いろいろあって少し遅れちゃいました。今回は第12話とオリジナルの展開が加わった話です。
最終決戦に相応しい怪獣達が出現し、天敵と決着がつきます!またクロウとリーシャの間に大きな変化が起きます。2人が遂に・・・(ワクワク)!
そしていよいよあと2話で惑星ボリス編が終結します。感想と評価をお待ちしております。
最強合体獣キングオブモンス、怪鳥大コンドル、戦闘円盤ギガ・ロボフォー
巨蛾モスラ(モスラ・レオ)、幼虫モスラ、原子怪鳥リトラ(S)、怪獣酋長ジェロニモン
宇宙恐竜ゼットン、高次元捕食体ボガール、超翔竜メガギラス
邪神ガタノゾーア、閻魔獣ザイゴーグ、完全生命体デストロイア 登場
レッサーボガールを倒し、ボガールと攻防を繰り広げてジェロニモン達を仲間にした後リーシャ達と一緒にモスラ・レオに乗って空を飛んで行ってレイが戦っている元に向かう。そして戦いの場に辿り着くとちょうど決着がつくところであった。
「キシャアアアアァァ~~!」
「キエエエエンッ!」
「ピポポポポ!ゼエットォーン!」
ゴモラとリトラ(S)のダブル攻撃をゼットンは強力な防御技の『ゼットンシャッター』で防ぐ。だが途中からバリヤーが壊れて攻撃を受けてしまう。全力で放った光線技をくらい続けて流石のゼットンもダメージを受けてゆっくりと前に倒れてしまう。力を使い果たしたゴモラは膝をついてしまうが倒れたりせず、頭の上に乗っかって来たリトラ(S)を落とさないようにしつつゼットンを睨み付ける。
「クロウさん、この勝負は・・・」
「引き分けだ」
そう言った時に暫くするとゼットンがゆっくり立ち上がった。だがゼットンはこちらを向いたまま何も仕掛けて来ない。理由は2つあって、1つは主であるケイトからの指示がない事ともう1つは疲労困憊のゴモラの側にモスラ・レオがやって来て庇いながらこちらを睨み付けているからだ。
その隙に俺とリーシャはレイの元に走り寄る。
「レイ、大丈夫か?」
「あぁ、何とか・・・」
「ゼットンの相手は私とモスラがしますから早くゴモラ達を元に戻しなさい!もう戦える状態ではないわ」
「分かった・・・戻れ」
リーシャの言葉を聞いてレイはすぐにゴモラとリトラ(S)をバトルナイザーに戻した。その後ゼットンとモスラ・レオの戦いが行われると思ったが何も起こらなかった。その場にいる者や観戦している者達が不思議に思っていたが俺だけは分かっていた。ケイトの目的はレイを倒す事ではないからだ。そんな状況でケイトが拍手しながらやって来てレイを褒める。
「最後の一撃はなかなかだった。予想以上に成長していたな」
やって来たケイトをリーシャは銃を抜いて撃つ構えをして警戒して、俺は今にも倒れそうなレイの体を腕で支える。そんな状況でもケイトは余裕な表情で言う。
「もう覚醒するまであと一押しのようね」
「覚醒・・・何の事なの?」
「一体何を言っている!?ハァハァ・・・」
覚醒と言う言葉にレイとリーシャは意味を教えろと言うが、ケイトは薄く笑うだけで答えない。
そして俺の方を向いてテレパシーで頭の中に話し掛けてお礼を言ってきた。
「(感謝するぞ。お前のおかげでレイは・・・弟はここまで強くなれた)」
「(いや、レイ自身が力を求めたんだ。俺は少し手を貸してやっただけだ)」
「(嘘を言うな。お前が弟に特訓以外にも影響を与え続けていた事を私が知らないとでも思ったか?)」
「(何!?やれやれ・・・何処で知ったか知らないが抜け目のない奴だなお前も)」
内心ため息をついた時、ケイトはマントを掴みながらその場で腕を振るって姿を消した。後を追いかけようとするリーシャにあのように消えてしまったのでは仕方ないと言って諦めさせた。
その後レイを休めさせるために2人で体を抱え、ペンドラゴンに戻ってレイの部屋まで運んでベッドに寝かせた。
「暫く寝てなレイ、後の事はこっちで片付けておく」
「分かった・・・」
