ハリー・ポッターと滅びゆく一族の末裔   作:水湖 玲

6 / 29
お久しぶりです。始めにわたしの拙い文に評価をつけてくださった方々に御礼申し上げます。


狙う者

クリスマス休暇はあっという間に終わった。ハーマイオニーは休暇中の出来事を聞いて、あきれたり悔しがったりした。ハリーは新学期早々クィディッチの練習が始まり、セレーンやハーマイオニー、サムに手伝ってもらいながら何とか大量の宿題をこなしていた。

 

「スネイプが今度のクィディッチの審判をやりたいと言い出したんだ」

 

真っ青のハリーを見て、チェスで対戦中だったロンとハーマイオニーはすぐに反応した。

 

「試合に出ちゃだめよ」

「病気だって言えよ」

「足を折ったことにすれば?」

「スネイプ先生が審判になるのはいけないの?」

 

セレーンはハーマイオニーたちに不思議そうに聞いた。サムはセレーンの手をそっと叩いて合図したが、遅かった。

 

「なんだって⁉︎君は僕らの話を聞いていたかい⁇スネイプはハリーに呪いをかけたんだぞ?」

「それは」

「スネイプかクィレルか。どちらがハリーを殺そうとしたかはわからない。今までの出来事から考えるとね。僕としてはどちらも警戒すべきだと思う」

 

サムはセレーンを遮った。セレーンからクィレルの形相について聞いていたサムとしてはクィレルのほうが怪しいと睨んでいた。しかしサムは密かに二人の過去を探っている途中なので、結論には至れずにいる。今はまず警戒を怠らないことだ。

 

「そうね。サムの言うとおり、どちらも怪しいわ。私としてはスネイプだと思ってるけれど…」

「どっちにしろ僕が出ないとグリフィンドールはプレイできなくなってしまう」

 

ハリーは諦めたようにつぶやいた。

 

とうとうクィディッチの本番。グリフィンドール対ハッフルパフである。ハーマイオニーとロンが不安気にハリーの登場を待つ中、セレーンはいち早くダンブルドアが会場にいると気づいた。

 

「ダンブルドアよ。これなら誰もハリーに手は出せない」

「あぁ!よかったわ!」

 

セレーンとハーマイオニーは安堵の声をあげた。ロンは身を乗り出して試合開始を待っている。一方のサムは忌々しそうなスネイプとイライラした様子のクィレルを見比べていた。

 

この試合は歴史的試合になった。ハリーは前代未聞の早さでスニッチを捕まえたのだ。

 

「グリフィンが勝った!僕らが勝った!」

「やったわ!ハリー最高!」

「ハリーはどこ?」

 

勝利に喜ぶセレーンたちはようやくハリーの姿を見つけて駆け寄った。

 

「ハリーったら、いったいどこにいたのよ?」

「それどころじゃない。どこか誰もいない部屋を探そう。大変な話があるんだ…」

 

ハリーのただならぬ様子を見て急いで誰もいない部屋へ入った。

 

「セレーン、君は間違ってたんだ。僕らが正しかったんだよ。スネイプが賢者の石を手に入れるのを手伝えって、クィレルを脅していたんだ。スネイプはフラッフィーを出し抜く方法を知ってるかって聞いていた。それと、怪しげなまやかしのことも話していた。きっと、フラッフィー以外にもいろんな魔法で石を守ってるんだ。スネイプはクィレルの魔法が唯一解けないのかもしれない」

「それじゃ賢者の石が安全なのは、クィレルがスネイプに抵抗している間だけ?」

「おいおい、勘弁してくれよ。それじゃあ三日ともたないじゃないか」

「スネイプだったのね」

 

セレーンは少なからずショックを受けていた。サムは話を聞き終わるとどこかへ行ってしまった。サムがまだ確信してない。セレーンはそれに気づいて静かにハリーたちの次々展開される憶測を聞いていた。

 

ハグリッドがドラゴンの卵を手に入れた。5人はハグリッドの小屋へ向かい、ドラゴンの卵を見せてもらった。セレーンとハーマイオニーは孵化した後のことを心配していたが、サムたち男子陣は興奮していた。

 

「滅多に見られないんだぞ?」

「楽しみだな」

「生まれて初めて本物のドラゴンを見られるんだ」

 

ハグリッドはこの反応におおいに満足していた。ハグリッド本人が最も興奮している。

 

「もうすぐ出てくるぞ」

 

卵は少しずつヒビが入り、とうとうドラゴンが出てきた。想像していたよりもかっこ悪いとセレーンは思った。ハグリッドはさらに興奮してくしゃくしゃのドラゴンに話しかけている。

 

「ほうら、ママでちゅよ?」

「ハグリッド、このドラゴンはどれくらいの早さで大きくなるの?」

 

振り向いたハグリッドは突然立ち上がり、窓際に駆け寄った。

 

「窓から誰か覗いておった。子供だ。学校の方へかけていく」

「マルフォイだ」

 

外を見たハリーはその後ろ姿が誰かすぐにわかった。間違いない。よりによってあのマルフォイだ。まずいことになったと5人は思った。

 

 

「ねぇ、ハグリッド。ノーバートは2週間もしたら、この家ほどのサイズになるんだよ。マルフォイがいつダンブルドアに言いつけるかわからないよ」

 

ハリーはあっという間に成長していくドラゴンを見つめた。ハグリッドはノーバートと呼んでさっそく可愛がっているが、ハリーたちとしてはそれどころじゃない。不安気な5人をよそにハグリッドはまだ育て続ける気満々である。

 

「思いついたわ!ロン、あなたのお兄さんのチャーリーに連絡して。ノーバートにとっては自然の中で生きていくことが一番幸せよ」

「そうか!名案だよ!チャーリーはルーマニアでドラゴンの研究をしているんだ。きっと自然に帰してくれる」

 

セレーンの提案にロンは食いついた。残りの3人も口々にハグリッドを説得した。ハグリッドは渋ったもののセレーンの形相が尋常じゃなくなったので、チャーリーにノーバートを任せることにした。セレーンをよく知る者にとってセレーンを怒らせることほど恐ろしいことはないのであった。




また遅くなりました。一か月に必ず一話は投稿するよう頑張ります。これからもよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。