そして、30話目です。オッスオナシャス!
※原作と多少相違がございます。
「この程度か……クソザコナメクジめ」
何の前触れもなく突如として出現した、“青”のヘカトンケイルと対峙した大和。彼は上半身が木っ端微塵となった巨人の姿を見て、そう言葉を吐き捨てた。
“D”ではないのに自身よりも何十、下手すれば何百倍も体格が違うのにも関わらず、無数の乱打を浴びせて粉砕したのだ。
それだけ桁違いの力を持つのだろう。強力な架空武装を用いる“D”とは違う、圧倒的な己の力のみで戦う戦士と言っても過言ではない。
最も、竜に物理攻撃をする時点で“D”は愚か、今回は特に居ないが竜紋が変色している“D”がいる場合、そのような攻撃する事は不可能でもってのほか。
それだけ彼がぶっ飛んでるとも言える。
「……またかよ。すーぐ再生」
人体に当たる、腰に当たる部分からあぶくのように体が再生していき、大和はその様子に舌打ちする。
「まだ分からないようなら、オレのストレス発散に付き合って貰おうか」
スッと握り拳を上げる大和。再生途中なのにも関わらず、次の攻撃を仕掛けるようだ。
何度も再生するなら殴りすぎても関係ないよな、とゲスい考えをしながら再生している巨人に次なる攻撃を放とうとした―――。
「そこまでです!」
「えっ」
―――が、それをさせまいとした者がいた。聞き覚えがある声が掛けられ、間抜けの声を上げながら声の方向を見据える。
そこには、空気変換で此方に向かって飛行し、小型通信機を頭に装着していた深月がいた。
「大和さん、何をしているのですか!」
彼から多少離れた位置で飛行を停止し、深月は言い放った。
「何って、コイツをフルボッコにしてただけだけど?」
「そういう事を聞いてるんじゃありません! 何故一人で勝手に行動しているのかを聞いているんです!」
要は司令部は崩壊し、後方支援が期待できない状況で自分達が行動を起こすしかない。そんな時に一人だけで勝手に行動されては色々と作戦が練られない。
そう思い、深月は単独ながら彼を呼び戻しにきたのだ。
「いやでもさ、コイツには色々と貸しがあんだよ。三年前の。それは深月も悠も思うとこあんだろ?」
「っ……それはそうですけど」
自分が小さかったあの頃。深月は自分達の町を踏み潰しながら進む“あの”姿がフラッシュバックする。
「まあ今回の事もあるから単に殴りたい欲マシマシなのもあるけどな。だから現在進行形で殴ってた。ただそれだけ」
「……それでも一人では危険です。私達のところに合流してください」
「ヤだよぅ。ボクちんまだ殴り足りないよぉ。欲求不満だよぅ」
「子供ですか! いいから早く戻ってください!」
ワガママばっか言う大和に、やけくそ気味に怒鳴る深月。
傍から見れば漫才の如く見られる光景だが、ここは敵の目の前だ。どうみてもそんな事をしている余裕はない。
それ故に、二人を覆う大きな影が出来ているのに気付くのが遅れてしまった。
完全に体を修復させた巨人が腕を上げていた。そして“ソレ”は、勢いよく迫り来る。
このままでは、大和はどうなるか知らないが、深月の防壁構築も間に合わない。潰れたトマトになってしまいかねない。
「―――フゥッ!」
一瞬の判断。せめて深月だけでも―――と、強く息を吐く。
瞬間、それは強い風と成る。
「ぐっ!? 大和さっ―――!?」
強風に煽られ、勢いよく後退する深月。
そんな彼女の見た光景とは―――。
良かったと安堵している大和が青い鱗の巨大な腕に飲み込まれた姿が、そこにはあったのだった。
◇
ただ進行方向上に踏み潰し歩くヘカトンケイルが思いがけない動きをした。
先程の時計塔を破砕した時と同様、まるで意志を持ったかのように、腕を振り抜いたのだ。人間で言うなれば、それは邪魔な小虫を払うような動き。
