機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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サイド6─姉妹─

 

「うっ……あっ……?」

 

 レーアに連れて来られている最中に意識を失っていたリーナは医務室のベットで目を覚ます。デスクにいたドクタはリーナに気づくと……。

 

「目を覚ましたかい? ここは地球軍の軍艦なんだ。レーアにも言ったんだけどね、君を連れて来て何を考えているんだか……」

「……戦闘中なんですか?」

 

 リーナのベットに歩み寄りながらドクターがレーアの行動についてぼやいていると、リーナは艦の揺れや雰囲気で戦闘中ではないかと感じ取る。

 

「ああ。正直、状況は悪くてね。たった2機のMSとこの艦だけで何とか戦闘をしているんだがまともに戦う訳じゃない。逃げながら戦うんだ」

 

 ドクターが今行われている作戦について話していると、その話の内容にリーナは思案する。

 

 ・・・

 

「アークエンジェルは破壊するなよ」

「了解」

 

 サイド6の宙域から出たアークエンジェルに向かう赤いヤクトドーガ。パイロットは指揮を務めるルスランだ。

 この機体は以前の機体とは外観こそが違うが性能は同じだ。

 ギラドーガとGN=XⅢが2機ずつ味方機を引き連れアークエンジェルへ向かう。

 

「敵機体来ます!!」

「……やはり出てきたか。しかし一機だけとは……」

 

 部下からの報告にセンサーが捉えた機体を見る。

 

 エクシアだ。

 あの戦闘の後で動けるのは流石、GNドライヴ搭載型ということか。ルスランはペダルを踏みこんで一気に進む。

 

「私が奴を引き付ける。お前達はアークエンジェルに向かえ!」

『了解!!』

 

 ファンネルを全て解き放ちながらメガガトリングガンを発射しながら、指示を出すと部下達の機体は一目散にアークエンジェルへ向かう。

 

「させない!」

 

 こちらを容赦なく攻撃してくるファンネルの猛攻を避けながらエクシアはGNダガーを引き抜き、突破したギラドーガとGN-XⅢ一機一機に投擲して損傷を与える。

 動きを止めたことでアークエンジェルの甲板でビームスマートガンで砲台代わりをしていたゼータプラスに撃ち落される。

 

「きゃあぁあっ!!?」

 

 GNダガーをギラドーガとGN-XⅢに放った直後、ヤクトドーガのシールドのメガ粒子砲が放たれたのを察知したエクシアはシールドで防ぐが反動が大きくのけ反ってしまう。

 

「貴女一人では私一人でさえどうにも出来ない」

 

 引き続きファンネルとメガガトリングガンでの攻撃を浴びせ続ける。

 接近しながらヒートナイフ付きビームサーベルを取り出したルスランは冷たくレーアの力不足を指摘しながら突き刺そうとする。

 ルスランもシーナを殺したターンXの存在を知っている。

 だから今まで何度も対ターンXのシミュレーターで腕を上げてきたのだ。

 

「それでも……私は守らなきゃいけないのよッ!」 

 

 ルスランの言葉は胸に刺さる。確かに今の自分ではどうにも出来ないかもしれない。だがそれで諦めるわけにはいかないのだ。

 

「トランザムッ!!」

 

 グレイには使うなと言われたがこのままやられるくらいならば最後まで出来る限りのことをしてやられた方がマシだ。

 

 エクシアの機体はトランザムによって赤く染まる。

 トランザム状態になったことで常人では捉えきれないほどの高機動を発揮しヤクトドーガを翻弄しながら斬りかかろうとする。

 

「──甘いッ!!」

 

 エクシアが接近したことでファンネルが射撃を止める。

 機体を反らし、エクシアの攻撃を避けるとエクシアのシールドを持つ左側に回り込んだヤクトドーガにエクシアはGNビームサーベルを引き抜いて応戦しようとするがヤクトドーガにGNビームサーベルを持つマニュビレーターを蹴り上げられて手放してしまう。

 そのままGNビームサーベルを掴んだヤクトドーガはシールドを持つ左腕部ごと斬りおとされた。

 

「私は……ッ……ここで負けられないのッ……──きゃあっ!!?」

 

