俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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皆様、お久しぶりです。約7ヶ月ぶりの投稿になります。
投稿するまでに時間がなかったり、パソコンが壊れたりといろいろありながら平成が終わって令和が始まりました(汗)

まぁ、兎に角言い訳もここまでにして、長い間お待たせして申し訳ございません。
そしてだいぶ遅いですが、新元号開始おめでとうございます!そして今回が令和最初の投稿でもあります。

今回はクロウの仲間達とヤプール四天王との最後の戦いです。
その中で特に注目すべきところは、地底での戦いを得意としている怪獣VS超獣のバトルと怪獣酋長と戦国の呪術者の対決であります。特に後者は摩訶不思議な力を持つ者同士、一体どんな戦いを繰り広げる事か!あと酋長の直属の配下の怪獣達&闇の戦士の活躍も是非ご覧下さい。
感想と評価をお待ちしております。

古代怪獣ゴモラ、原子怪鳥リトラ(S)、宇宙怪獣エレキング
怪獣酋長ジェロニモン、宇宙超獣トロンガー、凶暴竜ロックイーター
暴竜アンギラス、闇の戦士ヒュドラ、呪術者・魔頭鬼十郎幻州
地底エージェント・ギロン人、変身怪人アンチラ星人、古代怪獣ゴモラⅡ、
犀超獣ザイゴン、大蟻超獣アリブンタ、プラズマ怪獣アースゴモラ
人魂怪獣フェミゴンフレイム、二面鬼宿那鬼、凶獣姑獲鳥、奇獣ガンQ   登場




第34話 地の底の戦い!覚醒せよ怪獣の誇りよ

突如現れたヤプールの手によって異次元空間へ吸い込まれてしまったクロウ達。彼らはヤプール率いる異次元軍団の四天王がいる4つの異次元空間にバラバラにされてしまった。

その中で1つ灼熱地獄のような空間と深い森の空間に吸い込まれたグロラス、タクト、ダーラム、リーシャ、ルーネ、カミーラ達はそれぞれ四天王であるマグマ超人マザロン人と銀星人宇宙仮面が率いる異次元軍団と戦い、力を合わせて撃破する事ができた。

そして各々新たな仲間と共に異次元空間から脱出したのであった。

 

 

 

「ぐぅ~~!何と言う事だ!我が軍の四天王が2人も破られるとは!?」

 

 

異次元空間の中心とも言える場所で、この戦いの首謀者であるヤプールは1人苛立ちを隠せず、大声で怒鳴り散らしていた。

 

 

「奴らから得られる筈のマイナスエネルギーがあまりにも少ないから様子を見てみたら・・・こんな事になっているなんて!」

 

 

このままでは強い超獣や強豪怪獣達を蘇らせるのに必要なエネルギーが足りないばかりか、今いる奴らを意のままに操っている魔力が途中で切れてしまう可能性すらある。

そうなればこちらの戦力が一気に失ってウルトラ戦士共はおろか、レイオニクス共を倒す事すら不可能になってしまう。

 

 

「今しかないのだ・・・!あの最も強いレイオニクスを倒せるのは!!」

 

 

そう言ってヤプールが見つめる先には異次元の穴があった。だがそれは最初に現れた4つの穴ではなかった。実はあの襲撃の際クロウのみ4つの異次元空間とはさらに別の異次元に吸い込まれてしまったのだ。

そしてクロウは今6人の怪人と一緒にその異次元の中を彷徨っていた。

 

 

「こうなったら残った四天王2人に協力して倒すよう命じるとしよう。そうすればレイオニクス1人くらいは倒せるだろう。それにもし失敗してもいいようにアレも備えておこう」

 

 

次々と計略を考え発動させるヤプール。果たして奴は一体どんな作戦を閃いたのであろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃レイはヒュウガ達と一緒にいた。彼らは現在岩と土でできた柱や泥沼などが所々に存在し、まるで地底世界のような場所だ。

すぐにでも脱出しようとするレイ達だったが、強力な異次元エネルギーと穴から飛び出して地面に不時着したショックでペンドラゴンが故障してしまい、脱出できずにいた。

 

 

『ボス!ペンドラゴンには特に大きな損傷はありません。少し時間をくれればすぐに飛びたてます』

 

「分かった。引き続き修理を続けてくれ」

 

『了解!』

 

 

クマノからの報告を聞き、指示を出した後ヒュウガはレイ達と共に周りの状況を確認する。

 

 

「ハルナ、オキ。そっちはどうだ?」

 

「今のところ異常はありません」

 

「こっちも確認していますが、特に異常は見られません」

 

「レイの方は?」

 

「大丈夫だ。周りに怪獣の気配は・・・ッ!?」

 

 

いないと言うとした時、突如こちらに向かって何かがやって来るのを感じた。しかも複数だ。レイがヒュウガ達にその事を伝えて全員が警戒していると、とある方向から土煙と共に怪獣の鳴き声が聞こえた。そして現れたのは・・・!

