俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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今回からオリジナル話に突入します。そして以前現れた異次元人ヤプール、彼が再び登場します!さらにちょっとだけど彼の配下も一緒にね。どんな奴らなのか気になる方は是非読んで下さい。
感想と評価をお待ちしております。

戦闘破壊獣バトラ、巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、大ぐも タランチュラ
宇宙植物獣人モネラ星人(RB)、宇宙有翼怪獣ゲランダ
電脳魔神デスフェイサー   登場




第31話 ヤプールの逆襲!異次元への罠

アーマードダークネスを倒し、セブンを救出してから数時間経った暗い真夜中の惑星ハマーのとある場所にて、暗闇に溶け込むかのように黒い帽子とコート、又はマントを身に纏った4人の怪しい人影が暗躍していた。

 

 

「此処で間違いないな?」

 

「あぁ、我らの主と奴の配下とも言える怪獣があの者に倒された場所だ」

 

「大分派手に暴れたようだな・・・」

 

「全くだ。奴の強さは大したものだ」

 

「無駄口を言わなくていい。それよりも我らには主より授かった重要な役目がある。さっさと仕事に取りかかれ」

 

 

彼らが訪れているのは、かつてパンドンとバキシムがクロウとレイにレイオニクスバトルを挑み倒された場所だ。そこにあったと思われる岩は粉々になり、所々に大きな穴があった。それを見て3人の者達はポツリと呟くが、彼らのリーダーと思われる者が自分達に課せられた使命を言い出す。

それを聞いて4人のうち黒いマントを羽織り、全身に様々な数珠や不気味な装飾品を身に纏った不気味なオーラを出している者が両手の掌にある目玉を光らせながらその場所に手をかざす。

するとその中心から黒い煙が大量に溢れ出る。それから徐々に集まって黒い塊に・・・否、パンドンとバキシムの怨念が籠った人魂となった。

 

 

「おぉ、2体ともなかなかの怨みの籠った魂だ。これなら期待以上に強くなれるだろう」

 

 

2体の魂を見て黒マントの者は歓喜しながら言い、魂を自分の元に来させて両手の目玉の中に吸い込んだ。その様子を見て他の3人も嬉しそうに笑った。

その後4人は別の場所でも同じ事をして日の出が上がるのと同時に異次元空間に穴を開けてその中に姿を消した。

 

 

 

 

 

一方そんな事が起きているとは全く知らないクロウ達は、ギガ・ロボフォーの医療室で昨日連れ帰ったカミーラ達3人の看病をしていた。

傷の手当てを終わらせ、彼らを特製のベッドに寝かせて目覚めるのを待つ。交代で見守り今はジェロニモンの番で彼が自慢の羽根の手入れをしていた時、カミーラの目がゆっくりと開き始めた。

 

 

「こ、此処は・・・?」

 

「グェグェグェ!目ガ覚メタカ闇ノ戦士ヨ」

 

 

自分の知らない環境を見て混乱し、ベッドの上で体を起こしながら声を出すカミーラに気がついたジェロニモンが顔を覗く。

目の前に怪獣がいるのを見てカミーラは驚き、自分が変身する為のアイテム・金色のスパークレンスを取り出そうと懐に手を伸ばすが何処にもない。

 

 

「何ダ?変身シタイノカ?ダガソレハクロウ様ガ持ッテイルゾ」

 

 

カミーラが慌てながら懐の中を探す様子を見てジェロニモンは薄く笑いながらアイテムが無い事を伝える。それから部屋に備えてあった小型怪獣にも使える超万能な通信機でクロウにカミーラが目を覚ました事を連絡した。その間にカミーラは自分の隣にダーラムとヒュドラがまだ眠っている事など状況を確認した後、警戒しつつジェロニモンに訊ねた。

 

 

「クロウって・・・何者だ?」

 

「我ラノ偉大ナル怪獣ノ王デ、オ前ヲ助ケタオ方ダ」

 

「私を?・・・それで、そいつは今何処にいる?」

 

「マモナク此処ニヤッテ来ル。暫ク待ッテオレ」

 

 