 満足な整備が受けられず、本調子ではないエクシアに思った通りの動きが出来ないことに焦る。

 

 だが負けるわけにはいかない。

 背中に守るアークエンジェル。そしてリーナがいるのだ。

 だがそんなレーアの決意を嘲笑うかのようにメインカメラをヤクトドーガに蹴られ弾かれるように吹き飛んだ後、ファンネルやメガガトリングガンの激しい波状攻撃が始まる。

 

 ・・・

 

「──ッ!」

「君、なにをっ!? ──うあっ!!?」

 

 エヴェイユとして人並み外れた感覚でレーアの危機を察知したリーナは素早くベットを抜け出して医務室を出ようとする。それを止めようとしたドクターだったが、アークエンジェルが攻撃を受けた揺れで身動きが取れなかった。

 

 ・・・

 

 慣れない艦で多少、道には迷ったものの格納庫に到着したリーナは格納庫を見渡す。

 

 自分も出撃しようと思ったがMSが見当たらない。

 自分はなにも出来ないのか……。

 そう諦めかけた時、あるモノを見つけた。

 

「──お前、なにやってる!?ソイツは素人でなくても扱いが難しいんだぞ!!」

 

 床を蹴ってそこへ向かっていると、少し前にレーアと一緒に運んだ少女がソレに向かっていることに気づいたグレイが声をかけた。

 

「このままだとやられる…………。あの人も死んじゃう……。そんなの嫌……!お願い、ハッチを開けて……!」

 

 グレイに振り向きながら静かにそれでいて強く言い放つと、ソレに乗り込んで、コックピットを閉める。

 

『このままじゃ死んじゃう……。そんなの嫌だから戦うんです……ッ!』

「──ッ」

 

 リーナの姿とかつて震えながらでも戦おうとした青年を思い出し、グレイは動きを止める。暫くその場に漂った後、ハッチを開ける為にルルへ連絡を取る。

 

 ・・・

 

「ハッチが開いた……? 何考えてんだよ……!?」

 

 アークエンジェルのハッチが開かれ、甲板にいたショウマは目を疑い、怪訝な顔を浮かべる。今パイロットは自分とレーアのみ。いったい何ができるというのだろうか。

 

「──なっ……!?」

 

 しかし次の瞬間、ショウマの表情は驚きのモノに変わる。

 カタパルトを通じて発進したソレはすれ違いざまにギラドーガとGN-XⅢの武装を持つ椀部を斬りおとし、レーアのいるポイントへ一気に向かう。

 

 ・・・

 

「ファンネルが……っ!?」

 

 エクシアとの戦闘を繰り広げるルスランはアークエンジェルの方向から放たれた極太のビームによってファンネル三基が一瞬で飲み込まれ消し炭となったことに驚いているとセンサーが捉えたアークエンジェルから向かってくる機体をレーアは確認する。

 

「──ウィングッ!?」

 

 それはかつて共に戦った戦友が初めて出会った時に乗っていた機体……ウィングガンダムだった。あっという間にエクシアとヤクトドーガの間に割って入る。

 

「……間に合った、ね」

「リーナ……!? 貴女……どうして……!?」

 

 ウィングから通信が入り、サブモニターに映る安堵の表情を浮かべる黒いワンピース姿のリーナを見て驚く。

 

 彼女は怪我人だ。

 しかもノーマルスーツも着ないで今、この場にウィングと共に現れたことにレーアは戸惑っていた。

 

「……貴女と一緒に世界を見て答えを出したい……じゃ、ダメかな」

 

 ヴァルターに捨てられ闇の中に落ちたような気分だったリーナだった。

 だがそこにレーアという光が現れた。

 だから再び立ち上がることが出来たのだ。

 今、レーアという光を消したくはない。その為なら多少の無理はする。

 

「……今のエクシアじゃ戦いは困難……。だからここに行って。貴女の力になってくれる……。それまでは……私が引き受けるから」

 

 冷静にエクシアの機体状況を分析し、あるデータをエクシアへ送る。

 それはサイド6内のとあるポイントが示されていた。

 

「……分かったわ」

 

 その場所はレーアも知っている。今の自分がリーナにとっての足手まといでしかなれないことが分かっている為、レーアは素直に頷き移動を始める。

 

