俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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皆様、本当に長くお待たせ致しました。
就職活動の為に時間が本当になくて(汗)。やっと時間が少し取れたのでできました。
今回は小型・子供怪獣がたくさん出ます!

怪獣王Godzilla、未来怪獣ガイガン、宇宙鶴ローラン、牡牛座怪獣ドギュー
迷子珍獣ハネジロー、友好珍獣ピグモン、伝説魔獣シャザック(子)
ゴジラザウルスの子供ベビーゴジラ、ゴジラの息子ミニラ、凶悪怪獣ガバラ  登場



第12話 怪獣保育士

ヴィンセント島目指して飛行していた途中、ふと俺が窓から外の景色を眺めてある島を見るとその中心に建造物があるのに気が付いた。

 

 

「おい。アレは何の建物だ?」

 

「アレは・・・ZAPの燃料施設!ボス、一旦あそこに降りましょう。あそこに行けば必要な食糧や資材が手に入るかもしれません」

 

「よし!ハルナ着陸するんだ」

 

「了解!」

 

 

ヒュウガに言われ、ハルナは施設の近くにペンドラゴンを着陸させた。

全員が降りて周りを探索して誰もいない事を確認した後、二手に別れて中を探索する。だがこの時、深い森の中から何かがこっちを見つめているのに誰も気が付かなかった。

 

 

「これとそれと・・・よし!」

 

 

中には思いのほか必要な物が揃っていて、壊れていない箱にたくさん詰め込んで運んでいく。

 

 

「これくらいでいいだろう。レイ、リーシャ。そろそろ戻るぞ」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 

2人を呼び、箱を持ち上げて出て行こうとしたその時!!

 

 

「パムーーー!!」

 

「うわ!?」

 

 

目の前にあった物の陰から何かが出てきて、それに驚いた俺はつい持っていた荷物から手を離してしまった。それを知った皆さんならこの先何が起こるか予想できたでしょう。

 

 

 

ガンッ!!

 

 

 

「痛ってええええぇぇぇぇぇーーー!!?」

 

「ク、クロウさん!?」

 

「お、おい!?」

 

 

必要な物を多く入れていた箱が足に落ちたため、俺は今までにない叫び声を上げる。そして傷んだ足を抱えながら周りをピョンピョンと飛び回る。後ろの方でレイとリーシャが声をかけるが痛みが激しいので何も聞こえない状態だ。

少し経つとようやく痛みが引いてきて手頃な高さの機械の上に座った時、俺の叫び声を聞いてヒュウガ達が駆け付けて来た。

 

 

「どうしたクロウ!?・・・・・何だあの小さいのは?」

 

「アレはハネジロー!迷子珍獣と言ってとても可愛い怪獣なんです!!」

 

「パムパム!」

 

 

オキが名前を言って全員が見つめる中、ハネジローは気にせずに背中の羽根で飛んでゆっくり俺の肩に乗っかる。

 

 

「ダイジョウブ?」

 

「あ、あぁ・・・大丈夫だ。それよりも足を冷やすために水が欲しいぜ・・・」

 

 

心配するハネジローを安心させて、水が欲しいと言うとハネジローが突然大きく鳴き声を上げる。すると出入り口から2体の小さな怪獣が入ってきた。その怪獣達を見て俺は痛みを一瞬忘れるくらい驚いた。

 

 

「マジか・・・ピグモンとベビーゴジラ!」

 

「ピギッ。チョイ~」

 

「クオォ~~」

 

 

入ってきた怪獣の1体は友好珍獣ピグモン。もう1体はゴジラの同族・ベビーゴジラである。ピグモンは軽くお辞儀をしながら何処かで手に入れた水の入った筒を俺に渡してきた。お礼を言いながら受け取りって水を足にかけて冷やす。うむ。痛みが感じなくなってきた。そして水をかけ終えた時にベビーゴジラが口に銜えていたタオルを俺に渡してきた。

それを受け取って足を拭きながら笑顔でお礼を言う。

 