 

 

「グェグェグェ!ヤハリオ前達デアッタカ・・・」

 

「ジェロニモン!?」

 

 

やって来たのはジェロニモンと彼が率いるトロンガー、ロックイーター達・・・そしてアンギラスにヒュドラだった。

何故アンギラスが彼らと一緒にいるのかと言うと、此処へ吸い込まれる時にクロウが咄嗟にギガライブナイザーから召喚してジェロニモン達を守るように命じながら飛ばしたのだ。やって来たのが彼らだと知り、レイ達はクマノを残して外に出る。

 

 

「お前達も無事だったか」

 

「偉大ナルクロウ様ノオカゲデナ。ソレヨリモ早ク此処カラ脱出スルノダ」

 

「待ってくれ。ペンドラゴンが不時着のショックで故障してしまった。少し時間がほしい」

 

「ヌッ?ナラ仕方ナイ。ダガ早クシタ方ガイイゾ・・・周リカラ邪悪ナ気ヲ感ジル」

 

 

ジェロニモンの警告を聞き、全員が周りを見渡す。すると突然地震が起こって目の前で砂煙が舞い、その中から3体の怪獣が現れた。

1体は背中の2本の大きな角と頭の3本の角、両手の鋏、全体が蟻に似た感じであるのが特徴の大蟻超獣アリブンタ。

そしてもう2体は・・・。

 

 

「ゴモラ!?」

 

 

現れた怪獣の姿を見てレイ達は驚きの声を上げた。どちらも外見はゴモラに似ているが、レイのゴモラとは違って角が多かったり、肥大化していたり、愛嬌があった顔から一変した凶悪な顔をしていた。そしてなにより一番違う点は、体の様々な部分に・・・紫色の結晶がある所だ。

 

 

「オキ!アレもゴモラなのか!?」

 

「分かりません!1体は大蟻超獣アリブンタで、ヤプールが作った超獣です。もう1体はゴモラⅡと言って分かるのですが、最後のあのゴモラは・・・僕も始めて見る奴です!」

 

 

オキでも分からない怪獣の存在に全員は警戒する。そんな彼らを嘲笑うかのような笑い声が辺りに響いた。

 

 

「フハハハハハ!なんて面白い顔だ!!」

 

「全くだ。まさに傑作と言って良いモノだ」

 

「誰だ!?」

 

 

全員が一斉に声がした方を見ると岩の上に2人の怪人がいた。緑色の昆虫のような複眼と顔の周りにある鬣が特徴の地底エージェント・ギロン人と、ザニガニに似ていて、赤く先端が曲がっている角と両手の赤い爪が特徴の変身怪人アンチラ星人がいた。

 

 

「我はギロン人!偉大なる神ヤプールに仕える異次元軍団の四天王であり、この地底世界の主だ」

 

「同じく変身怪人アンチラ星人だ!」

 

「ヤプールの部下か、俺達を此処に連れてきた目的は何だ!?」

 

「決まっている!貴様達からマイナスエネルギーを奪い、その命をヤプール様に捧げる為だ。その為に相応しい相手を用意してやったぞ」

 

「それがあの3体だと言うのか!」

 

「その通り!我が相棒、超獣アリブンタに地球のレイオニクスが使う怪獣の中で最も強いゴモラの同族の中でも最も凶暴なゴモラⅡとアースゴモラだ!」

 

「ギィーキョロロロロロッ!!」

 

「ギシャアアアアアァァァァーーー!!」

 

 

ギロン人の声に合わせてアリブンタ、ゴモラⅡ、アースゴモラの3体は咆哮を上げる。だがそんな事で怯むレイ達ではなかった。

 

 

「たとえゴモラの同族だとしても・・・俺のゴモラが負ける訳がない!行け!ゴモラ!エレキング!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

召喚されたゴモラとエレキングは目の前にいるゴモラⅡとアースゴモラに一瞬驚くが、2体の殺意を感じてすぐさま戦闘態勢をとる。

その間にレイはヒュウガ達とジェロニモン達をペンドラゴンに避難させ、アンギラスに護るように指示を出した後、ゴモラ達にも指示を出した。

そしてゴモラはゴモラⅡとアースゴモラに、エレキングはアリブンタへ戦いを挑んだ。

 

 

「ギシャアアアアァァァッ!!」

 

 

地底世界で激突し合う3体のゴモラ。レイのゴモラは、突進してくるゴモラⅡとアースゴモラの攻撃を真正面から迎え撃った。

 

 

 

ドゴオオオオオォォォォン!!!

 

 

 

3体が激突した瞬間、地底世界で激しい地震が起きた。あまりの揺れにその場にいた全員が危なく倒れかけてしまうが、なんとか踏ん張って戦いに集中する。

 

 

「グルルルル・・・!」

 

「ギッ、ギシャアアァァッ!?」

 

 

ゴモラは2対1と言う状況でも負けず、ゴモラⅡとアースゴモラの突進攻撃を受け止める。そしてそのまま2体を突き飛ばした。

 

 

「ギシャアアアアァァァーーーッ!!」

 

 

突き飛ばされたゴモラⅡとアースゴモラだが、怒りと闘争心が高まって再びゴモラを攻撃する。ゴモラⅡは両手からミサイルを放ち、アースゴモラは長い尻尾を大きく振る。しかし2体の攻撃は、レイのゴモラには通じなかった。ゴモラはミサイル攻撃を素早い動きで躱し、尻尾を受け止めて逆に振り回してアースゴモラをゴモラⅡにぶつけた。それによりアースゴモラの体から紫色の結晶が砕け落ちた。

目の前の状況にギロン人が堪らず悲鳴を上げた。

 

 

「馬鹿な!2対1となのに・・・何故奴のゴモラの方が強い!?」

 

「当たり前だ。俺のゴモラは最強の怪獣だ。例えどんな相手であろうと・・・ゴモラは絶対に負けない!」

 

「ギシャアアアアァァァーーーッ!!」

 

 

レイの言葉に応えるかのようにゴモラは大きく咆哮を上げる。これまでの戦いやクロウとの特訓により、ゴモラは目の前にいる2体を軽く上回る程の力を持ったのだ。

そしてゴモラはさらに激しい攻撃をして、2体を圧倒するのであった。

 

 

 

一方ゴモラ達が戦っている場所から少し離れた所で、アリブンタとエレキングの戦いが繰り広げていた。

 

 

「ギィーキョロロロ!?」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

アリブンタの鋏攻撃を避け、接近してパンチを浴びせるエレキング。それに怒ったアリブンタは口から何でも溶解する『蟻酸』を吐き出す。しかしエレキングは、その場でバック転をして躱した。彼もゴモラに負けないくらい運動神経の良い奴だ(笑)!