余程疲れていたようで、レイは瞼を閉じるとすぐに寝息を立てて眠る。それを見届けた後リーシャと共に部屋から出て一休みしようとそれぞれ自分の部屋に向かって歩いていた途中、コックピットからヒュウガの声が聞こえた。レイオニクスになったためか耳がとても良くなっていて、自動ドアが開かない位置の壁に耳を重ねて外からこっそり話の内容が聞き出す。その後ろでリーシャも同じ格好をした。他から見れば何とも面白い光景である。
「こちら宇宙船ペンドラゴンの船長ヒュウガ!誰か聞こえるか?」
通信機で必死に呼び掛けるが雑音ばかりで通信できないと思った時、機械から声がした。
『・・・了解!よく聞こえるよ。こちらZAP SPACY派遣の救援部隊で、私は宇宙船トリスタンの船長カトリだ。貴船の救難信号を受け取って救援に来た。惑星ボリスへの到着だが・・・少し予定が変わって24時間後だ』
それを聞いて全員が喜びの声を上げる。そのあまりの大声に俺とリーシャは驚いて壁から少し離れる。24時間後か・・・今からちょうどお昼頃だな。
「地球人達の救援部隊・・・クロウさん」
「うん・・・面倒な事になったな」
原作通りの展開では到着するのは6時間だったのにそれが1日になるとは・・・予定が変わったと言う言葉が気になる。何か嫌な予感がするんだよな。こっちも予定と備えを変更する必要があるな。
「リーシャ、レイの所に戻るぞ。今後の事で言っておかなければならない事ができた」
「分かりました。私も一緒に行きます」
そして俺達は再びレイがいる部屋に向かい、中に入るとレイは起きていてベッドに座っていた。
「起きていたかレイ・・・」
「クロウ・・・リーシャ・・・」
「どうしたんです?そんな深刻な表情になって・・・」
リーシャの言う通り今のレイの顔はとても暗かった。確かこの時は自分の事について考えていたんだった。
「俺は本当に、何者なんだ?クロウ・・・教えてくれ!お願いだ!」
「・・・俺より彼女に教えてもらった方がいいぞ」
そう言った瞬間、目の前に強烈な光が現れて周りが白い空間に包まれた。突然の事に戸惑うレイとリーシャを落ち着かせて、ある方向に顔を向けるとそこにケイトが現れた。再び銃を抜いて撃つ構えをするリーシャを見てもケイトは不敵に笑いつつ無視をして俺に話しかけた。
「よく気付いたな。さすが怪獣王様と言ったところか?」
「それは褒め言葉として受け取っておくよ。それより・・・いい加減にレイの質問に答えてやったらどうだ?」
「そうだな・・・レイ、こいつからいろいろと教えられ、自分でも薄々気づいていると思うが・・・お前は隕石と一緒に飛来した赤ん坊で地球の人間ではない。私や此処にいる者達と同じレイブラッド星人だ」
「レイブラッド星人・・・!」
「いや・・・レイブラッド星人の遺伝子を受け継ぐ地球人と言った方が正解だな」
そしてケイトは黒幕であるレイブラッド星人の正体と目的の事とウルトラマンが石になった事などいろいろ話した。ちなみにウルトラマンに呆れたように言った時は、俺も初めてあった時のように内心とても呆れていた事は内緒だ。
「レイ、お前はもうすぐ覚醒する。怪獣と戦って倒して強くなり、完全なレイブラッド星人に生まれ変わるのだ!」
「嘘だ!!俺は・・・人間だ。レイブラッド星人じゃない!!」
「その姿のどこが人間だ!?」
「なに!?」
するとレイの姿が別の姿へと変わっていき、人間の姿ではなく宇宙人・・・レイブラッド星人の姿になってしまった。自分の変わった姿を見てレイは驚く。だがすぐに元の人間の姿に戻った。
それを見た後ケイトはゆっくりレイに近寄って背後から言う。
「私と戦え。戦って・・・私を倒すのだ!それがお前に残された最後の試練だ!」
「黙れ!!」
レイの声が響いた瞬間、白い空間から元の場所へと戻っていた。レイは自分の正体と真実のあまりの事に近くの壁に怒りを込めて拳を叩きつけた。それを見て俺はそっと近寄って落ち着かせる。
「いきなり自分の事を知って混乱するのは仕方ない事さ。だがなレイ・・・前にも言ったようにお前には俺達と怪獣達が付いている。心配するな」
「・・・・・そうだな」
