徐々にその範囲を拡げており、人々は避難するも、間に合わず、呑み込まれてしまった人は次の瞬間、崩壊した建物の残骸の中へと一体化して息絶えていた。

 

その光景に人々は逃げ惑い、その中にはヴィヴィアンとラミアの姿もあった。実家でお喋りに興じていた中で起きた突然の事態に母親に連れられて避難するなか、吹き荒れる時空嵐にて巻き起こる突風に煽られ、飛んでいた者達は地上へと落とされる。

 

誰もが混乱するなか、崩れ落ちた建物の破片が落下し、その真下にいたヴィヴィアン達を狙う。悲鳴が木霊するなか、真っ直ぐに飛来した閃光が瓦礫を撃ち抜き、粉々に粉砕する。舞い散る破片に覆っていたヴィヴィアンが顔を上げると、眼を輝かせる。

 

「おお、セラだ!」

 

こちらへと向かってくるアイオーンのシートに着くセラはそのまま中心に向かって進み、時折舞い上がる破片を排除しながら進む。

 

巻き上げられた破片が頭上に舞い、落下してきた瞬間、別の閃光がそれを撃ち抜き、破壊する。ハッと顔を上げると、すぐ後方から焔龍號が現われ、ごく自然にアイオーンの真横に並走する。

 

「私達に協力はしてくれなかったのではないですか?」

 

ハッチを開き、こちらを覗き込むサラマンディーネが含むような不敵な笑みで訊ねると、セラは小さく鼻を鳴らす。

 

「悪いけど、私はただアレをどうにかしたいだけよ―――」

 

荒れ狂う時空嵐を一瞥し、そして肩を竦める。

 

「それに、一宿一飯のカリぐらいは返させてもらうわ」

 

一瞥するや否や操縦桿を動かし、アイオーンを加速させていく。その態度にサラマンディーネも小さく笑い、後を追う。

 

未だ逃げ遅れている人々は少しでも離れようとするも、吹き荒む突風と舞い上がる瓦礫に阻まれ、思うように避難できない。

 

「ここは危険です、早く神殿に避難を!」

 

降り注ぐ瓦礫を排除しながら呼び掛けるサラマンディーネに、人々は不安をわずかに払拭するも、サラマンディーネの方は焦りを徐々に強くしていた。

 

アイオーンと焔龍號が竜巻に向かってビームを放つも、それらは呑み込まれるように消え、霧散する。進行速度を止めるどころか、阻むこともできない。

 

セラは舌打ちし、サラマンディーネは唇を噛む。

 

「どうすれば――!」

 

あの竜巻の正体も分からず、そして対処手段もないままでは、焦りが増すばかりだ。その時、通信が入る。

 

【撤退するのじゃ、サラマンディーネ】

 

「大巫女様?」

 

思い掛けない通信に思わず眼を見開く。

 

【龍神器はアウラ奪還の中心戦力――万が一があってはならぬ】

 

「っ…ですがっ」

 

その言葉に一瞬、息を呑むも、サラマンディーネは口調を荒げる。

 

【ならぬ――リーブラの民が、そちらに向かっておる。あとは彼らに任せるのじゃ】

 

だが、そんなサラマンディーネの想いを制するように抑揚のない声で告げる。この事態に対して大巫女も決して手をこまねいているだけではない。

 

既に事態収拾のためのドラゴンの部族を招集していた。

 

「しかし、それでは間に合いません!」

 

大巫女の指示も分かる。龍神器にもしものことがあれば、今後の作戦に支障をきたすことはサラマンディーネがよく理解している。だが、今からではドラゴンの部隊が到着するより前に事態が悪化してしまう。

 

なにより、眼の前で危機に瀕している民を見殺しにしてしまう。

 

【撤退せよ】

 

サラマンディーネの気持ちに大巫女の声も硬くなる。揺れているのは同じなのだ。だが、それでもドラゴンを纏める者として、毅然と遮る。

 

「民を見捨てるなど、私には……!」

 

【これは命令じゃ】

 

サラマンディーネの願いも虚しく、大巫女からの通信が切られ、悔しげに唇を噛む。このまま後退するなど、サラマンディーネの矜持に反する。だが、同時に近衛としての責任感もまた重くのしかかり、葛藤が続く。

 

だが、そのため注意が散漫してしまい、隙が生まれる。時空震によって飛ばされてきた向こうの世界のエアリアのスタジアムから吸い込まれたエアバイクが無数に舞い上がり、焔龍號に降り掛かった。

 

