俺は怪獣王になる   作:ヤマタノオロチ

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皆様、大変長くお待たせ致しました。
就職活動の為に時間が本当になくて泣きそうです。そんな中でも頑張りました。
今回は海に棲む怪獣達が活躍する話です!

宇宙怪獣エレキング(リムエレキング)、巨大顎海獣スキューラ
宇宙有翼怪獣アリゲラ、巨大魚怪獣ゾアムルチ、群体怪獣シーゴリアン
宇宙ロボット・キングジョ―ブラック   登場



第11話 海底の戦い!!

救難信号が発信されていて、石化したウルトラマンもいると思われるヴィンセント島に俺達は向かっていた。

暫くの間ずっと飛行していた時、途中で複数の飛行体の反応をキャッチした。オキが調べてみるとそれは怪獣ではなく、人工的な熱源反応を出しているとの事だ。しかもこちらに向かって来ている。画面を見ると一定の間隔で形のバラバラな4機の黒い円盤だった。

 

 

「げっ!?アレは・・・」

 

「ペダン星人の円盤!?」

 

 

俺とリーシャは円盤を見た瞬間に呟いた。アレがこちらに向かって来ると言う事はアングロスとグロマイトがやられたか。いや、これまでにもっと多くの怪獣が倒されたかもしれないな。そう思っている間にも円盤は真っ直ぐ速いスピードで向かっている。

 

 

「こちら、『ZAP SPACY』所属のスペースペンドラゴンだ。そちらの所属と目的を応答せよ。繰り返す。そちらの所属と目的を・・・」

 

「無駄です!ペダン星人に会話なんて意味がありません」

 

「急いで円盤から距離を取れ!このままだと奴の攻撃範囲に入るぞ」

 

 

通信で自分達の事を名乗るヒュウガだが、それは意味がないとリーシャは言う。そして円盤から離れるように俺は言うが遅く、円盤は破壊光線を何発も放って攻撃してきた。

最初の攻撃はハルナの巧みな操縦で避け、退避しようとした時に4機の円盤が同時に撃った光弾が当たってしまい、ペンドラゴンは故障して海底に沈んでいく。しかも落ちていく先には深い谷底があった。

 

 

「副長!このままだと落ちてしまいます!!」

 

「冗談じゃないわ!?」

 

 

悲鳴に似た声でオキが言い、ハルナは必死にレバーを下げて止めようとする。しかしなかなかペンドラゴンは止まらない。手助けに行きたくても船体が激しく揺れて動く事が難しくできない。必死に前に進もうとした時、横からレイが飛び出してハルナの手を掴んで一緒にレバーを引いた。それによってペンドラゴンは反動で大きくバウンドしながら谷の手前ギリギリで止まった。

 

 

「ありがとう。レイ」

 

「・・・・・あぁ」

 

 

ハルナにお礼を言われて、掴んでいた手を慌てて離し、レイは照れ臭そうに顔を背けて答える。危機を脱出して一息つこうとした時、突然照明の明かりが消えた。

 

 

「どうしたのです!?」

 

「電源が落ちたようだ。だがすぐ予備電源が作動する」

 

 

驚くリーシャにヒュウガが説明する。そして暫くして明かりが再びつく。同時にクマノが部屋から出て行く。その後をヒュウガが何処へ行ったのか分かっているように追いかけた。それを見ていたレイが俺の方を向く。顔を見るに「自分も行きたい」と言っているようだ。レイの心中に気が付いた俺は優しい表情で付いて行くよう指示を出す。するとレイはすぐに後を追いかけた。見届けた後、やる事もないので怪獣達の様子でも観察していたらハルナが何かに気が付く。

 

 

「アレは何?」

 

「えっ?」

 

「うん?」

 

 

外を見てみるとペンドラゴンの頭上周辺を怪獣の群れが囲んでいた。驚異的な飛行能力を持つ宇宙有翼怪獣アリゲラの群れである。しかしテレビで見るより迫力があるな!数もいっぱいいるし。

 

 

「良い光景だ。これも滅多に見られるものではないな」

 

「そんな事を言っている場合じゃないですよクロウさん!?」

 

「まぁ、落ち着けリーシャ。オキ、分かるな?」

 

「うん!任せてクロウ」

 

 

そう言ってオキがパソコンを操作してボタンを押す。するとアリゲラ達は次々とペンドラゴンから離れていく。

どうしてか?実は、アリゲラには眼がないのだ。その代わりに肩にある青いパルス孔から超音波を出して周囲を認識している。蝙蝠に似た怪獣なのさ。そして今、ペンドラゴンから出ている特殊な超音波に誘導されて、全てのアリゲラが何処かへ飛び去って行った。手に入れたかったんだがな~~。これはどんな事になろうとこの星を俺の物にしないと!っと心の中で決意していた時、クマノから通信が入る。

 

 