そう言った時部屋の扉が開き、クロウ達が入ってきた。ジェロニモンは丁寧に頭を下げ、カミーラはクロウから溢れるオーラから自分よりも強い力を持っていると悟る。また、彼姿を見て頬が少し赤く染まる。それを後ろで見ていたリーシャとルーネは体から黒いオーラを出し、傍にいたグロラス達を震え上がらせた。

兎に角まだ2人眠っている医療室で騒ぎが起きるのはマズイと判断したクロウが手を振って皆を落ち着かせる。そして正面からカミーラを見つめて安心させるように優しくしながら訊ねた。

 

 

「目が覚めて安心したよ。怪我の方は大丈夫か?」

 

「えぇ・・・それについては大丈夫と言っておくわ。怪獣王クロウさん」

 

「クロウで構わん。それと・・・普通ならもっと休めと言いたいところだが、こっちも聞きたい事が結構あるんだ。素直に答えてくれないか?」

 

 

そう言ってお願いしながら俺はカミーラの様子をじっくり観察する。彼女はよく頭が切れる上に策略家だ。もし手玉にとられてしまう事になったら面倒だ。

その為つい警戒してしまい、それを感じてリーシャ達も同じ姿勢になる中、カミーラは視線を少し下に向けた後再びクロウの顔を見つめた。

 

 

「いいわ。貴方の知りたい事・・・全部話すわ」

 

「!!そうか・・・ありが「その代わり!」ん?」

 

 

まさか素直に話をしてくれるとは思っていなかったから少し驚きつつもお礼を言うとした時、突然カミーラが俺の手を両手で握って顔を近づけた。

 

 

「私達を・・・いいえ、私を貴方の傍に置かせて頂戴!」

 

「何?」

 

「えっ!?」

 

「なっ!?」

 

 

突然のカミーラの言葉に全員が驚きのあまり声を失う。特にリーシャとルーネは驚きのあまり口が開いたままだ。けどカミーラは気にせずに話を続ける。

 

 

「私、貴方の事が気に入ったの。貴方の為なら何でもする。ダメかしら?」

 

「い、いや・・・別にダメと言う訳では・・・(汗)」

 

 

いきなりそんな事を言われてもどう返事をしていいのか困る。そして後ろから凄まじい殺気が2つ感じる!誰かだって?そんなの言うまでもなくリーシャとルーネだ。見なくても分かるくらい黒いオーラを出しとる。

 

 

「・・・ねぇ貴方、ちょっといいかしら?」

 

「・・・早急に聞きたい事がある」

 

 

低い声でそう言いながらリーシャとルーネはクロウを強制的(?)に後ろに下がらせ、カミーラの前に出る。

 

 

「貴様、一体どういうつもりだ・・・?」

 

「何が?」

 

「いきなりクロウさんの傍にいたいなんて・・・何が目的なの?」

 

「目的も何も・・・私はあの人を見た時からずっと傍にいたいと思ったのよ。あの人から感じる強さに赤の他人である私達を助ける器の大きさ、なにより彼がカッコイイから好きになったわ///ティガよりも・・・」

 

 

少し恥ずかしそうに顔を俯かせながらカミーラは小声でクロウに惚れた事を2人に言う。しかし最後の部分はさらに小声だったので聞こえなかった。

 

 

「それに・・・貴方達だってクロウの事が好きでしょう?」

 

 

クロウの事が好き・・・カミーラにそう言われた瞬間2人は頬が赤くなって黙ってしまう。そして心の中で彼女もクロウの様々な部分に触れて好きになった者であると理解し、手強いライバルが増えた事に焦るのであった。

 

 

「けど残念ね、彼の愛を一番受けるのは私よ。2人には後ろで見ていて頂戴ね」

 

 

 

ビキッ!!!

