でも駄文だから、シリアスと感じれないです。
みんなが散らばって行って、俺達は今、アジトの裏側にいる。
敵が居た。
敵を探していた俺達を待ち構えていたようだ。
「ここがナイトレイドのアジトね。で、お前ぇらがそのメンバーってワケか。オンナとコスプレ男じゃねぇか。」
そう言いながら髭面の男は剣を抜く。
続いてその後ろにいる男達も剣を抜く。敵は3人。
「…コウタロウ。私が2人貰うから、コウタロウはリーダーっぽい奴お願いね。」
「分かりました。お気をつけて!」
「敬語は堅苦しいからやめてよ。そんじゃ、いくぞっ!」
そう言って姐さんは駆け出して行く。
「分かった。お気をつけて!」
本当にお気をつけて!
俺は姐さんを見送りながらずっとお気をつけてと連呼する。
既にここに向かう途中で変身しているため、俺は構える。
男は剣を力強く振り下ろす。
俺は軽く避ける。
俺をナメているようだが、この男は大したことはない。イエヤスでも撃破できるレベルだろう。
俺はアッパーをその巨体にぶち込む。男は悶絶しながらも、戦闘中ということで自分の腕を無理やり上げて構え直す。
「や、やるじゃねぇかコスプレぇ」
無言の俺。
どうやら痛み隠しの様で、実際は動けないようだ。その証拠に剣を構える腕は大きく震えている。
(……決めるか)
クロスホーンを展開し、ライダーキックの構えに入る。
腰を低く落とし、左手は腰につくように。右手はゆっくりと左胸に持っていく。
そして足首にアギトの紋章の力が流れ込んでくるのを感じ、俺は飛び上がろうとした。
そんな時にふと迷いが生じた。
(……ここで人を殺していいのか?あの男は恐らくまともに戦闘はできない。無抵抗に近い人間を殺してしまって、本当にいいのか…)
俺の一瞬の気の迷いのせいなのか、紋章の力が消えゆくのが感じる。
男は飛び立とうとしてやめた俺を見て、不思議に思っている。
思えば、俺は一度も人を殺した事はない。
ロード怪人との訓練だって、倒すだけで殺してはいない。あいつらは俺に殺意なんて持ち合わせてなかったし、単純に俺を鍛えてくれた。
戦闘の師匠はロード怪人達と言うのが真実だ。
前世も含め、俺は初めての人殺しをこれから行うのだろう。だが、それに待ったをかける自分がいる。
そんな考えもしなかった突然の葛藤により俺の戦意はなくなってしまう。
いつの間にか男は逃走していた。
と言っても、既に大ダメージを負っている身なので、数歩程しか進んでいない。
男は涙を流しながら、ゆっくりと歩いている。
痛み隠しも辞めたのだろう。俺の止まった時をチャンスと思い必死な形相で逃げようとしていた。そこに異民族の戦士という顔は存在しない。男は強いものから必死になって逃げようとしている、ただの人間だった。
(ただの、人間か……。)
俺は男を見つめる。
今思えば、俺は調子に乗っていたのかもしれない。否、間違いなく乗っていただろう。
「く、来るなァ‼︎嫌だァ‼︎」
醜い叫び声をあげながら男は逃げ続ける。
この男だって人間だ。……けど、それでも、俺はこいつを殺さなくてはならない。今のように迷っている間に失ってしまうものもあるかもしれない。だから、俺は殺す。
俺の殺しに正義はない。けど、俺の殺しを正義と呼んでくれる誰かがいるのなら…………俺は闘う。
(……もう、迷わない‼︎)
俺はもう一度クロスホーンを展開する。
ライダーキックの構えに入り紋章の力を足元に込める。そして、今度こそは、飛び上がる。
俺は逃げ続ける男の背中に、ライダーキックを叩きこんだ。
男は数十メートル程吹っ飛ぶ。もう立ち上がれない。そんな男の顔は苦痛に支配されていた。男はありったけの声で叫び、助けを求める。
刹那、男は爆発した。
殺した。殺してしまった。けど、悔いはない。俺は自分のこの行為を絶対に忘れないと誓う。
爆発を背に残心を続ける。
初めての殺し。
それは俺を1段階成長させた。
背後からライダーキックって……とんだ畜生ですね。
ウラ設定ですが、修行の長さには理由があります。
単純なんですが、最初は弱かったってのと、コウタロウはロード怪人達に怒りという感情は持ち合わせていないので、バーニングフォームなどにはなれないからです。
……よくトリニティで倒せたな。