俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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お待たせしました。
今回はクロウ達以外のレイオニクス達についての話です。登場するのはウルトラシリーズだけでなく、ゴジラシリーズのあの懐かしい怪獣&宇宙人も登場します!またオリジナルキャラも登場します。是非楽しんで読んでください!感想と評価をお待ちしております。

M宇宙ハンター星雲人(RB)、魔海獣ダガーラ、公害怪獣ヘドラ
自然コントロールマシンテンカイ・エンザン・シンリョク、洗脳宇宙人ヴァリエル星人(RB)
脳魂宇宙人ザム星人(RB)、宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン、復讐ロボット・ザムリベンジャー
半魚人ボーズ星人(RB)、地底怪獣グドン、怪奇宇宙人ツルク星人   登場



第23話 各地のレイオニクス情報

レイオニクス達の決闘の地である惑星ハマー。

今此処ではクロウとリーシャ以外にも宇宙各地から様々なレイオニクス達が集まって激しい戦いを繰り広げている。今回は様々な場所で行われているレイオニクスバトルを紹介しよう。

 

 

「プオォーーー!!」

 

「キョオオオオオ!!」

 

 

岩と砂しかないこの場所で戦っている怪獣は、一方はかつて惑星ボリスでクロウと戦いを繰り広げた自然コントロールマシンの1体・シンリョクである。

もう一方はグロデスクで不気味な姿な上に体がドロドロのヘドロであり、縦に開いている赤い眼が特徴の公害怪獣ヘドラである。そして対峙している2体の後ろにはバトルナイザーを握って指示を出しているレイオニクスがいた。

 

 

「行きなさいシンリョク!自然を破壊する愚かで汚く醜い者をこの宇宙から消し去るのよ!」

 

「ゴキゴキ、ヘドラよ!そんなロボットなどお前の力でドロドロに溶かしてしまえ!」

 

 

物騒な事を大声で言っている2人の性別の違うレイオニクス。

シンリョクに指示を出している方は女性で、動物と植物の特徴を合わせ持ち、自然と環境に対して非常に過激な考えを持っている事で有名なヴァリエル星人(RB)で、ヘドラに指示を出しているのは男性で、外見は地球人と同じであるが腕の部分だけ違っていた。彼の腕は人間が恐れて最も嫌っている昆虫の“ゴキブリ”の腕(正確には足が腕の形になった)なのだ。その正体はなんと人間大の大きさを持ち知能があるゴキブリに似た生命体・M宇宙ハンター星雲人(RB)だ。

 

 

「プオォーーー!!」

 

「キョオオオ!ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

 

最初に動いたのはシンリョクで、大きく足音を響かせて頭上の飾りから『緑色破壊光弾』を放ちながらヘドラに向かって前進する。光弾を頭部や体に受けるヘドラだが、全くダメージを食らっていなく平気な表情をして今度は自分の番だと言わんばかりの不気味な鳴き声を上げて、ゾンビのように両手を前に出してゆっくり歩き出す。

シンリョクとは対照的にヘドラは歩く度にベチャベチャッと嫌な水音が響かせる。そしてある程度距離が縮まったところで体から得意技『ヘドロ弾』を噴射した。

 

 

「プオォーー!?プオオオォォーーー!!」

 

 

噴射した『ヘドロ弾』はシンリョクの左腕に命中する。するとシンリョクの左腕が煙を上げて溶け出した。体が猛毒の公害物質で構成されているヘドラの一部を受けたら当然の結果だ。ロボットであるシンリョクだが、これには流石に驚いてその場に立ち止まって慌て出す行動をする。その隙をついてヘドラは両手を振るってシンリョクを何度も叩いた後、強酸により溶けてボロボロの左腕を掴んで見た目とは裏腹に力強いパワーでもぎ取ってしまった。

 

 

「何をしているシンリョク!使えない奴め・・・仕方がない。テンカイ!エンザン!行け!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