 

 

 

カミーラの放ったその一言で和み始めていた雰囲気が再び悪化し、修羅場が発生した。その証拠にリーシャとルーネから先程よりも凄まじい黒いオーラが溢れ出た。

 

 

「新参者が余り出しゃばらないでくれないかしら?」

 

「そうだ。我が主クロウ様の愛を最も受けるのは私だ」

 

「いいえ!私よ!!」

 

 

3人の女の間に激しい火花が飛び交っている。それによりレイ、ジェロニモン、タクト、グロラスの4人はさらに震え上がる。そんな状況を見てクロウはため息をつきながら止めに入る。

 

 

「3人ともそこまでだ。そろそろ話を聞きたいんだがいいか?」

 

 

そう言うと3人はすぐに嫌悪な雰囲気を消し、リーシャとルーネはゆっくりとクロウの後ろに下がって優しい表情を向けた。

こんな修羅場はあまりと言うか・・・もう絶対やってほしくないものだ。

 

 

「それで、カミーラ。お前達はどうやってこの世界・・・いや、この星にやって来た?どうしてアーマードダークネスに操られていた?」

 

「えぇ、私や隣で眠っているダーラムとヒュドラは・・・かつて光の戦士・ウルトラマンティガに敗れて暗い闇の世界に落とされた。この闇の中をずっと永遠に彷徨い続けると思っていた時、突然恐ろしく威厳があって強烈な殺気が混ざった声がしたわ。さらに何かの力によって無理矢理引っ張られて行く感じもした。当然私は抗うとした・・・けどその声を聞いた途端、私は何も考える事ができなくなってしまい、気がつけばこの世界にいた。そしてあの鎧に忠実に従う人形になってしまった・・・」

 

「なるほど・・・そう言う事か」

 

 

カミーラの話を聞いていろいろと納得するクロウと怪獣に詳しいオキにレイが訊ねた。

 

 

「なぁクロウ、オキ、あの鎧にはそんな力もあるのか?」

 

「ううん、アーマードダークネスにはそんな力はないよ。きっとエンペラ星人の影響の為だと思う」

 

 

オキの推測を聞いて俺はそうだと頷く。カミーラ達に話し掛けたのは恐らくアーマードダークネスだ。けどオキの言う通り普通ならアイツにそんな事はできない。だが今回の場合、エンペラ星人の為に作られた時に得た自身の力とエンペラ星人の力とカリスマがなんらかの理由によって混ざり合ったから可能になったかもしれない。

そして話し合いがまだまだ続こうとした時、部屋に1体のアンドロイドが入ってきた。

 

 

「どうした?」

 

「ピピピッ!ピッピピ!」

 

「・・・そうか、分かった。すぐに行く」

 

「クロウ様、そのロボットは何て言っているんですか?」

 

「あぁ、どうやらギガ・ロボフォーの近くにレイオニクスがいて、そいつらが俺と戦えと言ってきているらしい。だからちょっくら「待ってくださいクロウさん!」うん?」

 

 

皆にロボットの言葉の意味を伝えてギガライブナイザーを持って外に行こうとしたところをリーシャが止めた。

 

 

「クロウさんが行く必要なんてありません。その者達は私が相手をします!」

 

「お、おぉ・・・分かった」

 

 

いつになくやる気と殺気が溢れているリーシャを見てつい承諾してしまった。

許可を得たリーシャはすぐさま部屋を出て外に出る。その後を追ってクロウ達も部屋を出て行き、残っていたカミーラは隣でまだ眠っているダーラムとヒュドラを静かに見つめた。

一方外に出たリーシャはレイオニクスを確認しようと周りを見渡すと空の上にカブトガニに似て前側が銀色で、後側が金色で植物のような構造の宇宙船がいた。

 

 

「モンスターキングではありませんね。何者です?」

 

「私はピット星人リーシャ!お前の相手は私よ!」

 

 

力強く高々と自分の名を言い、リーシャはネオバトルナイザーを構えてレイオニクスバトルに挑もうとするが・・・。

 

 

「・・・フハハハ、貴方如きが我々モネラ星人に勝てると思っているのですか?見の程を知りなさい」

 

「なんですって!?何様のつもりだ!」

 

 

相手がクロウでないと分かったこの宇宙人はリーシャに対して偉そうな態度をとる。

彼は宇宙植物獣人モネラ星人(RB)と言い、その名の通り植物が進化した知的生命体だ。そして人類抹殺を目論んだ連中と同じ高慢な性格の持ち主なのだ。

乗っている宇宙船・専用種子船モネラシードの中で高笑いするモネラ星人(RB)の態度に当然怒る。先程までのカミーラとのやり取りも加わってその怒りは凄まじいものだった。