 

「ふ~~助かったぜ。おかげで大分楽になった。ありがとう!」

 

「パ~ム」

 

「ピギ~」

 

「クオォ~~」

 

 

3体の頭を優しく撫でると彼らは気持ち良さそうに目を細めつつ、ハネジローが代表して話しかけてきた。どうやらこの基地は彼らの住処となっていて、俺達が持ち運ぼうとした物は自分達の生活に必要な物だから運ぶのやめてほしいとお願いする為に姿を現したそうだ。それを全員に説明してボスが我々も必要としていると事情を話す。彼らは少し話し合い(と言っても真剣に話し合っているのはハネジローとピグモンの2体だが)頷く。それを見て全員がホッとした時、何処からか怪獣の鳴き声がした。しかも1体ではない。3体も気が付いたのか慌てて外に出て行った。俺達も後を追って外に出てみると基地から少し離れた場所で4体の怪獣が争っていた。

いや、正確には3体の怪獣が共闘して1体の怪獣と戦っていた。

1体は『宇宙一美しい』と言われ、鶴に似た心優しい怪獣・宇宙鶴ローラン。もう1体は怪獣王ゴジラの正当な子供ミニラ。最後が伝説と言われた魔獣シャザック・・・子供だからリトルシャザックと言っておく。そして3体を襲っているのが、ガマガエルが核爆発の影響で巨大化して誕生した凶悪怪獣ガバラである。

 

 

「ガァワワワアアァァァォォォ」

 

「ギッイイイィィゥゥゥッ」

 

 

咆哮を上げて襲ってくるガバラにローランはミニラとリトルシャザックを庇いながら必死に両翼をバサバサと動かしたりして近づけさせないようにする。しかしガバラは怯まず、ローランの翼を掴んで頭の角を光らせて電流を流す。強力な電流攻撃にローランは悲鳴を上げ、次第に動きが鈍くなっていく。

それを見ていた2体はオロオロと震えながら森に隠れて見ていたが、戦うと決意したミニラが口から放射熱線を放つがそれは丸い輪の形をした煙であり、何の意味もなかった。

それならばと今度は腕を回しながら体当たりを仕掛けるが・・・。

 

 

 

ビリビリッ!!

 

 

 

「ピェ~~・・・!?」

 

 

突進してくるミニラを見たガバラはもう片方の腕を伸ばしてミニラの頭に置く。背が低く、腕も短いミニラは何の攻撃できずにガバラの電流攻撃を食らってしまう。そして助けを求めるように悲鳴を上げる。リトルシャザックはそれを見て涙目になっていく。

 

 

「はぁ~~まったく仕方がないな。ここは久しぶりにお前に頼むとするか。行け!Godzilla!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「ゴッガアアアアアオオオオオン!!」

 

 

ミニラの無様なやられ方に溜息つきながら俺はギガライブナイザーからGodzillaを召喚する。召喚されたGodzillaはゆっくりとガバラの背後から近づいて殴り倒した。

同時にローランとミニラもそれぞれ左右に倒れた。

 

 

「ガァワワァァ・・・・・!?」

 

「グルルルルッ!」

 

 

殴り倒されたガバラはすぐに起き上がって、自分に攻撃した背後にいる敵に向かって怒りの声を上げるが途中で止めてしまった。背後にいる敵が自分よりも遥かに大きく、さらにかつて怪獣島で自分をボコボコにした怪獣王と同じ姿だったので・・・。

 

 

「ガァワワワアアァァァ~~!!」

 

 

恐怖に掛かれたガバラは頭を抱えながら慌ててこの場を去って行った。去って行くのを見つめた後、Godzillaはすぐにミニラの元へ駆け寄り、優しい鳴き声を上げて背を低くして顔を近づける。それに対してミニラは電流から解放された体を起こして目の前にいるGodzillaを怯えもせずに不思議そうに見つめ、本能で仲間だと分かったのか鳴き声を上げて足元に抱きついた。