やられているシンリョクを見てヴァリエル星人(RB)は苛立ちながら新たに怪獣2体を召喚する。シンリョクと同じ自然コントロールマシン・テンカイとエンザンである。

2体は左右に別れてテンカイは空へ飛び上がって迫り、エンザンはクワガタに似た2本の角を突き出して突撃し、それぞれヘドラに攻撃した。左側からテンカイの体当たりを受けてよろめくヘドラの腹にエンザンの角が突き刺さり、さらに角から赤い電撃が放たれる。

 

 

「ギョオオオオオオオオオ!?」

 

「ガサッ!?で、電撃だと!?こ、これはマズイ!」

 

 

電撃を受けてヘドラは悲鳴を上げ、それを見ていたM宇宙ハンター星雲人(RB)も先程までの余裕が消えて動揺する。最初に言ったがヘドラはヘドロの塊だ。打撃や切断技に滅法強いけど乾燥にはとても弱く、エンザンの電撃によって体が乾き始めたのだ。

ヘドラの様子を見てヴァリエル星人(RB)もヘドラの弱点に気付く。

 

 

「なるほど・・・あの醜い怪獣は乾燥に弱いのか、それならエンザン!高熱火炎も浴びせてやれ!」

 

「プオォーーー!!」

 

 

指示を聞いたエンザンは腹から高熱火炎を浴びせる。電撃に加えて炎も受けてヘドラはさらに大きく悲鳴を上げると同時に体が小さくなり始めた。体内にあるヘドロが乾燥したせいである。

 

 

「ガサーー!このままでは本当にヘドラがやられてしまう!早く助けねば!」

 

『バトルナイザー!モンスロード!!』

 

 

自分の相棒怪獣の危機を見て、助け出そうとM宇宙ハンター星雲人(RB)も新たに怪獣を召喚する。

バトルナイザーから出て来たのは全身が緑色で体中に大きな鰭があって、両肩に嘴に似た口の様な器官が特徴の怪獣・・・いや、海獣。その名も魔海獣ダガーラである。

 

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

召喚されたダガーラは背中の鰭を大きく広げて勢いをつけて空を飛んだ。名前通り水棲に適した怪獣であるダガーラだが、実は空をマッハ10で飛ぶ事ができるのだ。

猛スピードで空を飛ぶダガーラはそのまま上空にいたテンカイに突進してブッ飛ばし、さらにエンザン目掛けて口から『噴灼毒撃波』をヘドラを巻き添えに放つ。

 

 

「エンザン!早く避けろ!」

 

「プオォーーー!?」

 

 

ヴァリエル星人(RB)が指示を出すが攻撃に集中していたエンザンは反応が遅れ、光線をもろに受けてしまう。ダメージを負ったエンザンが体勢を崩すとヘドラの腹から角が抜けながら倒れる。そして仲間から攻撃されたヘドラも倒れ・・・なかった。実は先程ダガーラが放った光線にはダガーラが体内で生み出したオニヒトデに似た生物・極毒結晶体ベーレムが含まれていたのだ。彼らは猛毒を吐く生物であって、彼らの毒を全て吸収したヘドラは力が回復して縮んでいた体が元の大きさに戻った。

 

 

「キョロロロ!キョオオオオオ!フォオオオ!」

 

「グガゥゥゥゥッ!」

 

 

力を取り戻してくれた事に対するお礼なのか、意外にもヘドラは礼儀正しくダガーラにゆっくりとした動作で頭を下げてお礼を言った。ダガーラも優しく鳴き声を上げるところを見ると同じ毒系同士仲が良いのかもしれない。

 

 

「ゴーキゴキ!ヘドラも回復した事だし、そろそろ反撃するか。かかれ、ヘドラ!ダガーラ!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)も命令を聞いて2体は同時に迫る。まずダガーラが再び上空へ飛び上がって、同じく飛び上がったテンカイの周りを飛行しながら両肩から放つ破壊光線『超重龍爆炎』を何度も放つ続ける。テンカイは激しい攻撃を受けつつ、必死に竜巻で反撃するがダガーラとの戦力の差は歴然だった。