 

 

「貴方は此処で私が倒してやる!行きなさい!モスラ!!」

 

「やれやれ、愚か者にはそれ相当の罰を与えないといけませんね。行きなさい!ゲランダ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

「カアアキュフィィィィィ!!」

 

 

怒りの声を上げながらリーシャはモスラ・レオを召喚し、モネラ星人(RB)は面倒くさそうに青色で骨の様な体と大きな翼を持つ宇宙有翼骨獣ゲランダを召喚する。

ギガ・ロボフォーの中でモニターを通じて戦いの様子を観ていたクロウは、内心リーシャ達の苦戦は免れないと思った。

そんな中でレイオニクスバトルは始まった。

 

 

「さぁゲランダよ。その虫けら怪獣をさっさと倒してしまいなさい!」

 

「カアアキュフィフィィィィィ!!」

 

「モスラ、絶対に負けないで!」

 

「ピュアアアアアァァーー!!」

 

 

モネラ星人(RB)の命令を受けたゲランダは翼を広げて空高く飛び、頭部の『角骨』と呼ばれる角を構えモスラ・レオ目掛けて突進した。

対してモスラ・レオは『エクセル・ダッシュ』で迎え撃つ。

 

 

 

ドッゴオオオオオオン!!!

 

 

 

激しい衝撃波と激突する音が周りに響く。けど2体はどちらもそれ程ダメージを受けず飛び続ける。なかなか防御力が高いと判断したリーシャはモスラ・レオに光線技を放つよう命じる。

モスラ・レオは命令を聞いてさらに空高く飛翔し、ゲランダの真上に着くとそのまま回転しながら垂直降下して『クロスヒート・レーザー』と『アローバスター』でゲランダを撃ち落とそうとする。

しかしゲランダは2つの技を受けて体から火花を散らしつつも飛び続けた。

 

 

「嘘!?」

 

「ピュアアァァッ!?」

 

 

これを見てリーシャとモスラ・レオは驚きの声を上げる。今までモスラ・レオの光線を受けて無傷だった怪獣がいなかった事からその驚きは大きかった。

そんな彼女達を見てモネラ星人(RB)は愉快そうに笑いながら説明した。

 

 

「愚かですね。ゲランダは光線への耐性がとても強いんです。貴方の虫けら怪獣の光線で倒せる訳がありませんよ」

 

 

再び偉そうに言うモネラ星人(RB)にリーシャは再び怒りの表情になるが、モスラ・レオの主な得意技である光線攻撃が効かない事を思い出してモスラ・レオと一緒に悔しがる。

 

 

「フフフ・・・貴方達の相手には勿体無いですが、更なる絶望を与える為にも私のもう1体の最高の怪獣を出しましょう。行きなさい!デスフェイサー!!」

 

 

そう言ってモネラ星人(RB)はもう1体の怪獣を召喚した。

その怪獣は右腕の伸縮自在の鋏『デスシザース』と左腕のガトリングガンが特徴で、網目模様を思わせる様な姿と特徴的な形状の頭部を持つロボット怪獣・電脳魔神デスフェイサーだ。

 

 

「あれはデスフェイサー!?かなり強いロボット怪獣ですよ!!」

 

「本当か!?クロウ、リーシャは大丈夫なのか?」

 

 

デスフェイサーを見てオキが強い怪獣だと言い、それを聞いたヒュウガ達が助太刀しなくていいかと騒ぎ出す。

 

 

「ゲランダとデスフェイサー・・・これは流石にリーシャ達に分が悪すぎだな」

 

 

助太刀しようと俺がギガライブナイザーを構えた時、突然扉の前部分に何者かがテレポートで現れた。振り向くとそこには7人のモネラ星人が立っていた。俺が劇場版で見ていた時と同じで、どうやら惑星ハマーでも団体で活動していたようだ。

彼らを見てルーネやロボット達が慌てて刀と銃を抜こうとするが、それよりも早くモネラ星人達が銃を構えた。

 

 