反応の遅れたサラマンディーネが眼を見開くと、焔龍號の前に3方向からシールドが飛来し、デルタ状のシールドを作り出し、衝撃を防ぎ、シールドに触れたエアバイクは粉々に砕け散った。

 

呆然となるサラマンディーネに冷淡な声が掛けられる。

 

「迷うぐらいなら、とっと退がりなさい――足手まといよ」

 

そんな時、辛辣な言葉が掛けられ、ハッとすると、アイオーンが焔龍號の眼前に立ち、セラが一瞥する。その言葉に思わず唇を噛む。

 

「自分のやる事ぐらい自分で決めなさい、ドラゴンのお姫様」

 

まるで、今の会話を聞いていたように揶揄すると、セラはアイオーンを翻し、アイギスを周囲に並走させながら嵐に向かう。その背中をサラマンディーネは暫し呆然と見つめていたが、やがて意を決すると操縦桿を引き、焔龍號を加速させた。

 

アイオーンに並走し、通信を開く。こちらに視線を向けないセラにサラマンディーネは悠然と微笑む。

 

「あなたにだけ任せてはフレイアの一族の名折れ―――私も、私の思うままに戦います!」

 

不思議だった―――大巫女の命令に逆らっているというのに、サラマンディーネの心持ちは先程よりも軽くなったように思える。

 

セラは応えないが、それでも口元を緩め、小さく笑う。2機はそのまま降り注ぐ瓦礫などを排除するも、数が多い。

 

その上、市街地に真上であるため、派手に立ち回ることもできない。その時、後方から接近する反応を捉えた。

 

「セラ!」

 

「姉上!」

 

ヴィルキスと黄龍號が接近し、合流してくる。

 

「リーファ、どうして?」

 

戸惑うサラマンディーネにリーファが申し訳なく顔を顰める。

 

「申し訳ありません、この者がどうしてもと――」

 

「ま、大人しくしているタマじゃないわね」

 

そんなリーファに相槌を返すセラだったが、当のアンジュはむくれるように口を尖らせる。

 

「そんな事より、アレをどうにかするのが先決でしょうが!」

 

思わず声を荒げるアンジュにサラマンディーネも苦笑気味にやれやれと肩を竦める。確かに、大人しくするようなタイプではない。見るに、ヴィルキスの修復も久遠が無事に終わらせていてくれたようだ。ならば、今は少しでも戦力が欲しい。

 

その時、竜巻の進行速度が緩まり、やがて静止する。その光景に一同は戸惑う。いったいどうしたというのか―――刹那、竜巻の周囲にエネルギーがスパークする。ハッと顔を上げると同時に無数のワームホールが広がる。

 

「シンギュラー――!?」

 

「そんな!? どうして特異点が!」

 

それはドラゴン達が次元を超えて並行世界へと渡る道―――だが、特異点が開くことは世界を繋げること。それが意味するものは――――次の瞬間、無数の叫び声が木霊する。

 

ワームホールから響くそれらは、まるで亡者のような声に聞こえる。そして、向こう側からその影が現れる。穴から姿を見せる巨大な影。

 

「アレは―――!?」

 

巨躯に見合う翼を羽ばたかせ、姿を見せるのは、セラやアンジュにとっても、サラマンディーネやリーファにとっても見慣れたものだった。

 

姿を見せたのは無数の『ドラゴン』の軍勢だった。だが、その姿は異様なものだった。全身の至る場所、顔の半分近く、半翼、尻尾の先―――それらを機械的なもので構成されていた。

 

なにより、その咆哮に混じるのは、生者とも思えない―――亡者の如き畏怖を憶えさせる。

 

「そんな…アレは、アレらはあちらの世界で戦死した同士達―――」

 

群れなすドラゴンの軍勢にサラマンディーネが驚愕に眼を見開く。それはつまり、あちらの世界――セラ達、アルゼナルで駆逐した大型のドラゴンということだ。

 

「そんな、どうして―――!?」

 

リーファも眼前の光景に思考が回らず戸惑うばかりだ。なぜ、あちらで戦死したはずの同胞達が、ここへと――しかも、あのような異形な姿となって―――混乱するなか、ドラゴンの後方で一際巨大なワームホールが開き、そこから巨大な影が姿を見せる。

 

ガレオン級を一回り以上上回る巨体―――だが、それを歪に感じさせぬかのごとく、胴体の上には3つの首がある。形の違うドラゴンの首が三対―――周囲と同じく機械的に覆われた3つの首が怨嗟のような咆哮を上げる。

