変体企業の異世界進出【IS】   作:獅狼

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ちょっとばかりささっと進んでかつ、突然でどうしてこうなったと言いたい人も出るでしょうが気にしないでください。




一年後

「さて諸君、そろそろ拠点を移そうと思う」

主任が唐突にそう言い出した。

「諸君のおかげで我々の知名度も上がりいつの間にやら蓄えが豊富にあった。そこでだ」

PCとプロジェクターを取り出し、主任がある映像を見せてきた。

「月に 行 か な い か ?」

 

 

08/01 月面より50m地下

 

「Welcomeだ諸君!!」

そういって主任は手を広げ皆を出迎えた。

と言っても一緒に来たわけだが……細かいことはおいておこう。

「いやぁ、魔法ってのは便利だね、地球から(ここ)まで一瞬で来れるのだから!!」

ハイテンションでヒャッハー!!している主任は続けて語りだす。

地球(した)の拠点は今日の昼から建築が始まるから最低でも一月は使えなくなる、まあ、そんなこと気にせずここを使って好きな物を作るといい、下と違って近所の眼を気にする必要も無いからな!!」

高笑いを一向に辞めない主任を放置して他のメンバーは施設を見回る。

「おいおい、何だよこれ、本部と比べるとまだまだだけど基本的に全部揃ってンじゃんか」

「こっちには高さ20mほどの格納庫がありますよ」

「資材も豊富にストックしてあるぞ!!」

見て回った後、みなして声をそろえて言う。

「主任、これどうやって用意を?」

「本部に頼んでやって貰った」

「えーっと……どこに?」

「さあ、ハーモナイザーを利用した環境適応スーツが出来上がったとかでそれの運用テストにちょうどいいとか言ってすぐにやってくれたから」

みんなして少し不安な顔をした。

どの部署が対応したかによってどんなギミックが隠されているか分かったもんじゃないからだ。

有澤ならいい、ただ重厚で丈夫な安心設計だから。

だが判らないなら仕方がない、流石に月に作る基地に変な致死性のあるものは用意しないだろうと信じて解散しようとしたところで……

「あ、そうだ。本多副社長の奥さんの束さんが遊びに来てるから、誰か護衛に行ってね~。主に戦闘能力もち」

爆弾が投下された。

 

「オイィィィィイ!!やめろよ、そして言うの遅い!!最初に言えよ!!」

「こっちの篠ノ之束と大体外見が一緒なんだから指名手配されてる状態だぞ!?正気か!!」

「AC72出撃しまっす!!転送装置は!?」

「ゲートオープン、出現地点は工場の正面だ!!ハイドモードで入れ!!」

「了解!!」

 

そしてあわただしく出撃してゆく千石を見ながら主任がボソッと呟いた。

「当人発明の装置で変装してるから見つかる心配は……あ、行っちゃったか……このままだと見つけられないかも。束さんの端末の現在位置を知らせるか……束さんにも護衛が向かったって連絡して……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころの束さん

 

「もう、そんなに警戒しないでもいいって~、さっきも説明したけど私と貴方は平行存在で別物だからね」

「フンッだ。そんな実証されてないことよりもクローンだとか整形って言われた方が納得できるよ」

傍目からはそう見えないが、瓜二つ(印象はぜんぜん違う)の女性が片方は威嚇し、片方がそれをなだめるというそんな状況が展開されていた。

ちなみに此処は何処かのビルの屋上。

「確かにそういった説はいろいろなところからあがっているよ?でも平行世界を移動する技術なんて数世代先どころじゃない、もっと先になる。それ以前にエネルギーの問題で不可能だよ」

「ところがどっこい、平行世界には物理法則を無視して独自の法則を持ったエネルギーが存在するのだよ」

ニヤニヤと私はお前の知らないことを知っているという感じの表情で言う。

「実際に今此処はその不思議エネルギーを使って作った力場(フィールド)に覆われていてね、対処法を知らないやつは此処に来たとしても私たちと同じ場所には来れなくてカメラや衛星ですも私たちを見つけることは不可能!!いわば半分異界に居るのだよ!!」

「それは空を見ればなんとなく分かったけどさ……だって明らかに普通じゃない色してるじゃん。で?もしそれが本当だったとして私に何のようなのさ」

彼女たちの妙なテンションでの会話は続く。

千石が此処にたどり着くまで続く。

 

 

 

□◆□十分後□◆□

 

 

 

とあるビルの屋上、そこに展開された結果内

結界に何かが触れると同時に結界内部に人型が現れた。

「束さん!!大丈夫ですか!?」

その人型は両手にこれでもかと言うほど大量の剣を構え、捜し人である本多束の正面にビルの天井を削りながら着地した。

それと同時に束を囲むように剣が降り注ぎ即席の防壁となる。

「ちょっと千侍くん!?静かにしてよ、この子寝たところなんだから!!」

千石は護衛対象の束にそう叱られ、千石はそちらを向く。

するとどう言う事だろう。

「訳がわかんねえがありのままに現実を話すぜ!!

 

束さんが束さんを膝枕して寝かしつけてる。

 

一体これはどう言う状況だ!?」

「だから静かにしてよ!!あとACで動かないで、それ重量物で駆動音と足音がうるさい」

そう言う束さんの、束さんの頭を撫でている手には遮音の魔方陣が浮かんでいる。

「ま、でもちょうどいいところにお迎えが来たよ。AC72《千刀》割り込み命令、通信システム起動」

「え?」

千石ののるACのシステムが勝手に展開され、映像通信の画面が勝手に展開された。

しかもAC内部ではなく外部にだ。

『さすが、というべきかな?まさかそっちから通信を繋げられるとは……』

「そんなことはどうでもいいんだよ。ほら、さっさとポータル繋げてよ」

『はは、了解。確かに下よりはこちらの方が安全だ。スイートルームを用意しておくよ』

「え?え?」

状況の把握ができていないAC乗り(パイロット)を無視して話が進む。

『AC72、スキャンモードに移行して位置情報をこっちに送って』

「りょ、了解」

言われたとおりにACをスキャンモードに変更し、位置情報の転送を始める。

『それにしても、その様子だとずいぶん仲良く成れたみたいだね』

「まあね、流石に干支の一周は違う、成人してるとは言えまだ大学に通っているような年齢の子だからね、可愛いもんだよ。子持ちを嘗めんなよ♪って事だね」

『ハッ、外見年齢十代で通る童顔が何を言うか……む?確かにそれと比べて全体的に少し大きいかな?』

「確かにね、AC(うち)には優秀な栄養士が居るからね。それにしてもこの子、どれだけ無茶な生活をしていたのかなぁ~睡眠時間足りてないし、お肌事情もかろうじて及第点ってところかな?」

千石はその会話を聞きながら位置データの転送を終える。

その頭の片隅でこんなことを考えながら。

(まあ、なんだか悪い状況では無いし、俺が知る必要もなさそうかな?)

ただまあ、このときは誰も知らないが……彼が改造されるのは間近であるとだけ、今は言っておこうか……

 

 

 

 

織斑一夏、中学三年生の夏の時の彼には関係ない場所での話であった。

 

 




さてさて、千石君はどうナニカされるのでしょうか?
次回はナニカサレタ直後のお話で行きたいと思います。

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