機動戦士ガンダム Silent Trigger   作:ウルトラゼロNEO

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長くなったので分割しました。とりあえず最初にビグザムフォンの方申し訳ございません。

後、ガンダムブレイカー・フルバーニアンはゲーム的に言えば腕がNT-1に、バックパックがフルバーニアンに変更されただけです。えっ?今後の展開的にフルバーニアンは宇宙専用じゃないかって?ガンダムブレイカー(ゲーム)にそれは野暮ってことで見逃してください。


フォン・ブラウンー決意-

 

「ぬあぁっ!?」

 

ビグザムのクローに備わっている対空ミサイルをバスターライフルで纏めて薙ぎ払うように撃ち落とす。

だが、撃ち落とし損ねたミサイルはウィングのバスターライフルを持つ腕ごとえぐりとって爆発した。

 

「ッ……! 今だッ! レーア!」

「任せて!」

 

右腕を失ったもののウィングは見た目以上には案外ひどくないらしい。

注意がウィングへと向いている最中にカレヴィはレーアへ合図を出すと、レーアは飛び出してGNブレイドを大小それぞれを大型メガ粒子砲へ投擲。二本のGNブレイドが大型メガ粒子砲へ投擲された結果、爆発を起こす。

 

(なんとか近づけないものかしら……!)

 

ビグザムとの戦闘はどれだけ経っただろうか? レーアは胴体部に装備されている26基のメガ粒子砲が発射されたため、接近出来ずにいた。

 

「ッ……? 流れ星……?」

 

回避し続けるエクシアのメインカメラはビグザムの背後に光る一筋の光をとらえ、レーアは目を細め、何なのか探ると……。

 

「──ガンダム!?」

 

その光は一気に近づき、その姿を明確に表す。

それは細部は違うがレーアやカレヴィが見たことのあるガンダムブレイカーだ。

ブレイカーFBは右手にビームライフル、左手にハイパーバズーカを装備した状態でハイパーバズーカをビグザムの注意を引くように背後から放ち、直撃させる。

 

「……大丈夫?」

 

「お前……翔か!?」

「あなた、なんでMSに!?」

 

到着した翔はカレヴィ達に通信を入れると両者からは翔が乗っていることに驚いている。戦いたがってはいなかった。寧ろ戦いは避けていた翔が何故ここにいたのかと。

 

「……まぁ良い。話は後だ!!」

「そうだな……。まずは奴をエビフライにする事が先だ」

「……エビフライ?」

 

カレヴィが素早く切り替えると、翔は大真面目な表情で呟く。

一方で、その言葉にレーアが小首を傾げる。彼でも冗談が言えるのか、と。

 

「あれから何十分も経っている、そろそろエネルギー切れを起こしてもおかしくはないんだが……」

(……ビグザムは何個もあるメガ粒子砲にIフィールドを稼動させるために4基の超大型熱核反応炉があるけど宇宙じゃあ冷却に問題があるから、そう長くは動けない……。あぁそれとミノフスキークラフトもあるんだっけ? 普通に考えてもあっという間にエネルギー切れするだろう……。火力と防御力が売りみたいな機体だけどもう大型メガ粒子砲は破壊されてるし……。それに周りのメガ粒子砲も同じやり方で破壊できる……。それに防御力も銃口を狙えば良いし……対空ミサイルも6個だけって……正直、欠陥MAだと思うんだよなぁ。ゲームなんかで使うと使いづらいし)

 

カレヴィの通信に翔は冷静にビグザムを分析して呆れる。

因みに翔が言っているゲームとはVSシリーズの元祖とも言えるガンダムDXの家庭版のことだ。

 

「俺が最後の武装を無力化する、その為の装備……持ってきたから」

 

リアスカートのラックにビームライフルをかけ、ハイパーバズーカを右腕のマニュビュレーターに装備、全てのバーニアとブースターを利用して飛び上がる。

 

「接近するまでは驚異だけど26基のメガ粒子砲も頭上にいれば喰らわない筈ッ」

 

飛び上がったブレイカーFBを警戒して26基のメガ粒子砲が放たれるが、はるか上空から頭上に飛来したブレイカーFBはビグザムのメガ粒子砲が止むまで待つ。

ブースターを素早く操作、26基のメガ粒子砲の銃口へハイパーバズーカの全ての弾を発射するつもりで撃ち尽くし、大部分の破壊へ成功。今度は腕部のガトリングでもう一度念入りに潰すように残ったメガ粒子砲を破壊する。

 

「さて……降伏すr……んんっ!!?」

 

メガ粒子砲を破壊し終えた翔は降伏勧告しようとビグザムの前へ着地するも、ビグザムはいきなり凄まじいスピードでガンダム達を踏みつぶそうと走ってくる。

その光景に思わず翔は声を上げながらもなんとか避ける。

 

「翔っ!? クッ……大人しく……しなさいっ!!」

 

走るビグザムにレーアはエクシアを操作、GNソードでビグザムの両足を切断する。

26基のメガ粒子砲がないビグザムなど置物みたいなものだ。

 

「翔……大丈夫か?」

「あぁ……大丈夫……。問題ない》

 

その場に倒れこむビグザムを尻目にカレヴィが翔へ通信すると翔はなんとか答ええておや。

猛スピードでこちらに走ってくるビグザムを見て、軽くホラーのようなものを感じた翔はヘルメットを脱いで汗を拭う。

 

「コイツ、どうする?」

「放っとけよ、武装もねぇし足もねぇ。あんだけメガ粒子砲もバカスカ撃てば放っておいてもエネルギー切れになってなんにも出来やしねぇだろ」

 