 

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

エレキングは反撃とばかりに口から『放電光線』を放つ。光線はアリブンタの腹に命中するが、アリブンタは特にダメージを受けていないと言っているかのように鋏を振り上げ、そのままと突進攻撃を仕掛ける。「それならば!」とエレキングはタイミング良く尻尾を振って巻き付け、強力な『エレクトリックテール』を喰らわせた。

 

 

「ギィーキョロロロロッ!?」

 

 

流石のアリブンタもこれには悲鳴を上げる。また、強力な電撃攻撃によって体が痺れて身動きが取れなくなってしまった。

ギロン人は自分の軍団が苦戦している状況を見て動揺し、悔しそうに両手の鋏を開いたり閉めたりしている。

 

 

「このままだとマズイ。アンチラ星人!お前も早く加勢して、奴らを倒すんだ!!」

 

「分かった。出て来いザイゴンよ!!」

 

 

ギロン人の指示を聞いて、アンチラ星人は両手を上げながら叫ぶ。すると彼の背後の地面から土砂と土煙が噴き上がり、そこから1体の超獣が現れた。

その超獣は四足歩行で、黄土色と金色の体に赤い目と鼻先の黄色と黒の縞模様が入った巨大な角が特徴の犀超獣ザイゴンである。

 

 

「行けザイゴン!お前の手であの怪獣とレイオニクスを倒すんだ!!」

 

「ガア゛ア゛アアアアアァァァーー!!」

 

 

アンチラ星人の指示に従って、ザイゴンは鼻から蒸気を噴き出しながら走り出した。だが目の前に突然青い光の球が現れ、まるでザイゴンの動きを止めるかのように立ち塞がった。

当然ザイゴンは自分の行動を邪魔した光の球に怒りの咆哮を上げる。すると光の球から巨人へ変身したヒュドラが現れた。

 

 

「ヒャッハーー!!レイばっかりズルいぜ。俺も暴れさせてもらうぜ!!」

 

 

独特なポーズを決めながら言うヒュドラに、ザイゴンは口から強力な火炎『ファイヤーハリケーン』を放つ。だがヒュドラはその場でジャンプして躱し、そのまま勢いよく飛び蹴りをザイゴンの頭目掛けて喰らわせた。その一撃によりザイゴンは地面に頭を突っ込むように埋まって動けなくなってしまった。

 

 

「おいおい、これで終わりか~?もうちょっと楽しませろよ。それともお前らの自慢の超獣と言うのはこんなものなのか~~?」

 

 

再び独特なポーズを決めながらヒュドラはギロン人とアンチラ星人を挑発する。

 

 

「き、きっさま~~ふざけおって!ならば我自ら相手をしてやる!!」

 

 

そう言って怒り狂うギロン人は、両腕を交差して巨大化する。そして両手先から針状の光線『ギロン光線』を発射した。しかしヒュドラは素早い動きで光線を躱し、接近してお腹に蹴りを何度も浴びせる。

 

 

「キューキュキュキュッ!」

 

 

強力な蹴りを食らうギロン人だが、彼は怯まず鋏で脚を掴み、もう片方の鋏でお返しとばかりに何度も叩きつけた。

すると今度はヒュドラが鋏を掴んで脚から無理矢理引き離し、体勢を立て直したのと同時にギロン人の顔目掛けてパンチを放った。

 

 

「ぐっ!オノレ・・・!」

 

「ガッ!てめぇ~~!」

 

 

顔面にパンチを食らったギロン人。だがそれでも彼の戦意は落ちず、逆にますます怒りが湧き上がってヒュドラの顔を殴る。

するとヒュドラもまた殴る。お互いに凄まじい殴り合いが続くかと思った時、突如ギロン人の動きが止まった。そしてゆっくりと下を見つめながら震え出す。なぜなら彼のお腹にヒュドラの右手首にある武器『ドラフォーク』が突き刺さっていたからだ。

 

 

「ヒャッハハ・・・悪いな!俺はダーラムみたいに熱い戦いと言うのは好きじゃねぇんだ。一気に片を付けさせてもらうぜ~~」

 

 

そう言ってヒュドラは笑いながらドラフォークを何度もギロン人のお腹に突き刺したり、切り裂いたりする。それによりギロン人の抵抗が弱まり、動きが鈍くなった。

ヒュドラは止めを刺そうと大きく腕を振り上げようとした時、ようやく地面から頭を抜いたザイゴンがギロン人を助けようとヒュドラ目掛けて再び『ファイヤーハリケーン』を放つ。だがヒュドラは素早く後ろに下がって攻撃を躱した。

 

 

「ガア゛ア゛アアアアアァァァーー!!」

 

 

しかしザイゴンは攻撃を止めず、咆哮を上げながらヒュドラに向かって何度も突進攻撃を行う。だがその度にヒュドラは躱し続けた。

 

 

「何だぁお前?良いところで邪魔しやがって・・・これでも食らいな!」

 

 

執拗な攻撃に苛立ったヒュドラは、ドラフォークから強力な光弾『バルテスター』を発射する。光弾はタイミング良く振り返ったザイゴンの口に命中し、それによりザイゴンは口から赤い煙を吐きながら動きを止める。

 

 

「ヒャッハハ!ヴァンギロチン!!」

 

 

その隙をついてヒュドラは、自身のエネルギーと突風を混ぜて作り上げた新技『ヴァンギロチン』で、ザイゴンの首を切り落とした。そして首に続いて体が倒れたのと同時に爆発した。

 

 

「あぁ!お、俺のザイゴンが!?」

 

「ぐぬぬ・・・!」

 

 