テンカイの装甲を打ち破ったダガーラはそのまま内部にあったコアを光線で破壊する。コアを破壊されたテンカイは大爆発を起こしてバラバラになった。

 

 

「グワゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

相手の爆発を見届けた後、ダガーラは勝利の咆哮を上げた。

その頃ヘドラの方もエンザンとシンリョクの2体を相手に優位に戦いを繰り広げていた。先程の攻撃に対して怒っていたヘドラは、頭部のヒビが割って内部を赤く光らせると両目から赤い稲妻状の光線『ヘドリューム光線』を放つ。しかも2体それぞれの急所部分を同時に攻撃した。

 

 

「「プオォーーー!?」」

 

 

ヘドラの放った光線を受けて2体は大きく後退する。特にシンリョクは中心部にあった光球を破壊されたため、動きが鈍くなった。その隙をヘドラは見逃さない。

 

 

「ジュロロロロロォォォ!!」

 

 

素早い動きができなくなって格好の的になったシンリョクにヘドラは口(?)部分を大きく膨らませる。すると口部分からチューブ状の器官が出てきて、そこから勢いよく『硫酸ミスト』が発射された。これもヘドラの必殺技の1つで恐ろしいほど濃度が高く、これを受けたシンリョクの体はみるみる腐食していき、遂にはボロボロになって倒れてしまった。

 

 

「プオォーー!?」

 

 

仲間がアッサリ倒された光景を見たエンザンは、ロボットとはいえ恐怖を感じたのかゆっくりと後退する。それを見てヴァリエル星人(RB)が怒鳴った。

 

 

「何をしている!ロボットのくせに情けない奴め。お前達は私の道具だ。ただ私の命令に従えばいい」

 

 

この言葉を聞いて誰もが「自分の手持ち怪獣に対してなんて酷い奴だ」と思うだろう。だが大抵のレイオニクスは怪獣に対してこのような考えなのだ。レイやクロウのように思いやる気持ちがある者はほんの一握りしかいない。特にヴァリエル星人は、環境や自然を守る事しか頭にないので他のレイオニクスよりも酷かった。怪獣王(クロウ)が聞いたら激しく怒るだろう。

しかし主人の命令では仕方ないとエンザンは超ブラック命令に従って、角を構えてヘドラ目掛けて再び突進した。だが先程のやり取りを見たと言って情けを掛けるヘドラとM宇宙ハンター星雲人(RB)ではない。

 

 

「ダガーラ!ヘドラ!お前達の真の力を食らわせてやれ!」

 

「ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

M宇宙ハンター星雲人(RB)の言葉を聞くとダガーラとヘドラはほぼ同時に必殺技を放った。その技は、ダガーラの体内で再び生み出したベーレムを含んだ巨大竜巻の『轟渦赤猛毒弾』にヘドラの『硫酸ミスト』も含ませた猛毒技、名付けて『轟渦硫酸猛毒弾』だ。

 

 

「プオオーーー!?」

 

 

猛烈な毒を真正面から浴びたエンザンは忽ち溶けてしまった。特殊金属でできていた体もこの猛毒の前では無意味だったようだ。

 

 

「なっ!?き、貴様・・・なんて事を!」

 

 

手持ちの怪獣を全て倒された事にいくらあのヴァリエル星人(RB)も悲しい気持ちに・・・なっていなかった。

 

 

「よくも・・・よくも星を汚したな!許さない!許さないぞ!!」

 

 

どうやら彼女は怪獣が倒された事ではなく、毒で大地が汚染された事に対して怒っているようだ。まぁ、先程エンザン達の事を道具と宣言した奴だからある程度予想はしていた。

しかし自然が何1つ無い惑星ハマーの大地が汚れた事にこんなにも怒るとは・・・環境の事しか頭にないヴァリエル星人らしい。だがM宇宙ハンター星雲人(RB)にとっては目障りな事であった。

 

 

「ゴキゴキ、五月蠅い奴だ。ヘドラ!アイツを黙らせろ」

 

「キョロロロロロ!!」

 

 