運悪く、その払いに巻き込まれた大和は勢いよく吹き飛ばされ、体育館の天井に直撃。
天井が爆砕し、衝撃で煙が巻き上がる。さらにその影響で天井の周りがガラガラと瓦礫となって崩れ落ちていく。
それだけ大和が強靭な硬い体なのか、それともヘカトンケイルのパワー故か。もしくはどちらともという事も否定できない。
ともかく、あれ程の衝撃だ。まず無事では済まないだろう。
深月は大和の咄嗟の息を吐く『吹き飛ばし』により難を逃れたが、彼は間に合わなかった。
彼女は大和がヘカトンケイルの攻撃から庇ってくれたと思ったと同時に悔やみの表情を浮かべる。
―――これではまるで、二年前のあの時と同じ―――。
『深月さん! 聞こえますか、深月さん!?』
「っ!」
スイッチの入っていた小型通信機から声が届き、深月は我に返る。
今、“あの出来事”を思い返して悔やんでいる場合ではない。今は冷静に対処しようと落ち着いた声で通信機に向ける。
「……リーザさん?」
『大きな音がしたと思って連絡してみれば……一体何が起こったんですの!?』
通信機越しに話しかけてきたのは待機していたリーザからだった。
「すぐ戻ります。そこで状況を話します」
冷静を装い、淡々とした様子で話す深月。彼女はそう言った後、自身の宿舎へと戻りに行った。
◇
「先程、大和さんがヘカトンケイルに単身で向かいましたが、彼は攻撃の巻き添えに遭いました」
宿舎に戻った後、深月は先程までに招集を掛けていたブリュンヒルデ教室の面々に現状報告をした。
次いで、自身の不注意のせいで大和が攻撃を喰らったという補足説明を加えた。
「そうか……大河クンが攻撃を貰っちゃったんだね」
アリエラは言葉で、他の皆も沈んだ表情となる。
「私がもっとしっかりしていれば……!」
「落ち着いてください、深月さん。過ぎてしまった事はもうどうしようもございません」
深月が未だに悔やんでいるようだが、リーザが慰めをかける。
「ですが……」
「……深月さん、もしかして
「っ……!」
リーザが軽く一息つくと、意味ありげなような事を言う。
(あの時―――?)
悠はリーザの意図がよく分からずにいた。
「あまり自分ばかり責めているのもよくありませんわよ。それでも竜伐隊の隊長なんですか?」
「っ!」
まるで見透かしたかのように言うリーザに、図星を突かれたの如く反応する。
最後の言葉は煽りに近く聞こえるが、あくまで今悔やんでいる場合ではないと奮起させるものだろう。
「……申し訳ありません、リーザさん。今は深く考え込んでいる場合ではございませんでした」
「分かればいいのですわよ。それに彼ならきっと大丈夫ですわ。何せ、一人で竜をあしらう人ですもの。そうそう簡単にやられるはずがないですわ」
自信を取り戻したのであろう真剣な眼差しとなった深月に、リーザは口元を
加えて彼の過大評価。以前のリヴァイアサン戦で彼の力を見た一人で、呆気なくやられる訳がないだろうと信じているようだ。
「済みません、皆さん。改めてブリーフィングを始めます」
気を引き締めたのだろう深月は改めて作戦概要を皆に伝える。
「まず、アリエラさんは女子寮へ向かい、現場の指揮をお願いします。竜紋変色者がいないかを確認した上で、竜伐隊に集合を掛け、一般生徒は地下に避難させてください。竜紋変色者を発見した場合は、すぐさまシェルターへ隔離し、私に連絡を」
「分かった、今すぐ向かうよ」
アリエラは架空武装を生成し、風を纏って夜空へと飛び出していく。
「フィリルさんとレンさんは、ヘカトンケイル上空で待機。私の指示で攻撃をお願いします」
「……了解」
「ん」
フィリルとレンも架空武装を生み出し、窓から飛び立った。
「兄さんとイリスさんは、私と一緒に来てください。地上からヘカトンケイルへ接近します」