「フフフ、愚かな地球人!そして宇宙人共!全員動かないでもらいましょうか」

 

「くっ!」

 

 

自分達が優位に立っているからさらに偉そうな態度をとるモネラ星人を見て全員が怒りの表情になる。しかし彼らのその表情もモネラ星人達にとってはただ顔芸をやっているとしか思っていなかった。そんな状況の中でただ1人・・・クロウだけはモネラ星人達を無表情で見つめていた。

 

 

「おやおや、どうしましたか怪獣王様?もしかして我々の素晴らしい侵入の仕方を見て言葉も出ませんか?」

 

「・・・いや、人の宇宙船に勝手に入って来た奴らの最期は哀れなものだと思ってな」

 

「は・・・?」

 

 

何を言っているんだと彼らが思った時、突然何かが落ちてきた。しかも雪のように次々と落ちてくる。手に取ってみるとそれは蜘蛛の糸だった。何故こんな所でと慌てて上を向いてみると天井に数体の巨大蜘蛛・大ぐも タランチュラが巣を張り巡らせていた。そしてこちらに向かって糸を吹き掛け絡み取ろうとする。

 

 

「なっ!?」

 

「キュキュー!!」

 

 

モネラ星人達は驚きのあまり銃で攻撃する事が忘れその場に立ったままで、その為に飛び掛かって来たタランチュラ達を避ける事ができなかった。

悲鳴を上げながらモネラ星人達は必死にタランチュラ達を振り払うとする。普通のタランチュラだったらモネラ星人にとって追い払うなど造作もない事だが、このタランチュラ達はクロウの力によって戦闘能力が高く上がっており、また仲間同士で協力し合って襲ってきている為難しかった。

 

 

「ぎゃああーー!!」

 

「ぐあああーー!!」

 

 

タランチュラ達はモネラ星人達を鋭い牙で噛みつき、さらに口から『溶解液』を吐いて溶かし、中身が出たところを食べ始めた。この悲惨な光景にレイやヒュウガ達は顔を背けたが、クロウ達は何とも思っていなくただ無表情で見つめた。

しかしモネラ星人達もやられっぱなしな訳ではなく、7体の内3体が振り払う事に成功して必死に逃げようとするが・・・。

 

 

「逃げられるとでも思っているの?」

 

「「「!?」」」

 

 

突如目の前の扉が開き、そこに人間態のカミーラ、ダーラム、ヒュドラの3人が立っていた。そしてダーラムは自慢の怪力によるパンチで、ヒュドラは素早く足を上げて踵落としでモネラ星人2体の頭をそれぞれ木端微塵に破壊した。

 

 

「ほぉ~~、やっぱり2人の力は大したものだな」

 

 

2人の力を見て俺が感心していると残ったモネラ星人が最後の抵抗とばかりに銃を放つ。放たれた弾丸は一直線に俺に向かって来るが俺は避けようともせず、左手を素早く前に出して受け止めてそのまま握り潰した。それを見たモネラ星人は信じられないと言わんばかりの表情になる。

 

 

「そ、そんな・・・ば、化け物・・・」

 

「やれやれ・・・俺が化け物ならお前は醜い物だな。醜い物はさっさと消えろ。カミーラ!!」

 

「ふん!」

 

 

クロウの合図と共にカミーラは手から電撃を放つ。それを受けたモネラ星人は悲鳴を上げる暇もなく爆発して消滅した。

侵入した敵を全て倒した事に全員がホッとするがクロウだけは違った。まだ戦いは行われている。早くリーシャに加勢しない危ないと思いながら急いで外に出て行く。

そして戦況を確認してみるとリーシャとモスラ・レオがモネラ星人(RB)によって絶体絶命の危機に陥っていた。

 

 

「キカカカカカカ」

 

 

機械音を鳴らせながらデスフェイサーが左腕から『ガトリングガン連射』でモスラ・レオを何度も攻撃する。その弾丸はリーシャの方にも放たれ、それによりリーシャは他の怪獣を召喚できず助ける事ができなかった。また、相手がかなりの強さだった事もあって心の中で恐怖と焦りが出始めてしまった。

