とある魔王の魔法戦記   作:WARA

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修正しました。


TURN01   魔法使い の 隠れ里

 

 

 

 俺の前世の記憶は、全て残っている・・というより覚えている。

 

 まあ・・自分で言うのも変だが、俺の記憶力はカメラみたいなものだ。

 

 一度、見聞きした事の全てを覚えているというのは確かに異常だろう。

 

 天才児扱いされかねないが、前は体力がなかったからな。

 

 鍛えておくに越した事はないだろう。

 

 前世での俺は自身の知略と【絶対遵守】のギアスを頼りに戦っていたが、生身での護身をある程度習得していればよりスムーズに事を運べただろう事態が幾つもあった事だし、これは丁度良い機会なのかもしれない。

 

 この身体が、その方面に向いているなら、今度はそうしてみても悪くない。

 

 と言うか、前世でも僅かでも鍛える位しておくべきだったと、今更ながらに思う。

 

 自身の採れる戦術が向上したのなら、それを踏まえた上で戦略に幅を持たせる事も可能なのだから。

 

 少しでも有利となる要素を増やす努力は怠るべきではない。

 

 まあ、並行世界?の俺は生身でランスロットと張り合うという馬鹿げた事をやっていたが。

 

 ギアスに関しては、ナナリーがギアスを得た世界と酷似していた。

 

 ギアスや、エデンバイタルという物が、どう関係しているのかはまだ分からないが。

 

 魔法方面は大丈夫だろうしな。

 

 何しろ、この村にいる奴らが・・・魔法使い?らしい。

 

 話を聞いていると、そういう事みたいだ。

 

 師匠には困りそうもない。

 

 知り合いにも魔法使いが大勢いそうだし。

 

 ああ・・そう言えば自己紹介してなかったな。

 

 俺の名前は、ルルーシュ・スプリングフィールド。

 

 前世では・・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという悪逆皇帝やら魔王と呼ばれた男だ。

 

 

 

     ●

 

 

 

 何の因果か知らないが赤ん坊に転生したらしい。

 

 そう赤ん坊なのだ……。

 

 まあ赤ん坊になった以上やれる事と言えばミルクを飲むか寝る事か考える事くらいしか俺にはないのだが、流石に1番困ったのはトイレだった。

 

 見た目は赤ん坊かも知れないが、中身は18歳の高校生なのだ。

 

 まあ、赤ん坊だって分かっていても割り切れないものがある。

 

 何が悲しくて他人に自分の排泄物を世話をされているのだろう?

 

 そう最初は、村のおばさん。

 

 後に知り合いもとい幼なじみになるアーニャの母親にオムツ交換の世話をやってもらっていたのだが、これでも精神的にきつかったのだが、それに興味を持ったのかは知らないが従姉のネカネ・スプリングフィールドまでやって来て、年下の10代ぐらいの少女にオムツ交換されているのだ。

 

 この時ほど、精神的にきついものはなかったかも知れない。

 

 この時の従姉はノリノリでオムツ交換に来るのである。

 

 泣いて喚いても、全然伝わらずやめてくれなかった。

 

 これは何かの罰かと思ったほどだ。

 

 もし罰などだとしたら……これは確かに凄い罰だぞ?

 

 まあ、因果応報かも知れないが。

 

 もういい、やめようこの事を考えるのは……鬱になりそうだ。

 

 あれから月日が経ち、俺は3歳になった。

 

 大体は自分が置かれている状況が理解できたし、名前もわかった。

 

 ここは日本ではなく英国、イギリスらしい。

 

 名前はルルーシュ・スプリングフィールド。

 

 何故、前世と同じ名前なんだ?

 

 まあ、違和感がなくていいが?

 

 従姉妹であるらしいネカネ・スプリングフィールドという少女と一緒にウェールズという山奥に住んでいる。

 

 母親は俺を生んで暫くして何処かへ行った。

 

 まだ生きているのかそれとも死んでいるのか。

 

 分からないが、顔も覚えていない奴に興味はない。

 

 父親は最初からいなかった。

 

 名前はナギ・スプリングフィールドというらしく、有名人らしいがもう死んでしまったらしい(と魔法の師匠であるスタン爺さんから聞いた)。

 

 こちらも会ったことがないので母親同様興味は殆どなかった。

 

 そんなことよりも驚いたことが一つ。

 

 実は俺がいる村の人達は皆魔法使いだったということだ。

 

 最初は信じなかったな。

 

 子供をからかうための嘘だろうと思っていた。

 

 しかし実際に何やら呪文を唱え、手から光を放って木が爆発した時には驚いた。

 

 初見では木に爆薬を仕掛けたのか?とも思ったが、他にも風やら雷やらしまいには、杖で空を飛んだり(自分も一緒に乗った)を目の前でされればもう信じるしかない。

 

 勿論俺も使えることができ、3歳の誕生日には子供用の星が先に付いた魔法の杖を貰った。

 

 ネカネ姉さん(最初はネカネさんと呼んでいたが他人行事は止めてと涙目で言われたためこう呼んでいる)はすでにきちんとした魔法を習うために魔法学校という所に行っており、この年にもかかわらず一人暮らしであった。

 

 別に寂しくもなく、俺が生活できてるのも魔法を習うっていう名目でスタン爺さんを初めとする魔法使い達の家に転がり込んでメシ食わしてもらってるからだ。

 

 村のやつらは俺が積極的に魔法に興味をもつことをどうやら歓迎してるみたいだ。

 

 ことあるごとにお前の父親は英雄なんだぞとかナギみたいな立派な魔法使いになりなさい。

 

 なんて言ってくるのには面倒くさいが、食わしてもらってる身だしな。

 

 基本右から左へのスルーなんだが、真面目に聞いてるふりぐらいはしてやるさ。

 

 しかし3歳児にむかって職業選択の自由を奪うってどうかと思うが。

 

 次は魔法についてだな。

 

 魔法使いの魔法とは、この世に遍在する精霊に術者が魔力を受け渡して精霊に働きかける魔法体系である。

 

 この魔法の利点は、才能があまり無いものでも安定した攻撃力を得られると言う事だろう。

 

 真面目に学習すれば極端に弱すぎる、と言う事が無い。

 

 それに魔法使いの魔法は、精霊に介している故に己の能力以上の事を成しえると言う、最大の利点がある。

 

 魔法使いの魔法は数多の精霊に働きかけさえすれば、別種の魔法も行使可能なのだ。

 

 つまり、魔法使いの魔法は、非常に安定していて汎用性が高いのだ。

 

 努力すれば、ある程度の才能の持ち主でも、それなりの実力を得る事が出来る。

 

 それ故なのか、魔力の燃費を抑えたり、呪文を簡略化したりする研鑚があまり一般的ではない様子だ。

 

 世の中には魔力を持ってても精霊を認識できずに魔法を使えないような人間もいるらしいが、俺にはあんまり関係ない話しだしな。

 

 先天的に魔力量が多いし、精霊との親和性も他の人より高いみたいだ。

 

 もともと家系的に風の精霊と相性がいいらしい。

 

 スタン爺さんが言ってたから間違いない。

 

 俺はスタン爺さんなどの魔法使いに引っ付いて魔法の勉強と日々の糧を得る生活。

 

 そんな生活に終止符が打たれたのは、とある冬の寒い寒い夜のことだった…。

 

 

 

 

 




後書き
ルルーシュ=ネギになります。
ルルーシュが憑依したことで若干髪の色が変化してます。

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