 

その姿はドラゴンというよりも、もはやハイブリット――いや、神話上にある『キメラ』のようだ。ワームホールから現われたその姿は、まるで地獄からの死者のような威圧感を与える。

 

「―――っ」

 

セラやアンジュも息を呑むなか、ハッと三つ首のドラゴンの背中に何かの影が立っているのに気づいた。ドラゴンの背に跨るように佇むそれは、全身をボロの外套に呪符のような長い帯を纏わせている。不動のごとき佇まいで顔を隠しているそれは、さながら『亡者』を率いる『死者』だった。

 

大きさはパラメイルや龍神器と同じぐらい――なら、自分達と同じ有人機か……思考が動き出そうとした瞬間、キメラドラゴン達が一斉に口を開き、そこから光がこもれる。

 

「避けろっ!」

 

セラが咄嗟に叫んだ瞬間、アンジュ達は反射的に身を捻る。刹那、ドラゴンの口から光が解放され、真っ直ぐ伸びる熱線が空を、大地を穿ち、爆発の華を咲かせる。

 

出力が大きかったのか、眼下の都はすれすれで外れたが、周囲の山々や森が炎に包まれる。その威力にサラマンディーネは息を呑む。

 

だが、そんな暇さえ与えぬとばかりに進軍するドラゴン達が咆哮を上げて襲い掛かり、サラマンディーネは回避する。

 

「どうしたのですか!? あなた達は我らの同胞なのに―――!」

 

思わず回線で叫ぶも、そんな混乱など意にも返さず、そして躊躇すらせず、身を翻すドラゴンが突進し、焔龍號を弾き飛ばす。

 

「きゃぁぁぁぁっ」

 

「姉上!? うぁぁぁぁっっ!」

 

サラマンディーネの悲鳴に気を取られた瞬間、黄龍號も別の一体が振り払った尻尾に弾き飛ばされ、リーファの苦悶が響く。

 

同胞を相手に戦うことにサラマンディーネとリーファは躊躇い、動きに精彩がない。だが、そんな感傷など構うことなくドラゴンは襲い掛かり、その巨大な口を開き、かつてノーマを穿った牙を焔龍號に向ける。

 

眼を見開くサラマンディーネだが、噛みつかれる寸前で割り込んだアイオーンがレーヴァティンを振りかぶり、ドラゴンの首を両断する。

 

噴き出す血は『生』の赤とも言えぬ薄汚れ、黒く濁ったもの―――断末魔さえ上げず、生命活動ではなく、機能を停止した機械のごとくその身を落下させた。

 

「セ、セラ―――」

 

その光景に呆然と呟くも、セラは冷淡に返す。

 

「たかが見てくれに動揺するなら、とっと退がりなさい! 今、あなたの前にいるのは敵なのよ!」

 

怒鳴りつけるような言葉で一喝するセラにハッとする。

 

あのドラゴン達は既に死者だ。その遺骸をただ利用しているだけに過ぎない。その程度で動揺してしまう―――思わず小さく口を噛む。

 

「それとも、あなたの覚悟とやらはその程度で揺らぐほど薄っぺらいの!?」

 

アウラを取り戻す―――そのために命を賭ける……それがアウラの民の悲願であり、譲れぬ信念である。そして、己はそれを率いなければならない。

 

(二度も諭されるとは――私も未熟ですね)

 

サラマンディーネは徐に両手で頬を強く叩き、喝を入れる。次に顔を上げたとき、彼女の眼には凛とした覚悟が宿っていた。

 

そのまま焔龍號を上昇させ、アイオーンの隣に並ぶ。

 

「あなたに感謝を―――我らの同胞を辱める行為、決して赦しはしません」

 

静かな決意と怒りを秘め、視線を後方で滞空する三つ首のドラゴンに向ける。その背中に佇む影――アレが恐らく、このドラゴン達を操っているのではないかと推察する。

 

セラも同じ結論に至ったのか、アイオーンが身構える。

 

「リーファ、あなたは彼らの相手を!」

 

「アンジュ、あなたはフォローに回って!」

 

突然の言葉に驚くアンジュとリーファだが、返事を待たず、セラとサラマンディーネは前方を見据える。

 

「「私は――アイツを叩く(きます)!」」

 

言葉が重なると同時にアイオーンと焔龍號が加速し、ドラゴン達の群れなす中へと突入する。

 

「姉上!?」

 

「ああもう、また無茶して!」

 