ザイゴンが倒されたのを見てアンチラ星人は悲鳴を上げ、ギロン人は傷ついたお腹を押さえながらゆっくり立ち上がり、忌々しそうにヒュドラを見つめる。

その視線に気が付いたヒュドラは、その場から後ろに下がって距離をとり、右腕を上げて構える。

 

 

「お前もこれで終わりだ!食らえええええぇぇぇーーー!!」

 

 

そう言ってヒュドラはギロン人目掛けて必殺技『ヒューガスト』を放つ。

 

 

「ぐぅ、ぅぅぅぅ・・・がああああああぁぁぁーーー!!?」

 

 

必死に耐えようとするギロン人だが、ダメージが蓄積していた事もあって耐えられず、悲鳴を上げた後大爆発を起こした。それを見てヒュドラは、愉快そうに笑い声を上げる。

 

 

「ヒャッハハハハ!良い悲鳴だった。さぁて~残った奴らも・・・あん?」

 

 

残りの連中も片付けようとした時、ヒュドラの胸のカラータイマーが鳴り出した。どうやらだいぶエネルギーを使ってしまったようだ。

 

 

「・・・チッ!これから面白くなるのに邪魔しやがって。仕方ねぇ、今日はここまでだ」

 

 

ブツブツと文句を呟きながらヒュドラは変身を解き、人間態に戻ってペンドラゴンの方へ歩いていった。その様子を岩陰からアンチラ星人が見つめていた。

 

 

「そ、そんな・・・!ザイゴンに続いてギロン人までも!?」

 

 

アンチラ星人は、ギロン人とザイゴンがやられたのを見て戦意を失いかけていた。今残っている3体もあと少しすればやられてしまうのは明確だ。

だが逃げ出したらその時点でヤプールに処刑されてしまうだろう。

 

 

「一層奴ではなく、奴の仲間達を始末するか?このウルトラレーザーで・・・」

 

 

そう呟きながらアンチラ星人は、どこからともなく見るからに強力そうな武器・ウルトラレーザーを取り出した。

この切り札を使えば逆転できるかもしれない。だが奴らに近づく前にレイや怪獣達に見つかって、バレてしまうかもしれない。

一体どうすればいいのか考えていた時、突如空からゆっくり降りながら話し掛ける者が現れた。

 

 

「フフフフ、どうやらだいぶお困りのようだな」

 

「ッ!?貴様は・・・魔頭鬼十郎幻州!!」

 

 

話しかけてきた者の正体は、かつて日本の戦国時代にて、多くの武将を呪術で暗殺していた呪術者・魔頭鬼十郎幻州だ。魔頭はとある世界で地球のウルトラ戦士の手で倒され、地獄の中を彷徨っていたが、その強力な魔力に目をつけたヤプールの手によって蘇ったのだ。

元々いた世界では霊体だった為、常に空中を浮かんでいたがヤプールの手で蘇った事で浮かぶ事ができる他に、普通に地面の上を歩く事も可能になった。

 

 

「ギロン人も情けないものだ。同じ四天王として目も当てられん」

 

「な、何!?」

 

「だが・・・このままではマズイ状況なのは我も承知だ。ここからは我が魔物軍団に任せるがいい。まずは人魂よ、行くが良い!」

 

 

魔頭はペンドラゴンを指差しながら誰かを呼ぶ。すると魔頭の背後から突如青い人魂が現れた。そしてそのまま人魂はペンドラゴンの方へ向かった。

一方ペンドラゴン内ではヒュウガ達がレイ達の戦いを観戦していた。

 

 

「よ~し!戦況は完全にレイ達の優勢だ」

 

「ヒュドラも勝ったようですし、これなら行けますよ!」

 

「ああ!」

 

 

勝利は目前だと全員が感じた時、突如ジェロニモンが顔を上げて、周りをキョロキョロと見渡す。

 

 

「どうしたの?」

 

「何カガコノ船ニ侵入シタ。シカモカナリ強イ力ヲ持ツ奴ダ」

 

 

ジェロニモンがそう言った瞬間、彼らの前にあの人魂が現れた。突然の事に誰もが驚く中、オキだけはその正体に気づき、皆に知らせようとする。だがそれよりも早く人魂が動いて、ハルナの体の中に入っていった。

 

 

「うっ!?」

 

「副長!!」

 

「ハルナ!大丈夫か!?」

 

「いけません!今副長に近づいてはいけません!!」

 

 

ヒュウガとクマノがハルナの元に近寄ろうとするが、オキが必死に2人を止める。するとハルナの体が青く光り出し、さらに火が出て周りを燃え始めた。

 

 

「ボス・・・皆・・・助けて・・・」

 

「ハルナーー!!」

 

 

ハルナはそのまま青い光に包まれてペンドラゴンの外へ出ていく。そしてヒュウガ達の目の前で怪獣の姿に変わった。

その姿は、全身青色の鱗に包まれ、背中の赤く鋭い棘と喉部分の赤い突起が特徴の人魂怪獣フェミゴン・・・いや、フェミゴンフレイムだ。

実はあの青い人魂は、高い知能を持った宇宙生物なのだ。実態を持たない変わりに物体や生物に憑依する事で怪獣化する事ができるのだ。さらにフェミゴンフレイムには厄介な性質があった。

 

 

「フェミゴンフレイムに憑りつかれたら、奴が受けたダメージがそのまま副長にも伝わってしまうんです!!」

 

「何だって!?」

 

 

オキの言う通り、フェミゴンフレイムの厄介な性質とは、自分が受けたダメージが憑りついた生物にもダメージが伝わってしまう事だ。

その為フェミゴンフレイムを倒してしまえば、ハルナも一緒に死んでしまうかもしれないのだ。驚愕の事実にヒュウガ達は驚きを隠せず、さらに悔しさが混ざった表情でフェミゴンフレイムを見つめる。その様子を呪術で見ていた魔頭は大きく笑いだす。

 

 