言葉を聞いて少し落ち着いたレイに今度はリーシャが話しかける。
「それに・・・此処にいる者は全員人間ではないのですから」
そう言うとリーシャは両手を前に出してゆっくり下ろす。そうすると本来の姿であるピット星人へと変わった。俺も手を怪獣化させたり、首筋をキングギドラのように鱗皮膚へとさせた。
それを見てレイは若干呆然としながら頷いた。
「それはそうとレイ、お前に言っておかなければならない事がある」
「何だ?」
「明日、ZAP SPACY派遣の救援部隊がやって来る。だが俺はさっき見せた通り人間ではないから一緒に行けないし、別の目的があるから行く気さえもない。しかしレイ、お前は違う。お前にはボス達地球人の仲間がいる!」
ここまで言うとレイは俺の言いたい内容を察して理解するが、俺は最後まで話を続ける。
「つまり・・・ボス達の元に付いて一緒に惑星を脱出するか、俺達の元に付いて行動を共にするか決めろ」
「俺は・・・」
とてつもない選択にレイは顔を下に向けて何も言わなくなる。俺個人の願いでは、レイにはずっと頼れる仲間として側にいてもらい、俺の手助けをしてもらいたい。だが他の支配者達のように強制的な事はしない。
「明日までまだ時間がある。全ての事に決着をつけた後でもいい、答えを出しておけ・・・っと言ってもお前の答えは案外もう出ていて、俺がそれに納得できないからこう言っているのかもな」
そう言って俺は部屋を出て行き、リーシャも後を追って出て行く。そして隣に立った時にリーシャは俺に尋ねた。
「クロウさん、レイは一緒に来るでしょうか?」
「さぁな・・・それを決めるのはあいつ自身だ。まぁ、どんな結果になろうと俺はそれを受け止めて、アイツの行く道を支えてやるつもりだ。だからリーシャ、お前も俺の元に無理に「ずっと一緒です!」!?」
無理に側にいる必要はないと言う前にリーシャが大声を出したので驚く。そして真剣な表情で俺を見つめたあと・・・。
「ん・・・」
「んむっ!?」
俺の体に強く抱きつき、そして頬に手を触れて顔を近づけてキスをした。
暫くその状態が続いた後リーシャは唇を離した。今の彼女の顔はとても艶やかな表情で恥ずかしそうに手を後ろに回してもじもじしている。ヤバイ・・・マジで可愛い!
「クロウさん、私はクロウさんの事が好きなのです!今まで怖くて黙っていましたけど・・・私はこの宇宙で一番貴方の事を愛しています。だからずっと貴方の側に一緒にいさせてください!!」
「リーシャ・・・」
頬を赤く染めてリーシャは告白する。前々からリーシャの行動を見て感じていたが、直接告白されて俺は内心とても混乱している。けど仕方ない事だ。転生する前から一度も女の子から告白されたり好きだと言われた事がなかった。だがここで言わないと俺は絶対に後悔する。
「リーシャ・・・俺も・・・リーシャが今までずっと側にいてくれて嬉しかったんだ。お前の事が好きだった。本当にお前にはどこかに行ってほしくない」
「!・・・嬉しいですクロウさん」
「これからは・・・ずっと俺と一緒にいてくれ。よろしく頼む」
「はい・・・こちらこそ♪」
こうして俺に生涯初めての恋人ができた。その後2人で一緒の部屋で互いにいろんな話し合いして休んだ後、ペンドラゴンから出てグランケープ補給基地に向かってその日の夕方まで宇宙船と2体のサイボーグ怪獣の修理をした。ロボット達の助けもあって宇宙船とサイボーグ怪獣は明日完成する状態にまでなった。そして再び部屋に戻って一緒に眠ったのであった。
一方ヴィンセント島の端の岩石が多く転がり並んでいるエリアの一番大きな岩の上で、ボガールが大きく広がる海のある方角をじっと見つめて両腕を広げて何かを引き寄せるようにゆっくり動かしていた。
「ハヤクオイデ・・・フフフ・・・」
とても待ちきれなく欲望に満ちた表情で薄く笑い、その動きを続けた。
そしてボガールが見つめる遠く離れた先では、海面には恐ろしい闇が少しずつ広がりながら、海底ではまるで血の池のように赤く光って染まりながら、空からは赤い色の禍々しく恐ろしい悪魔の様なものが徐々にヴィンセント島に迫っていた。