『クロウ、リーシャ。聞こえるか?』

 

「何だいクマさん?」

 

『ちょっと手を貸してくれ。こいつを直すのに結構人手が必要なんだ』

 

「了解した!リーシャ行くぞ」

 

「はい!」

 

 

2人でクマノがいる所に行って、どこを直すのかを聞いてその場所に向かう。そこには沢山のパイプがあり、その中の2つが壊れているらしい。探してみると左右それぞれに穴の開いたパイプを見つけた。俺が右側、リーシャが左側を直す事を決めて作業にかかる。かなり狭い所であった事もあり、暫く無言になって集中しながら作業していたが・・・。

 

 

「リーシャ、悪いけどそこにある工具セットを取ってくれないか」

 

「あれですか?少し待ってください」

 

 

リーシャの足元の少し離れた所に工具セットがある。

だが、取るには一度その場から出て行かないといけないから時間がかかると思った時、リーシャの姿が元のピット星人の姿になった。そして手から念力を出して工具セットを浮かばせて俺の元に置いた。

 

 

「これでいいでしょうか?」

 

「あぁ、ありがとうリーシャ。それにしても・・・」

 

「何ですか?」

 

「いや・・・久しぶりにリーシャの本来の姿を見たけど、綺麗だなと思ってな」

 

「えっ!?///」

 

 

何気なく言ったクロウの言葉がリーシャの心に熱いものを感じさせた。

 

 

「(ク、クロウさんが・・・私の事を・・・き、綺麗なんて!いや・・・でも、そんな・・・この胸がドキドキになる感じ・・・やっぱり私はクロウさんの事を・・・)」

 

「・・・どうしたリーシャ?突然黙って・・・」

 

「・・・・・クロウさん。わ、私・・・クロウさんの事が・・・////」

 

 

 

ピー!ピー!

 

 

 

「「!?」」

 

『クロウ。リーシャ。故障が直った。もう戻って来ていいぞ』

 

「分かった。今行く。・・・・・どうしたリーシャ?」

 

「い、いえ・・・なんともありません・・・!!(プルプル)」

 

 

顔を俯かせ、体を震わせて人間体に変身してリーシャは部屋を出て行った。その後ろ姿を見て俺はどこか寂しいものを感じた。

 

 

「う~~ん、やっぱりリーシャの奴・・・」

 

 

今までの行動からリーシャは俺の事を・・・いや、そんな事はあり得ないか。けどもし俺の推測が当たっていたら、恥ずかしいけど伝えないといけないな。そう思いながら俺もリーシャの後を追いかける。コックピットに着いて入ると皆が慌てていた。

 

 

「今度はどうした?」

 

「あっ!大変だよクロウ!また別の怪獣達が現れたんだ!!」

 

 

うん?達と言う事は1体ではないのか?アリゲラの次に出てくる怪獣と言えばゾアムルチ・・・ってシーゴリアンもいるし!?予想外の怪獣が出てきた事に俺が驚く中、2体の怪獣は咆哮を上げて真っ直ぐ向かってくる。それを見たレイがすぐにバトルナイザーを取り出す。

 

 

「無茶だ!あの2体は別名“巨大魚怪獣”と“群体怪獣”だ。ゴモラじゃ不利だよ!!」

 

「おいおい、忘れたのかオキ。レイの手持ちの仲間には水中戦が得意な怪獣がいる。そうだろレイ?」

 

「あぁ!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「キィイイィィィ!」

 

「キュアオオオン!!」

 

「ガアァァオォォン!!」

 

レイのバトルナイザーから召喚されたのは、前に仲間にしたエレキングだった。

召喚されたエレキングは傷が癒え、体から電気を発生させて、咆哮を上げながら2体を威嚇する。だが2体ともそれで怯むような怪獣ではない。

最初にゾアムルチがジャンプしてエレキングに飛び込んで体当たりをする。攻撃を受けたエレキングだが、負けずにゾアムルチと組み合う。互いに押したり引いたりするが、力は互角でなかなか勝負がつかない。エレキングは自分が有利に立つためにパンチを放とうと腕を振り上げた時・・・。

 

 

「ピギャアァァウゥゥッ」

 

「キィィ!?」

 

 

背後からシーゴリアンが腕に噛みついた。その痛みで力が弱まり、ゾアムルチはエレキングを振り解いて同じように逆側の腕に噛みついた。どちらも噛みつく力は強く、エレキングは悲鳴を上げる。ペンドラゴンからエレキングが苦戦しているのを俺達は見つめる。

 

 

「やはり強いなあの2体」

 

「私にも水中で戦える怪獣がいれば・・・!」

 

 

自分の手持ち怪獣の中に水中戦が得意な怪獣がいない事にリーシャは力がないと思い悔しがる。

 

 

「そう自分を責めるなリーシャ。ここは俺の相棒のもう1体の片割れに任せろ」

 