「フッハハハ!良い表情だ。弱き者共の絶望する表情なども良いが、奴らみたいに強い力を持ちながら何もできず悔しがる表情もまた格別よ」

 

「お前・・・結構悪趣味な奴だったんだな」

 

「フン!それはお前の主も同じであろう?・・・まぁよい、次はお主達の望むマイナスエネルギーと言うモノを得ようぞ。出でよ!我が下僕達よ!!」

 

 

魔頭が大きく叫びながら両手を上に掲げる。すると彼の掌にある眼から黒い煙のようなモノが現れた。そして黒煙は3つに分かれ、その中から3体の怪獣が現れた。

1体目は腰に下半身を白い体毛に覆われ、腰に巨大な剣を下げているのが特徴の白髪を振り乱した一つ目鬼だ。この鬼はかつての山梨県にあったという『宿那山』で暴れ回っていたと言う悪鬼・二面鬼 宿那鬼だ。

2体目は体付きや体形は『人間』の女性でありながらも、頭部や手足は「鳥」であり、背中には羽毛の生えた巨大な翼を持ち、全身を鉛色の皮膚で覆われた半人半鳥だった。

その名は凶獣 姑獲鳥と言い、本来は上空500km付近にある電離層と呼ばれる空域に生息するプラズマ生物だ。

そして3体目は、以前ケイトが使役していた怪獣の1体・奇獣ガンQだ。だがこのガンQは魔頭の強大な力により生まれた『ガンQコードNo.02』と呼ばれる強化個体であるのだ。

 

 

「さぁ行け!我が忠実なる下僕達よ!奴らの怪獣を倒し、絶望に染め上げろ!!」

 

「フォフォフォウウウゥゥ~~~!!」

 

「ヴオオオォォォーーー!!」

 

「キュイイィィ~~!!」

 

「キョキョ~イィ~キャハハハハ!!」

 

 

魔頭の指示に従って、4体はそれぞれ鳴き声を上げながら戦場へ向かって歩き出す。それを見た後、魔頭はアンチラ星人にも指示を出した。

 

 

「アンチラ星人、お前は奴らの船に侵入して、その不思議な鉄砲で始末してまいれ」

 

「あ、あぁ・・・分かった。やって来る」

 

 

そう言ってアンチラ星人はウルトラレーザーを掲げ、ペンドラゴンの方へこっそり向かうのであった。そして魔頭も自身を魂の状態にさせ、ガンQの中に入って戦場に向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方、レイが率いるゴモラとエレキングの戦いは、まもなく決着が付こうとしていた。

 

 

「ゴモラ!超振動波!!エレキング!もう一度エレクトリックテールだ!!」

 

 

レイの指示を聞いて、ゴモラはゴモラⅡとアースゴモラ目掛けて『超振動波』を、エレキングは再びアリブンタに尻尾を巻き付けて『エレクトリックテール』を食らわせる。

これまで散々痛めつけられてグロッキー状態となっていたアリブンタ達。そんな状態の彼らが2体の必殺技を食らって無事な訳がなく、ゴモラⅡとアースゴモラはブッ飛ばされて後ろにあった大岩にぶつかり気を失った。

本来なら倒せるところをゴモラが無意識に手加減したおかげだ。

だがアリブンタの方は、エレキングの容赦ない攻撃で体中から火花を散らしながら倒れて大爆発を起こした。敵を倒したのを確認してゴモラとエレキングは勝利の咆哮を上げた。

 

 

「よくやった!ゴモラ、エレキング」

 

「ギシャアアアアァァァーーー!!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

 

レイに褒められたゴモラとエレキングは、嬉しそうに鳴き声を上げる。

その様子をレイは微笑みながら見つめた後、気を失ったゴモラⅡとアースゴモラをどうするか考える。このまま連れて行って大丈夫だろうか?だがこちらにはジェロニモンがいるから彼に頼もうかと思った時、突如ある方向から気配と殺気を感じた。

振り向くとそこには新たな敵が迫っていた。

 

 

「あの怪獣達は・・・またヤプールの怪獣達に違いない!よし、ゴモラ!エレキング!アイツらも倒s・・・「ピピピッ!!」何だ!?」

 

 

レイが再びゴモラとエレキングに指示を出そうとした時、突然通信機が鳴って出てみるとヒュウガとオキの声が響いた。

 

 

「レイ、聞こえるか!?今お前の方に向かっている怪獣達だが、その4体のうち青色の怪獣・・・フェミゴンフレイムと言う怪獣にハルナが憑りつかれてしまったんだ」

 

「何!?」

 

「だからフェミゴンフレイムを倒すと副長も一緒に・・・」

 

 

2人の話を聞いて、レイはゴモラとエレキングに指示を出せなくなってしまう。

だがこのままでは2体は倒されてしまう。一体どうすればいいか、良い考えも浮かばず絶望し掛けた時、今度はジェロニモンの声が響いた。

 

 

「レイ、聞コエルカ?」

 

「ジェロニモン!?」

 

「オ前ノ仲間ノ人間ノ娘ハ我ニ任セロ。アノ怪獣達ハ皆少シ離レタ所ニイル奴ニ操ラレテイル。ソイツヲ我ガ倒シ、人間ノ娘ヲ元ニ戻シテヤル。ソレマデ我ガ同胞達ト協力シテ防グンダ。イイナ?」

 

「ああ・・・分かった。副長を頼むぞ」

 

「分カッテオル」

 

 

ジェロニモンがどんな方法をするのか分からないが、ハルナを助ける為にレイは彼を信じる事にした。そしてジェロニモンもレイの頼みに応えるべく、部下の怪獣達に命令を下した。

 

 

「コレカラ我ハハルナト言ウ人間ノ娘ヲ助ケニ行ク。オ前達ハ、レイト協力シテ奴ラノ足止メヲセヨ。ソノ為ニ必要ナ、エネルギーモ分ケ与エル」

 

