知らない子ですね(すっとぼけ)
タツミとマインは今帝都に市政調査に出かけている。
まあ、簡単に言うとマインのショピングなのだが……。それ以外のメンバーは各自訓練でもしているのだろう。アニキの槍を振る轟音が聞こえてくる。
一方の俺は、昨日ボスに言われた通りアジトを隅々まで、徹底的に掃除していた。
この日はタツミがマインを起こしに行った際、偶然マインのお着替えを拝見した日だ。マインはパンプキンを乱射。一発でも壁をぶち破る威力があるのにだ。
おかげで俺は壁の修復をも命じられてしまう。
……いや、いくら怪我や病気が治せたって物は治せない。
そんなこんなで俺は壁のパテ作りから始めるのだった。
………後でマインのパンツでも拝借するか。
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時は進み夜。
タツミはマインの荷物を抱えながら帰ってきた。マインは知らん風だが。
だが、そんな2人の仲は昨日より少し親密になったようだ。どうやらお互いに信頼しあったようだな。
食事も終わり会議室に俺達は集められる。
「今回の標的は、帝都で噂の連続通り魔だ。深夜に突然現れ、首を切り取って行く。もう何十人殺されたか分からん。」
恐らくザンクだろうな。
帝具所持者のキチガイだ。
「その中の3割が警備隊の奴らなんだろ?強ぇな…」
「間違いなく、あの首斬りザンクだろうね。」
ラバックが答える。
シェーレは忘れてるとして、この中で知らないのはタツミだけだ。
「で、どんな悪党なんだ?そいつ」
「首斬りザンク。元は、帝国最大の監獄で働いていた首斬り役人だったそうよ。大臣のせいで処刑する人数が増えて、毎日毎日、繰り返し首を斬り取る内にもう首を斬るのが癖になったキチガイよ」
タツミの問いにマインが答える。
さっきからキチガイキチガイってザンクさん可哀そう過ぎィ。
「で、仕事だけじゃ物足りなくなって通り魔として一般人も殺しているのさ」
「……危険な奴だな。探し出して俺達で倒そうぜ!」
「まぁ、待てタツミ。ザンクは帝具所持者だ。2人1組で行動しねぇと………お前、危ないぜ?」
そう言ってタツミの顎を持ち上げるアニキ。
あれ?2人の背後に薔薇のオーラが……。
マインがボスにザンクの帝具を聞くが知らないようだ。皆は知らないようだが俺は知ってたりする。
帝具スペクテッド。
詳しい説明は省くが、簡単に言うと心を読まれたり幻覚を見せられたりする帝具だ。
厄介な帝具で、殆どのメンバーと相性が悪い。勝てるのはアカメくらいだろうか。
「決まりだ。民を脅かすキチガイを狩れ!」
俺のパートナーはタツミ。
原作でザンクに遭遇するのはタツミが最初だからな。タツミによろしくと一言かけて俺達は闇へと繰り出した。
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「俺達の区間はこの辺りだよね。」
「ああ。つってもなかなか現れねぇな。……っと、ちょっと小便行ってくらぁ」
「はいよ」
タツミは裏路地の方に入って行った。
にしても、帝都の夜は冷えるな……。もっと厚着してくればよかった。
「……タツミ、遅いな。」
タツミが小便に行って数分が過ぎた。
いくらなんでも遅すぎる。俺はベンチから腰を上げタツミが消えた方に向かう。
だが、タツミは居ない。
「あ、やべ。忘れてた……」
ザンクがタツミを襲いアカメが助けると言うのが原作だ。だが、今回はアカメの代わりに俺。
タツミが襲われるのは知っていたが、タイミングをすっかり忘れていた俺は急いでタツミを探しに行く。
幸いにも、場所の検討はついている。
待ってろよタツミ。俺が行くまで持ち堪えろよ‼︎
ザンクさんかわいそう過ぎィ。
3回もキチガイって呼ばれてたよ…。
だが私は謝らないっ‼︎。