その翌日の朝、俺はリーシャと一緒に再びグランケープ補給基地に向かって修理に励んだ。レイも連れて行こうとしたが、まだ悩んでいる様子だったのでそっとしておく事にした。
またユニとリン、モスラ親子に島の守る他にレイの護衛もお願いした。結構俺は念には念を入れておく主義なんでね(笑)そしてお昼前の時間にとうとう宇宙船が完成した。
「遂に出来上がったな!」
「はいクロウさん!これで宇宙に行く事ができます!」
「あぁ、この円盤は俺達の物だから名前は・・・う~ん・・・ギガ・ロボフォーとしよう!」
俺達が見つめる先にある戦闘円盤ロボフォーは元の状態よりも砲門の数が多く、メカハンドのハサミ部分をさらに強化して真ん中からエレキソードが出るようにしている。戦闘以外にも移動速度を上げているなど様々な能力をアップしてある。だが1番変わった所は上部分だ。これは上からの攻撃と防御に備えて強力な光線を出せたりドリルにもなる角を4本装備した。本当はもっと良い感じにしたかったけど・・・ここにある資源ではこれで限界だ。贅沢を言ってはいけないと思いながら俺は背後にいるロボット達にお礼を言った。
「皆もご苦労だったな。ありがとう!」
俺のお礼を聞いてロボット達は腕を上げて左右に振ったり、お辞儀をしたりなど喜びを表していた。以外に感情豊かだなこいつら。
そして2体のサイボーグ怪獣もあともう少ししたら修理が終わる。そっちの方も終わらせようと思っていた時にリーシャが時間を確認して言った。
「クロウさん、そろそろレイの元に戻った方が・・・」
「むっ、そうだな。時間的にも救援部隊がそろそろ来そうだし、後はロボット達にお願いしてそうするか。出てこい!大コンドル!!」
『バトルナイザー!!モンスロード!!』
「キュイィッ!!キュアァ!!」
今ではレイのリトラ(S)と同じ移動専用の怪獣となっている大コンドルの背中にリーシャと一緒に乗り、ロボット達に残る2体のサイボーグ怪獣の修理を頼み、完成したらすぐに伝えて起動するように言った後ヴィンセント島に戻った。
島に戻ってペンドラゴンのすぐ近くにゆっくり着陸して、大コンドルを回収した後にタイミング良く惑星ボリスに到着したZAP SPACY派遣の救援部隊の宇宙船5機が上空に表れてゆっくり着陸し始めた。あれが宇宙船トリスタンか、原作ではキングジョーブラックに全滅されていたからよく分からなかったが結構良い船だ。
「しかし・・・あの船に乗っている連中から少し殺気を感じるな。アイツらが俺達にとって吉となるか凶となるか」
「吉・・・凶?どういう意味ですかクロウさん?」
「今に分かるよ。それじゃリーシャ、気付かれないようにレイの元に向かうぞ」
「えっ?・・・あ、ちょ、ちょっと!待ってくださいクロウさん!」
腰を低くして近くにあった岩陰に隠れる。幸いヒュウガを始めとした多くの生存者達が救助船の側に向かって騒いでいるから気づかれていないと思う。ちなみにレイは最後に出てきて皆の後ろに立っている。救援部隊に見つからないように慎重にレイに接近しようとした時、救助船から大勢の武装集団が出てきた。突然の事に全員が驚いている中、武装集団の中から一目見ただけで偉そうな奴だと思う人が声を上げた。
「宇宙船ペンドラゴンのヒュウガ船長!おりますか?私は宇宙船トリスタンのカトリ船長だ」
「私がヒュウガだが・・・?」
どうやら先程の奴が救援部隊のリーダーであるカトリと言う者であった。名を呼ばれたヒュウガは他の人立ちより一歩前に出て立つ。
「さっそくですがヒュウガ船長!貴方の元にいるレイ、クロウ、リーシャと言う3名を引き渡してもらいたい」
「!?何故私のクルーを?」
「貴方は・・・いや、此処にいる者達全員が知っているはずです。彼らは怪獣を操る者達だと!」
「!?」
あぁ、やっぱり知られていたか。ヒュウガは何故救援部隊に俺達の事が知られているか分からないようだが俺には分かる。俺達の事を教えたのはアトウだ!