「貴女とこうなる日が来るとは……。レーアお嬢さんを選んだわけですか」

「……ルスラン」

 

 静かにオープン回線でルスランはリーナに話しかける。

 エヴェイユ同士がその波長でお互いを認識したのだ。

 しかし今はMS同士で向かい合っている状態、エクシアを追おうとすればきっとリーナは邪魔をするだろう。

 

「今まで泣くのも、誰かに頼るのも弱さだって思ってた……。でも……あの人に会って知ったんだ。誰かの手を取ることは……誰かと一緒に進むことは弱さじゃないって……だからやらせるわけにはいかない」

「……そう、ですか……。ならこれ以上の言葉は必要ない」

 

 聞こえてくるリーナの声はどこか穏やかささえ感じる。

 今までの彼女からは感じたことのない雰囲気だ。

 これをレーアが与えた……手を伸ばしたのかと思う。

 普通ならばヴァルターへの裏切りを許すなどありえないが、きっとヴァルターの傍にいたところで彼女は報われないだろう。

 

 彼女に手を差し伸べなかった自分が彼女を責める事など出来なかった。

 だが自分も軍人だ。こうして出会ってしまった以上は戦わねばならない。

 ルスランはまだ不安定なエヴェイユの力を開放すると、触発されるようにリーナも同じく不安定ながらエヴェイユの光を放つのだった。

 

 ・・・

 

「まさかまだあったとはね……」

 

 リーナに示されたポイントに到着したレーアはエクシアから出て目の前の機体を見上げる。

 それはかつて敬愛する姉が最後に乗った機体……ダブルオーライザーがそこにあったのだ。

 かつて自分が家を出る際、ダブルオーライザーからGNドライヴを持ち出した。

 胴体部が激しい損傷を受けていた本機であったがシーナが最後に乗った機体ということでヴァルターの命令で修復され、封印するようにこの場に置かれていた。

 

「姉さん、ごめん……。でもこの力……守るために使うわ」

 

 かつてやったことがある為か、手慣れた動きでエクシアからGNドライヴをダブルオーに移しマッチングを始めながら呟く。

 

 ダブルオーは本来、人と人が分かり合う為に作られた機体だ。

 しかし今、戦うためにその力を使おうとする。

 本来とは違った用途の為、姉に対し申し訳ない気持ちがある。

 しかし守るために使うという意志に偽りはない。

 そんなレーアの想いに答えるようにダブルオーライザーは起動音が響かせるのだった。

 

 ・・・

 

「……優しいのだな」

 

 レーアが離れてから随分と時間が経った。

 リーナとの戦闘を繰り広げながらルスランは苦笑気味に笑う。

 リーナは決してこちらを進んで攻撃することはない。

 残ったファンネルを撃ち落してこちらからの攻撃を防ぐに留まっていた。

 その姿はかつてのターンXへのシーナの姿勢を思い出させる。

 

「──おい、もう戻ってこい! 一気にこの宙域を抜けるぞ!!」

「……ルスランは逃がしてくれない」

 

 ウィングのコクピット内ではショウマからの通信が入る。

 どうやらギラドーガなどは片が付いたようだ。

 

 帰還を促すショウマにリーナは静かに答える。

 先程からヤクトドーガの猛攻は反撃の隙を与えない。寧ろルスランを攻撃するのは躊躇するため行動不能にしたいのだがそれすらも困難だ。

 

 ・・・

 

「ったく……どうすんだよ……!」

 

 ショウマがモニターでズームしながら、いつまでも戦闘を続けるウィングとヤクトドーガを見て焦燥に駆られながら呟く。

 MSの攻撃はなんとか出来たがそれでも敵艦は以前としてこちらを追ってきているのだ。

 

「──任せて」

 

 短い言葉だがレーアの声が通信によってゼータプラスに届く。

 その瞬間、アークエンジェルを明るい翠色の流星が通り過ぎる。

 モニターで確認するがもう既に流星は小さくなってしまった。センサーがなにかを捉える。アークエンジェルの周囲にはあの流星が運んできたのか左腕部を失ったエクシアが漂っていた。

 