リーファが困惑し、アンジュは大仰に悪態を零す。だが、セラとサラマンディーネは一直線に飛び、立ち塞がるドラゴンを捌いていく。

 

かわされたドラゴンの一群はそれを追うこともせず、アンジュ達に襲いかかってきた。

 

「くっ!」

 

未だ躊躇うリーファは歯噛みする。動きが硬い黄龍號に襲いかかるドラゴンに対してヴィルキスが横殴りにタックルし、相手を怯ませる。

 

「こんのぉぉっ!」

 

そのままドラゴンの腹に回し蹴りを叩き込み、ライフルを一斉射する。弾丸に頭を撃ち抜かれたドラゴンは機能を停止し、そのまま地上へと落下する。

 

「しっかりしなさいよ、このドラゴン女! ボケっとしてむざむざ殺られるつもり!?」

 

その罵声に感情が一気に沸騰するも、おかげで幾分か冷静さを取り戻せた。そうだ、と――ここで自分が殺られては何の意味もない。

 

なにより、同胞達をこのように利用する怒りと利用されている同胞へのやるせなさが沸き上がる。

 

その時、ヴィルキスの背後から別のドラゴンが襲いかかろうとし、リーファは反射的にビームライフルを構え、トリガーを引いた。

 

ビームがヴィルキスを掠め、迫っていたドラゴンの腹部を撃ち抜き、よろめく。振り返ったアンジュがライフルを撃ち、トドメを刺す。

 

「今だけは手を貸してもらいましょう」

 

「はん、私の足を引っ張らないでよ!」

 

「こちらの台詞です」

 

互いに憎まれ口を叩きながら、アンジュとリーファは向かってくるドラゴン達と交戦する。機械で欠けた部位を補っているドラゴンのキメラは、光を宿さない瞳と機械で継ぎ接ぎされた機械の無機質な瞳を向け、口から炎や熱線を吐き、ミサイルを斉射する。

 

黄龍號はファングを展開し、複数の飛翔体がビームを放ち、弧を描くミサイルを狙い撃ち、破壊する。その爆発に炎や熱が僅かに緩和され、威力が減衰する。

 

霧散する中へと飛び込み、ヴィルキスが剣を振り上げ、ドラゴンの機械の翼を斬り飛ばす。飛び散るオイルのなか、態勢を崩すドラゴンに黄龍號が迫り、薙刀を振り上げる。

 

リーファはキツク口を結び、何かを噛み締めるように振り払い、ドラゴンを袈裟懸けにし、機能を停止させる。

 

(赦せ――せめて、この地で眠れ)

 

落ちていくドラゴンの死骸に背を向けながら懺悔する。

 

だが、そんな感傷に浸っている暇などなく、ドラゴン達は翼を羽ばたかせ、突風が吹き荒れ、周囲を旋風で包む。暴風が動きを抑制し、舌打ちするなか、空から避難していた民達がそれに煽られ、その中には母親に抱えられたヴィヴィアンもいた。

 

「きゃぁぁっ」

 

「おおおお!」

 

体勢を崩し、投げ出される二人に気づいたアンジュが声を上げる。

 

「ヴィヴィアン!」

 

だが、ここからでは間に合わない。そのまま地面に叩きつけられるかと思ったが、そこへ手が差し出され、その中に二人は抱き止めるように受け止められる。

 

「おおっ」

 

顔を上げたヴィヴィアンが驚き、アンジュも思わず眼を丸くする。

 

「アレって、アルゼナルの――」

 

ヴィヴィアン達を受け止めたのは、アンジュにとっても馴染み深いもの――アルゼナルのパラメイルであるグレイブだった。

 

だが、何故アルゼナルの機体がここに居るのか―――戸惑うも、思考を巡らせる前にグレイブから搭乗者の声が響いた。

 

「大丈夫か、ヴィヴィアン?」

 

「タスク!?」

 

「おお、ありがとう! タスク!」

 

予想外の相手にアンジュが眼を見張り、ヴィヴィアンは快活に声を上げる。そんなヴィヴィアン達をそっと地面に下ろすと、そのまま機体を上昇させ、滞空するヴィルキスと黄龍號に合流する。

 

「タスク殿、どうしてあなたが――」

 

「それに、その機体はどうしたのよ!?」

 

戸惑うリーファに、アンジュが詰め寄るように声を荒げる。前者は何故戦場に出てきたのか、後者は何故アルゼナルのパラメイルに乗っているのか―――態度から疑問を察したタスクはどこか苦笑気味に頬を掻く。

 

「久遠さんが用意してくれたんだ、解析用に向こうの世界から回収してきたらしい」

 