指示を聞いたヘドラはすぐさまヴァリエル星人(RB)に向けて『ヘドロ弾』を放った。

 

 

「ぎゃあ!グゥア、アアアアアアアーーー!!?」

 

 

怒りのあまり周りの状況が見えていなかったヴァリエル星人(RB)は避けられず、弾を受けて悲鳴を上げながら溶けてしまった。

 

 

「ゴキゴキ!愚かな奴め!だがこの勝負は俺達の勝ちだ。ゴーキゴキゴキ!」

 

「ジュロロロロロォォォォォ!!」

 

「グワゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

 

自分の怪獣達と共にM宇宙ハンター星雲人(RB)は愉快に笑い声を上げるのであった。

こうして、ヴァリエル星人VSM宇宙ハンター星雲人とのバトルは、Mハンター星雲人の勝利で幕を閉じたのであった。

 

 

 

次はゴツゴツとした岩山が多く存在する場所で、そこでもレイオニクスバトルが行われようとしていた。

 

 

「ゴアアアアアァァァーーー!!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

 

威嚇して対峙する2体の怪獣。右側にいるのは両腕の鞭と頭の黒い2本の角が特徴の地底怪獣グドン、左側にいるのは全身が鉱石でできていて頭と胸にある赤い鉱石が特徴の宇宙鉱石怪獣ドレンゲランである。

そして両腕の鞭を振り回して地面に叩きつけながら咆哮を上げるグドンの後ろには、これまた右腕の鞭が特徴で水色の体をして“半魚人”と言う異名を持つボーズ星人(RB)がいた。

 

 

「我らの宇宙征服を邪魔する奴は全て粉々に叩き潰す!行けグドン!」

 

 

鞭を振るって叫ぶボーズ星人(RB)の指示を聞いたグドンは、両腕の鞭を振り上げて真っ直ぐ走り出した。しかしドレンゲランはグドンを睨むだけでその場から一歩も動かない。

そしてグドンの鞭が振り下ろさせようとした瞬間!

 

 

「今だドレンゲラン!」

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

 

何処からか聞こえた声に反応してドレンゲランが首を振るうとなんと驚く事に首が長く伸びたのだ。そしてグドンの無防備なお腹に強烈な頭突きを食らわせた。

 

 

「グッボオォォッ!?」

 

 

かつて防衛組織MATの強力爆弾にも耐えた皮膚を持つグドンでもお腹に攻撃を受けた事で大きく後退し、そのまま膝をついて体を震わせる。

 

 

「よくやったぞ。ドレンゲラン!」

 

「ギュイイィィィ~~!」

 

 

再びドレンゲランの近くから声がした。よく探して見てみるとドレンゲランから少し離れた右側の岩場に黒い体と頭部の目に似た丸い脳魂、鋏状の両腕が特徴の宇宙人がいた。

彼の名はザム星人タクトと言ってとある事情で故郷を失い、新たな星を探す旅に出たザム星のレイオニクスだ。

カウンター攻撃を成功させたドレンゲランをすぐに褒めるところを見ると彼は優しい性格で、他のレイオニクス達とは違い怪獣を道具ではなく、仲間として大事にしている。そしてドレンゲランも嬉しそうに首を振りながら鳴き声を出す。互いに強い絆で結ばれているようだ。

 

 

「ドレンゲラン!火炎弾連続発射だ!」

 

「ギュイイィィィッ!ギュイイィッ!!」

 

 

タクトの指示を聞いて、ドレンゲランはゆっくり体を動かして首を左右様々な方向から口から何発も『火炎弾』を放つ。

 

 

「ゴアアアァァッ!?」

 

 

いくら強力な鞭を持っているグドンでもドレンゲランの『火炎弾』を受けて悲鳴を上げる。しかも様々な方向から攻撃が放たれる為、体中が激しく爆発を起こし、所々が黒焦げになってしまった。

 

 

「おのれ~~生意気な奴め。グドン!早く奴を粉々に叩き壊してしまえ!!」

 

「グオォ、グオオオオォォォーーー!!」

 

 

ボーズ星人(RB)の命令で、グドンは放たれる『火炎弾』を鞭で必死に叩き潰しながら前進する。そしてある程度距離を詰めると両腕を大きく振り上げ、渾身の鞭攻撃を食らわせる。これではボーズ星人(RB)の言う通り鉱石の体にヒビが入ってしまうぞ。

 

 

バッチイイイィィィィィン!!