 

そう言ってジェロニモンは自身のエネルギーを分け与える。するとロックイーター達の体が光り出し、そのまま外に出て巨大化した。かつて自分達がとある世界で住んでいて、自分達のボスとして君臨していた大型種に成長したのだ。

そして外で待機していたアンギラスと一緒にレイ達の元へ向かった。

 

 

「トロンガー、オ前ハコノ者達ト我ノ護衛ヲセヨ。何時敵ガ来ルカ分カラナイカラナ」

 

「ギュヴヴィィィッ!!」

 

 

指示を受けたトロンガーは「任せろ」と言わんばかりに胸を叩く。そしてジェロニモンは目の前で手を合わせ、静かに呪文を唱える。すると彼の体が紫色に光り出し、そのまま体から何かが抜け出た。最初光の球だったそれは、暫くするとジェロニモンの形になった。

 

 

「ジェ、ジェロニモン!?これは一体・・・」

 

「我ハコレマデ偉大ナルクロウ様ノ元デ力ヲ蓄エルダケデナク、新タナ力ニモ目覚メタ。その1ツガコノ・・・魂ヲ体カラ切リ離セル事ダ。今ノ我ハ霊体エネルギーの塊・・・暗黒魔魂ジェロニモン、ト呼ブガイイ!」

 

「暗黒魔魂ジェロニモン・・・」

 

「コノ姿ニナッタ我ノ超能力ハ、今マデノ数倍高イ。ダガ元ニ戻ル体ガナクナッタラ大変ダ。ダカラトロンガーヨ、シッカリ守ルンダゾ。ヒュウガ達モ頼ムゾ」

 

 

そう言ってジェロニモンは魂の状態になってペンドラゴンから外へ出て行った。

一方レイは合流したアンギラスやロックイーター達も率いて、魔頭の怪獣達と対峙していた。

 

 

「いいか皆、アイツらは倒さなくていい。足止めだけでいいんだ。頼むぞ!」

 

「ギシャアアアアアァァァーーー!!」

 

 

レイの頼みを聞き、ゴモラが大きく咆哮を上げた後怪獣達は一斉に突撃した。それに合わせて魔頭も己が憑依したガンQを除く配下の怪獣達に突撃命令を下した。

まず最初にぶつかったのはゴモラVS宿那鬼で、宿那鬼の剣をゴモラは自慢の角で防ぎ、受け止めたまま宿那鬼の腹にパンチを繰り出す。

 

 

「グッ、グゥォォ・・・・・ッ!!」

 

 

自慢の剣が角で防がれたと言う事に宿那鬼は驚きのあまりその場を動けず、ゴモラのパンチを避けられなかった。そして宿那鬼は剣を落とし、口から苦痛が混じった呻き声を出しながらその場に膝を付いてしまう。

 

 

「ギシャアアアアアァァァーーー!!」

 

 

その隙を見逃すゴモラではなく、膝を付いた宿那鬼の両角を掴んで無理矢理立ち上がらせ、そのまま左右に振り回して角を折ってしまった。

自慢の角を折られた宿那鬼は悲鳴を上げて、今度はその場に倒れてしまう。

ゴモラは倒れた宿那鬼を思いっきり踏み付けて、身動きを封じ込めるのであった。

 

 

 

次はアンギラス&ロックイーター(3体)VS姑獲鳥で、口を大きく開けて鋭い牙で噛みつこうとするロックイーター達に対し、姑獲鳥は中国で知られている妖怪『姑獲鳥』のように国の滅亡や人を予知する能力、つまり未来予知の能力を用いて攻撃を全て躱した。

全く攻撃が当たらない事にロックイーター達は苛立ち、地団駄を踏んだりと怒りを表した。

 

 

「フッフフフ・・・苛立っているな。下等な蜥蜴共よ。私の能力の前では、お前達の攻撃などお見通しだ。ホホホ・・・」

 

 

苛立つロックイーター達を見て、姑獲鳥が笑い声を出した。だが、その声が発せられているのは姑獲鳥の頭部にある『鳥』の嘴の部分ではなく、嘴の中にある目を金色に爛々と輝かせている『女性の顔』の部分であった。

普通の者ならそれを見たら恐れるであろう。だがロックイーター達は恐れるどころか口から涎を垂らし始めた。

彼らにとって相手がどんな姿であろうと関係ない。ただ敵ならば喰らい尽くすのみ。しかも・・・女性ならば尚更だ!

 

 

「グルルルル!」

 

「グオオオォォォ・・・ッ!」

 

「グガアアアァァ・・・ッ!」

 

「ギャアアァァ・・・クオオオオオォォォォン!!」

 

 

ロックイーター達は、まるで姑獲鳥の体の何処が一番美味しいのか、ちらちらと見つめながら話し合う。その様子に姑獲鳥も流石に恥ずかしいと感じたのか、両手で胸を隠して体を斜めにする。また、その様子をロックイーター達の後ろで見ていたアンギラスが呆れながらため息をついた後、彼らに「真面目にやれ!」と声を上げる。

それを聞いたロックイーター達は、再び姑獲鳥に向かって噛みつき攻撃を繰り出した。さらに今度はアンギラスも加わり、体を丸めて球状になって必殺技の『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を繰り出した。

 

 

「ギュ、ギュイイィィ~~・・・」

 

 

流石の姑獲鳥もこの猛烈な攻撃の前では未来予知でも防ぐ事はできなかった。なによりこの地底世界では、姑獲鳥自慢の翼を広げて空を飛ぶ事ができず、素早く動く事ができないのだ。

それにより姑獲鳥はとうとうロックイーター達に両腕等に噛みつかれて動けなくされて、アンギラスの『暴龍怪九裂弾(アンギラスボール)』を真正面から食らってしまった。

 

 