「了解だ」
「うん、分かった!」
悠とイリスは頷く。しかし名前を呼ばれなかったティアとリーザが声を上げる。
「ユウ……行っちゃうの?」
「ちょっと深月さん! わたくしの事を忘れていませんか?」
ティアは不安そうな顔で悠を見つめ、リーザは深月に詰め寄った。
「リーザさんは、ティアさんの護衛です。ヘカトンケイル迎撃にはどうしても兄さんの力が必要となります。しかし前線にティアさんを連れて行く訳にはいきません。ですから、ティアさんに信頼されているリーザさんが傍に付いていて欲しいんです」
「で、ですけど……」
「ただ、何もしない訳ではございません。お二人にはこの場で待機……と当初は考えていましたが、事態が事態です。そこで、大和さんの救助と、手当をしに体育館に出向いて欲しいんです。ヘカトンケイルの目的もティアさんである可能性が否定できませんので、密かに行動をお願いします」
「そ、そういう事でしたのね」
躊躇っていたリーザだが、深月の説明により納得の表情を浮かべる。
「はい。こういった事態に臨機応変に対処できる人が必要だったのです。ティアさんの護衛をしながらとなりますが、お願いできますか、リーザさん?」
「分かりましたわ。お引き受けします。タイガ・ヤマトの事も気がかりですしね。ではティアさん、体育館に行きましょう」
ティアの前に屈み込んで、リーザは優しく話しかける。
「で、でもユウと離れちゃう……」
「彼なら大丈夫ですわ。どう見ても、しぶとそうですもの。殿方を信じて送り出すのも、女の甲斐性ですわよ?」
「おんなのかいしょう?」
言葉の意味が分からなかったらしく、ティアは首を傾げた。
「良き妻、と言い換えてもいいかもしれませんわね。心配いりません。あなたは一人にはなりませんから」
リーザに手を握られると、ティアの表情から少しだけ力が抜ける。恐らくだがティアは、両親を失った時のように一人きりになるのが怖いのだろう。
だから最初は悠と離れ離れなるのを嫌がった。けれど今は、彼以外にも傍にいてくれる人がいる。
「リーザは……ティアと一緒?」
「ええ、一緒ですわ」
頷くリーザを見て、ティアは悠の方へ視線を向けた。
「…………分かったの。ティア、いいお嫁さんだから旦那さまを信じるの。ユウ……気をつけてきてね?」
ティアは悠に真剣な眼差しを向けて言う。
「ああ、そっちこそ、気をつけてな」
悠はティアの髪をくしゃりと撫でて請け負った。
「―――では行きましょう、兄さん、イリスさん」
深月が悠達を促す。
こうして、ドラゴンの奇襲に加え、大和のイレギュラーな事態はあったものの、ミッドガル始まって以来の危機に対処するため、島内防衛戦が開始されたのだった。
◇
悠達は、宿舎から学園へと続く道を走る。
深月の宿舎があるのは島の南西で、ヘカトンケイルがいるのは東端付近。距離は大分あるというのに、そのシルエットは視界に収まりきらない。屈んで手を伸ばせば、島の中央にある学園まで届く程。
それ程桁違いのスケールという事だろう。悠は改めてヘカトンケイルの膨大さに震撼する。
「時計塔を壊してから、動かないね。どうしたんだろ?」
イリスが走りながら疑問を漏らす。
彼女の言う通り、時計塔を壊して大和を攻撃した以降、歩こうとも壊そうともせずヘカトンケイルは同じ場所で立ち尽くしている。
「ドラゴンの行動について考えるのは無駄です。何故、世界中を歩き回るのかすら不明なのですから、動かない理由も分かるわけがありません」
深月は苦々しい口調で答えた。
先程、大和にも言われたが、恐らく彼女は三年前に思い出しているのだろう。あの時、悠達は思っていた。何故、彼らの町にヘカトンケイルが向かってくるのかと。
行動原理が不明な理由が思い当たらなかった。
