機動戦士ガンダム Silent Trigger 作:ウルトラゼロNEO
WEAPON ビームサーベル(ガンダム)
WEAPON 57mm高エネルギービームライフル
HEAD ガンダム
BODY ジムカスタム
ARMS ガンダムmarkⅡ(エゥーゴ)
LEGS ジムカスタム
BACKPACK ガンダム
SHIELD 対ビームシールド(ストライク)
のRX-78-2カラーのGundam Breakerです。
それではお話の方をどうぞ
翔達が合流して数時間後、ガンプラの聖地とされる静岡にて行われたガンプラワールドフェスタ2024では目玉企画である4VS4のガンプラバトルが行われていた。
「そんなぁっ!?」
翔のガンダムブレイカーは旋回して先程まで相手取っていたガンダムAGE2 ダークハウンドを頭上からビームライフルで撃ち抜いて爆散させる。最も爆散は見た目だけのエフェクトで実際のガンプラは無傷であるのがこのガンプラバトルシミュレーターの特徴だ。
「おぉっと! 如月さんのガンダムブレイカーが相手のダークハウンドを撃破しましたァッ!」
翔は前回のガンダムグレートフロントで行われたガンプラバトルである程度の知名度を持っている。
イベントMCの実況に翔のある程度の知名度とその戦闘を見て観客は大歓声をあげ、会場は大きく盛り上がっていた。
「流石だな、翔!」
「ありがとっ……!」
共に戦っているナオキから通信が届き、鮮やかな活躍を見せる翔に称賛を送るとバトルに集中している翔は短く返事をして、すぐさま注意を違う方向へ向ける。
「くらっえぇっ! ハイメガキャノンッ!!」
翔のブレイカーのいる地点に全てを飲み込まんばかりの巨大なビームが迫っていた。
スラスターを巧みに利用して間一髪で避けるブレイカーだが、その後方では極太のビームが着弾して爆発と共に衝撃が伝わってくる。
「流石、前回のガンプラバトルであれほど注目を集めただけのことはある! だがぁっ!」
巨大なビーム……ハイメガキャノンを打ち出したZZガンダムのファイターは翔の動きに関心しながらもバックパックからミサイルを大量に発射する。翔が手馴れているからこそ全力でぶつかっているのだろう。
「舐め……るなぁっ!」
まるで獲物を貪りつくすかのように迫るミサイルに対してバルカンや装備しているビームライフルを使ってミサイルを迎撃する。
打ち抜かれたミサイルは爆発し、誘爆したのを含めて周囲に硝煙がたちまち広がって行く。
「撃ちすぎたか…!」
硝煙で周囲が見えなくなったことにZZのファイターは苛立っていると、突如、爆煙を突破してブレイカーが姿を現した。
「──ブレイカーはシンプルな機体だ。だからこそ性能はどこまでも突き詰めた俺専用のガンダムだ……ッ!」
迎撃しようとするZZだが、ブレイカーの速度は予想以上で一気に接近を許してしまう。
機体越しでさえ分かるZZの動揺にチャンスを得た翔は自然と笑みを浮かべる。動揺が生まれたことによって大きな隙が出来たからだ。
「そう、これがッ……【俺ガンダム】だッ!」
ブレイカーのツインアイが光り輝く。
同時にバックパックに装備されているビームサーベルを勢いよく引き抜くとZZを袈裟斬りで深々と爆散させた。
【Battle End!】
「……?」
「ヴァーチェとクロスボーンはこっちでなんとかしといたよ。いやぁ、速攻で僚機2機を潰された時にはどうなるかと思ったぜ」
バトル終了のアナウンスに翔は怪訝そうな表情を浮かべる。まだ2体しか倒していないはずだと思ったが、ナオキからの通信を聞いて納得すると戦闘を終えるのであった。
・・・
「鮮やかなプレイで私も視線が釘付けでしたっ! 流石、前回のイベントでも注目されたお二方です!」
「ありがとうございますっ!」
「……どうも」
その後、翔とナオキはイベントMCによるインタビューを受けていた。
初めて出会った時から思っていたが、イベントMCのハイレグで露出度の高い衣装は中々、目のやり場に困る。