周りを見渡して探すとアイツは俺達のいる場所からすぐ近くにいて、その顔はまるで自分は正しい事をしたのだと言っているような表情をしていた。やっぱりあの時始末しておくべきだった。
「クロウさん、どうします?」
「決まっている。レイを助けた上で恩を仇で返したあの人間を始末する!」
『オ待チ下サイ、我ガ王クロウ様』
リーシャの問いに怒りを込めつつ答えて、ギガライブナイザーをギュッと強く握ってレイを助けに行こうとした時にギガライブナイザーの中からジェロニモンが止めた。
「何だジェロニモン?」
『アノ人間ノ始末ハ私ニオ任セ下サイ』
「・・・良いだろう。お前に任せる」
そう言ってこっそりジェロニモンを召喚し、リーシャにも指示を出したあと俺はゆっくり武装集団の元に近づく。幸いその間もヒュウガを始めたペンドラゴンのクルー全員がレイを庇いつつカトリの激しい口論は続いていたおかげで全員そちらに気を取られていて誰1人気づいていない。
その隙をついて俺は救援部隊の連中に向かって片方の手を広げて伸ばす。
「う、うわっ!?」
「なんだ!?」
「じゅ、銃が!武器が全部空に・・・!?」
突然彼らが持っていたり装備してあった武器などが次々と空中に浮かんでいった。原因は簡単で、俺の手から出ている念力で操っているからだ。だが彼らはまったく気付かず、必死に高くジャンプしたりして取り返そうと躍起になっている。多くの人がやっているから見ていて笑いが出そうだ。口を押えて笑い声が出ないようにしながら武器をさらに上に上げて手が届かない位置で止めた。
そして銃口を奴らに向けて身動きを取れないようにした。
バシュン!バシュン!
「ぐああぁぁっ!!」
「「「「「!!?」」」」」
自分達の装備していた武器がこちらに向けて撃とうとしている事に驚いていた時に後ろの方で銃声と誰かの悲鳴が聞こえた。全員が振り向くとそこには両脚を銃で撃たれて倒れているアトウと冷たい眼で彼を見下ろす女がいた。
「クロウさんを裏切る人なんてこの宇宙に必要ありません・・・今すぐ消えなさい」
「リーシャ!?」
撃った者がリーシャである事にペンドラゴンの皆が驚いている中、アトウは荒い息を出しながら必死に両腕と体を動かして逃げようとする。だが逃げる先にジェロニモンが立ち塞がって挟み撃ちになる。
「貴様ノ生命エネルギー・・・貰ウゾ」
「ア、アアアアアァァァーー・・・・・」
アトウの両肩に掴んで自分の方に引き寄せてジェロニモンは口を大きく開ける。するとアトウから光や霧が混じった生命エネルギーが吸われていった。暫くすると悲鳴を上げていたアトウから声が聞こえなくなり、骨と皮だけになって崩れ倒れた。
「グェグェグェ、ナカナカイイ味デアッタ」
「ちゃんと最後まで食べなさいよジェロニモン。その残り物どうするつもり?」
「ナニ、他ノ怪獣ドモニ喰ワセテテ処分シテオクワ」
「ふーん・・・あっそ」