「──敵戦艦の行動停止を確認っ!!」

「なっ……なにがどうなってんだ……?」

 

 続いてオペレーターから驚くべき報告が入りショウマは唖然とする。

 あの流星が通り過ぎて一分足らずで敵戦艦は行動不能に陥っていたのだ。

 

 ・・・

 

「そんなモノを持ち出すとは貴女という人はどれだけ人の神経を逆撫ですれば気が済むのだッ!!」

 

 ウィングと交戦中のルスランは自軍の艦のエンジン部を破壊し、こちらに向かって来ている機体……ダブルオーライザーを見て顔を歪ませ怒りの表情を浮かべる。

 

「ルスラン……貴方の気持ちは分かるわ……」

 

 通信越しにその言葉を聞いたレーアはその理由は仕方がないと分かっているのか顔を伏せながら呟く。

 

「でも私はリーナを守りたい……! ダブルオーライザー……未来を切り開くッ!!」

 

 ダブルオーライザーが装備しているのはエクシアのGNソードだ。

 GNソードの刀身を展開したダブルオーライザーは一直線にヤクトドーガへ向かっていく。

 エクシアとは比べ物にならないその速さに苛立っているルスランは歯ぎしりしながらメガガトリングガンを撃ち続ける。

 

 放たれたメガガトリングガンを全て避け、逆にGNミサイルを放つダブルオーライザー。

 こちらに向かってくるGNミサイルを見て表情を険しくさせながらもルスランが操るヤクトドーガはがメガガトリングガンのエネルギーを全て消費して撃ち落すことに成功する。

 

「例えMSの差はあろうとも実力の差までを埋められる条件にはならない!!」

「そうね……。私一人ではそうなるわ……。でも私には手を取ってくれた妹がいるッ!!」

 

 ヤクトドーガがGNミサイルを撃ち落している間に背後に回り込んでこちらを切り裂こうとするダブルオーライザーに機体を反転させエクシアから奪ったGNビームサーベルで受け止める。

 スパークが起こる中、起こる剣戟はルスランのヤクトドーガが優勢だった。

 自分とルスランとでは実力に差があることは分かっている。

 だがだからといってそれで諦める気はない。

 

 なぜなら自分に力強い妹がいるのだ。

 

「……私にも手を伸ばしてくれたお姉ちゃんがいる」

「ッ!?」

 

 こちらに三発の光弾が飛んでくる。

 バスターライフルの出力を下げて発射したものだ。

 ギリギリのところでシールドで防いだヤクトドーガだったがシールドは破壊され、その反動で機体に隙が出来てしまう。その間にもウィングは近づいてくる。

 

「まだだぁっ!!」

 

 ウィングとダブルオーライザーの挟み撃ちをGNビームサーベルとヒートナイフ付きビームサーベルで受け止める。

 二対一の状況でもルスランは諦めなかった。

 その思いを表すようにエヴェイユの光は大きくなる。

 

「──なっ!?」

 

 しかし機体までは付いてこれなかった。

 エヴェイユに覚醒しているルスランによって限界以上の性能を発揮していたヤクトドーガだったが、ここに来て負荷に耐え切れなくなったのだ。関節部などで小さな爆発が起きる。

 

「今よ! 畳みかけるッ!!」

「うんッ!」

 

 ヤクトドーガの異変に気付いたレーアの言葉によってダブルオーライザーとウィングはヤクトドーガの下部へ回り込んで両足をそれぞれ斬り落として交差すると再び交差して腕部を斬りおとす。ヤクトドーガは行動不能に陥っていた。

 

「ここまで来て……ッ!! クソォッ!!! こんな機体のせいでッ!!!」

 

 まだダブルオーライザーとの戦闘では優位に立っていたがルスランにヤクトドーガが付いていけなくなってしまった。その怒りと悔しさを表すようにコンソールに拳を叩きつける。

 

「……ルスランが一人だからだよ……。ルスランに手を差し伸べてくれる人やルスランが手を取り合おうとしない限り……私達は負けない」

 

 怒りで身体を震わしているルスランに静かにリーナが通信を入れ、ルスランの敗因の一つを指摘するとダブルオーライザーと共にアークエンジェルへ向かっていく。

 