元気よく話すナオキとは対照的に翔はどことなく視線を逸らし、声が小さい。
「お二方、この後のエキシビションマッチ……激戦が予想されますが今の心境を教えてくださいっ!」
「えーっと……俺はそうですね……。うん、俺の作ったこのガンプラで勝利を掴みます!」
イベントMCが意気込みを聞いてくるとまず最初にナオキが自身のガンプラを突き出して満面の笑みで答える。
「如月さんはどうでしょう?」
「俺は……兎に角持てる力を全てぶつけます。少しでもガンプラの色んな楽しさを多くの方に知ってもらえるように」
ナオキへのインタビューを終え、今度はその隣の翔へ声をかけると、彼は静かに口を開き、確かな思いを答えてインタビューを終える。
「お二人とも気合い十分ですね! この後のエキシビションマッチ、見逃すな!」
それぞれインタビューを終えたイベントMCは期待感をそのまま笑顔にして、カメラに向かい、ビシッと人差し指を立てると収録が終える。
「お二人とも頑張ってくださいっ! 今後も良いプレイを期待してます!」
「はい!」
「……頑張ります」
インタビューを終えて、イベントMCはナオキと翔に激励を送ってその場から去ると、インタビューから解放されたナオキと翔は自由に歩き始める。
「しかし本当にガンダムの事になると喋るよな、お前。普段は無口なのに」
「……それだけの価値があるからな」
先程のインタビューを思い出しながら、翔の様子に苦笑していると自身でも饒舌だったかな、と思うところがあったのかぶっきらぼうにプイッと顔を逸らしながら答えていた。
「ハハッ……けど夕方まで暇だよなぁ。最後のエキシビションはフェスタの最後の最後だっけ?」
「そうだな……。ガンプラバトルシミュレーターは最大の目玉だ。今は一般者が使用して俺達はその最後だな」
どこか子供のような翔の姿に笑みを漏らしながらも今後の予定を確認すると、翔は腕時計を見ながら答える。するとナオキは思い立ったように声を上げた。
「じゃあ、俺ミラクル物販コーナーに行ってくるよ! あそこ、プ○バン限定のグッズまで置いてあったからさっ! 俺、予約し忘れた奴あったんだよ~! 翔はどうする? 一緒に行く?」
「いや……ブレイカーを武装を含めて調整したい。挙動がおかしな部分があった。最後のエキシビションマッチ……最高のバトルがしたい。ミラクル物販コーナーはその後に行く」
ミラクル物販コーナー……一つの倉庫を使用したガンダム作品の全てのグッズが販売されているガンダムファンならば夢のような場所だ。
だが魅力的なナオキの誘いに首を横に振り、翔は先程まで共に激戦を潜り抜けたブレイカーを見つめる。その瞳はさながら人生を賭けるほどに熱中する物を持つ少年の瞳だ。
「分かったよ。じゃあまた後でな」
「ああ」
翔を見てその無邪気な表情に微笑ましささえも感じるナオキだが、ミラクル物販コーナーはガンダムファンにとっては至高の場所。混雑も当然予想される。ナオキは短く返答し、すぐさま物販コーナーへと駆け出すのだった。
・・・
「ん……! はぁ……っ……。もう一時間か……」
ゲストである翔達には控え室が用意され、更にはガンプラの補修をするには十分な作業ブースがあった。時計を見ると既に1時間は経過していた。
時間の流れは早いな、と翔は休憩がてらにフェスタを散策しようとする。
フェスタ期間中はそれなりに回ってはいたのだがやはり最終日、名残惜しい気持ちもある。
【──助けて……】
「っ……?」
キャメルのアウターを羽織り、ブレイカーが収められたケースが入ったバックを持って出かけようとする翔だが、突然、女性の声が聞こえて思わず動きを止める。
【もう……見たくない……】
「誰か……いるのか……?」
再び声が聞こえる。しかし自分以外に誰かいる気配もない。
すると翔は突然、まるでなにかに取り憑かれたかのように歩き始めたのだ。
・・・
(……あれは……ガンプラバトルシミュレーター……?)