「クオオオオオォォォォン!!」

 

 

強烈な一撃を食らった姑獲鳥は倒れ、倒れた時のショックで気を失ってしまう。その上にアンギラスが馬乗りになる。そしてロックイーター達と共に勝利の咆哮を上げるのであった。

 

 

 

そして最後はエレキングVSフェミゴンフレイムで、この戦いは前の2つよりも遥かに重要な戦いであった。

なにしろフェミゴンフレイムはハルナに憑りついている。彼女を傷つけないようにとレイは細かく指示を出し、エレキングもそれに応えながら慎重に戦いを行う。

しかしフェミゴンフレイムはそんな事を気にせず、容赦なく口から強力な『火炎弾』を放ったり、長い首を振り回して噛みつき攻撃や背中の棘を使った体当たり等を仕掛けてくる。

 

 

「エレキング!尻尾で動きを封じるんだ!」

 

「キイイイイイィィィィッ!!」

 

「フォフォウウゥゥ~~!?」

 

 

エレキングは尻尾を大きく振って、迫るフェミゴンフレイムに巻き付ける。そして隙を与えず、強力な電撃を浴びせる。

それを見たヒュウガ達が慌ててレイに通信を繋げる。

 

 

「待てレイ!これ以上攻撃したらハルナが・・・!?」

 

「大丈夫だ!手加減するようにエレキングに伝えてある。このまま何とか動きを止めて、ジェロニモンが元に戻すまで時間を稼ぐ!」

 

 

そう言うレイだったが、フェミゴンフレイムは電撃攻撃から逃れようと口から『火炎弾』を吐いたり、首や体を激しく振ったりする。このまま暴れ続けられたらエレキングの拘束が解かれるのも時間の問題だ。

 

 

「ジェロニモン・・・早くしてくれ・・・!」

 

 

レイはただ見ている事しかできない自分に悔しい思いをしつつ、ジェロニモンに早く何とかしてくれと小さく呟く。

そしてそれはヒュウガ達も同じであった。

 

 

「ゴモラやエレキング達が必死に戦っているのに・・・俺達はただ、見ているだけしかできない・・・!」

 

「ボス・・・」

 

 

辛い表情で戦いを見つめているヒュウガを見て、オキやクマノも同じ表情になる。だがその時、トロンガーが何かに気付いて慌てて近くの物陰に身を隠す。

それと同時にペンドラゴンの扉が開いて、ウルトラレーザーを持ったアンチラ星人が入って来た。

 

 

「動くな人間共!」

 

「アンチラ星人!?」

 

「どうやってペンドラゴンに侵入したんだ!?」

 

「フン!貴様ら地球人の作ったセキュリティーを解除するなぞ、私にとっては造作もない。さぁ、無駄口はここまでにして・・・貴様らにはここで死んでもらうぞ!」

 

 

そう言ってアンチラ星人がウルトラレーザーを構えた瞬間、横から青い電撃が放たれた。それによりウルトラレーザーが破壊されてしまった。

 

 

「ぐあぁ!だ、誰だ!?」

 

「ギュヴヴヴヴィィィッ!!」

 

 

突然の攻撃で武器を失い、さらに手を痛めたアンチラ星人。彼は怒りを含ませながら電撃が放たれた方向を見る。そこにはトロンガーがいた。

トロンガーは鳴き声を上げながらアンチラ星人に組み付き、膝蹴りや張り手を繰り出して攻撃する。元々それほど強くなく、切り札であったウルトラレーザーも失ったアンチラ星人がトロンガーに勝てる訳がなかった。

散々トロンガーに痛めつけられたアンチラ星人は、もうグロッキー状態になってしまった。だがトロンガーは容赦なく無理矢理立ち上がらせ、口を大きく開いて強酸性の唾液を帯びた舌で頭を貫いた。

 

 

「うっ・・・!」

 

 

アンチラ星人の惨い死に様に流石のヒュウガ達も顔を背けた。しかし、先程も言った通りトロンガーは容赦なく両手から最初に放った青い電撃『青色稲妻光線』を放ってアンチラ星人の体を粉々にしてしまった。

 

「ギュヴヴヴヴィィィッ!!」

 

 

敵を倒したトロンガーは、暴れられた事も含めて嬉しそう勝利の咆哮をあげるのであった。その様子を自分の呪術とガンQの力で見ていた魔頭。彼の今の表情からは、最初に見せた余裕が完全に消えていた。

 

 

「な、何故だ。何故我の軍団が!我の野望が潰えようとする!?本来なら奴は仲間が傷つく事に耐えられなくなり、何もできなくなる筈なのに・・・何故戦い続けられる!?」

 

「グェグェグェ!ソレハ我ノ事ヲ信ジテイルカラヨ」

 

「だ、誰だ!?」

 

 

魔頭が後ろを振り向くと、いつの間にかジェロニモンがいた。

実は戦いの最中、ジェロニモンは気づかれないようにガンQの眼の中に入り、ずっと魔頭を探してようやく見つけたのだ。

 

 

「コノ怪獣ノ中ハ案外心地良イ所ダナ。我ノ能力ガ更ニ上ガッテクル」

 

「上がってくるだと・・・?そうか、貴様も我と同じ呪術者だな!」

 

「グェグェグェ!ドコヲドウ見レバソウ思ウノダ貴様?我ハ怪獣酋長!ソシテ偉大ナルモンスターキング・クロウ様ニ仕エル者ダ!!」

 

 

そう言ってジェロニモンは頭の羽を2本抜いて魔頭目掛けて投げ飛ばした。羽は勢いよく魔頭の両肩に刺さった。

 

 

「ぐっ!おのれーーー!!」

 

 