それによりモスラ・レオはどう反撃していいか分からず、ただデスフェイサーの攻撃を上下左右に動いて必死に避けるしかなかった。

だが長時間動き続けた事で徐々に鈍くなっていき、その隙をついたゲランダが口から赤色で全ての物体を消し去る光弾『ジービーム』を放つ。

 

 

「ピュアアァッ!?」

 

「モスラ!?」

 

 

光弾がモスラ・レオに命中するかと思った時、横から光線が放たれて『ジービーム』を撃ち消した。さらに光線はデスフェイサーの方にも放たれるが、デスフェイサーは反射バリヤーの『ジェノミラー』で跳ね返し防いだ。

 

 

「え・・・?」

 

「な、何です!?」

 

 

突然の事にモネラ星人(RB)は驚き、光線が放たれた方向を見るとそこにはバトラがいた。しかも前回とは違い今のバトラは成虫の姿だ。

何故この姿かと言うとクロウに回収された後バトラの戦闘能力はパワーアップし、とある光の巨人のように自分の意思で幼虫から成虫に、成虫から幼虫に姿を変える事が可能になったのだ。故に今の姿ではバトラ(成虫形態)である。そしてバトラの下にクロウが堂々とゆっくりとリーシャの元へ歩いていた。

 

 

「怪我はないかリーシャ?」

 

「クロウさん・・・はい!大丈夫です!」

 

「そうか、なら一緒に戦うぞ!」

 

「!?は、はいぃ///」

 

 

助けに来てくれた上に優しい表情で一緒に戦うと言った事でリーシャの顔は真っ赤になり、さらに頭から蒸気が勢いよく噴き出ていた。

 

 

「ピュアアアアアァァァァ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

主人がそんな事になっている間モスラ・レオもバトラを嬉しそうに見つめ、お互いに頷いた後デスフェイサーとゲランダを睨み付けた。そして2体同時に勢いよく突撃した。

 

 

「ようやく現れましたねモンスターキング!貴方を倒せば私がレイブラッドの後継者になったも当然・・・必ず倒してやります。ゲランダ、迎え撃ちなさい!」

 

「カアアキュフィフィィィィィ!!」

 

 

命令を聞いたゲランダは翼を広げて空を飛び、角を構えながら2体目掛けて一直線に向かって行く。それを見て2体は『レインボーバスター』と『プリズム光線』を同時に放つ。

 

 

「本当に愚かですね。ゲランダに光線は効k・・・!?」

 

 

モネラ星人(RB)は自信満々に“効かない”と言う筈だったが、目の前の光景を見て言葉が言えなくなってしまった。

 

 

「カアアキュ・・・フィフィィィィィ!!」

 

 

何故ならゲランダが2体の光線を受けて悲鳴を上げながら爆発してしまったのだ。如何に光線への耐性が強いゲランダでも再び戦いに集中できて、心の恐怖が消えたリーシャの影響で強くなったモスラ・レオと高い戦闘能力を持つバトラの合体光線の前では歯が立たなかった。モネラ星人(RB)は信じられないとばかりに何度もゲランダの名を言う。

 

 

「そんな、ゲランダが・・・私のゲランダが!?」

 

「ククク、どうした?随分と慌てているではないか。俺を倒してレイブラッドの後継者になるのではなかったのか?」

 

「きっとようやくクロウさんとの力の差が分かったんですよ。今ならまだ服従すれば助かりますよ?」

 

 

動揺するモネラ星人(RB)にクロウとリーシャは挑発気味に言う。特にこれまで何度も馬鹿にされたリーシャは強く言う。それを聞いてモネラ星人(RB)は初めて怒り狂った表情になった。

 

 

「黙れ!まだ私にはデスフェイサーがいる!デスフェイサー、あの虫けら怪獣2体を倒せ!!」

 

「キカカカカ!!」

 

 

モネラ星人(RB)の怒りのせいかデスフェイサーは先程よりも大きく機械音を鳴らせながら左腕の『ガトリングガン連射』を放ち、右腕の『デスシザース』を伸ばして攻撃する。

 

 

「もうその攻撃は通じないわ。モスラ、イリュージョン・ミラージュよ!」

 

「ピュイイィィッ!ピュアアアアアァァァァ!!」

 