恐ろしい内容で会話をしているリーシャとジェロニモンを見てため息をつきながら俺はゆっくり近付いて静かにさせて、全員が見える位置に立って話しかけた。
「はじめまして皆さん。俺の名はクロウ。怪獣の王だ!今から言う事をよーく聞け。・・・あとそれから今俺達に手を向けようとした瞬間、お前達が持ってきた武器が火を噴くから気を付けな」
自己紹介しながらそう言うと全員動揺してざわざわと騒ぎ始める。だが俺は気にせずに話を続けて告げる。
「今日よりこの惑星は俺の物で、怪獣達の楽園になる。今すぐ残りの生存者達を宇宙船に乗せて立ち去れ。別に俺はお前達の敵と言う訳じゃない。お前達もこいつのようになりたくないだろ?」
足元にあったアトウの亡骸を何の感情もなく踏み潰した。こんな仕打ちを見て酷い事だと昔は俺自身も思っただろう。けど今は何も感じない。恩を仇で返された怒りか、または別のためであった。
そんな俺をペンドラゴンのクルー達は悲しい目で見つめている。その中を掻い潜ってレイが先頭に出て驚きながら話しかけた。
「クロウ・・・」
「レイ・・・言いたい事があるようだがちょっと待っていてくれ。・・・ボス、これまでずっと一緒に行動をしてきて楽しかったぜ。けど・・・契約はここまでだ。早くお前も部下4人と一緒にこの惑星から立ち去りな」
「なに!?」
ヒュウガに契約解除の事を言ってレイにこっちに来るように言うとした時、突然目の前に青い炎が現れてレイを連れ去ってしまった。今の炎は確か・・・ケイトか!?
「クロウさん!レイが!?」
「どうやらケイトに連れ去らわれたようだ。リーシャ、ジェロニモン・・・そしてユニとリン、モスラ達と一緒にレイの元に向かってくれ」
「えっ?」
「グゥ?」
2人が驚く中、俺は背後の右側にある少し大きな岩を見つめて出てくるように言う。すると岩の後ろからユニとリンが現れた。さらに少し離れた所にはモスラ親子がいた。彼女達は俺にお辞儀した後ペンドラゴンのクルーと同じ悲しい目で見つめた。
「「クロウ様・・・」」
「ハァ~~・・・お前達もか。悪いけど話は後にして、さっき言った通りにレイを探しに行け。安心しろ。さっき言った通り人間達に手は出さないよ。第一俺は今から相手をしないといけない奴が来たからよ・・・」
そう言って今度は横をギロッと睨み付ける。そこには恐ろしい程の殺気を出しているボガールが立っていた。皆が驚く中で俺はリーシャ達とモスラ親子を庇うように前に出て立ち塞がりボガールと対峙する。
「コンドコソ・・・オマエヲクッテヤル!デザートガクルマエニ」
「ふん!お断りだ。俺はこれから先・・・沢山の怪獣達や愛する者、家族を守っていなければならないんだ。その為にも今此処でお前を消してやる!!」
デザートが来ると言う事はこの島に別の怪獣を呼んだと言う事か。ならば一層早くコイツを倒さないといけない!そして俺はギガライブナイザーからキングオブモンスのスパークドールズを出してライブした。俺の最高の相棒・・・俺に力を貸して、一緒に戦うぜ!