出撃できないジレンマに焦っていたタスクを連れて久遠が案内したのは工場区の一画―――そこにこのグレイブが保管されていた、当然タスクもドラゴンの施設にパラメイルが在ったことには驚いた。

 

久遠の説明では、対立する偽りの民――すなわち障害となっているアルゼナルの兵器を研究するため、幾度かの進攻で破壊したパラメイルの残骸をいくつか回収し、解析と研究用に修復したらしい。

 

そのデータ取りも終わり、龍神器なら脅威にはならないだろうと結論を出したのが、この際その辺りは関係ない。幸いにタスクにはパラメイルの機構にも精通している。

 

愛機の飛行艇よりもパラメイルの方が戦力になると借り受け、こうして合流してきた。

 

「それに、『アレ』を見てしまった以上、見過ごすわけにはいかない」

 

説明を終えると同時に時空嵐を睨みつけるタスク。

 

「タスク殿、アレが何か知っているのですか?」

 

「ああ、アレはエンブリヲの仕業だ。間違いない―――!」

 

答えるタスクの口調に怒りが混じり、操縦桿を握る手が震え、剣呑な気配が漏れる。ただならぬ様子に思わずアンジュとリーファは息を呑む。

 

「俺の両親や仲間達は、石の中に埋められて死んだ、あんな風に―――!」

 

まるで掻き回されたように建物の残骸の中に同化したように息絶えたアウラの民の姿に忌まわしい記憶が甦る。タスクの両親や古の民の仲間、かつてのリベルタスに参加した仲間達は、アレと同じカタチで死んだ。

 

もはや決して助かりはしない――その上、そう簡単には死ねない……まさに生き地獄―――再び眼にした光景に身体が震える。

 

「ヒドイ――」

 

「なんと残酷な――ならば尚の事、アレを止めなくては!」

 

タスクの言葉に同じように怒りを覚え、アンジュとリーファは決然と顔を上げる。一刻も早くアレを止めなくてはならない。

 

そのためにも、先行したセラやサラマンディーネに合流しなくては――そう決めた瞬間、前方から激しい衝撃が拡散し、アンジュ達は思わず圧倒された。

 

 

 

少し前―――先行したセラとサラマンディーネはドラゴンを駆逐、または捌きながら中心にいる巨大な三つ首のドラゴンに向かっていた。いや――正確には、そのドラゴンの背中で佇む影にだ。

 

だが、こちらの進攻などまるで動じていないようにその場で静止するかのように静観している。

 

「アレは、エンブリヲの手の者なのでしょうか?」

 

状況から考えればそうとしか考えられない――だが、エンブリヲ本人ではない。それは確証はないが確信できる。ならばいったい何者か―――外套で覆われているため、カタチは分からないが、ラグナメイルかと思考を巡らせるサラマンディーネだったが、セラは立ち塞がるドラゴンを斬り払い、小さく鼻を鳴らす。

 

「訊けば分かるわ」

 

手っ取り早い手段を呟くと、道を塞ぐように群がるドラゴンをレーヴァテインで斬り払いながら、アイオーンが焔龍號の前に出る。

 

「露払いはしてあげるわ――いきなさい!」

 

サラマンディーネの返事を待たず、アイギスを展開してドラゴン達を牽制する。怯むドラゴンに向かって突撃し、レーヴァテインで斬りつけ、身体を穿つ。

 

セラなりの気遣いだろう―――ドラゴンの事となれば、サラマンディーネが決着をつけなければならない。その心に感謝しながら、サラマンディーネは焔龍號を加速させる。

 

ドラゴンの間隙を縫って一気に迫る。三つ首のドラゴンは威嚇するように首を振り、翼を羽ばたかすも、それに臆することなく焔龍號を頭上に舞い上がらせ、サラマンディーネはその背に佇む影を見据える。

 

上空から狙おうとした瞬間、影が顔を上げ――ドラゴンの背を強く蹴るように跳躍する。

 

「っ!?」

 

気づいた瞬間には、影は焔龍號の頭上を取り、靡く外套を振り被り、顕になるは機械の腕―――腹部に差していたと思しき巨大な刀のような剣を左手に抜き、上段から斬り掛かる。

 

反射的にサラマンディーネは焔龍號の右腕のブレードを展開し、振り下ろされた刃を受け止める。刹那、衝撃が周囲に拡散し、腕が振動する。

 