「けど、動きを止めてるのなら好都合だ。今のうちに何とかしてしまおう。俺を連れて来たって事は、前と同じように撃退するつもりなんだろ?」
「はい、兄さんが三年前に使った対竜兵装……その力を貸してください」
悠の問いかけに、深月は頷く。
三年前、悠は大きな代償を払って得た力で、ヘカトンケイルを一時的に消滅させた。それも、大和が間接的にとはいえ足止めに協力したお陰というのもある。
殺し切ることはできないが、同じようにすればこの危機も乗り越える公算は高い。
「ただ……ここで撃つとミッドガルにも大きな被害が出るぞ? 下手をすれば島の半分が吹っ飛ぶ」
「分かっています。ですからまず、ヘカトンケイルを海へと押し出すつもりです」
深月の方針は妥当なものだった。しかし一つ、問題がある。
「押し出せるのか……? あいつを―――」
悠は東の空を覆うヘカトンケイルのシルエットを見て呟く。
まず質量の桁が違う。そもそもあの巨体で地上を二足歩行している事自体が異常だ。ニブルで見たデータでは、体格の割にかなり軽いとあった。
だが、それでも人間とは比べるべくもない。加えるとするならば、ヘカトンケイルの特性である
「大丈夫です。私達には、心強い仲間がいますから」
けれど深月は自信に満ちた声でイリスを見た。
「え? あ、あたし?」
「はい、それに今、上空ではフィリルさんとレンさんも待機中です。じきにアリエラさんも竜伐隊を連れて来てくれるでしょう。それだけの人数がいるのなら、きっと成し遂げられます」
きっぱりと言い切る深月。イリスは頬を紅潮させて頷く。
「う、うん……そうだね。あたし頑張る!」
悠達を先導して駆ける深月は、女子寮から続く道との合流地点で足を止めた。
丁度、学園を挟んでヘカトンケイルを見上げる形になる。
「この方向から攻撃すれば、ヘカトンケイルを東の海岸へ押し出せるでしょう。イリスさん、準備はいいですか?」
「うんっ―――
イリスは架空武装を生成し、彼方の巨人を見据えた。
「兄さんは状況が整うまで待機を。フィリルさん、レンさん、聞こえていますか?」
頭に付けた小型通信機のスイッチを押し、深月は上空にいるはずの二人へ呼びかける。
『……聞こえてる』
『ん』
応答を確認すると、深月は鋭い声で指示を飛ばす。
「お二人は私達とタイミングを合わせ、西側からヘカトンケイルを攻撃。カウント9!」
深月はカウントダウンを開始しながら、左手に架空武装の弓———
「8、7、6、5、4、3、2、1―――!」
0となるタイミングで深月達は同時に攻撃を放つ。
「二の矢―――
「聖銀よ、弾けろ!」
『……フレア・バースト・クアンテット』
『んっ!』
四人の攻撃が重なり、ヘカトンケイルの正面で大きな爆発が起こる。白と赤が入り混じった閃光が夜の帳を一時的に振り払い、辺りは真昼のような明るさとなった。
数秒遅れて爆風が彼らのところまで押し寄せる。熱を含んだ突風に吹き飛ばされないように、悠は踏ん張りながら、細目を開けて攻撃の成果を確かめる。
光が収まった後に現れたのは、体のあちこちが大きく抉り取られたヘカトンケイル。右腕は肩口から全て消失している。
大和が単身で突撃した際もそうだが、以前戦ったリヴァイアサンとは、比べ物にならない脆弱さ。しかし―――。
「えっ……?」
イリスが驚きの声を上げる。どうやら初めて目にしたようで、息を呑むのも当然の事。
まるで時間が巻き戻っていくかのように、ヘカトンケイルの傷がみるみる治っていく。再生というよりも、寧ろ復元。何て出鱈目な能力だろうか。
数秒足らずで元の姿を取り戻したヘカトンケイルは、何事もなかったかのように星空の下に君臨する。一歩も後退してはいない。
「……想定以上に体が脆くて、衝撃が受け流されていますね。次はもっと威力を抑えましょう」