『ギガライブ!!キングオブモンス!!』
「グオオオオォォォーーー!!」
キングオブモンスと一体化して咆哮を上げた後幼虫モスラ達を回収した。もしボガールに喰われたり、人質にされたんでは冗談ではないからだ。
その後ボガール目掛けて足を勢いよく振り下ろした。だがボガールは高速移動でかわし、さらに本来である牙の生えた翼の様な被膜を持つ怪獣の姿に戻って鋭い爪の生えた両腕を振るってパンチを繰り出す。しかし俺は手の平で弾いてかわし、逆に首元を叩いたり、腹にパンチを打ち込んだ。
そして強烈な一撃を腹に叩き込むとボガールは腹を押さえながら後退した。
「ギシャアアァァッ!ホァァァギャアアァァッ!!」
『まだまだ!行くぞキングオブモンス!』
「グルルル・・・グオオオオォォォッ!!」
後退したボガールに駆け寄り組み付く。ボガールも同じように組み付き、お互いに組み付いたまま押し合ったり、左右に振ったりする。その影響で周りに激しい地鳴りが起こり、戦いを見守っていたリーシャ達は先程クロウに言われた事をするためにモスラ・レオに3人を乗せてレイの元に向かった。同じくヒュウガ達もクロウが戦いに集中したために空から落ちてきた武器を慌てて拾いながら激しい怪獣同士のバトルに驚愕しながら宇宙船に避難し空高く飛んだ。救援部隊の宇宙船トリスタンはすぐに本来の目的を達成する為に惑星から去って行ったが、ヒュウガ達ペンドラゴンだけは未だ空の上を飛んでいた。
「ボス!どうしますか?」
「俺達はレイの元に行き、救出するんだ!ペンドラゴンはモスラの後を追って発進する」
「けどクロウは・・・?」
「・・・・・アイツはさっき俺に部下4人を連れて行けと言った。つまり・・・レイも連れて行けと言う意味なんだ。分かったか?」
「「「了解!!」」」
先程の話からヒュウガはクロウの言った言葉の意味を知ってレイの元に向かうため、モスラの後を追いかけて行った。
それを見て俺は組み合って戦いながら頷く。これで集中して戦う事ができる!その途端ボガールの両肩を強く掴んで勢いよく地面に倒す。さらに倒れた体を跨って腹や腕を何度も踏み付けた。
「ギシャアアァァッ!?ギシャアアアッ!!」
苦しそうに悲鳴を上げるボガール。反撃しようと両腕に力を込めるが踏み付けられたままで動かせられない。それでも抵抗を諦めず、尻尾を長く伸ばして首に巻き付けた。外そうとする前に後ろに引っ張られて投げ飛ばされ、地面に叩き付けられる。ボガールは立ち上がってそのまま再び地面に叩き付けようとするが、俺は翼を広げて空に浮かんで尻尾を噛み千切った。解放されてボガールが怯んでいる隙をついて突進攻撃をして吹き飛ばした。土煙を出し上げながら地面に倒れたボガールにパンチや爪、尻尾を浴びせて再び地面に叩きつけた。
悲鳴を上げるボガールをこのまま一気に倒そうと迫ろうとした時、背後から何かにぶつかって倒れた。
『何だ・・・!?』
振り返るが背後には誰もいない。しかし耳をよーく澄ませるとどこからか虫の翅が擦れる音が聞こえた。音がする方を見るとそこには凶悪面のトンボに似た1体の昆虫怪獣がいた。紫色の体をして大きな翅と両腕のハサミに針が付いた尻尾が特徴の超翔竜メガギラスだ。
『あの時の奴か!余計な時にやって来やがって』
「ピイイイィィィヴヴヴヴゥゥゥッ!!」
かつてクロウ達と戦って生き残ったメガニューラ達から完全にエネルギーを得て目覚めたメガギラスは、テリトリーを広げながら自分の餌を探していた。
そこらにいる怪獣達よりも強大なエネルギーを持つ餌を!
「ピイイイィィィヴヴゥゥッ!!」
「グオオォッ!?」
周囲を超高速で飛んでいたメガギラスはそのスピードのままキングオブモンスに向かう。
迎え撃とうとするキングオブモンスだが、相手の急発進や急上昇、急降下などのもの凄い飛行速度に俺も眼が追い付けずにキョロキョロするだけだ。その間にメガギラスはハサミや翅で切り裂いたり、体当たり等で攻撃する。流石トンボの怪獣だな・・・本当に鬱陶しい(怒)
さらに吹き飛ばされていたボガールも立ち上がって手から光弾を放って攻撃する。翼を広げて『ボーンシールド』で防ぐがまたメガギラスが攻撃しようと迫ってくる。
『こうなったらあの手でいくとするか・・・喰らえ。クレメイトビーム!!』
両目の間にある結晶体にエネルギーを溜めて背後からある程度の距離に近づいたメガギラス目掛けて『クレメイトビーム』を振り向き放つ。
慌てつつもメガギラスはそれをかわすが、俺は威力を落とさないまま素早く放ち続ける。
メガギラスは自慢のスピードでかわし、一瞬後ろを向いてニヤリと笑う。だけど皆さん、車などでスピードを出したまま余所見するのは危ないですよね。
ドゴオオッ!!