 

 

「グオオォッ!?」

 

 

大きな音が響いて、ドレンゲランが悲鳴を上げる・・・ことはなかった。

なんとドレンゲランの体には全くヒビが入っていなかったのだ。逆にグドンの鞭の方がダメージを受けてしまったようで、叩きつけた部分の黒い鞭がはっきり見えるくらい赤くなっていた。グドンは自分の両腕を押さえて苦痛の表情を浮かべる。その隙をついてドレンゲランは再び首を長く伸ばして、グドンの体に強く巻き付けた。

 

 

「ギュイイィィィッ!!」

 

「ガァッ、グッゴオォ・・・オオオオォォォッ・・・!」

 

 

ギリギリと音を立てながらドレンゲランはグドンの体を締め付け続ける。また長い尻尾も使ってグドンの体を痛めつける。グドンも必死に抜け出そうと抵抗するが、痛んだ鞭にこれまでのダメージで力が入らず、抜け出せる事ができなかった。ボーズ星人(RB)が「何とかしろ!」と必死に命令しても今のグドンは実行できず、遂に口から泡が出始めた。

 

 

「よし!このまま一気に勝利を掴むぞ。ドレンゲラン、空高く投げ飛ばせ!」

 

「ギュイイィィッ!ギュイイィィィッ!!」

 

 

巻き付けていた首を戻しつつ、ドレンゲランはグドンを空高く投げ飛ばした。そして抵抗する力を失って落下してくるグドンに『火炎弾』を浴びせる。

 

 

 

ドッガアアアアアアアァァァァァン!!!

 

 

 

止めの攻撃を受けたグドンは火の玉状態になり、そのまま大爆発を起こして粉々になってしまった。それを見たボーズ星人(RB)は悲鳴と混乱が混ざった声を出す。

 

 

「あ、あぁ・・・我のグドンが!?あんな鈍間な奴に負けるとは・・・!」

 

「見た目で判断した、お前の油断が敗北に繋がったんだ」

 

「!!?」

 

 

自分が負けた事にショックを受けていたボーズ星人(RB)にタクトはこっそり背後に回って近づいたのだ。驚きつつも逃げようと言う思いがボーズ星人(RB)の頭の中で過ったが、前の方からドレンゲランが近づいて挟み撃ちにし、退路を完全に断たれてしまう。そして悔しい表情を浮かべるボーズ星人(RB)にタクトは手を差し伸べる。

 

 

「悪いんだけど、お前のバトルナイザーを僕に渡してほしい」

 

「な、何だと!?」

 

「僕の・・・いや、一族の目的を果たす為にはお前のバトルナイザーがどうしても必要なんだ。さぁ、命が欲しいなら早く渡して!」

 

「おのれ~~調子にのりおって!お前なんかにやすやすと渡してたまるものか!」

 

 

そう言ってボーズ星人(RB)は右腕の鞭を振るって攻撃するがタクトは避けようとせず、右手の鋏で受け止める。そしてそのまま目から怪光線『ザムビーム』を放って攻撃した。

 

 

「グウゥッ・・・ぐ、あああああぁぁぁーーー・・・」

 

 

光線を受けたボーズ星人(RB)は苦しみながらも必死に抵抗を続けるが、タクトが再び放った光線によりゆっくりとその場に倒れて、体から煙を出して白骨化してしまった。

相手が完全に倒れたのを確認した後、タクトは持っていたバトルナイザーを取った。

 

 

「やった!これぞまさしく完全勝利だ。ありがとうドレンゲラン、よく頑張ったな」

 

「ギュイイイイィィィッ!!」

 

 

