タグに不定期更新と書いててよかった…。
『し、死ぬかと思った……』
水面から胸からを上を出した俺は呟く。
タツミを庇って水龍達に襲われた俺。だが、アギトに変身していたためかダメージは少なかった。問題は船から落ちる時だ。ダメージはないに等しいにも、衝撃はかなりのものだ。船のデッキという狭いフィールドからはすぐに落ちてしまう。それに加え、まるで高層ビルの様な高さの竜船から水面に落ちるまでの間は走馬灯の一本や二本など少なすぎるものだ。元々、高所恐怖症の俺にとって高いところから落ちるというのは拷問にも等しい。多分、アギトに変身してなかったら死んでいただろう。
『これからどうしよう…』
早く戻らなければアニキが死んでしまう。
だが、コウガマグロも獲れないような俺が船に戻るには時間がかかり過ぎてしまう。
とりあえず、船を登る。
だが、全て登りきるのは不可能に近いので1メートル程で腕を止める。そして側面に思いきり右ストレートをぶち込む。右腕は肘から先が陥没し、ちょっと恥ずかしい体勢になる。
俺は左手でベルトの左スイッチを押し込む。音が鳴り響きベルト中央の賢者の石が青く光り回転する。直後に俺の胸元と左腕は青く変色し左肩は丸みを帯びた鎧のように変化する。
俺はストームフォームにフォームチェンジして、ベルトからストームハルバードを取り出す。両端の刃が展開し長さは結構なほどになる。左手で持つストームハルバードを振り回し、俺の周りの水はだんだんと強い波を作り出す。一時すると、先程まで水に浸かっていた俺の下半身は水に触れなくなる。壁並みの大きな波を作る運河。だが俺の周囲だけ水はない。真空状態ならぬ真水状態。これからマシントルネイダーを呼び出すのだが、水の影響で錆びないか心配だったのだ。巨大運河に一つのクレーターを作る程のストームフォームだが、これでも結構力を抜いている。本気を出すと嵐になりかねないのだ。嵐なんて誰も喜ばないからせめて敵との戦いにしか使わない。
そして俺の愛車、マシントルネイダーを呼び出す。
いつも呼ぶときはどこからともなく一瞬でやってくるのだが、今回は水中(と言っても、はんば浮いてるようなもの)だ。どうやって俺の元に走ってくるのか少し楽しみである。
ワクワクした気持ちで待つと、少し離れた上空からスライダーモードの状態でゆっくりと降りてくる。え?どういうこと?…恐らくだが、このマシントルネイダーは別の空間から俺の元に来ているのではないのだろうか。その事は置いといて、俺は陥没した右腕を引き抜きトルネイダーに飛び移る。
船上へと一気に上昇して行く。
デッキに飛び降りると、タツミはインクルシオを装着していた。そばにはアニキが壁に背をもたれながらタツミを見つめていた。まだ間に合う。
『アニキッ‼︎』
「…おぅ、コウタロウじゃねぇか……」
俺が駆け寄るとアニキは俺に反応し、ズルズルと滑るように座り込む。吐く息も荒々しく毒が全身に回りとても弱っていた。
「…へへッ、タツミのヤツ、いずれ俺を超えるな……」
『なら、それを見届けないとですね……』
俺はアニキに触れ治療する。
俺がアニキを治療すると、ゆっくりとアニキは目を閉じた。
こちらに気づき駆け寄ってくるタツミ。
「コ、コウタロウ‼︎生きてたのか⁉︎」
『そんな簡単に死ねないよ……』
前世では疲れた、という下らない理由で死を選んだ。そして運良く転生しこの世界に来た。この世界は理不尽に溢れている。折角力を貰ったのにそれを直さないなんて男じゃないな。だから、この世界で起きる最悪の悲劇を捻じ曲げるためには、そう簡単には死ねない。死んでたまるか。
『さ、帰ろうか』
疲れ果て気を失っているアニキを抱え、俺はマシントルネイダーに飛び乗る。今度はシェーレみたいにお姫様だっこではない。いや、流石にね……。
おんぶで抱えたアニキの後ろには、三獣士から奪取した帝具を持つタツミが乗り込む。
空から雨が降り落ちてくる。
散々濡れている俺にとっては、もはや気に止める必要はないものだ。
ほげえええええ‼︎テストォォッ‼︎
はい、もちろん爆死しました。