「……私が……誰かと手を……? そんな者など……ッ……」

 

 自分の周りにいる存在にそんな者はいない。

 ヴァルターでさえ手を取り合えるような間柄ではない。

 

 自分は独りなのだ。

 リーナの言葉にその事実を突きつけられるのだった。

 

 ・・・

 

「……それではリーナさんはレーアさんの妹……ということですね」

「ええ」

 

 戦闘を終えたアークエンジェルのプリーフィングルームにはルル、マドック、ショウマ、レーア、リーナがいた。

 

 その話の中心はリーナだ。

 レーアから話を聞いたルルはチラリとリーナを見る。

 

「……私の力が必要なら……ここでパイロットをする……。だから……この人と一緒にいさせて……」

「……それは……助かりますが……。まぁ……カレヴィさんの前例もあります、リーナさんの件はなんとかしておきましょう」

 

 ルルに見られたことでレーアの後ろに隠れるリーナは少し顔を覗かせレーアを掴む手に力を入れながら小さく口を開くと、その距離感にルルは苦笑しながらもリーナを受け入れる。マドックやショウマも異論はないのか同じような表情だ。

 

「良かったわね、リーナ」

「……うん……。レ……レーア……お姉……ちゃん……」

 

 ルルの言葉を聞いて自分の背中に隠れるリーナに声をかけると、リーナは頷きながら恥ずかしそうに俯きながらレーアへの呼び方を変えるとレーアは少し驚いたような顔をしつつもすぐに微笑んでリーナの頭を撫で、彼女は目を細めて気持ちよさそうに受け入れている。

 

「さて、これからなんですが……。実は新たな作戦への参加が命じられておりまして……その準備を──」

 《──艦長、大変ですっ!!》

 

 レーアとリーナのやり取りを微笑ましそうに見ていたルルが場の空気を戻すため今後の予定を話そうとした瞬間、慌てた様子のオペレーターが通信を入れてくる。

 

「なんだ? 今は大事な時なのだが?」

 《それが……たった今、本艦に電文が送られてきまして……。その人物が大変なんです!》

「なにが大変なんだ!?」

 

 突然のオペレーターの割り込みに少し不機嫌そうな顔を浮かべながらマドックが注意をすると興奮冷めやらぬ様子に用件を言えとばかりに少し怒気を織り交ぜながら問いかける。

 

≪翔! 如月 翔からの電文なんですっ!!≫

 

 その言葉はリーナを除いた者達に凄まじい衝撃を与えた。思わず耳を疑ってしまうほどに。

 

「ほ……本当に翔君なんですか……?」

 《はいっ! 宛名にはちゃんとそう書いてあります!》

 

 ルルが少し身体を震わせながら確認するとオペレーターは翔からの電文の内容を表示させながら答える。

 

 確かに翔の名が書いてある。

 その内容は地球に落ちた翔が合流を望んでいるような主旨の言葉が書いてあった。

 その文を見たショウマ達は喜び、ルルに至っては崩れ落ちて涙を流している。

 

≪それともう一つなんですが……≫

 

 喜んでいるショウマ達に更にオペレーターは話を続ける。

 まだあるのか、そう思いつつ一同、オペレーターが映るワイプを見る。

 

 《フェズ・シーア少尉からの電文です!》

 

 その言葉にも翔もフェズも知らず首を傾げているリーナを除いた一同が衝撃を受ける。

 

「……先……生……?」

 

 フェズと言えば自分達を宇宙へ上げるために閃光へ消えた。

 翔と同じく驚いているが、一番驚いているのはショウマの筈だ。

 一同、ショウマを見るとその場に立ちつくし、目を見開いて驚いているショウマの姿があった。

 

 この翔とフェズからの電文によってまた新しい戦いの火蓋を切って落とされたことをショウマ達はまだ知る由もなかった……。




これにてレーア編は終わりです。次回はショウマ編なんですが、まぁレーアと同じくらいの長さになると思います。その後は原作通りのステージを進んでいく感じになる予定ですがアフリカ篇はちょっと変わっていきます。

一応、目標としましてはブレイカー3が発売される頃には本小説も完結しているようにはしたいです…が、まだブレイカー3の発売日は分からないんですよねー…。

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