アギトが蹴る!   作:AGITΩ(仮)

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この間、久しぶりにアギトの劇場版を観たんですけど、改めて見ると面白い面白い。

一般人があの軍隊アリのロードに囲まれた時の絶望感はヤバい。


第38話 新しいアジトと危険種

 

 

「なんかさ、新しいアジトって感じがしないな」

 

エアマンタから全員が降り、俺達は新しいアジトを見上げる。

 

マーグ高地での約一ヶ月間の修行を終え、今度は帝都から北東に15Km地点のアジトだ。見つかりやすさと逃げやすさを考えると、自然と元のアジトに似るらしい。

それにしても似すぎだろ……。内装はまだ分からないが、外見は元のアジトと瓜二つだ。

 

「ナジェンダさん、アジト周囲に結界貼り終えましたー」

 

「緊急避難用の抜け穴も掘り終えたぞ」

 

ラバックとスーさんも一仕事終え集まって来る。皆荷物を背負い直し、ボスを先頭に新しいアジトへと進んで行った。

 

 

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

自分の荷物をそれぞれの部屋にひとまず置き、俺達はボスに会議室へと集められていた。新しい会議室も元のアジトと変わっておらず、それ以外の内装も元のアジトと似ている。

 

「戻ってきて早速だが、今回の標的は例の新型危険種どもだ」

 

ボスは会議室中央に一つだけ存在する椅子に座り、タバコを吹かしながら今回の標的について話し出す。

 

「奴等は基本群れで行動し、僅かながら知性も見受けられる。個々の身体能力は高く、腕試しの武芸者達も犠牲になっているらしい。今でも帝都から南部の鉱山・森林に広く潜み、貪欲に家畜や人を食らっている」

 

新型危険種。Dr.スタイリッシュが残した負の遺産で、原作でもナイトレイドやイェーガーズなどと戦っており、その際主要人物達に死傷者は居ないのだが、奴等が起こす災厄は早急に抑えなければならない。

この危険種を狩ることで結果的に帝国に協力する形になるが構わない。

 

「ん〜〜。大きな危険を冒してバケモノ退治ねぇ……」

 

壁に背もたれながらチェルシーは口を開く。皆ボスの方を見ていたので、一斉にチェルシーの方を向く。

 

「イェーガーズに任せておけばいいのに、やっぱりどこか甘いよ皆…」

 

チェルシーは納得できないといった表情で、眉間に皺を寄せる。空気もチェルシーの一言により、沈んでいる。

 

「……言いたいことは分かる」

 

その虚を破ったのはタツミだった。

 

「でもコイツ等、今も誰かを襲ってるかもしれない」

 

そうだな。危険種達のせいで無惨に死んだ人達…。その人達の無念を晴らすため、そしてまた誰かが悲しまないためにも、一刻でも早くこの危険種を狩り尽くす必要がある。

 

「俺達は殺し屋だけど民の味方のつもりだ。殲滅を早めて一人でも多く助けたい」

 

「同感!コイツ等のせいで誰かが悲しむのを見たくないですし!」

 

俺もタツミに続けて言ってみた。

チェルシーは渋々承諾する。

 

「……タツミ、コウタロウ……お前達に一言言いたいことがある」

 

「……スーさん?」

 

なんだ?俺はズボンのチャックは閉めてるぞ?

 

「タツミはズボンのチャックが開いている。コウタロウはシャツが裏表反対だ。気になるからなんとかしてくれ」

 

すいません、それ早く言ってもらっていいですか。

 

 

♢ ♢ ♢ ♢ ♢

 

 

 

「そういや昼間も思ったんだけどさ、ラバはボスのことナジェンダさんって呼ぶんだな」

 

「……っま、まぁ、そりゃあな」

 

ラバはボスとの昔話を語り始めた。

帝都から近い山の麓のパトロールが俺達の仕事だ。本来ならラバとタツミの二人だけでの仕事だったが、このまま進んでしまうと、タツミはエスデスに遭遇してしまい最悪殺されてしまう。エスデスとの遭遇を止めるため、俺はボスに適当な言い訳を繕いこちらのチームになった。

 

「悲しいぜ…泣ける話だろ?」

 

「ラバ…」

 

こう見えてラバは一途だ。俺とラバはよく女風呂を覗くが、ボスが入浴中の時間帯は絶対に覗かないことになっている。俺がこっそり覗こうとしてみたら、ラバが鬼の形相で槍を振り回し追いかけてきたからな……。あの鬼ごっこはトラウマだ。

 

「好きな人がいるのと可愛い女の子を見たいって欲求は別だろ⁉︎なぁコウタロウ⁉︎」

 

「あたぼうよ!ウチの女子の風呂は死んでも覗く価値はあるからね!」

 

俺だって男だ。例え俺がラバと同じ境遇でも、俺はまったく同じ行動をとっているだろう。

 

 

「ここら辺本当に危険種出るのかな?」

 

言い合いも終わり一時間程山を歩き回ったが、危険種が出る気配は一向にない。原作はエスデスと遭遇した時に溢れ出るのだが、今はネズミの気配もない。

 

「糸も張ってるんだが、獲物がかかりゃしねぇ」

 

ラバのクローステールに引っかからないとなると、山頂の方しか居ないことになる。

 

「…うし、なら帝具で山頂の方見てくるわ」

 

「いや、俺が行くよ。タツミはラバと一緒に麓を捜索して」

 

「ん、なら頼んだぜ!」

 

それじゃ、と言い残しアギトの状態で一気に山頂へと駆け登る。山頂へ到着すると、登ってきた方とは反対側から今度は降りる。もたもたしているとエスデスと遭遇するからな。壁をよじ登っていた例の危険種をすれ違いざまに蹴り殺す。まだまだ数はおり俺を追いかけようとするが、迎撃し残りは山頂へと逃げて行く。

 

山頂の方から何かが落ちる轟音が響いた。

恐らくエスデスだ。山頂へと逃げて行った危険種をドラゴンの上から見つけたのだろう。どうせシュラも来るだろうし、さっさとトンズラするべきだ。エスデスと南の島でデートとか死んでも行きたくない。あの大型危険種もエスデスに任せとけば大丈夫だろう。

 

隠れていたタツミ達と合流し、俺達は帰路へと着いた。

 

 

 





危険種の話は一話で終わり。

エスデスとのバカンスは、コウタロウは既にエスデスが説得に応じないことを知っているので飛ばしました。

試案では、エスデスとの遭遇を回避したらシュラと出くわし交戦するする予定でしたが、どっちにしろ南の島でデートは避けられないかなと思い普通に帰る事にしました。


※決してバカンス編が面倒くさかったとかじゃないよ?

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