そこにレーアからの通信が割り込み、カレヴィはビグザムを放置することを決め、三機はアークエンジェルへ帰投する。ここはフォン・ブラウンだ。なにかあれば回収はしてくれるだろう

 

(……避難民を降ろし始めているのか)

 

数十分後、アークエンジェルに帰投する最中で避難民を下ろしている姿を見て、その心中にはある決意が生まれていた。

 

・・・

 

「助かった、すまねぇな」

「……いや、俺がいなくても倒せたと思う」

 

格納庫へと到着し、慌しく動き回る整備兵のなか、それぞれの機体から降りたパイロット達は集まっていた。

礼を言うカレヴィに翔は思ったままのことを口にする。

 

「けど、なんでMSに?」

「死にたくなかったから乗ったんだ。二人がいなくてアークエンジェルの守りが手薄だったし……。二人を助けに行ったのは……その……死んで欲しくなかったから」

 

レーアが不思議そうに首を傾げて質問する。

実際、あれほど拒んでいたのになぜ乗ったのか、その理由も簡単だった。

 

「おうおう、中々嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか」

「……離して」

 

嬉しそうに翔の肩に手を回すカレヴィに照れ臭そうに翔は振り払おうとしていると……。

 

「――みなさーんっ!!」

 

そこに声をかける人物が。

ルルだ。ルルは無重力下で翔達の元へ来ていた。無重力故に放っておけば流されてしまうので翔はルルの手を取る。

 

「無事で良かったですっ! ほんっとうに心配しましたぁ……!」

「ふふっ、心配かけてごめんなさい」

 

気を張っていたのか、脱力するようにため息をつくルルにレーアは微笑みながら頭を撫でる。

 

「翔君もありがとうございますっ!」

「……いえ。それより艦長代行、頼みがあるんですが……」

「ルル、で良いですよ? それに敬語もいいです」

 

翔にも改めて礼を言うルルに翔は本題を切り出すようにルルへ話を振ると、ルルは笑みを浮かべながら、カレヴィ同様、敬称などを止めるように話す。

 

「それじゃあルル……。それと本題だが……俺をこのままアークエンジェルにいさせてくれないか?」

「えっ!? それは………イロットでって事ですか?!」

「うん……。あぁ……俺に対しても遠慮しなくていい…」

 

敬称を止めた翔の頼みに驚くルル。

ルルだけではない近くのカレヴィ達も目を見開いて驚いていた。

 

「戦うことは好きにはなれない……。けど……俺は知りたいんだ……。なんで世界はこんなにも争いで溢れているのかを……。怒り、憎しみ、悲しみ、恐怖そんなことばっかりだ。ここにいれば……その原因に近づけれる気がする。この歪んだ世界の根本的な歪みを……知りたいんだ」

「私としては助かります……じゃなくて、助かるけど……」

 

この世界に来て、思い出すのは負の感情ばかりだ。

自分一人では決めかねるのか、ルルは意見を伺うようにレーアやカレヴィを見る。

 

「私は……構わないわ」

「俺としては戦力が増えて助かる。まぁ物好きとは思うがな。だが、今の操縦技術だけじゃダメだ、無謀な点も目立つ。勇気は買うが蛮勇は違うんだ。その点を含めて俺が鍛えてやるよ」

 

レーアとカレヴィはそれぞれ了承する。

特にカレヴィはその瞳を同じ立場に立つ者を見る目に変え、厳しい表情で話すと、死にたくないから望むところだとばかりに翔は頷く。

 

「艦長、今後の予定は?」

「はい、司令部からの通達で地上作戦に組み込まれることになりました。ですが補給の為、今からここに半日留まります。敵が来ない間にここを出て地球へ降ります」

(地球……か)

 

今後の予定を知りたいレーアの質問にルルは司令部の報告をそのまま答えると、翔はどこか考えるように俯く。

 

「とりあえずシャワーでも浴びようぜ」

「そうね」

 

この場であまり長居するのは整備士達の邪魔になる。

カレヴィを切欠にレーアも同意して格納庫からぞろぞろと出ていく。

 

(……フォン・ブラウンにいるより、ここにいた方が少なくとも元の世界へ戻れる手がかりが掴めると思うが……果たしてどうなる)

 

この世界の歪みを知りたいのもあるが、まずは第一に己の世界へ帰ることが目的の翔はレーア達に続こうとするが、非力な力でパイロットスーツを掴まれた。

 

「ルル……?」

 

振り返れば、ルルがパイロットスーツを掴んでいた。

怪訝そうにルルを見る翔にルルは伏せ目でチラチラと翔を見ている。

やがて意を決したようにギュッと息を呑むと翔は……。

 

「あの……ね、半日あるって言ったでしょ……? その間に一緒にちょっとフォン・ブラウンに行ってみない? 襲われてない居住区もあって、その場所への外出許可もフォン・ブラウン市から出てるの。だから良かったら……無理を言ったお礼がしたくて……」

 

ルルから思いも寄らぬ外出の誘いを受けるのであった。




というわけでデートフラグと共にフォン・ブラウン編終了です。あれ、レーアの方にはフラグが立たない…。

ルルは年上+姉属性付与で翔に対しては敬語じゃなくなりましたが、これが予想以上に難しい…。でもこのまま書き続けます!…違和感が出たらごめんなさい

後、ビグザムのエビフライネタはSDガンダムのアニメを知ってる方ならわかると思います。

(凸)<どうせ私はやられメカ

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