 

モスラ・レオは攻撃を避けながら空を最大飛行速度で飛び、体の過剰な荷電によって短時間だけ超高速飛行を可能とする状態・フラッシュ状態になる。そしてそのエネルギーにより無数のクリスタルモスラに分身し、体当たり攻撃する技『イリュージョン・ミラージュ』を食らわせる。

本来なら敵の様々な体の部分に体当たりする技だが、クリスタルモスラ達は左腕の関節部分に集中攻撃した。

 

 

「なっ!?貴様何を!デスフェイサー、早く撃ち落としなさい!!」

 

「キカカカカ!?」

 

 

モスラ・レオの攻撃に最初は戸惑っていたモネラ星人(RB)だが、敵が関節部分に攻撃しているのを見て慌て出し、デスフェイサーに撃ち落とすよう命令する。

デスフェイサーは必死に『ガトリングガン連射』でクリスタルモスラを撃つが、圧倒的な数の前に押され、とうとう関節部分を破壊されて左腕が落ちてしまった。

それでもデスフェイサーは攻撃を止めず『デスシザース』を伸ばして振り回しながら激しく動き回った。

 

 

「焦った時点でもう勝負は俺達の物だ。バトラ、奴に新必殺技を食らわせてやれ!」

 

「ピュヴヴヴ!ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

動き回るデスフェイサーにバトラは猛スピードで真正面から突っ込んでいく。そしてその途中、成虫形態から幼虫形態に変わって角にエネルギーを集める。すると角は赤黒く光り通常よりも倍の長さになった。

 

 

「キカカカカ!?」

 

 

デスフェイサーがバトラに気が付いた時には遅く、バトラはタイミング良く頭を振り下ろし、角で右腕を切り落とした。

 

 

「どうだ?これぞバトラの新必殺技・プリズムブレードだ!!」

 

 

ちなみにあの技はギロンの技をモデルに考え、特訓して生み出した技だ。今回が初めての実戦だったが、上手くいって良かった。

対してデスフェイサーは両腕の武器を失い、グロッキー状態になってしまった。

 

 

「まだだ・・・まだ終わらんぞ!デスフェイサー、ネオマキシマ砲だ!!」

 

 

ほぼ決着が付いた状況なのにモネラ星人(RB)は諦めようとはせず、デスフェイサーに最後の手段を使うように命じる。するとデスフェイサーの胸の部分が開き、そこから砲台が現れた。これがデスフェイサーの最後の手段であり、とある世界の防衛軍にとっては禁断の兵器『ネオマキシマ砲』である。

 

 

 

ププププププププ・・・!!

 

 

デスフェイサーは『ネオマキシマ砲』をモスラ・レオとバトラ、さらにクロウ達がいる方向に向けるとチャージし始める。それを見たリーシャが慌て出す。

 

 

「クロウさん、アレは危険です!急いで防御を・・・」

 

「いや、その必要はない。バトラ、もう一度プリズムブレードだ!!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

 

再び『プリズムブレード』を出したバトラはすぐさま走り出し、デスフェイサーの胸を貫いた。それによりデスフェイサーは『ネオマキシマ砲』を失ったばかりか、致命傷を負って完全に機能停止してしまった。そしてバトラは最後の仕上げとばかりに頭を上げてデスフェイサーを大きく投げ飛ばした。

 

 

「なっ!?ひっ・・・ぎゃあああああぁぁぁーーー!!」

 

 

投げ飛ばされた先にはモネラシードがあり、それとぶつかった事でデスフェイサーは大爆発する。その爆炎に巻き込まれたモネラ星人(RB)はモネラシード共々一瞬で黒焦げになってしまった。

そんな光景を見てクロウとリーシャは戦いが終わってほっと一息つく。

 

 

「終わったか。やれやれ、あんな奴とはもう戦いたくないものだ。本当に面倒くさい・・・」

 

「私もあんな性格な相手だとそう思います。けど勝てて良かったです。お疲れ様モスラ、バトラ!」

 

「ピュヴオオオオォォォッ!!」

 

「ピュアアアアアァァァァ!!」

 

 