「ピイイィィッ!?」
「ギシャアアァァッ!?」
余所見をしていたメガギラスは前にいたボガールにぶつかってしまい、2体は重なるように倒れた。しかしボガールは倒れつつも餌が自分からやってきた事に歓喜した。一気に捕食してしまおうと翼状の大口を開けて包み込もうとする。だが間一髪メガギラスは空に逃走する事ができた。
そして逆にエネルギーを多く持っているボガールから奪い取ろうとハサミでボガールをうつ伏せにして押さえ、背中に針を突き刺した。これを受けたボガールは痛みとともに激しい怒声を上げた。喰う側である自分が喰われるなんてあり得ないからだ。つまり捕食者としてのプライドを傷つけられたから怒っているのだ。体を滅茶苦茶に動かしたり、自分の尻尾をメガギラスの尻尾に巻き付けて強く締め付けて針を抜こうとする。無論メガギラスも黙っていなく、ハサミで攻撃して抜かせないように踏ん張る。
『良い感じに争っているな。それじゃ・・・そろそろ止めを刺すか!行くぜキングオブモンス!』
「グオオオオォォォッーーー!!」
2体の争う様子を離れた所から見ていた俺はその隙をついて光線を放つ準備をしていた。ボガールはメガギラスに動きを押さえられている。もうチャンスを逃す訳にはいかない。
『これで終わりだ。ファイナルクレメイトビーム!!』
2体目掛けて・・・と言ってもボガールを主に必殺光線を地面に走らせながら一直線に放つ。
エネルギーを抜かれて、動きを押さえられていたボガールは光線に当たって大爆発を起こした。
次にメガギラスだが、咄嗟に光線に気が付いて回避しようと上昇して尻尾を半分ほど失ったが避ける事ができた。しかし尻尾から血が垂れ落ちて深手を負っていた。あともう少しで倒せると思い、接近しようとした時、遠くの方から恐ろしい鳴き声と咆哮が響いた。その方向を見て俺は絶句した。
「グヴヴオオオオオオオオオオオオオオン!!」
「グギャアアァァーー!ガハハハッ・・・!!」
「ギィガアアアアアゴオオオオオォォォン!!」
『・・・マジかよ・・・』
鳴き声と咆哮がした所の空・陸・地から3体の怪獣が出現した。
空からは前に一度戦い飛び去って傷を癒し、さらに力を得た完全生命体デストロイア。
激しい地鳴りが起きている陸からは横に重なっている巨大なアンモナイト状の殻と体からたくさんの触手が生えて顔の目と口が上下逆についていて、両手の鋭いハサミを振りかざし口から闇を吐き出している邪神ガタノゾーア。
血の池みたいに溶けて光っている地中からは背中が無数の剣山の様な棘に覆われて棍棒の様な右腕とノコギリ状の尻尾を持ち、赤と青が混ざった体に鬼の様な真っ赤な3本の角があり、黄色い複眼が一列に並んでいる閻魔獣ザイゴーグ。
恐ろしい怪獣達・・・けど何故か俺はあまり恐怖を感じなかった。いや、恐怖は確かにある。だがその他に実際に会えて嬉しく思い、仲間にしたいと願う気持ちもある。あとメガギラスも!
『絶対にお前達を倒し、手に入れてやる!行くぞキングオブモンス!!』
「グウウゥゥ・・・グオオオオォォォッーーー!!」
決意を固めて内心激しく興奮しながら俺は3体の怪獣達に戦いを挑むのであった。
【大怪獣バトルファイル】
怪獣酋長ジェロニモン
強い超能力を持っていて、怪獣を蘇らせる事ができる。頭と尻尾に生えている赤、白、青の大量の羽根を手裏剣みたいに相手に飛ばして攻撃する。また口からガス状の無重力光線を吐く。
知能もあって言葉を理解し、会話をする事ができる。
惑星ボリスにやって来た時に力とエネルギーを失って人間サイズの大きさになってしまう。
だがそれでも他の怪獣達を従える事は可能。クロウの仲間になってからは、彼の側近のようになってリーシャと同じ彼の重要な仲間になる。