取り憑かれたように歩き続けた翔がたどり着いたのは人気のない地下。
更に言えば彼の目の前にはドーム型のガンプラバトルシミュレーターが設置していた。見覚えのあるタイプだ。以前のガンダムグレートフロントで使用したガンプラバトルを行うためのプロトタイプだ。
【力を……貸して……】
声は相も変わらずに聞こえ続ける。
翔もまた取り憑かれたような行動は止まらず、ガンプラバトルシミュレーターへと入ってしまう。
ドームに入った翔はそのまま台座にブレイカーをセットするとドーム内のどこからともなく光の粒子が溢れドーム全体を包み込んだ。
「なんだ……これ……? なにがどうなるんだ……?」
【この声が聞こえる……貴方なら……】
『───おい、バトルシミュレーターが起動しているぞ!?』
『あれはプロトタイプじゃないか!? 誰の指示で持ってきた!?』
聞こえる声とは別に溢れ出る粒子に戸惑っていると外部からは異常に気づいた関係者がこちらに向かってくるのが聞こえるが、既に翔にはどうしようもなかった。
【どうか……あの争いを……破壊してほしい……!】
「────!」
聞こえる声にはどこか必死さも感じられる。
まさに藁にも縋る思いのような振り絞る声だ。やがてドーム内を包む光は全てを包み込み翔の視界を奪うと共に翔の意識さえも奪っていくのだった……。
・・・
「ッ……」
ゆっくりと目を覚ませばすぐに違和感に気づいた。
明らかにバトルシミュレーターのドーム内とは違っており、見渡す限りに複雑そうな機器が所狭しに設置されているまさにガンダム作品に出てくるようなコクピット内だからだ。
「うっ……っ!?」
ただでさえ自分の置かれている状況に戸惑っていた翔だが、その後すぐに爆発音が響き渡り、驚いて身体を震わせる。
「なんだ……?! なにが……ッ……。なにがどうなってる……ッ!?」
爆発音の後は激しい振動が自身を襲い、ますますパニックになる。
ガンプラバトルシミュレーターには何度も乗り込んだがこんな激しい振動が襲って来ることはない。これではまさに現実のような感覚だ。
「……ッ!?」
すると突然、機動音のような音が鳴ったと思ったら今度は駆動音まで聞こえ、自動車にエンジンがかかったような振動が響きわたる。もうパニックは止まらず、声も出ない。
「っ……」
そんなパニックになった翔の目の前の壁から小さな青い光球がフワフワと飛んできた。それを見た翔は不思議なことにいくらかは落ち着きを取り戻せたようだ。
「あっ……」
すると青い光球は静かに翔の胸の中に溶け込むように入っていく。
彼の感覚では体内に自分とは異なるまったく違う誰かが入ってくる感覚だ。だがしかし不思議と不快感は感じらない。自然と身体に馴染むような感覚だ。
「……!」
ようやく身体に感じる感覚が収まったと思ったら、今度は違うことに気付く。
なんと目の前の複雑な計器や操縦桿などといったこのコクピット内のありとあらゆる全てが理解出来るのだ。
「ッ……。外へ出ろ……ってことか……」
だがそれと同時に現実もまた動いていて破壊音と爆発音は絶え間なく聞こえ、震動もまた翔を襲う。
すると翔の頭に前方を指し示すような不思議な感覚が感じた。それは目の前のモニターに映るこのハンガーと思わしき場所の出口と思われる場所だ。
「はぁっ……!」
操縦桿を少し前へ動くと重厚な足音が聞こえる。
いくらコクピット内の全てを理解したとはいえ異常なまでの緊張が翔を襲う。
足音とそれに伴う揺れに生唾を呑みながらも翔はこのハンガーの出口を操作し、ゆっくりと扉が開き始める。そんなスローに動く扉の合間から光が漏れ、翔は眩しさから少し目を逸らす。
「ウィングガンダムと……ガンダム……エクシア……?」
光に慣れた翔が見たのは先程フェスタ内でも度々見る機会があり、そしてその存在も知っているがどちらも空想の産物である【ガンダム】と呼ばれる二機の人型機動兵器とあちこちに黒煙と炎が立ち上り、蹂躙された町並みだった……。
だが、この時のこのガンダム達との出会いが図らずも、翔を生死を争う戦争の世界へと誘うことになるとはこの時は思いもしなかった……。
ナオキは知ってる方は知っているとは思いますが、ゲーム版一作目であるガンダムブレイカーで冒頭の戦闘に一緒に出撃し、その後度々共に一緒に出撃してくれる子です。正直、誰を翔と一緒にフェスタに連れて行こうと悩んでいたのですが結局ナオキにさせていただきました。
個人的には兎に角向こう側の世界へ向かわせたく長くなったのと駆け足でやや強引なのは否定できません。一応補足としまして機体が起動したタイミングはガンダムブレイカー2本編の冒頭の起動シーンが元ネタです。
冒頭シーンで青い光球が機体の前を通り過ぎる⇒機体のアイが発光、機体が起動してタイトルが出るの流れですので、一応、本小説内ではこのシーンの後にあの光球は機体内部へ入り翔と同化する…という流れです。
それではいよいよプロローグも終わり、本格的に話を進めていこうと思いますので、今後もよろしくお願いします!