Godzillaも嬉しそうに両手で頬を撫でて、優しく抱きしめる。

まるで遠く離れていた親子がようやく再会できた、そんな感じであった。

 

 

「良かったな・・・Godzilla」

 

 

その光景を見ていた俺は、聞こえるか聞こえないくらいの声で口からこぼす。その後ローランに警戒させないようにしながら近き、彼女の傷を見てみるとたいしたものではなかった。

うん?何故彼女だと?簡単な事だ。どこから見てもローランは女怪獣だからだ。するとローランは隠れていたリトルシャザックを安心させるように抱きながら俺達に向かって何度も頭を下げた。

 

 

「きっとクロウとGodzillaにお礼を言っているんだよ」

 

「ふ~ん・・・別に気にするな。俺はただ弱い者いじめをしている奴を止めただけさ」

 

「ギャウウウゥゥゥ~」

 

「余程気に入れられちゃったみたいね」

 

「そうらしいな・・・」

 

 

俺の言葉にローランは甘えるような鳴き声を出す。それを見たハルナが側に来て少し笑顔で言う。ちなみに後ろでリーシャが怖い顔をして隣にいたレイを震え上がらせた事は余談である。

その後俺達は作業を再開して、必要な資源をペンドラゴンに運び入れる。それを終えた後、出発するためにGodzillaを回収しようとするが・・・。

 

 

「グウゥゥゥ~~~」

 

「マーマーーー!」

 

「これは・・・戻しにくいな・・・(汗)」

 

 

先程からGodzillaはミニラと遊んだり、頭を撫でたりと世話をしている。ミニラも自分にかまってくれるGodzillaに好意を寄せて甘えている状態だ。ここで無理矢理引き離すのは可哀そうだ。

そして問題はもう1つある。

 

 

「パ~ム~」

 

「ピギ~」

 

「ギュウウゥゥゥ~」

 

「お前ら・・・いい加減離してくれないか?」

 

 

小型怪獣の3体が先程から俺にまとわり付いて離れようとしないのだ。特にベビーゴジラは俺の服の端に甘噛みして絶対に離れないようにしている。バトルナイザーに入れたらいいのではないかだと?さっき入れたけどすぐに出てきてしまったんだよ!

何処かの世界の黄色いネズミじゃあるまいし。ちなみにローランとリトルシャザックも先程回収して、ガバラとの戦いで傷付いた体を癒すために今は眠っている。リトルシャザックもこれに加わりたい様子だったけど、こいつらに比べて大きいから無理だ!

 

 

「クロウは本当に怪獣に懐かれやすいね」

 

「けどそれでこそ怪獣王に相応しいんじゃないか」

 

 

オキとクマノが笑いながらそう言うが、今の俺にとっては嫌味でしか聞こえないのは何故だろうか!?

 

 

「クロウ、そろそろ出発したいのだが・・・」

 

「分かってるよボス!あぁ~~もう、そのままでいいから先に船に乗っていろ!」

 

 

なんとか彼らを振りほどいてGodzillaとミニラを回収しようとギガライブナイザーを構えた時、別の方向から怪獣の鳴き声がした。またガバラかと思いながら振り向くとそこには別の怪獣がいた。そいつは牛の様な角と鋭い爪を持つ牡牛座怪獣ドギューだった。いつもなら新しい怪獣に会ったら喜ぶ俺だけどアイツだけは違う。何しろアイツは弱い者いじめが大好きな奴だ。

俺にとって最も嫌いな事が好きなんて最悪だ

 

 

「チッ!ドギューかよ。あんまり好きじゃないな」

 

「クロウ(クロウさん)!!」

 

「レイ!リーシャ!お前達はハネジロー達とペンドラゴンを守ってくれ。アイツは俺とGodzillaで十分だ」

 

「分かった!」

 

「お任せ下さい!」

 

 