『グオオオオォォォォォォッ!!』

 

「フッ、自分が暴れたいのかキングオブモンス?そう言わずにやらせてやれ。行け!スキューラ!!」

 

『バトルナイザー!モンスロード』

 

「シュウゥゥゥグオォン!」

 

 

召喚されて出て来たのは、バジリスと同じキングオブモンスの分身・巨大顎海獣スキューラである。スキューラは目標の2体に狙いを定めて、マッハ3のスピードで『スキューラッシュ』を繰り出す。エレキングばかりに目を向けていた2体は避ける事なんかできず、スキューラの技をもろに食らってブッ飛ばされ倒れる。

そして態勢を立て直したエレキングはゾアムルチに、スキューラはシーゴリアンに戦いを挑んだ。

向かって来るスキューラにシーゴリアンは頭部から泡状の赤いエネルギー弾を放つ。しかしスキューラに当たった弾は、その硬くしなやかで丈夫な体によって弾き返されてしまった。自分の攻撃が効かない事に驚くシーゴリアンにスキューラは再び『スキューラッシュ』を繰り出して押し倒す。

 

 

「ギャシュウウウゥゥゥン!!」

 

「ピュウウィィィ!!?」

 

 

倒れたシーゴリアンにスキューラは顎を体半分くらいまで開いて挟み込む技『シークレットジョー』を使う。無数の牙に上下から挟まれる痛みは激しく、シーゴリアンが悲鳴を上げる。必死に暴れてもスキューラの巨大顎の噛む力が強いために抜け出せなかった。

 

 

一方エレキングとゾアムルチの戦いも最初はゾアムルチの光線に苦戦していたが、レイの応援で奮起したエレキングが尻尾を巻き付けて『エレクトリックテール』を繰り出した。強力な放電にゾアムルチは悲鳴を上げて、それを見ていたスキューラがついでにまとめて倒してしまおうと思ったのか、銜えていたシーゴリアンをゾアムルチ目掛けて投げつけた。

投げ飛ばされたシーゴリアンはダメージが大きすぎるせいか、身動きできずにそのままゾアムルチにぶつかる。そして放電を受けてしまって、2体は重なるように倒れた。それを見てエレキングとスキューラは同時に勝利の咆哮を上げる。

 

 

「よくやったぞスキューラ、エレキング。さぁ、お前達も俺の仲間になろうぜ!!」

 

 

勝利の咆哮を上げる2体を褒めて、ギガライブナイザーで倒れた2体に向けて構えて回収した。中を見ればどちらも眠って傷を癒していた。優しく元気になれよと言った後、スキューラも戻す。レイもエレキングを戻し、一息つこうとするとオキが俺達に話しかける。

 

 

「流石キングオブモンスの分身と水中の王者だね。シーゴリアンとゾアムルチを軽く倒しちゃうなんてね」

 

「いやいや、シーゴリアン達も中々の強さだったよ。けどこれからは俺と一緒に強くなっていけばいい。・・・・・ところで、まだ飛べないのか?」

 

「出力のパワーが上がらないの!・・・さっきの戦いの衝撃のせいだと思う」

 

 

ハルナが何度もボタンを押したりするが反応がない。酸素供給器も残り僅かだとオキが言った時、クマノがレイにエレキングをもう一度出すように頼む。

 

 

「エレキングの放電を利用すれば、エネルギーが確保できて必ず飛び立てる」

 

「ちょっと待ってください。確かにその可能性はあり得ますが今のエレキングでは僅か一瞬でエネルギーが溜まってしまい、機械が壊れてしまいます!」

 

 

クマノの案にリーシャが反対する。成長したエレキングでは危険であるそうだ。

 

 

「なら小さくすればいい」

 

「小さくって・・・どういう事なのクロウ?」

 

「そのまんまの意味さ。レイ、エレキングを小さくしたいという意思を持って召喚してみろ」

 

「小さく・・・?分かった」

 

 

言われた通りレイがバトルナイザーを構えるとテレビで見た通りに小型化したリムエレキングが出てきた。けれど現れた先はオキではなく、リーシャの方であった。リムエレキングを見たリーシャが嬉しそうに抱き締めて欲しいと駄々をこねて引き離すのに苦労したがな。

そしてリムエレキングのおかげでエネルギーを確保できて、ペンドラゴンは途中海溝に落ちそうになりながらも無事飛び立てた。

こうして俺達は再び目的地であるヴィンセント島目指して出発した。

 




【大怪獣バトルファイル】
巨大顎海獣スキューラ

魚に似た四足歩行型怪獣で、キングオブモンスの分身。
主な武器はその名の通りに体半分まである巨大な顎を使った攻撃である。また水中だけでなく、地上でも凄い速さで動き回る事ができる。
しかしその分動くほど食べる量がかなり増える。実は彼、口が大きいために怪獣2体分の食事をするのである。

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