リアルが忙しかったというのもございまして……
ハイ、もしゃもしゃせん!
結論から言えば、俺は雪華綺晶の誤解を解き、許しを得ることが出来た。
それまでが酷く苦痛であった事は容易く想像できるが、不気味な笑顔を向けられないだけ良しとしよう。
ちなみに琉希ちゃんと翠星石はその間周辺を警戒してくれた。
その前に俺を助けてくれませんかね……?まぁええわ。
そこで礼救出に向けて作戦を話し合ったのだ。
作戦と言ってもドッジボールの前に何秒か簡単に話し合う程度のものでしかないが。
そして現在、いつまでたっても真っ暗闇の街中を琉希ちゃんと共に駆ける。
愛しの雪華綺晶とツンデレ翠星石はいない。
作戦としては、我らの人形二体が雑魚と水銀燈の注意を引き付け、その間に教会に潜入、あわよくば礼を救出する……これ中に水銀燈いたらどうするんですかね?
多分監禁だけじゃ済まないと思うんですけど(名推理)
あ、おい待てぃ!琉希ちゃんが水銀燈に責められる光景はちょっと見てみたいけどな~俺もな~(百合リョナ並感)
「あら^~いいですわゾ~これ」
「なんですか急ににやけて……」
おっと危ない、声に出してしまった。
妄想垂れ流すのは自室にいる時だけにしよう。
ちなみに俺と琉希ちゃんだけで行動すると決まった時、雪華綺晶の顔が険しくなったが、あとでいっぱい相手してやると言ったらニヤケていた。怖いな~とづまりすとこ(逃れられぬカルマ)
「待って、止まって」
ふと、先頭を歩く琉希ちゃんが急停止して物陰に隠れる。
俺も急いで琉希ちゃんの後ろに隠れ、表の通りを覗く。
念のためSTG44のセーフティレバーに指をかける。しかしAKよりもセーフティが切り替えやすいな。ま、どうでもいいけど(中東Project)
「すぐそこ、敵が数名」
小声で琉希ちゃんが言う。
言った通り、数メートル先にアホ人形共がたむろってる。
ちょうど進行方向にいるので、避けて通るのは難しいだろう。
迂回しようにも土地勘がないから迷う可能性もある。
と、まぁこんなもん予想通りだ。
ならば可愛い人形たちに動いてもらおう。
俺は指輪に小声で話しかける。
「雪華綺晶、待たせたな(変態糞土方)、やってくれ」
『はい、マスター。……浮気は駄目ですよ』
「えっ」
『やります』
軽く脅された後、遠くから爆音が響いた。
方角は雪華綺晶たちが去ったあたり。どうやら陽動を始めたようだ。
が、あいつらいったい何したんだろうか。爆音響かせるようなものありましたかね……?
「あ~なんだなんだなんだなんだ」
「やべぇよやべぇよ……」
「すげぇことになってんぞ~!」
相変わらずホモホモしいアホ人形達が騒ぎ出し、通りから去っていく。
どうやら危機は回避できたようだ。
俺たちも先を急ぐとしよう。
――――――
大きな轟音が響く。
まるで爆弾が弾けたかのような音だ……兄貴たちだろうか。
爆音がした瞬間、顔だけは良い虐待人形が驚いたように体を跳ねさせた。
「きゃ!なによ今の!?」
思わず手が止まった彼女は俺に背を向け、部下の人形たちと連絡を取り始めた。
痛みで気を失いそうだが、散々可愛がってくれた人形への恨みが募りに募って意識を保たせていた。
部下に罵声を浴びせたり、やたらと驚愕している黒薔薇人形を睨みながら、俺は手足を拘束している縄を解く。
予想以上が脆くなっていたようだ。
これでようやく自由になった。
さて、今までの仕返しをたっぷりとさせて貰おうじゃねぇか。