魔頭は反撃とばかりに両掌の眼から『赤色光弾』を放つ。だがジェロニモンは超能力であっさり光弾を跳ね返してしまった。

跳ね返った光弾はそのまま魔頭の方へ飛んで行く。それを見て魔頭は慌てて空を飛び、寸でのところで躱した。そして“次こそ当てる”と思いつつ魔力を集中して、最大級の『赤色光弾』を放つが、それもジェロニモンの超能力で跳ね返されてしまった。

しかも最大級を放ったので動きが鈍く、光弾を受けて大ダメージを受けてしまった。

 

 

「ぐぉっ!がぁっ!ば、馬鹿な・・・!我の呪術と魔力が効かぬだと!?」

 

「愚カ者メ。所詮人間ノ貴様ガ、偉大ナルクロウ様ニ仕エル、コノ怪獣酋長ジェロニモン様ニ勝テルモノカ!滅ビロ!!」

 

 

ジェロニモンは唸り声を上げながら再び羽を飛ばす。しかも今度は数十本で、羽は魔頭の体に容赦なく突き刺さり、貫くものさえあった。

 

 

「う・・・あぁ・・・わ、我が・・・この魔頭鬼十郎幻州が、此処で終わるだなんて!我の国を創る野望が、む・・・無念じゃ・・・」

 

 

自分の野望を叶えられぬ事に魔頭は涙を流し、手を天に向かって伸ばす。すると彼の体が霧か霞のように霞み、少し経って跡形も無く消滅してしまった。その様子をジェロニモンは面白そうに笑いながら見つめていた。

 

 

「グェグェグェ!哀レナ者ダ。タダ超能力ガ使エルト言ウダケデ、国ヲ創ロウナンテ・・・無理ナ事ヨ。マァ、奴ガ消エタ事デ人間ノ娘モ元ニ戻ッタダロウ。ソレニ・・・コノ怪獣モ含メテ、多クノ同士ヲ得ラレタワ!グェグェグェ!!」

 

 

ジェロニモンの言った通り、魔頭が消滅した事でフェミゴンフレイムの体が光ってハルナと人魂とで分離し、ガンQを始め操られていた宿那鬼と姑獲鳥が解放された。

その後ジェロニモンが自分の体に戻ってロックイーター達を元の大きさに戻す。またレイはゴモラ達だけでなく、未だ気を失っているゴモラⅡとアースゴモラも一緒に回収した。彼らの場合、ヤプールの魔力が込められた結晶が壊された事で解放されたのだ。

そして倒れているハルナを抱え、タイミング良く戻って来たヒュドラと一緒にペンドラゴンに戻った。彼らの帰りをヒュウガ達が手厚く迎えた。

 

 

「レイ、ジェロニモン、ヒュドラ!皆よくやってくれた。ハルナは診察結果、特に異常が見られなかった。あと少しすれば目を覚ますだろう」

 

「そうか、良かった・・・」

 

「それにしてもゴモラⅡやフェミゴンフレイム、ガンQ、宿那鬼、姑獲鳥だけでなく、あの新種のゴモラも仲間にするなんて・・・凄いよジェロニモン!」

 

「グェグェグェ!我ハ怪獣酋長ダカラナ。コレクライ朝飯前ヨ」

 

 

そう言って彼らが外を見ると傍に控えているアンギラスの他に、ガンQと宿那鬼と姑獲鳥もいた。また、ジェロニモンの手にはフェミゴンフレイムの人魂がいた。

どうやら魔頭から解放された後、彼らはジェロニモンの説得によって仲間になる事にしたのだ。また、レイが回収した2体の内アースゴモラの方はレイの事が気に入ったのか、回復しながら甘えるような鳴き声を時々出していた。

 

 

「このゴモラ、大分レイの事が気に入ったようだな」

 

「だが俺の仲間にしていいんだろうか?」

 

「良イト思ウゾ。クロウ様ガ懐イテイル者ヲ、無理矢理引キ離スヨウナ事ハ絶対シナイ」

 

 

話し合いが終わったのと同時にペンドラゴンの前に黒い穴が開いた。此処も他の空間と同じで、四天王を倒した事で異次元空間の出入り口が出現したようだ。

 

 

「ボス、アレは我々が入って来た異次元空間の穴です。あの穴に入ればきっと元の場所に戻れます!」

 

「よーし!全員発進準備に掛かれ!」

 

「「「了解!!」」」

 

「ヒュドラ、オ前ハマタ変身シテ、アンギラス、ガンQノ2体ヲ抱エテ付イテ行ッテクレヌカ?万ガ一ノ為ニナ。エネルギーハ、分ケ与エルカラヨ」

 

「ハッ!いいぜ、それならやってやるぜ」

 

 

こうしてレイ達とジェロニモン達は、新たな怪獣6体と一緒に異次元空間を脱出したのであった。

 




【大怪獣バトルファイル】
プラズマ怪獣アースゴモラ


外見はゴモラに似ているが、通常のゴモラとは違って角が肥大化していて、愛嬌があった顔から一変して頭蓋骨がむき出しになったような凶悪な顔や外見をしているのが特徴である。
主な武器は角や尻尾を使った『角かち上げ攻撃』や『テールスピアー』に、『超振動波』などレイのゴモラと同じ技である。
かつて自分のいた世界からヤプールに無理矢理この世界に連れて来られ、彼の魔力によって操られてしまう。その証拠に体にある緑色の結晶・プラズマソウルが紫色になっている。
相棒のゴモラⅡと共にレイのゴモラに戦いを挑むが、これまでの経験から力をつけたゴモラには敵わず、プラズマソウルを破壊されて気を失った。
普通ならプラズマソウルを破壊されると死んでしまうが、まだ生命活動が止まっていなく、バトルナイザーに回収された事で死なずに済んだ。
その後ヤプールの手から解放された恩もあってレイの仲間になる事を決意し、その気持ちを悟ったクロウの言葉もあってレイの4体目の相棒怪獣になる。

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