アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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遅れてすみません‼︎

来週の頭からテストなんで忙しくて更新できませんでした……

次回はテストが終わり次第です…


第39話 戦いに備えて

 

「ーーーってな訳で罠だったって話。ホント危なかったーっ」

 

チェルシーはココアの入ったマグカップを片手に、仕事での苦労話を語っていた。

 

新しいアジトへ来て1週間。マーグ高地での修行で帝都での仕事を行えなかった分、俺達の仕事は、俺とタツミがナイトレイドに入った頃の倍近くに増えていた。ナイトレイドがここ1ヶ月、目立った活動を行っていないのをいいことに、鳴りを潜めていた悪党共が急に活気づいたのだ。俺もよく駆り出され、今週は休みが1日しかない。……とんだブラック企業ですね。

 

いつもようにチェルシーがマインをからかいながら遊んでいるのを眺めながら、俺はお茶を啜る。

 

「今回の件といい…イェーガーズは私達に狙いを絞りにきてるな」

 

「新型危険種も全滅させたし、残りのめぼしい賊はナイトレイドだけだからね」

 

若干騒がしいものの、俺達はテーブルを囲みイェーガーズへの対策を練っていた。

チェルシーは今回の任務で、イェーガーズの二人と遭遇したらしいのだ。その時は猫に化けてその場をしのいだものの、イェーガーズは確実に俺達を意識して狙ってきている。このままでは、帝都での仕事中に鉢合わせしてもおかしくない。

 

「そうだな……イェーガーズとはいつか必ず決着をつけなければいけない。特にエスデスには要注意だ。あいつは昔からどこか…いや、殆どおかしかったからな」

 

誰かと思えばボスだ。風呂上がりなのか、肩からタオルをかけ、黒のヘソ出しタンクトップを着用している。濡れた髪と身体を包む湯気が抜群のスタイルに色気を漂わせる。

ごくり。

ラバか唾を飲み込んだ音だろうが気にしない。

 

「昔からって…そう言えば、ボスはおいくつなんですか?」

 

「私は二十代半ばだ。エスデスはもっと下だが」

 

タツミの問いに、ボスはタオルで髪を拭きながら答える。

 

「ボスそんなに若かったんですか⁉︎意外すぎる‼︎」

 

タツミはテーブルに身を乗り出し驚愕の目をボスに向ける。

 

「ばっか!ボスは永遠の17歳に決まってるだろ‼︎ナジェンダさんじゅうななさい」

 

危なかった……もし俺のフォローがなかったらタツミはこれから悪夢を見ていただろう。

俺はタツミに向けて笑顔でサムズアップを送る。

 

刹那、タツミが視界から消えた。

そしてすぐに、タツミがボスに吹っ飛ばされ、落下する音が聞こえた。それまでを理解するのに2.6秒。恐る恐るタツミが吹っ飛ばされた方へ首を動かす。

 

バキッ‼︎バキッ‼︎

 

あの人グーで殴ってる。

元といえども、将軍だった人間だ。そのボスが握り拳で思いきり二十歳にも満たない少年を殴っているのだ。しかも片方は鋼鉄製の義手。

 

「っ‼︎ぐへっ⁉︎」

 

タツミが無言で殴られるさまをじっと見ていると、俺の腹部に鈍い痛みが走る。それに耐え切れず、俺は膝を降り胃液を吐き出す。

 

「はぁはぁっ!……な、何で俺まで⁉︎」

 

悪ふざけが過ぎたか?

それよりも、お、おかしい……ボスの背後に鬼神が見える……いや、ボスが鬼神…なのか?

 

「お前が一番悪意があっただろうがああああああ‼︎」

 

俺が目を覚ましたのは、それから約2時間後のことだった。

 

 

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

 

俺が気絶している時、どうやら姐さんとチェルシーが手当してくれたらしく、俺の体全体に包帯やら湿布が貼られている。タツミはあの後すぐに起き上がったそうだが、俺は2時間気絶したんだ。どうやら本気で殴られたのは俺の方だったな……。

 

「今回の案件は、安寧道と呼ばれる広く民衆に信仰されている宗教だ」

 

話はうって変わり、俺達は現在会議室に集められている。ボスが言ったとおり、次は安寧道絡みの任務だ。この任務はイェーガーズと対峙し、両方とも犠牲が出る大きな戦いになる。イェーガーズはともかく、原作通りだと、この戦いで死ぬのはチェルシーだ。だが、そんなことはさせない。チェルシーはナイトレイドのメンバーでもう俺達の仲間だ。そんな大切な人を傷つけさせるわせにはいかない。何が何でも絶対に守ってやる。

 

そんなことを思っていると、いつの間にか話は進んでいた。

 

「それで、だ。今回の私達の目的は、安寧道の本部まで行き、大臣のスパイであるボリックを討つことだ」

 

ボリックは安寧道の教主補佐役であり、信任が厚い。それを利用し、一部の信者の食物に少しずつ薬を混ぜ中毒にし、忠実な人形としていることが密偵の報告で確定している。

しかもボリックの目的は、近々帝国に向けて武装蜂起する安寧道を掌握し、武装蜂起をさせないこと。個人的にもムカつくが、革命軍にとってもかなりの障害であるらしい。遠慮はいらない、と言われからには……遠慮するわけにもいかないな。

 

「最後に、イェーガーズについて……」

 

ボスはコートを羽織り直し、深々と椅子に腰掛ける。

 

「アイツ等は今全力で私達を狩ろうとしている。このまま後手後手ではいつか捕まってしまうと確信した」

 

「実際踏み込まれた時も、私の能力じゃなきゃヤバかったしね」

 

とチェルシー。

 

「ならば今回……帝都の外まであいつらをおびき寄せて、そこで仕掛けようと思う」

 

イェーガーズの中でも、クロメとボルスは革命軍の始末リストに搭載されているとのことだ。ボルスは革命軍を支援した村を一つ焼き尽くしたことと、本人の火力が危険視されている。

 

「イェーガーズはエスデスが率いている以上、大臣の私兵であることには変わらん。ーーーー見知った顔でも戦えるな?コウタロウ」

 

ボスと目が合う。

イェーガーズでの生活は、怯えながらも楽しかった。特にウェイブやボルスは緊張気味の俺にも優しく接してくれた。

正直殺したくない。

でも、それは俺の都合であり、向こうはお構いなしに仕掛けてくるだろう。もし、俺の大切な人を傷つけるようなことをしたら……その時は問答無用で誰が相手になろうと、徹底的に潰すのみ。

 

 

戦いは近い。

この戦いで物語は大きく動くことだろう。

 





次回からはイェーガーズとの戦いです。

戦闘模写はキツイんだよなぁ…

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