アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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最近感想欄で、皆がホモと化していることに頭を悩ませる作者です。


第47話 キョロク

「あの…そろそろ降りてもらえると助かるんですが……」

 

「……もうちょっとだけ」

 

俺の腰を抱くチェルシーの腕に力が入る。

かれこれ、こんなやり取りをもう一時間も繰り返していた。流石に苦しくなってきた。

 

「皆俺達の帰りを待ってますって!……ほら、また今度乗せてあげますから‼︎」

 

チェルシーの抱擁が別に嫌という訳ではないが、それでも皆を待たせる訳にはいかない。チェルシーは心底名残惜しそうに、腕を放し、俺の愛車から降りた。

チェルシーからヘルメットを受け取り、俺も脱ぐ。今日は沢山走らせてしまったから、お疲れ、と声をかけ降りる。

バイクが走り去っていくのを見送り、皆が待っているログハウスのドアに手を伸ばした。

 

「…ん?」

 

背後に違和感を感じる。振り向くと、チェルシーが俺の上着の裾を掴んでいた。

 

「どうかしたんですか?」

 

チェルシーは俯いおり、ゆっくりと顔を上げた。真っ赤になった顔がすごく目立つ。

 

「……敬語は…いい」

 

とても小さい声での呟きだっが、俺にはちゃんと聞こえていた。

 

「敬語は…やめて。チェルシーって、呼び捨てで呼んでよ……」

 

「…分かったよ、チェルシーさ……チェルシー。さ、入ろう」

 

 

今日は激動の日だった。

こちらは途中アクシデントに見舞われながらも、犠牲者は一人もおらず、反対にクロメの戦力を大きく削ってやった。ボルスさんは、半ば強制的に亡命させた形だけど、今日この日、俺達ナイトレイドとイェーガーズとではかなりの差が開いた筈だ。

しかし、その差を一人で覆してしまうだろうエスデス。彼女には個人的に借りがあるから、それを返さなければならない。まあ、そのためには今以上に強くなる必要があるのだが。

 

イェーガーズとの戦いだけではない。

チェルシーとの距離が急激に縮まってしまったから、姐さんに何か言われるかもしれない。スキンシップが激しくなるのが目に見えるようだ。

しかし、あの唇の感触…今夜は眠れそうにないな。

 

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

 

 

翌日。

今日からは安寧道の本拠地、キョロクに潜入する。教主補佐ボリックの屋敷は遠方からでも確認できるほどでかい。それほど汚い金を貯め込んでいるのだろう。

イェーガーズや羅刹四鬼との戦場がここである以上、地形や建造物を覚えておくに越したことはない。

帝都のはるか東に位置するこの街は、豊富な地下資源により経済的な躍進を遂げている。近年は安寧道の宗教施設などが数多く建設され、その本部を囲むような形で巨大都市と化している。

 

タツミとマイン、シェーレのA班。俺とラバがB班で、ボスとスーさん、チェルシーがC班。

アカメと姐さんは単独行動での調査となる。

B班の俺とラバは、主に聖堂付近の調査を担当する。A班のマイン達は、おそらくセリューと戦うことになるだろう。アカメも羅刹四鬼のイバラと交戦するだろうが、そこまで心配しちゃいない。原作通りだと、アカメもマインもちゃんと生き残っているからだ。それに、シェーレも生きていることから、勝率が上がることも確定している。

問題は俺だ。

エスデスから狙われている俺にとっては、聖堂付近なんて近寄りたくもない区域だ。しかし、原作通りに進むと、エスデスと戦う時にスーさんが殿を務めることになる。結果はエスデスの勝利。その未来に抗うには、複数の脱出ルートをあらかじめ練っておく事が必要になる。俺が転生者という事を知られる訳にもいかないので、仕方なく俺はB班を選択したのだ。

 

「……よし、じゃあ二時間後にこの店の前に集合しようぜ」

 

「オッケー。気をつけてね」

 

おう、とだけ答えると、ラバは酒屋に向かって行った。どうやら、ボスに贈る酒を見に行ったらしく、俺も誘われたのだが、酒なんて飲まないために断った。というか、最初から別行動て…同じ班になった意味がないのでは?と思ったが、深くは考えないことにした。

二時間とは言っても、案外早く終わるものだ。どこで時間を潰そうかと、適当に街を彷徨ってみる。

二十分程見て回ると、小腹が空いたので偶然目に入ったパン屋に寄ってみることにした。店内はお洒落な雰囲気で、パンの種類も豊富だった。そこであんぱんを二つ購入し、店を出た。

あと一時間半もある。

このパンを食べたら何をしようか、とぼんやりと考えていた時、背中に衝撃が走る。

 

「あ痛っ⁉︎」

 

「あー、ごめんね。余所見してた」

 

少しイラっと来たので、文句の一つでも言ってやろうかと思って振り向くと、あまりの驚きに目を見開いた。

 

「…あ」

 

ずっとこの表情だと怪しく思われそうで、誤魔化そうと頭を必死に回転させる。

 

「次からは気をつけるよ」

 

「あ、あんぱん…食べません?……」

 

自分でも何を言ってるのだろうと、後ながらにして思った。しかし、今から訂正するにしても、何と言えばいいのかさえ考えつかない。

わざとではないにしても、俺に背後からエルボーを喰らわせた人物。それは、後で戦うだろう羅刹四鬼の一人、メズだった。

 

「……は?何言ってんの?……まあ、別にいいけど」

 

別にいいんですか!?と、勢い余って叫びそうになったのは、仕方のないことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 





個人的にメズさん…超大好きです。褐色って、すんごいエロいですよね……。

最近は蒸し暑くてかなわん‼︎汗臭くて、冬が恋しいです。まあ、メズさんの汗ならアクエリ代わりにちょうどいいんですけどね。

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