厳しい表情で皆に呼びかける深月。だがイリスは戸惑った表情を浮かべる。
「ミツキちゃん、あんなに攻撃が効いてるなら、もっと強い攻撃で一気に吹き飛ばした方がいいんじゃないの?」
「それでも結果は同じです。ニブルによる燃料気化爆弾や核の攻撃で、全身の同時消滅に成功した事例はありますが……その後すぐにヘカトンケイルは復活しました。例外は三年前の一度きり……可能性は兄さんの対竜兵装の力だけです」
きっぱりと深月は言い切り、再び矢を番えた。
そうして攻撃が再開される。悠は深月とイリスの後ろで、自身の出番を待つ。
だが攻撃が強すぎると先程の二の舞になってしまい、弱すぎれば巨体のヘカトンケイルはびくともしない。
救いはヘカトンケイルが全く動かないことだ。
どれだけ攻撃を受けても、反撃してくる様子はない。死なないのだから、危機への対処など不要というだけかもしれないが……悠は違和感を覚える。
(あいつは最初、躊躇いなく時計塔を攻撃した。適格にミッドガルの機能を麻痺させた……まるで、そこが中枢だと知っていたとでもいうのか?)
深月は無駄だと切り捨てたが、仮にヘカトンケイルが“思考”をしているのだとすれば……動かない事に何か理由があるのかもしれない。
更に言うなら、その後攻撃を仕掛けてきた大和に反撃をした。まるで“自分の意志で”やったかのような行動をしたヘカトンケイルに、大和も驚いていた。
妙な胸騒ぎがして落ち着かない。何か、酷い見落としをしている気がする。
「次は全員、最大量で空気を生成! 風でヘカトンケイルを押し出します!」
近くで深月は号令をかけて、皆が突風を発生させる。
辺りの木々がザワめき、木の葉が舞う程の風が吹き荒れ、ヘカトンケイルの上半身が揺らぐが、四人の風では力不足のようで、ヘカトンケイルはその場に留まったままだ。
「っ……これでは、応援が必要かもしれませんね」
悔しげに呟く深月。そこで大和がいたらまた結果が違っただろうが……今はいない人物をアテにしても仕方ない。
しかし悠はそこで、何かを思いついたような表情を見せた。
脳裏に浮かび上がるのは、暴風を纏って空から悠達を
「そうだ、あの時と似てるんだ……」
「え?」
イリスは悠が漏らした声に反応して、こちらを見る。
「ドラゴンの姿になって、暴走したティアに似てるんだよ。架空武装の体は、抉れてもすぐに元通りになっていた。その光景と、復元するヘカトンケイルが妙にダブるんだ」
それを聞いたイリスは戸惑った表情を浮かべた。
「モノノベは……あのヘカトンケイルが誰かの架空武装だって言うの?」
「それは……」
イリスに指摘されて、悠はどれだけ突拍子もない事を言っているのか自覚する。
そこに深月は口を挟んだ。
「有り得ません。あれほどまでに巨大な架空武装を作るのは不可能です。現在、最も生成量が多いとされるレンさんでも、ヘカトンケイル形成の必要量には、全く届かないでしょう」
「……そうだな。現実味がないことは分かってる」
だが―――架空武装だと考えると、納得できる事も多い。
誰にも察知されず、ミッドガルに現れた事。まるで時計塔がミッドガルの中枢だと分かった上で攻撃したように思えた事。そして、大和をも攻撃した事。
どれもヘカトンケイルが誰かの作った架空武装だと仮定すれば、説明はつく。表面と手足だけを物質変換すれば地面も歩けるし、腕で建物を破壊する事ができる。体の大半が質量のない
だがそうなると、その仮定だと人間の……“D”の犯人がいる事になる。
そこで思いつく者はただ一人。そして、そいつの目的は―――。
「っ!?」
はっとして悠は宿舎にある方向へ顔を向ける。
視線の先で爆発が起こったのは―――その直後だった。
やっぱ仕事をしながらの投稿は難しいですね()