戦いに勝利できた上、褒められた2体は嬉しそうに鳴き声を上げる。そんな2体を見て心を癒されながら回収してギガ・ロボフォーに戻った。

そしてコックピットに入るとジェロニモン達やカミーラ達が床に膝を付けた臣下の姿勢で待っていた。

 

 

「オ疲レ様デシタクロウ様、リーシャ」

 

「「「「「「お疲れ様でした!!」」」」」」

 

 

ジェロニモンを代表に全員がお疲れ様だと言う。まさかこんな事になるとは思っていなかった。それに小型怪獣やロボット達も頭下げているし・・・だが、王としてここで取り乱すのはマズイ。

 

 

「あぁ、待たせたな。それと侵入者共の後片付け、ご苦労だった」

 

「ハッ!ソレトクロウ様、ソコニオルカミーラ達ガ話シタイ事ガアルソウデス」

 

 

そう言うとカミーラ達3人が頭を下げたまま1歩前に出る。彼女達の様子を見てある程度予想は付くが、静かに話を聞く。

 

 

「それでカミーラ、ダーラム、ヒュドラ、俺に話したい事とは何だ?」

 

「はい、此処へ来る前に3人で話し合った結果、私達3人は本日持ってクロウ様の配下になります!」

 

「(やっぱりか・・・)本当にいいのか?後悔しないか?」

 

「はい。先ほど言った通り3人で話し合った事なので」

 

「貴方は闇の戦士である俺達を守ってくれた。それにカミーラの言った通り器が大きい。俺は貴方の部下になりたい、マイ・ロード」

 

「それにあんたと俺達じゃ力の差が大き過ぎるしな。俺もあんたなら付いて行っても良いぜ大将」

 

「・・・分かった。今日から宜しく頼むぞ」

 

「「「ハッ!!」」」

 

 

やっぱり仲間が増えると言う事は嬉しい事だな。しかも有能な者なら尚更だ。それから全員に自己紹介してレイ達にカミーラ達が仲間になった事を伝えた時、突然警報が鳴った。

 

 

「どうした?」

 

「前方に巨大な異次元反応!」

 

「異次元反応だと!?」

 

 

と言う事はもしかしてアイツかと思った瞬間、ギガ・ロボフォーとペンドラゴンの前に大きな異次元空間が現れてそこから巨大ヤプールの姿が映った。

 

 

「ヌハハハハ!久しぶりだな。忌々しいレイオニクスよ!」

 

「ヤプール・・・俺達に何の用だ?」

 

「フフフ、今から貴様達を招待してやろうと思ってな。我が異次元の世界に!」

 

 

そう言った瞬間、異次元空間から強力な重力場が発生する。

 

 

「ボス!ペンドラゴンが引き寄せられています!」

 

「クロウ様、こちらも同じです!」

 

「緊急発進だ!急いで離れるんだ!」

 

「ダメです。もう間に合いません!」

 

 

激しく揺れる機体の中で必死に脱出しようとするが間に合わず、ギガ・ロボフォーとペンドラゴンは異次元空間に吸い込まれて消えて行ってしまった。それと同時に異次元空間は消滅する。

 

 

「ヌフフフ!フハハハハーー!!」

 

 

周りが静かになる中、ヤプールの笑い声だけが大きく響くのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
電脳魔神デスフェイサー


とある世界の防衛軍が開発した巨大戦艦を奪ったモネラ星人の手によって変型し誕生したロボット怪獣。
網目模様を思わせる様な姿と特徴的な形状の頭部が特徴である。
主な武器は右腕の伸縮自在の鋏『デスシザース』と左腕のガトリングガンの『ガトリングガン連射』に、胸の部分に備えてある『ネオマキシマ砲』である。また、両腕をクロスさせて光線を跳ね返す反射バリヤー『ジェノミラー』も持つ。
モネラ星人の主力怪獣で、仲間のゲランダと一緒にレイオニクスバトルを行う。リーシャのモスラ・レオは大苦戦する程の実力を持つが、バトラの参戦で逆転されて倒されてしまった。
リーシャ曰く「今まで出会ったロボット怪獣の中で一番強かったかもしれない」との事だ。


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