騒ぎを聞いて駆け付けてくる2人そう言って承諾したのを確認した後、俺はGodzilla達の元へ向かう。一方ドギューはGodzillaとミニラに向かって角を前に突き出して走り出した。それを見てGodzillaはミニラを自分の後ろに隠れさせて迎え撃って角を押えながら組み合う。身長では圧倒的にGodzillaの方が上だが、ドギューは自慢の怪力でGodzillaの足を手で掴んで少し持ち上げると横に投げ飛ばした。

 

 

「グルルル・・・ゴッガアアアァァァッ!!」

 

「ギギャアアアァァァーー!!」

 

 

投げ飛ばされたGodzillaだったが、これによって闘志に火が付いてすぐに立ち上がって反撃とばかりにドギューにパンチやキック、噛み付きなど連続攻撃をする。

ドギューも反撃するが、受け止められたり避けられたりとダメージを与えることができなかった。そして最後にGodzillaは尻尾を大きく振ってドギューを押し倒した。強烈な一撃を何発もくらってドギューは倒れた。しかし彼もやられっぱなしは悔しいのかフラフラしながらも立ち上がってGodzillaの尻尾を掴んで鋭い爪を食い込ませながら引っ張る。しかしGodzillaの硬い皮膚には何の効果もなく、逆にそのまま振り回して投げ飛ばしてしまう。

 

 

「グゴォ~~・・・ギャアァ?」

 

「キュウゥ!?」

 

 

しかし投げ飛ばされた先の林の中にはミニラが隠れていた。怯えるミニラを見てドギューはすぐに起き上がって捕まえ、Godzillaに見せる。それを見て動きを止めるGodzillaにドギューは笑いながら動けば此奴を攻撃すると爪をミニラの首元に向ける。ミニラは怖さのあまり涙目になって悲鳴を上げる。

 

 

「グルルルーーー!!」

 

「ギギャアアァァァッ!」

 

 

泣き出すミニラを見てGodzillaは怒りの唸り声を上げるがドギューは気にせず、足元に落ちていた岩を拾ってそれをGodzillaにぶつけようと大きく振り上げるが・・・。

 

 

「させるか!!」

 

 

その光景をばれないように見ていた俺はギガライブナイザーからガイガンのスパークドールズを出してライブする。

 

 

『ギガライブ!ガイガン!』

 

 

光と共にガイガンになった俺はすぐにドギューの側まで走ってミニラを捕まえている腕に目掛けて鉤爪のハンマーハンドを振り下ろした。切り裂かれて火花が飛んで血が流れるとドギューは痛みのあまりミニラを離し、岩を落としてしまう。だが俺は攻撃を緩めず、もう片方のハンマーハンドで両角も切り落とした。

悲鳴を上げるドギューにGodzillaが一直線に走り出して腹部目掛けて頭突きをくらわせ、力一杯放り投げた。怒りを籠めた攻撃だったため、ドギューはもの凄い勢いで空高く飛ぶ。そして止めの『放射熱線』を放ってドギューを木端微塵にした。

 

 

「ゴッガアアアアアァァァァァーーー!!!」

 

「(お前もやりたいか・・・いいぜ!)キィィッシャアアアァァァッ!!」

 

 

Godzillaの咆哮を聞いてガイガンも咆哮を上げたいとライブしている俺に伝えてきたので、共に勝利の咆哮を上げた。その後、Godzillaとミニラを回収して元の姿に戻ってペンドラゴンに乗って目的地であるヴィンセント島目指して出発した。

だがこの時、怪獣王の子供と同族を仲間にした事が、俺の予想を遥かに超えた面倒で大変な事を知るよしがなかった。

 




【大怪獣バトルファイル】
宇宙鶴ローラン

その名の通り鶴に似た怪獣で、『宇宙一美しい』と言われている。
主な武器は翼による突風と猛毒を含んだ針攻撃である。ガバラに襲われているところをクロウに助けられた事から彼に少なからず好意を持つ。
それ以前はZAPの基地で子供怪獣や小さな怪獣の世話していた。まさに怪獣保育士である。

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