バトルに勝利し、バトルナイザーを奪い取れた事にタクトとドレンゲランは一緒になって喜び合った。その後タクトはドレンゲランをさらに褒めてからバトルナイザーに戻し、新たに1体の怪獣を召喚した。それは全身が真っ白で所々に黒い線があって、見た目がザム星人に似ており、両腕の武器が特徴の復讐ロボット・ザムリベンジャーである。

 

 

「ザムリベンジャー!円盤形態だ」

 

 

タクトの声に反応してザムリベンジャーはすぐさま変形して円盤へと姿を変えた。そしてタクトを自身の内部へ転送させる。ザムリベンジャーの中に入ったタクトはすぐさまコックピットに向かい、ボタンやレバーなどを操作する。

 

 

「ザムリベンジャー、さっきの戦いのデータはちゃんと残してある?」

 

『大丈夫です。今までと同じ、マスターの指示通リ戦いのデータ及び手に入れたバトルナイザーは全て残してあります』

 

「ありがとう!これで僕が倒したレイオニクスは4人か・・・」

 

 

先程手に入れたバトルナイザーを近くの台の上に乗せるとすぐ傍から3つのバトルナイザーが出てきた。

 

 

「まだ足りない。あのお方に認められるのは・・・もっと強くなって、これをたくさん献上できるようにならないと。そうしないと・・・僕の故郷を復興させることができない!」

 

 

自分の目的を必ず果たす!そう胸に誓ってタクトはザムリベンジャーにレイオニクスがいる場所を探させ、すぐさま向かうのであった。

 

 

 

そして今回最後のレイオニクスバトル・・・ではなかった。

最初に激闘を繰り広げられた戦場と似たような所で、等身大&巨大化合わせて数十体の宇宙人の亡骸があった。どちらも同じ武器をしている事から全て同一種族である事が分かった。その正体は宇宙の通り魔と言う異名を持ち、両手の鋭利な刃物と赤い瞳が特徴の怪奇宇宙人ツルク星人だ。

数多くいる事から察すると思うが、彼らはレイオニクスではない。レイオニクスではない者達が何故惑星ハマーにいるのか?実は彼らは宇宙中から集まってくるレイオニクス達を全て倒して、自分達が最強である事を証明するために此処にやって来たのだ。しかし・・・世の中は甘くなかった。

 

 

「どうした?これほどの数がいても貴様らはこの程度の強さか・・・?」

 

「キュ、ギュルゥゥ~~~」

 

 

今生き残っているツルク星人は僅か2体だけだ。そんな2体の前に両手に双剣を手に持ち、長い黒髪をポニーテールのように束ねている鎧武者がいた。しかもその者は声からにして女性であった。

彼女の挑発を受けて2体は恐れを捨てて同時に攻撃を仕掛けた。だが女性は素早い動きで4本の刃物を避けて、目にも止まらぬスピードで双剣を振るって2体を切り裂いた。剣に付いた相手の体液を拭き取ってゆっくり鞘に収めた。

 

 

「他愛もない奴らだ。数に頼ってばかりで各々が鍛えられていない未熟者め」

 

 

ツルク星人達に厳しい評価を与えるが、彼女は礼儀正しく1人1人にお辞儀をして手を合わせてからその場から立ち去り出す。

 

 

「どこかに・・・必ずいる筈だ。私より強く、器があり、守るべき者が。そうすれば私も兄者のように・・・」

 

 

そう呟きながら彼女は別の強豪者を探しに行った。

そして遠くない未来で彼女は、自身の願いを叶えてくれる者が現れるのであった。

 

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙鉱石怪獣ドレンゲラン


全身が宇宙鉱石でできている怪獣で、ザム星のレイオニクス・タクトの第1パートナー怪獣。高い防御力を誇り、口から吐く『火炎弾』と長く伸ばせる首による強力な頭突きが武器である。それにより唯一の弱点である動きが遅いと言うのをカバーしている。タクトとは強い絆で結ばれていて、彼の目的に全力で励んでいる。性格は見た目とは違って柔らかい性格で、並の怪獣とならすぐに仲良くなってしまう。


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