なんとか受け止めたものの、衝撃で右腕が軋んでいる。歯噛みするサラマンディーネは振り下ろしながら顔を覆う外套の隙間から見える眼が紫紺に輝き、息を呑む。

 

受け止めていた腕を横へと捌き、軌道を逸らして距離を取る。

 

「一筋縄ではいかないようですね――ならばっ!」

 

焔龍號は右腕にセットされている天雷をオミットし、浮いたそれを右手で掴むと、大きく振り払う。刹那、ブレードが伸び、巨大な剣となる。

 

相手は刀を使用していることからも、剣撃主体と察する。だが、剣術ならサラマンディーネにも覚えがある。

 

「参ります、飛槍突斬!」

 

大きく引いた剣を回転させるように突き、竜巻のような突風を起こす。迫る衝撃波に影が剣で受け止め、若干怯む。

 

その隙を逃さず、焔龍號は距離を一気に詰めて天雷を構える。

 

「回羅旋斬!」

 

懐に飛び込むと同時に身体を大きく回転させてその遠心力で刃を回し、相手に斬りつける。影も剣を振り上げて斬撃を防ぐ。だが、サラマンディーネは止めることなく技を繰り出した。

 

「地天昇斬!」

 

鋭く下から突き上げる一撃が狙うも、相手はまたも剣で斬撃を弾き、致命傷にはならない。

 

(読まれている…? いえ、なにか――違う―――)

 

さすがにサラマンディーネも表情を怪訝そうに歪める。自分の剣撃が読まれている――いや、それ以上にクセを知っているかのように先にいなされてしまう。

 

外套の下で不気味に沈黙する影に嫌な実感を憶え、それを振り払うようにサラマンディーネは攻める。

 

「ならばこれで! 千渦連斬!」

 

鋭い剣撃の嵐が斬り込まれる。無数の刃の高速の連撃――さしもの影も左手で受けていた剣の刀身が幾度も斬り込まれ、砕け散る。それだけに留まらず。持っていた左腕ごと斬り刻まれ、フレームが粉砕される。

 

「もらいましたっ!」

 

好機とばかりに仕掛けようとするが、影のコックピットに座る人影の口元が微かに歪んだ。

 

 

 

【ADVENT】

 

 

 

機械的な音声が小さく響く。それに一瞬、サラマンディーネの注意が逸れる。

 

「きゃぁぁっ!」

 

刹那、焔龍號は横殴りに弾き飛ばされ、体勢を崩す。衝撃に呻き、顔を上げたサラマンディーネの眼には、龍とも蛇とも取れる機械の獣が飛び、それが影の周囲を守るように回っている。

 

 

 

【STRIKE VENT】

 

 

 

突然のことに戸惑うなか、またもあの音声が響き、それに呼応するように獣の眼が不気味に光り、咆哮を上げて上昇し、空中でターンして影に向かって降下してくる。

 

激突するかのように迫る獣に向かって影が喪った左腕を翳す。それに噛み付くように獣が口を開き、接合する。その衝撃で周囲が振動し、サラマンディーネは一瞬、視界を覆われる。

 

だが、すぐさま視線を戻した瞬間、その眼が驚愕に見開かれる。

 

衝撃波で吹き飛んだのか、全身を覆っていた外套と呪符が弾け飛び、周囲に飛散する。顕になって全身を誇示するように左腕に接合した巨大な腕を振り払う。

 

それは丈をゆうに倍は超える巨大な剣だった。

 

だが、サラマンディーネは驚いたのはそんな事ではない―――その巨大な剣を左腕と化す機体のディテールは、所々鋭化しているが、その意匠は龍神器と同じ……しかし、その頭部は異様だった。龍神器と同じツインアイを持つ額には蛇のようなモニュメントが飾りのようにあしらわれ、その口部はまるで生物のように生々しい牙が生えている。

 

「夜刀、神―――」

 

古代の神話に登場する『夜』と『暴力』を象徴する蛇神。その姿に無意識に発した名をまるで肯定するように、夜刀神は獣のような咆哮を上げた。




また遅れて申し訳ありません。

内容を精査していたら、思った以上に時間が掛かってしまい、プロットなら、もう少し先まで進める予定が文字数が超過してしまい、ここで切ることにしました。

次回でヴィルキス、焔龍號の強化にアイオーンの覚醒など、一気に進めます。

ではでは、楽しんでいただければ幸いです。←感想でも貰えるとモチベーションアップになります><

次に書くのはどれがいいですか?

  • クロスアンジュだよ
  • BLOOD-Cによろしく
  • 今更ながらのプリキュアの続き

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